「魔法少女プリンセス☆アリス! ここに推参!」

 太陽のように煌めく橙色の魔法衣を身に纏い、キラッと横ピースでポーズを取る少女。
 信じられないような話だが、この一見して小学生にしか見えない少女こそ、『白き巫女姫』の名で知られる天の位を極めし魔女、公爵家令嬢にして魔術界きってのセレブ――アリス・ルイーズ・オブ・ナヴァールが若返った姿だった。

『アリス、魔法少女になってみないか?』

 それは、太老のその何気ない一言から始まった。
 太老より与えられた『魔法少女大全』を使ったアリスは、太陽の衣を纏い、プリンセス☆アリスへと変身した。
 世に言うところの魔法少女と言う奴だ。

 魔法少女大全とは、太老が開発した発明品の一つだ。
 一種のパワードスーツのようなものだが、その性能はGPなどで採用されている従来の製品を大きく超えるもので、近代兵器を物ともしない防御能力に、核をも凌駕する未知の動力機関を搭載し、更には使用者の適性に応じて能力を開発する空想具現化能力を兼ね備えた、まさに究極の戦闘服。
 もっとも、それだけの高性能を誇る代物だ。当然、使用には制約が課せられていた。
 前提条件として、特殊なナノマシン強化を受けた女性にしか魔法少女大全は使用できない。ナノマシン強化は、魔法少女大全のサポートを受けるために必要なもので、使用者の肉体を守るために必要と言えるものだからだ。
 生体強化を受けていない並の人間では、魔法少女大全から供給される膨大なエネルギーの負荷に耐えることは出来ない。それに、魔法少女大全は体内のナノマシンを最適化して、使用者の身体を強化するものなので、単体では最大限に力を発揮できない問題点があった。

 そして、もう一つ。これが最も重要な条件なのだが、使用者は『少女』でなければならない。
 魔法少女に適さない年齢のマスターは、ナノマシンによって最適な年齢に、強制的に退行させられる機能が搭載されていた。
 長々とナノマシンの重要性を説いてきたが、実のところナノマシンが必要とされる一番の理由はそこにあった。
 このアイテム。少女でなければ、満足に扱えないのだ。

 名前の通り『魔法少女大全』とは、魔法少女を生み出すアイテムだ。
 魔法少女が通用するのは、十代前半がギリギリと言ったところ。病弱で床に伏せっていることが多く、年齢の割に小柄な体型をしているアリスではあるが、その実、年齢は二十四歳とエリカやリリアナよりも歳を食っている。
 そんな彼女がミニスカート姿で、子供用のステッキを振り回している姿を想像して欲しい。

 ――ただただ、痛い人でしかない。

 そんな女性達の悩みを解消するために開発されたのが、魔法少女に最適な年齢にまで姿を退行させる、若返りの装置と言う訳だ。

 ――これなら、少女でないあなたも周囲の目を気にすることなく魔法少女になれる!

 そんなキャッチフレーズすら聞こえて来る、年齢を気にする女性達のための機能。
 まさに身も心も童心に返る魔法のアイテム。それが『魔法少女大全』だった。
 と、太老の長々とした説明が終わったところで、不機嫌な様子でピクピクと青筋を立てながらアリスは質問を返した。

「ご説明ありがとうございます。それで本当のところは?」
「熟女の魔法少女なんて認めない。魔法少女と言えば、やっぱり少女でないとっ!」

 胸を張って、そう話す太老。
 ここまで、くだらない理由を堂々と言ってのけられると、怒りを通り超して、ただ呆れるしかない。
 しかし、どれだけふざけた理由だろうと、その力は認めざるを得なかった。
 実際――

「理不尽です。まさか、単独で神獣を撃破可能だなんて……」

 自身の放った魔力砲によって、ぽっかりと空いた雲間から覗く太陽を見上げ、アリスは嘆息した。
 神獣とは本来であれば、高位の魔術師が寄り集まって年単位で準備を重ね、討伐に当たるような相手だ。それでも実際のところは倒し切れず、封印に留まることが多いというのに――ただの一撃だった。
 太老に言われるがまま魔法少女になり、神獣に向けて放った一撃。その一撃でナポリを覆っていた雷雲は、神獣と共に消え去ってしまった。
 当然、自分にそんな力が備わっていると、アリスは思っていない。原因は明らかに、太老から受け取った一冊の本(魔法のステッキ付き)だ。
 魔法少女大全――その神器をも圧倒する力と、そんな力を軽々と他者に授けてしまえる太老に、アリスは戦慄を覚えた。

「太老様。まさか……とは思いますが、これ以外にも何かあるのですか?」
「色々とあるけど、他のも見たい?」
「い、いえ! というか、不用意に使わないでください。それと、くれぐれも誰かに譲ったり貸したりしないようにお願いします!」

 ここで止めないと大変なことになる。太老の非常識さを再確認するアリスだった。





異世界の伝道師外伝/新約・異界の魔王 第26話『限界と開き直り』
作者 193






『うん、こっちにも一体でたけど追い払っておいた。お兄ちゃんの方は……聞くまでもなく大丈夫そうだね』
「やったのは俺じゃなくてアリスだけどな」
『それって……お兄ちゃん、もしかしなくてもアレ℃gったの?』
「ああ、魔法少女大全を一冊貸してやった。アリスにも自衛手段くらいは持たせておいた方がいいと思ってな。ぶっつけ本番だったけど、上手く扱えてたみたいだし、アリスの方はアレで大丈夫だろう」

 通信越しに、桜花は何とも言えない微妙な表情を浮かべる。
 太老の言っていることはわかる。わかるのだが、物が物だけに桜花は不安を覚えた。
 とはいえ、アリスなら、そう無茶なことはしないだろう。
 悪用するようなことはないと信用しているからこそ、太老もアリスに自分の発明品を貸し与えたのだと理解できる。
 今回のようなケースがまたないとは言えないだけに、太老の判断は間違っているとも言えないものだった。

「あとはエリカか。たぶん、大丈夫だとは思うけど。アンナさんはなんて?」
『ミラノの方は、エリカお姉ちゃんと赤銅黒十字でなんとかするって。他に出現した神獣の方も、お兄ちゃんの名前で魔術結社に協力を呼びかけて、住民の避難を優先して対処に当たってるみたい』
「なるほど、エリカに任せて正解だったな」

 こうした現地組織との連携は、異世界から来た太老と桜花には出来ないものだ。
 餅は餅屋と言ったように、魔術師の対応は魔術師に任せるに限る。
 そう言う意味では、エリカの存在は太老にとって欠かせないものとなっていた。

 それに、今のエリカが神獣程度に後れを取るなどと太老は思っていなかった。
 大騎士の称号を得ているだけあって、魔術・剣術の腕は一流と言って良いほどの使い手だ。
 まつろわぬ神や神獣に人間が敵わない一番の理由は、種族としての壁。身に秘めた圧倒的な呪力と、肉体のスペック差にある。
 相手が剣術や魔術に秀でた軍神であれば話は別だが、条件が同じなら人間が神獣に後れを取る理由はない。
 特に、エリカのように一流の技術を持った魔術師なら尚更だ。

「しかし、ウルスラグナか。どうしたもんかな」

 まずいことに後手に回っている。状況が悪いことは、太老にもわかっていた。
 まつろわぬ神と各地に出現した神獣を放って置くことも出来ないし、かといってリリアナのこともある。
 常勝不敗の軍神。名前からして、如何にも強そうだ。
 ドニに太老が勝てたのは相性によるところも大きい。それ以外は零式に頼り切りだった部分も多く、カンピオーネなどと呼ばれてはいるが、まともに神様と戦った経験などないので、確実なことは何も言えなかった。
 そんな太老の不安を感じ取ったのか、桜花は試すように質問をした。

『お兄ちゃん、自信のほどは?』
「何でもアリなら負けない自信はある。でも、高次元生命体が相手だと、確実なことは何も言えないからな。そうなると、最低でも船のバックアップは必須になるし……」

 以前、ウルスラグナを倒せたのは、不意を突けたからだ。事故とも言える。
 今度は相手も油断はないだろうし、そうなると太老も手段を選んではいられなくなる。
 船のバックアップ、零式から契約ラインを通じてエネルギーの供給を受けることで、高次元生命体をも凌駕する戦闘力を太老は発揮することが出来る。四年前にヴォバン侯爵を倒した時にも使った太老の奥の手だ。
 しかし、零式のエネルギーを使う以上、船の修復に影響がでることは確実だ。
 それだけに、出来ることなら避けたい方法でもあった。

『零式を起こす?』
「それじゃあ、意味がないだろう? それに、そっちの方が色々と心配だ」

 零式を戦わせるのも、自分で戦うのも、エネルギーを消耗するという点では結局一緒だ。
 最悪、零式が暴走しかねない。どちらかと言うと、そっちの方が太老は避けたかった。
 と、太老の視線を感じ、手を左右に振って予防線を張る桜花。

『言っておくけど、私はやらないからね。魔王なんて呼ばれたくないし』
「俺だって嫌なんだけど……」
『お兄ちゃんは今更でしょ?』

 ここまで目立ったことをされると、いざ戦いになれば隠し通すことは難しい。
 桜花が戦ってウルスラグナに勝つようなことになれば、新たなカンピオーネの登場と、また世間は騒ぎ始めるだろう。
 桜花の見た目から言って、太老の時以上に騒がれる恐れもある。
 目立つ行動は避けたいという桜花の言い分に、太老もしぶしぶ納得するしかなかった。

『まあ、お兄ちゃんが負けるところなんて想像が出来ないけど……』
「いや、俺だって勝てない相手くらいいるぞ」

 主にマッドとか、と言う太老に桜花は呆れる。
 正直、太老が敵わないと言っている相手は、誰が挑んでも敵わないような相手だ。
 太老は自分の力を過小評価する悪い癖がある。明らかに基準としている相手が悪かった。

(お兄ちゃん、明らかに比較対象を間違えてるよね)

 高次元生命体というと太老のイメージするところは、頂神の三姉妹や皇家の樹と言った名だたる存在ばかりだ。
 それだけに、この世界のまつろわぬ神は高次元生命体の基準から言えば、かなり見劣りする。
 神話をベースに生み出された彼等は、あくまで本体の端末に過ぎず、本来の力を発揮できないのも理由の一つだろう。謂わば、まつろわぬ神と呼ばれている存在は、神話という箱庭から漏れ出た、神の力の一部にしか過ぎないということだ。
 それでも人間からすれば敵うような相手ではないが、同じ高次元生命体に属す零式のマスターである太老が敵わないような相手ではない。
 それに――そんな理由など抜きにしても、太老が負けるところなど桜花には想像が出来なかった。
 フラグメイカー。そう呼ばれる太老の力を、一番近くで見続けてきたのは彼女だからだ。

『取り敢えず、ウルスラグナの方はお兄ちゃんに任せるから頑張って』
「なんという丸投げ……。そもそも、原因を作ったのだって俺じゃないのに……」
『ペットの不始末は飼い主の責任でしょ?』

 以前、ウルスラグナを瀕死に追いやったのは確かに零式だが、そのマスターは太老だ。
 銀河連盟でも書類上、守蛇怪・零式は、太老の個人所有物ということになっている。
 それだけに、責任どうのを言われると、ぐうの音も出なかった。


   ◆


「そうですか。なら、神獣の件はエリカに任せて大丈夫でしょう。あちらには『七姉妹』の方々もいらっしゃることですし」

 太老の話を聞いて得心がいった様子でアリスは頷く。
 エリカの腕は認めているし、赤銅黒十字を始めとした魔術結社が彼女に付いている以上、心配はいらないと考えたからだ。
 賢人議会は、世界中に根を張る組織だ。ここイタリアにも数多くの支部を抱えている。
 しかし助けを求められたのならまだしも、そうでないのに手を貸せば、地元組織との間に余計な軋轢を生みかねない。こういったことは出来るだけ地元の組織に任せた方が、後腐れがなく話を通しやすいメリットがあった。

 エリカは、そう言う意味で適役だ。太老に近しい騎士として知られ、赤銅黒十字の生んだ神童にして『紅き悪魔』の名を持つ彼女の言葉なら、縄張り意識の強い魔術師達も従わざるを得ないだろう。
 それに、エリカにもメリットはある。ここで上手く評価を得られれば、エリカ・ブランデッリの名は正木太老の第一の騎士として今まで以上に知れ渡ることになり、その地位は不動のものとなるはずだ。
 サルバトーレ・ドニの執事『アンドレア・リベラ』のように、王の側近として名が売れ認められれば、太老の名代として魔術結社との交渉を有利に進められるようになる。この機会に、太老の騎士としての地位を盤石なものとするつもりなのだろう。
 それに太老が勝ち目もなしに、エリカに神獣の相手を任せるとは思えなかった。
 先程の『魔法少女大全』の件もある。恐らく、既に手は打っているのだろうとアリスは考えていた。

「となると、残るはリリアナとカレンの件ですか?」
「ああ、ウルスラグナの方は放って置けないし、かといってリリアナの件を後回しにすれば……」
「機に乗じて逃げられる可能性が高いですね……」

 現在、リリアナとカレンの追跡に割いていた魔術師達は、すべて神獣の対応に追われている。
 彼女達にとって、これはチャンスだ。捜索魔術は簡単なだけに対策も取りやすい。対呪術用の結界に籠られてしまえば発見することは難しく、そう何度も通用する手ではないだけに、ここで逃げられてしまえば追跡は難しくなる。
 二兎を追う者は一兎をも得ず、という諺もあるが、この場合どちらも切り捨てることの出来ない問題だけに太老は迷っていた。

「太老様。ずっと気になっていたのですが、リリアナは何をするつもりなのでしょう?」
「え? 俺のところから逃げ出したってことは、爺さんのところに帰るつもりなんじゃないの?」
「はい、そこは間違っていないと思います。ですが、そもそも彼女は何の目的があって太老様に近付いたのですか? そして、太老様の下から離れたということは、彼女は目的を果たしたということになりますが、その目的とは何だったのでしょうか?」
「それは……」

 考えてみれば、その辺りのことは何もわからないままだった。
 少なくとも、何かをされたという形跡はない。一応、リリアナとカレンがいなくなってすぐに盗まれた物がないかを確認したが、船から何一つ持ち出された物は無かった。
 それだけに、二人の行動には不審な点が多い。あっさりと二人の逃走を許してしまったのも、それが理由だ。
 逃走を図るからには、何かしら事前にアクションがあるものと思っていただけに油断していたのだ。
 泳がせてリリアナの目的を探るつもりだっただけに、今回の二人の逃走はまったく予期しない出来事だった。
 結局、あのタイミングで何故、太老のもとを離れる必要があったのか謎のままだ。

「私達は大変な思い違いをしていたのかもしれませんね……」

 険しい表情で、そう話すアリス。場は重い空気に包まれる。
 ずっと太老達は、リリアナとカレンは組織の命令を受けて船を去ったと考えていた。
 しかし、その前提がそもそも間違っていたのだとしたら?
 太老は確認を取る意味で、ディアナに質問をした。

「ディアナさん。青銅黒十字は今回の件に一切関わってない。それは確かなんですよね?」
「はい。少なくとも私の知る限りでは、そうしたやり取りはなかったと聞いています」

 リリアナのためにカンピオーネを試すような真似をしたディアナが、そんな見え透いた嘘を言うとは思えない。青銅黒十字の上層部が保身に走り、真実を隠しているという線は勿論あるが、そこまで疑い始めてはキリがない。
 少なくとも、リリアナが何らかの命令を受けて太老に近付いたのは確かだ。
 その目的を果たせないまま姿を消したということは、予期せぬトラブルがあったか、もしくは――

「リリアナの件はともかく、カレンの動きを青銅黒十字が把握していないのは、やはり変です」

 アリスの言うように、カレンはクラニチャール家とは関係ない。彼女は青銅黒十字の指示で太老のもとに来た。
 その目的はリリアナの監視。行方知れずとなっているクラニチャール老と繋がっている可能性が高いリリアナは、これ以上カンピオーネの不興を買う事態を避けたい青銅黒十字にとって獅子身中の虫だったからだ。
 そのことから、もし本当に青銅黒十字が今回の件に関与していないとすれば、カレンは組織の思惑とは別に勝手な行動を取ったということになる。

「二人の行動は命令とは関係ない。自分達の意思でやったことだって言うのか?」
「はい。それに、リリアナが祖父の命令通りに行動していれば、カレンはリリアナを止めるか、青銅黒十字にそのことを報告していたと思います。それをしなかったということは、リリアナは目的を果たせなかったのではなく――」
「命令に背いたってことか。待てよ? だとすれば、カレンが組織に報告しなかったのも……」
「はい。恐らくは青銅黒十字を通じて、クラニチャールの老人に話が伝わるのを警戒したのでしょう。それに何も伝えず姿を消せば、勝手にあちらは目的を果たしたものと勘違いしてくれるでしょうから……」

 確かに、そう考えれば納得の行く話だった。
 これまで、ずっと不思議に思っていたことも、すべてがしっくりと来る。
 ディアナも、そんなアリスの推論に同調した。

「確かに、リリィのことを慕っているカレンなら、十分にありえる話だと思います。結社とリリィ、そのどちらかを取るという話になれば、カレンは迷わずリリィの味方をするはずですから……。監視の話を受けたのも、ギリギリのところでリリィを思い止まらせるためでしょうし」

 それが事実なら、リリアナの目的は――

「太老様、リリアナを止めないと取り返しの付かないことになるかもしれません。恐らく、彼女の狙いは――身内の暴走を止めること。最悪の場合……」

 実の祖父を、その手に掛けるかもしれない、とアリスは沈痛な面持ちで話す。
 これまでの推論が正しければ、その可能性は確かに高いと、太老も考えていた。
 しかし、そんなことをリリアナにさせられるはずもない。それは最悪のシナリオと言っていい。
 彼女の性格を考えれば、一生そのことを後悔し続けるかもしれない。いや、下手をすれば、責任を感じて自殺なんて真似をされても厄介だ。
 リリアナとカレンを助けると決めた太老からすれば、それはとても許容の出来る結果ではなかった。

「あーっ! もうっ!」
「太老様?」

 頭をボリボリと掻きながら、太老はため息を吐く。
 そんな太老の態度に、アリスは訝しげな視線を向ける。
 怒りとも呆れとも取れる態度。どこか開き直っているようにも見える、こんな太老を見るのはアリスも初めてのことだった。

「でもまあ、お陰で吹っ切れた。ありがとうな、アリス」
「えっと、はい。あの……何をされる、おつもりなのですか?」

 それだけに不安になる。
 いつもと違う太老の様子。そして『吹っ切れた』という太老の言葉が、いっそアリスの不安を掻き立てた。

「魔王らしく好きにやるって言っておきながら、まだ心のどっかで自分を抑えつけてたことがよくわかったからな。俺なりのやり方で、リリアナとカレンを救うつもりだ。ついでに、自称『神様』もぶっ飛ばす」

 常勝不敗の軍神をついでと言ってのける太老に驚きながらも、アリスはそれ以上、何も訊けなかった。

(これが本気になった太老様の顔……)

 先程まで感じていた不安は既になかった。
 アリスのなかで不安以上に、好奇心の方が勝っていた。
 見てみたい。太老が何をするのか確かめて見たい、と思ったのだ。

「さすがです。それでこそ、カンピオーネですわ!」

 それが吉と出るか? 凶と出るか?
 この選択が正しいものなのか、アリスにもわからない。
 しかし、不思議と太老なら何とかしてしまいそうな、そんな予感がアリスにはあった。





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