外伝その274『プリキュア・プロジェクト2』


――2010年代後半。大量の核兵器がありながら、圧倒的な学園都市の武力で膝を屈したロシア。極東進出の夢を完全に打ち砕かれたのを国辱としたロシアは統合戦争を引き起こすが、それがもとで、逆に彼らは地球連邦政府内部で辛酸を嘗める羽目になる。また、日本の左派も自衛隊の拡充を否応なしに迫られるようになった事に狼狽し、自衛隊の代わりに扶桑軍隊を置けばいいとする論調に転換し、周囲の失笑を買った。その事は扶桑の軍隊規模維持に一役かった。扶桑は国家総力戦前提の外征軍隊なので、暇を持て余す兵士たちはいくらでもおり、元・ユーラシア方面軍の将兵の名誉回復にもなる。そのため、陸軍のユーラシア大陸方面軍の出身者達は日本の新領土になった極東ロシアの警備に宛てられた。彼らだけでも、有に陸自が数個フルセットできる規模なので、日本連邦軍としての大規模さのアピールとなった。領土の警備を扶桑部隊で解決させた日本だが、その裏で苦労した人物がいた。グンドュラ・ラルだ。ラルは空軍総監就任によって『過去の悪事』は一応のお咎め無しとはなったが、裏工作が明るみに出てしまったため、ドイツに問題視され、数ヶ月の給与のうち、基本給半分と職務手当の自主返納という罰を受けた(下原を裏工作で引っ張った事は、宮藤の軍への加入フラグ成立のための行為と説明した)。そのため、ラルは空軍総監の職にありながら、ハルトマンに食わせてもらうという事態に陥ったのである。(自業自得だが、日本の漫画とライトノベルからバレたのは流石に予想外であり、流石に同情論があった)。ハルトマンは面倒くさがりつつも、階級がスコアに応じて昇進し、ダイ・アナザー・デイ中には中佐となった。(ハルトマンにはスコア再調査による調整の影響は無かった)Gウィッチのスポークスマンを自認し、カールスラントの誇りとまでヨイショされる彼女の苦労はラルに生活費を援助するに至ったことでもあり、その事もあり、今や、カールスラント組では一、二を争う高給取りになっていた。ラルに生活費を援助しつつ、自前で黒江達に提供する刀の審査をしていたり、多忙である。



――シャーリーのライブ会場――

「おっす」

「ハルトマンか。ラルへの援助はしてきたか?」

「南洋島に家ほしいって言うから、代金を払って来たよ。まあ、昔の事で罰を受けたってんで、本人はぶーたれてる」

「今は日本が金の力で政治的に絡んできてるからな。日独は特に、同位国の制御に躍起になってるし、うちらなんて反戦の風潮が持ち込まれて、来年以降の志願は目も当てられないくらいの下げ率だろうだって人事課は嘆いてる」

「それを見越しての計画っしょ?」

「ああ。だからこそのプリキュア・プロジェクトだ。日本から反戦の風潮が持ち込まれることで志願が落ち込むから、その分をプリキュアで補う。お前たちは俺の立案した計画に乗っかってるわけだ」

「まあ、自衛隊も人手不足だったし、軍隊ってのは嫌われ者ですからね、戦後日本じゃ。…で、この人は?」

「エーリカ・ハルトマン。この世界のドイツ空軍最高のエースパイロットで、中佐。ウィッチだから、お前たちとほぼ同じくらいだな」

「のぞみの素体になった奴と同期だよ、あたし。14くらいの頃に一度会ってる」

「そんな事あったなぁ。エーリカさんも見に?」

「仕事終わったしね。最近はおちおち寝てもられないし」

「ああ、ドイツの人員削減対策?」

「44にベテランをあらかた集めておかないとならないからね。そっちの64と似たような事情さ。そっちは最強の精鋭部隊を求められて、オヤジさんが造らせたけど、こっちはリストラ対策だよ」

苦笑するハルトマン。実際、64Fは日本側の後押しと軍上層部への圧力で、当時に軍部でA級技能とされたエースパイロットの八割を要するに至った。45年当時の陸海軍で名を馳せたエースパイロットの八割を集め、幹部は事変の経験者。今回は坂本も、部隊を去った志賀の人事補償という形で出戻っているため、文字通りの最強と言っていい。44戦闘団が史実同様の陣容になったのは、ドイツの強引な人員削減からエースパイロットを守るためであるため、そもそもの人員召集理由が違うのだ。こうした人的資源の一極集中は現場の反発を招いたが、実際、双方のトップエースのスコアは戦意高揚を理由にして、思いっきり疑問視されていたため、こうした精鋭部隊は上層部の『保身』の意味合いもあり、是が非でも必要とされていたのである。その役目を黒江やハルトマンは担わされたわけだ。一時は統合戦闘航空団そのものが『政治を軍事に持ち込むな』という批判で全部隊が消滅の危機にあったため、二つ以外を統合させた上で、シンボル的存在としての黒江達の存在が必要とされたのだ。かつての英雄伝説が。それは扶桑には皮肉そのものだったりする。突出した個人を嫌った気質が逆に問題視され、扶桑航空部隊は内紛を経験していく。連合軍としても、『国家単位で対応出来ない脅威に大しての国際協力が統合航空団なのに』と困惑し、抗議したが、ノーブルウィッチーズは死産に追い込まれた。『一国で編成出来ない規模と練度の部隊にして火消し役に徹する運用』の提案も『火消しじゃなく、敵を殲滅するコマンドーにすべき!』と防衛省の誰かが言い、モントゴメリーの失笑を買ったが、その官僚が逆ギレして、マーケット・ガーデン作戦のことを言い立つつ、逆エビ固めをかけようと襲いかかり、モンティの護衛のマイルズ少佐に取り押さえられる不祥事が起こってしまい、黒江を悩ませた。防衛省としても、キングス・ユニオンの高官に、前代未聞、逆エビ固めを官僚がかけようとトチ狂ったという不祥事に胃を痛めた。結局、キングス・ユニオンとの国際問題を恐れた防衛省がその官僚を懲戒免職処分にしたものの、黒江がそのしわ寄せを食うため、慰労金がますます増加したという。しかし、各国トップエースをアメリカ相当相手に使わないというのは確かに合理性に欠けるため、日本連邦とカールスラントを理事国にし、最前線への攻勢に用いる代わりに、彼女達の優遇措置を強めることで手打ちとされた。つまり、作戦中は最前線に投入され続けるからだ。しかも生存率低めの。黒江は『俺達はレッドショルダーかよ』と呆れたという。これがアメリカ軍なら、交代要員に定期的に入れ替えて休養を取らしているからだ。黒江はこの警察系防衛官僚の無知と傍若無人に対応しようとし、プリキュアを呼んで、手伝ってもらおうとする発想に行き着き、それを手直しして提出し、承認されたのがプリキュア・プロジェクトだ。秘匿名称は『呼称・P』。ロンメルが承認したプロジェクトである。東二号作戦の頓挫と同時期にそれは承認された。当初は黒江が探す、あるいは黒江と智子でプリキュアになるかの二択であった。のぞみの転生が判明したので、後者は無事に(?)回避された。

「お前が来てなきゃ、俺、マジでなるつもりだったんだからな」

「またまた〜、いくら先輩でも…え?えぇー!?」

「前々から、智子と言ってたんだよ。どうせならプリキュアにでもなろうぜって。で、見つかんない場合は俺達がプリキュアにだな…」

「あーやらしいね〜」

「ち、ちょっとぉ!何なんですか、貴方達、そんな気楽な…」

りんは驚天動地である。

「交代要員や補充を考えられなきゃ、戦力は成り立たない 海自がなんで作戦単位4つも揃えてるのか考えろって奴だよ。サッカーだって、控えがいるだろう?」

「そ、それはそうですけど…」

「でも、そこで自分がなろうってのが先輩らしいっていうか」

「でも、まさか、お前が最初とは思わんかったぞ、のぞみ。そりゃ三代目で、ポジションがV3みたいだからってなー。もしなれたら、なぎさの姿を借りるつもりだったんだよ、こういう風に」

「えー!な、なぎささんに変身したー!」

「嘘ぉ!?」

「こんな風に姿は変えられるんだが、肝心の技の再現に詰まってな」

大魔神のように腕を顔の前にかざし、手を顔の前で振ると、キュアブラックこと、美墨なぎさの姿になっていた。服装もなぎさ達の通っていた中学校の制服に変えている。

「確か、なぎささんって、単独での技持ってなかったんだよね。多分それですよ、原因」

「そうか。ありえな〜い!」

「そう!それそれ!そっくりですよ、先輩!」

「お袋の英才教育の名残りだ」

黒江はなぎさの口癖を再現してみせる。ただし、派手に光る変身はしないと言う。声色もなぎさのものであるので、のぞみは興奮気味だ。

「ま、他にも…」

「あ、今度は咲さんだ!」

今度はスプラッシュスターの日向咲になってみせる。黒江は基本的にピンクチームの姿になれるようで、のぞみの過去の変身状態にもなってみせる。

「あー!昔のわたし!?わ〜!そ、それはぁ!」

「なーるほど、昔はヘソ出しだったのか。スースーしやがるぜ」

「あーん、私の姿でそういう台詞なしー!」

のぞみの変身形態は基本的に初期と別のアイテムを用いてのものであるので、初期とは姿が異なる。黒江に言われて気がつき、涙目になる。

「ま、これでわかったろ?お前のは再現しやすいからできたぜ。」

姿を戻して言う。のぞみのものは個人単位で放つ事が可能な初の例であるので、比較的に再現はしやすい。そう言われてしょげる。

「ハハハ。技の普及は大事だぞ。俺達、仮面ライダーも回転キックとツープラトンキックは共通技にしてるしな」

「あれ?ライダー投げは?」

「ありゃ柔道してないと無理だ。投げ技は難しいんだよ」

仮面ライダー達も代を経るにつれ、共通技も増えていったが、お互いの特性の違いもあり、あまり多くはない。ライダーパンチ、ライダーキック、ライダーチョップ、回転キックと言う具合だ。


「俺達も全員が格闘技経験があるわけでもないからな。茂なんて、ただのアメフト部だ」」

「それいうと、洋さんはハンググライダー部じゃ」

「おーい。第二世代機はどうすんのー」

「あれは本国で天姫にテストさせる。今のガキにゃ不評だろうし」

「第三世代は?」

「第三世代理論はISと同じ感覚でいい。あそこまで行くと、区別が曖昧になるからな」

「確かに、あれはもう未来世界のやつやISに近しいしね」

第三世代理論の21世紀運用型は装甲服の体裁のデザインと機構であり、ISと見かけは近しいデザインにまで飛躍している。第四世代理論はこれにステルス性を付加させるものだ。ただし、第四世代機はラプターやライトニングUのように搭載量が減っている(機動性はいいが)のが不評であり、整備費も増している。また、機構そのものは第三世代理論が一つの到達点であるので、そのカスタムが好まれる。黒江たちも前史の現役最末期には式典で使用していた。21世紀型だと丸みを帯びた形状だった装甲が直線的かつ小型化されており、二代目レイブンズの持ってきた機体はその最終改装型だ。そのため、ISと外見は似通ってきており、見分けはつきにくい。この世代からは巡航用ビーグルモードに変形する機構もあるので、前世代機より高価である。黒江が使用していた時代は動作処理速度の関係で動作が『重い』と感じる程度には鈍さがあったが、21世紀には改良され、ISに遜色はない。また、最終改修型なので、魔導誘導弾を多数積み込んでもなお、高Gでの空戦機動を可能とする。ただし、機種によって機動特性に癖があり、トーネードAVFの場合は震電に近い運用が最適解である。扶桑が同機を試験運用したのは、イーグルが高価なので、キングス・ユニオンから試験購入したからで、正式な購入計画ではない。なお、この世代の装甲服の駆動は扶桑系でコンバットアーマーのようなマッスルシリンダー(ただし、感覚としては関節用微調整システムのようなもの)とフィールドモーターとパルスアクチュエータの混合であるのに対し、オラーシャ系はマッスルシリンダーに依存しており、同国の専用液生成技術の拙さもあり、被弾時の生存率は低い。オラーシャ系はアーマードトルーパーさながらの生存率であることから、扶桑から『ボトムス乗り』と揶揄されている。複数の機構で関節駆動を担保する思想の扶桑系、マッスルシリンダーを破壊されると、身動きが取れなくなるが、安価なオラーシャ系に大別される。扶桑系は基本的に高価であり、先進国には好まれるが、維持費が用意不能の途上地域には好まれない。基本的に前者を最先端、後者を旧式と認識するのが21世紀ウィッチ世界の通例だ。扶桑は90年代にポリマーリンゲル液の寿命の延伸に成功し、フィールドモーターの小型化、パルスアクチュエータの世代交代が重なり、イーグルの独自改修に成功した。また、ポリマーリンゲル液の安全性も高まった事から、カタログスペックでは、新式パルスアクチュエータ主体の駆動になったラプターにも伍するとされる。

「ポリマーリンゲル液の取り扱いには整備兵に注意させんと。あれ、改良されても人体には猛毒だし」

「うん。あれを飲み込んだら腹が死ぬし。あたし達しか飲めないね?」

「できれば避けたいぜ。あれは下痢になるし」

「第三世代理論はこれが面倒だよ。あの液の取り扱いをしこまないとならない」

「触れたり浴びたり程度は大丈夫、ジュース代わりに飲むと一生物が食べられなくなるって脅しとけば良いさ。実際、70年代に誤飲事故があって、内蔵壊して整備兵をやめたのはあったしな、オラーシャで」

「扱いは石油と同じでいいね?」

「連中には化学製品だから、飲んだら苦い上に、内臓が死ぬとか言っとけ。実際、開発過程でも事故死したのいたっていうし」

「だよね。第四世代でパルスアクチュエータ主体になったのは?」

「フィールドモーターを多くすると高価になるし、マッスルシリンダーを主体にすると生存率が下がる。そこでパルスアクチュエータを改良したんだそうな。でも、ステルス性入れると、結局、値段あがるんだがね」

「トルク低いんだよな、オラーシャ系は」

「あの国はトルクよりも自由度取ったからな。作業性はいいんだが、パワーねぇのよな」

「元はガイアの技術だっけ」

「そそ。で、上の連中は?」

「当分は製造ラインが混乱するから、黙認だって。紫電改や烈風のパーツが送れないくらいパニックだって」

「やれやれ。警察系の出向組は『無能な働き者』だからな。おかげで内紛は確実だ」

「お武さんが嫌うのわかるよ。連中はほうれんそうのほうしかしないからね」

――無論、それだけが要因でない。若き日の武子や江藤の報告やスコア調整も内紛の遠因であり、後になって上層部に責められたが、二人は当時の職責の範囲内での義務は果たしていたため、結果的に当時の首脳であった東條英機が責められる事となった。江藤と武子が苦い思いをしたのは、自分達が『あの三人は調子に乗っている』と早合点して、教育/善意で先走った事で、東條が最終的に全ての責任を取り、バード星へ移住していった事がウィッチの暴発に至らせ、その行為への厳罰対応に、扶桑国民が萎縮する事を二人は悟ったのだ――


「東條さんがバード星へ移住したろ?それで暴発する連中の中心メンバーは銃殺、よくいって終身刑だろ。それだから、プリキュア・プロジェクトを進めたんだよ」


「上の連中は同位体の行い一つで首が飛ぶか、国外追放に遭う時代だし、精鋭部隊が必要にされたんだよね、あーや?」

「おう。多くは保身のためだよ、連中のな。そっちの海軍なんて、水上閥がデーニッツを弾劾してパニックだろ?こっちも海軍航空が弾劾されて参謀が不足してるから、親父さん達が組織回してるし、空軍に海軍航空を丸ごと入れちまえって案まで財務省が出してきやがる」

「特攻のことでしょ?参謀をクビにして、連中は空自を過労死させたいのかね」

「空自と海自の縄張り争いになるから、やめろってやつ。それに、騒音問題で面倒くさくなるのは目に見えてるし」

当時、中央から追放された参謀はかなりの数に登り、戦線での人手不足が顕著に表れていた。黒江が艦隊参謀ををも兼務しているのはそういうことで、ナインセンシズで瞬時に艦へ移動できるが故の勤務である。自衛隊で黒江を慕う者達が補佐についているのは、負担低減のためである。そのため、作戦を動かしてる者は事実上、自衛隊の統合幕僚監部と、一部の扶桑軍良識派の将校と言っても過言ではない。

「おかげで、おりゃ空自にバルキリーを与えないとならなくなったよ」

「ご苦労さん。それと、そっち、実階級を調整する話あったね?」

「ああ。あれな、人事院が反対してな。現場が混乱して、内乱確実になったって抗議入れたら、人事院が動いてくれて、結局、実階級を勤務階級まで上げて処理、教育は然るべき時に行えばいいって事に落ち着いた。これで混乱は収まるが、内部の不満は溜まってるはずだ」

「立場を脅かされたからって、すぐにクーデターに走るのが戦前日本の軍人の悪いとこだよなー」

「当時の国民性も大きいぞ。ったく、戦後と戦前は別の国ってのもあながち間違いじゃないな」

「士はどうやって移動してるんだろう」

「タイムマシンも使わずに行けるからなー、あいつ。全ライダーでも有数のチートだよ。RXと並ぶな」

「一文字さん、あいつの戦力はどのくらい?」

「そうだな。あのおっさんが『おのれディケイドぉぉぉ…』とか喚くくらいにチートだよ。あいつ、平成ライダーの能力を再現できるからな」

「でも、信じられない」

「どうした、りん」

「だって、魔法を機械の箒で使う子たちがいて、ラブにやよいが好きだったヒーローが実在してて、ここは1945年の欧州。あたし達が神様に必要にされた存在なんて、プリキュアになる前なら、絶対に信じませんでしたよ」

「普通はそうだ。だが、世の中の心理はお前の現役時代のように甘いもんじゃない。闘争が全ての平行世界の真理だ。それはこの世界のアメリカを裏で操るナチの生き残り連中もわかってる事だ。『DEAD OR ALIVE』、『見敵必殺』だ。平行世界は広い。世の中には、地球に隕石を落としたり、巨大戦艦をぶつけて人の革新を起こそうとした連中もいるんだ。自然への贖罪と称してな。それを止め、更には宇宙の敵と戦う必要があるんだ。地球で小さないざこいをやってる場合じゃないってのに」

人は闘争となんだかんだで縁が切れない。ドラえもんの世界に限定しても、23世紀までの200年に限定したとしても、統合戦争を序章とし、一年戦争からの多くの戦争、宇宙人との戦争を経験した。そのおかげで地球連邦の権威が復権した。また、軍事技術に比して、政治家は日和る場合が多いのも特徴であり、イルミダスもそこが地球の弱点と断じているが、生存競争となった場合、地球人は他種族が恐れるほどの苛烈さを見せる。ゲッター線の力も使い、波動砲も使う。23世紀には、ジオニズムはもはや『旧時代の遺物』に等しいのだ。

「世の中、お前らが思うほど、世界は優しくないってこった。日本が長い世界大戦で一つにまとめた世界も年月の経過で綻び、やがて新たな対立が生まれる。連合と枢軸の対立が終わっても、東西冷戦が訪れた。統合戦争って大戦で地球連邦が出来ても、ジオンが生まれ、連邦内部の軍閥抗争まで起こった。そして、世界を滅ぼす終焉の魔神と世界を守る魔神皇帝の対立…。そんな経緯を辿った世界がある。そして、お前たち歴代プリキュアは巻き込まれてるんだよ。全部の平行世界を股にかける、『俺達』と人類を土くれ同然に見てる神々との戦にな」

「神々との戦……?」

「そうだ。俺も今や不死身になったから、あれこれ言われる身だが、明確な目的があるんでな。巻き込んですまないが、サタン、いや、堕天使ルシファーこと、飛鳥了と不動明、デビルマンの人類存続をかけた平行世界を股にかける戦に噛んだ以上は、不動明に加勢せねばならんのでな」

「不動明、デーモン族の勇者・アモンを乗っ取った青年、デビルマン…!」

りんは息を呑む。ルシファーとデビルマンの争いは神に類する力を持つ者の対決であり、牧村美樹の愛した人類を守ろうとする不動明は親友の飛鳥了、即ちサタン/ルシファーとの対決も辞さない。ゼウスが黒江達に不死性を与えたのは、人類を滅ぼそうとする飛鳥了(サタン)を止めるためである。その事から、ゼウスはデビルマン側に与しているのがわかる。神と悪魔、ZEROとカイザー、サタンとデビルマン。様々な対決を孕んで、世界は動いていく。



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