短編『10人ライダーの復活』
(ドラえもん×多重クロス)



――さて、何故10人ライダーは時を超えて蘇ったのか。その謎を紐解いていこう。

――事の発端は彼らがバダンを『倒して』から何十年か後、悪が完全に絶えたと確認された後、彼らは自分たちが『起こされる』事が無いように願いながらバダンが遺棄したコールドスリープ施設を改造し、自分らの管理施設に改装。元少年仮面ライダー隊の一員で、その頃に政界で成功を収めていた議員らの立ち会いのもと、静かに眠りについた。ただし一気に全員が眠りについたわけでは無く、最初に眠りについたライダーマン=結城丈二を皮切りに、少しずつ眠りにつき、最後の仮面ライダーが床についたのはライダーマンが眠ってから何十年か後となり、それからは歴代の日本政府の要人たち、地球連邦政府成立後は連邦政府の上層部にのみ、その情報が言い伝えられてきた。


22世紀も世紀末を迎える時期に、太古から暗躍していた暗黒組織『ゴルゴム」が本格的に行動を開始、それと同時に『11人目の仮面ライダー』が日本各地で目撃されるようになったのである。時の連邦政府はこの情報を重視。調査により『11人目』は仮面ライダーブラックと名乗っている事が伝えられ、その姿を捉えた写真は当時の大統領に手渡された。

「ふむ。この改造人間が彼らの後継者なのかね」

「ハッ。彼の本名は南光太郎。大学2年になったばかりの若者です」

「南光太郎……たしか秋月教授の養子になっていた子だな。そうか……あの子が」


当時の大統領は政治家に転向する以前の職は学者で、南光太郎の養父『秋月総一郎』とは仕事上の関係で数回だけだが会っている。その時、幼少時の秋月信彦と南光太郎を見ていた。そのため、その時の子供の一人が伝説の「仮面ライダー」の名を継いだことに「世の中、何が起こるかわからない」と呟いた。後日、表舞台に現れたゴルゴムが世界で本格的に活動を開始した事、その事実上の首魁であるシャドームーンにブラックが倒された事が大統領に告げられると、上層部にしか言い伝えられていなかった伝説の存在『10人の歴代仮面ライダー』を目覚めさせるしかないと決心した。






「諸君、知っての通り、仮面ライダーブラックがシャドームーンに敗れ去った。もはや地球をゴルゴムから守れるのは彼らしかいない」

「閣下、まさか本気で仰られているのですか、ブラック以前にいた仮面ライダーはただの伝説ですよ」

「いや伝説ではない。日本政府の機密文書には彼らの存在がはっきりと記されている。日本政府や歴代の連邦政府の高官らもそれを知っていた。だからこそ彼らを目覚めさせるのだよ」

彼は戦乱で議会機能が殆ど麻痺している状態である故、自らの罷免をかけた独断でこの手段を敢行。少数の護衛部隊を引き連れ、日本の某地に残されていた彼らが眠るコールドスリープ施設に赴き、彼らを眠りから呼び覚ました。


『コールドスリープを解除しました。完全覚醒まであと10秒です』

コールドスリープカプセルに眠る10人の`青年`達こそ伝説の仮面ライダー。彼らはゴルゴムの行動を止めるべく眠りから呼び覚まされ、ここに目覚めたのである。

『コールドスリープか解除されたか……よほど重大な事が起こったのか?』

一号ライダー=本郷猛はカプセルから身を起こし、外の時計に記された日付と時刻を確認する。眠りについた時間からはおよそ150年ほどが経過した22世紀の末頃のようだ。



「22世紀の末……か」

「そうです」

「あなたは?」

「私はこの時代の地球の統治機構『地球連邦政府』の大統領。あなたが10人ライダーのリーダーだった仮面ライダー一号ですね?」

「そうですが……」

「事情をご説明します。他の方々が完全に目覚めてからですが、よろしいですかな」

「構いません」

こうして連邦政府大統領は10人が順に目覚めるのを見届け、自らゴルゴムという暗黒組織が世界で破壊活動を起こしたこと、彼らの後継に当たる、仮面ライダーブラックの存在を本郷猛〜村雨良までの10人に告げた。




「そうですか。それで『11人目』の仮面ライダーがそのゴルゴムと戦っていたと?」

「はい。彼の名は仮面ライダーブラック。この写真によれば黒いボディを持ち、あなた方とは異なる技術…ゴルゴムの持つ技術で改造されたと思われます」

ブラックの姿は歴代「仮面ライダー」との共通点もかなり多いもの、『強化服を纏った』ような風体の歴代と違い、ライダーにつきものであったマフラーも付いておらず、より『バッタ怪人』としての色体が強い。

「なるほどね。コイツが11人目……それでゴルゴムにも似たような改造人間がいて、ブラックがソイツにのされたって訳ね……面白くなってきた」

ストロンガー=城茂は目覚めて早々にこの言い草である。眠る直前には大人びた態度を見せていたもの、コールドスリープの影響か、口調が改造直後に見せていた荒っぽいモノへ回帰している。

「ええ。皆さんには世界のゴルゴムを打ち倒し、地球を守ってもらいたいのです」

「わかりました。俺たちは早速世界に散らばり、ゴルゴムを倒します。……人類の自由のために悪と戦う。それが俺たちの宿命でもありますから」

「本郷さん、いや仮面ライダー一号……、ありがとうございます」

10人を代表して、本郷猛が大統領と固く握手を交わす。この日から10人の仮面ライダー達は世界に散らばり、各地のゴルゴムと交戦。ゴルゴムは主力が日本に集中していたためもあり、海外支部の怪人たちでは10人の歴戦の勇士達に勝てるはずもなく、全支部を瞬く間に撃破されていった。支配者である創世王も復活したブラックが打ち取り、間もなく、ゴルゴムは瓦解した。

『ゴルゴム海外支部が壊滅?でも一体誰が……?」

日本でその報を知った南光太郎はゴルゴム海外支部を全滅させたのは誰なのかが気になるのか、訝しげに呟く。この時は自分以前のライダーの存在に思い至ることはなく、東星大学の学生としての生活に戻り、半年後に卒業した。卒業後は叔父の佐原俊吉の基に身を寄せ、ヘリパイロットとして叔父の会社に就職た。叔父一家の居候として平和を謳歌し、本来の明るさを取り戻した。


『もう俺がBLACKになって戦う必要のない世の中になったんだ……平和が一番だぜ!』

――光太郎は確信していた。ゴルゴムが滅んだ以上、もう平和を人知れず脅かす者はいない。もう仮面ライダーとして戦うこともないと。だが、光太郎の思いは僅か半年で打ち砕かれた。クライシス帝国の襲来だ。


























――クライシス帝国はその魔手を地球に向け、南光太郎を捕まえ、邪魔者である彼の変身機能を全て破壊しての念の入れようで宇宙空間へ放逐した。だが、それが思わぬ誤算を産み、日食のエネルギーが体内のキングストーンを活性化させ、太陽エネルギーと併せて彼を破壊される前の仮面ライダーBLACKとしてではなく、新たな姿『仮面ライダーBLACKRX』に新生させてしまった。しかもその力はクライシス帝国の兵団幹部らが南光太郎を誘惑する際に使った、『2倍以上の〜』どころか、更に10数倍以上の力を持って生まれ変わったのである。ブラックとは異なる姿と、以前を遙かに超えるパワーを持つその姿に、南光太郎を襲った初のクライシス帝国の怪人である怪魔妖族『スカル魔』は困惑。(クライシス帝国の平均戦闘レベルはゴルゴム怪人より遙かに上であり、ジャーク将軍が後に語る所では『パワーアップする前のブラックになら勝てる可能性はある』との談)思わず、『貴様、本当に仮面ライダーBLACKか!?』と悲鳴を上げ、RXはそれに「仮面ライダーBLACKは……生まれ変わった!!俺は太陽の子!!仮面ライダーBLACKRX!!」と高らかに宣言し、クライシス帝国と戦いを開始したのである。南光太郎と歴代仮面ライダー達の出会いはここから数ヶ月後。10人ライダーの最後の敵であった『バダン帝国』の再動に範を発していたのである……。













――南光太郎はある日、いつもクライシス帝国との戦いの舞台にしている採石場で一人の軍服姿の男と対峙していた。

「貴様、何者だ!!クライシスの手の者か!・」

「クライシス……そうか、この時代にはそのような者たちが現れているのか」

「何ッ!?」

「貴様が南光太郎……あのお方が興味を持たれておられる『世紀王』ブラックサン……いや、今は仮面ライダーBLACKRXか」

「何故その事を……ゴルゴムの生き残りか!?」

「我をそのような輩と同列視しては困る。ましてや貴様の言うクライシスでもない」

「何、新たな敵だというのか…!?」
「その通り。我は……『我ら』はバダン、バダン帝国。『神に愛されし者』」

「神に愛されし者だと……!?ふざけるな!!」

「南光太郎、いやRX。貴様とて創世王に求められたという時点で、通常の人間とはかけ離れた存在であろう。何を今更、人間などに情を持つのだ?」

「確かに俺はゴルゴムの世紀王として改造された。しかし人間の……いや、生けるもの全ての営みを壊そうと目論む貴様らの勝手にはさせん!……変身!!」



光太郎は腕を天を掲げ、そこから一定のポーズを取りる。V3のダブルタイフーンを思わせるサンライザーが回転し、キングストーンの力と太陽の力を秘めた目映い光を発し、RXへ変身する。

『俺は太陽の子!!仮面ライダーBLACK RX!!人々の平和を乱し、地球を悪に染めようとするバダン……この俺が許さん!!』


RXは声高く宣言し、その男に戦いを挑もうとする。だが、その男は冷静であった。得意の逆宙返りからRXキックが放たれようとした瞬間、その男の目が光り、摩訶不思議な力場をRXの周りに発生させ、RXを地面に叩きつけ、動きを封じる。

「な……なんだこれは……!?か、体が……動か…!!」

力場が強まっていき、RXは悲鳴を上げる。ロボライダーやバイオライダーへの二段変身を敢行するもの、力場が機能阻害を起こしているのか、変身途中でサンライザーの作動が止まってしまい、二段変身が不能になる。

「ば、馬鹿な…!?」

「死ぬがいい、虫けら!!」

「ガ、ガアアアアアッ!?」

RXの体に凄まじいまでの圧力が加わり、RXの体が悲鳴を上げ、骨がきしみ始め、激痛が走る。だが、RXを救う一つの影があった。それはバダンが何百年もの間探し求めた彼らの首領の器となるべき存在。そして過去、『10人目の仮面ライダーを名乗って反逆を起こした男であった。

「衝撃集中爆弾!!」


謎の声と主に大爆発が起こり、爆発で力場が弱まったところをRXの体にごく細い鎖のようなものがまかれ、それに引っ貼られ、RXを救う。RXはその鎖を引っ張る主が自分と同じ仮面を纏う戦士という事に驚愕を露わにする。そして安全圏まで連れて行かれ、その戦士に肩を貸され、なんとか立ち上がる。

「……やはり生きていたか、暗闇大使」

「フッ……久しいな、ゼクロスよ」

「影武者を使って生き延びたらしいが、今度こそ、この俺と9人ライダーが貴様らを倒す!」


(ぜ、ゼクロス……!?それに暗闇大使だって!?)


「あなたはいったい……?」

RXは自分を助けてくれた、同じ仮面の戦士が『ゼクロス』と呼ばれた事、あの男が暗闇大使と呼ばれた事に驚きを隠せない。RXに肩を貸している、赤い仮面と緑の目の戦士こそ、遙か昔、バダン帝国と戦った『10号ライダー、またの名を仮面ライダーZX』であったのだ。

「俺も君と同じ仮面ライダーさ。」

「仮面ライダー!?」

「そう。仮面ライダーZX、それが俺の名前だ」

「仮面ライダーZX……」

ZXはその勇姿を見せる。それは10人ライダーの大復活の狼煙であった。暗闇大使にそう宣戦布告し、自らの復活を高らかに宣言する仮面ライダーZX=村雨良。RX=南光太郎はこの瞬間、自分以前の仮面ライダーがいたという伝説が真実であった事に大いに喜び、ZXと固く握手を交した。ZXとの共同戦線で暗闇大使を退けた後、村雨から『仮面ライダー11号』としての認定を受け、この日から歴代仮面ライダーの戦列に加わった。









――同じ頃、クライシス帝国地球攻撃兵団4大隊長の一人『ボスガン』は極秘作戦の命を受け、この時点までにRXに倒されていた怪魔獣人大隊の戦士を再生させ、日本の重要都市である横浜を襲ったのだが……。


『やれやれ。大幹部ともあろうお方が怪人をそばに置いて置かないと安心できねーてか?笑らせるぜ』

どこからかボスガンが引いた布陣を嘲笑する声が響く。ボスガンは思わず怒鳴り返してしまう。

『ええい地球人の分際でクライシス帝国の貴族であるこの私を愚弄するか!何者だ、姿を表わせい!』


――辺りに口笛が響く。その口笛と共に現れたのは風来坊的な出で立ちの一人の男。胸にSの字が入ったシャツを来ている辺り、『スーパー○ン』気取りのイカレポンチかと高をくくる。

「フッ、何かと思えば……風来坊気取りのイカレポンチか……すっこんでおれ、死にたくなかったら失せろ」

「お生憎様だな、俺はお前の思ってるような輩じゃあねーよ」

「……何?」

「驚いて目を回すなよ?」




――その男の行為にボスガンは目を疑った。なんと南光太郎同様に変身ポーズをとり始めたのだ。腕が機械になっていることからも、その男が改造人間であるのは理解した。そして……。

『変んん身ッ!ストロンガー!!』

その男は変身した。南光太郎同様に『仮面ライダー』へ。RXやBLACKと比べれば時代かかった雰囲気を纏ってはいるものの、正しくその姿は仮面ライダー。ボスガンは思わぬ敵の出現に怯み、配下の怪魔獣人に攻撃を指示するが……。

『天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!悪を倒せと俺を呼ぶ!聞け!悪人ども!俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!!』


――ストロンガーに取ってはこの時、実に100年の歳月を超えての復活の名乗りであった。彼のボディは復活後に100年の歳月で進歩したテクノロジーでオーバーホールが行われており、以前のチャージアップ状態におけるパワーを通常時で発揮できる。各部動力伝達装置が飛躍的に高性能化した事による副次効果である。そのため、RXが戦うクライシス帝国相手にも優位に戦えるのだ。

「トウ!!」

唸る鉄拳と撃ち込まれていくキック。怪魔獣人達はストロンガーの豪腕の前に為す術もなく破壊されていく。ある者は電ショックから電パンチのコンボで倒され、またある者は電キックで粉砕される。ボスガンは仕方なく応戦するが、デルザー軍団の猛者たち相手に渡り合ったストロンガーに取っては軽いもの。かる〜く避けられ、エレクトロファイヤーを食らう。

「ぐぬぬ……、お、おのれ!覚えておれ〜!」

負け惜しみをしつつ撤退する。無論、ジャーク将軍から強く叱責されたのは言うまでもない。しかし、RX以外の仮面ライダーの存在がマリバロンから示唆されると、さしものジャーク将軍も顔を雲らせる。

「何、RX以外の仮面ライダーだと」

「ハッ。その昔、10人の仮面ライダーが存在したという伝説が確認されておりましたが……まさか事実とは」

「其奴らもRXと同じく改造人間なのか?」

「少なくともそう見てよろしいかと」

「とにかく今は情報収集だ。我らの失態で南光太郎をRXに新生させてしまったのに、過去のライダーが現れたとあれば、難敵である。マリバロンは引き続き情報収集に当たれ」

「ハッ」

この後のマリバロンの情報収集も虚しく、彼らクライシス帝国は11人ライダー、途中からはスーパー戦隊たちも加わり、坂を転げ落ちる如く連戦連敗を喫してゆく。更に宇宙刑事達も参戦し、クライシスは窮地に落ちやられ、遂に別の地球へも手を出さなければならないほどになる。






『仮面ライダー一号……本郷猛。始まりの男』

打つ手が尽く粉砕され、ジリ貧のジャーク将軍は全てのライダーを束ねる『始まりの男』仮面ライダー一号の打倒作戦を練っていく。全ての仮面ライダーのリーダーである一号ライダーを打倒すれば、ライダー達は総崩れになるはずだと。それはジャーク将軍にとって最後の手段。自らを再改造し、最強怪人として歴代ライダー達に挑む事。西暦2220年頃にはクライシスが如何に窮地に陥っているか、がわかる。そして別世界で行っているイタリア空母化計画の成否に気を揉むあたりは上司としては理想的なのが伺える。事実、ジャーク将軍の公平な裁きと柔軟な対応は地球連邦も高く評価しており、サラリーマンのハウツー本の良い見本として載せられるほどである。当人もこれには困惑したものの、一般人から評価されるのはまんざらでもなかったらしいと、後に南光太郎によって語られる。



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