短編『ジェノサイド・ソウ・ヘブン』
(ドラえもん×多重クロス)



――西暦2000年――

「別の世界から来てる子らから、『年表とかないのか』とかよく言われるんだが、大まかな流れを把握しにくいし、暦のズレが有る世界の接続が有るから、世紀王の光太郎しか正確には知らないんじゃないか?」

休憩時間中、沖一也は調にそう告げる。一也もその方面は専門ではなく、本郷も研究途中の分野であるからだ。

「大まかに整理すると、2199年から一年くらいがメカトピア戦役、その一年後にベガ星連合軍の襲来、そのまた一年後にデザリアム帝国の襲来が起こるのは決まっている。メカトピア戦役から数年過去の範囲に色々とあって、10数年前が一年戦争、2130年代からの数十年は統合戦争。近年まで続いてたな、これは」

「戦争の繰り返しじゃないですか」

「統合戦争からおおよそ70年くらいは多少のクールダウン挟んで、戦争のしっぱなしだよ」

「それじゃ、他の世界とはどういう事に?」

「ここ数年の範囲で相次いで接触してるから、連邦もまだ詳しくは把握していないが、少なくとも、箒は君より『年下』にあたる世代なのは分かった。恐らく2020年は超えているだろう。君はちょうど、美琴の数年後輩になる計算になるな」

「すると、美琴さんは?」

「君が10歳の時に14歳だから、君が小学校一年の時に小学校五年になっている事になる。なのはちゃんはその美琴ちゃんの更に先輩だよ」

一也は整理して説明していく。実際の生年月日では昭和生まれののび太たち>なのは>調>箒の順になると。つまり、先輩風を吹かせている箒は本当の生年月日の観念で言えば、のび太の子供世代でいいくらい離れており、自分とも10年は離れている可能性がある事を悟った調。出会った時点の年齢で考えれば逆転するが、それもまた、時間と次元を跳躍できるようになって初めて成立する関係である。

「うーん……なのはさん、この頃生まれてたかなぁ?」

「小学校から携帯持っていたと聞いたから、2005、6年の時に10代前半になる世代だ。この頃はまだ幼稚園か保育園児だよ」

「今年に私と切ちゃんが生まれるはずだから……、マリアやセレナは、学校に行くか行かないかくらいか」

計算すると、あの二人もまだ就学児童であるか怪しい時代だ。付け加えるように、一也が言う。

「俺が改造されたのは1980年。その時点で27歳だから、俺は1953年生まれになる」

「え!?」

「俺は50年代生まれで、10人じゃ若いほうなんだ。本郷さんと一文字さんなんて、終戦世代だよ」

「……たしかに、70年代初頭の20代半ばくらいは終戦世代だったような……」

「風見さんでちょうど50年の端午の節句。結城さん、神さん、アマゾンさん、城先輩、俺はその当たりが生まれた時代だ」

風見〜茂の5人と一也は50年代初期に生まれ、洋と村雨が50年代後期に生を受けている。そのため、ライダー間でもジェネレーションギャップはある。RXやRXの後輩の二人のネオライダーは23世紀の人間であるので、バダンもネオライダーらの出現はイレギュラーであったのが分かる。10人ライダーと異質の技術で改造されている三人だが、その力は強大で、彼らの力で前史の記憶を持った彼ら仮面ライダー。

「俺達が前史の記憶に目覚めたのは、光太郎と耕司のおかげだ。あの二人が記憶持ちって分かった時の綾ちゃんの喜びようは、それはもう。君の姿で、光太郎に抱きついてたよ」

「えぇええ〜!?」

「ああ見えて欧米ナイズされてるからな、あの子。で、その日は城先輩の店で寝泊まりしてたよ。君のその姿だと動きやすいとかで」

「な、なっ、なっ……」

顔から湯気を吹き出し、茹でダコになる調。黒江が自分の姿を使っているのは知っているが、自分より明るめに振る舞っているのが恥ずかしそうである。

「確か、その時の写真もらったな。あ、これだこれ」

「師匠、私の姿で羽目外しすぎですよぉ〜〜…」

写真の日付はデザリアム戦役勃発の4ヶ月ほど前になっている。普段着姿でニューマシンの『ネオサイクロン』の組み立てを行っている茂、ネオサイクロンに寄りかかって、嬉しそうにピースサインを決めるシュルシャガナのギア姿の黒江。見かけ相応の少女らしさを見せていると言えるが、自分の姿で鼻を鳴らしてピースサインを決めるというのは、子供っぽい感じがしたらしく、茹でダコ状態の調。自分より10cm近く高い(調自身も背丈は伸びたが、まだ156cmである)ので、ネオサイクロンと並んでも絵になる。

「いや、NASAにいた時、アメリカ軍出身の宇宙飛行士と話した事あるけど、はしゃぐと5歳児だよ?」

「!?」

「人間、そんなものさ。綾ちゃんの態度は欧米だと当たり前だから、俺達は気にならないよ。世界を守ってるからね」

仮面ライダー達は国際派なため、ハグなどの文化も受け入れているが、調は古代ベルカという風習がドイツに近い、厳格な雰囲気の国で10年過ごした名残か、黒江の大胆さにど胆を抜かれたらしい。

「うーん……古代ベルカにいたせいかなぁ?」

「なのはちゃんから聞いたが、その国はドイツ風の国だったそうだね」

「はい」

「ドイツ系ならハグはあるはずだが?」

「うーん。周囲の目を気にしてたのかなぁ、オリヴィエ……」

調は最後のゆりかごの聖王に親しい立場にいた。そのため、ベルカの滅亡後に大国にのし上がったミッドチルダを快く思ってはいないが、動乱で主のクローンであるヴィヴィオが利用された事には激しく怒り、『私がいれば、シュルシャガナで切り刻んであげたのに…』と述べているので、ミッドチルダという世界は好かないが、ヴィヴィオを守るためなら、時空管理局に協力すると明言している。時空管理局は実質、動乱で『アース』(未来世界の地球)に技術力、科学力、そして軍事力などあらゆる面において遅れを取り、動乱では機動六課以外は蚊帳の外状態、それもグランウィッチたるなのは、フェイト、スバル、ティアナとヴォルケンリッターの前線メンバーのみが最前線で戦えたという事実、首都陥落によりその権威は地に落ちていた。外殻が無傷でも、中枢となる首都星の動乱を独力で鎮圧出来なかったという事実は時空管理局の権威を損ねるのには充分。改革派が地球の援助のもとで徹底抗戦した事もあって、地球は実質的にミッドチルダを影響下とした。最高評議会も地上本部トップもいなくなった時空管理局を統制するため、親地球派であるハラオウン一族を暫定的なトップに添えた。混乱したミッドチルダを統制できる人材がハラオウン親子以外に、非主流派であった改革派をまとめる局員がハラオウン親子以外にいなかったからだ。以後の管理局は地球の援助でバダンと対峙してゆく事になる。

「あの、ミッドチルダで動乱が起こったのは、未来世界でどのあたりなんですか?」

「メカトピア戦役が終わって、ベガ星連合軍と数ヶ月交戦したあたりだ。管理局は組織が保てただけでも奇跡だよ」

「終わったんですか?」

「正確には休戦だ。管理局にはまともな歩兵兵力が無いから、百戦錬磨のドイツ軍と大会戦出来るだけの余力が残ってなかったからね。それに、敵に神闘士もいたしな」

神闘士と人外の巣窟である精鋭部隊を抱えたナチスと交渉のテーブルにつくことを余儀なくされた連邦の全権代表『インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング』(インテグラ)は『今日ほど腸が煮えくり返るような日はあるまい。よりによって、我が英国(大英帝国)が大昔に屈伏させた鉄十字(アイアンクロス)の敗残兵共と交渉をせねばならんとは』と愚痴ったという。バダンにはジュドの器候補と目される『仮面ライダー三号』が控えており、当時の段階ではフェイトがグランウィッチとして覚醒したばかりであった事が判断材料となった。いくらアーカードが最強のアンデッドであろうとも、バチカンがアンデルセン神父を送り込もうとも、流石に神闘士相手では、戦いの余波でミッドチルダが灰になる危険が大だったからだ。市街地の保全を鑑みた政府の判断であったため、インテグラを含む現場単位ではかなり不満が大きかった。しかし、実際、ミッドチルダの治安は『世紀末状態』一歩手前と言って良いほど混沌とした状況に堕ちており、フェイトはGウィッチへの覚醒に前後して、エリオとキャロを強引に別世界へ疎開させているほどであった。そのため、ヴィヴィオのパートナーとなる星の生まれであるアインハルト・ストラトス(ベルカ時代のクラウス・G・S・イングヴァルトの末裔)はそんな混沌とした状況に身を置くこととなったので、性格が他世界より悲壮感と苛烈さを纏ったものになっており、敵を求めて彷徨っていたりする。(クラウス・G・S・イングヴァルトと面識があった調が見つければ、彼の末裔と判別して、止めようとするだろう)

「少なくとも動乱の間に、綾ちゃんらの世界では44年から45年になって半年が過ぎている。お互いに流れる時間が違うから、時差が生じる。だから、綾ちゃん達は未来世界に住居を移して、現地滞在の必要がある時は芳佳ちゃんの家に下宿しているのさ」

「時差ですか」

「ああ。平行世界間の移動だと、遠いほど時差がある。綾ちゃんの世界は遠くてね。平均で5日から一週間ほどの時差が生じるんだ。だから、一回で多くの物資を運ぶ必要があるんだ」

「なるほど……」

「後で、君のタブレットに詳しいデータを送るよ。その辺は俺達も纏めてる最中でね」

一也の言う通り、仮面ライダーらもデザリアム戦役に至るまでの歴史の流れは大まかに把握したが、細かい部分はまだである。その辺りは今回で初めて、黒江らの仲間に加わった調と似たようなものだった。少なくとも、2130年代には統合戦争があり、2199年から十数年近く前に一年戦争、その数年後にデラーズフリートの蜂起、ギガノス戦争が連続で起こり、更に数年でグリプス戦役からザンスカール戦争までが間髪入れずに起こり、ガミラス/ゼントラーディ戦役、ガトランティス戦役が起こり、メカトピア戦役へと至るのが大まかな未来世界の歴史の流れだ。細かい部分は把握してはいないが、これから第三次ネオ・ジオン戦争/デザリアム戦役を控えている事から、戦乱期であるのは確かだ。

「どうして、こんなに戦争が?」

「21世紀半ばほどの時空融合現象の名残りと判明したよ。この世界が取り込んだ幾つもの世界で起きるはずの出来事が22世紀の終わりから23世紀の初頭に流れ込む形で出現していっている。それとドラえもんらがずらしたメカトピアの襲来も。ドラえもん達はそれに責任を感じている。特にしずかちゃんがね」

「確か、歴史を変えたのを見届けたのは……!」

「そう。彼女が証人だ。その分、未来世界の人々に辛苦を強いる事になったことを気に病んでいる。未来世界の人々は彼女の行為を受け入れてくれているが、数百年後の人々に戦争という辛苦を強いる事になった選択は正しかったのかと、ね。その気持ちはよく分かる。俺達も、多くが自分らの戦うこともない世を望んでいたからな。だが、本郷さんは言った。『時代が望む限り、仮面ライダーは不滅だ』と。それが平和を守り、世の邪を払い、人々の嘆きに手を差し出す俺達の宿命なんだろう」

「私も、正義ってなんだろう、偽善と正義は違うの?って考えた事があるんです。古代ベルカで戦ってて、姿が師匠の姿だった時のことですけど、ある人が最善と信じた方法はある人にとっての不幸にもなる……。古代ベルカは滅びましたから、後になって考えてみると」

「が、ベルカが滅んだ後にミッドチルダが台頭しなければ、次元世界は混乱したままだったさ。なのはちゃんもフェイトちゃんも管理局の瓦解そのものは望んではいない。秩序が壊れれば、立て直すのに長い年月がかかる。ミッドチルダが秩序を立て直すのに40年はかけたように」

一也の言うように、一度築き上げた秩序を壊して新たな秩序を作り、それを安定させるには、壊す時の数倍の労力と時間を要する。かつてのエゥーゴが地球連邦政府を全面否定せず、『地球連邦内の反政権派』という体裁であったのも、それが理由だ。なのはとフェイトは、メカトピア戦役とその後のジオン残党狩りで地球人としてのアイデンティティを固め、帰還後は管理局内の改革・反政権派の中心人物となっている。なのはが高校に行ったのは、元の世界での世間体を意識しての事で、動乱直後には自分の世界での自衛隊に志願しており、受験の際には黒江から色々と裏ワザを仕込まれた後、防大に入校した。そのため、なのはは地球連邦軍/管理局/自衛隊の三つの組織に属した事になる。しかも別々の世界で。自分の世界は次元世界間の交流がないので、年齢相応の階級だが、地球連邦軍などでは少佐相当である。黒江のように、交流が出来た後に数回のすり合わせが行われ、元来の所属先と同様の待遇、更に叙爵の通達で華族としての礼を受けられたのは特殊なケースだ。(黒江が叙爵された事が通達された事で、ドラえもん世界の21世紀日本の防衛省は大慌てだった。昭和期に、国家功労者が新規に華族となるのは、大日本帝国では稀なケースだったため)

「そうなんですか」

「ああ。……本郷さんから通信だ。21世紀で防衛省が慌ててるようだ。綾ちゃんが叙爵された事が通達されたんだが、戦後日本じゃ欧州みたいな一代貴族も想定外だしな」

「一代貴族?」

「欧州の功績のある俳優とか女優が一代限りの貴族になったってニュースがあるだろ?それだよ。綾ちゃんの場合は国家功労者の上、永世華族の新陳代謝を求めてた天皇陛下の要望で永世華族に列せられたんだが、元々、華族って存在が太平洋戦争で消えてた日本にとっては想定外も想定外ってわけ」

「というと?」

「連邦を組んだとは言え、元は別の国であることには変わりはないからね。外国の貴族が来た時の礼遇を参考にするしか無いだろうが、綾ちゃんは軍人だしな」

扶桑では、太平洋戦争前、黒江を始めとした扶桑海事変以来の国家功労者に叙爵する事が急ピッチで行われており、華族の礼遇を新たに受ける事になったグランウィッチは多い。黒江と赤松は、日本自衛隊に隊籍が国交成立前から存在していたため、扶桑からの『黒江と赤松は叙爵したからよっろぴく☆〜』(意訳)の通達に防衛省が大慌てしたのだ。

「恐らく、自衛隊の隊員としては叙爵に効力はないだろうが、下手な待遇は出来なくなるだろう。野党が政権を取った時みたいに『一箇所に集めて監視する』、統合幕僚監部の要員になれないとか」

「なんですか、それ」

「生え抜きの旧軍人が自衛隊の幕僚関係の要職に就くのを、野党の議員や警察出身者が嫌ったんだ。創設期のことは誰も覚えてないしね」

革新政権時代、自衛隊で佐官に出世し始めた扶桑軍人出身者達が、やがて統合幕僚監部の要員になることを防衛省の背広組(警察系など)は異常に警戒し、当時の首相を説得し、生え抜き自衛官と自分らで統合幕僚監部の要員を固めた。だが、その露骨な冷遇は、2010年頃の合同演習(扶桑軍参謀級などが図演の敵方を取り仕切った)の自衛隊の防衛失敗の図演結果により終焉を迎える。図演に参加した者には、史実太平洋戦争での同位体の失敗を徹底的に研究した者が大勢おり、そこに地球連邦軍の再教育が+されたため、自衛隊の動きは尽く裏をかかれた。元々、扶桑の参謀達は超難関である陸士/海兵を合格できる頭脳はあるので、きちんとした用兵を覚えれば、アメリカ軍に遜色ない戦略が立てられる。特に参加者は前線を仕切っていた者達であったので、自衛隊の動きをすぐに見切れたのだ。警察出身者は『自衛隊始まって以来の屈辱』と憤激したが、生え抜き自衛官は『実戦経験がない俺達が、百戦錬磨の旧軍、しかも史実でアメリカに評価された優秀格の参謀達に勝てるかよ』と冷静だったという。

「それと、綾ちゃんが海自と合同で広報の仕事に出たそうだが、その時にレイテ沖海戦の作戦立てた事で有名な神がかり参謀さんが来たから、参加してた大和が露骨に不機嫌になって、大変だったらしい。参謀、いじけたらしいよ」

「あー、もしかしてその参謀って、あの」

「うむ。その参謀」

調も黒江との共有記憶から、神重徳参謀のことを知っていた。そのためか、呆れたようだ。


――大和が不機嫌になったのは、神重徳参謀が発案した天一号作戦と捷一号作戦の事が原因で、大和はそのネガティブな記憶から、彼を露骨に敵視し、同席していた多摩に『多摩パンチ』を食らい、叱責された。その上でこのように諭された。

『これでも食べながら聞いてほしいにゃ』

『なんですか?』

半ギレの大和。そんな大和に、多摩は水饅頭に山盛りの砂糖を差し出す。

『アレは一応別人にゃ、頭ごなしに嫌ってたら改善出来ないし、本人落ち込んでるにゃ。 様子を見て、成長を待とうにゃ』

『多摩さんに免じて、この場は引き下がります。だけど、今度突っ込ませようとしたら、46cmショックカノンで消炭にしますからね』

『わ、分かった』

いじける神参謀を庇った多摩。彼は『彼女』の艦長経験者だったからだ。多摩は彼の命の恩人であり、以後、多摩は彼の良き相談役として振る舞うのであった。これを聞いた黒江はGウィッチの会合で『ウィッチから言われても反発が強そうだし、艦娘の事は艦娘に任せた方が良さそうだな、『関係者』もいるようだしよ』と切り出し、艦娘の統制を金剛と長門、陸奥に一任するのだった――

「それで?」

「綾ちゃんは会合で金剛、長門、陸奥に艦娘の統制を委ねるのを切り出して、会合もそれを決議したそうだ。で、大和は長門にお叱りを受けて、伊勢から一週間、アイス抜きの刑を言い渡された。戦艦じゃ末席だからね、大和は」

本郷から一也に伝えられたのは以上だった。大和は長門から『艦としての記憶で、彼を敵視するのは理解できるが、彼は『別人』だ。そのところを弁えろ。いいな?』とお叱りを受け、慰め役の伊勢からは子供扱いであったというが、艦歴を考えると当然だった。

「なんだか不思議な感じがします。船の化身なんて」

「スーパーロボットだって化身が生まれるんだ。船は古いほうさ。それに日本はなんでも神になれる文化があるからね」

「あ、アメリカとベルカ暮らしが長かったもので」

「なるほど」

調はアメリカ政府の手でアメリカに幼少の頃に連れて行かれ、アメリカ暮らしが長かった上、成り代わりの影響で10年を古代ベルカで過ごしたため、その辺りの考えは西洋人に近かった。そのため、ロボットガールズや艦娘たちの事は、黒江との共有記憶を抜きに考えた場合、不思議なようだ。

「さて、そろそろ再開しよう。この山を三周して走り込みだ。もちろん、そいつのローラーと、ギミックを使った一輪バイクはなしで」

「はい。師匠からもトレーニングの時はなるべくギアのギミックは使うなって言われてますから」

一也と共に、裏山の走り込みを始める調。裏山は小さいので、一也と調の速力なら、それほど時間をかけずに一周できるが、それを複数回繰り返す事で、足腰を鍛える。一也は目隠しして相手と組手を行うトレーニングも玄海老師存命中に課せられた事があるので、修行の姿勢は古風である。走り込みの後、一也にそのトレーニングを課せられたが、小宇宙で六感が研ぎ澄まされ、第七感の片鱗も覗かせていたので、スムーズに組手を行ってみせた。が、元々の体力は低い方だったため、午後4時を迎える頃にはバテバテとなり、一也がVジェットで野比家に送り届けたという。以後、調は赤心少林拳の心得を得ていく事となり、沖一也とも師弟関係となるのであった。



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