――長後の制圧を完了したパルチザン。黒江が山羊座の黄金聖闘士となって帰還し、更に箒が射手座の黄金聖闘士と認められたことも伝えられた。これにより、箒と黒江は必然的に黄金聖闘士としての宿命に見を投じた。以後、二人は200年の月日を生きることになるのである。『黄金聖闘士』として。


――ブリーフィングルーム

「と、いうわけで、箒。お前も黄金聖闘士の資格が与えられた。だが、その代わりに血の献身が求められる。いいな?」

「わかっています。この聖衣を初めて纏った時から覚悟していましたから」

「たしか、聖闘士は代替わりが100年か200年単位じゃなかったか?そこまで生きることになるぞ?」

鉄也の疑問に、黒江が答える。

「ああ。一度、黄金になると、代替わりする後継を育てないかぎりは隠居できないからな。身体の老いを抑える術もあるっーし、長い人生を生きてみるのもオツなもんだ」

とは言ったものの、200年の月日はなんだかんだで長い。黒江と箒に仲間が必要だと判断した圭子と智子は、後でアテナに懇願し、200年を生きれ、戦える肉体を手に入れる事になる。それは黒江と箒に、『愛する者達を見送った後、仲間がいると言うことを教える』ための老婆心から。後にそれを知った黒江と箒は罪悪感を感じ、後半生において、二人が聖闘士としての任務(箒は星矢の昇格後は、後方で教官の任に就く。星矢が不在時などには、戦線に立つ事も多かった)に精を出すきっっかけとなるのであった。

「ああ、言っとくが、今度からは俺も出れるぞ。Gカイザーの調整が終わったんでな」

「Gカイザーの?パイルダーの名前は決まったのか?」

「ブレーンフェニックスになったよ。セイヤさんの発案だ」

「フェニックスねえ……大きく出たな」

怪訝そうな黒江だが、進化したブレーンコンドルの正式名称は『カイザーコンドル』などが検討された結果、『ブレーンフェニックス』という大袈裟な名前になったと教えられる。大袈裟な名前だが、スーパーロボには『ハッタリも必要なのだ』と納得した。

「そういえば、ドラえもんはどうした?姿が見えないが?」

「あいつなら、今はのび太が机に0点の答案出しっぱなしにしてたとかで、元の時代に帰ってるよ。保護者として、甲児くんとシャルちゃんについてもらっている」

「なるほど。のび太の奴、今頃かーちゃんにどやされてるんだろなあ」

黒江がそう言及した通り、のび太は怒りの玉子によるお説教を食らっていた。


――西暦2000年代始め

「のぉぉぉびぃぉいぃ太ぁああああ……」

「ひ、ひぃぃ!」

「こんな調子じゃ中学校や高校で……」

と、実に長いお説教であるため、居間の外にいるシャルと甲児は溜息をついていた。

「のび太のママさん、お説教長いぜ。もう30分だぜ?」

「ドラえもんの計測だと、最高で2時間15分59秒だそうです。当分終わらなさそうだから、リヴァイブで買い足し行ってきます」

「おう。気をつけろよ」

シャルはのび太のお説教が長いことを知っており、そのため、自主的に食料品の買い足しに出かけた。ISを使うので、外出には地下格納庫の通路を使った。


「うーん。こうして飛んでみると、やっぱり漫画の世界って感じがするなあ。空から見ると、学園都市との境界線が見えるし」

シャルはリヴァイブで飛行しつつ、駅前商店街へ向かう。ススキヶ原は『典型的な』のどかな郊外の街だが、境界線を挟んだ学園都市側はニューヨークのような摩天楼が立ち並ぶ光景であるため、小高い山があるススキヶ原は際立って『穏やか』な町並みであるのが分かる。

「落差大きいなぁ。ここだけ昭和50年代そのままだし」

シャルは低空飛行に移り、駅前商店街に入る。鈴が言っていた通り、パワードスーツで闊歩しても、街の人々は何ら気にする事なく、応対し、普通に買い物ができる。しかも、郊外型スーパーマーケットに至っては、『パワードスーツでも通れるように、通路面積を大きくしました』という張り紙まで貼られている。

「は、はは……もう、何でもありだなあ……。さて、買い物、買い物」

「ISを展開したままでも、みーんな疑問に思わないのかなあ……?ドラえもんの高価って大きいんだなあ」

スーパーマーケットに入り、改造されたリヴァイブの歩行機能のテストも兼ねて買い物をする。『これでいいのか?』と、脳裏に疑問が浮かびつつも、買い物をこなすシャルだった。




――グレートマジンカイザー。その存在は百鬼帝国をも驚愕させた。

――百鬼帝国 要塞島

「グレートマジンカイザーだと!?ええい剣鉄也め、味な真似をしおってからに…」

大いにその魔神の出現を嘆く百鬼帝国実戦部隊司令官のヒドラー元帥。姑息な男だが、軍人としての能力は本物で、グレートマジンガーの量産型の情報を掴むなり、製造会社を脅して、あしゅら男爵に入手させるようにするなどの策謀を見せる手腕は持つ。

「ヒドラー元帥、狼狽えるな。如何に奴らがGカイザーを手に入れたとしても、我らには『聖竜』がある。アトランティス連邦がその滅びと共に残した、最大最強の遺産がな」」

ブライ大帝の言う『聖竜』とは何か?それはかつて、海底で地球を二分する国家としての栄華を誇りつつも、核実験の失敗によって発生した放射能を拡散できず、住民が被爆による放射線病によって死に絶えて滅んだはずのアトランティス連邦のごく僅かな生き残りが、地上に逃れて、7200年かけて作り上げていた『守護聖竜』を象った最終兵器である。

「ウザーラ、聖竜『ウザーラ』!アトランティス語で『聖なる者』を意味する名を持ち、重力遮断・地軸逆転装置を用いれば地球を容易く滅ぼせる力を持つ聖竜さえあれば、真ゲッターロボやWマジンカイザーとて、恐れぬに足りぬ!それに『あれ』もある。『あれ』がな」

百鬼帝国は恐竜帝国の帝位継承権を持つ『カムイ・ショウ』が別時空から持ち込んだ最終兵器の設計図でそれを建造していた。それこそ、カムイが言う『ゲッターを使う人類を滅ぼせ』と言い残した者の意志を継ぐかのように着々と進む。

「ブライ大帝様、あしゅら男爵様がお見えです」

「奴らも動くか。通せ」

「ハッ」

兵士に伴われ、あしゅら男爵が入ってくる。以前は失敗続きであり、ドクターヘルから『馬鹿モノ!!間抜け!このウスラトンカチおたんこなすのおっちょこちょい桜島ダイコンめ!』と、まくし立てられた事さえあるが、それ以前の『人間の夫婦』だった頃の記憶が戻ったおかげか、その時と打って変わっての有能さを見せていた。

「お久しぶりでございます。ブライ大帝様」

「うむ。貴公も意気軒昂なようで、何よりだ。今日は何用だ?」

「ハッ。今日は大帝様へこれをご覧に入れるために来たのです」

「これは……?」

「ゲッター真ドラゴン。その最終形態でございます」

投影された映像に映るのは、ミケーネ帝国が入手したドラゴン軍団の真の姿だ。それは龍にゲッターGの上半身が乗っかったような外見を有する。しかしながらサイズは、ヱクセリヲン級戦艦にほぼ匹敵するほどである他、変形機構は中央の筒状のパーツからドラゴン・ライガー・ポセイドンを構成する各パーツが出現する事で、『ゲッターチェンジ』する。宇宙で、ハマーン派ネオ・ジオンの艦隊一個丸ごとと交戦。ドラゴン形態の腕で、ネオ・ジオン軍のエンドラ級巡洋艦を物理的に握り潰す、ゲッタービームで廃棄コロニーの影に隠れたムサイ改を、コロニーごと消滅させるなど『やりたい放題』である。

「ネオ・ジオン残党がまるで、ハエかゴキブリ感覚で落ちてゆくな。しかもMSの攻撃程度では傷一つ負わんとは」

「ゲッターと言っても、合体分離を行うわけではありません故、相対的に強力な装甲を持つからです。たとえ核を持ちだしても、傷一つ負いませんし、自己再生も可能です。運用テストはカムイ氏に委託していますので、近々にも、ロンド・ベル攻撃に使えましょう」

「楽しみにしているぞ」

未来世界で百鬼帝国とミケーネ帝国がいよいよ動き出すが、それを露知らぬのび太らは2000年代初頭で日常を味わう。そんな中、未来世界にいる箒は小宇宙の発現で、姉に引けをとらない潜在能力が開放されたが、感覚の違いに戸惑っていた。

「わ、わわっ!ち、ちょっとジャンプしただけで、20mも飛び上がるだと!?」

そう。言うなれば『聖衣を纏っていなくとも、超人的な身体能力を発揮できる』状態なので、乗り物で言えば、『軽自動車しか運転したことがない主婦に、いきなりフルチューニングされたフォーミュラマシンを運転させる』ような事になっている。シャル達がドラえもんとのび太の子守りで過去に行った後、自主的にトレーニングに励んでいるが、やはり感覚の違いは大きく、体のあちらこちらに細かい傷を作っていた。

「普通の感覚で動いたら怪我するぞ〜今のお前は『1動こうとしたら、7か8は動いてしまう』。どういう風に動くか考えてから、次のアクションを起こせ」

「そ、そんな事いわれても〜〜!」

トレーニングの監督役はドモン・カッシュである。彼はパルチザン参加後、主に裏方の仕事を引き受けており、今回もそれだった。箒はとりあえず、ドモンの言うとおりにし、着地のアクションを空中で予め、起こす。すると綺麗に着地した。

「で、できた……!」

「それだ。そのコツを忘れるな」

「はい!」

ドモンは既に人間を超えた領域にいるため、聖闘士の闘技を受けられる。そのため、箒のトレーニングトレーナーとして、沖田十三から指名されたという経緯がある。当人も、数年前、なのはに稽古をつけて以来のことであったが、要請を快諾し、箒に戦闘術を仕込んでいった。

「アトミックサンダーボルト!!」

そんな中、アトミックサンダーボルトを撃つ時に『ピリッと来る』感覚があると、相談されたドモン。彼はアトミックサンダーボルトは雷撃系の技故、放つ時に小宇宙を制御しきれないと、技の放つ時に発生させる電流が僅かであるが、自らに逆流するという点を指摘。技の熟練度を増せば、その点は解消できるとし、毎日100回の打ち込みを命じた。それが15万回を超えた時、その感覚はなくなり、技を完全に自家薬籠のものにした。その要領で他の技も修行を行い、それから数ヶ月後には『アトミックサンダーボルト』、『インフィニティブレイク』、『ケイロンズライトインパルス』、『コズミック・スターボーガン』を完全に自家薬籠のモノとしたという。そして、今日も箒のトレーニングは続く。

『インフィニティィィィィ!ブレイクゥゥゥ!」

無数の光の矢の奔流。それを分身殺法ゴッドシャドーで受け止めるドモン。

「いいぞ!もっと矢の集束を上げろ!」

彼も修行になるらしく、どこか楽しそうだったとは、後日、ゴッドガンダムの大規模整備のため、自主的にライジングガンダムを持ちだして、パルチザンへやって来たドモンの妻のレイン・ミカムラの談。




――パルチザンによる、グレートマジンカイザーの実戦テストは湘南台から江ノ島の奪還行動から行われ、その圧倒的破壊力を発揮した。

『ゴッドサンダー!!』

ゴッドマジンガーと同種の技に昇華したサンダーブレイク。その威力はフェイトが得意とする魔法『サンダーフォール』が児戯に等しいほどで、攻撃を受けた周囲の敵が全て消炭になっている。

「うわあ……凄い威力。フェイトちゃんのサンダーフォールなんて、子供のお遊戯だ……。」

観測についているなのはが息を呑む。Gカイザーの光子力反応炉の出力は20分の1である。それでAAA級の威力がある魔法が霞むほどの威力というのは、まさに度肝を抜かれた。

「これでも反応炉の出力は絞ってるっつーんだから、信じらんない……」

『Gカイザーの威力は未知数だ。最大出力で戦闘したら、地球程度は軽く消えるだろうな。ゴッドサンダーの出力を上げたら、ストロンガーさんの超電エレクトロウォーターフォールにも追いつくだろう』

仮面ライダーストロンガーがチャージアップ状態でエレクトロファイヤー系の技を放った場合、楽々とサンダーブレイクや御坂美琴の放電を上回るエネルギーを放出できる。それほどにチャージアップ状態のエネルギーは凄まじいのだ。超電子エネルギーの領域になれば、かの一方通行のベクトル偏向であろうとも通じない(超電子は、神の使徒とも言える力を持つ黄金聖闘士と同じ領域になる故、人間の領域のテレキネシスの一種と言えるベクトル偏向能力は通じないのだ)。鉄也はそれを理解している故、チャージアップストロンガーに言及したのだ。

「美琴さんがあの時に、ストロンガーさんに憧れてたのは、そのためなんですか?」

『そうだ。あの子の能力では、どうしても一方通行のベクトル操作は破れない。超電子ならば、それを破る事ができる。その領域に達するには、一方通行のテレキネシスを上回る地力、例えれば黄金聖闘士級の力が必要だ。美琴ちゃんもそれはわかっている』

ストロンガーは超電子ダイナモという回路を使い、箒は射手座の黄金聖闘士になるという手段で到達したが、美琴は人工的に能力を得た『人』でしかない。それ故、能力の限界を超えるのには困難を伴う。やっと100億Vに到達したと連絡があったが、それではまだ力不足であり、一方通行の強大さが窺える。魔術的な力も持ち得た彼に正面から挑むには、上条当麻が頑張るか、聖人、あるいはそれをも上回る力がある黄金聖闘士級の力を必要とする。美琴はそれを知るからこそ、ストロンガーに憧れたのだろう。

「それと同等のパワーを叩き出せるマシーンが目の前にある…うん、非現実的にすぎますよ」

『この世界じゃ、それが現実さ。あの子もこっちに来るだろう、自らの修行のために。その時は付き合ってやれよ』

「はいっ」

『さて、お次が来たぞ。ギガントミサイル!』

Gカイザーの胸部から、大陸間弾道弾にしか見えない大型ミサイルがモーフィングで形成される。ゲッター線で進化したためか、ゲッターを思わせる形成のしかたに、なのはは絶句する。

『発射!』

発射されたギガントミサイルは、命中と同時に凄まじい爆炎と轟音を巻き起こす。キノコ雲が発生するほどの爆発だ。

「やりすぎじゃ?」

『これでも小さめに作ったんだがな。さて、湘南台駅を制圧するぞ。』

湘南台駅に降り立ち、Gカイザーに恐れをなした敵を武装解除させる。鉄道網の確保は意外に重要であり、昔は戦車などの運搬にも使用されたし、列車砲という兵器や装甲列車という変わり種もあり、戦車が発達する第二次世界大戦まで使われていた。23世紀でも人員輸送や物資輸送の一端を担っており、その確保は重要事項であった。



「これで大和駅からの5キロ圏内は確保したけど、藤沢で東海道線と繋げるのに、どれくらいかかるんだろう?」 

『まだ、しばらくかかるだろう。横須賀や横浜と補給ラインが陸路で繋がれば、物資輸送も楽になる。増員も間もなく来るということだし、だいぶ楽になるさ』

その増員とは、圭子が呼び寄せた『西住みほ』達である。戦車道の長期留学という題目で、現地の文部科学省と交渉していたのが成功したのだ。圭子が先日、現地に出向いて最終交渉をしていたが、文部科学省がカリキュラム面で難色を示したために、思ったより長引いていたが、遂に文部科学大臣がOkサインを出したと連絡があった。

『増員はケイちゃん達が発見した世界からの動員だそうだ。どういう連中かどうかはわからんが』

この時、鉄也は懐疑的だったが、後の攻防戦で、みほが不本意ながらも、実戦でその実力を見せた事で評価を固める。事が終わった後、みほは『本当は、こんな形で戦車道の実力を証明したくはなかったけど、地球全体が危ない時に黙ってはいられませんでした』と吐露し、地球全体の危機と戦車道を行う者としての矜持とで揺れ動いた本心を覗かせる。また、IS学園では、千冬がセシリアとラウラの度重なる派遣要請に頭を抱え、報告も兼ねて、『一度、こちらへ戻れないか』と箒へ打診した。一夏の事もあったからだ。しかし箒は黄金聖闘士となった都合で、そう簡単に動ける身でもなくなってしまったと報告され、ますます頭が痛くなった千冬。パルチザンはIS学園に護衛を送るため、御坂美琴に連絡を取り、彼女を護衛として送り込む。美琴は一段、パワーアップしたその能力でひと暴れするが、それはまた別の機会に語ろう。



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