in side

 プレシアの許可をもらって中へと入る俺達だが、フェイトは相変わらず沈んだ様子を見せている。
なのはが励ましてるけど……さっきのがまだ堪えてるみたいだな。
そんなことを考えてると目的の場所に着いたようでプレシアがいた。うん、アニメでもそうだったけど凄いカッコだよね。
それでいて似合ってるんだから……ある意味凄いと思う。これ以上は考えると怒らせそうだから考えないけど。
「初めまして、アオイ シンジと申します。プレシア・テスタロッサさんでよろしいでしょうか?」
「ええ、そうよ……」
 優雅に頭を下げるシンジにプレシアは見下したような目付きで答えたが……まるっきり睨んでないか?
うん、憎悪丸出しで睨んでるよあれ……やっぱ、なんかしたんじゃないのか?
「あの〜……初対面のはずですが……私、何かしたでしょうか?」
「そうね……あなたのデタラメさのおかげで、私の目的が滅茶苦茶になった位かしら?」
 困ったように頬を掻くシンジだが、プレシアはというと見下した目で答えていました。
で、俺はそのプレシアの返事に納得する。とどのつまりそれって――
「自業自得じゃねぇか」
「みたいですね……」
 ジト目を向けるが、シンジはというと苦笑するだけである。
他のみんなも俺と同じくジト目をシンジに向けてたけど……ま、自分で自分の首しめてたら当然の反応か。
でもまぁ、プレシアの考えもわからなくはない。こいつって色んな意味で反則だしな。
それで頭にきたとなってもおかしな事じゃないだろ。
「まぁ、こうして会ってくださったということは、話し合いに応じてくれるということですね?」
「あなたが何を話すかにもよるわ」
 で、気を取り直したらしいシンジの問い掛けにプレシアは冷淡に返した。
そういや、今の今まで気にしなかったけど……こいつ、プレシアに何をする気なんだろうか?
うん、すっごく気になってきた。ていうか、変なことしないだろうな?
「そうですね……あなたの願いを叶えられる高い可能性を持ってきた……と言ったらどうしますか?」
「え?」
 なんてことを言い出すシンジの言葉にプレシアは思わず呆然としていた。
いや、ちょいと待とうか。プレシアの願いということは――
「な、なぜそれを!?」
「偶然にもあなたの目的を知ることが出来た……とだけ、今はお答えしておきましょう。
ああ、勘違いして欲しくないのですが、あくまでも叶えられる可能性が高いというだけです。
そうですね……アルハザードにたどり着くよりは高いでしょうか?」
 驚きながら杖を構えるプレシアにシンジは気にした風も無く答えたが……
ここで俺はふと首を傾げる。叶える可能性が高い? つまり叶えられないかもしれないってことか?
どうやら、タカハシさんやスカアハもそのことに気付いて表情をしかめてるけど……こいつ、本気で何をする気なんだ?
「ふん……どうやって知ったかは知らないけど……信じられないわね、そんなこと」
 と、先程の雰囲気に戻ったプレシアが睨みながらそんなことを言い出した。
まぁ、やっぱり気付いたか……いや、プレシアなら気付くよな、やっぱり……
「確かにそうですね……では、その証拠をお見せするというのはどうでしょう?」
「は?」
 次に出たシンジの言葉にプレシアはポカンとしていた。
後になって思ったんだけど、たぶんあの表情が昔のプレシアだったんだなぁ〜……と思うのは俺だけだろうか?
にしても証拠って、何を見せる気なんだ?
「え? あ、あの……証拠って……」
「プレシアさんの願いを叶える可能性がプレシアさんのやり方よりも高い……それを見せるだけですよ」
「……何が……目的なの?」
 どうやら今までのやりとりで戸惑ってるユーノの疑問にシンジはにこやかに答えるんだが、逆にプレシアは睨んでいた。
ま、普通はそう考えるよな。何かあるんじゃないかって……よっぽどの事が無い限りは……
「そう怒らないでください。別に話すつもりが無いわけではありませんでしたから……
私からの要求は2つ。ジュエルシード探索の協力と全ての譲渡……それだけです」
 なんて、シンジは気にした風も無くあっさりと答えたけど……プレシアは訝しげな顔をしていた。
どうしたんだと思ったんだが、すぐに冷淡な表情に戻り――
「何に使うつもりか知らないけど、いいわ……ただし、あなたが本当に私の願いを叶えられるなら……ね」
 思いの外あっさりと了承していた。いや、あっさりすぎね? 確かに成功したらという話ではあるけどさ。
しかし、あいもかわらず見下したように睨んではいたけど。
「それで証拠とやらを見せてもらおうかしら?」
「わかりました。では、アリシアさんを出してもらえますか? ああ、アリシアさんに直接何かをするわけではありませんから、ご心配なく」
 で、プレシアの問い掛けにシンジは答えるんだが、睨みを濃くしたプレシアにそんなことを言ってたりする。
流石にアリシアのことは反応するか……ま、アリシアになにかされるんだろうと思ったんだろうな。
しかし、アリシアに直接なにかするわけじゃないって言ってるけど、じゃあ何をする気なんだ?
なんてことを考えてたら、液体が満たされたカプセルみたいなのに入ってるアリシアが床からせり出すように現れていた。
「え、あ……あぁ……」
「あれが……」
 それを見たフェイトの瞳が揺れ、タカハシさんも戸惑ったような声を漏らしていた。
まぁ、タカハシさんの場合はヘルメットのせいで表情は見えないんだが……たぶん、呆然としてそうな気がする。
それは俺とスカアハ、シンジ以外のみんなが同じ様子だったんだけど――
「そう……この子がアリシア……私の娘……私の全て……この子を蘇らせるために私は全てを捧げてきた……」
「あ、ああ……う、あ……あぁ……」
「そう……私はアリシアがいれば、他に何もいらない……
私はね……あなたが生まれてからずっと大嫌いだったのよ……」
「あ、あ……いやぁ!?」
 カプセルに寄り添うプレシアの言葉に震えていたフェイトが悲鳴を上げてへたり込んでしまう。
ま、あんなこと言われたら当然か……そのことでなのはやはやて、アルフなんかは怒りをあらわにしてる。
俺とスカアハ、シンジ以外のみんなは顔をしかめてたたけど。
「あんたそれでも親なんか!?」
「あら、知らなかったの? その子はね――」
「そのことに関してアリシアさんはどう思っておられるでしょうね?」
「え?」
 耐えきれなかったのかはやてが叫ぶとプレシアは見下したような目を向け――
ようとしたら、シンジのひと言に首を傾げるはめとなった。
あれ? 今、こいつ変なこと言わなかったか? アリシアがどう思ってるって……
なんで、ここでアリシアの名前が出るんだ? まるでアリシアが今までのことを知ってるような言い方だよな?
「どういうことかしら?」
「それはアリシアさんにお聞きください。今から案内しますから」
 睨むアリシアにシンジはにこやかに答えながらポンと手を合わせ――
「あ――」
 なぜかプレシアは動かなくなった。良く見ると瞳から光が消えてるような――
「何をしたんだ?」
「なに、アリシアさんに会ってもらってるだけですって」
「は?」
 シンジの返事に問い掛けた俺はたぶん間抜けな顔をしてたんだと思う。
いや、こいつなんて言った? アリシアに”会って”もらってるだけ?
「どういうことなのだ?」
「いや、これは私も驚いたことなんですけどね……アリシアさん……生きてたみたいなんですよ」
 どうやらスカアハも戸惑ってるようで、そんな表情で問い掛けると……頬を指で掻くシンジはとんでもない事を言い出した。
いや、アリシアが生きてるってなにさ!?


 out side

「なに、ここ……」
 何も無い真っ白な空間……そこにプレシアはいて、酷く混乱していた。
まぁ、いきなりこんな所に来てしまえば混乱するのは当然かもしれないが……
実を言えば、プレシアはシンジに自分の目的を指摘された時から混乱していた。
翔太はプレシアがシンジの意図に気付いていたと思っていたが、本人はそれに気付かないほどに混乱していたのである。
ただ、シンジに主導権を握られまいと表面上を取り繕っていたにすぎない。
なぜ、そこまで混乱していたのか? それはプレシアにとってシンジは今まで会ったことの無いタイプだったからだ。
プレシアもアリシアを生き返らせるために様々なことをし、同時に様々な者達と出会ってきた。
見るだけで吐き気がしそうな者や表面上は善人面をする者……他にもいるが、プレシアはそういう者達と出会ってきた。
そんなプレシアでもシンジは異質だった。意図を感じさせないのは今までいなかったわけではない。
だが、シンジの場合は悪意どころかそれ以外も何も感じられない。こんなのはプレシアも初めての経験だった。
まるで始めからいないような……そんな曖昧な感覚。故にプレシアは混乱しまった。
それにこの場は酷く不安にさせた。真っ白なだけで何も無い。自分以外の誰もいなくて、思わず恐怖を感じてしまう。
「なによここ……なんなのよここは!?」
「おかあ……さん?」
 恐怖に負け、プレシアは思わず叫んでしまう。そんな時に聞こえてくる声……
その声にプレシアは恐る恐る振り返り……それを見て固まってしまう。
そこにいたのは……自分だった。いや、それは正確ではない。若かりし頃の自分……でも、何かが違う……
服を着ていないのかもそうだが……今目の前にいる自分の髪はブロンド……それはまるで……
「アリ……シア……?」
「お母さん!?」
 プレシアがその名を呟いた瞬間、アリシアと呼ばれた女性はプレシアを抱きしめるのだった。


 in side

「生きてるって……どういうことなのよ?」
「まぁ、正確に言うとその魂がということになるんですが……普通ならありえないんですけどね。
魂だけという状態は人間だとあまりにも脆弱な状態ですからほっとけば消えてしまいますし、
そうでなくても周りの影響を受けて幽霊に……というのはまだマシな方で、下手したら怨霊とかにもなっちゃいますからね。
ですから、私もわかった時にはビックリしましたよ。事故の影響なのか、プレシアさんが成した奇跡なのかはわかりませんが……
アリシアさんは魂の状態でも生きていて、しかもちゃんと成長もしていたんですから……
ああ、言い忘れてましたが、今プレシアさんにはそのアリシアさんと会ってもらってますので」
 戸惑うメディアの問い掛けにシンジは肩をすくめながら答えていたけど……俺としては思い当たる節があった。
確か、アニメのA'sの時にフェイトはアリシアに会っていたはず。その時は幻想みたいな物だったけど……
ん? 待てよ? アリシアが成長してたということは――
「あのさ、もしかして……アリシアってプレシアが今までしてきたことを見てたりするのか?」
「あり得ますね。ていうか、見てるでしょうね。それが不安材料なんですが……」
 俺の疑問にシンジはため息混じりに答えるんだが……大丈夫なんだろうか、それって?
そんなことを考えながら俺は動かないプレシアを見る。
「大丈夫……なんですか?」
「今の所、アリシアさんに賭けるしかありませんよ。
一応、アリシアさんには事前に事情を話して頼んではおきましたが……プレシアさんがどう受け取るかにもよりますしね」
 タカハシさんの問いかけにもシンジはため息混じりに答えるんだけど……
確かにアリシアの言葉ならプレシアは聞く可能性が高い。けど、聞いたからといって解決するかは別問題か……
上手く行けばいいんだが……なんて考えつつ、俺は待つことにした。アリシアがプレシアを説得することを祈って――



 あとがき
そして、魂だけの状態ながら生きていたアリシアと思いがけない再会を果たしたプレシア。
この再会がもたらすのは果たして……
とまぁ、書いておりますが……ここ最近、テンション維持が大変になりました。
ちょっとショックなことがありまして……それで現在テンションはだだ下がり中です。
なんとかしてテンション上げないと執筆速度が……これをフリーダムに書いておいてなんですがね……

さて、次回はアリシアとプレシアの会話。その先に待っているのは?
そして、事態はまたもや思いがけないことに……というようなお話です。
次回もよろしく〜……テンション上げれれば……



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