短編『地球連邦の誕生』
(ドラえもん×多重クロス)



――地球連邦設立後、旧国連常任理事国の内、旧世界の覇者であったアメリカ合衆国やロシア連邦、はたまた中国などと言った大国の多くが統合戦争の痛手で零落していった。特に統合戦争でニューヨークやシアトルなどの大都市を統合戦争で破壊され、軍事力の殆どを失ったアメリカ合衆国に次代の覇者となった日本に逆らえる力はもはや残っていなかった。西暦で言えば2120代末。長きに渡る統合戦争の行末がこの年代に確定した。アメリカ合衆国が日本に敗北したという事実は、アメリカ合衆国の衰退を決定づけ、世界の秩序の担い手に、ついにアジアの国がついたのだ。

「クソッ!どうして我が国が世界の覇者じゃなくなるのだ!?1945年以来、国際秩序は我々が担ってきたのだぞ!JAPごときが世界を担えるはずがない!」


当時のアメリカ合衆国大統領はある意味では被害者とも言えた。20世紀末頃からの歴代大統領らの失策のツケを一気に払う事になり、世界最強とされた軍事力も、世界一栄えた都市も彼の手から失われた。長きに渡る統合戦争によってアメリカ合衆国は疲弊しきったのだ。有人兵器の割合を減らし、無人兵器に頼りきっていたアメリカ軍は有人兵器を扱い続けた日本に敗北し、ここで無人兵器万能論は叩き潰された格好になり、後年のゴースト戦闘機、モビルドールの登場まで影を潜める。

「長い間、我々が庇護してきたのが仇となりましたな。本来であれば1970年代に経済大国となった時点で手を切るべきだった。中国やロシアが長年にわたってネチネチといびってきたのに、世代交代した日本の若者達は耐えられなくなった。GHQの政策で再軍備=悪と教えられた世代の悪弊を打ち破り、ついに再軍備を果たし、数十年で往年の我が国以上の軍事力を以ってして戦争を勝ち抜いたというわけです」

「ぬうう……今では太平洋戦争があと数ヶ月もあれば京都に原爆を落とすつもりだったのもバレているからな……もしそうなったらどうなったかね」

「言うまでもなく、あの当時の軍部のプロパガンダ通りに老若男女問わず戦争の最前線に投入し、民族の滅亡まで戦い続けたでしょう。京都を破壊すれば日本に戦う大義を与えかねませんし、一民族を完全に滅亡させるような戦いなど本国が容認するはずもありません。日本帝国が政治的に勝つでしょうな」





そう。一般にアメリカ合衆国が京都を大規模に空爆しなかったのは、『原爆投下候補に挙げられていたが、文化人が阻止した』とされていた。しかしそれは俗説やプロパガンダで、実際は原爆を以ってしてなぎ払うつもりだったのだ。もし投下したのなら、日本軍部に本土決戦の大義名分を与え、和平派の失脚に繋がった。そして民族の存亡すら意に介さない軍部の命令通りに老若男女が全て軍部に動員され、連合軍にベトナム戦争以上の恐怖を与え、連合軍だけで100万の兵士が戦死するのは間違いなしであった。そうなれば米国の戦後覇権も危うくされた。俗に“末期の日本軍が、万全な米軍に太刀打ちできるはずがない”とされるが、ゲリラ戦を行えばそれなりの損害を強いることは可能であった。そして老若男女問わずの特攻と玉砕で、日本民族滅亡と引き換えに連合軍も莫大な犠牲で戦後覇権が崩壊する危険があった。それをトルーマンが恐れたのだ。

「トルーマンが日本民族を生かしたのは間違いだと思うか」

「いえ。あの時に日本民族を消し去ったら、我が国は中世同様のことをした野蛮な国家のレッテルを貼られ、今度は我が国が同じ目にあうでしょう。今、我が国が衰退したのは引き際を間違ったからですよ」

そう。21世紀以降のアメリカ合衆国は引き際を間違った施策で次第に衰退し、ついにはこの有様であった。この地球連邦樹立直前の“最後のアメリカ合衆国大統領”は先代大統領のツケで統合戦争の敗者となった自国の残務処理を行なっていた。




「先代大統領はどこを間違ったと思うか、将軍」

「軍のオートメーション化を過信し、航空兵器や陸戦兵器のロボット化を極限にした。そこを有人兵器の極限と言える性能を持った兵器を持つ日本軍に突かれたのです。機械は人間を超えられないというのが日本の持論です。日本はそれを見事に実証したのです」

この将軍は軍がオートメーション化を過信した事が栄光のアメリカ合衆国の敗北を招いたと断じ、軍のオートメーション化は失敗だと断言する。この時の戦訓は80年以上経った時代のゴースト戦闘機の導入に反対する勢力の拠り所となり、シャロン・アップル事件とバジュラ戦役の戦訓により、地球連邦軍はゴースト戦闘機の主力化を断念する。



「閣下、我が国は今後、長きに渡り苦杯をなめる事になりましょう。これも冷戦を勝ち抜いた時、いや……世界大戦の勝利の時からの驕りのツケです。我が国は若い国でありながら世界の警察を自認していた。しかしいつしかそれが傲慢に摩り替わっていた。それが先代の時に破綻した。……それだけです」

「我が国が力を取り戻すのに何百年かかると思うか?」

「往年に近い発言力に戻すだけでもおよそ100年は必要でしょう。日本が帝政時代に近い軍事力とバブル期並の高い国際発言力を取り戻すのに90年代以降の長い年月をかけたように」



「日本は何をしようというのだ?Empire時代の政治的栄光を取り戻したのだ。これ以上何を望む?」

彼はこの時代の日本国がかつての『腰巾着』と揶揄された、犬のようにおとなしい家畜から大日本帝国時代を彷彿とさせる狼のような闘争国家へ再脱皮した事を皮肉る。名実ともに列強の地位を取戻し、英国とつるんで世界を我が物にしようとしている。彼は自国の政治的衰退を嘆く。

「我々が100年以上保持してきた地位……つまり世界の覇者です。地球連邦の主導権は日本とイギリスの手にある。敗戦国である我が国が発言力を高めるには大都市群の復興と宇宙移民の促進を進めなくてはなりません」



「フォン・ブラウンクレーターやグラナダクレーターの都市化、新型コロニーの建造に多大な予算をかけているのだ。ニューヨーク、いや、ニューヤークやシアトルの復興は不安定要素だぞ」

この時から進められたニューヨーク(新名称ニューヤーク)復興は後年の一年戦争や白色彗星帝国戦で振り出しに戻り、結果、北米大陸は23世紀半ばまで貧富の格差が大きく、治安が悪い土地の代名詞となってしまう。そして、パリを失った旧フランスと並び、反スペースノイド及び反宇宙人的世論の強い土地の一つとして地球連邦を長年に渡って悩ませていく……。





それから数年後。野比セワシが高校生になった年に地球連邦政府が樹立されるが、初代大統領がいきなりテロで謀殺される“ラプラス事件”が起こる。この後を継いだ政権によって、地球連邦の性急な樹立に反対していた旧世界の中小国家を根こそぎ殲滅する方法が取られ、数十年に渡って紛争が絶え間なく起こる。奇しくもそれが完全に終わったのはジオンが蜂起するわずか数十年ほど前。その間に落ちてきたマクロスが復元されたのは、更に後の一年戦争終結から数年後。そして多くの騒乱により地球の技術力は上げ下げを繰り返し、最終的には民生分野では22世紀初頭より低下したが、軍事力に関しては宇宙でも有数の技術力を獲得するに至った。これが地球連邦の大まかな歴史である。連邦政府良識派はラプラス事件の謎を長年かけて追っており、そこに当時の連邦政府極右派の陰謀と、連邦政府を裏で牛耳りたい者達の思惑が潜んでいたことを突き止める。それは調査開始から既に100年が経過し、ラプラス事件からも120年以上という長い年月が経った西暦2203年のことである……。そして、良識派が生み出した一機の新たなガンダムがその産声を上げる。可能性の獣と呼ばれしガンダムの名は……。















――因みに、末期の米軍でオートメーション化を進めた勢力は後々にまで生き続け、その子孫らがゴースト戦闘機やモビルドールの導入と生産を推し進める事になる。しかしまたも予期せぬイレギュラー的な事例により否定されることになる。統合戦争の最も激しい時期に日本国防軍の主力戦闘機として活躍した三代目国産戦闘機にして、国防軍最後の主力戦闘機の“F-7”戦闘機は後の地球連邦時代にガミラス帝国に対抗できる初の戦闘機として名を馳せた“九九式宇宙艦上戦闘機“ブラックタイガー”や、その後継機の一式宇宙艦上戦闘機“コスモタイガーU”の祖となり、血脈が宇宙時代でも脈々と生き続ける事になる。『統合戦争』の正式な期間については諸説あり、一年戦争後に旧反統合同盟(旧東側諸国や中東諸国)残党の起こした“鳥の人事件”までの100年近くを含める学説も提起されており、議論は絶えない。これが地球連邦の成立の歴史である。




















――西暦2201年末 地球連邦軍軍令部

「VF-19と22の再主力化と例の新型戦闘機の量産が決定したそうだよ、山南君」

「ハッ。前線部隊の要望が通って何よりです」

「コスモパルサーの本格配備は4年後以降になる。それまでの繋ぎに新コスモタイガーの生産が続けられるが、第二次近代化改修の予算付きだ。技術部に研究の開始を通達するように」

「ハッ。しかし、まさか日本産戦闘機がスタンダードの一種になるとは統合戦争前のアメリカ人は想像しなかったでしょうな」




「20世紀後半にアメリカ製戦闘機が西側諸国のスタンダードだった時代があった。その栄光を忘れられない軍需産業の者達が統合戦争の要因の一つを作った。他国がいつか追い抜く可能性を考えなかったからな。それでも一部は可変戦闘機の関連会社として生き残った。ちゃっかりしてるよ」

「藤堂さん。あなたは今後どうするおつもりなのですか?あと数年で定年のはずですよね」

「元帥になったレビルの奴と違って、儂は大将だからな。ゴップさんからは政界入りも誘われている」

藤堂はこれまでヤマトの活躍をバックアップし、国民的人気も高い。ゴップは若手国防族議員をまとめる上で彼に目をつけ、政界入りを打診してきたのだ。



「しかし……政界は儂の性に合わん。軍人として生きてきた身としては政治屋はできんよ」


藤堂平九郎軍令部総長はあと数年で軍人としての定年を迎える。彼はレビル将軍と同期であり、かつては名将として名を馳せた。今は亡き沖田十三や土方竜などの後輩らからも兄のように慕われていたほどの逸材であった。このように改革派の重鎮であるが、年齢的に定年が間近いため、レビル同様に元帥に昇進させ、生涯現役に留ませる案も浮上している。これは彼のリーダーシップが改革派にとって無くてはならないモノである事の表れであると同時に、彼に代わり得る人材が地球連邦軍に育っていないという窮状でもあった。


「古代兄弟はまだ若い。兄の守もまだ20代後半だ。帰還して将官に任官されたとは言え、経験が不足している。山南君。君のもとで参謀として使ってくれたまえ」

「ハッ。ですが、古代の弟の方はまだケツの青い若者です。政治家共には受けが悪い。特に暗黒星団帝国への独断での宣戦布告は政治屋やゴシップ紙の格好の標的です」

「結果的にはイスカンダルの資源がどこかの宇宙戦争に利用されるのを阻止したのだ。それで良しとするしかあるまい。本国が襲われても今の我が国であれば逆転勝利も容易に可能だ。ただ、いかんせん艦艇数が不足しているのが難点だがね」



そう。地球連邦宇宙軍は本星防衛艦隊の再建途上である。白色彗星帝国戦で再建に目処が立っていた所を更に壊滅に等しい損害を受けた。再建に当たっての優先課題は戦艦の建造。これは波動エンジン搭載戦艦の数をとにかく揃える事。その数は最低でも40隻。波動砲は集束波動砲と拡散波動砲をバランスよく。

「後期型ドレッドノート級をある程度竣工させたら戦闘空母の整備に移りたい。空母の傘が無い戦艦など、ただの的だ。それはかつての大艦巨砲主義が航空兵器に敗れた結果、戦艦というジャンルが宇宙戦艦が登場するまで過去のものとされていた事が証明しているからな」




不思議な事に、宇宙戦争の宇宙船においても水上艦時代の区分がそのまま当てはめられている。これは宇宙国家における常識が『宇宙軍=かつての海軍の発展形』であるからだ。

「潜宙艦対策も行なっている以上、恐れることはないとは思うが、潜宙艦とは別のアプローチで潜水艦の再現を行おうとする勢力が出てくるかもしれん。真田くんが研究している亜空間ソナーの資金援助を頼む」

「ハッ」

藤堂はこの時、既に後々、ヤマトを含めたほぼ全ての艦艇の新たな脅威となる真の意味での“宇宙の潜水艦”次元潜航艇の登場を予期していた。潜宙艦がステルス性能で姿を隠匿しているだけの艦で、地球連邦が採用することは無かったが、この次元潜航艇は時空管理局からの技術供与で次元間航行技術を得た2203年以降に制式採用された。同年、銀河系で新たにガルマン・ガミラスとして再興したガミラス帝国の大規模な潜水艦隊に習い、海軍の潜水艦要員の一部を宇宙軍に移籍させる形で試験艦隊が設立される。23世紀の半ばには三個潜水艦隊が稼働するに至る。
















――この月の末頃にはヤマトと別れたガミラス帝国残党は先祖の代から言い伝えられていた先祖の地である“ガルマン星”を発見。途中で合流した残存軍らの勢力でガルマン星をボラー連邦の圧政から開放した。この時に合流した残存軍の中に元・親衛隊は含まれていない。親衛隊の傍若無人ぶりが地球連邦に心境が近くなったデスラーからも排斥の対象になり、合流が許されなかったからだ。親衛隊は存在意義さえ否定された格好になり、海賊化した者も少なからず出た。しかし、中にはまともな振る舞いをした部隊もいるのは確か。デスラー本人に許しを請う形でガルマン・ガミラス軍へ馳せ参じ、再入隊が許可される幸運な例も多かった。





――ガルマン・ガミラス本星

「タラン。我がガルマン・ガミラス軍の拡充はどうなっている?」

「ハッ。現在、旧軍出身者の再入隊と新規志願者の割合を調整しているところでございます。艦艇は白色彗星帝国が残していた工廠から得た技術を活用して新型艦を誠意、整備中であります」


「新型の戦艦や空母の竣工の見積もりはどうか」

「来年の夏になりましょう。これで一個航空艦隊は新編成できます」



デスラーは暗黒星団帝国との戦いの後、銀河系のとある恒星系にあるガルマン星という星を発見した。調査により、自分たち民族と同じ祖を持つ同民族であると判明した後にデスラーは残存艦隊でガルマンを奴隷化していたボラー連邦の駐留軍を撃滅。解放者として迎えられた。その後、デスラーは選挙でガルマン星の指導者に選出され、ガルマン・ガミラス帝国の建国を宣言。白色彗星帝国の残党も一部合流し、建国時にはガルマン恒星系を含む周辺3個恒星系が支配領域であった。大帝国時代の栄光の再来を目論むデスラーも建国間もない状況では大戦争を仕掛ける国力が無いのをよく理解しており、軍の再編と国土インフラの充実に国力の大半を割いていた。タランはデスラーの要請で、ガルマン・ガミラスの軍事・外交・政治面などの決定を補佐、官僚を監督する役職に付き、軍事では軍の再編を、政治面では周辺諸国にガルマン・ガミラスの独立承認をしてもらう手続きなどに心血を注いでいた。

「ガトランティスとボラー連邦などの技術力を吸収して造られた新鋭艦は旧軍時代の最強クラスの戦艦であるゼルグート級一等航宙戦艦を有に凌ぐ性能があると聞いたが?」

「はい。白色彗星帝国残存軍から提供を受けた技術とボラー連邦の駐留軍から摂取した技術によって、カタログスペック上は地球連邦のアンドロメダ級と同等の性能を確保しました」

「アンドロメダ……確かあの時に地球連邦の艦隊を率いていた超ヤマトタイプの戦艦だったな?」

「そうです。一時はヤマトに代わるシンボルとして持て囃され、ズォーダー大帝もスペックを評価していたあの艦です。これで追いつきました」

アンドロメダは地球連邦の波動エンジン搭載戦艦の第二世代型戦艦として、連邦の期待を受けて誕生した。性能面では竣工時のヤマトより遥かに強力で、アンドロメダそのものはその名の通りに悲劇的結末を迎えたが、その性能はあの白色彗星帝国からも高く評価され、ガルマン・ガミラスとして再興したガミラス帝国にとっても一種の目標点とされたようだ。実際、地球連邦も欠点是正・アップデート型のしゅんらんやネメシスなどを竣工させ、太陽系連合艦隊旗艦として運用しているので、アンドロメダの設計自体は優秀なことが証明された。

「我が国は旧軍時代の軍備がまだ相当数が現役です。全体的な世代交代を進めたいところですな」

ガルマン・ガミラスは建国及び建軍から間もない。そのため旧帝国軍の生き残りが合流して持ち込んだ装備が編成の上で主力を占めており、練度で性能差をカバーする戦いが続いている。ボラー連邦と同等レベルの最新装備を前線が欲するのはデスラーもタランもよく知っていた。そのため各種軍備の近代化を進めているのだ。例として、航空分野の参考には航空機のマルチロール化に関しては先進国である地球連邦の事例が採用された。これはコスモタイガーの対艦攻撃力と空戦能力の両立性にデスラーが感銘を受けたためで、地球連邦と違って、機能特化型艦艇を作れる余裕がある彼等としては珍しい選択であった。






(古代、私はガミラスを復興させた。いつかまた君に会える日を楽しみにしているよ……)

デスラーは今や、地球連邦の事を仇敵ではなく、友として見ていた。白色彗星帝国の戦いで古代と雪の愛を目の当たりにした彼は彼等の行動に真実の愛を見た。更に自身がスターシャに恋していたという赤裸々な本心を晒した事で、古代と彼の関係は一気に氷解。なんと親友にまで発展した。そのためヤマトが接触してきた場合は、過去をかなぐり捨ててでも地球連邦との同盟関係を構築することをタランに伝え、帝国上層部の間では暗黙の了解となっていた。こうして軍備更新とボラー連邦との戦いに備えての軍の骨格づくりに勤しむデスラー。この時点でその後の銀河系の情勢は決定されたといってよかった。



「銀河連邦もボラー連邦には手を焼いているようで、我らの独立を承認してきました。それとオブザーバーとしてですが、参加を要請されております」

「銀河連邦には地球連邦は加盟しているか」

「はい。非常任理事国です」

「よし。返事を返してくれ」

「かしこまりました」

銀河連邦はこの頃にはボラー連邦の傍若無人な攻撃に苦戦し、ボラー連邦に対抗しうる勢力の加盟を望んでいた。たとえそれが独裁政治が行われている国でも、だ。そのためガルマン・ガミラス帝国に白羽の矢を立てたのだ。地球連邦と同盟を結ぶための布石作りのため、ガルマン・ガミラスは銀河連邦に参加する……。



















――暗黒星団帝国 本星

同年、ヤマト率いる地球連邦艦隊に大敗北を喫した暗黒星団帝国はワープによる奇襲で地球連邦の本星たる地球の制圧による復讐戦を決行。数ヶ月の行程を予定し、軍部のおよそ70%を遠征軍として派遣した。旗艦はガリアデス。彼等の常識では巨大戦艦である。

「聖総統閣下、よろしいのですか。ヤマト一隻の為に軍の過半数を送り込むなど」

暗黒星団帝国はこの年、建国の父であるグレートエンペラーが崩御(死因は致死性の病気)。後継者に指名されていた彼の血族のスカルダートが聖総統として権力を掌握した。彼は尊敬していたグレートエンペラーの心労の原因となった地球連邦を半ば逆恨みしており、グレートエンペラーの遺志を更に拡大して実行。軍の過半数を地球へ送り込んだ。これは彼等が恐れおののく波動エネルギー文明である地球連邦への恐れ、ヤマトへの復讐心がなせる業であった。彼らが過剰に地球連邦を恐れるのは、あの白色彗星帝国が地球連邦に敗北した事実によるものである。

「良いのだ。あのガトランティスでさえ打ち破る国を制圧すれば地球を制圧したという箔が付く。そうすればボラー連邦も来ないだろう」

確かにこの奇策で彼等は歴史上初の地球制圧という名誉を得る。だが、それにより地球連邦の逆鱗に触れ、史上最悪の結果を招く事になる。暗黒星団帝国はこの時点で詰んだのだ。例えるなら、軽自動車で戦車に体当たりする、戦艦大和に漁船やいかだで挑む、新幹線に自転車で競争を挑むように。



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