短編『プリキュア、スーパーロボット大決戦8』
(ドラえもん×多重クロス)



――プリキュアオールスターズ戦にて――

「クソ、奴ら、雲霞のように戦闘機を出して来やがる!轟天、機動兵器の調整はまだ終わらんのか!!」

テレパシー能力で、轟天のクルーに催促をする黒江(外見はキュアドリーム)だが、黒田が返事を返す。

「隊長のF91が終わって、出したばっかで、とても他のは……急がせてますけど、整備班は五時間は欲しいと」

「そんなに味方の戦線が持つか!急がせろ!整備班のケツをぶっ叩いても構わん!」

如何にスーパーロボットがいようと、相手が雲霞の如くいるのでは、機体はともかく、パイロットが持たない。黒江はテレパシーで黒田に怒鳴ると、自身も闘技でデーモン族の首を跳ね飛ばす。

『喰らえ、超電子!!ドリルキィィィクッ!!』

キュアドリームの姿になっていようと、戦闘になれば、アクセル全開である黒江は『超電子ドリルキック』を行い、デーモン族の集団の首を跳ね飛ばす。ドリルの如き高速回転で相手を穿ち、首が当たりどころならば、容易に跳ね飛ばす。元々は仮面ライダーストロンガーの技だが、黒江はその会得に成功していた。

「すごい…。口は悪いのに、あんなバケモノ集団に、ちっともびびらないなんて」

キュアマリンはドリームの戦法に呆然とさせられる。(中身は別人だが)要は飛び蹴りだが、ドリルのような高速回転をしつつ、足に電気エネルギーを纏わせて『穿つ』。浄化が主な仕事であるプリキュアのやることとは思えない。更に、手持ち武器が明らかに『プリキュアが持つべきもの』ではない。

「フェリーチェ、あれのチャージを始めろ!露払いは俺たちでやる!!」

「頼みます!!」

『行け、風王結界!!』

黒江は山羊座の聖闘士であるため、れっきとした聖剣持ちである。そのため、アルトリア・ペンドラゴンが使った攻撃を当然ながら『使える』のだ。風王結界を開放し、デーモン族を暴風でもみくちゃにして、遠心力で千切り倒す。聖剣を再構築し、風を纏わせている時の一度きりだが、それなりの威力にはなる。黒江は風属性ではないので、アルトリア・ペンドラゴンのそれよりは劣るが、デーモン族を倒すだけの威力は出せている。

『あたしも!!そぉぉえぇーんざぁーーんっ!!』

キュアピーチになっている智子も『双炎斬』を放つが、その矢先に、百鬼帝国の『メカ要塞鬼』の一機が上空から垂直降下をしてくる。

「まずい!!あいつ、突っ込むつもりだ!!」

「こっちは技のインターバル中よ!?」

二人が技を撃てないインターバルタイムにある事を知ったブロッサムとマリンが咄嗟に技を撃とうとするが、力の根源を奪われた状態では、技のチャージすら出来なかった。これは他の多くのプリキュアも同じ。その対象外であるビートが『ハートフル・ビートロック』、スカーレットが『スカーレットフレイム』を放つが、メカ要塞鬼は止められない。

「クソ、止められない!!」

「ラブリー、ラブリービームを!」

「駄目、その隙が…!」

「こっちも!」

ラブリーとハートも敵との交戦で手一杯であり、技を撃つ余裕がない。この間、僅かに数秒。ヒーロー達も敵との交戦で手一杯であり、万事休すかと思われたが。要塞鬼を一筋の『青い螺旋状の閃光』が貫き、爆散させる。

「今の閃光は……」

「ショックカノンですわよ!?」

「援軍か!?」

黒江達も予想外の援軍がワープで上空に現れる。その援軍とは。

「だ、第七艦隊!?しかもまるごとか!?」

上空に現れたのは、地球連邦軍の太陽系連合艦隊。それも、艦隊の編成替えで解散予定の『第七艦隊』であった。構成艦はすべてがタキオン波動エンジン搭載の恒星間航行艦。政治的問題がガイア(反地球)との間に起きなければ、デザリアム戦役後も太陽系連合艦隊の旗艦を務めていたであろう超弩級戦艦にして、悲運の新鋭艦と渾名される『アンドロメダ』の正統な後継『しゅんらん』。64Fへの引き渡し予定(当時)であったが、ドラえもんとのび太の地球連邦軍への通報により、配下の艦隊を率いて。颯爽と飛来したのだ。







――正確にいえば、地球連邦軍の波動エンジン艦で構成される『太陽系連合艦隊』、俗称:アースフリートの編成は太陽系外周艦隊、一年戦争中の連邦軍の編成にあった『衛星軌道艦隊』を改編した『地球本星防衛艦隊』の他に、『内惑星防衛艦隊』、『外惑星防衛艦隊』、『太陽系外周艦隊』が存在する。そのうちの遠征などでの主力であるのが『太陽系外周艦隊』である。そのうちの第七艦隊が『しゅんらん』率いる艦隊で、政治的問題が起きなければ、しゅんらんは連合艦隊の総旗艦へ繰り上がる予定であった。アンドロメダの後継ぎであるための措置でもあった――

『轟天へ。我が第七艦隊は、これより君等に加勢する』

山南修提督は、64Fの母艦『轟天』へ短い通信を送ると、全艦に戦闘態勢を下令。空母からは、VF-19FやS型、コスモタイガー、ブラックタイガーなどの戦闘機隊、ジェガン、ジャベリン、フリーダム、ジェイブス、リゼルC型、Zプラス各型などの人型機動兵器が一斉に発進し、戦闘艦の砲塔が稼働し、仰角を整える。

『各艦、斉射三秒!その後に戦闘機隊は突撃!!プリキュア達の頭上を守ってやれ!』

第七艦隊が前進しながら、全艦が左右に砲塔を振りかざし、各個に射撃を敢行する。ガトランティス戦役で土方竜が行った『突撃戦法』である。波動エンジン艦の登場以後の地球連邦軍の特に強力な艦隊、それを率いる日本人や英国系の提督の間で遂行される『おなじみ』の戦法だが、日本人の提督が行うケースのほうが戦史に残る大海戦の場合が多いため、デザリアム戦役前後の時間軸の世界では『ヒジカタターン』と呼ばれており、土方竜は『取った戦法が戦史の一ページを飾る』という『提督としての最高の名誉』を飾るという、大日本帝国海軍の『東郷平八郎司令長官』以来の名誉に預かった。土方は戦死したが、彼の遺産は後輩の『山南修』へ継承されているのである。そして、敵戦闘機を落とすため、地球連邦軍の戦闘機隊が迎え撃つ。

「おのれ、山南め!!アンドロメダの改良型を引っ張り出してくるとは!!」

威風堂々と飛行するしゅんらんを睨みつつ、悔しさ爆発の表情のあしゅら男爵。ワナワナと震え、震え声のみっともなさをさらけ出している。それに対し、ブライ大帝は。

「フハハ。これも一興というものよ、あしゅら男爵。……山南よ、見せてもらおうではないか、今は亡きアンドロメダの忘れ形見の力を…」

地球連邦軍の将兵の名をばっちり記憶しているブライ大帝。恐竜帝国の帝王ゴールがいささかの小物感漂う、粗暴な言動(しかも、世界線によっては、恐竜帝国には彼の上位者が君臨する)であったのに対し、鬼を束ねてきた故の風格が備わっている。元が『うだつの上がらない、ガタイがいいだけの若い学者』とは思えないほどに大物的な余裕を見せていた。

「大帝はアンドロメダをご存知で?」

「うむ…」

地球連邦軍きっての『悲劇の新鋭戦艦』という渾名がつけられた『アンドロメダ』。超ヤマト型宇宙戦艦として、華々しくデビューするも、ガトランティス戦役で無念の戦没を遂げた。ヤマトもその最期を目の当たりにしたことで『特攻』を一度は決意するほどの悲劇。ブライ大帝も元は日本人であったためか、その最期には同情しているようであった。『期待を一心に背負いつつも、母国を救えずに散った』という点では『戦艦大和』と共通しているからだろう。彼らの参陣は思わぬ福音であった。地球連邦軍の外征担当の艦隊の全戦力が援軍に加わった。これにより、物量の不利が無くなり、ほぼ互角に持ち込めたことになる。

「ドリーム、あれは……?」

「とある世界での未来の世界の地球の軍隊。その一個艦隊だ。どうやら、ダチが話を通してくれたようだ」

安堵の表情のキュアドリーム(黒江)。しゅんらん率いる第七艦隊が百鬼帝国やデーモン族の軍団と空中で激突し、ミサイル、エネルギー砲、パルスレーザーなどが入り交じる。

「艦隊……?」

戸惑うキュアブロッサム。多数の軍艦が空を飛び、戦闘を展開するというSFじみた光景は現実感に欠けるとしか思えないのだろう。

「いったい……どういうことなの、ドリーム」

キュアホワイトが駆け寄ってくる。ブラックと違い、パワーダウン状態であり、戦闘不能の状態だ。

「言えることは……この戦いは本格的に、お前らの手に負える規模じゃ無くなった。俺とピーチの事は、戦いが終わるまでは聞かないでくれるか、ホワイト。終わったら、全てを話す」

「確かに……、この状況なら仕方ないわね」

何かを察したキュアホワイト。キュアブラックと違い、そこは聡明だ。

「いいの、ほのか」

「状況的に、長話してる暇は無さそうだもの。全部が終わらないと、何が何だか分からないうちにやられかねないもの」

真剣な表情のキュアホワイト。キュアドリームとキュアピーチのことは察したようだが、それは口に出さずに、提案を了承する。

「確かに……でも、何が起こってんの!?ぶっちゃけありえないっしょ!?宇宙戦艦みたいなのが、たんまりやってくるとか!?」

困惑しまくりのキュアブラック。

「今は、あれこれ説明してる暇はないぞ、ブラック」

「あなたは…?」

「あたしはキュアハート。ブロッサムより後に生まれるはずのプリキュアの一人」

「未来のプリキュアって事…!?」

「そう。だから、あたしはレインボージュエルの加護の対象外。本当は、ここから数年くらい後にプリキュアになるはずだから」

キュアブラックの前に、パルテノンモードの姿で降り立つキュアハート。この時間軸では本来はまだ『小学生』であるはずなので、当然ながら『レインボージュエル』の対象外。しかも、そういう縛りを無視し、最強フォームのパルテノンモードを見せている。

「本当はあたしらがブラックたちを助けに来たんだけど、状況が手に負えなくなってきたって事だよ」

「そうですわ。加勢に来たはずが、状況を打開できず……後輩として、申し訳ありませんわ」

謝罪の言葉を述べる、キュアスカーレット。

「敵はそれほど強大ってことよ、ブラック」

「あなたは…?」

「キュアビート。同じく、あなたの後輩の一人よ」

「こ、後輩ーーー!?またーーー!?」

またも、素っ頓狂な声を挙げてしまうブラックだが、こればかりは本当なのだ。キュアビート、キュアスカーレット、キュアハートの三人はブラックのパニックぶりに苦笑する。自分達も現役時代に同じ状況に置かれたのなら、似たような反応をする確信があるからだ。

「と、いうわけだ」

「何か知ってるの!?ドリーム!?」

(ブラックにとって)いつになく、達観した表情のドリームに戸惑うブラック、

「知ってるさ。だが、今は長々と話をするような状況じゃない」

「!?」

ドリームの雰囲気がいつにも増して、凛々しくなっていること、両腕に持つ得物が明らかに『プリキュアが持っていいもの』ではないことに気づく。

「キュアフルーレじゃない……!?」

ブラックがそう口にした瞬間、キュアドリームの周囲に『プリキュアの力)ではない黄金色のオーラが迸る。そして、両腕で持っている剣に一筋の雷が走る。これこそが数多生まれてきた山羊座の聖闘士の『聖剣』の一つの『カタチ』。原石は同じでも、そこからの鍛え方次第で、いくらでも変わり得るもの。それは剣であろうとも同じこと。

『束ねるは星の怒り、それこそは地を奔る一閃……受けろ!!エクスカリバーァァァァ・サンダーボルト!!』

口上もアルトリア・ペンドラゴンのものとは微妙に異なるが、両手で構え、大きく振りぬいて放たれたそれは、まさしく『約束された勝利の剣』。それに違う属性である『雷』を加えた派生形。その光は『プリキュア・マーブル・スクリュー・マックス・スパーク』や『プリキュア・スパイラル・スター・スプラッシュ』をも凌ぐ閃光となり、戦場を奔った。その一連の流れに圧倒され、言葉もないキュアブラックとホワイト。ドリーム(黒江)の見たこともないほどに凛々しい表情、敵を見据え、剣を天に掲げる際の凛とした雰囲気。いくら、キュアドリームが『変身していれば、普段と別人のようにカッコよくなる』と言っても、何かが違う。それに遅まきながら気づいたキュアブラック、口ぶりから『すべてを察した』キュアホワイト。対照的な二人であった。そして、フェリーチェの技のチャージが終わる。その技とは。

「おおおおおおおっ!」

時間稼ぎが必要だが、フルチャージされたストナーサンシャインはそれ相応に威力を発揮する。大決戦においては、ブライ大帝を歓喜させるレベルのゲッター線の制御法を見せた。

「フェリーチェ、うまく当てろよ!フルチャージだから、消耗するぞ!」

「わかってます!」

フェリーチェは空間のゲッターエネルギーを圧縮し、前に包むように構えた両手の中で集束させ、エネルギー弾を生成する。プリキュア本来の攻撃ではないが、大地母神ではなくなった彼女がその後に会得した中では、最大の技の一つだ。

『ストナァァァァァ・サァァンシャイィィンッ!!!』

腕の中でもう一つの太陽を作り、爆発させるに等しい攻撃なため、威力は保証されている。ヒーロー達や黒江たちの態勢立て直しの時間を稼ぐための攻撃であるので、魅せ技に近かったが、敵の虚を突くには充分であった。地球連邦軍の第七艦隊がその間の戦闘を引き受け、MSなどで応戦する。

「避難民の収容を急がせろ。この空域は戦場になる。この世界の自衛隊などはこの事態を感知しても、動けんはずだ」

「司令、そもそも、敵が衛星を破壊しているか、妨害で確認していないかと」

 

「あり得るな。ウザーラの動きは?」

「沈黙しています」

「よし、プリキュア達を少しでも休ませろ。総力戦になるぞ、予備機も使え!」

この戦闘はヒーローユニオンと地球連邦軍の共同戦線へ移行した。この時にできた縁で、後々に呼ばれるプリキュアも数多い。黒江たちはプリキュアの姿のままながら、そのまま軍人としての職務に入り、轟天で休憩を取りつつ、愛機の一つを整備させる。そして。

「よぉ、ずいぶんと珍妙なことになったもんだな」

「忍さん。メカトピア戦の後は銀河の辺境に飛ばされたって」

「呼び戻されたんだよ。今は第七艦隊所属になってる」

「つか、プリキュアの姿になってんのに、なんで俺だって?」

「纏う雰囲気と、カンだね。あたしらはそこが異常に効くのさ」

「特に、忍と沙羅はな」

「どこにいたんです、亮さんたちは」

「サジタリウス腕の探査船団にいた。ボラー連邦やガルマン・ガミラスの勢力圏外の区域が残ってるからな、銀河には」

司馬亮の言から、獣戦機隊は藤原忍が例によって、上官を派手にぶん殴ったため、懲罰的に銀河の探査船団に飛ばされていたのが判明した。

「銀河連邦も弱まってますからね、戦乱で」

「地球連邦が地球帝国化するのを警戒して、23世紀の戦乱は座視していたらしいがな」

「でも、結局はボラー連邦の攻撃で地球連邦に泣きつくんだから、同じじゃ?」

「そこだよ。宇宙刑事ギャバンたちがいなければ、とうに銀河連邦は分裂か、崩壊してるよ」

 

地球とのハーフである宇宙刑事ギャバン、戦士シャイダーの末裔である宇宙刑事シャイダーなどがいなければ、とうに銀河連邦は消滅しているだろうとはよく言われている。そのため、バード星が度重なる不祥事の責任を取り、地球に銀河連邦の常任理事国の地位を譲った後の時代には『地球連邦の天の川銀河統治の大義名分』に使われている。

「ダンクーガはどうです」

「整備は完璧さ。強化プランも、葉月博士が二通りを考えてるそうだよ」

「マジンガーやゲッターがパワーアップしてるのに、俺たちのダンクーガが強くならねぇ理由はねぇさ」

「相変わらず、ジュドーと聞きわけできない声ですね」

「そっか?俺のほうがイケてるだろ」

「ジュドーより喧嘩っ早くて、アホなのが忍さ」

「おい、沙羅!…あのな、士官学校出てんだぞ、俺」

藤原忍は喧嘩っ早い性格が災いし、出世に縁がないものの、ちゃんと正規の士官教育を受けた将校である。威勢がいい割に喧嘩が弱めなため、ロンド・ベルの仲間内で話の種にされていたほどだ。(たいていのスーパーロボットのメインパイロットは喧嘩に強いためであるが)

「忍は、操縦技術で士官になれたようなもんさ。とはいえ、野生が強いのもあるだろうけど」

「家の政治力で改修資材をかき集めたよ。野比家とかと違って、比較的に新興だから、骨をおったけどさ」

「雅人さんち、軍需産業でしたね」

「オレが継いでからは、民需にも手を出させたけどね。軍需一本槍じゃ、今の世の中でつぶし効かないから」

式部雅人は家業を継いだものの、軍籍は残してある。軍需産業主体だが、民需にも手を広げつつあるという。

「ダンガイオーチームと組んで、宇宙海賊バンカーを叩いてたんだが、俺らに呼び出しがかかりやがってな。上の連中は勝手だぜ」

と、不機嫌な様子の忍。

「でも、どうしてまた、銀河の反対方向に?」

「忍が、ある作戦の司令官をぶん殴ってな。それで探査船団の護衛に回されたんだ。俺たちはスーパーロボットの運用部隊だから、ダンガイオーチームの援護という名目で異動させられた。半分は本当だったが」

やれやれと、ため息をつく司馬亮。地球連邦は人材不足であるので、司令官の全員が有能ではない。戦乱で淘汰されてきているが、無能な働き者というのは、どうしても出てくるものだ。

「あんたも面白い格好になったね」

「からかってる場合じゃないですって。」

「わかってるよ。今は英気を養いな。敵もそう馬鹿じゃないんだ。第七艦隊の総力とぶつかって、無傷じゃいられないのは分かってるはずだ。子供たちはどうだい?」

「みんな、パニクってます。まぁ、こんな状況だし、俺はこんななりですし」

「これが縁になることも充分にありえるから、今回の出来事は軽く見ないほうがいいよ」

「ええ」

獣戦機隊もこの戦闘に参加していた。この後、彼らは司令部の都合で(軍に正式に所属するスーパーロボットであるため)、ロンド・ベル本隊にしばらく合流できずじまいになるため、この時が貴重な共闘の機会であった。マジンガーとゲッターと比較して、『野生』以外は既存のテクノロジー中心で固められた『堅実な機体』。リアル系寄りだが、れっきとした『スーパーロボット』であるのがダンクーガなのだ。



――プリキュア勢は妖精らも含めて、轟天に回収されていた。そこで大まかな事情の説明がなされた。のぞみとラブが『入れ替わっている』事は公然の秘密であった。正式なカミングアウトは戦闘後のほうがいいという、なぎさとほのかの判断もあっての事であった。ヒーロー達と第七艦隊司令部の協議が行われており、反撃の計画が練られている。雑兵の機械獣や百鬼メカ程度なら、地球連邦の標準的な機動兵器でも戦えはするからだ――

「今回はガキどものお守りか。はて、人数が多いな」

「シャーリーの話じゃ、あれでも初期の連中しかいないらしい」

「なるほどな」

「今回は長丁場になりそうだ。エネルギーを充填しとくに越したことはないぞ」

「ウザーラとやり合うんだ。エネルギーはフルにしとかねぇとな」

スーパーロボット達も間隙を縫う形で補給を行い、パイロットの休息時間を確保する。今はシャーリーがキュアメロディとして、紅蓮聖天八極式・改で敵の軍団に立ち向かっている。量産型ゲッターGも含めた軍団にワンオフのハイエンドモデルとはいえ、MS以下の大きさのナイトメアフレームで戦うのは、勇気のいる行動である。

「シャーリーはよく戦っている。だが、ナイトメアフレームでは限界があるぞ」

「ああ。運動性はいいが、絶対火力が足りん。大介さんはどうだ?」

「ダブルスペイザーの調整が終わり次第だそうだ」

「ゴッドマーズは?」

「タケルはガイアとの外交団の護衛で、当分は戻れんそうだ。だが、バトルチームとボルテスチームが合流する」

「そうか。それでも、ブンヤの連中には『豪華』と言われるだろうよ」

この頃には、明神タケル(マーズ)はアースに定住し、ガイヤーを含む六神を戦闘の度に呼び出していることが、神隼人の口から説明される。彼は元々、更に別の地球の人間(ただし、出自は宇宙人)であったが、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンを介し、別の地球の危機を知り、立ち上がった勇者である。今回は別の任務に参加しており、参加不能であるらしい。それでも、ゴッド・マジンガー(最新鋭のマジンガーで、マジンガーZの後身でもある)、マジンエンペラーG、真ゲッタードラゴン(人型)、UFOロボグレンダイザー、コン・バトラーV、ボルテスV、ダンクーガが一堂に会するという陣容は空前の豪華さであると言える。それに加え、ヒーローユニオン側もマシンを投入する事を通達している。彼らは本格的な反撃の準備のため、補給と整備が完了するのを待つ。如何にスーパーロボットであろうと、通常は補給と整備が重要なのだ。




――第七艦隊は外征艦隊として整備されていたため、比較的に装備は優良であり、リ・ガズィなども保有していた。外征部隊では機体強度と空挺強襲がある程度は重視されている関係上、TMSが多めに配備され、ある程度の技能持ちのパイロットが配置されている。小型機は外征では、却って物理強度の不足が問題視され、更にその需要を満たすVFの高性能化もあり、ジャンルそのものが廃れ始めている。機械獣などの類はジム系用のショートバレルビームライフル程度では撃ち抜けないため、高級品の長砲身ビームライフルが重宝されている――







――プリキュアらは、いつの間にかとんでもない出来事に発展し、宇宙戦艦に乗せられ、大戦争と化していることに大いに狼狽えていた。自分らが対峙した敵は、ナチスの生き残りが絡む存在であると知らされたからだ。ある世界での第二次世界大戦で敗れた後に『大首領』の手足となり、70年代以降から暗躍してきた。しかも、自分らがオールスターズ戦で最初に戦った敵は彼らが実験的に生み出したのでは?という推測も伝えられ、第二次世界大戦の時代、下手をすれば、神話の時代からの『大首領』の世界を超える野望に図らずも巻き込まれていることはスケールの大きすぎる話だ――

「と、いうわけ。敵にはナチス・ドイツの生き残りやら、帝政ロシアの将軍(ブラック将軍)がいるわけよ。何故か、そいつらは日本を狙うと来てる」

「どうして、日本なんですか?他にもあるのに」

「彼らが忠誠を誓う存在にとっての聖地が日本列島だって推測があるわ」

 

ハニーはプリキュア勢に状況を説明する。変身している状態のままなのは、力が奪われ、再変身が困難なプリキュア達に合わせたためだ。(最強形態になっているので、そのままのほうが良かった)

「それと、今の私はアンドロイドの体に、人の霊魂が宿って生まれた存在。体は機械、心は人間ってところね」

ハニーは元々、如月博士が心血を注いで作り上げた最高傑作である。幼少のうちに夭折した娘(そもそも、一個人の記憶を一から作ることは現実的ではない)の記憶をベースに手を加えたメモリーがインプットされていた。そこに秋元まどかの姉『まどか』の霊魂が宿ったため、人格に変化が生じた状態が今のハニーだ。その兼ね合いか、パワーアップもしたためもあり、『キューティーハニーF』がヒロインとしての呼称だという。

「それじゃ、今のお姉ちゃん(キュアミント/秋元こまちの実姉がキューティーハニーに転生しているため)の体と頭脳は……」

「そう、機械よ。ただし、心は人間のまま。体が機械になっただけってだけ」

 

ハニーは超高度な機械工学と生化学技術の融合の賜物で生まれた。機械に自己意志が宿る事は日本ではよくある事(ドラえもん、アナライザーなど)だが、外国では人工知能の反乱を恐れるあまりに、その技術の根絶を狙うようになるまで先鋭化。結局はモビルドールなどが市民権を得られずに、地球連邦軍が慢性的な人材不足になる遠因となっている。

「それに、ドラえもんやアナライザーとか、完全な機械でも、自己意志が生まれる場合があるしね」

ネコ型ロボットとその派生タイプのロボットは当時でも特に高度な人工知能を持っており、経験を積み、個性を明確に持つ者も生まれていった。技術衰退後においても、アナライザーなどの例がある。

「あるんですか?」

「あるんだよ。時たまね。それに、宇宙に降り注ぐ宇宙線の中には、全ての進化を促すものもある」

「あなたは確か……キュアミューズ」

「ボクは本当は小学生として、君たちと会うんだけどね。あいにく、ボクは成人済みの状態なんだ」

キュアミューズは現役時代、史上初の小学生プリキュアであり、年相応に小柄であった。だが、転生を重ねた状態で再覚醒したため、アストルフォの姿から変身することになり、164cmの背丈を持つことになった。現役時代ののぞみ、咲、なぎさより長身である。(ただし、転生者は転生後の肉体が現役時代の容姿に変化する事もあるので、キュアメロディは現役時代より、だいぶ長身になっている)キャラは完全にアストルフォとしての飄々としたものになっているため、一人称も『ボク』である。

「全ての進化?」

「そう。たとえ無機物である機械でも」

「そんな、無機物が有機体のような変化を起こすなんて」

「その産物が、あのスーパーロボットのうちの一体さ。真ゲッタードラゴン。あれは元々、懐かしのアニメに出てきてた『ゲッターロボG』だったんだ」

写真を使い、説明する。ゲッタードラゴンが真ドラゴンへ変異したと。体躯の大きさまでも変化が生じ、全ての点で比較にならない性能へ強化されたと。そして。

「ボクの後輩のキュアフェリーチェが使った『ストナーサンシャイン』も本当は『真ゲッターロボ』の技だし、色々とボクたちは垣根を超えた存在なんだ」

フェリーチェは元来、浄化メインのプリキュアであったが、ゲッター線に身を委ねた後は『ストナーサンシャイン』、『シャインスパーク』を使用可能になり、得物もゲッタートマホーク(真ゲッターなどが使うハルバード・両刃タイプ)などを使うなど、戦闘面での『以前との共通点』は大きく薄れている。

「垣根って?」

「そうだね、ミント。一言で言うなら、何かかしらのきっかけで『理』を超えることさ。それを超えることで、存在そのものが本来の枠組では測れなくなる。ボク達もある意味じゃ『不滅』を願われた存在さ」

「どうして?」

「本来、プリキュアは代替わりが当たり前だったろ?だけど、そんな事、世間は知ったこっちゃない。いくら、『ただの学生なのに』って言ったところで、力がある時点で、大人達は『戦うことが使命だろうが』とか言うだろうし、子供達には、ボク達の存在そのものが『夢の象徴』みたいなもんなんだ。それで、その後の人生に悪影響が出た子もいるよ」

ボカしたものの、それはのぞみAのことである。のぞみAは成人後の人生が上手くいかなくなった事のトラウマが、デザリアム戦役での情緒不安定へと繋がるのである。

「だから、ボク達は難しい立場なのさ」

「まって、この船はなんなの?どうして、戦艦大和に似てるの?」

「その戦艦大和の姉妹艦が宇宙戦艦になった姿なんだよ、ウィンディ。」

「待って、戦艦大和の姉妹艦は二隻あったけれど、予定通りに戦艦になったのは……武蔵だけのはずよ!?」

「そこがややこしいんだ、アクア。この艦は武蔵じゃないし、ましてや、信濃でもない。111号艦……公式記録の上では解体されたはずの四番目が生き長らえ、どこかで保存され続けて、時代とともに改装された末の姿だよ」

「111号?」

「日本海軍の建艦予定表にあった姉妹艦の仮称さ。日本海軍は世界線にもよるけど、作ろうとしてた。多くの場合、戦争が始まったから諦められたけど、極稀に『逆転の切り札』として作られ続ける。それが戦後まで続いた世界の産物さ」

轟天は大和型の上部構造物をそのまま、宇宙戦艦の船体に乗せたような姿である。ラ號では船体に設置されていたチェーンソーなどがゲッター線テクノロジーを応用した収納式になったのもあり、準同型と位置付けられている。ただし、ラ號では46cm四連装砲であったのが『51cm三連装砲』に強化され、砲塔が増やされているなど、改良されている。最も、この場で細かい事情を言う必要はないので、ラ號のことを指す説明で済ます。いい加減なようだが、ラ號をコピーしようとしたのが計画の始まりなので、間違ってはいない。

「それを宇宙戦艦へ大改造した。手間はかかったけど、下手な量産品より高性能さ」

元々、地球連邦軍はワンオフの高性能兵器を作ることに否定的であったが、ガンダム(RX-78)や宇宙戦艦ヤマトの事例以降は、量産型の部隊に度重なる大損害があった事から、ワンオフの高性能品を少数でも持つように考えが変わり、デザリアム戦役直前の段階では、戦艦に至るまで『ワンオフの高性能さが鍵』となるに至った。間接的にはジオンのエースパイロットらのせいとも言えるため、平均的な軍備を志向する官僚からは恨み節であったが、地球が直接的に狙われる事が常態化したため、一握りのエリート部隊にばかり、最新兵器が回されるという事態が当たり前であった。その象徴が第七艦隊であり、ロンド・ベルだ。

「あとは君らに力が完全に戻るかは……希望と勝利を抱くことさ」

「どういう事?」

「この星の明日のために戦うってこと。それだけで充分でしょ?」

ミューズはそう告げる。『明日のため』と。プリキュアたちの多くは使命というモノとは思想的に縁遠いが、守らなくてはならないモノは誰でも存在するものだ。

「本来はこの時間軸じゃ、ボクとメロディはまだ、プリキュアじゃないはずだけど、こうして戦ってる。真面目に言うけど、君たちに……守らなくてはならないものはあるかい?」

プリキュアたちの戦う理由は様々である。だが、パワーソースを侵され、力を弱められた状態では、まともに戦えるはずもない。皆、怖気づくような表情だった。

『ミューズ、俺だ』

『君か。何で出るの?』

『整備が終わってたFAガンダムマークVで出る。お前も動ける機体で出ろ。総力戦だ』

『わかった』

格納庫の様子がモニターに映し出される。ガンダムマークVがカタパルトで打ち出されていくわけだが……。

「ち、ちょっとまって。頭がこんがらがってきた……」

頭を抱えるキュアベリー(蒼乃美希)。そして。

「さっきからどうなってんのよ!?何がいったい!?」

「ありえなぁ〜〜い!!」

キュアルージュ、キュアベリー、キュアブラックの三者が同時に頭を抱え、ブラックはお馴染みの台詞もつく。事を飲み込めず、戸惑いが続くキュアブロッサムとキュアマリン。この当時の新人プリキュアのはずだが、より後の後輩達がやってきたため、置いてけぼり感が否めない。

「ミューズ、何してんの!出撃だよ、出撃!」

「待った、今いく!」

キュアハートが駆け込んできて、キュアミューズを急かす。現役時代であれば、乗り物酔いに苦しむキュアハートだが、転生の関係で乗り物酔いしなくなっている。

「ちょっと待ったぁ!出撃って、どういうことよ!」

「ツッコミは後にしてくださいよ、りんさん!こちとら、急いでるんですよ!!」

キュアハートが言い返すが、現役時代の癖で『いつものツッコミ』といってしまった。言われたキュアルージュはあまりに衝撃だったのか、フリーズする。

「ほら、君がいつもの癖でいうから、りんがフリーズしちゃったじゃないかー!」

「だーーー!!もう!!この時期は耐性ないんだっけ?」

キュアハートは転生後の逸見エリカとしてのガサツさが見え隠れする口調で、キュアミューズと喧嘩する。あっけらかんとする一同を尻目に。10分の口喧嘩の末に仲裁が入り、結局、二人は格納庫にあった適当な機体で出撃していった。と、言っても、ガンダムタイプであることには変わりない。ミューズはクスィーガンダムの予備機(フェイスデザインなどが映像作品のものであるもの)、キュアハートは強化型ZZガンダム(なのは機の予備機。塗装はミリタリーチック)であり、存外に贅沢なセレクトであった。





※あとがき 今回の話は私がハーメルンに掲載中の『ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版』にて掲載中の「総集編〜大決戦の経緯〜」から抜粋し、編集したものになります。



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