とうとうクロヴィス殿下がエリア11の新宿ゲットーで虐殺命令を出し、ルルーシュに殺されたらしい。

今頃はカレンに新宿で指揮をしたやつじゃないかと怪しまれている所だろう。

現在俺は他のラウンズと共に陛下のそばに控え、陛下の演説を聞いている。

それにしてもこの人の演説はやけに迫力があるな。これが皇帝の威厳というやつか?

それにしても「不平等においてこそ競争と進化が生まれる」か、この考えを俺は否定しようとは思わない。

この陛下の考えのおかげで、俺やジノやアーニャはこの歳で軍の頂点の一角に立てている。

普通だったら10代で軍のトップになれるわけないからな。

超実力主義はたしかに弱者をないがしろにする悪い面もあるが、軍の中でならそれでかまわないと思う。

実力のないものが兵を率いても、無駄な被害を出すだけだ。それならより有能なものが軍を率いていくべきだと俺は思う。

陛下の演説が終わり、俺たちは陛下に続いて会場を後にする途中、ジノが俺に話しかけてくる。

「なあレイ、エリア11でクロヴィス殿下が殺されたわけだから新しい総督が派遣されるわけだろう。誰が派遣されると思う?」

「シュナイゼル殿下は今EUとの交渉で難しいだろうし、エリア18の制圧を終えたコーネリア殿下じゃないかな?」

「そうか、あそこならエリア11からも近いし、すぐに向かえるからな」

「今はジェレミア辺境伯が代理で政務を行っているみたいだが、何も問題を起こさなければいいが」

「いくらなんでもそうそう問題は起きないだろう、レイ?」

「そうだな」と答えたが、問題は起きてしまうだよな。オレンジ事件に巻き込まれて、純血派は完全に空中分解してしまい、軍でも干されてしまうからな。

エリア11にいれば助けてやれるけど、今のままではどうしようもない。まあ彼のこれからの事を考えると、助けるべきか否かどうにも迷ってしまうが。

控え室に戻ってくつろいでいると近衛兵がやってきて、俺に伝言を伝えてきた。どうやら陛下が俺を呼んでいるらしい。

「なんだったんだレイ、今の?」

「陛下が俺をお呼びらしい、今から謁見の間にいってくるよ」

「レイだけか? 珍しいな。いつもなら俺とアーニャも呼ばれるのに」

「そうだけど陛下にも何か考えがあるんだろう、とりあえず行ってくるよ」

俺もジノもなぜ呼び出されたか気になるところだが、行ってみないと何もわからないので、ひとまず陛下の元へ向かう。

「ナイトオブファイブ、参りました。陛下何か御用でしょうか?」

「うむ、お前にはエリア11へと向かっているコーネリアを補佐し、エリア11のテロ活動の鎮圧を命じる」

「私がコーネリア殿下と共にエリア11にですか? わかりましたが私はどのような立場になるのでしょうか?」

「お前はエリア11で、ラウンズとしての権利をそのまま行使できるようにしてやろう。お前の思う通りに動けばよいわ」

え、俺勝手に動いていいの?絶対コーネリア軍内で問題が出るよ?

「私が勝手に動くと、コーネリア殿下やその軍内で反発が起きるのでは?」

「かまわん、お前は我の騎士だ。お前の行動をとがめられるのは我のみだ」

「わかりました、では基本はコーネリア様とその軍にまかせて、有事の際は私が手を出すという形にしてもかまわないでしょうか?」

「かまわん、お前の好きに動くがいい。では1ヶ月以内に今取り掛かっている仕事を整理してエリア11へと向かえ」

「Yes, Your Majesty」

陛下の命令を受けた俺は早速仕事を整理する事にする。

1ヶ月以内にエリア11に向かえばよいのだが、出来れば早く向かいたい。しかしどんなに急いでも今取り掛かっている仕事の整理は3週間はかかる。

仕事を回すだけなら問題ないが、他の部署に回すのにそれの申請に1週間、向こうから受領したという報告が来るのはさらに1週間かかるのでこれで2週間、更に仕事の量も相当あるので全部終わるまでに結局3週間はかかるだろう。

エリア11に着くころには河口湖で黒の騎士団が名乗りを上げているころだろう。

黒の騎士団を潰すもっとも簡単な方法は、河口湖で名乗りを上げさせない事だが、どうにも間に合いそうにない。

これはどうしようもないのであきらめるしかないだろう。

今は仕事を早く終わらせるしかない。しかしこういう時に限ってジノがやってきた。

「レイ、なにやってるんだ? てか陛下はなんだって?」

「おれはこれからエリア11に向かいコーネリア殿下の補佐をしにいかなければ成らない。だから今やっていた仕事を他の部署に回す手続き中だ」

「何でレイだけ? 俺も一緒に行きたいぜ」

「なら陛下に頼んで来い、もしかしたら行けるかもしれないぞ」

絶対に無理だと思うがな。

「おお、ならちょっくら陛下の所に行ってくるぜ。またあとでなレイ」

ほんとに行っちゃったよジノのやつ、たぶん陛下に怒られて戻ってくるんだろうな。

それから30分仕事に没頭していると、ジノがなにやら残念そうな顔で戻ってきた。やはりな?

「レイ、ダメだったぜ。俺とアーニャはEUとの戦争が何時再開されるかわからないから本国待機だってよ」

それはそうだろう。これでもし許可が出たら原作と全然違う話になっただろうな。それはそれで面白いが、彼らがルルーシュにギアスをかけられたら大変なのでこれでよかったと思う。

「仕方ないだろう、まあ向こうに着いたら何か珍しい物を送ってやるから楽しみにしてろ」

「あ〜、わかった。でも俺も行きたかったなぁ〜」

「ジノ、何時までも残念がってないで暇なら仕事を手伝え、忙しいんだ」

「おっと、俺も仕事しないとな。またなレイ。」

ジノに仕事を手伝わせようとしたら逃げられた。ジノめ、戻ってきたら覚えてろよ。

その後何とか3週間で仕事を終わらせた俺は、エリア11へと向かうことになった。








ついにやって来たエリア11、急いできたがやはり河口湖のホテルジャックには間に合わず、ゼロが黒の騎士団を設立したらしい。

たしかこの事件が紅蓮弐式を黒の騎士団にまわす決定的な要因になったんだよな。

紅蓮がなければ黒の騎士団は戦力半減したのに。カレンが乗るからあそこまで機体性能を発揮できているんだろうな、他のやつが乗っても俺の脅威にはならないだろう。余計な事をしてくれたよな、日本解放戦線の草壁中佐だっけ?

まあここでうだうだ言っても仕方ないので今は他の事を考えよう。

俺は政庁には三日後に来るといってあり、先に来たのは皇帝の命令の中に、コーネリア軍の査察というのがあってそのために身分を隠して予定を前倒しでここに来た。

そのため今俺はサングラスをかけ、ニット帽をかぶり軽く変装をしている。鏡で見たがぱっと見俺とはわからないだろう。

ということで政庁までやってきた俺はロビーの受付にいるお姉さんに、ある人を呼んでもらう事にしよう。

「すいません、すこしいいですか?」

「はい、何でございましょうか?」

「ダールトン将軍は今こちらにおいでですか? いらっしゃったら呼んでもらいたいのですが」

「すいません、面会のご予定などがおありですか? アポのない方は将軍とお会いできないのですが」

「ああ、予定はないのですが5番が来たと伝えてくれればわかると思うんですが」

「はあ、いちおうお伝えしてみます」

そう言って電話をかける受付嬢。どうやらダールトン将軍につながったらしい。

俺の言うとおり「5番が来た」と受付嬢が伝えると、どうやらすぐに電話を切ってしまったらしい。

「すぐにこちらに向かうそうです、ところで5番ってなんの事なんですか? あのダールトン将軍がすごく驚いていらっしゃったんですけど」

「5番は俺に与えられた名誉ある数字ですよお姉さん」

受付嬢に俺の正体をそれとなく伝えてみるがわからないらしい。

その後受付嬢のお姉さんと話しながら待っていると、5分ほどしてダールトン将軍がやってきた。

「リンテンド卿、なぜこちらに? こちらにいらっしゃるのは3日後のはずでは?」

「はい、そのつもりだったんだけど抜き打ちでここを査察しろと言われましてね。それで少し早くこちらに来たんですよ」

「あの、少しよろしいでしょうか。こちらの方は一体誰なんですか? リンテンド卿ってもしかして?」

「キミの予想通りだろう、こちらは3日後にこちらにいらっしゃる予定だったナイトオブファイブ、レイス・リンテンド卿だ。」

「ええー!! ナイトうぐ、「はいストップ、ここで叫ばれたら俺の仕事が出来なくなります」

ここで俺の正体が周りにばれたら抜き打ちの査察ができなくなる。

「ダールトン将軍、俺がここに来たのを知っているのはあなた以外にいますか?」

「いちおう姫様には伝えたがそれ以外にはまだ伝えていない」

「ならコーネリア殿下には他には漏らさないように伝えてください。査察の意味がなくなりますからね」

「わかった。それでなぜ私を呼び出したんですか?」

「ここで知り合いと言ったら将軍しかいませんからね、案内をお願いします」

「Yes, My Lord」

「将軍、今は俺の身分は隠さないといけないので俺にそれは使わなくていいですよ。それとお姉さん、この事を他言したらお給料の査定がとんでもない事になると思うので絶対に他言無用ですよ」

「は,はい、わかりました」

「それでは失礼します、行きましょうダールトン将軍」

「あの、その前にニット帽ははずしたほうがいいですよ、すごく目立ってますよ」

「おお、そうだった。もういらないや」

お姉さんに指摘され、ニット帽を脱いでサングラスだけになった俺はようやく査察に向かう事にした。

「それでどこを回ればよろしいでしょうか、リンテンド卿?」

「将軍、俺の正体がばれるまでは敬語はなしでいいですよ。将軍に敬語で話される俺がすごく目立ちますから」

「それもそうだな、でどこに向かえばいい?」

「俺が言われたのは軍の査察だけなので軍基地の方に向かってください」



軍基地について、ダールトン将軍の案内で訓練を査察し、それを終えると総督の待つ部屋へと向かった。

「ようこそリンテンド卿、エリア11へ。予定より早くいらしたようだが何故だ?」

俺を向かえるコーネリア殿下だがなぜか少しいらいらしているようだ、言葉に棘がある。

「お久しぶりです、コーネリア殿下。陛下から軍の査察を命じられましてね、私が来ると事前にわかっていると普段の雰囲気が見られないので、黙ってきたんですよ」

「そうか、それで我が軍の査察はどうだった?」

「10点満点でつけるとしたら7点ですね。それぐらいが妥当だと思います」

「その理由は何故だ?聞かせてもらおう」

「一応、全ての部隊の訓練を見ましたが、コーネリア様の連れてきたコーネリア軍はこのままでもいいでしょう。しかし前からエリア11にいた部隊の者たちとの関係がどうにも悪いですね。まだ赴任して間もないにしてもあれでは少しひどすぎます。軍全体を預かる物として目の届いていない証拠でしょう。これは減点1ですね」

「お待ちください、リンテンド卿。あの部隊は純血派と言うオレンジ事件に加担していたとされる者の所属している部隊です。混乱を取り除くためにあの部隊は他の部隊との訓練にははずしてあるのです」

コーネリアのそばに控えていた眼鏡の男が口を挟んできた。彼はギルフォード卿だな。


"ギルバート・G・P・ギルフォード"

コーネリア親衛隊隊長で彼女の専任騎士の眼鏡にオールバックの長髪の男。

"帝国の先槍"の異名をもつ

「ギルフォード卿、そんな事はどうでもいいのです、訓練させないという事は戦力と見ていないということですね。もしもの事があった場合にあの部隊を戦場へまわすとき、彼らはどうなるのですか? 近々日本解放戦線の本拠地を攻めるそうですし黒の騎士団というものも現れたのでしょう。今後の事も考えると少しでも使える戦力は増やすべきだと思いますがね」

「それは・・・いや、そのとおりです」

「では次にここに来る前に少し街を回ってきましたが、軍人がイレブンに暴行を働くのを見かけました。そのときは私が見かけて止めましたので後で処罰しておいてください。イレブンとはいえ軍人が一般人に暴行をくわえるのは言語道断です。軍全体に徹底した指導がされてない証拠でしょう。これも減点1ですね」

「そうですか、軍の方で徹底させます」

返事はするが声に力がない、かなり凹んできたギルフォード卿。追い詰めてるのは俺なんだけどなんか見てて哀れだな。

「最後に、私に対する視線が不愉快だったので減点1ですね」

「ちょっと待て、リンテンド。それはないだろう」とコーネリア殿下が突っ込んできた。

「いえ、殿下。査察している私に向かって向けられた視線は、はっきり言ってとても不愉快でした。なので減点ですね。まあこれは本国には報告はしませんが」

「いや、もういい。それで卿はエリア11のテロリスト制圧に協力してくれるとの事だが?」

「はい、私は陛下からそのように命令されました。ただし協力はしますが、作戦時以外は私は自由に行動させてもらいます。これは陛下から許可ももらっているのでそのつもりで」

「わかった。では早速今度行われる日本解ほ「お姉様、レイが来ているとは本当ですか?」

話をしていたら何者かが総督室に飛び込んできた。まあ誰だかはわかったが。

「あ〜レイ久しぶりです。しばらく会えなかったのですごく楽しみにしていたんですよ。なのに早く来るなら連絡してくれてもよかったのに」

「ユフィ、いや副総督、今は会議中だ。会議が終わるまで外で待っていろ」

コーネリア殿下が怒っている。しかし怒りを向けられているのはどうもユフィではなく俺の方のようだ。

さっきからいらいらしていた原因はもしかしてこれの事か?この人ユフィ命だからな。

「少しお待ちください総督、何故私がここにいるのを知っているのですかユーフェミア様?」

「さきほど政庁の受付でとても親切な女性がこっそりと教えてくれましたわ」

どうやらあのお姉さんが犯人らしい、釘を刺しておいたのに俺の事を話したので、来月の給料はさぞたのしみな事になっているだろう。

「わかりました、ユーフェミア様、後でお話しする時間を作りますので今はお下がりください」

「レイがいうなら仕方がありませんわ、私は副総督室にいますのでお話が終わりましたら来てくださいね」

「Yes, Your Highness」

「では失礼します」と行って出ていったユフィ。後ろからは何かまがまがしい気配がある。

振り向きたくないが、振り向かないと話が進まないので振り向くことにする。そこには般若もいわんやという表情の総督がしました。

「リンテンド、貴様にはとりあえず次の作戦で戦場に出てもらう。ラウンズのお前なら単機でも問題ないだろうから単機で出撃してもらう。わかったな?」

「いや、さすがに単機は「わかったな?」いや、だか「わかったな?」・・・Yes, Your Highness」

怒らせてはいけないものを怒らせてしまった、ナリタ連山で単機で出撃しなければならないらしい。ラウンズ権限を使っても回避出来なさそうだ。

まあ、山崩れから逃れるためには1人の方がやりやすいからそれでもいいが。

とりあえず今はうなずいておいて落ち着いたころにダールトン将軍に何とかしてもらおう。

「で、その作戦は何時の予定なんですか?」

「1週間後だ、それまでには貴様のナイトメアも届くだろう。では話は終わりだ」

「わかりました、では失礼します」といって総督室を後にして、副総督室へと向かう事にする。

ユフィの部屋の前についたのでノックをして声をかける事にした。

「失礼します、レイス・リンテンドです。ユーフェミア様いらっしゃいますか?」

「どうぞ、入ってください」と声がしたので部屋に入る事にする。

「ユフィ久しぶりに会えて嬉しいのはわかるけど総督室に飛び込んでくるのは止めてくれよ」

「だって本当に久しぶりなんですもん」

「まあいいよ、これからしばらくは俺もエリア11にいるから暇な時はユフィにも会いに来るよ」

「絶対ですよ、忘れたらダメですからね」

「わかってるよ、それより何か俺に話があったんじゃなかったっけ?」

「ああ、そうでした。出来ればでいいんですが学校に通ってくださいませんか?」

「学校? 何でだい?」

「ここに来て私を助けてくれた方がいて、その人がその学校に通っているんですが、その人は名誉ブリタニア人ですので何か問題が起こってないか心配なのです」

ああ、スザクのことか。たしかに学校に通いたい。しかしダメだろうな。

「ユフィ残念だがそれは無理だよ。キミや俺のようなブリタニアの重要人物が学校に通う事になると、それだけで学校がテロリストに狙われる可能性がある。それにキミが通うなら学園の警備を厳重にしてテロを未然に防ぐということも可能だが、キミはここの副総督だからまず通えない。そして俺が通うにしても軍からそこまでの警備を出してまで俺を通わせるメリットがない。だから無理だな」

他にもルルーシュにギアスをかけられた場合、その場ではかかった振りをしてやり過ごすことも可能だが、学校に通えば頭のいいルルーシュはすぐに異変に気づくだろう。確実に怪しまれるに違いない。

「そうですか、それなら仕方ありません。わがまま言ってごめんなさい」

「俺の方こそごめんね、今回の事はどうしようもないんだ」

そう言って俺は頭を下げる。

「いえ、レイは悪くありませんから頭を上げてください」

「ならこれでこの話は終わりだよ、もう忘れて話でもしようか」

ユフィは「はい」と答えてこの話は終わった。

そのまま1時間位話をしてから仕事に取り掛かるため俺は自分に与えられた部屋へ戻る事にする。

「そうだユフィ、明日暇かな?」

「はい、明日は特に予定がないので政庁にいると思いますが」

「じゃあ昼前に迎えに来るからここで待っててくれるかい? 少し連れて行きたい場所があるんだ」

「分かりました、それまでに支度をしておきます」

「よし、じゃあそういう事で。また明日」

「はい、また明日」

そう挨拶を交わしてから部屋を出て、俺はある人に連絡をして明日のための準備をする事にした。



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