ドラえもん のび太とスーパーロボット軍団 第二部


未来世界がデザリアム戦役へ突入した時期には、ウィッチの間で『魔力は個人の気力で上下し、ある程度であるが、戦闘で発揮できる力が左右される』という理由から、現場で奨励されていた一種の精神論を日本の世論が『悪しき風習』とし、排除しようとした事への反発が起こっており、それがMATの勃興に繋がった。軍隊に『開戦時』に在籍していたウィッチは航空で300人いるかいないかで、その6割が古参兵かつ、64に属しているウィッチであった。最盛期は700人以上を数えた軍の航空ウィッチも、47年年始の段階では290人にまで低下した。ウィッチのマルチロール化はその人数の低下で始まったと言っていい。Gウィッチのように、低下した量を補うための質が求められた事もあり、世代交代に伴う質の低下が恐れられ、急激な『世代交代』が上層部によって避けられたのもあって、大戦世代は定年まで使い倒される。史実あ号作戦時の惨状が恐れられたためだが、その分、ウィッチの新陳代謝が阻害された面は否めず、太平洋戦争では『将官級のウィッチが前線に出る』事も珍しい光景ではなくなる。元々、ウィッチは名誉的に階級を上げていく慣例であったので、前線の『使い走り』が佐官である事も珍しくなかった。日本側がウィッチの昇進速度を緩めたものの、戦時中であるために戦功での昇進がポンポン起きる。高位の士官が無駄に増えるのを懸念した日本側からの戦時階級の適応案もあったが、ウィッチ閥の反対、日本の縦割り行政的な人事関係者がそれを面倒臭がった事(一説によれば、平時になるたびに書類を書き換えるのが問題視されたとも)から、扶桑軍のウィッチは将官であろうと、最前線で戦う光景がこれから出現していく。(これは佐官級ウィッチが戦功で准将になるケースが増えたため)粛清人事の結果、大戦世代からの新陳代謝が止まり、結果的に佐官/将官の上位ポストを独占してしまったため、前線要員の完全な世代交代が1945年から40年以上も後(大戦世代の定年である、1980年代後半から1990年前後)までずれ込むことになった。そのため、二代目501(ベトナム戦争時代に活動)が『二代目はダメだ』(戦局を左右できるほどの活躍はできなかったためか)とレッテルを貼られる羽目となる。次代の三代目が『初代の再来』とされるのとは対照的であり、狭間の世代の苦悩がその世代が上位の階級になったり、退役する時代に脚光を浴びることになる。デザリアム戦役でのGウィッチ達の死闘で、同位国との交流の過程で生じた『ウィッチ達は育成費用をチャラにしろ』という考えが根付き、『士官学校卒は最低でも7年の勤務が必須。かつ、その前に退官の場合は士官学校の学費返還』という項目が設けられたため、扶桑の10代の少女の間で軍への志願の志が萎んだのも事実であった。福利厚生が年を追うごとに充実していったのは、それを補う目的も含まれていた――







――未来世界で戦う空母ベクトラ。マゼラン級戦艦の着弾から空気圧で大爆発した戦訓が適応された初めての艦艇で、戦闘時は居住区を含めた全区画でエア抜きがなされている。なお、特別に強固な構造の外宇宙用の艦艇を除く宇宙艦艇はマゼラン級戦艦の戦訓より、戦闘時の減圧が必須事項である。ラー・カイラム級とクラップ級で0.5気圧程度に減圧するのが、近頃の宇宙戦闘のお約束である。ベクトラはその適応区画を広げた艦艇で、より強固なダメコン能力を備えている。火力もグワダン級を基礎としていた分、高い。砲塔数でラー・カイラムの数倍を誇る。船体の形状は地球連邦軍型艦艇に近づけているが、ところどころでグワダン級の名残りが残る。それが砲塔数の多さだ。また、次期旗艦のブルーノア級戦闘空母への布石も兼ねているためか、砲塔はビスマルク級宇宙戦艦から試行中の船体格納展開型だ。また、空母として防空に重きが置かれたため、対艦火力水準は標準型のドレッドノートよりはいい程度だ。砲そのものはヤマト型と同規格だが、船体形状が舟型でないベクトラでは、実効火力は七割程度である。戦闘空母ではあるが、空母機能が重視されたために、戦闘艦艇と見ると、対艦火力は高いわけではない。護衛艦に比較的に高性能なラー・カイラム級やアイリッシュ級がいるのはそれを補うためでもある。連邦艦隊はネオ・ジオン艦隊と正面から砲撃戦を初めており、ネオ・ジオンに打撃を与える。火力に劣るエンドラ級がすぐに炎上したり、古いムサイが艦橋を破壊されて漂流を始める――


「うわーお、いつ見ても、この光景は壮観だぜ。ネオ・ジオンは何隻だ?」

「30隻か40隻くらいですね。残党をかき集めたみたいですから」

紅蓮聖天八極式を乗せたプロンストのウェーブライダーのノビ少尉も艦隊戦に圧倒される。ネオ・ジオン最後の大艦隊と言える陣容だが、多くはエンドラやムサイだ。これでは最低でもクラップ級の地球連邦軍に不利である。響は左翼から陣容をモニターの望遠で確認するが、レウルーラ以外のグワダン級やサダラーン級は数隻程度だ。

「あれ?殆どがエンドラとムサイ、ムサカじゃね?グワジンと、グワダン、グワンバンはどこだよ」

「グワジン自体、殆ど残ってないよ。内輪もめで失われたの多い上、グワンバンはコア3攻防戦でZZに沈められたし、サダラーンは戦後賠償で解体だそうだし」

ジオンの誇った大型戦艦の多くはガンダムに沈められたか、内輪もめで失われたか、戦後賠償で解体の道を辿った。そもそも、グレートデキン自体、ソーラ・レイで失われているため、運に恵まれない艦級の烙印が押されている。グワダン級は二番艦、サダラーン級は三番艦、グワンバン級は四番艦まで建造されたという記録があるが、内輪もめで失われたほうが多い。また、グワジンは残存数も多く、残党にその全てが渡っている。そのためか、レウルーラの護衛艦隊はグワジンの系譜で固められている。レウルーラがもっとも年式が新しく、指揮能力に優れるため、総旗艦。他はジオンで数少ないBB扱いである。ジオンは快速巡洋艦をもっとも好むため、エンドラ、ムサカと、ムサイの後継は多い。だが、重巡洋艦と戦艦は国力の都合で数がない。各年代のグワジンの系譜達の生き残りは生き永らえていた同型艦の雑多な寄せ集めだ。しかしながら、細々と近代化改修はしてあるようで、艦載MSはネオ・ジオン時代の機種だ。

「なんで、残党の残党の残党の残党が、ドライセンとかザクVとかの高級機使えんだよ」

「アナハイムのグラナダ支社のバックのおかげ。ガサDだって、一年戦争からの残党にはもったいないくらいだ。MSは贅沢品だし」

「かーっ!あそこは死の商人かよ」

「グリプスの時からですよ。左手のしてることを右手が知らないくらいの自主性強いそうだから」

ジオン残党はMSの補給整備をアナハイムに依存するようになったが、そのおかげで地球連邦軍と互角のキルレシオのMSを得られる。どのような説明をしているのか。

「アナハイムが生産請け負ったが納入前にネオ・ジオンがポシャって、移民星へ格安で売りつけようとして失敗、月に野積みしておいたら、横流しやら窃盗やらでいつの間にか、って説明だとか?多分事業部長辺りが流してるんじゃないかな、グラナダの」

「えー!?」

「グラナダ、元ジオンの工廠と基地で、ジオンシンパ多いもの」

「うーん…」

「あ、連中、リック・ディアスを使ってるよ」

「あ、本当だ。ジオン系の外観だから、違和感ねぇ」

ネオ・ジオンの部隊にリック・ディアス系も確認できた。エゥーゴから離反した部隊が持ち込んだものだろう。ガンダムであるが、『ドムにガンダムの機能を持たせたか、ガンダムにドムの皮を被せた』というのがお馴染みのリック・ディアス。サイサリスとゼフィランサスの系譜を継ぐ、開発チームの次回作でもあるため、アナハイムガンダム第一号である。ガンダムにドムの皮を被せた機体をジオンが用いるのも皮肉なものである。

「中身はガンダムそのものだよ、あれ。改良型にガンダムフェイスが用意されてたとか聞いたし」

リック・ディアスU。量産はされていないが、試作機は完成し、プロトタイプのダブルビーム・ライフルを撃てたとも言われる。ただし、リック・ディアスを改良するよりも、より後発の百式とZの改良に主眼が置かれ、連邦軍にも顧みられずに闇に消えた機体である。当時としては上々な機体とされたが、なぜ量産されなかったのかは謎だ。ジムVのほうが安価だったからか、ネロを制式量産するつもりだったのか、クワトロ・バジーナ失踪後のエゥーゴは迷走していたのもあり、記録が残っていない。

「でも、なんで量産しなかったんだ?初期のジムVなんて、在庫の改造品だろ?」

「大半がそうさ。ジェダができたんで、あくまでその繋ぎ扱いだから、ガンダリウムを使うリック・ディアス系は高すぎたんだと思う」

地球連邦軍は結局、ジェダもコストダウンを強く要求し、ジェガンに至った。ジェガンの初期型は装甲が薄いと言われたが、D型、J型、R型と至るまでに改善された。ジムVはアナハイムがジム系の近代化改修案として提案していたものがカラバ、後に地球連邦軍全体に採用された。ジェダまでの繋ぎと見なされたものの、ジェダがジェガンに再構築される都合で量産が遅延したために800機が使われた。アムロも、ジェダ搭乗前はディジェの改良型を使っていたので、グリプス戦役のMSはマイナーチェンジでニュータイプにも対応できる。また、一年戦争のものより基本ポテンシャルがケタ違いなため、当時の高性能機は一線級のポテンシャルをちょっとの改良で出せる。アムロもグリプス戦役当時のディジェを使っていた時期が意外に長いのは、ロンド・ベルは創立時には、上層部に疎んじられていたからである。しかし、現在は異星人の脅威が現実になったので、ロンド・ベルを矢面に立たすため、打って変わって、最強の装備を与える。アムロとブライトは手のひら返しに呆れているが、レビルの帰還が自分達に有益に働いたためもあり、とりあえずは妥協している。

「その割に、ガンダムをポンポン作ってないか?」

「そりゃ、自分達の身が危なくなれば、どこかから引っ張り出すし、新しく作り直すよ」

「それもそうだなぁ。アムロさんも言ってたっけ……。」

地球連邦軍は政府に足を引っ張られる事が多いが、この時代は有事即応の意義が見直されたので、機材を豊富に外殻独立部隊に配備する。そのドクトリンを21世紀の日本政府は真似したことになるが、外殻独立部隊のロンド・ベルと、軍の一飛行隊である64Fとでは勝手が違ったのも事実だ。実際、武子自身、エースの割合が高すぎると意見具申した事があるが、源田の『日本から予算の承認を得るには、教導部隊以上の精鋭部隊しかないのだ』という一言で引っ込めている。実際、横須賀航空隊、航空審査部の解散で行き場を無くした古参兵の引き受け場はどうしても必要。世代間の対立が表面化した以上、若い世代から疎んじられた事変〜大戦初期世代の職場の創設は必要だったというのが、日本連邦の部内での64の活動再開の大義名分である。日本が地球連邦軍のロンド・ベルの存在を知り、ロンド・ベルのような無敵の部隊を343空の発展で済ませて編成したいので、343空の組織を引き継がせると条件をつけたのだ。旧64F時代の隊員というだけで幹部扱いで乗り込んできた黒江たちに志賀が反発したのは、海軍343空の色彩が色濃かった弊害である。志賀の離脱に伴う人的補償が坂本なのは、坂本にとっては前々史の事があるためか、皮肉な経緯である。ただし、エースを一極集中させる事への危惧は軍・自衛隊ともに意識を共有していた。また、エースの独占は部内から反対意見も多く、それを日本防衛省の背広組が44戦闘団を引き合いにして黙らせている状況を憂いた山下大将の鶴の一声が飛んだ。

『47Fと50F、244Fを64の後詰めとして強化すればいいのだ!』

扶桑陸軍系の部隊だが、精鋭として鳴らす部隊を更に強化すればいい。しかし、人的資産の多くは既に64に回されていたため、旧・601空が反対を退けて、その資源として回されたのである。そのため、空母機動部隊の弱体化が急激に起こり、坂本は前史より早い段階で仲立ち役の任務を仰せつかった。海軍ウィッチ部隊はクーデターのおかげで、太平洋戦争まで屈辱を味わう羽目になったが、半分は自業自得であるため、山口多聞などのクーデター後の連合艦隊の司令部からは冷ややかに見られたという。(今回は山口多聞が次期主力戦艦を持ち出して、クーデター海軍を解散させたので、海軍はクーデターに殆ど加担しなかった。しかし、小沢は進退伺いを出し、辞任している)結果として、海軍航空隊は屈辱に塗れることとなったが、空軍との一体運用が成ったため、後世から賛否両論であったという。









――デザリアム戦役の頃になると、ウィッチ世界では扶桑皇国の超大国化の傾向が強まった。ブリタニア連邦の財政難が顕著になり、ヒスパニアがジブラルタルの領有権を譲渡(政府が機能しないため、暫定政府が決定)し、マルタ共和国が併合を申し出たものの、一次大戦の傷が癒えぬままに第二次大戦に突入したため、緩やかなる衰退はキングス・ユニオン化でも避けられない見通しであり、それを補う事が比較的に国力を温存している扶桑には求められた。日本側がこの情勢にも関わらず、頑固に軍縮を目指したため、却って批判を浴びることとなった。日本はオラーシャの四散やヒスパニアの無政府状態化の責任を取れという非難に、政府は誠実に対応したものの、国民は非戦の風潮もあって、混乱の要因はフランコ政権とロマノフ朝の傲慢にあるとし、ヒスパニアとオラーシャとの間に火種を抱えていた。怒った両国は共同出兵も考えたが、日米安保条約で米軍が参戦したら、21世紀の兵器で蹂躙され、瞬く間に負けてしまう(熱核兵器の投入を恐れた)。そうすれば、軍隊の解散は必定である。そうしたら怪異への抵抗力が消える。同位国が冷淡な両国にとって、共同出兵は無謀な選択でしかなかった。既に、智子の一軒(いらん子中隊の戦果の秘匿)の報復としての軍の撤兵を恐れたスオムスが日本連邦に外交的に屈している事もあり(マンネルヘイムが、日本ルートで、事の重大さを知ったフィンランド政府からの外交圧力に屈したのもある)、両国は日本への抗議と外交圧力に留め、自国復興に努めるのを選んだ。マンネルヘイムの大統領解任が取りざたされ、スオムス軍がパニックに陥ったからだ。各国からエースウィッチを供出させる方便としての507も消滅させられた同国は、折しも古参兵らとの世代交代期に差し掛かっており、マンネルヘイムが解任させられれば、スオムス軍は瞬く間に崩壊してしまう。いくらモントゴメリーにのせられたとは言え、直接的にいらん子の戦果秘匿を決定したのがマンネルヘイムだった事もあり、彼は日本連邦の怒りを鎮めようと必死になった。スオムス白薔薇勲章の最高位『宝飾・剣付スオムス白薔薇勲章』を智子に授与したり、東京/札幌五輪に選手派遣を確約するなどの対策を矢継ぎ早に表明した。(日本で智子が勲章をつけて式典に出たところ、ハカリスティを鉤十字と誤認した野党議員が問題にし、フィンランド大使が国会でハカリスティだとわざわざ解説する事態にもなった。いらん子中隊の一軒は、ブリタリアとスオムスで懲罰人事の嵐を起こしたのだ)507の消滅はスオムスの大誤算。智子が同隊のエンブレムをダイ・アナザー・デイで使用しなかった事もあり、後任のハッセやその部下の立場は危うくなった。扶桑/シャム出身の隊員の帰国が太平洋戦線を理由になされたのもあり、対策として。ハッセは507隊長としての実績を積めぬままに原隊復帰となったが、原隊で『出戻り』としていじめを受けた。こうした若手による『古参いじめ』が表面化してしまったので、ハッセは501に一隊員扱いで送り込まれた。ウィッチ社会で起こる若手と古参の軋轢は社会問題として取り上げられ始め、科学の異常発達に伴う、つぶしの効かないウィッチの悲鳴と揶揄された。それは国によって、状況は違う。扶桑とカールスラントでは、古参兵に一騎当千のGウィッチが引きめいていた幸運により、(扶桑では、古参兵ほど偉いという暗黙の了解があったため。カールスラントはトップクラスがGであったので、自然に受け入れられた)そういった問題はダイ・アナザー・デイを境にスッと消え始めた。一方、Gウィッチがビューリングと美遊・エーデルフェルトしかおらず、Rウィッチもあまりいないブリタニア連邦では、スオムスと真逆の状況となり、王室からも爵位を与えられる待遇が羨望の眼差しで見られるようになる。また、Rウィッチになれば騎士の称号が与えられるため、ブリタニアも穏やかにRウィッチ/Gウィッチを受け入れた。しかし、かつては問題児で鳴らしたビューリングが爵位を得る事は、彼女を嫌った派閥には皮肉な状況となった。(智子のために軍に残ったためもあり、本国で疎んじられていた過去から、躊躇ったが、女王の強い要請で受けた)また、1946年に怪異が日本に転移。自衛隊では対処できず、扶桑空軍64Fとロンド・ベルが対処した事件が起こると、手のひらを返して、扶桑ウィッチを優遇しだす。なんとも言えないが、日本の大衆は『起こってしまわないと、現実と考えない』気質であった事が後世にあたるロンド・ベルから認知され、呆れられたという。――








――一方、防諜上の理由で、Gウィッチとなった者から遠ざけられたウィッチも存在した。諏訪天姫である。彼女の方面から、中島錦が夢原のぞみとなった事実が知られるのを懸念した圭子の進言で、天姫はダイ・アナザー・デイにあまり関わらない内に501から異動させられ、錦との面会も禁止された。これはウィッチは史実のウォーロック事件で証明されているが、軍機というものにあまり頓着しないところがあるためと、中島小鷹(錦の歳の離れた姉)に知られ、無用なパニックを起こされることの防止である。中島錦が夢原のぞみとなり、その人格がのぞみの血肉となった事はショッキングであるため、錦の身内であろうとも、一切知らされていない。のぞみも『そのほうがいい』とし、ダイ・アナザー・デイ後の帰省の時は、『人格融合』を選んだため、錦の姿へ変身できるようになったので、その試験も兼ねて帰省。キュアドリームとして、勃発したクーデターを鎮圧している。天姫とは、帰省の時に会話を交わしたのが最後である。そのため、公には『夢原のぞみ大尉』は『中島錦大尉と別人』の扱いであるが、上層部は同一人物であることを暗黙の了解で知っている。小鷹に知らされなかったのは、彼女が調べれば、同一の軍籍と認識番号で栄典や人事が処理されていることがわかってしまうからだ。プリキュア・プロジェクトが連合軍の最高機密であったのは、いくら、プリキュアの転生体と言っても、ある人物の名と生活を捨てさせるに等しい事から、倫理的に引っかかるとの指摘がされる可能性もあったからでもある。また、のぞみとしても、錦の意識を取り込んだ事での負い目も確かにあったためでもある。アルトリアがカールスラントのエースウィッチとして生活に入ったのとは違う面で問題になるのも予測された。お互いの人格融合が進んだのは幸運であったが、姉の中島小鷹が言動に違和感を覚え始めているのも事実だ。いずれ、告白はせねばならないだろうとは、赤松の言。また、若松のウルトラC的な発案もデザリアム戦役中には出されている。『プリキュアの名前は、変身した時のものはTACネーム、変身するキャラ名はイスラエル軍的な軍人名みたいな運用にする』という内容のものだ。若松曰く、『軍に入ったら娑婆とは縁が切れるという意味合いと兵士の個人特定を難しくするために軍人としての偽名を名乗るってネタはSF小説でも有るものだ。童(黒江のこと)にそう提案させろ』とのこと。これはすぐにパルチザンでも採用され、戦車道世界/IS世界からのプリキュア関係者にも適応された。(みらいとリコを除く)つまり、ダージリンの軍籍は『蒼乃美希』として、ナオミは『春日野うらら』として取得しているし、逸見エリカも『相田マナ』名義、西住みほも『四葉ありす』名義で軍籍が登録されている。戦車道世界からは留学という名目で引っ張って来たので、プリキュアとしてのキャラ名を別名義として使うのが奨励されたのである。それに付き合う必要の薄いのが緑川なおこと、ラウラ・ボーデヴィッヒ。彼女は鈴との交代という大義名分が既にあったので、付き合う意味はあまりない。そのため、自分から『TACネームには使うが、ISの操縦者としての仕事もあるんだ。プリキュアに変身はするが、あまり参加できんぞ?』と言ってきている。ちなみに、うららや美希に銃の細かい扱い方を教えたのは彼女である。ただし、うららの二丁拳銃には苦言を呈している。二丁拳銃はかなりの熟練がいるため、女優として真似事をした程度だったうららに一言言いたくなったらしい)。しかしながら、ナオミとしての射撃の才覚を銃器で活かし、それがフルに発揮されたために前言撤回をしたとのことだが、かつての女優時代に演じた役どころで使っていたワルサーP99を選んでいたので、ラウラは『P99?う〜む』と言ったとの事。ウラとしては珍しい場面だ。ちなみに、のび太曰く、『日本のアニメであるけど、ガバメントじゃガンスピンは無理さ。考証ミスだよ。僕はリボルバー派だけどね』とのこと。これはその転生のノビ少尉にも引き継がれている。また、のび太に教えを乞うと、ハッタリを効かせる講座として、357マグナムや44マグナムの長銃身モデルを持たせられる事がある。これはのび太がダーテ○ハリーのファンである事が大きな由来だが、リボルバーのほうが確実な作動を約束しているというメカニズム的理由もある。これは転生しても変わりない嗜好で、ノビ少尉としての弟の一人である『ノビ・ノビアキ士官候補生』も『兄貴はご先祖様そっくりだ』と漏らしている。弟たちからも、嗜好は先祖ののび太と瓜二つと評されるノビ少尉。それはのび太時代の嗜好をそのまま受け継いだからで、銃もかつての先祖伝来ののび太の遺品を引き継いだ。資産家として名を成したセワシの代に名家とされてからは、野比家の当主の座は射撃の腕も継承条件になり、のび太の後は代々の嫡子が引き継いでいるが、ノビ少尉の父の代にお家騒動が起こっている。それはノビ少尉の叔父が射撃の天才であったので、当時の野比家では嫡子ながら、銃の腕が劣る兄を差し置いての当主継承が取りざたされていたからである。最終的に当時はまだ存命であったセワシの一声で決まったものの、禍根は残った。

『腕っ節や優秀さしか見えないバカは野比家には要らんぞ、馬鹿者めが』

老いたセワシは、人徳を理由に、嫡孫を後継に使命した。しかし、これで二番目の孫の妻から恨みを買ってしまい、セワシはその残り少ない寿命を心労ですり減らすことになった。彼自身は次男のコロニー落としでの死亡、孫たちの跡目相続争い、孫の妻との不和など、財はなしたが、家庭的には幸福な後半生ではなかった。ただし、自身の高祖父の生き写しに育った『ひ孫』のノビ少尉を溺愛し、彼が士官学校を卒業した翌日に死去した。享年は80代後半。野比家の勃興後半期と混乱期を見届けた男は最期を、愛するひ孫に看取られながら迎えたのである。野比家と、野比家と関係が深い『剛田家』と『骨川家』の二家は代々、学生結婚をし、25歳で子を儲ける風習があり、ノビ少尉の代でも変化していない。マドンナポジの源家の嫡流が野比家に取り込まれた後の時代でも変わらずにある関係だ。

「やれやれ。うちも名家扱いだから、兵役は義務みたいなもんだよね。ノブリス・オブリージュ的な?」

「いつから名家扱いだ?」

「セワシが自衛隊を辞めて、実業家として成功した頃からさ。で、日本連邦の復活で華族扱いになったから、『僕』の代からは兵役に行く事が義務になったんだ。三人の弟も軍役につくし、『親父』からのいいつけみたいなものだしね」

野比家はノビ少尉の父からは華族(伯爵)扱いになったため、その子であるノビ少尉達にはノブリス・オブリージュ的意味合いでの兵役が義務付けられた。士官学校に行ったのは、彼とすぐ下の弟で、あとは兵卒として従軍しているとのこと。

「華族ってのは大変だな」

「扶桑じゃ現在進行系で生きてる身分だしね。日本じゃ霞会館に出入りできて、良家扱いされるしか恩恵はないけど、ノブリス・オブリージュは課せられてるのさ」


ノビ少尉の言うように、日本連邦で華族の取り扱いは結局、イギリス風で落ち着いた。日本では『公的な身分としては扱わないが、相応の礼で待遇を行う』ということで通り、霞会館への出入り許可などの特典を有する。また、黒江の比較的に若年での空将昇進の理由付けに使われる程度には、『箔』になっている。戦いつつ、二人は会話を続ける。

「なんだか大変だな、日本の扶桑華族の扱い」

「ノーブルウィッチーズを解散させたお詫びなんだろうね、日本が扶桑の華族を生き永らえさせたの。ガリアが疲弊して、象徴を必要としてたのに、それを潰したわけだし、後々でアルジェリア戦争だし…」

「あれな。ド・ゴールのせいだぜ?前史だと、国が資源不足に陥るのに怯えたタカ派を抑えられなかったんだし、あのおっさん。たぶん、今回も似たような経緯で起こるだろうよ」

「やれやれ。資源なんて、日本みたいに買えばいいのに、フランスって、ナポレオンの頃の栄光を追ってるんだから」

「フランスなんて、花の都、パリジェンヌの幻想が破られたらよ、単に昔の栄光で持ってるだけみたいな国だぜ。だから、ガリアの国情的に日本連邦に喧嘩売るなんてのは馬鹿な真似だってんだ。史実の1980年代以降の兵器を持ってるとこに、時代相応の兵器しかねぇとこが喧嘩売ったらどうなるか、火を見るより明らかだろうに。前世であたしらが『あいつ』に乗せられて、ブリタニアに喧嘩売ったにしても、互角のナイトメアフレーム持ってたからだしな」


「ノブレス・オブリージュは個人の規範として持つのは良いけど、それを政府が強要したり政治に使うものじゃないってことさ」

ニヒルな微笑を見せるノビ少尉。

響は前世でルルーシュ・ランペルージに乗せられたり、ゼロレクイエムから除け者にされた事を根に持っている節がある。また、アルジェリア戦争を選んでしまうガリアに呆れているらしい。ただし、ノブリス・オブリージュ自体は後輩の『GO!プリンセスプリキュア』の存在もあって、真っ向から否定はしていないなど、色々と複雑な心中が見え隠れしている。前世で紅月カレンであった事は隠してはいないが、ルルーシュ・ランペルージや枢木スザクへは、転生した今でも複雑な感情を抱いている。それ故に、プリキュアとしての先輩であるのぞみには、自身の味わった辛苦を味わって欲しくはないという心情を懐き、その支えになる事を決意しているなど、北条響としての優しさも健在である事も分かる。

「お、ムサイだ」

「よし、行くぞっ!」

ミノフスキー・ドライブで擬似的に再現されたエナジーウイングを展開し、ウェーブライダーから降り、ムサイ後期型に接敵する紅蓮聖天八極式。120ミリ連装機関砲が増設されたモデルであるため、それなりの対空弾幕を僚艦と展開するが、元来、一年戦争以前に源設計ができ、MSとの対空戦をそれほど考慮せずに設計されたムサイでは、やはり限界がある。そのため、直掩のリック・ドムUを突破されれば、ムサイタイプは無力に等しい。紅蓮聖天八極式相手では尚更だ。

「飛び散れぇえ――ッ!」

輻射波動を最大出力で照射し、ムサイをへし折るようにして沈める。この時に、輻射波動は艦艇には未だ有効だが、MS相手には有効ではないというデータが収集された事から、これがMFからのシャイニングフィンガーのスピンオフの契機となった。サイズの違いで、ネオ・ジオン軍は中々、射線を絞れずに攻撃を外しまくる。小型MSとの交戦経験すらないものが大半のネオ・ジオン軍人は紅蓮聖天八極式のスピードに対応できず、立ち塞がる者は尽く、MVSの錆になるのだが、その勢いを挫く者がいた。

「うおっ!…この正確な射撃は……アナベル・ガトーか!?しかもリゲルグかよ!?」

六機目のリック・ドムUを両断したところで、青と緑のリゲルグが凄まじい勢いで突進してくるのを視認する響。カラーリングからして、パイロットはアナベル・ガトーだろう。ビームライフルの照準を補正してきている事からも、彼であることに疑いの余地はない。

「武士気取りのポニーテール野郎、デラーズの腰巾着めっ!今更、星の屑でもねぇだろーに!のび太、援護頼む!」

「OK!」

アナベル・ガトーはエギーユ・デラーズに心酔しており、大量虐殺も大義の犠牲と考える側面がある。その過激な側面が北条響に嫌悪されている。紅蓮聖天八極式には遠距離用の射撃武器が殆どないため、接近戦で対応した。コウ・ウラキが艦艇攻撃に手間取っているらしいので、ガトーの足止めを否応なしにやる羽目になった。元から引き継いだ牽制用の小型ミサイルの弾幕をガトーはビーム・サーベルでこともなげに切り払い、そのまま、紅蓮聖天八極式とZプロンプトに襲いかかる。響は敢えて、紅蓮聖天八極式を突進させ、アナベル・ガトーと相見えた。


「アナベル・ガトー!あんたの事はコウさんとニナさんから聞いた!あんたの心酔してたエギーユ・デラーズはもう死んだんだぞ!?シャア・アズナブルが目指すのはジオン『公国』の再興じゃないってのは分かってるはずだ!」

「……月で、ウラキと行動を共にしていた少女か。圧政の苦しみに耐え抜いた人間が武器を取るのを、体制側が『悪』と呼ぶなら、磐石の汚名でもあえて受けよう!」

「知ったような口をッ!アンタがしてきた事は義だとかで片付けられるほど、綺麗事ばかりじゃないだろうに!」

ガトーはデラーズ紛争当時より年齢を重ね、自身が30代に入った事もあり、コウ・ウラキとの問答の時と違い、頑なに自分の大義を振りかざすだけでは無くなり、殺戮者の汚名を覚悟し、自分の業を自覚している事を見せる。コンペイトウ(ソロモン)での犠牲、アメリカ穀倉地帯の犠牲を知っており、自分も前世で戦後のガトーと似た立場であった響は『だからこそ』という心境で対峙した。総合スペックは圧倒的に上回るものの、瞬間的な加速力はリゲルグのほうが上回ったため、紅蓮聖天八極式を剣の鍔競り合いで圧すという珍しい場面を見せた。

「クソ、瞬間的な推進力じゃ、サイズ的に向こうのほうが勝ってるのか!?……おわぁ!?」

リゲルグはなんと、サーベルの出力を引き上げてMVSとの反発力を引き上げ、瞬間的に推力を最大にすることで、紅蓮聖天八極式を吹き飛ばした。これには響も驚愕する。ランスロット・アルビオン以外に互角に渡り合った機体がいないはずの紅蓮聖天八極式がパワー(正確には推力)負けしたのだ。これはガトーが瞬間的にフルスロットルにした事もあるが、リゲルグは推力値がZガンダムをも凌駕するものであるため、ミノフスキー・ドライブを持つとは言え、少しでも隙があれば、漬け込まれる。これは対応が遅れた響の戦術ミスであった。態勢を立て直すが、ガトーはビームライフルを容赦なく撃つ。輻射推進型自在可動有線式右腕部を用いてのバリアで防ぐが、態勢を立て直す隙を与えないつもりか、連射を行っている。

「くそ、これじゃ動けねぇ!」

ノビ少尉のプロンプトの援護射撃を物ともせず、ガトーは紅蓮聖天八極式のバリアを削り取ろうとする。最大出力かつ高貫通力のビームを撃とうとしたその時であった。

「ガトーぉぉ――ッ!!」

「ぬ!」

最大推力でフルバーニアンが下から迫る。ガトーはとっさに、かつての愛機『ゲルググ』から流用したシールドを構え、下から斬り上げる形で抜刀し、迫りくるフルバーニアンの攻撃を凌ぐ。

「ウラキか!」

「ガトー、理想や信念に殉じるのはお前の勝手だ!だが、連邦の再編で首都も宇宙に移った時代を迎え、ジオンは役目を終えつつある!それでもネオ・ジオンに殉じるというのか!?」

「そうだ。私は幾多の英霊の導きで生き永らえた。我が血塗られし道、免罪は乞わぬ!!」

ガトーももはや、ジオンという存在そのものの命運が風前の灯火であり、自身の行ってきた行為が大量殺戮にすぎない事を自覚している事を口にし、ドズル・ザビとデラーズへの最後の奉公として、ネオ・ジオンに殉じる事を選んだ事を示唆する。死に場所を求める日本の武士のような刹那的思考だが、過去に『多くの英霊たちの死が無駄死にでなかったことの証のために!』と述べているように、尊敬するドズル・ザビやエギーユ・デラーズの死、多くの戦友、部下の死で厭世的な思考になったとも取れる面を見せた。三対一ながら、威風堂々たる姿を見せるアナベル・ガトー専用リゲルグ。ガンダムタイプが一機、ナイトメアフレームが一機、Z系量産機が一機。三機と対峙しつつ、昔年のジオンのエースパイロットらしい風格を醸し出し、一種のプレッシャーを発するアナベル・ガトー。滅びゆく『ジオン』という存在、国家の大義に殉じようとする姿は高潔ではある。だが、見方を変えれば、ある種の『滅びの美学』に酔っているとも取れる。響は怒りを顕にする。北条響としてではなく、紅月カレンとしての言葉とも取れる、激しい物言いであった。

「そうやってお前が戦う事で、全てが無駄死にとなるんだ!お前が再興を願うジオンは地球に縛られず旅立つ事を選択したんだからなぁッ!」

報道規制でサイド3の住民投票の結果がネオ・ジオンに隠蔽されていたのを揺さぶりの道具に使う響。地球連邦はサイド3の自治権延長の条件として、移民船団への改編を迫り、情報規制をし、アンケートと言って住民投票させて移民船団化を決定させた。合法的な地球連邦の政策だが、元々、ザビ派の走狗と化しており、デラーズ・フリートの数少ない生き残りとなっているガトーの次の言葉に激昂する。

「フッ…。所詮は連邦に媚びた売国奴共よ。そんな事で、我々の戦いは否定できぬ!」

「…ざ……っ、ざけんなぁ!!一年戦争からの戦争の悲劇はあんたらが始めたんだ!自分だけが高潔だって言わんばかりな口を聞くな!あんたはそれで満足かもしれない。だけど、一方的に断罪された人達はどうなるの!?地球連邦の全部が地球至上主義じゃないんだ!そうでなきゃ、ティターンズに対してのエゥーゴは生まれない!異星人も取り込んで、連邦政府の改革も進んでいるのに、その結果を待つ事も出来ないの、あんたは!?」

「では、『それは違う』という意見をどこで言えばいいのだ?いつの時代も、その時々の施政者にとって都合の悪い意見は封殺されてきたのだ!それは幾多の国々の歴史が証明している。ドイツ、日本、フランス、イギリス、アメリカ。かつての大国達の歴史を見ても明らかなのだぞ!」

「そんなに人が信用出来ないってのか、あんたは!あたしは、インテリが手前勝手に考えて振りかざす『大義』って奴に、人の命が奪われるのが許せないのよ!周りを振り回すだけ振り回しといて、後に残された人達に後を託して、この世から消えるなんて類のは、特にね!」

響は紅月カレンとしての前世で、枢木スザクと問答をし、ゼロレクイエムが終わった後の世界の結果云々以前に、ルルーシュ・ランペルージのやった事に不満を感じていたのを垣間見せた。アナベル・ガトー相手に、ここまでハッキリと物を言えるのは、素晴らしいの一言だ。感情的になり、紅月カレンとしての感情もさらけ出した。ルルーシュが実行したゼロ・レクイエムから除け者にした(共犯者にしてほしかった心情も吐露してもいるので、なんだかんだでゼロとしてのルルーシュを信頼していた時の感情に決着をつけきれなかった事が窺える。)ことへの不満も相当にあったのか、二人と、それを知れる立場のC.Cへの不満と怒りも込めていた。

「あたしは、『あたし達』は見せなきゃなんないのよ、みんなに『心の光』を、『希望』をッ!紅蓮…、あたしに力を貸して!!」

言葉のニュアンスはアムロやバナージ・リンクスからの借り物ではあったが、のぞみに『重荷』を背負わせたくないという、響の一途さが紅蓮聖天八極式に組み込まれたサイコフレームを共振させた。その思いに応え、紅蓮聖天八極式の隠しモードが起動した。ユニコーンガンダムのように、紅蓮聖天八極式の各部装甲がスライドし、サイコフレーム由来の『緑の光』が見えるようになる。ユニコーンガンダムのデストロイモードに相当する『フルポテンシャル』を引き出すモードが開放されたのだ。アナハイムの技術者がユニコーンガンダムのデストロイモードを模す形で、機能を組み込んでいた。ユニコーンガンダムからの技術的スピンオフである。強い想いはサイコフレームを発動させるが、この場合はのぞみへの強い想いが発動のキーとなったと言える。その証に、武器のモードも切り替わり、MVSの刀身をビームサーベルのような光が包みこむ。

「こ、これは……」

「サイコフレームの共振だ…!アナハイムの連中、こいつにも仕込んでたのか…!」

コウ・ウラキも唸る、サイコフレームの共振。ナイトメアフレームのコピーにも仕込むあたり、アナハイム・エレクトロニクス社の駆け込み具合がよく分かる。正確に言えば、バンシィからともとれるが、響の想いの強さはサイコフレームを発動させるほどであった。また、それに伴い、エナジーウイングの形状も更に変形し、ランスロット・アルビオンのような形状に変化する。これはナイトメアフレームとしての、紅蓮聖天八極式の更なる改良型『紅蓮特式』と同型の形状であった。モードの起動に伴い、全ての性能が飛躍し、原型機の改良型『紅蓮特式』をも上回るポテンシャルを得る。その力でソロモンの悪夢と対峙するのであった。言うなれば、史実での改良型であった『特式』の機能を一部取り入れつつ、ユニコーンシリーズの技術とアナザーガンダムの技術で原型機を超越した機体。コンセプトは『ミニマム・ユニコーン』。たとえ規制条約が成立しても問題にならず、ユニコーンガンダムの機能を代行できる存在。なんとも凄まじい代物を生み出した地球連邦軍。原型機の設計者である『ラクシャータ・チャウラー』と聖天八極式への改良を行った『ロイド・アスプルンド』が見たら腰を抜かすだろう。響はプリキュア化に伴うGウィッチとしての恩恵でパイロットスーツ無しで操縦しているが、本来は『重装備の耐Gスーツ必須』な性能だ。元々、前世で紅蓮に慣れていた事、更に転生に伴うプリキュア化での恩恵の複合で、普段着での操縦を可能にしている。アナハイム・エレクトロニクス社とサナリィも想定外だ。Gウィッチとしての恩恵は機動兵器搭乗時にも及ぶので、『紅蓮聖天八極式・改』(仮称)のポテンシャルをフルに引き出せる。黒江と違い、普段着で操縦しているのは、前世では地上で運用していたからだろう。元々、勝手知ったる愛機。そのコピー&改良機であろうと基本は同じ。(インターフェースはMSに準じた物となっているが)響は怒りの感情に身を任せつつ、心の奥底で自分を除け者にしたルルーシュへの悪態をつき、ガトーと戦うのであった。



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