外伝その338『プリキュアと英雄たち6』


――のび太は裏稼業の依頼が入り、政治的な仕事を始めた。その実質的な代理を兼ねての従軍となったフェリーチェ/ことは。サイドアームはのび太が仕込んだこともあって、ロングバレルのスーパーレッドホークである。(弾丸はカスール弾)

「うっわ〜、先輩、見てくださいよ、454カスール仕様ですよ、これ」

「のび太も物騒なの渡してるな。熊も殺せるぞ、それ」

「のび太に頼んだら、これを渡されまして」

「護身用にゃオーバーだぞ。熊も殺せる弾丸なんて。これより上は50口径か、ニトロ弾くらいだぜ」

「車のエンジンぶち抜けますよ、これ」

「魔力で強化すりゃな。誤解されてるけど、拳銃のマグナムじゃ、車のエンジンは撃ち抜けん」

「そうなんですか?」

「ああ。貫通力的に無理だ。それとカチューシャ、もとい、キュアピースから連絡があったそうだ。……ノンナもプリキュアだぞ」

『え――ぇぇっ!?』

「マジだ。スタートゥインクルのキュアコスモだそうで、向こうのプリキュア連中も腰抜かしたそうな」

「あの世界、プリキュアがガチャみたいに多くないですか!?」

「確率がかなり良心的だぞ…。プラウダ高校なんてな、隊長と副官がプリキュアなんだぞ。乾いた笑いが出たわ、マジで」

「スタートゥインクルと会った記憶、全員がありますかね?」

「りんは『ない』のを確認した。いちかはあるらしい。それぞれの個人差があるんだな。お前たちはあるだろ?……プリキュア、ウルト○マンより多くね?」

「私達に言われても困りますって」

「アメーバみてぇに、毎年毎年増えてるからなー。仮面ライダーはZXとBLACK(RX)には、相当に間があったってのに。それと、お前、みなみに同じような事を二回した事あったろ?」

「それ、後でツッコまれたんで、みゆきちゃんに診てもらったら、人格の融合で生じる記憶の混乱だろうって。融合で脳みそに負担がかかったんで、一時的な記憶の混濁だそうで」

「そりゃ良かった」

歴代のプリキュアが続々登場する事には、プリキュア自身も驚くほどである。初代とSplash Starが狙ったように外れる事に不満の声もある。だが、初代とSplash Starは別世界で何かのために戦っているであろうことはのぞみ(ドリーム)とラブ(ピーチ)は悟っている。平成仮面ライダーも動き出しているというので、スーパーヒーロー大戦的な事態になりつつある。その一方で、戦線では、ティターンズもMSの供給体制を整えたか、MSが現れるケースが再度、増加し始めた。と、そこへちょうど…。

「ティターンズめ、またどこかからMSを手に入れやがったか?MSの来襲警報だ。この駐屯地にゃ量産型のF91があるから、それで迎撃するわ」

「F91、量産されたんですね」

「もともとはジャベリンの上位機種として配備予定だったんだが、エースパイロットしか扱えないからってんで、エースパイロット専用機に変更されたんだ。試作機とほぼ同一の仕様で増産された、第二期生産型が出回ってんだよ」

黒江は二人を伴い、格納庫に行く。そこには試作機とほぼ同一の仕様で生産されし『量産型F91』があった。エースパイロット専用機に趣旨替えされたため、シーブック・アノー(キンケドゥ・ナウ)が搭乗していたオリジナルに近いカラーリングになっている。ただし、バックパックはツインヴェスバータイプに変えられている。これは第二期生産型の量産F91はペーパープランに終わった『F92』の予定プランを充てがったからだ。ミッションパックの利点はそこにある。

『はーちゃんは変身しろ。MS戦ってのを見せてやる』

量産型F91を起動させ、黒江は迎撃に打って出る。こうした臨機応変の対応もGウィッチの軍事的利点である。そもそも、Fシリーズそのものがサナリィの試作機製造計画の面もあり、F91の量産は想定外であった。当初の量産計画ではバイオコンピュータをランクダウンさせる予定だったが、エースパイロット専用機に趣旨替えする際にバイオコンピュータがフルスペックモデルに変えられたため、相対的に高価になった。これはエースパイロットがM.E.P.E.の幻惑効果を高く評価していたため、それを起こせるパイロットへの配備に計画が切り替わったためである。黒江が乗り込んだ個体も後期仕様で、エースパイロットの搭乗前提の調整がされたものである。この時に現れた敵機はドダイ付きのマラサイとアッシマーで、ティターンズの中後期の標準的な侵攻部隊編成である。

『敵はアッシマーと、マラサイのドダイ付き。グリプス戦役の時の標準的な編成だな…』

「アッシマーって、そんなに多かったんですか?」

『アンクシャがあるから、そこそこ需要はある。Zタイプより安価だし』

アッシマーは空中戦をこなすMSであり、旧式化はしているが、流通量も多い。連邦軍でティターンズ系が優勢だった時代は空軍が要撃機として愛用していた。Z系が出回った後も、整備性では優っているので人気も高い。

『アッシマーは重装甲だ。散弾のハイパーバズーカじゃ堪えん。だが、小型機の攻撃は防げん』

小型機の利点は余剰出力の高さによる機動性と火力である。黒江はツインヴェスバーを試射してみる。通常型の欠点を直したらしいツインヴェスバー。四門に増加し、基礎出力も強化されたため、その火力はV2バスターを凌ぐ。貫通力の高いビームを打つと、ガンダリウムγ製のマラサイもまるで紙屑同然。一年戦争当時のザク系統がビームライフルに撃たれたように、胴体や片腕が容易く千切れ飛ぶ。誘爆でドダイも吹き飛ぶという火力を見せた。

『すんげえ火力…。バスターライフルほどじゃねぇが、一発で三機のマラサイをぶっ飛ばせるとは…』

元はクロスボーン・バンガードの鉄壁の防御たる『ビームシールド』ごと落とすための装備なため、グリプス戦役時の旧式機などは問題にしない。小型機が登場当初に持っていた利点の一つが一機あたりの火力増強である。ヴェスバーはその一つ。小型機が廃れたのは、外宇宙での航続距離の問題、『質量攻撃が不可能な軽さ』も原因である。

「先輩、アッシマーが来ますよ!」

「あの外見見ろ、よく円盤獣ってネタにされるが、あれには弱点がある。そこだ!」

アッシマーの弱点とは。ドラムフレーム構造である上での難点である『変形時に展開する胸部ハッチ』のことである。アムロからそれを聞いていた黒江は精密照準でそこを撃つ。F91の火力ならば、そこからの誘爆でアッシマーを撃墜できる。アッシマーは小爆発を起こし、コントロールを失って墜落し始める。

「へっ、Fシリーズの高性能機をなめんじゃねぇぞ」

駐屯地に配備されていたアンクシャが飛来し、原型機と戦闘を開始する。黒江はそれらの部隊も指揮し、ティターンズの侵攻部隊に対応した。F91の機動力で敵をかき回し、混乱した敵をアンクシャ部隊に撃墜させて数を減らす。黒江は空中指揮で圭子と並ぶ名手であり、その点では、智子と武子を上回る。自身もF91(量産型。ツインヴェスバー装備)を駆り、MSパイロットとしても、エース級であるのを証明する。プリキュア達もただ見学していたわけではなく、ドリームは錦の肉体の魔力を応用し、通常形態での飛行に成功している(後に通常形態もパワーアップし、飛行能力がついた)。また、レッドファルコンから借りたファルコンセイバーを使用し、MSのメインカメラを破壊したり、ドダイを切り裂いたりして、戦闘に貢献している。フェリーチェは空中元素固定を会得したため、『二刀流のショルダースライサー』を生成。それを使用して、アンクシャ部隊の露払いを担当する。アッシマーを後継機のアンクシャが迎撃するというのも、中々にスパイスの効いた光景である。アッシマー系はなんだかんだで使い勝手もいいため、Z系に次ぐ主力空戦型MSである(アッシマーは地球連邦正規軍の開発のため、生き残った)のが分かる。

「ファルコンブレイク!!」

アッシマーをファルコンブレイクで切り裂くドリーム。錦の大物食いの資質が引き継がれ、本格的に顕現し始めたのがわかるのと、通常時の必殺技『シューティングスター』を封印して戦うという、精神面での修行を課されている(シャイニングドリーム時のスターライトソリューションはその限りでないが)ため、超獣戦隊ライブマンのレッドファルコンから借りたファルコンセイバーは重宝していた。徒手空拳が尊ばれる傾向が強いプリキュアとしては異例の『剣術での戦闘』を、それと無縁のはずのフェリーチェがドリームと一緒になって行うという光景が出現していた。また、フェリーチェの20年分の特訓の成果である大技も披露された。

「この雷で貴方達を討つ!!」

グレートマジンガー同様に放電で雷を起こし、300万ボルト、秒速30万アンペアの電流を指先から放つ。ことは/フェリーチェが20年の鍛錬で身につけた攻撃であると同時に、光子力の力の応用であった。


『サンダーァァァ…ブレェ――ク!!』

光子力の力の応用によるサンダーブレーク。魔法でなく、光子学という、『科学の力』によるものであるが、ある意味では『魔法と見分けがつかない科学の力』による『偉大な勇者の操る雷』であった。サンダーブレークは応用戦術として、相手を電撃で斬り裂く事も可能である。このサンダーブレークを単純な電撃の広域放射に改良させた武装が『ゴッドサンダー』、指向性を更に向上させ、空間爆破型に発展させた武装は『サンダーボルトブレーカー』にあたる。フェリーチェの『育成』に剣鉄也が関わっていた事が窺える場面である。ムチのように電撃を振るい、異なる高度のマラサイをドダイごと斬り裂く。サンダーブレークを放った指には、電撃の余剰エネルギーの紫電が散っているのがカッコよさを強調している。

『これが偉大な勇者の力…、そして、私の力です!』

多分に剣鉄也とグレートマジンガーを意識したキメ台詞を言い放つフェリーチェ。元々の柔和なイメージとは正反対の『荒ぶる魔神』の必殺技を使う事は、彼女自身の苦い経験と、その時に恐怖で竦んでしまった自分を振り切りたい想い、マジンガーZEROに対抗する存在としてのスーパーロボットであるグレートマジンガーやマジンカイザーへの憧れから、グレートマジンガーやマジンカイザーの戦術を模すようになった面もある。モフルンが身を挺して自分を庇った時、圧倒的なZEROへの恐怖で身動きできなかった自分を呪ったことははのび太という父性的意味での家族愛、グレートマジンガーやマジンカイザーという『恐怖』への反抗の象徴を知る事で、精神的に成長したのだ。


「フェリーチェ、やるなぁ。なら、こっちも!イメージを思い浮かべて……GTソードッ!」

ドリームは片手にファルコンセイバーを、もう片腕に、Gウィッチとしての空中元素固定能力を初使用し、『高速戦隊ターボレンジャー』のレッドターボの個人武器『GTソード』を生成する。錦としてだが、レッドターボの戦いぶりは前に見ており、その記憶を頼りに武器を生成する。


「よしっ!!」

結果は良好。それで戦いを続けるドリーム。ファルコンセイバーとGTソードの二刀流を見せ、空中戦を通常形態で見せる。(正確に言えば、魔力で蝶の羽根のような形状の光の翼を生成しているので、外見上は『通常時に行き着くであろうスーパープリキュア』に近い。(シャイニング形態は本来、奇跡で到達するため、ハイパー形態に相当する)


「あれ、ドリーム。それは…」

「魔力を持ってる体に転生したから、スーパープリキュアを気分だけでも味わうつもりなんだ。わたしの代はスーパープリキュアって名前の形態が別にあるけど、見かけがあまり変わんないんだよね」

プリキュア5はのぞみのみが現役期間中に最終フォームを与えられた(現役時代)経緯がある。シャイニングと別個にパワーアップ形態があるが、マイナーチェンジの域を出ず、シャイニング形態より能力値が落ちるため、使用は現役時代の一回のみである。外見上はその形態に近いが、通常形態を魔力で飛ばしている状態なので、かなりの無茶をしている事になる。

『お前、無茶するなぁ。体に宿る魔力を通常形態を飛ばすのに使うなんて』

「なのはから、飛行魔法の仕方は聞いといたんですよ。シャイニング形態になれば楽だけど、通常形態も鍛えないと」

「飛ぶ時の魔法陣がミッド式なわけですね」

「そういう事。ただ、リミッターを魔力が外したのか、スーパープリキュアに近くはなってますよ」

『ライブマンとターボレンジャーの武器を使うか。お前も通なとこ選ぶなぁ』

「サンバルカンとダイナマンの組み合わせじゃ、流石に安直だと思って」

『まぁ、強い組み合わせではあるけどな。歴代五強の剣だし』

ライブマンとターボレンジャーの武器を『拝借』したキュアドリーム。剣を使って戦うことは普通はアリだが、初代の信奉者からは『プリキュアの戦いで剣技はご法度だ!』とされる場合がある。(剣を選ばなかったキュアエールの例もある)しかし、あくまで転生先の肉体が元から有していたスキルの活用であるので、その指摘はギリギリで回避している。それに第二次オールスターズのラブリーとビューティの例もある。

「フェリーチェはショルダースライサーだけ?」

「いえ、こんなのもできますよ。ダブルトマホォォォクランサー!!」

ショルダースライサーを真ゲッターロボのゲッタートマホークとほぼ同形状だが、穂先がより鋭いバージョンに作り変えるフェリーチェ。柔和なイメージのフェリーチェには不釣り合いな攻撃的な武器である。

「剣をゲッタートマホークにぃ!!?」

「ハルバードに近いんで、取り回し大変なんですけどね」

『ゲッターGのダブルトマホークなら片手斧だが、真ゲッター系は両手持ちだしな。だが、その分の威力は保証付きだ。ハルバードを振り回すのと同義だしな』

「はぁあああっ!!」

フェリーチェはダブルトマホークランサーを構え、油断したマラサイの肩口を上段からぶった斬る。真ゲッター1が得意とする戦法でもある。

「これで終いだぁああっ!!」

トマホークをもう一撃食らわせる。等身大サイズのゲッタートマホークであるが、斬れ味は本物と同一の斬れ味を持つため、遥かにサイズに差があるはずのマラサイを切り裂く。また、フェリーチェが目指す戦闘での接近戦での強さのイメージが流竜馬や兜甲児、剣鉄也、藤原忍らのそれになっているため、凄まじいミスマッチ感を醸し出している。その根源には、ことはとしての『自分が体も心も弱かったから、皆をZEROやバダンから守れなかった』という、元は大地母神の後継者であったが故の強い自責の念があり、その心が強さへの渇望を起こした。のび太のもとにいた20年の歳月の多くを鍛錬に費やした故か、ゲッタートマホーク系の武器を持つと、竜馬を見習ったような荒い言動も用いるようになっていた。それでいて、姿は以前と変わらないというミスマッチ感はどこから来たのか。ZEROとバダンに大切な家族を理不尽に奪われた事に抵抗すらままならなかった無力感、ディケイドや鎧武など、より強大な存在の戦いを見せつけられたショックと自分の存在意義への虚無感など、様々な思いの衝動が突き動かした結果である。闘争心の塊のような者達に『戦う時は闘争本能に従え。それでいて、『愛』を忘れるな』と教えられた結果、たどり着いた答えは『愛の心にて、悪しき空間を断つ!!』であった。モフルンの命を賭しての行為のおかげもあって、『愛の心』を忘れなかった故に、プリキュアとしての力に負の影響が生じずに済んだのだ(現役時代のスイートやSplash Starで見られたが、負の感情に囚われた場合、弱体化や変身維持不能などの負の影響が生ずる場合がある)ただし、以前より敵に情け容赦が無くなった思考回路になってはいるため、以前より闘争本能の導きで動く、ZEROの因果律操作で自身の魔法技を実質的に無効化されたトラウマもあるのか、あまり魔法を用いないようになり、鍛錬で身につけた力が主体のファイトスタイルになっている。トマホークやショルダースライサーでの戦闘はその証明のようなものだ。元々、徒手空拳が主体ではあるが、合気道や太極拳に近い『受け流し戦法』のプリキュアであったので、方向性の違う『空手』や『日本拳法』などの攻撃的な格闘を習ってきたことからは、魔法が効かず、因果律操作も受け付けない強大な力を求めるはーちゃんの複雑な心理が見て取れる。

『秘伝!大・雪・山おろしぃぃぃ!!』

相手を自分の体を中心に回転して振り回し、遠心力をかけてから上方向に投げ飛ばす柔道の流れを汲む技。相手の大小などは関係ない。これはかつての巴武蔵の得意技で、彼亡き後は車弁慶と神隼人が使い手である。弁慶が自ゲッター線メルトダウン事故で行方不明になる数週間前、偶然の積み重ねもあり、彼から大雪山おろしを伝授されている。彼の実質の後継である大道剴は彼らと接点がないため、大雪山おろしは使わない。キュアフェリーチェは黒江に次ぐ形で大雪山おろしを覚えた、弁慶の教え子であると言えた。


「大雪山おろしぃ!?ふ、フェリーチェ!いつ覚えたのぉー!?」

「初代ゲッターチームの弁慶さんが行方不明になる前に教えてくれたんです、それで。ミラクルやマジカルが見たら、顎外れるかな、これ」

『MSも余裕で投げ飛ばすからなー。マラサイがアッシマーと高速でぶつかって大爆発だぞ。多分、ぶつかった衝撃でマラサイのバックパックが損傷して、そこから積んでた推進剤に引火したな』

「二段返しを考えてるって言ってたんですよ、弁慶さん。心残りでしょうに…」

『真ドラゴンが目覚めりゃ、彼は戻ってくるさ。ゲッターチームの『人間性』を三号機パイロットは担うそうだ。巴武蔵さんと早乙女博士が弁慶さんを現世に戻してくれるさ。初代チームの人間性を担える最後の一人だぜ?』

黒江は真ドラゴンがゲッターロボアークと同じく、早乙女博士の遺産に位置づけられるゲッターである事を教える。車弁慶こそ、初代ゲッターチームが再結成される上での最後のキーパーソンであり、分かたれし竜馬と隼人の歩む道を再び一つにするための男。竜馬と隼人の要求に万全に応えられるという点で、弁慶は武蔵に代わり得る唯一無二の存在であると言える。

『彼が真ドラゴンと一緒に目覚めたら、挨拶しとけよ、お前ら。行方不明になる寸前に仕込んでもらったんだから」

「分かってますって」

ドリームとフェリーチェは弁慶がゲッタードラゴンのメルトダウン事故の当事者になる数週間前、早乙女研究所に滞在し、成り行きからフェリーチェが彼から大雪山おろしを教わっていた。その縁で弁慶に恩義がある。受けた恩はきっちりと返す。保護者であるのび太、軍の上官であるレイブンズの教育方針でもある。F91越しに黒江から念を押された二人は頷く。戦闘を続けつつ、ドリームとフェリーチェはメルトダウン事故でゲッタードラゴンと一体化するような様相で沈降した車弁慶に思いを馳せる。二人は事故の際、早乙女研究所の警備を依頼されていたため、現地にいた。ゲッタードラゴンの暴走を外から感じ取り、ドラゴンのメルトダウンが始める瞬間、二人は弁慶の声を聞いた。『俺は…、ドラゴンは死なん…!』という一言を。フェリーチェの魔法で、地下で繭を作っていくゲッタードラゴンの様子も事細かに目撃している。結果として、二人はプリキュア勢では唯一、ゲッタードラゴンのメルトダウン事故の現場の近くに居合わせ、車弁慶が言い残した言葉を『聞いた』ゲッターチーム以外での証人でもあった。竜馬がゲッターを降りることを宣言すると、フェリーチェは強い言葉で竜馬の選択を非難し、居合わせたドリームと圭子、黒江を青ざめさせた。しかし、流石の竜馬もフェリーチェが涙の滲んだ顔を見せた事で強く出られなくなったようで、『俺は…、ゲッターの望む道と一つの可能性に抗う。自分の意思でゲッターの意思に挑戦し、勝つ。それだけだ』とだけ返している。その際、ドリームに『いい後輩を見つけたな』とも言い残してもおり、竜馬が復帰した理由には、ゲッター線を意思の力でねじ伏せ、ゲッターエンペラーを破壊者から人類の守護神へと変えるという遠大な目標を見出した事、フェリーチェの無垢さを在りし日の妹に重ね合わせ、戦う理由を自問自答したという背景がある。傍若無人な振る舞いの竜馬も、年の離れた妹のジュンを溺愛していた過去を持ち、その事がトラウマになっている(目の前で交通事故死してしまったため)と同時に、竜馬が女性には意外なくらいに優しく接する(フェリーチェに非難されても反論しないなど)理由であり、本質は腕っぷしが強いが、基本は気のいい青年であるからだった。



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