in side

 さて、あの後なぜか権三郎さんも混じって東京見学となった俺達。
東京タワーや浅草などなぜか定番な所から渋谷や原宿など見て回り、そのまま夕食……となったのだが――
「なぁ、いいのか?」
「気にするな。うちの系列で経営しているレストランだし、今日は私からのおごりだ」
 思わず聞いてしまうが、美希はといえばなぜか胸を張って答えていたりする。
でもねぇ……明らかにここ高級レストランっぽいんですけど? 出てくる料理も高級そうだよ?
しかも、なんか高級そうな部屋に通されたんだけど……いいのかよ、マジで……
「まぁ、ボルテクス界では翔太を助けるつもりが助けられてばかりだったからな。これはそのわびだと思ってくれ」
「いや、そう言われてもな……」
「しっかし、ボルテック界だったか? どんな所だか楽しみだな」
「師匠、ボルテクス界です」
 と、頬を指で掻きつつすまなそうな顔をする美希を見て思わずため息を吐く。
まったく、来るなと言ったのに来るんだからな……後、権三郎さんも楽しみだって顔をしないでください。
それと美希が訂正してましたが、それはどんなフィギュアですか?
「しかし、私が頼んだとはいえ、本当に良いのか?」
「かまわねぇよ。別に帰れないってわけじゃなさそうだしな。それに道場もたたんじまったし」
「それは……初耳ですが?」
 スカアハの疑問に権三郎さんは笑いながら答えてたけど、美希が気になったことがあったようで戸惑った顔をしていた。
そういや、この人って美希の武術の師匠だったんだよな? なのに、道場をたたんだって……
「時代かね……うちのような古くさい道場に弟子入りするような奴がいなくなっちまったのさ。
そんなんでダラダラやってても仕方なくて、たたんじまったのよ。
整体師のまねごとなんざしてるが金に困ってるわけでもねぇし、それに妻にも先立たれて今や気ままな独り身よ。
そんなわけで俺が行っても困る奴なんざいやしねぇって」
「そんなことは……」
「気にすんなよ。それにこっちの方が楽しそうだしな」
 心配そうな顔をしてる美希に権三郎さんは笑い飛ばしながら話していた。
これは後で美希に聞いた話なんだが、権三郎さんは武術の師匠としてだけでなく色々と世話になっているらしい。
それは美希だけでなく、政財界にもいたらしい。どんな人なんだよ、権三郎さんって……
「にしても、世界が崩壊するねぇ……こっから見てると、そうは見えないんだがなぁ……」
 ふと、権三郎さんはレストランの窓の外に顔を向ける。日もそろそろ沈もうか……という時間。
下の方に顔を向ければ、人々がひっきりなしにあちこち歩いて回っているのが見えている。
確かにこれを見てるとそんなことが起るとは思えない。でも――
「何かが起ろうとしているのは……間違いないんだよな……」
 思わず、そんなひと言を漏らしてしまう。俺達が今まで経験したことは決してゲームや夢や幻なんかじゃない。
それこそ、命を賭けるはめになった出来事……俺達はそれに巻き込まれている。
うん、良く考えるとなんでこんなことに巻き込まれてるかね? 原因はわかってるけどね。
「そうね。私もボルテクス界以外の世界に行くことになるなんて思わなかったし……あんな悪魔が出るとは思わなかったもの」
「同感だ」
 ウルスラさんの話にクノーさんがうなずく。まぁ、俺だって異世界に行くはめになるとは思わなかったよ。
でもね、それがゲームや漫画とかの世界ってどうよ? いや、あったのはある意味嬉しいよ?
俺もアニメやゲーム、漫画とかは好きだしね。でもまぁ、現実ってのは時として悲しいよな……
「まぁ、やれるだけやってみるしかないんだが……なぁ……」
 それを漏らしてから、思わず横目でそれを見てしまう。何を見たかと言えば――
「うぐうぐ……これ、美味しいホ!」
「これも美味しいホ!」
「ああ、もう……フロストもランタンもお行儀良く食べなさいって!」
「これ、美味しい〜」
「モー・ショボーも手づかみで食べちゃだめぇ〜!」
 見事に食い散らかすフロストとランタン。モー・ショボーなんかは手づかみで食べてたりして……
それを理華が叱っているのだが……なお、他の仲魔達は比較的普通に食べていて――
「んめ〜! おかわりないのか?」
 訂正。クー・フーリンも遠慮無しに喰いまくっていた。
「なんかも〜……すまん……」
「ま、まぁ……念のためにここで食べることにしたのだ。変に汚されなければ大丈夫だろう……」
「はははは。まぁ、ガキは元気なのが一番だって」
 頭を下げて謝るが、美希は少々戸惑った顔をしている。いや、本当にすまん。
後、権三郎さん。あいつらガキ……なのかな? 一応、悪魔だけど精神年齢幼いのは否定出来ないし……
 そんなこんなで、俺達の休日はこうして終わっていくのだった。


 で、次の日。俺と理華と仲魔達に刹那と真名にミナトにウルスラさんとクノーさん。
そんでもって、美希に君嶋さんに香奈子さんに京介さんと一緒にボルテクス界へと戻ることとなった。
「いや〜、こりゃいい目の保養になるぜ!」
 と、今回同行する権三郎さんは俺の仲魔を見て、そんなこと言ってたりするけど。たぶん、仲魔の衣装のことだろうけど。
で、ノーディスの町へは悪魔の襲撃にあう以外は何事も無く到着――
「おめぇ、ちっとは自分の動きとか考えて戦った方がいいぞ。無駄が多すぎる」
「そうは言ってるのだが……色々と難儀なものでね」
「確かに、あんなのと戦ってちゃ難しいか」
 なんてことを権三郎さんとスカアハは話してたりするけどな。
町に到着したら、ウルスラさんとクノーさん、美希に君嶋さんに香奈子さんに京介さん、権三郎さんと別れることとなった。
まぁ、美希達はウルスラさんの所で世話になるって話してたし。で、俺達は時間もまだあるし、どうしようかと思ったんだが――
「あ、あの……実はヴィクトルさんからCOMPを受け取りたいのですが……」
 と、すまなそうに刹那が言ってきた。彼女もサマナーになる気なのか? と、思ったのだが――
「いえ、そろそろ戻ろうかと……というか、かなり長居してしまいましたしたので……
もしかしたら、修学旅行に間に合わない可能性もありますけど……
でも、もしまだ間に合うのでしたら、ギリギリまで通いながらこの世界で修行をしようかと……
それにはCOMPがあった方が良いと思いまして……」
 なんて、すまなそうな顔しながら言ってたけどね。ていうか、そうだよ。
刹那達は修学旅行前に戻ることを前提にこっちに来たんだよな。でも、こっちで3週間くらいか? 大丈夫……なのかねぇ?
 ふと、そんなことを思ったが、一旦こっちの世界の家に戻って荷物を置き、家に置いていたフォルマを全部持って外へと出た。
まず、向かうはベルベットルーム。イゴールさんにフォルマを精製してもらったが……残念ながら、呪殺耐性のアミュレットは作れなかった。
代わりに俺は身体能力を上げるアミュレットを。理華は魔力を高めるアミュレットを作った。記念にと刹那と真名にも作ったけどな。
ついでにテトラジャの石を更に4個作り、魔法攻撃が出来るという石も何個か作った。
「手榴弾代わりに持っておけ」と、スカアハに言われたからなんだけどね。
 で、生体マグネタイトの換金してから次に向かうは武器兼道具屋。ここで合成用の武器と防具、銃を買いそろえたんだけど――
「今更なんだけど……なんでそれを持ってるわけ?」
 思わず聞いちゃうけど……何があったかと言えば、刹那がこっちの世界に来る時に使っていた剣を持っていたからなんだよね。
「その……あの剣は詠春様にお返ししようかと思っています」
「ほぉ……なぜだ?」
 今まで使ってた剣に視線を向けながら話す刹那の言葉に、スカアハが眼を細めながら聞いてくる。まぁ、俺も気になるけどね。
確か、それって直したとはいえ、西の長からもらった日本刀だよな?
「はい……私はこのちゃんのそばに立とうと決心しました。これはそのけじめです。
長の娘の護衛としてではなく、幼馴染みとして……」
 と、真剣な顔をして話す刹那。その顔には戸惑いとかそういうのは無いように見えた。
スカアハも同じだったのか、ふっと笑みを浮かべ――
「今のお前ならば、大丈夫だろう。だが、忘れるなよ? 決して、我々のような人間ばかりではないということを」
「はい!」
 と、スカアハの言葉に刹那は元気良く返事を返した。うん、こっち来た時よりは元気そうだな。
それは良かったんだけど……なんだろう……激しく嫌な予感がするのは……
「ま、刀もそうだが、準備はしておいた方が良いぞ。漫画と同じことが起きてもいいように……な?」
「あ……あの……お金はちゃんとお返ししますから……その……」
 うなずきながらそんなことを言うスカアハはなぜかこっちに視線を向け……
刹那も頭を下げながら謝ってたが……うん、やっぱりこうなったか……いや、もういいけどね。
でも、なぜだろう……目から水が出てきそうなのは……
 そんなわけで刹那はいくつかのアイテムと新しい防具を買いそろえたのだった。
真名もなぜか便乗して……本気で泣いていいですか?


 そんなこともあったが、村正さん所で武器と防具の合成をしてもらい、ラリーさんの所に向かったんだが――
ああ、精製されたフォルマを見たら、村正さん驚いてたな。その後は喜んでたけどね。いい物が造れるって。
「ちょうど良い所に来たわね。あなた達に試して欲しい物があるのよ」
「はい?」
 ラリーさんに言われて首を傾げるが、出されたのはリボルバーと箱に入った弾丸だった。
「あの、これは?」
「うん、これはね。魔法を撃てるようになる弾丸よ」
「魔法を……かい?」
 俺が聞いてみるとラリーさんが腕を組みつつ答えると、真名が興味深そうな顔をしていた。
しかし、魔法が撃てる弾丸ね……ん? ということは、俺も魔法が使えちゃったりするのか?
「ほら、合成した武器とかで火とか雷とかの属性持つことあるじゃない?
銃の合成でも似たようなことが出来るけど、効果としてはかなり薄くなっちゃうのよ。
でね、もっと効果を出せないかと思って試行錯誤した結果、弾丸とフォルマを合成することでなんとかなったんだけど……」
「何か問題でも?」
 説明してたラリーさんだが、なぜか顔をしかめてしまう。気になった真名が問い掛けるが――
「まぁ、欠点もあってね。まず、1つのフォルマで造れる弾丸は1〜4発なのよ……まぁ、これはしょうがないんだけど……
後はちょっと制御がね……どうにも難しくて……」
「ふむ……多分だが、その辺りは魔法と変わらんのだろう。魔法は基本的に使う者の制御を受ける。
まぁ、こちらの方が楽だろうが……それでも魔法を使ったことのない人間が扱うには少し難しいだろうな。
現状で使えるのは理華だな。翔太も出来なくは無いだろうが……とりあえず、理華が持っておけ」
「え? いいのかな?」
「ええ、さっきも言ったけど試して欲しいしね。だから、代金はいらないわ。
あ、でも撃つ時はこの銃を使ってね。一応、型が合えばどんな銃でも使えるけど、ちゃんと動作するかわからないのよ。
下手したら銃が壊れたってことにもなりかねないし……これはその保険と思ってくれていいわ」
「は、はぁ……」
 スカアハに言われて首を傾げる理華だったが、ラリーさんの話に顔が引きつっていた。
いや、俺も話を聞いてると不安になるんですけど……本当に大丈夫なのか、これ?


「業魔殿にヨーソロー……む? 珍しい悪魔を連れているな?」
 もう、テンプレになってる挨拶をするヴィクトルさんだが、早速というかフロストとランタンに目を付けた。
まぁ、別に隠すわけでもないので2人がこうなった経緯を話すんだけど――
「なるほど……ふむ……あいにくだが、私にもこうなった理由はわからない。
だが、そのペンダントから何かしらの力を感じる。もしかしたら、それが関係しているかもしれんな」
 と、ヴィクトルさんはあごに手をやりながら答えるけど……このペンダントがね。
そういや、これってスリルさんからもらった物だよな? どうせ、COMPもらったら行くつもりだったしな。
その方がいいってスカアハが言ってくれたおかげで……そんなわけで刹那用にCOMPをもらうことになったのだった。
「それでいいのか?」
「はい。私としてはこちらの方が色々とやりやすいので」
 俺の疑問に刹那はうなずく。どういうことかというと、刹那が選んだCOMPというのは携帯みたいな大きさの物だったからだ。
この大きさだとCOMP能力の方も限定的になってしまう。仲魔に出来る数が普通より少ないとかね。
まぁ、サマナーになるわけじゃないらしいし、これでいいのかね?
 あ、ちなみにフロストとランタンを調べさせて欲しいとヴィクトルさんに頼まれた。
希な例だから、調べておきたいそうな。お礼は刹那が選んだCOMPで。まぁ、別に問題があるわけでもないのでOKしたけど。


「おお、翔太はん。よ〜、来たな〜。で、今日はどないな用なんや?」
 で、昼食挟んでスリルさん所を訪れて、フロストとランタンのことを交えて話――
「ふむ、そう言われてもな。渡したアミュレットは身体能力を高める効果を見越して作ったもんやさかい……
そんなことになるとは思わんかったんや。なんで、ワイにもどういうことかはわからへんのや」
 と、スリルさんは後頭部を掻きつつすまなそうに答えてくれたけど。
ん〜、スリルさんにもわからないか。でもまぁ、問題は特に無いし……あまり気にしない方がいいかな?
まぁ、女性ばかりになった仲魔達のことはある意味考え物だけど……なんだろう……嫌な予感がするのは……
 気になることもあったが、刹那のCOMPを強化してもらい、俺達は戻ることにしたのだった。


 次の日――
「今までありがとうございました」
 頭を下げながら刹那が礼を言ってくる。今いる場所はネギま!の世界へ通じる穴の前。
今日、刹那達が元の世界に戻ることになったのだ。まぁ、こればっかりはしょうがないんだけどね。
刹那は剣を直すために来たし、ミナトはボルテクス界を調べる為に来たし。真名はその手伝いだったっけ?
「私からもお礼を言わせてもらいます。おかげで色々と面白いことを調べられました」
「それは構わんが……余計なことは喋らないようにな」
「はい。それはもちろん」
「余計なことって?」
 頭を下げるミナトにスカアハがそんなこと言うけど、余計なことってなんだ? 思わず聞いちゃったけど。
「何、下手なことを話せばややこしいことになることもあるということだ」
 スカアハは腕を組みつつ答えてくれるんだけど……ややこしいこと?
ややこしいことって……何か問題でもあるんだろうか? う〜む、わからん……
「やれやれ……少しはどういうことかわかるように覚えた方がいいよ」
 と、真名に呆れられたけど。いや、そう言われてもね。わからない物はわからないんだけど。
詳しいことだって聞いてないし。うん、聞いた方がいいのかね? こういうことは……
「まったく……ま、そこが翔太さんらしいのかもしれないけどね」
「褒められた気はしないがな」
「なに、翔太さんはそのままの方がいいかもしれないよ。少なくとも私はそう思っている」
 その一言に俺は顔が少し引きつるのを感じたが、話していた真名はといえばふっと笑みを漏らしてから右手を差し出し――
「私達はこれで戻るけど、がんばってくれ。私は応援しているから」
「ああ、ありがと」
 真名に礼を言いながら、俺も右手を差し出して握手した。一瞬、真名の顔が赤くなったように見えた気がしたけど。気のせいか?
「私も……修学旅行から戻りましたら、手伝いに戻りますので」
「え? そんなことして大丈夫? 私達はともかく、あなた達は――」
「大丈夫です。修学旅行が終われば、私達の方ではゴールデンウィークですから。しばらくはお手伝いが出来ます」
「それに今回の事態をただ見過ごすわけにもいかないさ。私達も出来うる限り、協力はするよ」
 それを聞いて首を傾げる理華だが、話していた刹那の返事と握手を終えてうなずいてる真名に納得といった顔をする。
いや、そう言ってくれるのは嬉しいけど……でも、何が起きてるのか未だにハッキリしないんだよね。
世界がヤバイというのはなんか間違いなさそうだけどさ……
「では、私達はこれで……翔太さん、理華さん、スカアハさん、クー・フーリンさん、ミュウさん、ルカさん、アリスさん、
モー・ショボーさん、フロストさん、ランタンさん、シルフさん。あなた方のおかげで私は大事な事を見つけられた気がします。
ですから、そのお礼をいつか返します。みなさん、がんばってください。修学旅行を終えたら、必ず手伝いに来ますから」
「ああ、刹那達もがんばってな」
「体に気を付けてね」
 頭を下げる刹那に手を振る俺と理華。仲魔達も手を振り――
「それではみなさん。がんばってください」
「いずれまた、会える日を楽しみにしてるよ」
「それじゃあ〜」
 刹那、真名、ミナトも手を振りながら穴へと近付き、穴へ吸い込まれるような形で消えていった。
それを俺達は手を振りながら見送り――
「さてと……新しい世界への穴を探すとするか」
「そうね」
 俺のひと言に理華がうなずく。まぁ、色々とあったけど、未だに新しい世界への穴が見つかって無いんだよね。
そんなわけで俺達は新しい世界への穴を探す探索を再開するのだった。
 だが、俺達はこの時思いもしなかった。刹那達との再会が意外に早く来ることに――


 で、あれから10日後……つっても、ボルテクス界ので話だけどな。
中々見つからず、ついに夏休みを迎え……ラリーさんに頼んでいた銃の合成も終わったんで、それを受け取り――
いや、それ以外にも新しいフォルマをアイテムとか作ったりしたけどね。
そんなこんなを重ねて、ついには夏休みを迎えて……今日となり――
「やっと見つかったね」
「ああ……結構苦労したしな」
 理華のひと言にうなずく。ノーディスからその日の内に戻れる距離内で探索していなかった場所に来ているのだが……
いや、ここは以前から知ってたんだけどな。ここら辺の悪魔は結構強くてさ……
刹那達がいたのもそうだけど、戦いが大変なんで今まで避けてたんだが……流石に避け続けるわけにもいかないので来てみたと。
まぁ、やっぱり苦労したけどね。悪魔を倒すとか悪魔を倒すとか悪魔を倒すとか……なに、あの強さ!?
それに異様にデカイ奴も出るようになったし!?今までと段違いすぎるじゃん!?
おかげで何度か大怪我したよ!? そのたびにスカアハに怒られたよ!?
 しかし、その苦労のかいあってか、危ない所はあるものの順調に倒せるようになり――
今日、こうして新たな世界への穴を見つけたと。
「えっと、アイテムは大丈夫っと……そんじゃ、行きますか」
「そうだな……」
「次はどんな世界なのかな?」
 アイテムの残量を確認してからうなずく俺だが、なぜかスカアハはうかない顔をしている。
ミュウはどんな世界なのか気になってるようだけど――
「どったの?」
「なに……着いたとたんに妙なことに巻き込まれなければと思ってな」
「あ、そうだよ……ね……」
 聞いてみたら、スカアハはため息混じりにそう答えてくれました。理華が顔を引きつらせていたけど……
そういや、新しい世界に初めて行くたびに何かしらに巻き込まれてたな、俺達って……
大丈夫なんだろうか……そんな一抹の不安を感じつつ、俺達は新たな世界へ向かうことにした。
どうか、何事も起きませんように――


 out side

「くそ! こんな奴ではどうにもならんではないか!?」
 ある林の中……そこで怒りを露わにするのは背広にも儀式的な礼服にも見える服を着た男だった。
その後ろには紫のローブを纏いフードを深く被る者がいる。
そのせいか性別まではわからないが、わずかに見える口元は悔しげに閉めているように見えた。
「キャスターだと!? しかも、あの裏切りの魔女だと!? そんな者でどうやって勝てというのだ!?」
 そんなことにも気付かず、男はわめき散らす。男はある目的の為にこの地を訪れ、フードを被る者を喚び出した。
しかし、喚び出した者が思っていたのと違った為に、こうして理不尽な怒りを吐き出していたのである。
だが、喚び出された者は文句が言えない。言ってしまえば、なにをされるかわからないために――
 男は気付かない。喚び出した者が目的を果たすだけの力があることを……男は戦う者では無いために、それに気付かない。
「く……だが、女なら使いようはあるか……」
 しかし、なにを考えたのか、男はいやらしい笑みを喚び出した者に向ける。
それを向けられて、喚び出された者は思わず怒りを表に出しそうになった。
このままでは喚び出された者はただ理不尽な扱いを受けることになる……はずであった。
「林の中か……どんな所なのかな?」
「さてな。いきなり変なことにあわなきゃ、俺としては助かる……けど……」
 そんな時、この世界に訪れた翔太が理華に答えつつ現われ、その2人を見て固まった。
正確には喚び出された者の方を見てだが――
「き、貴様ら……何者だ!?」
 そんな翔太達にうろたえる男。まぁ、翔太達の後ろには仲魔達がいるので、ある意味当然とも言える反応だが。
喚び出された者もそれを見たために身構えるが……
「えっと、翔太? もしかして……」
「またかよ……」
 膝と手を付いて落ち込む翔太を見て、理華は思いっきり嫌な予感がした。
まぁ、その予感は正しかったりするのだが――
一方で翔太の行動に男は呆気に取られ、喚び出された者もそのせいでどうすればいいのか戸惑い、そのせいで微妙な空気が場に流れるのだった。


 ここは『冬木』――
7人の魔術師がそれぞれサーヴァントとなる英霊を喚び出し、聖杯と呼ばれる物を手にするための戦いが行われる地。
その戦いはこう呼ばれていた。『聖杯戦争』と――



 あとがき
そんなわけで翔太達は刹那達と別れ、新たな世界へ。そこはなんとFateの世界だった。いや、モロバレですがね。
さて、この世界ではどのような戦いが待ち受けるのか? 翔太達は聖杯戦争に巻き込まれてしまうのか?
しかしながら、次回はまたもや幕間だったりします。
元の世界に戻った刹那達。そこで彼女達にとっては久しぶりとなる仲間達と再会します。そして、意外な出会いも?
なんて話です。そんなわけで、みなさんお楽しみに〜



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