短編『次元震パニック』
(ドラえもん×多重クロス)



――坂本Bらを案内する黒江Aだが、そこに緊急連絡が入る。

「何!?竹井が!?それであいつはどこだ、吹雪」

「竹井少佐は今、私がいる地方隊の隊舎に運ばれてます。転移のショックで気絶しているだけなので、命に別条はないようです」

「それは良かったが、アイツはややこしいぞー。何せ、この世界の当人は504の将来の立て直し作業のために、ロマーニャにいるんだし」

「竹井のジイさんに話を通しておくしかないな。坂本とそっちに向かう」

「分かりました」

携帯電話を切る黒江A。坂本らは不思議そうな顔をしているが、それどころではない。

「なんだそれは?」

「未来技術の所産の携帯型の電話機だ。遥か後世の技術だから超小型になってる……ってそれどころじゃねー!坂本、面貸せ。緊急事態だ。竹井の奴も来たらしい」

「何ぃ、醇子が!?」

「そうだ。今から迎えに行くから、お前もついて来てもらう!フジ、後は任せる」

「いってらっしゃーい。あの子なら、私が行くべきだろうけど、警護もあるから任せるわ」

吹雪からの連絡を受けた黒江Aは、外に出て、駐車場に停めてある愛車のバイク(未来でも使っているもの)に二人乗りし、竹井が収容された地方隊隊舎へ向かった。

「えらくハイカラな形のオートバイだな?お前が運転するのか?」

「こっちじゃオートレースにも出場してるんだぞ?ちっとは信用しろい。ぶっ飛ばすから、せめてメットくらいかぶれ。行くぞー!」

「おわあああああ〜!」

黒江は城茂の影響か、思い切り荒々しい運転を見せる。坂本Bは必死にしがみつく。

「お、おい!飛ばしすぎだぞ!何キロで走ってるんだ!?」

「ただいま時速140キロだ!」

「140!?アウトバーン走ってるんじゃないんだから、スピード落とせ!!」

「なぁに、岩石砂漠を180キロで飛ばす為のマシンだ、まだ余裕さ。 弄って有るから220くらいいけるさ」

「なぁあああああ!?」

「レースで使うためにカスタムしたんだよ。安心しろ。高速コーナーリングは慣れてる!」

「安心できるかぁ〜〜!」

坂本Bの悲鳴をよそに、黒江は全速力でバイクを飛ばし、数時間ほどで目的地へつく。その途中で、竹井の祖父の退役海軍少将にも連絡を取り、出向いてもらう。



――目的地 

「……死ぬかと思った」

「なんだよ、ションベンちびりそうになったか?」

「お、お前なぁ……」

「おお、久し振りだね。黒江君」

「お久しぶりです、閣下」

「事情は小沢君から聞いておる。難儀な事になったようだね。大きくなった、と言うべきかな?坂本君」

「私に取ってはそうですね、閣下。お久しぶりです」


小沢治三郎から事情を聞いた竹井・元少将。彼は当時、70代前半。当時としては長命を保ち、静かな余生を送っていた。彼は近代軍が創立された割と初期に入隊した世代で、この時代では、明治初年生まれ世代亡き後の『長老』世代に当たる。この世代は時代の流れで存命者が少なくなっており、彼よりも先輩の元軍人の著名な存命者は、岡田啓介くらいしかいない。

「さて、久し振りに孫の顔を拝むとしよう」

――数分後、隊舎内の一室

「これ、醇子。起きなさい」

「うぅん……その声はおじい……おじい様!?」

ガバッと飛び落ちる竹井。状況がわからず混乱する。ベットから落ちるほどの衝撃だったのが分かる。

「え、えぇ!?な、なんでおじい様がロマーニャに!?じゃなくて、ここはどこなの〜!?」

「落ち着け、醇子。私が分かるか?」

「美緒、美緒!?なんであなたがおじい様と!?」

「それについては私が説明する。久し振りだな、竹井」

「黒江少佐!?」

いきなりの衝撃にパニックとなる竹井。一気に畳み掛けられたためか、目が渦巻き模様となっている。

「落ち着きなさい、醇子。まずは黒江中佐の説明を聞きなさい。全てはそこからだ」

「は、はい……」

「相当ややこしいから、覚悟しとけよ?行くぞー」

――こうして、竹井は坂本と祖父の補足も入った黒江の説明を受けた。ここは『1947年』の扶桑本土である事、ネウロイの巣の近くにいたために、次元震に巻き込まれてしまった事、この場にいる黒江と祖父は『自分の知る当人』とは別の存在である事、この世界では1947年になっても戦争中であること、平行時空の概念の説明などを何十分かかけて説明された。

「なるほど……でも、平行世界の自分同士が出会うと対消滅するとか、しないとかじゃないんですか?」

「遺伝子学的に言えば『同じ顔と人格の別人』って言えるくらいに違いがあるから、その心配はない。SFでもよくあるけどな、そういう問題」

「それで、あなたは今はどこに配属されているのですか?」

「実戦部隊にいる。ただし、陸軍軍人じゃ無くなってるけど」

「まさか、空軍ができたのですか?」

「陸軍航空が海軍基地航空を飲み込む形でな。源田大佐は知ってるな?」

「ああ、一航艦の参謀だった?」

「大佐が音頭を取って、空軍を設立したそうだ。組織は陸軍航空が母体になっているが、海軍出身も半数ほどいるらしい。基地航空組は空軍へ行ったそうだぞ」

「海軍航空は母艦組が残ったのね。海軍が空軍化する話もあったけど、陸軍航空が飲み込んだのね……」

「海の制空権が取れなくなったら、海軍の本末転倒だからな。それで海軍は母艦航空隊だけ残して、空軍に移管した。源田の親父さんが音頭を取ったとは言え、主要幹部の多くはは陸軍出身だから、結構揉めてるのが現状だ」

「あなたと三羽烏は空軍に?」

「そうだ。ただし、メンバー構成が微妙に違う。私が入って、フジのやつが外れてる位だ、三羽烏からな」

「えぇ!?ほ、本当ですか!?」

「ああ。元の私の立ち位置になってるだけだから、安心しろ。それでお前を運んでくれたのが……入っていいぞ〜」

「失礼します」

部屋に入ってくる、初年度の女学生風ほどの少女。この少女こそ、『特型駆逐艦』のネームシップ『吹雪』である。

「初めまして。吹雪です。よろしくお願いいたします!」

と、通常運転の吹雪。

「こいつは見かけは幼いが、特型駆逐艦の一番艦『吹雪』の化身だ。つまりは神様に近い存在だ」

「えぇ!?艦艇の……化身!?」

「私は駆逐艦なので、位は低いほうですけどね」

「世の中には、不思議な事がまだまだあるという事だ、醇子」

「そうですね。駆逐艦って事は、巡洋艦や戦艦、空母、潜水艦も?」

「はい。ここには私以外には榛名さん、摩耶さん、瑞鳳さんがいます。潜水艦の子はまだ現れていないので」

「それで階級は?」

「私達、駆逐艦が大尉から少佐、軽巡が中佐、重巡と旧型戦艦の複数が大佐、金剛さんと長門型、大和型の皆さんが少将相当。あ、扶桑型戦艦の皆さんと比叡は准将ですね。御召艦経験があるので。空母は正規・改装問わず少将から大佐です」

「なぜ金剛が将官に?」

「最古参の軍艦なので。性格や見かけは普通の女の子ですよ、帰国子女ぽいけど」

「そう言えば、あれはブリタニア製でしたね、おじい様」

「そうだ。今となっては、現役時代の東郷閣下を見ていて、前弩級戦艦なども知っている最後の現役軍艦だ。見かけはお前とそう変わらんが、大先輩だぞ」

金剛は若々しい外見とは裏腹に、黎明期から勃興期の明治海軍を知る唯一の艦娘である。そのため、シリアスとギャグの両方の局面にもスムーズに対応可能な『年の功』が評価されたのである。

「黒江中佐、金剛お姉さまより言付けです」

「榛名さん」

「おお、榛名、来たか」

「ああ、竹井少佐も気が付かれたのですね。良かった」

「ありがとうございます。あなたが?」

「はい。金剛型三番艦、榛名です。よろしくお願い致します」

榛名は外見は清楚な大和撫子ながら、意外と武闘派に分類される戦歴の持ち主だ。主要な戦の殆どには参陣しており、呉空襲の際にも抵抗している。そのため、金剛型で唯一、太平洋戦争終戦を着底状態でとはいえ、迎えているのだ。(そのため、妹の霧島よりも武闘派かも知れない)

「それで、金剛はなんて?」

「はい。それが……」

『ロマーニャの赤ズボン隊を保護したんですケド、たぶん、この現象で出現した平行世界の存在デース。司令部に問い合わせたら、赤ズボン隊は別の場所で戦ってるネ!』だそうです」

「あの子たちもここに!?参ったわね。そうなると、504の殆どのメンバーは巻き込まれたと見るべきね……」

「だろうな。確か、諏訪真寿々の妹や、中島姉妹の真ん中辺りが配属されてたな?」

「はい。心配です。錦は技能は優秀な部類だけど、天姫は経験が浅く……実戦で戦えるかは」

――504は本来ならば、扶桑陸軍から二人のウィッチを受け入れるはずだった。それが諏訪天姫と中島錦だ。この時空においては、二人の504への派遣が立ち消えし、その代わりに三羽烏が501に派遣されている。そのため、二人が竹井と出会う可能性はその場は潰えた形となった。

「この世界じゃ、そいつらは派遣されてないそうだ、醇子。黒江達がその代わりにウチに送られたそうだから、二人は本土にいるそうだ。だから、色々ヤバイぞ」

「あ〜!確かに!黒江中佐、でいいんですよね?、どうすれば……」

「よし、儂が憲兵に伝え、捜索を依頼しよう。ヘタすればあいつら、独断で自白剤打ちかねん。組織は刷新できても、人の心までは中々変えられんからな。現場単位で暴走されると厄介だ」

竹井少将は、戦前の憲兵の横暴を知っており、憲兵が『警務隊』に組織が刷新されても、人の心までは変えられないと言うのを知っており、現場単位の暴走を恐れたのだ。(なお、憲兵は呼び名が定着したので、警務隊となっても、皆、憲兵と呼ぶ)

――竹井少将の依頼で、警務隊が公式にウィッチ捜索に乗り出したのはその数時間後。退役少将とは言え、扶桑切っての武門の名門の前当主(退役時に竹井の父である長男に家督を譲った)の依頼なので、警務隊の末端に至るまで命令を徹底された。これが前身時代含めて、初めて『末端に至るまでが職務に忠実』に動いた事例であった。これは最近は未来人に目の敵にされ、規模の縮小と人員削減が大規模に行われ、未来人の旅行者からは『軍国主義の権化』、『悪の枢軸』とさえ罵声を浴びる始末であった憲兵の名誉回復の機会と、上層部が躍起になったからでもあった。


――特に未来人のユーラシア大陸極東部在住の人間(旧・中国や朝鮮半島在住経験者など)からは「一族郎党の恨み!!」とばかりに集団リンチされる、家族共々に無残に惨殺されるなどの被害が数年の内に続出し、連邦軍の憲兵が逆に扶桑軍憲兵を警護する事態にまで悪化した。そこで組織を自衛隊や国防軍時代の『警務隊』に刷新する事で自らの防衛を図ったというのが正解だった。警務隊は前身時代から大きく人員は削減されたが、平均年齢は大きく若返った。古参の幹部級が公職追放なり、自主除隊で数を減らし、連邦軍による研修を受けた新進気鋭の者たちがその中枢を担い始めたからだ。それ故、警務隊は以前よりも遥かに『安心できる』組織となっていた



――更に数時間後

「黒江中佐、警務隊が中島少尉を無事に保護したと通達が来ました」

「そりゃ良かった。どこに居たんだ?」

「えーと、麻布だそうです。幸いにも、この世界の彼女当人は休暇だったそうなので、すぐに保護できたそうです」

「天姫のほうは?」

「まだ発見出来ていないと」

「そうだ、榛名、奴さんに宮藤の実家付近も探させろ!天姫は宮藤の家にやたら落っこちる癖がある!この二年で5回もあった!そうだ、あんまり落っこちるから忘れてた!意外な盲点だよ!」

天姫はやたらと芳佳の家付近で落っこちる癖があり、その内の何回かは自らも立ち会っている。最初の時には、あまりにも無様だったため、呆れたものだと黒江は言う。回を重ねるごとに慣れてしまい、『なんで宮藤の家に落っこちるんだ、お前』と突っ込んだこともある。(もっとも、黒江が芳佳と出会うきっかけもジェットストライカーの不調だったりするが)

「わかりました!」

榛名がそれを警務隊に伝えた10分後、芳佳の実家で伸びていた天姫が保護されたのだった。




――この次元震の正体は、かつて仮面ライダーBLACKに倒されたゴルゴム創世王の魂が復活し、その力で別次元のシャドームーン(素体は月影信彦と呼ばれる男)と融合した事で、悪の念が付近の次元に放たれた事が原因であると、RX=南光太郎から一報が入ったのはそれからすぐだった。

「何ですって、ゴルゴム創世王が!?」

「そうだ。奴は、俺に『人間の心に悪がある限り甦る』という呪詛の言葉を残した。その通りに、次元の狭間で蘇ったんだろう。奴が元はブラック・サンだったのか、シャドームーンだったのかはわからんが、奴の執念は恐ろしい」


創世王は伊達に5万年もの月日を支配してきたわけではなく、魂となった状態で別次元のシャドームーンと融合し、一体化する事で現世に舞い戻り、ゴルゴム再興を目論んでいる。それをキングストーンを通して、幻視した光太郎は不吉な予感を感じ、ウィッチ世界に来訪し、時空管理局の調査に加わっていた。そこから連絡してきたのだ。

「打つ手はあるんですか?」

「奴が蘇ったとしても、俺たちがなんとしても倒す。奴が『闇』になるなら、俺たちは『光』だ。この世に光がある限り、俺たち仮面ライダーは不滅だ」

光太郎は『俺たち』という表現を使った。それは『仮面ライダー11号』であるという自覚からの言葉だった。光太郎は既にゴルゴム、クライシスを倒した歴戦の勇者だ。その事もあり、光太郎を心から信じている節が黒江にはあった。

「そっちに直につく。城先輩や筑波先輩も一緒だ。その時に改めて話をしよう」

光太郎はそう言って、電話を切る。ゴルゴム世紀王という宿命を背負う光太郎にとって、創世王は親友との戦いの元凶だ。いつも以上に闘志を感じさせる光太郎を心配する黒江だった。



――光太郎達が黒江のいる隊舎についたのは、その日の夕方だった。彼らの口から聞かされたのは、ゴルゴム創世王の次元すら超える野望だった。

「奴は次元世界そのものの支配を目論んでいる。烈風丸の邪念が増幅され、バケモノを生み出したのも奴の仕業だ」

「そんな事が可能なんですか?」

「創世王つーのは神に等しい力を持つ。それも過去に『太陽の石』、『月の石』の二つを融合させた超エネルギーを自由に行使できた立場だ。次元を超えて影響を与えるなんぞ、ガキの遊びと同じだ」

「奴はその気になれば、キングストーンフラッシュ一発で、銀河を複数砕けるほどの力を持つ。単純にどつき合いしても、RXと同等、あるいはそれ以上かもしれん。光太郎と言えども、単独では危険だ」

創世王の脅威を話す茂=ストロンガー、洋=スカイライダー、RX=光太郎。彼らをして、そこまで言わしめる創世王の強大さ。彼らの戦いに協力し、彼らと共に在りたいと願ったのも聖闘士になった理由の一つであるため、黒江Aは真剣に話を聞いていた。

「なあに、そんな顔すんな。創世王が蘇っても、俺たちが手出しさせねーよ」

「そうさ。俺たちは『仮面ライダー』さ」

「人々に光がある限り、俺たちは死なん。だから大丈夫さ、綾ちゃん」

「う、うん……」

黒江の不安そうな顔に、三人はそれぞれ言葉をかける。彼らの前では、黒江も一人の『少女』(外見上)に戻るのだ。それをドア越しに見る坂本Bと竹井B。

「初めて見たぞ……あいつのあんな表情」

「あの人にもいるって事よ。『慕ってる人』っていうのは。少なくともこの世界では、ね」

「私達にとっての先生のようなものか……」

「うふふ、立ち聞きは関心しませんよ?」

「は、榛名さん」

「言わないであげますよ。この事は。あの人達は中佐にとっては『頼れるお兄さん』のような人たちですから」

榛名はそれだけいうと、その場を立ち去る。事情を知った坂本達も、その場を去る。三人ライダーは『頼られる』立場にいる事が多い黒江にとっての『頼りたい時にすがりつけるお兄さん』なのだ。この時、坂本Bと竹井Bは彼らの存在が黒江Aの心の拠り所であることを悟ったのだった。



――彼らの力は意外に早くお披露目となった。創世王がゴルゴムやクライシスの歴代怪人を獣性の強い状態で蘇生させ、ウィッチ世界の扶桑に送り込んだからだった。

「思ったより早かったな」

城茂は、隊舎に迫るゴルゴム怪人とクライシスの怪魔獣人との混声部隊を視認するなり、そう漏らす。

「クライシスの怪魔獣人までいますよ、先輩」

「創世王なら、組織の垣根は気にしねえだろ。さて、あいつらの前だ。ちっとはかっこいい所見せねーとな」

茂が先陣を切る。手袋を脱ぎ捨て、腕のコイルを一定のポーズを取りながらこすり合わせる。

『変んん身ッ!ストロンガー!!』

次いで、洋が風を巻き起こしながら一定のポーズを取りながら変身する。

『スカァイ変……身!!』

最後は光太郎。独特の変身ポーズを取り、サンライザーを起動させ、RXに変身する。

「変ッ……身ッ!」

三人ライダーが見得を決める。見得を決めるあたり、彼らが『日本人』であることが暗示される。黒江Aや艦娘達が歓声を挙げる中、三人ライダーは敢然と、再生怪人軍団に立ち向かった。

『天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!悪を倒せと俺を呼ぶ!俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!』

怪人を蹴散らしながら、おなじみの決め台詞を多少省略して言い放つストロンガー。ストロンガーは歴代の中でもパワーファイターである。茂がアメフト選手だったのもあり、7人ライダーの切り込み隊長を自負する。それは相変わらずだった。

『エレクトロウォーターフォール!』

周囲に電気を放電し、瞬く間に怪人を焼き殺す。改造電気人間の面目躍如である。

『エレクトロサンダー!!』

落雷も自由にでき、戦略級の広範囲攻撃が出来るストロンガーならではの戦闘と言えた。それと徒手空拳を織り交ぜて戦うのが彼のファイトスタイルである。襲いかかる怪人らを回し蹴り、正拳突きの連打、手刀、飛び蹴りなどで薙ぎ倒す正統派の戦い方から、歴代の中でも、人々に人気が高いのだ。


『スカァァイドリル!!』

スカイライダーは徒手空拳主体で戦う。後世にライダーブレイクが有名だが、彼自体はむしろプロレス技を用いる事も多いファイトファイトスタイルの持ち主だ。回転させた拳で怪人を貫き、更に別の怪人を持ち上げ、空高く舞い上がる。

『99の技の一つ!!三点ドロォォップ!』

跳躍が最高点に到達したのを見計らい、敵をえび反りの状態にし、相手の両手両足をそれぞれ掴み、前に押し出すように背中を足で押さえつけ、重力加速度とスカイライダーの飛行速度とを合わせて、地面に一気に叩きつける技である。スカイライダーはパワーアップ後、このようなプロレス系技を習得しており、意外と残酷かつエグい技を持っているのだ。


「トゥア!!」

RXは他のライダーにはない、フォームチェンジ能力を持つ。通常のRXの状態でも充分に強いのだが、これらのフォームチェンジを状況に応じて使用する事で、変幻自在の戦闘を見せるのだ。

――ゴルゴム怪人の一体が突進してくるも、RXは体をゲル化させて回避し、次の瞬間にはバイオライダーとなっている。

『俺は怒りの王子!!RX・バイオッライダー!!』

バイオライダーとなり、ゲル化の状態で襲いかかる『バイオアタック』を広範囲に仕掛けた直後、サイ怪人にバイオブレードを見舞う。

『バイオブレード!!』

バイオブレードにエネルギーを充填し、一瞬の内に縦一文字に斬り上げる。それは既に聖闘士となった黒江よりも更に速く、『神の領域』と言ってよかった。バイオライダーは、バイオブレードを片手に大立ち回りを演じる。

「あの三人……強いな」

坂本Bは榛名の護衛を受けながら、戦いを見つめる。自分たちが正義の味方と宣言し、それ相応の強さを見せる三人に眩しさを感じたようだ。

「あの三人はある時を境に、戦いを宿命にされたた『戦士』です。どのような形であれ、その体を改造されて異形となっても、『人々を守るために命を賭ける』のです。『遥かなる愛に賭けて』……」

榛名は以前に、筑波洋が彼女に言った言葉を引き合いに出して、仮面ライダー達の高潔さを説く。見も知らぬ世界、縁もゆかりもない世界のために命を投げ出せる覚悟を持つ彼らの精神は、艦娘達にも、ウィッチ達にも、魔導師達にも、軍人達にも強く影響を与えていたのだ。



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