外伝その115『守護神対魔神』


――スーパーロボット軍団はゴッドマジンガー、マジンエンペラーGを中心に、ダンクーガ、真ゲッターロボ(二代目チーム)、鋼鉄ジーグ(オリジナル)、ゴッドマーズ、コンバトラーV6、ボルテスZ(追加アーマー装備型)、闘将ダイモス、UFOロボグレンダイザー、待機枠に烈将フォボス(ダイモス二号機。バーム星人の搭乗が想定されていたため、地球人では全性能が出せない)が控えていた。ロボットガールズはジークさん、ゲッちゃんドラゴン、ガイちゃんが戦列に加わっており、時空管理局代表はなのはとフェイトだが、なのはは休暇中のところをはやての命令で呼び出され、参加させられたので、不機嫌だった。その鬱憤をZEROと言う最高の砲撃標的とする事で晴らそうとしていた。また、もう一体のジーク(磁偉倶と表記しよう)、ニュージークは控え枠であり、アースとガイアのスーパーロボットの複数が動員されたが、欠員もいる。勇者ライディーンだ――

『行くぜ、ZERO!!』

ゴッドマジンガーがトルネードクラッシャーパンチをかます。ZEROは仰け反り、そこにグレートスマッシャーパンチの追撃を食らう。ZEROは自分の魔神パワーがこの攻撃に適応されない事に驚く。

――何故、ワレノマジンパワーが効かぬ――

『当たり前だ!この二大マジンガーはお前を倒すために造られたり、改造された!特に、ゴッドマジンガーはお前の半身……マジンガーZを改造して出来たマジンガー!お前の半身が姿を変えたモノという事は、お前自身を傷つけることだ!』

甲児は言い放つ。ゴッドマジンガーはマジンガーZが大改造されて生まれたマジンガーであると。マジンガーZと別個の存在になったZEROだが、ゴッドマジンガーについては、ZERO同様、マジンガーZが元である。Zのメインエンジンを反陽子エンジンの起動用のサブエンジンとしていて、駆動制御装置がZからの流用であり、Zのガワを取っ替えたマジンガーに等しく、アイアンZのマシンパイルダーがゴッドファルコンに組み込まれた関係もあり、アイアンZ、エネルガーZ、マジンガーZの後身と言えるマジンガーであり、ZEROと同じ『魂』を有する。ZEROがエゴから生まれた悪ならば、ゴッドマジンガーは善の象徴である。そして甲児の強い精神力がゴッドマジンガーの力を増幅しており、ZEROをねじ伏せられるのだ。

――そうだ……平行時空の俺……、ZEROを倒すんだ……――

甲児の脳裏に誰かが語りかけてきた。ZEROのパイルダーのキャノピーが透明になり、中が透けて見えるようになる。そこにはなんと、甲児自身がコードに直結され、拘束された状態で座っていた。ゴッドマジンガーを動かす甲児とは別の兜甲児である。その声色は『ジャッキー・チ○ンそっくりのオッサン声』とネタにされがちなゴッドマジンガーの甲児とは逆に、ガイアにいる南部康夫に似た爽やか好青年風の声色であった。ZEROは二度目に顕現した世界でその甲児を取り込み、自分の一部とした上で、今まで生体コンピュータ代わりにしていたが、ゴッドマジンガーとの対峙が、失ったはずの彼の自我を目覚めさせたのだ。ZEROに取り込まれた彼は、自分がいくつもの世界を滅亡に追いやった事を悔やんでおり、Zの後続機たるグレートマジンガーやマジンカイザーによる打倒を願っていたが、ZEROが世界を周回している内に、ZEROがカイザーをもねじ伏せるほどの力を得てしまい、完全に取り込まれていた。今、その魂には『限界』が近づき、消える前の最後の力で、ゴッドマジンガーの自分自身にテレパシーで語りかけたのだ。


――お前は……、ZEROに取り込まれた俺なのか?――

――そうだ……だが、俺の精神は限界だ……もうすぐZEROの一部に完全に取り込まれちまう……。今まで多くの世界を滅ぼすのを止められなかったのは俺の弱さが原因だ…。だから……そのマジンガーとZEROが閉じようとしている『可能性が生み出した光』達で、俺と……ZEROを滅ぼして……くれ。消え去る前に、鉄也さんに言っておきたい……すまなかった……。確かにZEROにとってあんたはイレギュラーだ……。だが、グレートは……Zの魂が生み出した、Zを超えるための兄弟だ……ZEROを倒せると俺は…――

――ああ……。約束は果たす。だから安心しろ、甲児君――

――ああ……。できるものなら……償いをしたかった……世界を滅ぼした……皆、頼んだぞ……――

『彼』の最後の意思を受け取った二人。ZEROの甲児の意思が完全に消え去り、ZEROを抑制する者が完全にいなくなった証のように、ZEROの全力の光子力ビームが放たれる。拡散モードでの照射だが、一発一発が地球の裏側まで貫通する威力を持つ。封時結界がなければ、この星そのものに多大なダメージが入るところだ。

「結界ん中なのが救いだけど、こりゃ……。山や街を一発で消せるなんて。光子力ビームの範疇じゃないって……」

技能で攻撃を避けながら、なのはは冷や汗をかく。結界は超広範囲に張られているが、街も森も山も有無を言わさずに消し去る威力は、光子力ビームの範疇を完全に超えている。ZEROはサザンクロスナイフを光から形成し、それを全ての敵に放つ。ロボット軍団と、ロボットガールズ、なのはとフェイト、それとグランウィッチらはその洗礼を浴びる。

「うおおおおおっ!?なんて追尾性だ!?こっちの機動についてくる!」

黒江は普段の姿に戻った上で参加している。ストライカーは前史でも使用し、手慣れている『F-15J』だ。が、黒江の技量でさえ、ZEROのサザンクロスナイフの追尾は振り切れず、エクスカリバーでそれをかき消すしか、防御する術は無かった。

「ZEROめ、味な真似をしやがる……。うおおおおお!アイアンカッターが来るぞ!?」

『狼狽えるんじゃねぇ!ここは任せろ!断・空・剣!!』

ダンクーガがZEROの撃ち出したアイアンカッターを迎え撃つ。アイアンカッター、いや、そう呼んで良いのかわからない代物と化しており、刃を巨大化させつつ弓状に変形させて打ち出している。その斬れ味は鋭く、超合金ニューZをも容易く斬り裂く。その事から、ZEROの因果律操作が通じない、他のスーパーロボットたる、ダンクーガが迎え撃った。断空剣とアイアンカッター(巨大化)がかち合い、断空剣が打ち勝つ。これは断空剣が実体のように見えるエネルギーソードであるためだ。

『へっ!断空剣が、そんな変なアイアンカッターに負けるかよ、お返しだぜ!!断空砲、フォーメーションだ!!』

『OK!』

断空砲の態勢に入る。断空砲はダンクーガの一斉射撃を指し、ダンクーガ形態では、各獣戦機の火器が全てエネルギー兵器に回路が切り替わり、巨大なエネルギー砲となる。それを一斉に放つ。ZEROは腕を突き出して、それを受け止めようとするが、忍達の野生がZEROの予測を超えてみせた。断空砲はZEROを飲み込み、大爆発を起こす。ZEROはすぐに反撃に出ようとするが、すさかずダイモスが攻撃をかける。

『三・竜・棍!!』

三節棍を使い、追撃をかける。滅多打ちにするが、ZEROはそれをパワーでへし折るが、回し蹴りが頭部に入り、膝をつく。ダイモスは空手を主体にする珍しいロボで、モビルファイターに近い操縦法なのもあり、格闘戦では高いポテンシャルを見せる。

『フリィィィザァストォォォム!!』

ZEROと言えど、絶対零度に近い温度にまで瞬時に冷凍されれば、行動に隙が生ずる。その考えに思い至った竜崎一矢は、ダイモスの耳に相当する部分に内蔵された冷凍光線『フリーザーストーム』を放ち、瞬時にZEROを冷凍する。ZEROも流石に、絶対零度近くに冷凍されれば、ブレストファイヤーのチャージもストップしてしまう。そこを突き、今度はファイヤーブリザードで加熱し、その温度差で超合金Z(強化)を脆くする。

『必殺!!烈風ぅ正拳突きィィィ!!』

ダイモス最大の技、必殺・烈風正拳突き。ファイヤーブリザードで敵を上空に巻き上げ、落下してきた所に正拳(場合によっては、跳躍しての直上正拳突き)を喰らわすもので、今はダブルブリザードの改良型『ファイヤーブリザード』を用いるので、『改』だ。跳躍し、直上正拳突きを食らわせる。続いて、ボルテスが超電磁ボールを放つ。

『超電磁ィィィボォォォル!!』

超電磁荷重砲である。元々は彼らが戦っていた異星人『ボアザン星人』が用いた対天空剣用超合金『マキシンガル合金』を劣化させるためのものだが、ZEROの装甲を脆くするため、放たれた。超電磁ボールはZEROを包み込む。ZEROは自分の力が及ばない攻撃に狼狽え、悲鳴とも取れる咆哮をあげ、拘束される。


『行くぞぉぉ!!天・空ゥゥゥ剣!!』

天空剣を天に掲げ、発生する稲妻を刀身に受け、エネルギーを充填する。フルチャージが終わると同時に、斬りかかる。ZEROはブレストファイヤーを放とうとするが、超電磁ボールの効果で電子回路そのものに負荷がかかっているため、機体が意思についていけず、パイルダーの内部計器が負荷のフィードバックで小爆発を起こす。

『天空剣・Vの字斬りィィィ!!』

黄金パターンの必殺技を決める。ZEROは瞬時にマジンパワー『再生』を発動させるが、Vの字斬りがその前に、ZEROの『人のチャクラを模したマジンパワー発動用の装置』を破壊したらしく、再生機能を失う。今こそ好機である。

『超電磁タ・ツ・マ・キィィィィ!』

コンバトラーV6が超電磁タツマキを更にかける。そこから必殺技の『超電磁スピン』をかける。

『超電磁スピィィィン!!』

ZEROは立て続けに『電磁の必殺技』を食らう。超電磁スピンが超合金をドリルのように穿つ。だが、ここでZEROのマジンパワー『強化』で超電磁の拘束を振り解き、超電磁スピンの回転を強引にとめ、超電磁ギムレット(刃の部分)を砕き、そのまま高速で地面に叩きつけた。そして、身長55m、体重550トンのコンバトラーVをまるでチンピラかヤクザのリンチのように足蹴にし、踏みつける。そして、各部がデビルマジンガーのように変貌していた。マジンパワー『変態』が歯止めを失い、暴走し始めたのだ。これは皮肉以外の何物でもなかった。デビルマジンガーは兜十蔵が忌み嫌った『悪そのものの魔神』だが、究極の魔神を目指して生まれたであろうマジンガーZEROが悪に染まった結果、マジンガーZとしての風貌を無くし、デビルマジンガーに近づく。これこそ、兜十蔵が見たら絶望は必至の悪夢だった。

「何……ZEROが……デビルマジンガーみたいになっていくよ!?」

『パイルダーにいた別の甲児君という歯止めが無くなった事で、悪に染まったんだ、完全にな。その結果、マジンパワーも歪み、デビルマジンガー化したんだろう!豹馬君、今、助ける!スペースサンダー!』

ハルトマンが悲鳴じみた声を上げ、デューク・フリードが落ち着かせ、コンバトラーV6を救わんと、グレンダイザーのスペースサンダーを放つ。ZERO、否、第二のデビルマジンガーと化したそれは、スペースサンダーを避け、コンバトラーV6に大きな引っかき傷をつけつつ、ぶん投げる。それをボルテスが受け止める。

『豹馬、大丈夫か!?』

『なんとかな。だけど、今の引っかきでビックブラストとアトミックバーナが使えなくなっちまったぜ』

『来るぞ!!』

咆哮し、ブレストファイヤーを放つ『かつてZEROだった』マジンガー。その威力はZEROのそれすら上回り、地殻を露出させ、溶解せしめるほどの威力を見せた。これには黒江も、シャーリーも、なのはも、フェイトも、ハルトマンも、マルセイユも絶句する。結界がよく壊れなかったのか関心するレベルの威力だ。ロマーニャ半島はかなりが結界に覆われているが、それでも結界が解けるかと思わせるものだった。

「豹馬さん、超電磁スピン・V(ビクトリー)ストライクは出来ませんか?」

「馬鹿!小介、よく考えてみろ。超電磁ギムレットが壊されちまってんだぞ、あの技は使えねぇ!それにフォボスが出せねぇじゃねぇか!」

北小介のアイデアは即座に却下された。その技は合体攻撃だが、コンバトラーVの超電磁ギムレットが健在であり、尚且つダイモスの二号機『烈将フォボス』がいることが前提だからだ。

「バーム星人の翼もコントロールに使う機体に乗れるヤツが居ないとあかんで!」

「あ、ちょっと待って!翼が必要なら私がなんとかなるかも知れない。銃がジャムったから取ってくるわ!」

「あ、ちょいまち!ねぇちゃん、それはどういう事や?」

「こういうこと!」

浪花十三にそう告げ、智子は自身の炎の翼を見せ、そのまま取りに行く。結界内のある場所に隠してあるからだ。智子はそのまま飛んでいき、ダイモス二号機『フォボス』に乗り込んだ。トランザー(トラクター形態)を全速で走らせ、そのままバトルターンを敢行する。

『フォボス、バトルタァァァンッ!!』

ガイアのスーパーロボット『闘将ダイモス』は元々、宇宙開発用に設計されていたロボットを戦闘用に転用・改造したものだ。その二号機は元から戦闘用に設計されて造られた。そのため、ダイモスより軽量化されており、結果的に女性的なシルエットになっている。バーム星人の搭乗を意図していたため、翼がある。しかしながら、相応しいパイロットが見つからず、竜崎一矢の妻のエリカが志願していたが、一矢はそれを思い留ませようとしたので、フォボスは宙に浮いており、搬入はされたものの、パイロットはいない状態だった。智子は魔力で翼が作れる事により、翼を動かすための神経回路が出来上がっており、フォボスのフルポテンシャルを引き出せる。これは予想外の事だった。まして、智子は水瓶座の黄金聖闘士である。ダイモス系との相性は意外に良かった。

『ハッ!ええいッ!フォォボォォス!』

『なにィ!?だ、誰が起動させたんだ!?』

一矢もびっくりの事態に出来事は動く。しかもパイロット(臨時)がフリーザーストーム無しに、相手を凍結させられる能力を持つ智子であるため、ダイヤモンドダストとカリツォーをフォボス越しに放つ芸当も見せ、スペックを超えた戦闘力を見せる。

『伊達に、繋ぎでとは言え、水瓶座を勤めてたわけじゃないって見せてやるわ!受けなさい、絶対零度の輝き!!オーロラ!!エクスキューショォォォン!!』

智子は氷河が相応しい年齢になり、正式に叙任するまでの期間、繋ぎ的に水瓶座の黄金聖闘士を努めている。そのため、転向を見据えて訓練していた黒江よりも精度の高いオーロラエクスキューションを放つことができる。智子は、転生後も常に鍛えている黒江と違い、取っ組み合いは苦手で、剣士としての体裁が強いが、黄金聖闘士としての必要限度の拳は扱えるよう、聖域で訓練されている。無論、実戦も経験しているため、その期間で歴代の水瓶座の黄金聖闘士に劣らぬだけの戦闘力は充分に確保している。そのため、フォボス越しで放つオーロラエクスキューションも、カミュや氷河、ミストリア、クレストと言った歴代の聖闘士のそれに遜色はない。

『あいにく、あたしは取っ組み合いって柄じゃないのよね。デビルマジンガーになったんだし、大人しく凍りなさいっ!』

第二のデビルマジンガーと化したZEROを凍結させるが、当然、元がZEROなだけに、あまり効果がない。

それでも徐々に氷を割って這い出てくる、ZEROが変貌したデビルマジンガー。オリジナルのデビルマジンガーが生物的であるのに対し、ZEROであった名残か、機械的だ。


「小介君。さっき言ってた『ビクトリー・ストライク』ってのは?」

「そちらにデータ、送ります!それを参照してください!」

「お、おい!ブレードが折れてんだぞ!」

「なら、ツインランサーでいけるわ!」

「なら、やってみる価値はある!一矢!行くぞ!!」

「おう!!」

『超電磁スピンビクトリーストラァァイク!!』

超電磁タツマキを媒介に、、天空剣を頭上に掲げたボルテスZのひざ元にコン・バトラーV6がファイナルストライク用の追加エッジを構えて立ち、ダイモスとフォボスが2機を背中合わせで挟みこんで胸のダブルブリザードで加速、4体のフルパワーで超電磁スピンを叩き込む。これで大抵の敵は倒せるのだが、デビルマジンガーはこれでも倒れず、尚も立ち上がる。援護にゴッドマーズがゴッドファイヤーを放つ。更にマーズフラッシュを投擲し、決定的ダメージを遂に与える。更に、二ゲッター・チーム號がゲッターサイトとバトルウイングで追撃する。トマホークでないのは、ゲッター線との親和性と、ゲッターへの慣熟度問題だが、マーズフラッシュが因果を作り、ゲッターが完全にマジンパワーの源を断つ。尚も抗うZERO/デビル。

――ナゼダ……マジンガーガ無敵デアリツヅケル世界がフマントデモイウノカ?ソレガカブトコウジヨ、オマエノノゾミデアッタハズダ。イイノカ、ソレデモ?――

『ZERO。最初はそう思ったさ、永遠にZと共にってな。 でも負けた、倒れた。それでも這い上がり立ち上がった結果が!マジンカイザーやゴッドなんだ!! そして、共に戦う仲間が俺を、俺たちを支えてくれる! 全てぶち壊したら、無敵の強さも永遠も意味が無いんだ!!ZERO、前史で俺は『こいつの心臓はオリジナルのZだ、長年連れ添った俺の兄弟であり、俺の身体でもあるんだ!』とお前に言った。ゼウスが前史で言っただろう。『人と共に立つ、Zは最後の守りの誓いの印しなのだ!ZEROよ全てを無に帰すはお前の存在すら否定するものぞ!』と。その言葉の意味を叩き込んでやる!皆と一緒にな!』

『そうだ!ZERO、お前が『マジンガーをスーパーロボットの始祖とする』認識を持つのなら、俺達はそれを超えてやる!その可能性を見せてやる!!』

マジンエンペラーがエンペラーソードを召喚し、エンペラーオレオールを変形させ、フルパワー形態になり、そこから光速で斬り刻む。マジンエンペラーは超合金の装甲を持つが、実際には合成鋼Gとの複合装甲(ゲッター側のほうが割合が高い)であるので、エンジンと外観以外はゲッターロボと言っていい。そのため、ZEROの因果律操作能力が効かないのだ。マジンエンペラーは光速で乱舞し、光子力とゲッター線、反陽子の三つの複合エネルギーをぶつけ、斬り裂く。

『魔刃一閃!!』

エンペラーソードの威力による大爆発と共に態勢を崩し、落下するZEROデビル。なのはとフェイトが追撃のダブルブレイカーを放つ。そして、皆に促され、甲児は意を決し、ゴッドスクランダーを呼び、合体する。

『ZERO、お前は究極になりたかったんだろう?だけど、やり方は間違ってた。そうだろう?おジイちゃん?』

『そうじゃ。ZEROもデビルも、元はお前に究極の遺産を残そうとしたワシの生み出してしまったものじゃ。確かに、神にも悪魔にもなれると言ったが、ZEROのように全てを消し去るなど望んでおらんわい!』

ゴッドファルコンに内蔵されたウルトラゴージャスコンピューター『おジイちゃん』。生前の十蔵の人格がそのまま移植されており、いうことは生前の十蔵当人そのままである。十蔵の遺志を、人格が移植された者として、語る。ゴッドマジンガーとスクランダーが黄金色に染まり、変形を始める。完全なるビッグバンパンチ。その発動。言わば『真・ビッグバンパンチ』だ。ZEROは創造主たる十蔵が存在を否定したことで、存在を維持できなくなったか、エンジンが暴走を始め、機体が赤熱化する。

『お、おじいちゃん、あいつ、自爆しようと!』

『悪足掻きじゃ。ワシに否定された事で、存在を維持するだけの因果を持てなくなったんじゃろう。この場におる全ての者の願いを込めて、甲児よ!叩き込めぃ!』

『おう!!お前が滅ぼした全ての世界の人達へ償え、ZERO!!俺は!俺たちは!もう何者にも負けるもんかぁあああああああ!!』

ゴッドが完全に変形し終え、ゼウスの右腕になる。黄金に輝きその拳こそ、真の神の拳。甲児は叫ぶ。Zがとある世界でたどり着いた『最強最大のロケットパンチ』の名を。その名も!!


『煌めくZのこの腕(かいな)、素粒子すらも打ち砕く!輝け!ビィィッグバァァン、パァァァンチィ!!』


ゴッドマジンガーを媒介に放つビッグバンパンチがZEROを貫く。その一瞬、ZEROパイルダーの中で息絶えたかのように見えたZEROの甲児が微笑った。そして、この一言をゴッドの自分に遺した。

「これで……世界は…救われる……。ありがとう……」

ZEROは今度こそ完全に滅びた。が、まだ仕事は残っていた。光が走り、少女としての肉体が形作られ、Zちゃんが生まれる。今回は暴走状態なので、ガイちゃんらがこれに対処し、個人的に恨みがある黒江も加わって、Zちゃんを正気に戻すという名目のもと、ひたすらボコボコに叩きのめした。

「ジィィィクブリーカー!!死ねぇ!!」

ジークさんのジーグブリーカーが全力でかけられ、ゲッちゃんがシャインスパークを叩き込む。

「シャイィィィンスパァァァク!!」

「クロガネ頭!!毎度毎度、あーやたちに面倒をかけやがってぇ!ハイドロブレイザー・ギガバァァスト!!」

「お前にゃ色々と恨みがあるんだ、全力でボコしてやる!ライトニングボイド!!」

明らかに殺す気満々の大技が次々とかけられる。ガイちゃんと黒江に至っては『チリ一つ残さずに消滅させてやる!』な勢いの奥義である。私怨入りまくりなため、甲児と鉄也たちは苦笑する。

『ボルトパァアライザァァ!!』

『ライトニングフレェェイム!!』

Zちゃんはこの追撃で目が覚めた。それに気づいても、二人は示し合わせて、拷問のごとき電撃を数分続けた。

『ギニャアアアアア!!て、テメーら、殺す気か〜!あたしはめぇ覚めたって〜!ジークさん、止めて〜!』

『スピィィンストォォム!!』

「え!?」

ジークさんも以前、Zちゃんに言動を笑われたことを根に持っているらしく、全力でスピンストームを当てた。パニックになったZちゃんは光子力ビームを乱射するが、ジークビームに押し返され、目に直撃し、『目が!目がぁぁぁ!!』とのたうち回る。ゲッちゃんは呆れていたが、三人は完全に前史の恨みを晴らすため、結託していた。

『よーし、クロガネ頭!3分間待ってやる!』

と、ノリノリなガイちゃん。三人の『処刑』にあったZちゃんは以後、雷恐怖症となり、『雷コワイ、ビリビリはイヤァ……』となるのであった。


――ダイ・アナザー・デイ作戦はここに成功した。一同はあ号作戦の一環のB作戦『スペクター作戦』の援軍にならんと、黒江たちにボコされて、戦意喪失のZちゃんをドラえもんとのび太に託す。なのはとフェイトは、『綾香さんとガイちゃん、やりすぎだよなー』、『たぶん雷恐怖症になるぞー。ドラえもん、ケア頼むぞ』とこちらも対応を投げており、元がZEROであるZちゃんは、周囲にあまり同情してもらえず、しばらくは甲児にべったりになったのだった――



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