――パルチザンはUFOロボグレンダイザーとその支援機を得た。これで戦力増強が叶ったわけだが、厚木基地攻撃作戦を行うには、あと数個小隊分の予備兵力が無ければならなかったが、その埋め合わせは歴代仮面ライダー達が補ってくれ、勇躍、厚木基地へ向かったのだが……。

「なんだアンタは?」

「パルチザンを偵察せよと、バダンの指令を受けた者だよ」

「その口ぶり……バダンの改造人間か?」

「そうだ。ただし、俺は君の思っている改造人間ではない。それを見せよう」

偵察に出た黒江の前に現れた、一人の男。昔のTVドラマの俳優を若返らせたような風貌だが、何処と無く、悲しげな雰囲気も纏っていた。

『変……身!!』

彼が出現させたそれは、配色が異なるものの、仮面ライダー一号や二号と同じ型の変身ベルトだった。そして、ポーズとともに二号同様にシャッターが開閉し、タイフーンが回転する。光が走った次の瞬間、そこに出現していたのは、ダークトーンの配色を持つ仮面ライダー二号型の改造人間だった。

「な……に……!?」

黒江も流石にこの光景は信じられないようで、固まってしまう。そこにいるのは、紛れもない仮面ライダーであったからだ。ダークトーンの配色はショッカーライダーを連想させる
が、ショッカーライダーは人間味がない『機械』と言える者らであったのに対し、彼は人間味がある。つまり、脳改造がされてないのだ。

「俺の名は仮面ライダー……三号。バダン首領が平行時空の一つで生み出した仮面ライダー。目的は本郷猛と一文字隼人を倒すためだ」

その男は仮面ライダー三号と名乗った。V3以後の仮面ライダーよりは『型の古い』一号と二号を基本にして、洗練させたような風体であった。彼こそ、バダンが平行時空にプロジェクトを移管させてまで生み出した『仮面ライダー』。かつてのゲルショッカーが最後の切り札として設計していた改造人間を具現化させた存在なのだ。

「!」

黒江は次の瞬間、三号のパンチを受けた。シールドを張ったものの、シールドを破られ、数十mは吹き飛ばされた。とっさに受け身を取ったものの、直撃を食らったら半死半生に追い込まれるのを悟る。

(やべぇ、今のまともに食らったら死んでたぞ……。あの威力……並のライダーを超えてんぞ!?スカイライダーやアマゾンが可愛く見えるぜ。本当に『三号』かよ!?)

実感として、三号のパンチ力はスカイライダーや仮面ライダーアマゾンをも超越しているように感じた。後発であるはずのその二人を超越したスペックは、正に一号や二号の身体性能を遥かに超えていた。

「お前はウィッチのようだな。だが、俺の必殺技を受けて、まだ立っていられるかな?」

「何だと!?」

「トウ!!」

三号が必殺技の態勢に入る。アクチュエータが装甲越しに透けて見えるほどのエネルギーを発し、跳躍した。その態勢から伝家の宝刀であるライダーキックを放った。ただのライダーキックではない。ストロンガーの電キックを思わせるほどの電気エネルギーを足に纏って放った『電光ライダーキック』だ。

『電光!ライダーァァァキィィィィック!』

このキックは黒江がありったけの魔力を使って張ったシールドを容易く貫通。脇腹に命中し、彼女の肋骨を5、6本ほどへし折り、血反吐を吐かせながら、エネルギーの奔流で以て爆発を起こし、彼女を更に吹き飛ばす。た。黒江は辛うじて意識を保ったものの、肋骨を折られ、身動きできない。だが、三号は情け容赦ない追撃を加えていく。

「あぎゃああああ……!」

三号の追撃により、更に左腕を折られ、悲鳴を上げる。更に脇腹を膝蹴りされ、激痛でのたうち回る黒江。

「ち…くしょ……私…は…また……手も足も出ないのかよぉ……これが改造人間の……力……」


刀で応戦する間もなく、のされていく事への屈辱感、敗北感などに打ちのめされ、堪らず涙を流す。そして、トドメの一撃であるライダーチョップが首元にされようとした瞬間、電撃が三号を襲う。黒江はその主の姿を見、安心した顔を浮かべ、気絶した。

「貴様は……」

「女の子相手に、随分とえげつねぇ攻撃するじゃねーか。バダンの仮面ライダーってのは、随分、下衆なようだな。貴様がバダンが造らせたっていう『三号』だな。俺は七号、仮面ライダーストロンガー!ここからは俺が相手だ!」

駆けつけたのはストロンガーであった。愛車のカブトローに黒江を載っけてパルチザンの移動本部まで運ばせると、三号と対峙する。三号は後発のライダーが相手であろうとも、その不敵な態度を崩さない。

「来い。噂の七号ライダーの実力とやらを見させてもらおう」

「そうかい」

二人は戦いを開始した。ライダーチョップ、ライダーパンチなどがぶつかり合い、爆発が起こり、閃光が散る。三号はストロンガーと互角に渡り合う。ストロンガーはデルザー軍団の改造魔人との戦い以来の緊張感を感じ、手を抜かずに全力で以て三号を迎え撃った。

「電キィィィック!」

「ライダーキィィィック!!」

必殺技のぶつかり合いが起こった。電キックとライダーキックがぶつかり合うが、打ち負けたのはストロンガーであった。三号の全力のライダーキックは電キックをも凌駕したのだ。これにはさすがのストロンガーも驚愕した。

「何ぃ!?電キックを弾いただとぉ!?」

ダメージを受けながらも立ち上がり、驚くストロンガー。三号は憮然とした態度を見せ、更に追撃する。が、三号の誤算はここにあった。ストロンガーは再改造で超電子ダイナモを埋め込まれており、三号のパンチのエネルギーを吸収し、作動させたのだ。

『三号、お前は俺の力を見誤ったな。全力を見せてやるぜ、チャージアップ!!』

――ストロンガーの切り札『チャージアップ』。これは超電子ダイナモの膨大なエネルギーによるオーバーブースト機能とも言うべきもので、攻防速を飛躍させるが、ボディがその負荷に耐えられないため、一分しか使用できない。だが、それと対価に得られる攻撃力は歴代三強の仮面ライダーZXや仮面ライダーBLACKRXと同レベルという強大なもの。胸のカブテクターに白いラインが入り、角のカブトショックが白銀となるという過程を経て、ストロンガーはチャージアップを完了する。

『トウ!!超電三段キィィック!!』

要するに、ライダーキックを三度繰り出す技だが、その威力は電キックの比ではない。三号も流石に超電子エネルギーの奔流を喰らっては平然とはしておられず、吹き飛ばされる。三号の胸部装甲に焦げ目が付き、片膝をついたあたりはストロンガーの切り札の威力である。

「流石に、テメーも超電子の力には無傷じゃいられねーようだな」

「流石は、初期の7人の中で最強と言われるライダーだ。この俺に相応しい相手のようだ。だが、今日はご挨拶を済ませるために来たようなものだ。また会おう」

三号はストロンガーにこう言い残すと、愛車のショッカーサイクロンで去っていった。ストロンガーは通常形態で苦戦する敵の出現に闘志を燃やす一方で、カブトローで運んだ黒江の容態を心配した。

「命に別人はねーだろうが……ありゃ当分の間、トイレにも苦労するな…」


――パルチザン 移動本部

「綾香ぁ!」

担架に乗せられ、集中治療室に運ばれていく黒江を半泣きで見送る智子。それをなだめる圭子。その隣には仮面ライダー一号=本郷猛がいた。

「ケイちゃん、茂から連絡が入った。綾ちゃんをあそこまでにしたのは、バダンが送り込んだ『仮面ライダー』だ」

「え!?か、仮面ライダー!?」

智子と圭子は驚く。仮面ライダーが、あの13人以外にいるというのかと。だが、そもそも仮面ライダーの設計は組織が造り上げたもの。彼らが『仮面ライダーを倒すには仮面ライダーを』という思考に達するのは時間の問題であるのだ。深刻な顔で本郷猛は語る。その男の出自を。

「話は、俺達がゲルショッカーを壊滅寸前に追い込んだ1973年に遡る。ゲルショッカーは俺達の攻撃で改造人間製造プラントの殆どを喪失し、組織としてはもうガタガタになっていた。当時の大幹部『ブラック将軍』は起死回生のため、仮面ライダー型改造人間を新たに作って、俺と一文字を倒す算段を立てた。そのプロジェクトは具体化が進められ、これまで回収した書類から推察するに、コンペが行われた形跡があるんだ」

「コンペを?」

「そうだ。複数の科学陣が提出した案があり、その内の一つは俺達が風見の体を改造する際に、V3として使った『完全新規設計』案。もう一つは俺達の体を更にリファインした強化発展型。それに絞られていたんだ。その前に俺達がゲルショッカー首領を倒したが、バダン大首領がそのプロジェクトを平行時空のゲルショッカーに引き継がせていたようだな……」

本郷猛は深刻な雰囲気を見せる。ゲルショッカーの科学力の粋を集めて造られた『仮面ライダー三号』はおそらく、タイマンでは自分達を圧倒できる性能を備えているだろうからだ。性能が全てではないが、仮面ライダー型改造人間として相応しい素体は、素で近代五輪の金メダリストになれる頑強さを備えた逸材でなければならない。それを勘案すれば、三号となった男は自分らに匹敵する逸材であるのは確実だ。

「ショッカーライダーとは違うんですか?」

「ショッカーライダーはあくまで『能力が高い雑兵』の粋を出ない量産型改造人間だ。素体も並の悪人でしかない。だが、今回の三号は『大幹部』になり得るワンオフの改造人間、それも本式の仮面ライダーだ。洋や一也では苦戦は免れんだろう。」

本郷は、戦闘用改造人間でない、スカイライダーやスーパー1を念頭に置いていると思しき発言をする。スカイライダーやスーパー1は戦闘目的に改造された仮面ライダーではない故、三号と相対するには役不足であるということだ。特に、スーパー1を心配していた。スペックは後発故、スーパー1の方が高いが、戦闘目的ではない身体故、長期戦には向かない弱点がある。そうなればスーパー1が倒される危険性もあり得るからだろう。

「なんで、洋さんや一也さんのことを?」

「あの二人はパワーアップしたとは言え、素の戦闘経験値が俺達より低い。洋はまだいいが、一也だよ。あいつは宇宙開発用の身体だから、実は長期戦には向かないんだ」

圭子の質問に答える本郷。スーパー1のハイテクボディには長期戦による内部機構の熱暴走の危険性が隠されているのだと。それがスーパー1に隠された『弱さ』である。

「俺から茂までの7人と、ZXとRXは戦闘用改造人間だから、長期戦にも耐えられる。敬介のボディも深海開発の名目で造られていたが、実際は戦闘用だ。だが、スーパー1は本当に平和目的で造られた。だから他のライダーよりもメンテナンスを受けることが重要なんだ」

スーパー1が長期戦に向かない事を把握している故に思案している本郷。『三号』問題が如何に仮面ライダー達にとって重要事であるかがわかる。そこへ、集中治療室のドアが開いて軍医が出てくる。治療が終わったのだ。

「先生、綾香の容態は……」

「幸い、命に別条はない。だが、骨折が腕や胸を含めて8箇所もある。ベットから一週間は動けんだろう」

「良かった……」

命に別条なしと言われ、とりあえずは安堵する智子。黒江は今、麻酔が効いてて、寝ているようで、ギブスをはめられた姿を見せている。

「彼女が目覚めたら、トイレなどを手伝うように。大尉、それに中佐は留意するようにしてくれ。リハビリの開始は2週間ほど経ってからだろう。日程の調整その他は後ほど、君らが空いてる日に協議しよう」

軍医から注意事項などが通達される。智子と圭子はここからのしばしの間、黒江の介護に明け暮れる事になるのであった。






――仮面ライダー三号の出現は、パルチザンを、そしてヒーローたちをも揺るがす大ニュースであった。それにほくそ笑むバダン大幹部『暗闇大使』。彼は更なる戦士を用意していた。その名も『仮面ライダー四号』。

――南米 バダンシティー

南米の地下にバダンの本拠はあった。そこで新たに改造された仮面戦士『仮面ライダー四号』が暗闇大使にお披露目される。

「この仮面ライダー四号はスカイサイクロンによって空を飛び、能力値はスカイライダーを凌駕する数値を示しており……」

「ご苦労。四号。うぬの望みはなんだ?」

「ハッ。全ては神に愛されしバダンのために」

そう答える仮面ライダー四号。三号やダブルライダーと異なり、口部分の意匠が人間に近く、身体にもフライングジャケットを纏った軍人を思わせるデザインが施されている。四号はバダンに忠誠を誓っている発言から、軽度の脳改造が施されているのを示唆している。

「三号を送り込む事で、パルチザンは混乱している。次はうぬの番だぞ」

「ハッ」

三号と四号。バダンが生み出した仮面ライダーは、本郷猛=一号、一文字隼人=二号のダブルライダー打倒の切り札であった。建造が進められる四号のターボプロップエンジン戦闘機『スカイサイクロン』。スカイライダーの立場を危うくするこのライダーの存在は13人ライダーには知られていない。それが暗闇大使のアドバンテージだった。更なる戦士を用意する事も怠らない辺り、生前に東南アジアで『知恵のガモン』と怖れられた知恵が窺える。彼らはミッドチルダ侵攻が一定の成果を収めた後、更なる計画を実行しており、三号と四号はその一環で生まれた存在であり、兼ねてからの首領の宿願である『本郷猛と一文字隼人の打倒』を果たすための道具であった。

「更なる計画のため、我らは大首領の指示を仰ぐ必要が出てきた。うぬも同行するように。」

「ハッ」

仮面ライダー四号を伴い、暗闇大使は首領に謁見するための部屋に向かう。指示を仰ぐためだ。更なる戦士を用意するための。彼の手には『仮面ライダー五号計画』なる計画書が握られていた……。そして、その計画を守護する改造人間の製造を含め、認可してもらうためだ。彼が生み出そうとするモノは『10月計画』と呼称されるもので、ショッカーライダーの量産化、それらを指揮統制する強力な仮面ライダーの製造、それらの護衛……膨大な製造プロジェクトであった。既に、戦闘員の一部は紫色のマフラーを持つショッカーライダーに世代交代しており、軍備の近代化を推し進めているのがわかる。

「暗闇大使に敬礼!」

通常の戦闘員もいないわけではなく、ショッカー、ゲルショッカー、デストロンなどの歴代組織の生き残り戦闘員らは雑事に従事しており、大幹部が通ると、とたんに一列に並んで敬礼する。中には、直前までピザを食っていた者もおり、暗闇大使に注意される。

「貴様ら、たるんどる!ピザなどいつでも食えるではないか」

「し、失礼致しました」

「よろしい」

鷹揚なところも見せようと努力するあたりは、鷹揚さでゾル大佐などより、部下の人気があった、亡き従兄の地獄大使への対抗心が窺える。


――彼らは元々はサンフランシスコ市内のスラム街に生まれ、その後、成人した後に東南アジアに潜んでいたナチス・ドイツ残党に才能を見出され、すぐに頭角を現した。その後は壮年期頃に『戦死』をした後に、組織入りを果たし、大幹部の地位に上り詰めたのだ。暗闇大使は従兄の『裏切り』にあったため、裏切りを、たとえ大首領であろうと許さないという側面があり、それを読んでいる大首領はデルザー軍団を使って、『監視』しているという裏事情もある。暗闇大使は自分が誰かを裏切ろうと躍起になっている哀れな男であるのかも知れない。

(大首領……たとえ貴方であろうと、裏切りは許さん。今度はこの俺が裏切ってくれようぞ)

心の中の本音を独白する暗闇大使。その辺は最期まで組織の忠臣であった従兄の地獄大使とは対照的な思考回路をしている。だが、その思考は大首領に先読みされており、デルザー軍団がいつでも粛清可能なように待機しているという状況であり、彼らは忠臣であった地獄大使の蘇生を検討している状況であった。


――バダンシティ 中枢

「大首領、よろしいのですか?暗闇を」

「泳がせておけ。彼奴の指揮能力は使える。本郷猛や村雨良、南光太郎に倒されればそれでよし。我に刃向かうのならば、うぬらが好きに料理せよ。ただし、ライダー共に倒されたと見せるようにせよ」

「ハッ」

デルザー軍団の筆頭格『ジェネラルシャドウ』は大首領直々の裁可を仰ぎ、認可された。暗闇大使の近い将来の粛清。仮面ライダーらに倒してもらうほうが楽であるので、どうやって戦死させるかに苦心せねばならない。彼らの策略は仮面ライダーらを巻き込んで起ころうとしていた。



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