次の日。一夏達は仮面ライダー部の部室に集まっていたが、皆の顔は深刻そうな物だった。
前日に突如として現れたイマジンという謎の怪人集団。それにオーナーと名乗る男性と士の存在。
それが皆の思いに影を落としていたのだから。
「まったく、イマジンはまだしもあのオーナーってのと士ってのは何者なのよ!」
「わからない……が、敵と考えるのは早いかもしれないな」
「なぜだ?」
 苛立ちから声を荒げてしまう鈴であったが、一方で本郷はそんなことを漏らしていた。
そのことに反応した千冬が顔を向けて問い掛けたことに本郷も顔を向け――
「話を聞く限りでは、その2人がイマジンの仲間だというのは無いんじゃないかと思う。
もし仲間であるなら、イマジンの目的を話すことや忠告をしてくるのは考えにくいからな。
ただ、何か別の目的があるとか、俺達を(あざむ)こうとしていることも考えられなくもないが――」
「確かに、ね」
 本郷の話に同意するようにうなずく衛理華。2人の話に出たように士とオーナーの行動がどうにも読めない。
本郷が話していた通り、士達がイマジン達と仲間なら忠告などをするのは考えにくい。
ただ、その一方でそう思わせることで別の目的を遂行したり、一夏達を騙そうとしている可能性も否めなかった。
本郷や一也はそういった経験があるだけに、その辺りを警戒してしまうのだ。
「まぁ、今は家の方で彼らを調べてもらっているから、何かわかればすぐにでも――」
「た、大変ですぅ〜!?」
 楯無が閉じた扇子の先を口元に当てながらそのことを告げようとした時、仕事でここにはいなかった真耶が慌てた様子で駆け込んできた。
そのことに一夏達は顔を向け――
「何かあったんですか、山田先生?」
「そ、それが……イマジンと思われる人達が第一アリーナを占拠しちゃったんですよ〜!?」
「なんですって!?」
「それにすっごくいっぱいいるんです! ざっと見ただけでも2、30人はいます〜!?」
「なんだと!?」
 シャルロットの問い掛けに真耶が慌てた様子で答えると、セシリアと箒が驚きを見せていた。
第一アリーナを占拠したというのもあるが、イマジンの数の多さに反応してしまったのである。
現に一夏達も驚きを隠せないといった表情を見せていたのだから。
「それで生徒達に被害は?」
「え? あ、そちらの方は心配ありません。休日だったのとまだ朝の早い時間だったので、生徒はそれ程いませんでした。
なので、すでに非難は完了しています」
「良かった〜」
「でも、占拠されたのは問題。何かをするつもりなのかもしれないから」
「確かにな」
 千冬の問い掛けに少し落ち着いた真耶が答えると、本音がほっとしたように息を吐いた。
その一方で事態の深刻さに考えを述べる簪の言葉に、ラウラも同意したようにうなずいていてしまう。
そう、第一アリーナを占拠されたのは色んな意味で問題だった。更に問題なのはイマジン達の目的が見えないことだ。
なにしろ――
「でも、あそこで何をする気なんだろう?」
「あ、過去に飛ぶとかって話をオーナーって人が話してたでしょ? それをやろうとしてるんじゃないの?」
「けど、第一アリーナにそんなことが出来るシステムは無いわよ?」
「オーナーで思い出したが、イマジン達はその為の方法を持ってると言っていたな。その方法をやる為にそこに行ったんじゃないのか?」
 一夏がその疑問に首を傾げてると鈴がそのことを思い出して話していたが、虚はありえないと否定していた。
第一アリーナはあくまでもIS同士の戦闘を行う場所として造られたのであって、過去へ飛ぶような物は無い。
が、その話を聞いてそのことを思い出した一也の話に誰もが顔を向けていた。
「なるほどな。第一アリーナはその方法を使う場所ということか……その気になれば電力なども使いたい放題だろうしな。
それらを利用する為にというのも十分に考えられる」
 その一言で千冬はそのことに思い至る。オーナーが言っていた過去へ渡る方法。
それがどんな物かはわからないが、それを使う為に第一アリーナを占拠したというのは考えられた。
というのも、第一アリーナにはそれなりにではあるが施設が整っている。
イマジン達がそれを利用しようとしているというのも考えられなくもなかったのだ。
「どのみち、このまま見過ごすわけにもいかない。奴らを追い出さねばならないからな。
それに数も多いようだ。箒はパワーダイザーで。セシリア達代表候補生達は戦闘に参加出来るようISスーツ着用で迎え!」
「ああ!」「「「「「「「はい!」」」」」」」
 千冬の指示に返事をする一夏と箒達。直後にセシリア達IS組は着替えと向かった。
その後、一夏と一也、本郷らと共にビークルモードのパワーダイザーの上に乗って第一アリーナへと向かう。
また、千冬に衛理華、真耶と結城らに虚と本音は2台の車に分乗して同じ場所へと向かっていた。
「現段階でわかったことだが、イマジン達は第一アリーナのフィールド内にだけいるらしい。
他は手つかずだ。山田先生に虚と本音は管制室へ行ってシステムの確認などをしてくれ。
私と衛理華に結城さんはプラットホームに向かい、状況を直接見る。
一夏達はイマジン達の相手だ。だが、数が多い。無茶な戦いはするな」
「了解しました」
「わかったよ」
 千冬の指示に楯無と一夏がうなずくと、他の者達もうなずく。その間に一夏達は第一アリーナへと辿り着いたのだった。


「なによ……あれ……」
「数が尋常ではないぞ」
 その後、千冬と衛理華と共に発着所に辿り着いた一夏達だが、その光景に鈴とラウラは唖然としてしまう。
というのも、アリーナのフィールド内にはイマジン達が群れを成していたのである。
真耶は2、30はいると言っていたが、これではそれ以上いてもおかしくはない。
これには一夏や一也、本郷だけでなく千冬も厳しい顔をせざるおえなかった。
アリーナ内なのでセシリア達のISを使うことは可能だ。問題はエネルギーが保つかどうかだった。
イマジンがどれ程の強さなのかはわからないが、ゾディアーツと同等と考えた方がいいかもしれない。
事実、フォーゼや仮面ライダーとなった一也や本郷の攻撃に耐えていたのだから。
むろん、ISの攻撃力がそれより劣るというわけではない。むしろ、武装によっては上回ってると言ってもいい。
が、実弾はともかくエネルギー系兵器はそれだけの威力となるとエネルギー消費も高い。
一撃で倒せればいいのだろうが、そうでないならエネルギー切れを起こす可能性も考えられたのだ。
千冬としてはその事態は避けたかった。一夏はまだしもセシリア達はそうなってしまったら身を守る手段が無くなってしまう。
また、箒が乗るパワーダイザーも燃料が切れれば同じことなので、同じ懸念はあった。
「全員、ISを装着しろ! ただし、エネルギーが30%を切ったら補給に戻れ。いいな?」
「30%、ですか?」
「イマジンの力がどれ程なのかわからない以上、危険な事は出来るだけ避けねばならない。
補給の為に戻ろうとして一撃を喰らい、ISが解除されたとなれば目もあてられないからな」
 話を聞いて首を傾げるシャルロットに指示を出した千冬はそう答えた。ISに対して怖いのは先程も言ったエネルギー切れだ。
前回、楯無が手痛い一撃を受けて空中でISが解除され、あわやという場面があったのを覚えていると思う。
それがある以上、エネルギーがある内に戻った方が安全と言える。もっとも、千冬としては30%でも少ないと思っていたが。
「すまない。本来ならば、この子達を戦わせたくは無かったのだが」
「状況がどうなるかわからない以上、打てる手は打った方がいいだけの話だ」
 すまなそうな顔をする本郷に千冬はそう言い放つ。
いかに一夏や一也、本郷が強いといっても、それなりの質を備えた数の暴力に勝つのは難しいだろう。
となればやれるだけのことをやるしかない。本音を言えば、IS学園にあるISを総動員したかった。
だが、それらのISは現在教習用の装備しか積んでおらず、本格的な戦闘を行うとなると準備が必要だったのだ。
ならば、いっそのこと補給用として考えた方がいいと思い、その為の指示を出すつもりではいたのだが。
「よし、行くぞ!」
「「はい!」」
『スリー――ツー――ワン――』
「「「変身!!」」」
 本郷の掛け声に一夏と一也が応えると本郷と共に構えて変身をした。
それと共にセシリア達もISを展開して上空へと舞うと、一夏と一也に本郷、パワーダイザーに乗る箒は地上に降り立った。
そのことにイマジン達が気付き、一斉に振り返ってくる。
「また貴様達か!」
「答えろ! 貴様達が過去に跳ぼうとしているのは本当か?」
「ふん、やはり電王の仲間だったか……いかにも! 過去へ跳び、過去を変えて我らが歴史を創る! その邪魔はさせん!」
「オーナーが言っていた通りでしたわね」
 指を差しながら叫ぶように問い掛ける本郷に、イマジンの1人が偉そうな態度で答える。
そのことセシリアは苦そうな顔をするが、どのみちとんでもないことには変わらなかった。
なにしろ、どのように過去を変えようとしているのかはわからないが、嫌な予感しか感じない。
なまじ、一夏が襲われてるだけに、穏便な方法でとは思えないのだ。
「過去を変えるって、どうやって?」
「決まっている! 破壊するんだ! 邪魔な物全てを!」
「な!? 破壊だと!?」
「そんなこと認められる訳無いでしょうが!?」
 一夏の問い掛けにイマジンはやはり偉そうな態度で答えるが、それに一也が驚き、鈴に至っては怒り出してしまう。
当然だろう。どの過去に跳ぼうとしてるかはわからないが、少なくともその先にある物を破壊しようと言っているのだ。
そこに人や建物も含まれるのだろう。だとすれば、一夏達には到底認める訳にはいなかった。
「お前達に何があったのかは知らないけど、そんなことはさせない!」
 右の拳を握りしめながら一夏はそう言い放つ。
イマジン達にも理由があってそんなことをしようとしているのかもしれない。
だからといって、過去に跳ぶのはまだしもその先にある物を破壊しようというのは許せなかったのだ。
「だまれ! あの宝石の力が溜まれば、我らは過去へと跳べる! その邪魔をさせん!」
「なに、あれ……なんか、とんでもないエネルギーを感知するんだけど……」
「あれがイマジン達が過去へ跳ぶ為の方法? どんな物なのかはわからないけど、少なくともただの宝石じゃなさそうね」
 今にも襲い掛からんとするイマジン達の向こう側に、良く見ると何かが輝きながら宙に浮いているのが見えた。
それは2つの四角錐の底同士をくっつけたような水晶に見える宝石だった。
しかし、その宝石からは解析不能なエネルギーが異常なまでに感知されており、その事実にシャルロットは顔を引きつらせていた。
楯無も呆れているようで渋い顔をしていた。それ程までにあの宝石から凄まじいエネルギーを感じるのだ。
「奴らを潰せぇ!!」
「セシリアとラウラ、シャルロットは援護射撃! 他は遊撃に回れ!」
「わかりましたわ!」「OK!」「わかった!」
 襲い掛かるイマジン達。千冬もそれを見て手早く指示を出し、セシリアと鈴に一夏が答えるとセシリアとラウラにシャルロットは上空へ。
一夏達はそのままイマジンへと立ち向かう。3人を上空に向かわせたのは、3人のISの武装が射撃用が主だったからである。
鈴も援護射撃に回しても良かったのだが、彼女のISの武装の1つである龍砲は砲撃用に該当する。
それはラウラのレールカノンも同じなのだが、着弾時に起こる衝撃の範囲が龍砲の方が広いのだ。
それは下手をすれば味方を巻き込みかねない為、千冬は遊撃に回したのだった。
「おりゃあ!」「とぉ!」「はぁ!」
 それはともかく、一夏、本郷、一也がイマジン達とぶつかり――
「おおぉ!」「行くわよぉ!」
 ウイングを剣にして構えるパワーダイザーと鈴達もイマジン達とぶつかりあった。
そのまま、一夏、本郷、一也は殴ったり蹴ったりと格闘でイマジン達を追い払い、鈴達IS組も纏めて切り払う。
「くっそ! 数が多すぎる!」
「うっとしい!」
「邪魔!」
 だが、やはりイマジンの数が多すぎて、一夏、箒、簪らは思わず愚痴が出た。
一撃で倒せればいいのだろうが、それが出来なくて追い払っているような状態だった。
かといって、それでイマジンが諦める訳でも無く、追い払ってもすぐに襲い掛かってくるのである。
「もう、動き回らないでくださいまし!」
「なんて奴らだ……レールカノンを耐えるというのか!?」
 一方で渋い顔をするセシリア。
レーザーライフルで狙撃しているのだが、イマジン達が激しく動き回ってるので当てるのが難しく焦ってしまうのだ。
それは同じくライフルで狙撃しているシャルロットも同じであったが。
なお、最初はビットでの攻撃をしていたが、操作の難しさから当てるのが更に難しくなり、レーザーライフルでの狙撃に切り替えていた。
 ラウラはといえば、驚きを隠せないといった表情をしている。
一番の戦果を出しているのは彼女だろう。何しろ、何体かのイマジンを倒しているのだから。
ならば、なぜそんな表情なのかといえば、中にはレールカノンの直撃に耐えるイマジンもいたのだ。
バリアーがあるISならまだしも、なんの守りも無いはずのイマジンが耐えたことにラウラは少なからず衝撃を受けてしまったのである。
「くそ! これでは押し切られるか――」
「なんとか応援は呼べないの?」
「出来ればしている」
「すまない、報告はしたのだが――」
 不安そうな衛理華の問い掛けに、その一言を漏らした千冬と結城は悔しそうな顔で答えていた。
IS学園のISに応援を頼もうと考えもしたが、先程も言った武装交換の問題もあった。
それに学園にある武装はセシリア達のIS並の威力があるのが武装が少ない。
それで足手まといになるとは言わないが、この状況では焼け石に水にもなりかねなかった。
結城の方は報告はしたものの、仲間達が世界中に飛んでしまっている状態だった。
日本にいる仲間もいるが、それでもすぐに来れるとは思わなかったのである。
「きゃっ!?」
「こいつら、空も飛べるのか!?」
「ボクに任せて!」
 不意に襲い掛かってきたイマジンにセシリアは慌てて逃れるが、その事実にラウラは驚いてしまう。
見てみれば、鳥の姿をした何体ものイマジンが上空にいるセシリア達に襲い掛かっていたのだ。
そうはさせまいとシャルロットが両手にアサルトライフルを構えて迎撃に向かうのだが――
「ちょっと、いくらなんでもやばすぎない?」
「わかっている! だが――」
 不安げな衛理華に千冬は思わず怒鳴ってしまう。
セシリア達が危ないのはわかるのだが、地上で戦う一夏達にも余裕が無い。
応援を呼びたくても様々な問題で難しく、他に方法は無いものか――千冬がそのことに頭を悩ませていた時だった。
「ぐお!?」
「きゃ!? な、なんですの?」
 横から襲い掛かるイマジンが下から飛んできたものに弾き飛ばされたことに、セシリアは驚きつつも戸惑っていた。
一瞬だったのでわかりにくかったが、今のは人だったような――
そんな時だった。いくつものエンジン音が響いてきたのは。
「な、なに? って、バイク!? しかも、いっぱい!?」
 何事かと誰もがエンジン音が響く方へと顔を向けると、何台ものバイクがこちらへと走ってくるのが見えた。
そのことに鈴が驚くが、結城と本郷、一也以外の者達も驚いていた。というのも、そのバイクに乗っている者達の姿が普通ではなかったのだ。
なんというか、仮面ライダーとなった本郷や一也に似た姿の者達ばかりだったのである。
「一文字! 風見に神も……なんでここに?」
「なに、不思議な者達現れて、ここに来た方がいいと言ってな。IS学園の反応のこともあったから、来てみればということだ」
「不思議な者達、ですか?」
「ああ、青年と女の子だ。俺達にそれだけ言うとすぐにいなくなってしまったが」
 本郷の問い掛けに本郷と同じ姿をした仮面ライダーが答える。
ちなみに本郷は手袋とブーツは白いのだが、こちらの仮面ライダーは赤かったのを言っておこう。
その返事に一也が首を傾げると赤い仮面に緑のスーツを着た仮面ライダーが答えた。
「ちょ、ちょっと、この人達何? 本郷さん達の仲間なの?」
「ああ、彼らも仮面ライダーだ」
「仮面ライダーって、いっぱいいるんだ」
 いきなり現れた者達に鈴が戸惑うが、それにうなずくように本郷が答えると簪が感心したように漏らしていた。
その間に仮面ライダー達はおのおののバイクから降りると、上空からもう1人の仮面ライダーが降りてくる。
「仮面ライダー2号!」
「仮面ライダーブイスリャー!」
「仮面ライダーX!」
「アーマーゾーン!」
「仮面ライダーストロンガー!」
「スカイ、ライダー!」
「仮面ライダーZX(ゼクロス)!」
「仮面ライダーブラック! RX(アールエックス)!」
 そして、思い思いにポーズを付けて名乗る仮面ライダー達であったが――
「な、なんですか、あれ……」
「か、カッコイイ――」
 楯無を除いたその場にいた全員がセシリアのように呆れていたが、一夏だけはそれに感動していたりする。
なまじ、仮面ライダーだけに共感したのだろう。何に共感したかは推して知るべしだが――
「く、また変な奴らが……構わん! 奴らを潰せぇ!」
 一方、イマジン達は新たに現れた仮面ライダー達に苛立ち、再び襲い掛かってきた。
「よし、みんな行くぞ!」
『おお!』「はい!」
「IS組は上空の敵に集中だ! 地上は一夏や彼らに任せるんだ!」
「わかりました!」
 本郷の呼び掛けに仮面ライダー達や一夏がうなずく。それと共に千冬が指示を出し、それに楯無がうなずいていた。
空中でも何体ものイマジンが暴れているのだ。ならば、空を飛べるISにそちらを集中させた方がいいと考えたのである。
こうして、地上ではパワーダイザーを含めた仮面ライダー達が。空中ではセシリア達ISがイマジンと戦い始める。
「とぉ!」「おおりゃ!」
「ぐはぁ!?」「ぐおぉ!?」
 本郷や赤い仮面に緑のスーツの仮面ライダーことV3がイマジンを殴り――
「でりゃあ!」「エレクトロサンダー!!」
『ぎゃあぁぁぁ!?』『ぐわあぁぁぁ!?』
 白のスーツに赤いアーマーの仮面ライダーXが持っているスティックことライドルスティックでイマジン達を打ち払い、
赤い胸当てにSという文字が書かれたカブトムシにも見える仮面ライダーストロンガーが起こした雷がイマジン達に直撃した。
「うおぉぉ!!」「はぁ!」
 そして、他の仮面ライダー達も己の技を駆使してイマジン達を打ち払っていく。
「ええい!」「はぁ!」
「がはぁ!?」「おわぁ!?」
 空中ではシャルロットの銃撃や簪の薙刀の斬撃で空中にいるイマジンを打ち払っていた。
『チェーンアレイ・チェーンソー・スパイク・ウインチ・オン』
「は! おおりゃ!」
「ぐわっ!?」「だぁ!?」
 一夏も四肢にそれぞれパーツを装着し、鉄球をぶつけたりチェーンソーで斬ったり、スパイクやフックで打ち払ったりしていた。
それらがあってか、少しずつではあるがイマジンを倒すことは出来たのだが――
「エネルギーが――」
「私も……」
「私もよ」
「私もだ。くそ、数が多すぎるぞ!」
 顔を引きつらせるセシリアに同意するように、楯無、簪、ラウラが表情を歪ませていた。
彼女達のISの武装はエネルギーを消耗しやすいのだ。その為、残り50%を切ろうとしていた。
ちなみに鈴の武装もそうなのだが、こちらは青竜刀をメインにしたのでセシリア達よりもエネルギー消費を抑えられている。
シャルロットも武装が実弾系ばかりなので、やはりエネルギー消費は抑えることは出来た。
ただし、ISは動くだけもエネルギーが消費されるので、セシリア達よりも多少多い程度でしかなかったが。
「なんて奴らだ……あれだけいたのに!?」
 しかし、着実にイマジン達の数を減らすことは出来ており、1人ずつでも補給に戻らせるべきかと千冬が考えた時だった。
「なんだ!?」「なに!?」
 突然、宝石が強く輝いたかとも思ったら、その宝石の背後にある空間に何かが生まれる。
それは一見すると洞窟のように開いた暗い穴に見える。いや、そうとしか見えなかった。
そのことに一夏や箒、他の仮面ライダー達やセシリア達も驚くが――
「なに、あれ……」
「あれは……ショッカー!? それにゲルショッカーまで!?」
「それにGODやデルザー、ブラックサタンまでいるぞ!?」
 その光景にシャルロットは息を呑んだ。なぜなら、その穴からゾディアーツともイマジンとも思えない怪人の群れが現れたのだ。
その姿に本郷と一文字が驚いていた。というのも、その現れた怪人達に見覚えがあったからだ。
見覚えというよりも知っていると言ってもいい。なぜなら、その怪人達は自分達が今まで戦ってきた者達なのだから。
「おお、過去への扉が開いたか……いけ! 奴らを八つ裂きにしろぉ!!」
『うおおおぉぉぉぉぉぉ!!』
 そのことにイマジンが喜び、そんな指示を出すと怪人達が一斉に襲い掛かりだした。
「く、うお!?」
「まさか、本当に過去から来たというのか!?」
 そのことに驚きながらもなんとか戦う一夏。一也もなんとか戦うが、このことに少なからずショックを受けていた。
イマジン達が過去に行こうとしていたことをどことなく信じられなかったからだ。
だが、今まで戦ってきた怪人達がこうして現れたことで、本当なのかと戸惑っていたのである。
「ふふふ、貴様らはそいつらと戦っていろ。その間に私達は過去へ行かせてもらう」
「待て! っ、邪魔をするなぁ!」
「まずいぞ! 誰か行けないか!?」
「そ、そんなこと言ったって――」
「く、このままではっ!」
 鼻を鳴らしながら穴へと向かうイマジン達。本郷はそれを止めようとするが、怪人達に邪魔されてそれが出来ない。
状況のまずさに千冬が叫ぶが、鈴達IS組も空を飛ぶ怪人に襲われて足止めされており、箒も本郷達と同じく怪人達の相手で手一杯だった。
このままでは――誰もがそう思った時だった。
「うお!? なんだ、貴様らは!?」
 走ってきた4台のバイクがイマジン達の行く手を遮るように止まったのである。
そのことに苛立つイマジンだが、バイクに乗っていた者達は次々とヘルメットを脱ぎ――
「あいつは――」
「やれやれ、どうやら間に合ったようだな」
 その顔を見て千冬は目を見開く。なにしろ、ヘルメットを脱いだ1人にあの士がいたのだから。
ちなみに士の服装は背広では無く、動きやすそうな服装になっていたりする。
そして、ヘルメットを脱いだ者達は次々とバイクを降りた。士に一夏達が見知らぬ少女と2人の青年に女の子。
それと一夏が一也とフォトショップに行った時に見た女性がいた。
「貴様ら、我らの邪魔をする気か!?」
「その前に、お前さん達に特別ゲストが来てるんだが」
「特別ゲスト、だとぉ?」
 苛立つイマジン達だが、士の言葉に訝しげな顔をした。
そんな時だった。列車の汽笛のような音が鳴り響き、士や見知らぬ者達以外の誰もが辺りを見回してしまう。
なぜなら、ここは列車が走るような所では無いのだから――
「ま、まさか――」
 が、イマジン達は心当たりがあるのか、なぜか慌てふためく。
そこでそれは現れた――
「な、電車ぁ!?」「なにぃ!?」
 その光景に鈴が驚いた。というか、他の者達も驚いていた。
なにしろ、流線型をした列車が現れたのだ。空中を走って。ご丁寧にレールを出しながら。
この光景に誰もが驚かずにはいられなかった。ただし、やはりというか士と見知らぬ者達は驚いてはいなかったが。
やがて、その列車が士達の前を通過すると、そこに7人の人影が立っていたのだった。



 あとがき
というわけで前半戦。いきなりの戦闘ですね……まぁ、いつものことということで(おい)
それはともかく、歴代仮面ライダー達もなんとかなると思ったら過去から新手が――
それによってピンチかと思いきや、士達が現れてと一夏君達大わらわです。
で、次回は後半戦。一夏達の前に現れるのは平成の仮面ライダー達。そして、あの人も変身します。
あの人とは? まぁ、次回をお楽しみということで。



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