ドラえもん のび太とスーパーロボット軍団 第二部


――プリキュア達の集結が成っていく中、古代中国より伝わりし拳法の使い手が確認された。ピンからキリまでいるものの、高位の拳法の使い手の場合、闘気を扱える都合上、プリキュアの平均戦闘力を凌駕する。これは重大な問題であった。これはダイ・アナザー・デイでスターライトフルーレが効かず、決め技を受けても平然とされ、プリキュアが型無しだった事例があったためで、小宇宙の力でしか立ち向かうのも困難であった教訓を残した。智子の発案で闘気を併用する特訓もダイ・アナザー・デイ後のクーデターを経ての期間、当時に現れていたプリキュアの全員が特訓を受けた。だが、りんはテロから罪もない者たちを守るために、爆弾の威力の多くを抑え込んだ代償に記憶を失ってしまった。そのことへの怒りがのぞみを突き動かしていた。また、彼女の先代達が相変わらず不在であった事での責任感もあり、敵へ容赦しない苛烈さが表れていた。精神的に荒れているのである。表面的にはいつもの明るさを維持しているが、りんという幼馴染を傷つけられた怒りが収まらず、同室の響を悩ませていた。圭子の発案で、蒼乃美希と春日野うららを地上から呼び寄せる事となった。(美希はラブのお目付け役として)



――大型戦闘空母『ベクトラ』の士官食堂――

「のぞみさん」

「……う、うらら……。」

服装はロンド・ベルの女性軍服であったが、トレードマークのツインテールは健在の春日野うらら。のぞみとりんの学生時代の一期後輩にあたる。彼女は生前、学生のうちから芸能活動を行っており、10代の頃はアイドル、後に女優として大成した。これはのぞみとりんの共通認識である。往年そのままの姿で、のぞみの前に現れた。のぞみは感極まって抱きつき、泣く。りんが記憶喪失になった事でのショックを吐露したかったのだろう。

「うらら〜〜!りんちゃんが、りんちゃんがぁ〜〜…」

「話は美希さんから聞きました。まだ希望はあります。…ほら」

「ありがとう〜……」

うららから渡されたハンカチで涙を拭き、鼻をかむのぞみ。うららは一見すると、往年と変化がないようだが、サンダース大学付属高校のナオミを素体にして転生している恩恵により、射撃の腕前が圭子も認める(武子と同水準とのこと)ほどになっている。また、生前の10代後半の頃に、実写化されたライトノベル『緋弾のアリア』のヒロインの一人かつ、ライバルキャラ(二丁拳銃使い)の役を演じていた都合上、銃の扱いを覚えており、その延長線でワルサー系の自動拳銃を二丁拳銃で持つに至った。そのため、圭子とのび太ほどではないが、二丁拳銃使いということになる。

「あ、あれ?うらら、自動拳銃を二丁拳銃で?」

「昔取った杵柄ってやつですよ、覚えてます?ほら、17、8の頃に……」

「あ、あー!あったね、そんな事!つか、あの時の役作りを実戦に活かしたのぉ!?」

「射撃はサンダース大学付属高校で鍛えて、それなりになったので、どうせならって思って。ケイさんや野比のび太君ほどじゃないけど、ガン=カタはできますよ」

「そいや、お前、女優だったなー。久しぶりだな、うらら」

「響さん、お久しぶりです。お変わりなく」

「と、言いたいところだけど、大いに変わったぜ。今は日本人じゃねぇんだ、これが」

「そうそう。響、今はアメリカ人なんだよ〜。日本在住の」

プリキュアとしては、北条響名義で活動しているが、本名はあくまで『シャーロット・E(エルヴィン)・イェーガー』である響。国籍も扶桑皇国(日本連邦)ではなく、自由リベリオン合衆国である。そのため、普段の食習慣は日本人というより、アメリカ人寄りになっていたりする。うららに挨拶し、のぞみのルームメイトである事を伝える。デザリアム戦役までに、シャーリーは少なくとも三つの名義を使い分ける形で生活しており、メインである姿を固定していない。美雲・ギンヌメールの影武者もバイトで務めているからだ。

「そうだ。ここ最近は人気歌手の影武者もバイトでしてるから、忙しくてさ。それでこの戦争だ」

「あら、元々はピアニストだったから、一周して元に戻ってないかしら、響?」

「美希、お前。ご挨拶だな。マチルダ中戦車に乗って戦車道してたお前にゃ言われたかぁないね」

「あれは先輩達がマチルダ愛好会だとかを結成してて、学園の経営権を握ってるせいよ。全く、せめてコメットが欲しいわ」

素体となったダージリンを一定期間演じつつも、攻防バランスが悪い戦争前期のイギリス戦車では限界があるため、聖グロリアーナ女学院は強豪と言われる割に、準決勝までに留まっている現状に不満があったらしい蒼乃美希/キュアベリー。地味に戦車道ライフを楽しんでいたらしく、大戦末期に試作、あるいは量産が間に合ったコメットやセンチュリオンを導入したい心情を溢しているが、自分の代では無理な事を悟っている。

「私のところはファイアフライありますから、楽でしたけどね。地味に高校戦車道界屈指の砲手になっちゃいましたけど」

「いや、それ全然地味じゃないぞー…。ダイ・アナザー・デイに来てくれりゃな」

「すみません。大学生との試合とか入ったせいなんですよ。でも、マナちゃんが大変でした」

「あいつ、逸見エリカとぜんぜん性格がちげーからなー。苦労してたんだろーなぁ」

「泣いてましたよ。まほさんのいない内に、ありすちゃんに謝ってましたし」

「……なんか想像ついた」

まほは戦車道世界にいる者、ミーナへ転生した者と、それぞれ別個体だが、二人ほど確認されている。また、みほが四葉ありすの記憶に覚醒めた後に、エリカ/マナとみほ/ありすの間でドタバタがあったことが、うららによって示唆される。響はなんとなく納得したようだった。

「でも、まさか宇宙で戦うことになるなんて思ってもみなかったわ。響、貴方はプリキュアとして戦う以外で『出る』の?」

「パイロット資格持ってるから、バルキリー、MS、ナイトメアフレームで出る。プリキュアの姿で宇宙で戦うには、最強形態になる必要があるから、面倒なんだよ」

「それもそうね……。ロトでも乗ろうかしら」

「ありゃ、防弾性能悪いぜ。デストロイドはどうだ。世代交代して性能上がってるし」

「基本、陸戦用でしょ?」

「ケーニッヒモンスターなら、VBだぜ」

美希は前世でモデル/ダンサーであったため、ダージリンとしての技能が活かせる機動兵器は限られている。響(シャーリー)がケーニッヒモンスターを勧めたのは、そのためだ。プリキュアの姿で宇宙空間を戦うには、飛行能力が必要という現実がのしかかっているからで、大抵のプリキュアは最強形態の制御に一定の特訓が必要なのだ。

「まさか、アニメで見た光景が現実になってる世界があるとはね。私達も大概だけど、これは、ね」

「まぁ、この世界は戦乱期に入ってるからな。統合戦争以来、さ」

「それで科学文明の発達を歪めたのは、本末転倒じゃない?」

「当時の西洋諸国にそういう事は言えってことらしい。特異点を恐れるあまりにその方面の技術を後退させたから」

「それで行き着いたのが、ボタン戦争の否定と、M粒子の軍事利用なの?」

「そうだ。M粒子で完全にボタン戦争が終焉して、また有視界戦闘が主流になった。外宇宙で使うには一定の工夫も必要だけどな、あれ。通信原理が違うと、あれは通じない場合があるからな。それで確立したのが地球連邦軍の今の宇宙艦隊運用ドクトリンってわけ」

地球連邦軍はM粒子下戦闘と従来型の戦闘の双方のやり方を混ぜることで、23世紀から24世紀までの100年を乗り切っている。地球連邦軍が敗北の二文字を味わったのは、セイレーン連邦との序盤戦、イルミダスとの遭遇戦など、1000年間で二、三度程度である。この時代(23世紀初頭)は一年戦争以来の猛者が地球連邦軍の主力艦隊『アースフリート』のパイロットの六割を占める頃であり、人的意味での最強を後世から謳われている。そのため、幾度かの改組を経た30世紀のアースフリートに『雇われる』者も多い。ロンド・ベルなどは部隊ごと30世紀のアースフリートに『再雇用される』手筈である。

「宇宙は空の延長線と考えてる国も多かったけど、宇宙船の時代になると、海と考えるのね」

「日本とイギリスが地球の覇権争いに勝った世界だから、宇宙軍も空軍から海軍に変わったのさ。連邦宇宙軍は空自が直接の先祖だけど、今は海軍もだいぶ入ってるのさ」

「それで、宇宙船の分類が海軍そのままになったってわけね」

「そういうこった。特にこの世界はカオスってんからな。デビルマン/不動明がデーモン族と戦ってるし、仮面ライダー達が『ライダー大戦』に突き進んでる。キューティーハニーが実在してるんだぜ?ドラえもんもいるんだし、別に驚くほどじゃないぜ。あたしらの転生は」

「ヒーローのバーゲンセールね、それ」

「スーパーロボットもある世界だし、なんでもありさ。ただ、分かるのはマジンガーZの邪の意思の成れの果てに、魔法つかいプリキュアははーちゃん以外が倒された。その仇討ちはせにゃあならねぇ。のぞみはそれを強く望んでる」

「マジンガーZの成れの果て、ね。元から第7艦隊と対等に戦える戦闘能力のマシンが果てしなく進化した化物。そんなものとどうやって……」

「先輩が言ってたよ、美希ちゃん。『神を超え、悪魔を倒す』。それしか、そいつと同じ土俵にも立てないって。やるしかないよ。なぎささんとほのかさん、咲さんと舞さんがいない以上、わたし達が一番の古株なんだから」

のぞみは以前より責任感が強くなっているようで、『先代達の不在に伴うプリキュアのリーダーシップは自分が取らなくては』という重圧が重くのしかかってるのがわかる。ある意味では『三代目』というのは、初代と二代の不在時にはリーダーシップを取るべき立場になるが故の苦悩がある。仮面ライダーで言えば、V3が一号と二号の不在時は他のライダーの指揮を担当する『次席』にあたるのと一緒である。

「肩に力を入れすぎよ。それにリーダーシップを取れるのは貴方だけじゃないのよ?」

美希は基本的に参謀ポジションであったが、ダージリンとして、リーダーシップを取らなくてはならない局面も経験したため、過剰にリーダーシップを意識するのぞみの姿を見かねたらしく、多少、ダージリンが入ったセリフを言う。

「そうそう。響さんやラブさん、それにみゆきさんもいるんですから、もっと気を楽にしてください」

「ふぇぇ〜ん!」

「とりあえず、だ。しばらくはみゆきと連絡を取り合って、のぞみ、あたし、ラブの合議で身の振り方を決める。もうじき、はーちゃんも来るから、皆はそれで動いてくれ。パルチザンに参加したなら、軍隊の階級は得てるな?」

「ええ。うららと私は少尉よ。この戦が終わったら士官学校コースね。元・芸能関係者としては複雑だけど」

「広報でそういう仕事は山程あるさ。あたしなんて、銀河ネットワークのヒットチャート上位の歌姫の影武者してんだから」

「あら、自慢?」

「そーゆわけじゃないけどな。お前だって、どうやってたんだよ。ダージリンの薀蓄話……」

「それは……まぁ、ふ、フィーリングよ」

ダージリンのトレードマークとして、薀蓄がよく知られている。蒼乃美希は覚醒後、それでかなり苦労したのか、冷や汗をかいている。プリキュア出身者はリーダーでない者は少尉待遇になるという規則は地球連邦軍でも同じだ。現地での野戦任官扱いであるので、戦後に士官教育を施す(りんやはーちゃんはダイ・アナザー・デイ後の期間に教育がなされた。ウィッチ志願数の見込みが悲惨なことになり、二人への教育が予定より早まったのである)手筈となった。

「これからどこへ?」

「月と地球の中間だ。そこを通るネオ・ジオン艦隊と一戦を交える。連中は今、ジオン共和国の自治権返上で焦ってんからな。」

ネオ・ジオンはこの時期、内部分裂の様相を呈しており、別の時空で揶揄されたように、一枚岩の組織ではない。ダイクン派、ザビ派、ハマーン派、グレミー派の寄せ集めで、組織力は公国軍時代からは見る影もない。ただし、シャアを含む、ごく少数の公国軍時代からの撃墜王達の力で平均戦闘能力は高い。しかし、技術発展は停滞しており、第二次ネオ・ジオン戦争開戦時の水準に毛が生えた程度である。ビームシールドを実用化し、MSのミドルサイズ化を進める連邦軍には不利は否めない。そのため、穏健派の進めるサイコフレームの規制の反対論が旧ハマーン派とザビ派には強い。地球連邦軍が加速度的にMSを進歩させている以上、サイコマシンで数的不利を補うのは当然だと。ネオ・ジオンは良質な量産MSを用意するのが伝統だったが、ギラ・ドーガやギラ・ズールも、地球連邦軍の最新量産機相手には、スペックで水を上げられている。シャアがオールズモビル(マーズジオン)のRFシリーズを採用し、配備を始めていた。シャアは対外的には、こうした施策で総帥らしく振る舞っているが、ネオ・ジオンの命運が尽きかけているのを認識しているため、ヌーベルエゥーゴを利用して、合法的にネオ・ジオンの幕引きを図っている。そのため、最後に派手に戦うことで、ネオ・ジオン将兵の充足感を満たす目的のため、敢えて地球連邦軍でも精強とされる部隊に戦闘を仕掛ける事もそれらしく装うことでやらせていた。シャア一流の『味方を欺くには、まず敵から』である。ただし、自分とアムロの対決に水を差す可能性の高いプリキュア達には容赦しない姿勢であるが。



「この空母はなんですか、響さん」

「ネオ・ジオンから接収したグワダンの設計を地球連邦軍系のデザインで再構築した大型空母だ。もっと大きいのもあるが、地球圏を守護するにはちょうどいいそうな。地球連邦軍じゃ、有数に優遇されてる艦だよ。艦載機はZガンダムの派生系だしな」

ベクトラは地球連邦艦隊の旗艦が予定されたが、その後の艦艇計画の推移で、有事即応の空間騎兵を載せる空母に変更されて就役したが、初陣が第三次ネオ・ジオン戦争であるという不運もある。度重なる戦争で、建造に使用予定部材の変更だけで数回も起こっている。その代わりにロンド・ベルと密接な関係を持ち、ロンド・ベルに協力する艦艇の位置づけになり、ロンド・ベルへのZ系MSの配備の仲介役も担っている。その関係でZガンダム系統の機体を全軍で最も多く保有している。空間騎兵が任務の都合でZ系を好むからだ。

「ZZとZが主体なの?νは?」

「νは量産機がライン構築中で、どこも持ってない。ZZとZはもうラインがあるから、特務には好まれんだ。ジェガンとかはエース級には雑魚だからな」

一般には、Z系は脆弱性があると評価されるが、ムーバブルフレームの素体として頑丈そのものであるため、構造強化が施された機体が現時点での生産の主体であり、宇宙軍では、ベクトラとロンド・ベルが独占的に使用している。(デザリアム戦役中の時点)響の言う通り、Z系を配備されている部隊はエリート扱いなのだ。

重装改型(ダブルゼータ)、この間の時はなのはが使ってたっけ」

「あれは燃費悪いからなー。70年代ん時のキャデラックみたいなもんだ」

「ガンダムにも、燃費の概念ってあるんですか?」

「エンジンへの負担とかの問題で、動ける時間が短いのがいるんだよ。重装改型(ダブルゼータ)は武器を盛りまくった弊害で、歴代ガンダムの中じゃ使い手を選ぶんだよ。Zは軽装だけど、オーソドックスだからな。変形を使いこなせりゃ長期戦に耐えられるんだよ」

アムロもZは高く評価しているが、ZZについては『稼働時間が短い』としている。ドーベンウルフほどではないが、火器偏重な設計であるのが難点と述べている。そのZZを実用性寄りに再設計したのがSガンダムであるので、そちらは評価している。(最も、複雑なフレームによる組み立ての難しさに苦言を呈しているが)

「元は実験機だったのが、プロトタイプレーシングカーみたいな位置づけになる…。兵器開発じゃ珍しいわね」

「ガンダムはリアルロボットの中での『ヒーロー枠』に近いしな。地球連邦軍の造るワンオフの高性能機のブランドって考えてとけ」

ガンダムの量産機として有名なジムシリーズだが、元々はRX-81で取って代わられる計画であったため、ガンダムとの階層の差が顕著になったとされる。最近では初代νガンダムの八割以上のスペックをフォローする機体がチラホラ出ているが、より高性能なHI-νガンダムには水を上げられている。また、技術的に、歴代RXシリーズ、MSZ、MSAシリーズと繋がりのないサナリィ系ガンダムも現れているので、一種のフラッグシップモデルのブランドと化している『ガンダム』。アナザーガンダムを含めない、軍用MSとしてのガンダムへの認識はそんなものである。

「今は月の政府の統制が地球に及ばない状態だ。ネオ・ジオンへの対応は事後承諾になる。21世紀始めの日本にゃ理解できないだろーさ。有事のこういう即断即決」

「あの時とクーデターん時は大変だったしねぇ。自分の時代の日本って、なんかマニュアル小僧っていうか…」

「有事が起こった時に右往左往するしかできないのが、平和な時代の政府だもんな。だから、学園都市を制御できなかったんだよ」

「これから、あたしらは少なくとも40年は前線だろうなぁ。後の世代は人数が少なくなる上に、直系の子孫以外は小粒になるし…」

「なんだが、気が遠くなりそうな話ね…」

「歳食わないようになったのだけは救いだよな。社会的変革で疎んじられるのは目に見えてるし、魔法つかいは。だから、どっかの漫画だがラノベじゃないけどよ、『万能ではなく、戦後相当の科学技術の進展と比べて特別有利なわけでもないじゃん』とか言って、あたしらが転生した先の世界の魔法つかい関係の予算が減らされる。その癖、求められるのは21世紀のジェット機の空爆と艦砲射撃と同じくらいの制圧効果だぜ?仮面ライダーやスーパー戦隊と同じ事をしろったって、プリキュアになんないと無理だし、ドラえもんの世界には、『世紀末』になったら絶対に活躍すること請け合いな拳法があるし、プリキュアになっても鍛えないとならないんだけどな」

「ほんと、偉い人は下っ端の苦労がわかんないんだから…」

「どこでも、そういうのはあるものなのね…」

「私も20代半ばくらいで、鷲尾さん(うららの生前でのマネージャー)が上の人に『売り方を変えろ』って怒鳴られてるの見ちゃった事ありますし」

「私はそういうのはあまり無かったわね。けど、戦車道で先輩達に、より年式の新しい戦車の購入を具申した時に青二才扱いされたのはムカついたわ。マチルダでアハト・アハトにどーやって立ち向かえってのぉ!」

「あ、本音出た」

蒼乃美希がダージリンとして、どのあたりから生活していたかはわからない。だが、かなり聖グロリアーナのしきたりや、卒業生達の過剰な干渉に辟易していた事から、地球連邦と7人の仮面ライダー達の介入時には自我意識が覚醒めていたとも取れる一言であった。意外に戦車道に順応しているあたりは流石である。

「…おほん。みんな、これから頑張ろう。プリキュアとして、Gウィッチとして」

「おー!」

響が音頭を取って円陣を組み、一同は気合を入れる。目の前の第三次ネオ・ジオン戦争を戦い抜く事が急務であった。そして、自分達の居場所を造るために。ここからがプリキュア出身のGウィッチ達がネオ・ジオンと一戦を交えていく流れとなっていくのだ。




――ダイ・アナザー・デイが連合軍の勝利に終わった後、扶桑で内乱が起こった。その内乱で強引に軍部を抑え込んだ結果、軍への新規志願が悲惨極まりない数字を叩き出し、ウィッチとして新規に入隊した者はごく少数になってしまった。日本は義勇兵の増加と技術供与で埋め合わせを狙いつつ、ウィッチ組織の縮小改編を図った。だが、自主的なMATへの移籍で組織規模は元から縮小し始めていたので、昭和天皇の要請もあり、『竹井退役少将の存命中は兵科を維持する』ことで妥協された。(彼の死が認定できた段階で機甲科/航空科に統合されるという約束になり、ウィッチ兵科章は特技章になる手筈である)ウィッチの世代交代が遅延していく理由は、ウィッチとしての才能以外の必要技能がこれまでと比較し、高レベルで求められるようになり、『文字通りのエリートか、元エースの血縁者だけが勤められる狭き門』と認識されてしまったことが大きい。一部に前時代的と揶揄されているGウィッチの特権が公に認められていくのも、新規志願数の目減りが目も当てられないほどであり、日本からウィッチそのものが疎んじられ、『軍に志願するウィッチは物好き』という風潮へ扶桑も数年ほどで変革してしまったが故に、大戦世代の多くを使い倒すしか、もはや選択肢が無く、大戦世代の大半は1970年代でも第一線を担っていた。世代が完全にベトナム戦争以降に志願の世代へ入れ替わったのが80年代後半という、二代目レイブンズの持ち込んだ記録からわかる事は『扶桑皇国でウィッチが居場所を守るためには、技術供与で異常発達する通常兵器よりも運用面での費用対効果が高いことを数回の戦争で示す必要があった』。それだけだ。そして、異能の力を持つ者達が集中する64Fは暗黙の了解として、原則的に『結成時の幹部の血縁者か、彼女たちの認めた者のみが配属される』エース部隊として、1990年代以降も存続している。結成時のメンバーがいざとなれば復帰できるようになっているとは、二代目の談。二代目はダイ・アナザー・デイの後も待機しており、未来世界で戦う黒江達の代理を勤めている。プリキュア・プロジェクトの目的の一つが人手不足を『質で補う』事であるのも、扶桑軍を長年に渡り、悩ます『魔女の人手不足』の表れであった――



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