外伝その225『勇壮12』


――扶桑戦車兵は基本的に元は騎兵であった者の転科だったので、M動乱で改善の兆しが見え始めた『突撃癖』はダイ・アナザー・デイ時点では残っており、統幕では心配する声が大きかった。そして、連合艦隊航空参謀の仕事をする黒江にまたも難仕事が舞い込んだ――

「うお、今度は陸自からかよ!財務省に16式の予算カットされたから、総理大臣口説き落として、補正予算に盛り込むようにしてくれ?おりゃ、ネゴシエーターじゃねーぞ!」

黒江のネゴシエーションは自衛隊からも高い評価を得ており、こういう財務省の策謀対策とされる面が大きかった。戦時という状況に理解がない財務省、最新兵器の配備で旧軍兵器の駆逐を目論む防衛省背広組。黒江の慰労金はこうしたネゴシェートの仕事のおかげでどんどん金額が上がっている。

「統括官、今、人事院の友人に慰労金を試算させましたところ、統括官の慰労金は元帥の給金の三倍です」

「そうでないとやってられないさ。もう労働時間、普通なら過労死のレベルだよ。土日なし、昼夜無しに戦闘、作戦立案、折衝だ。不死身で無かったら死んでるとこだ。心が参っちまう」

「財務省もこれで一時金案は諦めましょう」

「当たり前だ。金鵄勲章の対象、700万はいるんだぞ」

金鵄勲章の対象人数が日本の想定の10倍以上であり、なおかつ一兵卒でも授与される代物であるのに驚きが出たのは、金鵄勲章の仕組みが忘れ去られていた証である。扶桑は金鵄勲章の授与を戦時が長引いていたために一時差止めにしていた事もあり、そこまで膨れ上がっていたのだ。そのため、『金鵄勲章の確約』ということで軍刀を与えたり、武功章を作ったり、個人感状を与えたりしていたのだ。財務省や野党の言う事は軍のこうした内情を無視したもので、外人も授与対象になっていることは扶桑独自の基準である。授与対象にされていたのは、508のリベリオン系隊員などだ。(ジェーン・サッチは本国に恭順したので、授与対象から外れる。セシリア・E・ハリスは黒江と面識があり、その関係で自由リベリオンへ恭順した)選考基準は指揮系統上扶桑軍の指揮下で扶桑軍の立案作戦に参加する+上官推薦で授与資格獲得というもので、野党のいう通りにすると、海軍を中心に大パニックが予想できた。代替品の有力候補であった瑞宝章の格が落ちるという警察からの反対、自衛隊にも既に授与対象になった自衛官がいる事から、正式にお流れとなった。だが、この騒動が尾ヒレがついて伝わった事も、クーデターを煽ってしまった感があるのは否めず、黒江の頭痛の種であった。

「参る。本国じゃクーデターの準備中だし、噂が尾ヒレついて、褒章勲章の類が廃止されるって噂になっとる。あー、財務省に損害賠償請求したいよ」

「提案されたのは金鵄勲章の瑞宝章への差し替えなんですけどねぇ。瑞宝章の等級を軍人用に細かくする事も検討されていたようです」

「いつだ?」

「革新政権の初期段階の頃だそうです」

「あとで鳩の翁に通報しようっと」

何気に鳩山ユキヲには災難な事をしようとするあたり、革新政権の頃の冷遇を根に持っているらしい。こうして、黒江が新たな難題に向き合っている頃、陸の戦場では新たな動きがあった。




――ヒスパニア――

ヒスパニアは21世紀の介入でアルハンブラ宮殿を壊そうとしたフランコ将軍が失脚してしまい、パニックになっていた。そのため、史実より早くに王政復古となるしかなく、軍部も佐官以上が粛清されたためにヒスパニア国内での戦闘にも関わず、無為無策であった。フランコ将軍の追放は戦時中なこともあり、反対論が強かったが、それを強行したが故にヒスパニアは混乱に輪がかかり、結果として王政復古となり、史実でのバルセロナ伯・ファンが即位する事になった。もはやヒスパニア軍は指揮系統もズタボロであり、扶桑とブリタニアしか現地にはいない有様だった。これは21世紀にとっては大誤算で、フランコ将軍のカリスマ性は当時のスペインには必要不可欠だったのだ。扶桑とブリタニアが当時の陸軍の主力の大半を送らなければならなくなった理由はヒスパニアのフランコ将軍の失脚と王政復古にあった。ヒスパニアは当時、フランコ将軍のカリスマ性無しにまとまるほど、一枚岩ではなかったのだ。アルハンブラ宮殿、アルカサルなどの世界遺産保護を理由に強引にフランコ将軍を失脚させた事は、ヒスパニアに王政復古では収まらない混乱をもたらし、この後、長らく扶武連合軍の駐留が続くことになる。調、真美、定子の三人はヒスパニアの連合軍の基地へ到着したが、ヒスパニア軍を見ない理由を三将軍に聞いたら『ヒスパニアはもはやまともに軍隊が機能していない』との回答が返ってきた。(元504のアンジェラ・サラス・ララサーバルのみが奮戦し、王政復古でも地位を保った。佐官が不足した事から、即座に大佐となった)

「ヒスパニアは王政復古とそれに伴う混乱でもはや軍隊は機能しておらん。だから、ヒスパニアで動く軍隊は敵と我々のみだ」

「どうするんですか、これから」

「イベリア半島は当面、我々が守護するしかあるまい。フランコ将軍の追放で軍部もかなり粛清人事がなされたから、雑魚しかおらん」

ロンメルはヒスパニアに転戦して同地を守護しており、真美の質問にそう答える。

「アンジー中尉しか、物の役に立たないってことですか?」

「今は大佐だ。本日付で昇進した。おそらく、彼女しかヒスパニアの粛清人事を免れる事ができなかったんだろう。扶桑もおそらく、似た顛末が待ち構えておるだろうから、君たちにおんぶにだっことなるな」

「師匠が未来のストライカーを持ってこさせたって、それが理由なのかも」

「准将はおそらく、扶桑に粛清人事が吹き荒れる事を予期していて、自らの子孫たちに後世のユニットを持ってこさせたのだろう。MATに機材が取られた分、軍隊はストライカー不足に陥ったからね」

「君は黒江くんの弟子だったね?軍籍はあるかね?」

「地球連邦軍に志願して、今は士官候補生です」

「なら、大丈夫だな」

調は作戦中、地球連邦軍へ志願した事をロンメルに示すことでいっぱしの『軍人』として遇された。この時点では階級は曹長である。地球連邦軍は度重なる戦争により、本国での人材不足が顕著であり、調やなのは、フェイトのような異世界出身者も積極的に雇用しており、このような事は割に当たり前になっていた。調は軍人になることは黒江との感応、ベルカ時代の最終的な処遇もあり、入隊に抵抗感はなく、技能を活かすためもあり、志願した。(兵科は黒江と同じく、機動兵器パイロットを示す『機動科』。一年戦争以後の花形兵科であり、航空科・機甲科の後身でもある)



――ちなみに、この話を聞いた響は調が軍人となる事に反対したが、流石にこればかりは個人意思であるので、響も最終的に押し黙った。(黒江に『自分』の身代わりになるよう迫ったことを指摘すると、流石に気まずさがあるらしく、自分が良かれと思ってした選択が他人に迷惑をかけたとされた事にショックを受けて泣きそうになり、とりあえずその場はフェイトが取りなして、事なきを得た。調は黒江との感応で、わざわざ地雷を踏みにくる響へ苦手意識を持つようになり、その事が響が困惑する要因であり、調がのび太を慕う理由である。響は善意でとはいえ、人の踏みこまれたくない領域を無自覚で犯してしまう悪癖があり、そこも黒江や調(帰還後)の苦手意識を固定化させ、調を出奔させてしまったと気に病んでいる。響はガングニールとの向き合い方はケリをつけたが、今度は調との向き合い方でしばらく思い悩む事になる)切歌との和解も時間軸的にはデザリアム戦役中にもつれ込むように、調はある意味では、『黒江が残した足跡が大きすぎて、それが却って、成り代わっていた先の人物である調が持つはずの『本来の世界での居場所』を無くした例と言える。


「……ふう。これで響さんと当分、顔合わせないですみます」

「あの子、狙ってるとしかおもえないくらい、人の地雷を踏むなぁ」

「私や切ちゃんは昔、血の滲むような努力をして、やっとギアが纏えるようになったけど、あの人は天羽奏さんの遺産が体に入り込む偶然で適合して、その後に師匠の手引きでマリアが持っていたもう一つのガングニールを適合させたからか、どうも、自然に人の神経を逆撫でするんだよなぁ」

「のび太くんからの情報だと、あの子、自分の日常が理不尽に壊されたから、誰も傷つけない事に固執してるからね。調の選んだ生き方とは相反するし、仕方ないよ」

調は結局、響とまた雰囲気が険悪になりかけ、フェイトの執り成しでどうにか破局を免れた事を真美に言う。響は『誰も傷つけたくない、傷つけさせないから戦う!』が、調は『傷つくことを恐れたら、大事なモノは失われる。だから、戦う』という風に、互いの正義の方向性が違うのである。響は調が端から見れば、ダーティーな事も実行してきた事(古代ベルカで少なからず、敵の補給路を略奪して断つ行為にも加担していたりする)を知り、非難したことで調がカチンときて、口論になったが、フェイトが取りなして事なきを得ている。響は『自分のしている事は独善なのか?』とフェイトに問い、フェイトは『独善だろうが、偽善だろうと、自分が正しいと思う事をしろ。それで世界をぶち壊せとは言わんが、多極的に物を見る事を覚えろ』と諭している。フェイトは暗に『調の生き方に共感しろというわけではないが、人の生き様は色々と違うものだ』と教え、響に『自分の価値観を一方的に押し付けるな』と示している。また、ドラえもんはのび太が持つ『大長編補正力』は非日常的な存在にはバカモテである事が入ることを響に教え、絶頂期の豊臣秀吉並の人たらしである黒江と合わせて、人材|吸引機(ダイソンクリーナー)と呼んでいるとも告げた。ちょうどドラえもんが鉄人28号の使用作戦『太陽の使者作戦』のために動くちょっと前の事だ。

「ちょっといい雰囲気になりかけたんだけど、どうもねぇ。軍人に偏見あるなぁ」

「自衛隊員に例えたほうが良かったんじゃ?旧日本軍の残虐なイメージ残ってると思うし」

「めんどくさいなぁ、戦後の日本人は。師匠も言ってたけど、太平洋戦争、いや、悪く言えば、戦国武将じゃないっつーに!」

調は戦後日本の持つ軍人へのネガティブなイメージが自分や黒江を振り回している事に嫌悪を隠さない。ちなみに黒江は在留中、自分が軍部の元・高級将校であると前置きして、『バカ言え、日本軍が残虐とか赤のプロバガンダじゃねーか、捕虜の扱いと降伏処理で対応が世界で一番まともだったんだぜ?』と愚痴っており、風鳴翼の表向きの祖父(実際は父。血統主義かつ、戦争後期に旧軍への在籍経験があるからか、国粋主義者の生き残りであり、現役高級将校の黒江から酷評された)風鳴訃堂を軍隊階級で黙らせている。流石に太平洋戦争中に新米の尉官であった彼と、その時に既に高級将校である黒江とは格が違う。『貴様、官姓名を名乗れ!』と凄まれ、新兵のように縮み上がるという醜態を下の息子の前で見せてしまっている。黒江は軍隊階級を使い、介入しようとした彼を退けている。『貴様、海兵、もしくは陸士何期だ?私は1944年には既に陸軍大佐だが?』と。黒江は彼の国粋主義的な言動からすると、親が陸軍統制派の軍人で、その流れで志願した二世か三世と見込んだ。2015年に高齢ながら生存している事を考えると、少なくとも、1910年代から1930年までには生を受けていると考えられた。シンフォギア世界では、風鳴一族は戦前期、日本の参陣した戦で諜報部の人員を送り込んでおり、彼の親か祖父は明石大佐の同期らしい。しかし、彼の親や祖父が陸軍中野学校に関わったと言っても、彼自身は新米少尉、ポツダム中尉でしかない。そのため、現役で志那戦線相当からいる黒江にとっては『ジャク』なのだ。

「まったく、師匠が大佐だったから、翼先輩のお祖父さんの介入を退けられたっていうのに」

軍人は階級、士官以上なら軍学校の期も物を言うため、陸士50期に相当する黒江は翼の祖父『訃堂』に対してはどんな理屈であろうと目上に当たる。まして、志那戦線相当から軍役についていた者と、戦争の終わりが見え始めた頃の志願では格が違う。そのため、旧日本軍経験者には、黒江の軍歴は役に立つと言えよう。

「日本の軍隊は年功序列が強いしね」

日本連邦では、兵上がりの士官(特務士官)が士官学校卒の士官よりも偉い事になっているが、たとえ別世界でも、兵上がりの士官は並の士官学校卒より頼りになる。日本ではその傾向が強いため、そのケースでは階級と年功で平伏せさせたと言える。

「響って子は強引に話を進めそうだし、話聞くかぎり、自分のことは棚に上げてそうなタイプに思えるなぁ」

真美もそうコメントするように、響が黒江に身代わりを強要していた事はかなり顰蹙を買っているのが分かる。また、調が異世界で騎士をしていた事に否定的とも取れる発言を響がしてしまった事が調の神経を逆撫でてしまった事も否めないので、基本的に響は口下手に入るだろう。

「口下手なんでしょうね、響さん。悪意がないのはわかるから、師匠も断るに断れなかったし」

黒江が響に迫られた際に断れなかったのは『響は調が帰る場所を守りたい一心で迫っていたから』である。響はこれで安心したと思ったが、結果としては調の出奔を招いた。つまり、良かれと思っての行動が裏目に出た上、ガングニールを破壊されるわ、調には黒江のことで反感を持たれているなど、まさに踏んだり蹴ったりである。心理的に言えば、『共感性が強すぎて個人に入れ込んでしまうためにその周りの人の考えに至らない』と言え、黒江の成り代わりを知った際に『調ちゃんの帰る場所を守るべきです!!切歌ちゃんのためにも!』と頑なになり、黒江を困らせたのがそもそもの調の反感の理由だ。そのため、黒江は在留中は小日向未来に響の制御を頼んでいたのだ。そもそも、黒江も懸念したように、『別人が作った、もしくは維持していた場所に入れ替わっていたからと元々の本人が戻ってきてもすんなり馴染めるか?という問題』を響は全く考えていなかったと思われ、小日向未来が黒江に詫びている。案の定、調はその場所に馴染めずに野比家へ出奔し、黒江の懸念は現実となった。のび太は黒江からその事を聞かされており、そうした事情を知った上で受け入れた。そこから20年、のび太の従士兼妹分こそが調が自分で得た居場所なのだ。

「師匠が音声データで残してたけど、ひどいもんですよ、真美さん、定子さん。これです」。

『姿形が一緒だっつーても根本的に他人なのに居場所を代理で作ったとしても戻ってきた本人がそのまま馴染めると思ってんのか』

『そんなこと関係無いよ!ちゃんと居場所を作っておかなきゃ!』

『それこそ本人が戻ってきてからで良いんじゃねぇか?』

『直ぐに戻れる場所を作っておこうって言ってるんだよ!」

『(イカン、聞いてねぇよコイツ)お、おう…』

『貴方が調ちゃんの帰る場所を守るべきです!!切歌ちゃんのためにも!帰ったら居場所がないなんて、悲しすぎるし、寂しすぎます!』

「……黒江先輩、回答に困ってるねぇ」

「これ、私が騎士してたのを否定的に言ったときに言ったら、エクスカリバー・フランベルクで薙ぎ払ってますよ」

「悪意がないのはわかるんだけど、強引だね、その子…」

温厚な真美と下原も眉をひそめるほどに強引な話の進め方。黒江が寛容でなければ、乖離剣エアで世界ごと斬っているところだ。入れ替わりは不可抗力による偶然であり、いくら切歌の精神バランスが崩れたと言っても、自業自得の感があるし、黒江当人の意図するところではない。後に、風鳴翼が詫びつつ、黒江に『あの時、立花になぜ、制裁の一撃を加えなかったのか』と問い、黒江は『なんで切らなかったかって?んなもん切る労力も使いたくない程度に呆れてたんだよ、あのガキにな』と答えている。

「たぶん、それで黒江君は君を野比のび太氏のもとへ行かせるように便宜を図ったのだろう。彼なら君を一人前にしてくれると思ってね」

ロンメルもコメントする。歴史上の英雄もこの評価であるあたり、黒江の成り代わり後期の苦労話は同情を誘うらしい。

「将軍、ちゃっかりコメントするんですね」

「私はレディ・ファーストな主義でね」

ロンメルは基本的に女性に優しい。可愛い子に目がないが、ロリコンではないし、ちゃんとこの時期には既婚で、既に長男のマンフレートがいる。なお、ロンメルには史実と似たエピソードがある。王室とは一定の距離を保っており、ある時に長男のマンフレートが親の七光りで王室親衛隊に入隊を志願した際に『私の前でそういう馬鹿げたことを喋るな!!』と叱責したという。ロンメルは帝国軍人ではあるが、王室の権威を傘にしていばる事を嫌っており、息子の王室親衛隊志願を禁止している。マンフレートは空軍に入隊することになったが、圭子には『王室の権威を傘にして威張り散らすのは若い頃から嫌いでね。息子がそういう行為に染めるのはやめさせたいのさ。王室には忠誠は誓っているが、親衛隊は威張り散らしてるのが多いんだよ』と愚痴る人間性を見せた。

「息子の教育に苦労しているただの父親でもあるがね。だから君らのような娘が欲しかったのだよ」

「かなり切実ですね」

「息子は王室親衛隊に入りたがってるが、私は若い頃、連中に苦労させられたことがあってね。それで嫌いなのさ」

ロンメルは元帥に登りつめながら、王室親衛隊と犬猿の仲で知られる。王室親衛隊は『ペーパーテストしか優秀でない阿呆ども』とロンメルは見ており、若かりし頃にかなり振り回されたらしき事を真美達に愚痴る。ロンメルはプロイセン軍の気質を受け継ぐ騎士道精神を持つ事から人気はあるが、息子の放蕩ぶりに困っている。そのため、圭子のアドバイスを後でもらい、『俺の名前でどうにかなる様なところで栄達しようが、実力は評価されんし親の七光りで仕事を得るなんそ三流以下だ、軍人としての栄達が望みならブリタニアでもリベリオンやファラウェイランドでも行って移民枠で入ってやってみろ』とコメントした。マンフレートは空軍高射砲部隊を任期満了で辞した後、その言葉通りに政治家へ転向。後に奪還なった本土でシュトゥットガルト市長に栄達。ウィッチ世界の2013年に他界するまで、政治家としてのキャリアを築いたという。

「たしか、息子さん、シュトゥットガルト市長に栄達したような」

「本当かね」

「政治の才能はあったみたいで、ハンス・フィルビンガー内務大臣の秘書や財務次官を歴任して、2013年まで生きたとか」

「それを聞いて安心したよ。私は本来なら、もう服毒自殺している時期だしね」

「自虐ネタですね」

「仕方あるまい。パットンもそろそろ事故で死んだはずの時期だし、モンティしか天寿を全うしていない。奴は智子くんのことの煽りで降格したが、補給分野を任せるにはうってつけだよ」

「で、今はどういう車両で指揮を?」

「うむ。私が自ら指揮を取る必要はないが、パンターを象徴的に置いているよ」

ロンメルが前線の戦場で指揮を取る必要はないが、一応、指揮戦車は象徴的に確保していると話す。

「日本向けのパフォーマンスですか?」

「指揮官先頭の意識が特に強いからな、日本連邦は」

日本連邦軍部が困っているのはまさにそれで、一般人が『温室で踏ん反り返る暇があったら兵隊の苦労を知れ』と罵詈雑言を浴びせた事も、ウィッチ出身高級将校達のクーデターを煽った感はある。参謀達のおおよそ7割以上がこのダイ・アナザー・デイでは従軍できる状態でも無く、日本が『大本営参謀は無能だから、派遣させると玉砕させる』とレッテル張りして本土の参謀を買い殺ししたため、黒江達が参謀任務すら兼任せねばならなかったのだ。そのため、前線参謀の多くは自衛官出身の者たちか、連合艦隊の有能とされた一部の参謀達のみ。過労死させる勢いで酷使している。黒江達は言うに及ばず、彼等もまた、功労者であるので、天皇陛下は叙爵を検討している。(黒江への叙爵をきっかけに、扶桑の爵位をどう処理するかで物議を醸し、『日本国内では他国爵位を参考に遇する』という通達で決着する。これは日本では既に存在しない旧・華族とは似て非なる制度だったのと、戦国三英傑の末裔が豊臣家含めていることの兼ね合いだ。また、ウィッチ制度がある都合上、戦国武将の末裔などで意外にウィッチ出身の当主も多かったのも日本の革新政党が手出しできなくなった点だろう)また、この時代の羽柴家(豊臣)当主は羽柴秀次と駒姫の間にできた子供の末裔で、本家に養子に出された事も、革新政党が呆然とした事実だ。基本的に豊臣家は織田や徳川と違い、男子当主が生まれにくく、ねね(北政所)のような女性当主が多い。また、基本的に織田時代に大老や摂政についた者(秀吉は秀信の摂政だった)のみが豊臣を名乗り、権勢を奮った秀吉は特に太閤殿下と呼ばれた。秀吉と秀頼はその要件を満たしたが、太閤殿下と呼ばれたのは秀吉のみだ。(太閤殿下という呼び名が通じた事から。関白になったが、織田家家臣のままであった事から、支配者にはなり得なかったらしい。それが秀吉には幸せであったかもしれない。)織田幕府は意外に織田宗家の将軍は信忠以後は意外に出ておらず、徳川吉宗のような他家出身の将軍もいるほど、織田の血統で将軍を固めるような思考はなく、『有能なものを他家からもらって据え置く』思考であり、総理大臣に近い認識の役職だったらしい。そんな開明的幕府であったためか、戊辰戦争相当の内乱は小規模であり、坂本龍馬も昭和の初めまで生きていた。また、龍馬は元・朝鮮王家の末裔を1910年代に養子にしていたので、そこも野党が責められなくなった要因だ。そのため、日本は対応に苦慮し、結局、扶桑華族や日本で旧皇族となった扱いの皇族の扱いは据え置きとなり、日本の元華族は扶桑では華族待遇で遇される運びとなった。金鵄勲章の事実上の完全な名誉回復と華族制度の適応が実質的に復活がなったのは、野党が大誤算だろうが、扶桑との連合では当然の帰路であった。華族制度は扶桑では、当初の特権はほぼ消えたものの、義務が多く課されていた身分であるため、日本側の認識とは異なっていた。廃止するデメリットも多かったため、結局は扶桑華族は存続する。義務と特権のバランスが微妙過ぎて能力=爵位の認識な世界であり、黒田家など、風香がウィッチ能力が無いという理由で冷遇されたほどのものだ。ある意味、華族は能力主義であり、黒田は黒田家で当代最高の能力を持ち、レイブンズに仕えているという箔もあり、嫡男の廃嫡をしてまで当主を邦佳へ継承させる。このニュースは日本の黒田家を驚かせたが、華族の義務を果たせない者は不要という扶桑の根強い風潮に反対論もあったが、黒田家はそれしか無くなったのである。そのニュースが『扶桑華族は無条件に嫡男が継ぐものではないし、見合う能力がないと廃嫡がなされる過酷な世界』という認識を日本に与えるには充分だった。邦佳は軍人であるので、国会に登院する義務もないが、慣例で貴族院議員にもなっている。そのため、当人の嫌がりと裏腹に肩書きは豪華になっていく。また、軍人として優秀である事、漫画と違い、黒江と深い絆がある事で注目され、日本でも人気者になる。漫画と違い、黒江と同じ九州武士の狂奔を備えた戦闘狂的側面があり、『島津豊久の再来』と地元では評判という特徴がある。そのため、両親は邦佳が婿をもらうことも、嫁に行くことも諦めているという。後に現れる坂本Bは、黒田のその戦闘狂で、大将首に固執する戦国武将的側面をして『鬼島津の再来か…』と息を呑んだという。また、A世界では坂本の一期先輩に当たるため、ペリーヌBが突っかかり、(黒田の同位体と面識があった)モードレッド化したAに『やめろって。あいつは妖怪首おいてけだぞ』と諌められて困惑したとか。黒田の戦闘狂モードの戦闘力はモードレッドをも凌駕しており、ペリーヌBのトネールなど児戯のような攻撃を容易に放てるのだ。ペリーヌAがモードレッド化しても、黒江達に『うっす』などの体育会系的台詞で敬意を払うのは、モードレッドがその力を認めているからであり、ペリーヌBを諌めたのは『あの人達怖いもん』という若干のビビリも入っていた。モードレッドは子供っぽい面があるため、そこも意外に可愛いところと言えた。ペリーヌAはモードレッド化することで本心をさらけ出すため、次元震パニックではペリーヌBを困惑させた。ちなみに、モードレッドは日本の兜割りに本気でビビり、「兜割りって何だよアレ、普通は剣で兜殴ったら剣が折れるか曲がるか刃が潰れるかだよなぁ!?」と母親に泣きつき、「日本刀は作りがちがうのですよ。あれは腰が引けます」と、アルトリアも腰が引けたというほどに戦慄したらしいとのこと。そのため、基本的に騎士は武士の戦法に戸惑いやすい。そんな初見殺しでスイス傭兵を蹂躙し、ブリタニア騎士団を半身不随に陥らせ、ブリタニア王室を怯えさせたという逸話が残っているという。実際、扶桑のある武士の日誌はブリタニア騎士団を『赤子の手を捻るかの如き』と形容しており、ネーデルラントの傭兵団として、ブリタニア最強の騎士団を蹂躙した歴史的背景がある。また、おそらく、滅亡したオスマン・トルコ帝国がウィッチ世界で絶頂期を迎える礎となった傭兵団とは、スレイマン一世が扶桑傭兵団を大量に雇ったものではないか、という話もある。(ウィッチ世界ではオスマン・トルコ帝国は史実通りに何らかの理由で滅んでいる。45年ではサウジアラビアに取り込まれており、ブリタニア影響下だ)また、国号はオストマン王国となっており、サウジアラビアが旧オスマン・トルコ帝国を取り込んだらしい)日本が思っている以上に、侍のブランドは意外にウィッチ世界では無敵のイメージを持つのである。これも織田時代に傭兵で外貨を稼ぐのが日課であった事、織田家の気質的に海外雄飛が国是にされたことで、有能な侍の多くは傭兵団として名を残した事が理由で、末期にはすっかりただの官僚と化していた日本と違う点だった。また、幸運にも、ウィッチは武家から出やすかったため、質の高い傭兵になりやすい土壌があった。黒江家も穴拭家も古くは傭兵団で名を成した家系だ。ただし、日清と日露相当で綾香の曾祖母と祖母が戦功を挙げたが、智子は戦国から智子の代までウィッチが出なかったのである。そのために智子は溺愛され、黒江は母との確執を抱え、家庭的には不和という環境に悩まされたが。黒江の深層心理は末娘らしく、『実は姉に憧れていた』のであり、圭子はそれでキャラを投げ、智子が苦労人になったのだった。智子は転生を重ねるうちに黒江へ情を持つようになったが、顕現したあーやが可愛い妹キャラであり、大人になった時のクールな声色の面影がない高めの可愛いボイスも智子のハートを撃ち抜いた理由で、坂本に転生を促したのも、このあーやのせいであり、黒江の裏人格はGの増加を促す役目も担っていたと言える。特に、智子は『綾香を利用していた』負い目からか、自分を姉のように慕うあーやは裏切れず、今回の転生であーや色が濃い性格になった黒江を見て、姉代わりを自認したわけだ。黒江も今回はあーや色の濃い天真爛漫さと、戦士としての冷徹さと打算などが高度に絡み合った性格であり、人物評は『敵に回すとあらゆる意味でこわーい人』である。実際、黒江は今回は戦士としての冷徹さ、打算の高さと、それを抜いた子供っぽさが同居しており、仕えた部下達も素顔を探れない人というが、黒田などには子供っぽさを見せるため、多重人格の名残りを残していたという。また、ドラえもん達5人は『特異点』であるからか、黒江のキャラが最初とかなり変わったことには気づいているが、接しかたを変えないのも黒江の感激ポイントで、その関係で黒江は今回、野比家に上がりこむ事が増えたのだった。



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