「へへ〜、見ててね」
  そう言いながら本音が取り出したのはハンバーガーだった。
しかし、見た目的には食べ物では無く、作り物であることは一目瞭然である。
そのハンバーガーのサイドカバーの一部を開き、そこに何かを差し込む。
それはカメラスイッチであり、差し込んでボタンを押した瞬間、ハンバーガーが飛び上がったかと思うと小型のロボットに変形してしまった。
ちなみにパンズが車輪になっており、中身の具が両手。更に真ん中から双眼鏡のような目が出ている。
「あらら」「へぇ〜」
「バガミールって言うんだ。かわいいでしょう〜?」
「あれは良いのか?」
「逆にあっちの方が偵察とかに使えると思うわ。フォーゼに使わせるには色々と問題もあったしね」
  バガミールと呼ばれた小型ロボを感心した様子で見ているセシリアと簪に本音は嬉しそうに見せていた。
一方、その様子を見て問い掛ける千冬に衛理華は苦笑混じりに答える。カメラスイッチは基本的には撮影機能しかない。
一応、撮影した物の解析も行えるが、その為には衛理華が持つモバイルPCにデータを送らなければならないという手間がある。
レーダーでも似たようなことが出来るし、ただ撮影するだけで戦闘の役にはあまり立たない。
解析が必要な時以外は使いそうにも無いと考えた衛理華はカメラスイッチをお蔵入りにしようとした。
が、それを知った本音はいい方法があると言い出し、その結果がバガミール開発となったのである。
ちなみにバガミールはほぼ本音の手によって造られていたりするのを述べておこう。
  さて、随分と遅れたが、現在衛理華達がいるのは授業にも使われるアリーナ内。
なんでここにいるかというと、少し離れた所から聞こえる地響きが理由であった。
その地響きの元は手足が車輪になっている、ちょっと不格好な人型のロボットが動き回っているからである。
大きさは人の2倍以上はあるだろうか? そのロボットがある程度走り回ってから千冬達の元へとやってきた。
で、たどり着いてひざまずくと頭部が後ろに倒れて胸が左右に開き、そこから箒の姿を見せていた。
「それで、動かしてみてどうかしら?」
「はい……操作自体はさほど難しくないのですが、負担が体に来ますね」
  衛理華の問い掛けに額に汗を浮かべる箒は息を整えてから答えた。
さて、箒が何に乗っているかというと、実はパワーダイザーだったりする。
パワーダイザーにはダイザーモードと呼ばれる限定的にではあるが格闘戦を行える人型形態になる機構もあった。
ただ、調整不足もあって今日までダイザーモードを使えなかったのだが。
で、コズミックエナジーの活性化も出来るということで箒が操縦者に選ばれたのである。
「しょうがないかも〜。だってぇ、使われてるパーツってジャンクパーツばっかりだったし〜」
「あ〜……元からそんなにお金があった訳じゃ無いからね」
  本音としては珍しく呆れた様子でそのことを告げると、衛理華はすまなそうな顔をしながら頬を指で掻いていた。
まぁ、フォーゼドライバーやアストロスイッチ、マッシグラーを造った上でパワーダイザーまで造ろうとしたのだ。
当然というか研究費という名の資金は無くなり、仕方なく重要箇所以外はジャンクパーツをレストアして使うという形で製作したのである。
そのことと衛理華や泰蔵教授はその専門で無かったというのもあってか、パワーダイザーの操作には操縦者に負担を掛けるという欠点が出てしまう。
それでもパワーダイザーは必要となる。というのも、怪人との戦闘にISを使うのはアラスカ条約などがあって困難だからだ。
かといって一夏だけに戦わせるわけにもいかない。なので、欠点の原因を探りつつ、少しずつ改修を進めていくべきかと衛理華は考えた。
いくら更識家の支援があるといってもお金を湯水の様に使えるわけではないのだし。
ちなみに本音がなぜそんなことを指摘出来たかと言えば、パワーダイザーの調整と整備をやっていたからだったりする。
どうやら本音は整備の腕は高いようで、楯無に頼まれて姉の虚と共にやっていたのだ。
さて、話が逸れてしまったが、千冬達がこのアリーナにいるのはパワーダイザーの起動テストともう1つの目的の為である。
まぁ、内容が内容だけに他の者達には見せられず、自分達だけでアリーナを使えるように許可をもらうのは苦労したが。
「遅れてごめん」
「あ、おりむー」「一夏様」
  そんな時に一夏が真耶と共にやってきて、そのことに本音とセシリアが嬉しそうな顔をする。
本当は一夏はすでにここにいなければならなかったのだが、真耶に急な用事を頼まれてしまって今になって来たのだ。
「それで何をするんだ? フォーゼの訓練?」
「それもあるけど、今日はこれを試すのが目的」
「おっと。これって、アストロスイッチ?」
  後頭部を掻きつつ問い掛けてみる一夏。実は今日までフォーゼの訓練どころか変身もしていなかった。
いくら学園にフォーゼの存在を知られたといっても早々変身していいわけでもない。
なので、フォーゼに関しては今日まで何もしていないに等しかったのだ。
  で、その問い掛けに答える形で衛理華は何かを投げ渡し、一夏がそれを受け止める。
受け止めた物は見たこともないアストロスイッチであった。
「長かったわ。織斑君のおかげでコズミックエナジーの研究が進み、更識家の支援のおかげでアストロスイッチの調整が出来るようになったのよ。
そういうわけで新しいアストロスイッチ。NO.9(ナンバーナイン)のホッピングスイッチよ。試してみて」
「わかりました」
『スリー――ツー――ワン――』
「変身!」
「それはどうにかならんのか?」
「あはは……」
『ホッピング』
  どこか感動した仕草を見せながら語る衛理華にうなずいてから、フォーゼドライバーを装着してかけ声とポーズと共に変身する一夏。
本音とセシリアはその光景に目を輝かせていたが千冬は呆れたようにため息を吐き、真耶はそのことに苦笑してたりする。
ちなみに簪も良く見ると一夏を注目していたりするが。
  で、千冬がなんで呆れているかというと、ISの実機授業でISを装着する際に一夏は同じことをしたのだ。
本人としてはイメージしやすいからというが、千冬に色々と問題だからそれをやらずに装着出来るようになれと言われてしまう。
余談だが、今日のISの実機授業で一夏は急降下と完全停止をやるように言われ、完璧というわけではないがやり通していた。
一夏にしてみるとISの方が動かしやすいのだ。例えるならフォーゼがマニュアル車でISがオートマ車。一夏にとってはそのような感覚なのである。
まぁ、それはそれとして、一夏はドリルスイッチを逆三角形のボタンが付いたホッピングに入れ替えた。
すでに気付いた方もいると思うが、このアリーナで行われるもう1つの目的というのがホッピンスイッチの起動テストである。
「そういえば、あれはどんなスイッチなのだ?」
「フォーゼドライバーとアストロスイッチに関してはおじいさまがほぼ1人で開発してたから詳しくはわからないのよね。
確か、ジャンプ力強化機能だったと思ったんだけど――」
  ふと気になった千冬の問い掛けに衛理華は腕を組み、あごに手をやりながら考えつつ答える。
先日も少し触れたが、フォーゼドライバーとアストロスイッチに関しては泰蔵博士がほぼ1人で開発を行っていた。
なので、衛理華も把握していない部分もあるのだ。
『ホッピング・オン』
  そうこうしてる間に一夏はホッピングスイッチを押し、左足に車に付いているような紫色のサスペンションが装着される。
みなさまにはおもちゃのホッピングと聞けば想像しやすいかもしれないが。
で、装着することでホッピングで片足立ちの状態になってホッピングのバネが縮まり――
「おわぁ!?」
  おもちゃのホッピングの如く跳び上がってしまう。一夏の意志とは関係無く。
「お!? てぇ!? うわ!? おぉ!?」
  一夏はなんとか着地しようとするのだが、慌ててしまってホッピングがある足が先に地面に付いてしまう。
それでまた跳び上がってしまい、それでも着地しようとして慌てたせいでホッピングがある足が地面について――
という繰り返しが起きるはめになっていた。
「あははは、おりむーおもしろ〜い」
  その光景に大笑いする本音。セシリアと真耶は苦笑し、箒は呆れた様子でため息を吐いていたが。
「思うのだが、あれは使えないと思うぞ」
「うん、私もそう思う」
  千冬も呆れたようにため息を吐きながら指摘し、衛理華は苦笑しながら答える。
まぁ、どう見たってジャンプ力強化というより、ただ跳び回っているようにしか見えなかったし。
「おわ!?」
  で、一夏は尻餅を付く形でようやく止まっていたが。
「まったく。今日はフォーゼで一通りの動きをしてみろ。その後はISの訓練だ」
「は、は〜い……」
  近付いてきた千冬に一夏は疲れた様子で返事をするのだった。
一方でフォーゼのスーツの中で待機状態の白式が鈍い輝きを放っていたりするが。

 さて、それからしばらくして、IS学園の敷地内に1人の少女がいた。
小柄な体型に肩を大きくさらした状態に改造されたIS学園の制服を纏い――
やや茶色がかった長い髪を黄色のリボンで結い上げたツインテールにし、幼いながらも整った顔立ちは勝ち気な表情を見せている。
そんな少女がボストンバック片手にある場所を探して歩き回っていたのだが――
「と、言われてもなぁ――」
  そんな時、青年の声が聞こえ、少女は思わず振り返ってしまう。
このIS学園で青年と言えば一夏ぐらいだが、少女はなぜか期待の眼差しを浮かべていた。
というのもこの少女、実は一夏と親友だったりする。
ある事情から離ればなれになってしまったが、一夏のことを忘れたことは無い。
だから、振り返って声を掛けようとした。胸の高鳴りと共に自分のことを覚えているか不安に思いながらも。
「だから、なぜあれであんな動きが出来るのだ?」
「いや、前にも言ったけど、フォーゼと比べたら動かしやすいんだって」
  が、聞き覚えの無い少女の声と親しげに話す一夏の声を聞いた時、少女の表情が固まる。
それと共に少女は胸の高鳴りがやみ、心が冷えていくのを感じていた。
振り返ってみれば、一夏が3人の少女達と話しながら歩いている光景がある。
この時、少女が思ったのはあの3人は何者なのか?ということであった。
なぜ、ああまでも親しげに話しているのか。やはりあれか? 胸なのか?
などと邪推してしまう。なまじ、自分のは貧しいと感じてしまっている為に。
  結局、少女は声を掛けずに一夏達を見送るしかしなかった。
その後、少女は目的の場所である事務室にたどり着き、ある手続きをするのだが――
「はい、これで手続きは終了ですよ、凰 鈴音(ふぁん りんいん)さん」
「あの、織斑 一夏って何組ですか?」
「ああ、あの噂の子? 彼なら一組よ。凰 鈴音は二組だからお隣になるわね。
そういえば織斑君ってクラス代表に選ばれたそうよ。あの織斑先生の弟さんなだけはあるわね」
  笑みを浮かべる事務員の女性に構わずに凰 鈴音と呼ばれた少女はそんなことを問い掛ける。
問い掛けられて首を傾げながらも事務員は聞かれてないことまで話してしまった。
それを聞いた凰 鈴音は眉を跳ね上げ――
「あの、二組のクラス代表って誰ですか?」
「え? え〜と、確か――吉沢 未来(よしざわ みき)さんね。
まぁ、この時期だからクラス代表が決まってるのは当然だけど、それがどうかしたの?」
  凰 鈴音の問い掛けに事務員はやはり首を傾げながらも答え、気になって問い掛ける。
それに対し凰 鈴音は笑顔になり――
「はい、クラス代表を私に譲ってもらえるよう、お願いしようかと思って」
  などと答えるのだがその笑顔はなぜか引きつっており、額には青筋まで見えている。
それを見た事務員は顔を引きつらせつつ嫌な予感を感じたとか。
  その嫌な予感は斜め上な感じで当たることになる。
あることを決意していた凰 鈴音は当然というか、感じていた事務員もそのことに気付くことは無かったのだが。

 さて、次の日の朝――
「もうすぐ、クラス対抗戦だね」
  クラスメートに囲まれて話し合っていた一夏だったが、ある1人が不意にそんなことを言い出す。
クラス対抗戦とは各クラスの代表が、ISにて競い合う文字通りの試合である。
ただ、1年の場合は代表候補生か専用機持ちでもない限り、クラスごとの現段階のレベルを見るという意味合いが強かったりするが。
それが来週に控えており、一組代表である一夏は当然出場しなければならない。
「織斑君、がんばってね」
「そうそう、フリーパスの為に」
  などと笑顔で言ってくるクラスメート達。
なお、フリーパスとは学食で半年間デザートがただになるという物であり、クラス対抗戦の優勝クラスに配られるのだ。
一夏はそれほど興味は無いが、他のクラスメートとしてはぜひとも欲しい一品なのである。
「ああ、そういえば二組の代表が代わったのって知ってる?」
「確か中国から来た転校生だっけ?」
「転校生? 今の時期に?」
  と、クラスメートが話し合う事に一夏は首を傾げる。
まぁ、入学式が終わってまだそれ程日が経ってない時期での転入なので疑問に思っただけなのだが。
「あら、今更ながらわたくしの存在を危ぶんでの転入かしら?」
「それは無いな」
「なんですって?」
「あはは……」
  なぜか勝ち気な顔でそんなことを言い出すセシリアだが、箒のツッコミで睨み合いになってしまう。
このことに一夏は顔を引きつらせるが、実は2人はことあるごとにいがみ合っていたりする。
昨日のIS授業でも、一夏との訓練を巡っていがみ合っていたし。
このことに一夏はなんで2人は仲が悪いのかと思ってしまうが、実は自分が原因の一端だとは気付いていなかったりする。
「でもまぁ、どんな奴なのかな? クラス代表代わったくらいだから、強いのかな?」
「今のところ専用機持ちは一組と四組だけだから、余裕だよ」
  とりあえず、話題を変えようとそんな疑問を漏らす一夏にクラスメートの1人が答えた。
ちなみに四組の専用機持ちとは簪のことだが、彼女の専用機は未だに未完成である。
このままだといつ完成するかわからないので簪は自分で組むことにし、一夏達は出来る限りの協力をすることとなった。
ただ、今からではクラス対抗戦に間に合わないのは目に見えているので、今回は授業用に使われるISを使うことになるだろうが。
「その情報古いよ」
  が、その時にそんな声が聞こえ、一夏を含めてクラスメート達は顔を向けた。
そこにいたのは不敵な笑みを浮かべる凰 鈴音である。
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単に優勝は出来ないから」
「あ、え? (りん)? お前、鈴か?」
  胸を張って言い放つ凰 鈴音――鈴だったが、その彼女を見て一夏は目を見開く。
なぜなら、一夏にとって鈴は親友に他ならないからだ。
「そうよ。中国代表候補生の凰 鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ!」
  で、鈴はといえば相変わらず胸を張って自己紹介してたりするが。
そのことでクラスが少しばかり騒がしくなる。
「だ、誰ですの? 一夏様と親しそうに……」
  一方でセシリアは鈴を思わず睨んでしまう。
まぁ、一夏と親しそうに見えるので気になってしまっただけだが。
ただ、それは箒も同じらしく、静かに睨んでいたりする。
「転校生って鈴だったのか……でも、どうして今頃IS学園に?」
「あ、それは、あいたっ!?」
  鈴の姿に嬉しそうにしながらもそんなことを問い掛ける一夏。
鈴は赤くなりながら戸惑うが、不意に頭を叩かれてうつむいてしまう。
「つ〜、なにする、の!?」
「何をしている? SHR(ショートホームルーム)の時間だぞ?」
「ち、千冬さん?」
「織斑先生だ。さっさと自分のクラスに戻れ」
  それでもなんとか振り返るものの、頭を叩いたのが千冬だとわかって怖じ気づいてしまう鈴。
まぁ、彼女は千冬の怖さは身に染みているからなのだが。
「あ、はい。また後で来るからね」
  なので、大人しく従い――一夏にそう言い放ってから、鈴は自分の教室へと戻っていった。
「あいつ……代表候補生になってたのか……」
  そんな鈴を一夏はどこか感心しながら見送っていた。
箒、セシリア、本音、千冬に注目されてるとも気付かずに。

 で、時間は過ぎてお昼休み。
一夏達は待ち構えていた鈴に連れられる形で食堂へと来ていたのだった。
「まさか、鈴もIS学園に来るとはな。なんで連絡してくれなかったんだ?」
「それじゃあ、劇的な再会にならないじゃないの」
「劇的って――」
  なぜか不満そうに返す鈴の言葉に、問い掛けた一夏は思わず苦笑する。
そんな2人を一夏のクラスメート達は注目していた。特に箒、セシリア、本音が睨むように見てたりする。
ちなみに簪も来ていて、一夏と鈴に気付いて箒達と同じ状態になっていたが。
「そういえば、丸1年になるのか? いつ代表候補生になったんだ?」
「あんたこそ、ニュースで見た時はビックリしたわよ」
  で、相席しつつ親しげに話す一夏と鈴。それに注目するクラスメート&簪。
「そうそう。あんたって、まだ仮面ライダーになるとか言ってるの?」
  そんな時、鈴は笑いながらそんなことを聞いてきた。
実は一夏、鈴ともう1人の親友とその親友の妹に目標の1つである仮面ライダーになるというのを話していたのだ。
まぁ、その時はなんでそんな冗談をと笑われてしまったのだが。
「ああ、それか? それなら、もご!?」
  それに対し一夏は笑顔で答えようとして、箒、セシリア、本音、簪に口をふさがれてしまったが。
「な、なによ?」
「ああ、気にしないで」
「馬鹿者! そのことは安易に話してはいけないと言われていただろうが!」
「そうですわよ!」
  いきなりのことに戸惑う鈴。食堂にいた生徒達もいきなりのことに戸惑ったが、簪が無表情に右手を振りながらなだめる。
一方、箒とセシリアは小声で一夏に怒鳴っていたりする。
仮面ライダー部内の話し合いで、フォーゼのことはIS学園内では開発中のISということにすることにした。
むろん、見る者が見れば違うとすぐにわかってしまうが、かといって真実を話すわけにもいかない。
なので、話題が沈静化するまではこの嘘で押し通すことにしたのだ。
しかし、一夏は鈴とは親友だった為に話そうとして、それに勘付いた箒達に止められたのである。
「おほん。それでそろそろ説明して欲しいのだが?」
「そうですわ。もしかして、こちらの方とつ、つつつ、付き合っておりますの?」
  で、先程とは打って変わって詰め寄る箒とセシリア。その後ろには何気に簪と本音もいたりする。
「え? あ、いや、私は――」
「あ、ああ、そういやまだ話してなかったな。鈴とは幼馴染なんだよ」
  セシリアの言葉に赤くなる鈴であったが、先程のことで顔を引きつらせながらも一夏は素直に答える。
そのことでなぜか鈴に睨まれてしまったが。
「幼馴染?」
「そうか、箒はわからないよな。ちょうど箒と入れ違いで転校してきたから。
こっちは前に話してた篠ノ之 箒。箒はファースト幼馴染で、鈴はセカンド幼馴染だな」
「ファースト――」
  そのことに気付いて紹介しつつそんなことを言い出す一夏。
それを聞いて問い掛けた箒は思わず嬉しそうな顔をしてしまうが。
「ふ〜ん、そうなんだ? 初めまして。これからよろしくね」
「ああ、こちらこそ――」
  と、挨拶する鈴に箒も返事をする。なぜか睨み合って。
気付いたのだ。箒が、いや彼女だけじゃなくセシリアや本音、簪が一夏にどんな想いを抱いているのか。
「おほん。わたくしの存在を忘れてもらっては困りますわ。
わたくしの名前はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生で、先日一夏様とはクラス代表の座を賭けて――」
「あ、私、布仏 本音。よろしくねぇ〜」
「更識 簪……」
  で、なぜか自己紹介の後にあれことと話し出すセシリア。
そんな彼女を無視して本音と簪はさり気なく自己紹介してたりするのだが。
「そう。そういえば、あんたって一組の代表になったんだって?」
「ああ……まぁ、成り行きでな」
「ふ〜ん。なら、私がISの操縦の練習見てあげようか?」
  鈴も未だに話すセシリアを無視して一夏とそんなことを話し合っていたりするが――
「ちょっと! 聞いていらっしゃるの!?」
「ごめん。私、興味ないから」
「言ってくれますわね――」
「というか、一夏に教えるのは私の役目だ!」
  興味がないと言った様子で答える鈴に問い掛けたセシリアは思わず怒鳴ってしまい、それに箒まで加わってしまう。
その後、箒、セシリア、鈴の間で言い争いとなり――
鈴が一夏とはいつも一緒にご飯を食べていたという話の真相を一夏が話した所でチャイムが鳴り、お開きとなった。
その時に一夏が思ったことは、この3人ってもしかして仲が悪いのか?と、自分が原因の一端だとは気付かずにそんなことを考えてしまうのだった。

「というわけだから、部屋を代わって」
「ふざけるな! なぜ私が!」
  夜、一夏と箒の部屋に来た鈴が両手を合わせつつそんなことを頼んでおり、箒は怒った様子で断っていたが。
で、なんで鈴はこんなことを言い出したかというと――
放課後、フォーゼとISの訓練を終えた一夏の元に鈴が訪ねてきたのである。
余談だが、箒達が来るまでの間に一夏はホッピングスイッチの練習をしてたりするが。
ともかく、そこで一夏は鈴に箒と同室であることを話してしまい、そのことに嫉妬した鈴がこんなことをしだしたのである。
一夏のことを想う身としてはライバルに負けてられるかという考えでの行動であったが。
「いや〜、篠ノ之さんも男と同室だと嫌でしょ?」
「べ、別に嫌では――」
  愛想笑いを浮かべつつそんなことを言う鈴に、箒はなぜか赤くなりながら答える。
このことにむっとする鈴だが、ふとあることを思いつき――
「ところで一夏。約束覚えてる?」
「約束?」
「そう、小学校の頃のね」
  赤くなりながら問い掛ける鈴の言葉に一夏は思い出そうとする。その様子に箒はただならぬ気配を感じていたが。
「もしかしてあれか? 鈴の料理の腕が上がったら――」
「う、うん」
「毎日酢豚をおごってくれるってことだよな?」
「え?」
  最初は期待の眼差しを向けていた鈴であったが、思い出そうとしていた一夏の言葉に顔をしかめる。
「だから、毎日俺に飯をごちそうしてくれるって約束だろ? いや〜、1人暮らしの身には、ってあた!?」
  思い出せたと喜ぶ一夏であったが、直後に頬を叩かれてしまう。
で、叩いた鈴はといえば一夏を睨み――
「最低! 女の子との約束をちゃんと覚えてないなんて!」
「あ、えっと、鈴……あのだな……」
  鈴に言われて一夏は戸惑いつつも謝ろうとする。
どうやら、間違って覚えていたと感じたからなのだが――
「知らない! 今度のクラス対抗戦で覚えてなさいよ! けちょんけちょんに叩きのめしてやるから!」
  鈴はといえば聞く耳持たずと言った様子で部屋を去ってしまうのだった。
まぁ、昨日の事や今日のこともあって、嫉妬心が爆発してしまったのもあるのだが。
「ええと……俺、やっぱり間違えて覚えてたのかな?」
「知らん……」
  一方の一夏は気まずそうに問い掛けるものの、箒は呆れた様子でそう返すだけであった。

 次の日の放課後。鈴は1人IS学園内を歩いていた。
あの後、一夏は謝りに来たのだが、鈴は徹底的に無視していた。
約束の意味を理解していなかった一夏に憤りを感じていたからだが。
「ん? あれって――」
  そんな時、鈴は箒とセシリアがどこかへ行こうとするのを見かける。
気になった鈴は2人の後を追い、仮面ライダー部の部室となっている倉庫に来た。
「仮面ライダー部? 何よこれ?」
  ドアの横の看板に書かれていた文字に首を傾げるが、直後に話し声が聞こえてきたので気付かれぬように様子をうかがうことにした。
倉庫の中には箒とセシリアに本音と簪、それと鈴の見知らぬ女性こと衛理華がいるのが見える。
「――というわけなのだ」
  どうやら、箒は昨夜のことを話しているらしい。
その話してる箒を見ていると、昨夜の一夏のことに呆れているように見える。
このことに鈴は同意するようにうなずいていたが。
「それはどうかしらね?」
「どういうことですの?」
  が、衛理華は別のことで呆れているようだった。
鈴はこのことにむっとし、セシリアは疑問で首を傾げていたが。
「大抵の女の子って漫画やドラマみたいに告白に夢見てたりするけど、現実は甘くは無いわよ。
自分がそのつもりでも、相手に告白してるって意志が伝わらないと、時には虚しいことになるしね」
「……え?」
  衛理華の話に鈴は少しの間を置いて間抜けな声を漏らす。
一瞬、その話の意味を理解出来なかったからだが――
「どういうことですか〜?」
「その凰って子がどんな状況で告白したかはわからないけど、織斑君にはいつものことのように思えたんじゃないの?
男の子は女の子とは感じ方がまるで違うもの。だから、告白してるって思わなかったんでしょうね」
「あの〜……もしかして、経験があるんですか?」
  気になった本音の問い掛けに衛理華はなぜか遠い目をしながら答える。
それを見た簪はそう思ったのだが、言われた衛理華はなぜか固まった。
まるで映像の一時停止のように――
「ほ、星野先生?」
「あ、だい、じょうぶ、よ……ま、まぁ、経験があるといえばあるわね。
中学の時に……でも織斑君と同じで、相手は告白されてるって全然気付かなかったんだけど――」
「それって、相手が鈍感だったってことですかぁ?」
「それもあるかもしれないけど……ある意味、凰さんと似たようなこと状況かもしれないわね。
後から考えたら告白になってないようなものだったし……だから、あなた達も気を付けなさいね?
自分だけ盛り上がっても相手に告白してるんだってわかってもらえないと……こういうことになるから……」
  その様子に箒は戸惑うものの衛理華はなんとか気を取り直して説明し、本音の問い掛けにも顔を引きつらせながら答える。
衛理華が思い出すのは同窓会の時。その時に告白した男性は別の女性と結婚していた。
その時は告白したのにと憤ったものだが直後にその男性に告白の時のことを聞かれ、そのことに気付かされたのである。
以来、このことは衛理華の中では軽いトラウマになっており、男性とこれといった付き合いが出来なくなったのだった。
そんな衛理華を見て、箒達は沈痛な面持ちで見守るしか出来なかった。
  一方、話を聞いていた鈴は呆然としながらその場から離れていた。
そんなはずは無い。だって、あれは夕暮れ時の小学校の教室での告白。シチュエーション的には漫画やドラマなどで良くある光景だ。
それであんなこと言われたら告白だと思うはず。少なくとも鈴はそう考えていた。でも、先程の話であることを思い出す。
一夏の鈍感さに。それで告白されてると気付かれなかったのでは? そう思ってしまったのだが、ある意味当たっていたりする。
まぁ、それプラスに幼すぎたというのがあるだろう。小学生――それに男の子となればそういったことに疎くてもおかしくはない。
鈴はそのことまで思い至らなかったが、考えられることにどうしようかと思ってしまう。
「あ――」
  そんなことを考えていたためだろうか? 鈴は足をもつらせて転びそうになった。
それでも運動神経の良さからなんとか倒れずに済んだが――
「へ!?」
  直後に自分の横にあった街路樹が凄い音と共に砕け折れたことに驚いてしまう。
「な、なに!?」
  鈴は慌てながらもその場から逃げ出して辺りを見回すが、自分以外に誰かがいる様子が無い。
なんだかわからないけどマズイ。そう思った鈴は更に逃げだそうとするが――
「あぐ!?」
  殴られたような衝撃を受けたと思った瞬間には飛ばされるような形で地面に倒れていた。
幸い、逃げだそうとした時に受けた為か衝撃が弱まったらしく、大して怪我をしなかったのだが――
「く、あ……」
  それでも倒れた痛みがひどくて立ち上がるのも困難であった。そんな中、鈴は見てしまう。
まるで景色から染み出すように姿を現す、カメレオンの姿をした怪人を――
「な、何よ……あなた……」
  問い掛けながら逃げようとする鈴だが、痛みで体がまともに動かない。
怪人はといえば、無言のまま右手を構えつつ鈴に近付こうとしていた。
「う――」
「鈴!」
  このことに鈴が恐怖を感じた時、一夏が駆け付けてくる。
一夏は訓練の為にアリーナに向かっていたのだが、その際に街路樹が砕ける音を聞いて駆け付けたのだ。
「一夏……馬鹿、逃げなさい! こいつは私が――」
  なんとか立てた鈴はISを発動させようとする。
何者かはわからないが、襲ってくるなら相手をしようとしたのだが――
「あ、ちょっと!?」
  一夏は鈴の言葉を無視して、フォーゼドライバーを装着しながら彼女の前に立っていた。
鈴はそのことに驚くが、一夏はすでにフォーゼドライバーの赤いスイッチを全て下ろしており――
『スリー――ツー――ワン――』
「変身!」
「きゃ!?」「うむ!?」
  ポーズと共に変身し、その衝撃に鈴と怪人は顔を背けてしまう。
その衝撃が収まったことで鈴と怪人は再び顔を向け、そこでフォーゼへと変身した一夏の姿に目を見開くはめとなった。
「い、一夏?」
「なんだ、貴様は!?」
  戸惑う鈴と怪人。そんな怪人に一夏は握りしめた右手を向け――
「仮面ライダーフォーゼだ!」
「か、仮面ライダー? ふざけるな!」
  名乗る一夏だが、怪人は馬鹿にされたと思って襲いかかってきた。
「くぅ! うおぉぉぉぉ!!」
「ぐぅ!?」
  そのままつかみ合いとなって牽制し合う一夏と怪人だったが、それをふりほどいた一夏が怪人を殴る。
「仮面ライダーって、あれってISじゃないの?」
「大丈夫か?」
  その光景を見つめる鈴はそんな疑問を感じながらも、同時にあることを思い出す。
中学の時に一夏が話していた目標のことを。まさか、本当に叶えたのかと思った所で箒達が駆け寄ってきた。
一夏が変身したことを衛理華が機器で感知し、状況を確かめる為に来たのである。
「おりゃ!」
「くぅ!?」
  一方、一夏と怪人との戦闘は一進一退の攻防を繰り広げていた。
殴られたら殴り返す。そんな様相になっていたのだが――
「うぅぅ――」
「え? 消えた? って、おわ!?」
  怪人の姿がいきなり消えたかと思うと、一夏はまるで殴られたかのように地面に倒れた。
「な、なんだ、って、うわ!?」
  戸惑いながらも立ち上がろうとする一夏だが、今度は突き飛ばされたような衝撃を受けて吹っ飛んでしまう。
「く、うわ!?」
「ど、どうなってますの!?」
「まさか、姿を消してる?」
「く!」
  その後もまるで殴られているかのようにふらつく一夏。
そのことにセシリアは戸惑うが、簪が怪人の姿を思い出してそのことに思い至った。
一方、それを聞いた箒はなぜかどこかへと走り去ってしまう。
「くそ! どこにいるのかわかれば!」
  ただいいように攻撃を受け続けながらも一夏は耐えていた。
でも、今の状況では相手の位置がわからず、どうすることも出来ない。
「そうだ!」
  その時、何かを思いついた本音はバガミールを取り出し、カメラスイッチをセットして変形させる。
「バガミール、お願い!」
  本音の願いにバガミールはうなずくと一夏の方へとカメラを向け、少ししてからカメラの間から赤いレーザー光を発射する。
そのレーザーはまっすぐに伸びていくが、一夏の横でそこに壁でもあるかのように止まってしまった。
「おりむー! そこにいるよ!」
「サンキュー、のほほんさん! おりゃあ!」
「ぐわぁ!?」
  本音の言葉に礼を言いながら握りしめた右の拳を突き出す一夏。
突き出す先はレーザーの先端がある場所。そこに右の拳が当たると、怪人が姿を現しながら吹っ飛んでいった。
説明するとバガミールはカメラスイッチの能力であらゆる方法で撮影が出来る。
その能力で撮影したことで普通ではわからない変化を捉え、怪人を見つけ出したのだ。
それとこれは余談だが本音のおっとりとした性格からか、一夏は彼女のことをのほほんさんと呼んでいる。
そのことで衛理華と真耶を除く仮面ライダー部の面々に睨まれていたりしたが。
「くおぉぉぉ!」
「く! うお!? ちょこまかと!」
  と、怪人は姿を消すのは無駄だと悟ったのか、今度は跳び回りながら襲いかかってきた。
その動きに翻弄された一夏は殴られながらも耐え、ある物を取り出す。
「あれは……ダメ! そのスイッチは――」
  それを見た簪は思わず叫んでしまう。なぜなら、一夏が取り出したのはホッピングスイッチ。
その能力を見た千冬が役に立たないと判断して使用するなと言っていたのだ。
「でも、これじゃなきゃあいつに追いつけない!」
『ホッピング』
  しかし、一夏はそう言い返しながらドリルとスイッチを入れ替え――
『ホッピング・オン』
  ホッピングのスイッチを入れ、左足にホッピングを装着する。
そのことに怪人は身構えるが――
「よ! っと! は! っと!」
「く、くぅ! ぐあ!?」
  縦横無尽に跳び回る一夏に逆に翻弄された怪人は戸惑い、更にはホッピングが装着された足で蹴り飛ばされていた。
「まさか、使いこなしてるの? あのスイッチを――」
「て、ていうか、なによあれ?」
  その光景に簪は目を見開いていた。
使えなかった物を使いこなしている。それが簡単ではないことを簪は知っている。
知っているからこそ驚き――心に熱い物を感じてしまう。
  一方で鈴は別の意味で目を見開いていた。
明らかにISとは違う戦闘にISらしくないフォーゼ。というか、あれは本当にISなのかと思えてくる。
なぜなら、ISならバリアー機構があり、それが働くはずなのだ。でも、フォーゼはそれが動いているようには見えない。
「おおぉぉぉぉ、うわ!?」
「おりむー!?」「一夏様!?」「織斑君!?」「一夏!?」
  そんな中、怪人を攻撃しようとした一夏であったが、不意に飛んできた人影に襲われて体勢を崩してしまう。
そのことに鈴達は驚くが、一夏は背中の噴射を使いつつホッピングのスイッチを切りながらなんとか着地した。
その間に人影が怪人の横に降り立つが――
「なに、あいつ――」
「あれは――」
  その姿を見て鈴は戸惑う。なぜなら、その人影はサソリを象った仮面の怪人だったからだ。
一方で簪はそのサソリの怪人を真剣な眼差しで見ていた。というのも、そのサソリの怪人が纏うマントに見覚えがあったからだ。
あの時、自分にスイッチを渡した者と同じマント。ということは――
「くそ、仲間か――」
「行け……」
「く、わかった……」
  サソリの怪人を見て構える一夏。
一方、サソリの怪人の言葉にカメレオンの怪人は戸惑いを見せるものの、すぐにどこかへと行ってしまう。
「あ、待て! って、うわっと!?」
  一夏はそれを追いかけようとするが、サソリの怪人がマントを脱ぎ捨てたことで思わず足を止めてしまう。
サソリの怪人はといえば、星座のように並ぶ体にあるレンズ状の物を輝かせながら構えていた。
「くそ、やるってのか!」
  そのことに一夏はそう判断して立ち向かうが――
「く! うお!? くぅ!」
「はぁ!」
「うわぁ!?」
  カメレオンの怪人よりも巧みに動くサソリの怪人の動きに翻弄され、一方的に攻撃を受けてしまう。
「くっそ、さっきの奴よりも速い! てりゃあ!」
「ふん!」
「うわあぁぁぁ!?」
「一夏ぁ〜!?」
  それでもなんとか耐えて立ち向かおうとするのだが、サソリの怪人が頭にあるサソリのしっぽを伸ばして一夏を大きく突き飛ばしてしまう。
そのことにセシリア達は息を呑み、鈴は叫ばずにはいられなかった。
「くぅ!」
「一夏!」「一夏様!」
  そのまま地面に倒れる一夏。その彼にサソリの怪人は近付こうとする。
それを見て鈴とセシリアは自身のISを起動させようとするのだが――
「うおぉぉぉおぉぉぉ!!」
「む!」
  叫びと共に振り落とされる何かに気付いたサソリの怪人が跳び退く。
直後にサソリの怪人がいた地面に振り落とされたのはパワーダイザーの拳であった。
「大丈夫か、一夏?」
「箒か……助かった……」
  そのパワーダイザーから聞こえる箒の声に一夏は素直に礼を漏らす。
そう、先程箒が走り出したのはパワーダイザーを取りに行くためだった。ただまぁ、少々時間が掛かって今頃になってしまったが。
「これ以上、相手をすることも無いか……」
  と、サソリの怪人は小声で呟いたかと思うと、どこかへと行こうとしてしまう。
「待て! く……」
「おりむー!?」「一夏様!?」「一夏!?」
  一夏はそれを追いかけようとするが、ダメージを受けすぎたせいかよろめいて地面に膝を付いてしまう。
そのことに本音やセシリア、箒が驚いて慌てて駆け寄る。簪も驚きを隠さずに駆け寄っていたが。
「何よこれ……何が起きてるの?」
「話してやる。だが、これは他言無用だ」
「え? 千冬さん!?」
  一方、終わったと実感した途端に異常な事態であると気付いて困惑する鈴。
そんな時に真耶と共に横にいた千冬の言葉に思わず驚いてしまうが。
「やれやれ、これは思った以上に深刻かもしれんな」
  そして、状況を見てそう思わずにはいられなかった千冬は深いため息を吐く。
それは確実に何かが起きているということを感じさせ、これからどうすべきかと悩んでしまう。
そんな悩みを抱えながら、千冬は天を仰がずにはいられなかった。

 


 あとがき
セカンド幼馴染の鈴の登場に騒がしくなる箒達。
一方、怪人の方は強力な力を持ったのが現れたりと新たな動きを見せてる様子。
今回の話はどうなるか……は、次回のお話ということで。

後、4話の指摘してくださった方、ありがとうございます。
テレビで見てた時は剣に見えた物で、ちゃんと確認してなかったのです。
というか、前にも指摘されてたのに見逃してた私が悪かったのですが――

次回は今回襲ってきた怪人の正体に迫ります。そんでもって怪人にも名前が付いたりしますが。
というわけで、次回またお会いしましょう。

 

押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.