in side

 朝となったのでヴィクトルさんの依頼をこなすべく、町の外に出たのだが――
刹那と真名の様子がね……なんつ〜か、落ち込んでるというか……
確かに自分のことが漫画になってるというのは色々と思う所があるんだろうけど……
「ねぇ……なんとかならないの?」
「なんとか……と言われてもなぁ……」
 ミュウに聞かれるが、俺だってなんとかしたい。でも、言葉が見つからないんだって。
下手なこと言うと更に落ち込ませそうだし……
「でもさぁ……原因は翔太の漫画でしょ?」
「いや、そうなんだけどさ……」
 理華に言われてしまうが……いや、まさかこんなことになるなんて思いもしなかったんだって。
ていうか、普通ネギま!の世界があるなんて思わないだろ? なので、俺も困っております。
いや、本当にどうすればいいのさ? 俺だって落ち込みたいってのに……


 out side

 そんな様子の翔太達を、例の2人は離れた場所から見ていた。
「どうしたんだ、あいつら?」
「大方、ショックなことでもあったのだろう」
 槍を持つ女性は首を傾げるが、赤いコートの女性は翔太達の様子からそんなところだろうと思いつつ答える。
しかしながら、これはまずいかもとも考えていた。というのも、何が理由でショックを受けているかにもよるからだ。
軽いモノなら放っておいてもいい。だが、それなりに根が深いとそうもいかなくなる。
根が深いと今の翔太達に解決の糸口が無いからである。その手の悩みは助言を受けたりすることで解決出来たりすることが多いが……
今の翔太達の周りにそれが出来る者がいない。翔太自身も助言が出来るだけの知識も経験も無いのだ。
「やれやれ……あやつが私を向かわせたのは、こういうことなのかもしれんな」
「はぁ?」
 思わず漏らしてしまった赤いコートの女性のひと言に、槍を持つ女性は首を傾げる。
赤いコートの女性は思う。翔太達はかなり危うい状態であるのではないかということを。事実、赤いコートの女性が考えている通りである。
翔太達は元々は一般人。戦闘どころかケンカすらろくにしたことのない素人だ。
そんな彼らがいきなり命懸けの戦いへと放り出された。普通なら混乱したり……場合によっては発狂したりするかもしれない状況である。
それが起きなかったのは翔太が冷静だったから……ではない。意外にもアニメや漫画、ゲームのいう知識が、翔太を冷静にさせていたのである。
確かにほとんどのアニメや漫画、ゲームは荒唐無稽な物が多いが……それでいて、人間関係などをリアルに描いている作品もある。
それが翔太の支えとなっていたが……今はそれも崩れかけている。実際に体験してしまった仲魔の死。それと刹那と真名の不安。
しかしながら、それを立て直す方法が今の翔太達には無い。だからこそ思ってしまった。
あいつは私を翔太に会わせようとしたのは、こういう面でサポートさせるためではないかと――
「まったく……危なくなったら、手を出してやるか……」
 思わず、赤いコートの女性はぼやいてしまうのだった。


 in side

 で、何度か悪魔の群れに襲われるけど、ここら辺は比較的弱い方なので大した問題も無く目的地に到着した俺達。
あ、ちなみに仲魔はミュウとルカ、アリスとシルフを出している。
理由としては生体マグネタイトの節約とアリスとシルフがどんな風に戦えるのかを確かめるためだ。
ミュウとルカはそのサポートのために喚んでいる。で、わかったのはアリスは魔法がメイン。
シルフも基本は魔法だが、普通に攻撃もサポートもこなせることがわかった。後、2人とも治療魔法が使えるのは助かったな。
「まさか、ここにまた来ることになるなんてねぇ〜」
「それで、どうするの?」
「中に入るしか……ないよなぁ……」
 理華が洞窟を眺めている中、ミュウが問い掛けるけど……やっぱ、中に入らなきゃわからないよな。
「大丈夫……なの?」
「中にいる奴が変なことしなけりゃ、大丈夫だとは思うけど……」
 不安そうなアリスにそう言っておく。前にこの洞窟に入った時は一本道で、その奥の方に広く広がってる場所があったんだよな。
だから、大丈夫だとは思うんだけど……しっかし、なんでこの中に人がいるんだろ?
「とりあえず、入ってみようか」
「そうですわね」
「え、ええ……」
 俺の提案にルカはうなずき、刹那も不安そうにうなずく。
「では、行きましょう」
「そうだな」
 シルフにうなずき、俺達は洞窟の中へと入る。何も起きなきゃいいんだけど……


 out side

 翔太達が入った洞窟の奥。ちょっとした広場並みの広さがある場所で、その者は様々な機械に囲まれながら何かをしていた。
「ん? なんや?」
 そんな時、ブザー音が鳴り響いたために、その者はモニターを覗いてみた。
モニターには洞窟内を歩く翔太達の姿を映し出していた。
「サマナー!? ち! こないな早くここに来るとは……く! 奴らの好きにはさせへんで!」
 なんてことを言いながら、その者は装置を操作する。侵入者である翔太達を排除する為に――


 in side

 中に入ってみたけど、薄暗いという以外はいたって普通であった。
あ、明かりはミュウが火炎魔法を使うことで代用してたりする。う〜ん、わかってたんなら懐中電灯でも買っておけばよかったな。
けど、明りがあるといっても先の方は見えないから……ちょっと怖いんだよね。何か出そうで……
「あの……こんな所に本当に人がいるんでしょうか?」
「さてな。それは奥まで行ってみないと――」
 怯えるミナトに答えようとして、それに気付いた。
「どうしたんだい?」
「あ、いや……何か来る?」
 真名に聞かれたんで答えるけど、何かが近付いてくるような……いや、近付いてるな。
ズシンズシンって、足音させて……ちょっと待て? なに、その足音? なんか、急激に嫌な予感がしてきたんですけど?
やがて、その足音の主は俺達の前に現われた。俺達より二回りは大きそうな体は岩のようにゴツゴツしてて……
でも、なぜか金ピカな……鬼……かな? ていうか、悪魔ですよね?
「うおぉぉぉぉぉぉ!?」
「おわぁ!?」
「きゃあ!?」
「いやぁ!?」
 で、そいつがいきなり腕を振り下ろしたもんだから、俺達は慌てて逃げ出す。で、悪魔が振り下ろした腕は地面を割っていた……
て、マジで地面が割れてるし!? 岩で出来てんだぞ、あれ!? それを素手で割るか、普通!?
「どうするのよ!?」
「倒すしかないだろ!? このままだとマズイって!!」
 慌てる理華に俺も慌てる。武器や魔法を使うならまだしも、腕だけで岩の地面割るなんて、普通の悪魔でも無理だぞ!?
あんなのが暴れ回ったら絶対にヤバイって!? 逃げることも考えたけど……なんか、追い掛けてきそうだし……
戦うしか……ないのかなぁ……本音を言うと逃げたいんだけど。
「マズイな……」
「なにがさ!?」
「ここは狭すぎるんだ。下手な攻撃は出来ないぞ」
 思わず絶叫気味に聞いちゃうけど、真名の返事に思わず青くなったような気がした。
確かにこの洞窟は歩く分には問題無いけど、動き回るには狭すぎる。となると、刹那がやばくないか?
刹那の剣って、結構長い。この狭さじゃ振り回すのはキツイのは俺にだってわかるしな。
「どうする……逃げた方……いいかな?」
「だが、目的の物がこの先にあるとなると……意味は無いな」
 とりあえず提案したけど、真名にそれを言われてしまった。確かに何も無ければ逃げればいいんだけど……そうだ!
「じゃあ、一旦外に出て戦うってのは?」
「あいつがここを守るためにいるのなら、外まで追い掛けてくるかは不安だね」
 という提案も真名に却下されました。じゃあ、どうしろと!?
「とりあえず、派手な攻撃は避けた方がいい。味方を巻き込みかねないからね」
「となると、魔法は無理ってこと?」
「そうなる」
 理華がそのことに気付いて、話していた真名がうなずいた。
ええと、ちょっと待ってね……魔法は使えない……ことはないだろうけど、あまり使えないと……
となると、後は銃と刃物くらい?
「後、銃もあまり使えないな。岩の硬さを考えると跳弾しかねない」
 真名さん、それって使えるのは刃物ぐらいってこと? じゃあ、どうしろと?
「理華さん。持ってる剣を刹那に渡してくれ。刹那、使えるな?」
「ああ……少々短いが使えないこともない」
「よし、翔太さんと刹那が前に出てくれ。私達は援護だ」
 うなずく刹那を見て、真名はそんな指示を出すけど……やっぱ、そうなるのかよ……
「来たぞ! 理華さん! 刹那に剣を!」
「は、はい!」
「なっろ!」
 真名の叫びであの悪魔が突っ込んできたのに気付いた。で、真名に言われた理華が慌ててる最中に俺は飛び出す。
悪魔はというと腕を振り落としてくるが、それを避けてお返しとばかりに刃物で斬り付けるが――
「くっそ! こいつ耐性持ちだ!」
 独特の感触に思わず舌打ちしてしまう。最近になってわかったんだが、物理耐性持ってる奴を斬ると変な感触を感じる。
どんなのかは言葉にするのは難しいが……粘土を切っているような感じ……に近いのかな?
ともかく、そんな感触を受けるんだわ。なので、こいつが物理耐性持ちってすぐにわかったんだけど……
「それでも効かない訳じゃないだろ? 刹那は翔太さんと一緒に奴の動きを止めてくれ。私と理華さんで撃ち込んでみる」
「わかった!」
 真名の指示で刹那もこっちに来た。手には理華から渡された刃物を持って。
それを見て、俺も再び悪魔へと向かい――
「ぐおぉぉぉぉぉ!」
「なんの!?」
「でやぁ!?」
「がう!?」
 刹那と一緒に奴を斬り付ける。これは流石に効いたようで、悪魔が少しよろめき――
「そこから離れろ! 理華さん!」
「うん!」
 真名が理華と一緒に銃をぶっ放した。あ、言い忘れてたが真名の銃は持ってきた全てをラリーさんに渡してる。
なので、今真名が持っているのは俺と理華が前まで使っていた銃とサブマシンガンを持っている。
「ぐがあぁぁぁぁぁぁ!?」
 で、その2人の銃撃に悪魔は思いっきりひるんでいた。いや、苦しんでるのか?
「オマケ! アギ!」
「ガル!」
「ぐごぉぉぉぉぉ!?」
 更にはミュウとシルフの魔法を受け、悪魔は砕け散ってしまった。
あ〜、よかった……なんとか倒せたか……
「やれやれ、思った以上にラクに倒せたが……大丈夫か?」
「なんとかな……」
 真名にため息混じりで答えておく。しっかし、馬鹿みたいに強かった割には意外ともろかったな。
確かに銃や魔法は効いてたけど、弱点だったのかな? でもまぁ、真名のおかげで助かった。
漫画のことで落ち込んでいたようだけど……そこら辺は俺とは違うってことなのかな?
「で、どうするんだい?」
「とっとと行こう。また変なのが来る前に……」
「そうだね」
 真名に答えると、アリスもうなずいてくれた。さっきの悪魔はこの洞窟にいる人が関係してるかもしれないし……
いや、その人が悪魔を使って襲ってきたかもしれないしな。また来る前に会った方がいいかなぁ〜と思っただけなんだけどね。
そんなわけで俺達は洞窟を急いで進むことにしたのだった。
 ていうか、今のみたいのがこれ以上来ませんように……




 あとがき
そんなわけでお仕事中の翔太達。しかし、刹那達のショックの場面が薄すぎたかな?^^;
まぁ、この辺りは私の力不足でもありましたが……後で改めて書き直した方がいいだろうか?
さて、次回ですが拍手の方でも予想されてた方がいましたが、あのキャラが登場します。
はたして、どんな邂逅となるのか? そして、謎の2人もついに翔太達の前に現われて――
そんなお話です。お楽しみに〜。



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