――シャーリー達は図らずしも栄光の七人ライダーとデルザー軍団との因縁に巻き込まれたわけであるが、その内の後期三人と出会った二人はデルザー軍団の陸戦戦闘員を蹴散らしていく光景を目の当たりにした。

「ライドルスティック!!」

Xライダーの武器「ライドル」が吠える。「改造人間」の定義に当てはまる仮面ライダーの中では、正式に初めて武器を取った例であり、万能ツールである。ただしRXのリボルケインのような「必殺武器」ではない。あくまで補助的意味合いが強いので荒療治的な使用法も多い。例えば……

「ライドル脳天割り!!」

大上段から振り下ろされるライドルは戦闘員の脳天を文字通りにかち割る。それを見ていたルッキーニは……。

「うわぁ〜すんごく痛そう……」

……とのコメントを残したとか。更には仮面ライダーアマゾンのこの攻撃。

「ケケケ――ッ!!」

野獣の如き咆哮と共に戦闘員に噛み付き、ひっかく。さらには獣のような俊敏な動きを見せ、戦闘員の首を手刀で斬り落とす。ワイルドそのものな戦闘法はアマゾンの名に相応しい。

「トウ!!」

トリのストロンガーは仮面ライダーとしてはオーソドックスな戦闘法だが、荒っぽい面が多い。シャーリーはそんなヒーロー達の戦いに息を呑む。そして、何百万ボルトの高圧電流を一気に放電する。

「エレクトロファイヤー!!」

超電子ダイナモを埋め込んだ上で再改造されているストロンガーの戦闘力は初期改造時より飛躍的に向上し、身体スペックを見るなら初期の7人中最強を誇り、後発のZXや更にはRXに次ぐ戦闘力があるという点は大きい。一気に戦闘員を蹴散らし、ジェットコンドルのもとに向かう。

「フハハ……ハハ!!中々の戦闘力だが、空でこの俺に勝てるかな?」

不敵に笑うジェットコンドル。彼はジェットエンジンを体に組み込んでいるために「荒わし師団長」以上の飛行能力を備えていて、空では第4世代ジェット戦闘機とほぼ同レベルの動きが出来る。そのためベトナム戦争以前の第3世代ジェット戦闘機を圧倒し、米軍に苦杯を舐めさせた。第4世代戦闘機以降、米軍が機動性を重視しだす裏の要因に彼の存在がある。彼が伝説上の魔物のどれの改造者、あるいは子孫の改造かは不明である。彼を屠ったゴルゴ13によると「ロック鳥」がベースと思われるとの言葉を残しているもの、確証はない。空からミサイル等による攻撃力で仮面ライダー達を空爆する。

「くそっ!空から来られちゃ手が出せん!」

「俺に任せろ!」


空とあっては悔しがるストロンガー。スカイライダーとZXでも無ければ空で自由に戦えないからで、この場にいるライダーのマシンの中で唯一、自力飛行可能なのがXのクルーザーである。Xはクルーザーに跨り、すぐにジェットコンドルを追撃する。

「クルーザージャンプ!!」

バイクで空を飛ぶ。この発想は後にZXのヘルダイバーに引き継がれている。短時間の飛行ではあるが、7人ライダーのマシンの中では珍しい能力を持っている。シャーリーはその発想に目を丸くした。

「お、おいっ……オートバイで空を飛ぶなんてそんなのありかよ?」

「アリなんだよ、これが。俺の後輩も通った道だ」

「あは、ははは……」

ストロンガーにそう言われるとシャーリーは次々に常識を覆す仮面ライダー達にいちいちツッコむ元気も無くなったとか。





――ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケはカールスラント奪還戦にハルトマンやバルクホルンと共に復帰していたが、そんな中、未来艦隊での生活でで知った、「宇宙戦艦ヤマト」という地球連邦軍の絶対的象徴とも言える戦艦の事を調べていた



カールスラント 近辺地域のとある飛行場

「宇宙戦艦ヤマト……。元は大日本帝国海軍の象徴であった戦艦大和で、坊ノ岬沖海戦で壮烈な最期を遂げた後に海底に残されたその骸を回収、宇宙戦艦へ改造した代物。元は移民船として造られていたが、波動エンジンがもたらされた事で宇宙戦艦へ変更となった。そのための改装のためにベース艦よりもサイズが大型化した……。まったく、沈んだ戦艦を無理矢理に宇宙戦艦へ改造するなんて無茶苦茶ね」

「ヤマトの事か。アイツらから聞いた。なんでも一から新造艦を作れるほどの資材が無かったし、時間も無かったから、戦艦大和の船体を再利用したと。だから波動砲と船体の下部に火砲類を取っ付けた以外は戦艦大和そのままの構成だと」

「なんで向こうの人達はそんなに大和にこだわってたのさ、ミーナ」

「そもそもの出自よ。戦艦大和とその姉妹艦の武蔵は向こうでは持てる力を発揮しないまま航空機に撃沈されたらしいの。大艦巨砲主義の精鋭も、結局は航空機には勝てなかった。しかも大和は一機の空中援護もない自殺的出撃で、米軍に攻撃されていた沖縄を救うために最期の航海に出た途中での沈没。その悲劇的結末を地球連邦の実権を握っている日本は忘れることができなかった。戦艦大和をベースにしたのはその心理も多分に働いたからかもしれないわ」

――ミーナは帝国海軍終焉の地である坊ノ岬で起こった海戦を自殺的と評した。勝ち目の無い戦に敢えて死地を求めるかのように赴き、果てるというその気持ちはカールスラント(ドイツ)人であるミーナには割り切れない想いを抱かせた。祖国陥落の際に絶望的な戦場で戦い、果てた仲間を何人も見てきた。だが、自分は死してまで何かを貫く考えは受け入れられない。それが死に美学を見出す日本人との気質的違いかもしれなかった。

――死んでは何もならない。全員で生きて帰る。あの人を失ってからそう考えるようになった……。


――ヤマトの乗組員は死をも辞さない覚悟で戦い、敵に打ち勝ってきたが、それで何を得たのだろうか。

ミーナはヤマトが乗組員の大半を犠牲にしてでも強大な敵に抗った理由がなんなのかを第3者の目から見極めようとしていた。特にヤマトの就役時の乗組員の殆どは白色彗星帝国戦役の際に戦死してしまっているが、新世代クルーで組織を再建させたという事実はどんなことになっても屈しない心があの世界の人々に宿っていることの表れでもある。

――私はどこかで恐れているのかも知れない。501のみんなが、美緒がいなくなってしまうのを。だから……。

ミーナもいなくなった仲間の事を考えた事は数知れない。初期メンバーであったラウラ・トートもそうだが、過去に501にいた人員の全てのことを気にかけている。無論、現メンバーや502に復隊したと思われる菅野のことも。共に戦った仲間が残していったものは何か。ミーナは宇宙戦艦ヤマトの戦いから何かを学ぼうとしている。それに気づいたハルトマンはこの時より、ミーナに時より助け舟を出し、バルクホルンもそれに協力する事になる。そしてその役割の一部は後に黒江達が引き受ける事になるが、それはまた別の話。







――宇宙戦艦ヤマトで艦載機2番隊長と加藤三郎の副官を務めていた山本明は白色彗星戦役を生き残った後、ヤマトから離れる事になったが、今でも心はヤマトと共にあった。そのため未来へ帰還後は、戦友の加藤三郎の年の離れた弟(一卵性双生児でもないのに容貌、声まで酷似)「加藤四郎」とその同期生で、自身の従妹である同名異読の「玲」を坂本茂と共に鍛えていた。(兄と同等以上の素養を持つ四郎はともかく、玲はパイロットとしての素養は未知数である)。太陽戦隊サンバルカンの初代リーダー「大鷲龍介」の協力も得て、「将来のヤマト乗員」として重点的に育成していた。


(ガミラスとの戦いで死んじまった明生の奴の妹をこの俺が面倒を見ることになるとはな。
アイツとは親戚だったけどあまり合う機会無くって、付き合いが多くなったのは軍に入ってからだったっけ。
それで……)

彼は親族でもあり、戦友でもあった明生の死は自分や加藤三郎の心にも暗い影を落とした事を思い出す。今、明生の妹を自分が鍛えている。ガミラス帝国時代の同期、ブラックタイガー隊からのヤマト時代の仲間は加藤三郎を含め、大半が白色彗星との壮烈な戦いで最期を遂げている。その時の生き残りは自分を入れても20人足らず。

-ヤマトでのあの時の事を語れるのはもう俺や古代を入れても少数だ。戦後直後に出したレポートが新コスモタイガーの
開発のきっかけになったが……大きい犠牲だった

白色彗星帝国戦役で投入された初期型のコスモタイガーUが白色彗星帝国の防御幕を突破出来ずに空中分解を起こした例が報告された事で、浮き彫りになった問題点を解消するべく新コスモタイガーは開発された。航続距離の延伸、攻撃力と防御力強化が主眼とされ、エンジンや、装甲材質の改善、ノズルの更なる最適形状への改正、搭載重量の強化などの多岐に渡る改装が施された新コスモタイガーは現在、重点的に生産されている。それは新コスモタイガーが多くの血の犠牲の末に生まれた翼であることを意味していた

「よし、加藤。いい調子だ。近いうちにお前らの配属先も決まるとの事だ。それまでびっしり鍛えてやる」

「ありがとうございます」

山本明は地上から2機の新コスモタイガーを管制する。それは久しぶりの古代進からの連絡で、「今のコスモタイガー隊の奴らが異動する事になってな。その埋め合わせと言っちゃなんだが、搭乗員で良い奴はいないか」と言われていた。


古代は坂本茂を除き、総入れ替えとなる艦載機隊の平均練度の低下を危惧していた。仕方がないが、白色彗星帝国戦を生き延びたベテランはどこの部隊も引く手数多。教官に欲しいと言う航空士官学校も多い。坂本もその誘いを一端は断っているが、上層部から「あと一、二年で異動してくれ」と懇願され、古代にも『加藤三郎の後継者』として相応しい後輩が育ったら異動すると言っているからだ。
そこで山本は士官学校時代の教官と連絡を取り、各航空士官学校から優秀な人材をピックアップし、古代に資料を送っていた。それが後々の戦いで配属される人員達で、加藤四郎らの一期先輩に当たる世代の人間達である。更に後々のために真田と加藤四郎を引き会わせておいた。これにはさすがの真田も思わず「か、加藤……!?」と驚きを隠せなかった。

山本は真田に「加藤には実は弟がいたんです」といい、四郎を紹介。加藤四郎は兄の三郎が戦死したのを期に軍に入隊した事、兄の遺志を継ぐために航空畑に進んだ事を真田に告げ、真田は彼を「加藤が生き返ったようだ」と評した。実際、加藤四郎は士官候補生とは思えぬ飛行センスを発揮。兄同様の才覚を見せた。これが真田を納得させ、後々に彼が三代目コスモタイガー隊長に就任する後押しとなる。その際に自分の従兄弟である玲も紹介し、真田に「お前の一族には美形が多いのか?」と言わしめた。実際、山本明も美男子なので、従兄弟の玲も美少女であったのが真田を驚かせた要因である。

「真田さん、こいつらにはコスモタイガーの訓練を積ませています。いずれヤマトを、地球を守る翼とするために」

「それは嬉しいが……お前も本当はまたヤマトに乗りたいんだろう?」

「ええ。あの時のブラックタイガー、そしてコスモタイガー隊の生き残りはもう俺や古代を入れても20人にいくかどうかですからね。俺も出来れば古代と一緒に飛びたいですけど、上が許さないでしょうから」

それは山本がエースパイロットとして名が知れている都合上、その死を敵に利用される事を恐れての事である。その命令への彼のせめての抵抗が加藤四郎らをヤマトへ送り込む事であった。欧州で行われている戦いに山本は呼ばれている。だが、出来ればもう一度ヤマトの一員として飛びたい。それが彼の内なる願いであった。




















――基地に着陸したダブルマジンガー。そんな中、グレートマジンガーの操縦者である剣鉄也はあしゅら男爵が乗っていたゲッターロボGの特徴がオリジナルと相違点が多い事を調べていた。

「うぅ〜む」

「どうしたんだよ鉄也さん」

「甲児くん、これを見てくれ」

「これは……あしゅら男爵が使役してたゲッタードラゴン?」

「そうだ。あの時、とっさに撮ったものだ。オリジナルと比べてみたんだが、相違点が多い」

鉄也は甲児にゲッターロボGのオリジナルと、あしゅら男爵のものの写真を見比べさせる。甲児はその違いに気づいた。オリジナルの方はヒーローメカらしい、スリムで引き締まったフォルムを持っているのに対し、あしゅら男爵の使っていたそれは筋肉質で、マッシブなフォルムを持っており、ダブルトマホークも無骨さを増したデザインだ。塗装も違っている。

「つまりこれはゲッターロボGに酷似しいてるものが多いが、全く別種のゲッターロボだって事さ」

「何だって!?どういう事なんだ鉄也さん!」

「今は分からん。だが、あしゅら男爵は複数のドラゴン、ライガー、ポセイドンを使役していた。それが何を意味しているのか……」

あしゅら男爵がなぜGの軍団を使役していたのか。鉄也はその謎を調べていく。ゲッターロボG軍団は何故軍団単位で運用されているのか、それの真の理由を。

「ん?何やってんだよお二人さん」
「ああ、義子ちゃんか。どうだった、そっちは?」

「アイツ、中々強情なんだよな〜。こりゃ一筋縄じゃいかねーな……」


電話してきた西沢義子が帰ってきた。説得作戦の感触は微妙だったようだ。坂本美緒の説得は彼女をしても難しいようだ。しかし坂本の魔力減衰が同年代の間でも進んでいる部位に入るのは間違いないだろう。零式にこだわることはより大馬力のエンジンをフルドライブさせられない事の表れだからだ。

「そっちはどうだ?」

「駄目だ。ますますわからない」

甲児はゲッターロボG軍団の謎が深まる事に首をかしげるばかりであった。その謎はより深い次元にあることを甲児達は知る由もない。だが、ドラゴン、ライガー、ポセイドンが一つの目的のもとに制御されている事だけは判明した。

「その、ドラゴン、ライガー、ポセイドンってのはゲッターロボの一種なんだろ?細部が違う機体なら、パラレルワールドの設計で作られたってのはありえないか?」

「そうか、その可能性を忘れてた!さっそくラー・カイラムにデータをを送るか」

鉄也の取った写真データはラー・カイラムへすぐに送られ、後方支援班に回された。後方支援班に加わっていた初春飾利としずかはただちに整備班長のアストナージから送られたオリジナルのゲッターロボGのデータと送られたデータを比較する。

「オリジナルのゲッターロボGより重厚なフォルムを持っているように見える。筋肉質で、オリジナルのゲッタードラゴンとの差が大きい……フレームの組み方が違うのかも」

「同じロボでも細部が違うってあり得るんですか?」

「SFでたまにあるけど、同じロボって設定でも作画レベルや書かれた年代でデフォルメ具合やリアル度が違うってあるんだ。たぶんその違いが『設計の違いと』して表れたんじゃないかな」

「地球の人工知能でこんなロボットを制御できるのはあり得るんですか?ドラちゃんの技術はほとんどが『遺失技術』に分類されてると聞いてますよ?」

「この時代から数年前に禁忌とされた無人MS……『モビルドール』ってものが、ある財団によって開発され、実戦に使われてる。今でも軍は『ゴースト』って無人戦闘機を使ってる。禁忌とされた後にも独自に兵器の無人化技術を研究してた人たちは山ほどいたはず。その技術はスーパーロボットを制御できるまでになったと考えるべきだよ。だけど、そこが私達のつけ入るところなんだけどね」

初春はモビルドールとゴーストのことを引き合いに出す。兵器の無人化という考えがこの時代では忌まわしい物として半ば封印されているが、兵器としてそこそこ使えるものには変わりはない。それは敵方の機械獣などに用いられている事からも証明されている。初春はこの時代のプログラミング技術を以ってすれば、『有人機よりも厄介な存在』とできると肯定する。ただしそれはAIの性能に依存するものでもある。器が優秀でも、それを扱う機械が低性能では役にも立たない。ゴーストが優秀たり得たのはユダシステムの優秀性の賜物である。しかしどんな機械にも人間のつけ入る隙はある。初春はそう言って見せ、コンピュータを動かす。


――この時代にはキーボードという操作デバイスを代替すべき技術として、投影式の操作デバイスと、イメージフィードバックシステムというのが現れていた。これはナノマシンを体に注入し、言わば補助脳的器官を設け、イメージを送ることで機体やコンピュータを操作するというものだ。火星などでは普及していたが、地球ではナノマシンへの抵抗感などから、普及率は低い。それとナノマシン処理をしなければ存分に機能を扱えない故、初春は自らの技能を活かすため、旧来のキーボードによる操作を選んでいた。この方が手馴れているので安心感がある。

『ブライト艦長、ゲッターチームから送られてきたデータに関する書類を二時間後くらいにあげます』

『了解した』

初春は裏方の仕事は手慣れているが、まさか間接的に戦争に加担するとは思ってもみなかったらしく、苦笑交じりに書類に手を付ける。彼女の仕事はもっぱらこれであるので、慣れたものだ。実戦部隊であるロンド・ベルの都合上、事務作業はあまり行わないので、ブライトはこういう要員を地味に欲していた。なので初春やしずかなどと言った事務作業の得意な者は願ったり叶ったりであった。ちなみにコンピュータによる事務作業は実戦部隊要員もある程度は行える。機種配備申請などがあるからだ。後方支援班はそれらを処理するのが仕事なので、日々書類&場面と格闘しているが、これはその一コマであった。



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