「兵どもが夢の跡……か」

 オーブ戦役によって崩壊したオノゴロ島。そこへレンは来ていた。オペレーション・スピットブレイクで多くの部下を死なせ、軍を辞めた彼は、大西洋連邦と 最後まで戦い抜いたオーブを一目見ようとやって来た。ウズミ・ナラ・アスハを初めとした閣僚はマスドライバーと共に自爆し、国民は宇宙へと避難した。今、 此処にいるのは彼一人である。

「ぅ……」

「?」

 その時、何処からか声が聞こえた。レンは、眉を顰めて焼けた林を抜けて爆発のあったと思われる場所に出た。そこには、三つの死体があった。男性の死体は 樹に押し潰されて曲がっており、女性の死体は手足が異様な方向に曲がっていた。そしてもう一つ、まだ年端も行かない右腕の千切れた少女の死体……だった。 いや、そう見えた。少女には、まだ息があった。

 レンは、少女の下へ歩み寄り、息があるのを確認する。が、体中から血を流し、火傷を覆っている為、放っておけばすぐに事切れるだろう。どうやら家族で避 難していた所を戦闘で巻き込まれてしまった様だ。傍に落ちていた右腕を拾って、傷口を見る。

「(縫合は……無理だな)」

 傷口がズダズダで、壊死している。とりあえず服を破いて、右腕を縛ると、少女を抱える。

「(確かこの近くに……)」

 レンは、少女の両親と思われる二人に向かって、頭を下げる。出来れば、墓を作って弔ってやりたいが、そんな暇は無い。急ぎ、彼は斜面を駆け下りた。

 オーブの傍には、地球の大使であるマルキオ導師の伝道所がある。レンは、少女を連れて、そこへやって来た。どうやら無事に戦闘を免れた様で、扉を叩く と、孤児達に手を引かれて、盲目のマルキオ導師が出て来た。

「どちら様ですか?」

「元ザフト軍フブキ隊隊長、レン・フブキです」

「ザフト? その様な方が何故?」

「オノゴロで、死に掛けた子供を見つけまして……すいませんが、部屋をお借りしてよろしいでしょうか? すぐに手術に取り掛かりたいんです」

 少女の姿を見て、女の子がキュッとマルキオの手を握った。それで、本当だと分かったのか、彼は頷いた。

「分かりました。どうぞ、中へ」

 中へ案内されると、マルキオは自分のベッドを使ってくれるよう言った。そのベッドに少女を寝かせると、持っていた鞄の中から注射器を取り出して、少女の 腕に刺す。そして、台所から拝借したナイフを、用意して貰った熱湯で消毒し、少女の体を切って、ピンセットで石などの破片を取り除く。

 やがて破片を全て取り除くと、レンは部屋から出るとフゥと息を吐いた。

「どうでしたか?」

「とりあえず応急処置は終わりました……如何せん、此処では彼女の血液型を調べる訳にもいかないから輸血も出来ません」

 彼女を発見する前、市街地を見て来たが、戦闘の跡で医療施設もまともに動いていなかった。

「マルキオ様、すいませんが地球連合に呼びかけて私達を宇宙へ上げてくれませんか?」

「? 何故です?」

 今、地球の軍は殆どが宇宙に上がっている。シャトルの一機ぐらい呼びかけて宇宙に上げるのはマルキオの権限で出来ない事も無い。

「プラントに行けば、私の使ってた研究所がありますから……そこで本格的に治療します」

 医療技術に関しては、コーディネイターよりナチュラルの方が優れている。レンを除けば、であるが。それを聞いて、マルキオは頷いた。

「分かりました。何とか議会の方に掛け合ってみましょう……ですが、彼女は大丈夫なのですか?」

 オーブにはナチュラルだけでなく、素性を隠したりしてコーディネイターも住んでいる。彼女がコーディネイターなら問題ないが、ナチュラルだったらプラン トが受け入れてくれるか分からない。

「その辺はご安心を。データとか書き換えるの得意なんで」

 そうしてレンは少女を連れ、プラントへと戻って行った。




機動戦士ガンダムSEED Destiny〜Anothe Story〜

PHASE−29 オーブ攻防





<嘘だ……だってマユは……>

 呆然となるシン。一方、ラストのコックピットではリサがフルフルと肩を震わせていた。

「お兄ちゃん……」

 地の底から響くような低い声。思わず通信の向こうで、シンが<はい!?>と身を竦ませた。リサの横でステラが「シン……情けない」と呟いているが、彼の 耳には届いていない。

「良くもまぁ、今まで妹に暴言吐いたり、あまつさえ思いっ切り顔を殴ってくれたりしてくれたわねぇ〜」

 顔を俯かせながら、今までの事をありありと言い返すリサ。

<だ、だって、お前だって知らなかった……>

「知らないだけで、指摘されて嫌な事だったら女の子の顔でも殴るんだ……お兄ちゃん?」

<う……>

「それで今は議長の示す世界が本当に正しいと思って、オーブを攻める……」

<し、仕方ないだろ! そうでもしなきゃ世界は変わらないんだ! 父さんや母さんだって……>

「この………クソ馬鹿兄ぃ〜!!!!!!!!」

 そこでプチッとリサの中で何かがキレ、至近距離でレールガンをぶちかます。シンは、驚きながらもビームシールドで防いだ。

<な、何すんだよ!?>

「うっさい、このクソ馬鹿兄!」

 多分、レンと一緒にいた所為で相当、口の悪くなっている妹に絶句するシン。リサは、青筋を浮かべてシンを怒鳴る。

「お兄ちゃんね〜……オーブを恨むとか、アスハ代表が憎いとか言ってるけど、あの日まで私達が平和に暮らせてたのは誰のお陰よ!?」

 その言葉にシンの目が見開かれ、デスティニーの動きが止まる。

「オーブが最初から連合かプラントに付いてたら、とっくにあの日のような事が起こってたわね……現に今、連合についたオーブを攻めてるでしょ、お兄ちゃん が」

 かなり痛い所を突かれ、シンは怯む。が、シンも男として、兄として引けない。何とか自分が正しいと思い込んで主張する。

<でもレイが……>

 残り少ない命の彼が、自分に未来を託してくれた。なら、それに応えるのが仲間で友人だとシンが言おうとしたが、リサは遮った。

「レイさんが何? そうやって、人の言葉に乗せられて、いつの間にか自分で答えを出す事を止めた人が偉そうに言わないでよね! お兄ちゃん、その力は何の 為に欲しがったの? オーブを討つ為の力が欲しかったの?」

<それは……>

「もしそれが私やお父さんやお母さんの為だなんて言われてもねぇ……ちっとも嬉しくなんかないわよ」

「ステラも……」

 ふと今まで黙っていたステラが割って入り、シンは更に体を強張らせる。

「今のシン……守る……違う……壊す……」

 その言葉にシンは、ハッとなる。ルナマリアを守ると決めた。けど今、自分は彼女を放って、憎しみのまま戦おうとしている。それは守る事ではなく、壊す 為……震えるシンに、リサがトドメの一言を放つ。

「お兄ちゃんは今まで守る為に戦って来たんじゃない。守る、という言葉を言い訳にして、怒りと憎しみに任せて壊す事しかしてなかったのよ……」

<俺……は……>

 その言葉に、シンはガタガタと震えた。




「メインゲート開放」

 一方、島の地下ではアークエンジェルの発進準備が進められていた。エリシエルもCIC席に座ってサポートする。マリューの言葉を、チャンドラが復唱す る。

「メインゲート開放」

「拘束アーム解除、機関20%、前進微速」

 ゲートが開き、水中に出る。そして、そのままゆっくりと海面へと向かう。

「針路二○。アークエンジェル、全速前進!」

 そして、白い大天使は海面を飛び出し、浮上した。マリューは、チラッと先程、ネオを降ろした場所を見る。そこには、スカイグラスパーの隣で、アークエン ジェルを見上げている彼の姿があった。




<死に損ないの裏切り者がノコノコと!>

 アスランはレイのレジェンドと戦っていた。レイが背後のドラグーンからビームを一斉に撃つが、アスランの陽電子リフレクターで防ぐ。インパルスは、ムラ サメを相手にしている。

「レイ!」

<今度は俺が沈めてやる!>

「くっ!」

 グリードとレジェンドは、それぞれビームランスとビームシャベリンを構えて激突する。

<戦士である事を否定しながら、貴方は何故、今も戦っている!?>

「俺は自分が戦士である事を否定したつもりはない! ただ議長の言うように、戦士こそが自分にとって最も幸せだと思わないだけだ!」

 レイの問いに、そう返すと、レジェンドを弾き、ビームライフルを撃つ。

「お前はどうなんだ、レイ!?」

<!?>

「議長の駒として戦い、自分の意志を排してまで戦う事を幸せと思うのか!?」

 レイの顔に動揺した色が見える。その隙を突き、アスランはビームランスでレジェンドの肩を貫いた。

<くっ! なら俺の存在は、どう説明する!?>

 心を乱したまま、突っ込んで来るレイに眉を顰めるアスラン。レジェンドが、背後のドラグーンで一斉にビームを撃って来るが、アスランは両肩のシールドを 持ち、全てのビームを屈折させた。

<人の見た愚かな夢の結果である俺の存在は、何の為にある!?>

「レイ?」

<そんな世界は変わるべきだ……だからギルは……!>

 そう言いながら、ビームシャベリンを振り上げる。その寸前だった。空から一条の光が飛んで来て、レジェンドの腕を吹き飛ばす。

<何!?>

 すると、天空から一機の白いMSが飛んで来た。そして、そのMSは別の赤いMSを手に引いている。それらを見て、アスランは目を見開く。

「(アレは……!)」

<アスラン!>

 すると、白いMSから通信が入り、キラが映る。

「キラ! やっぱり……」

 その白いMSは間違いなくフリーダムだ。所々、フォルムは違うが、その形状は旧フリーダムと大差は無い。

<此処は僕がやるから、ラクスをアークエンジェルに!>

「分かった」

 もう一機の赤いMSの手を引き、アスランはアークエンジェルへと向かった。




「キラ……ヤマト」

 レジェンドの片腕を吹き飛ばされたレイは、ジッと新たな剣を得て舞い戻って来たフリーダム、そして、そのパイロットを睨む。自分やラウという悲しい存在 が生み出される事になった元凶。決して、許す事の出来ない相手。レイは、もう一本のビームシャベリンを抜いて、フリーダムに突っ込んでいく。

「お前の存在だけは許さない!!」




 アッシュの撃ってきたビームを、アカツキの特殊装備、ヤタノカガミで跳ね返して撃墜し、カガリは国防本部へと向かう。先程、キラが再びフリーダムを得て 戻って来たのを見て、更に力が沸いた。その時、空から別の降下ポッドが射出されたのに気付いた。

<なんだ?>

<ザフトの降下部隊か?>

 それを聞いて、新たなザフトの援軍かと思い、カガリはモニターを切り替える。が、ポッドは一つだけで、空中で分解されると、見た事の無いMSが四機、空 中で射出された。一機は、ザクやグフと似た形状をしたオレンジの機体、そして他の三機は紫と黒のボディに、十字のモノアイをしているものだった。

<マリューさん、カガリさん>

「ラクス!?」

 そこへ、アークエンジェルに着艦したラクスが通信を開いて来た。

<降下ポッドのMSは敵ではありません>

「え?」

<彼等はわたくし達にお味方くださる方々です。どうかそのように>

<分かったわ>

「了解した!」

 どうやらあの新型はクライン派のMSのようだ。カガリは、降下してきたのが敵ではなく、味方である事にホッと安堵した。




<ふー、やはり鬱陶しいな、地球の重力は>

 ZGMF−XX09T、ドム・トルーパー。ザフトのニューミレニアムシリーズの機体で、密かにクライン派が建造していたものだ。そのパイロットの一人、 眼鏡をかけ、額に傷跡のある男性――ヘルベルト・フォン・ラインハルトがボヤくと、眼帯をし唯一赤のパイロットスーツを着た女性が一喝した。

「何言ってんだ! ほら行くよ野郎共!」

 女性――ヒルダ・ハーケンに呼応するように残る一機に登場している髪型と顎鬚が特徴的な男性――マース・シメオンが「おう!」と叫ぶ。

<じゃ、俺は空の敵をやるんでよろしくな>

 同じポッドで降下し、ゲルググに乗るハイネが軽い口調で言うと、ヒルダはフッと笑みを浮かべた。

「ラクス様のために!」

 その言葉と共に、三機のドムは滑るように地上を走りぬけていく。そして目の前には、ザフトのザク部隊がいる。

「まずはあれだ。行くよ!」

<おう!>

<行くのかよ>

 ヒルダの言葉に、マースとヘルベルトがそれぞれ応えると、彼女の機体に直列して他の二機が並ぶ。すると、ドムの胸部から赤いビームフィールドが形成さ れ、MS群に突っ込んで行く。

「<<ジェットストリームアタック!!>>」

 先頭のヒルダがビームサーベルで切り崩し、その頭上でマースがバズーカを撃つ。そして、最後尾のヘルベルトが左右にビームを撃って敵を撃墜していった。



「ジャスティスか……」

 アークエンジェルの格納庫に降りたアスランは、ラクスが乗っていた機体を見上げて呟く。そこへ、ブリッジにいた筈のエリシエルが駆け足でやって来て、二 人に合流する。

「フォールディア先輩、無事だったんですね」

「当たり前よ。キサカ一佐のお陰でね…………ラクス様、これをアスランに?」

 あのラクス様ファンらクラブの会長とか言う人が、ラクスがキラとアスランへと渡す新たな剣を持っていると聞いているので、外のキラがフリーダムに似た機 体に乗ってるなら、こちらがアスランのものだろうと判断する。

「ええ」

 ジッと佇むかつてアスランが乗っていたのに酷似する機体、そしてワイヴァーンの副長であったシュティルが乗っていたジャスティスを、ストライクフリーダ ム同様、強化されたインフィニットジャスティスを見上げる。アスランは、フッと笑みを浮かべるとラクスに言った。

「ありがとう、ラクス。これだったら俺の戦いが出来る」

 ストライクフリーダムを受け取った時のキラと同じような言葉を吐くアスランに、ラクスは微笑む。

「フォールディア先輩、グリードをお願いします」

「は?」

 いきなり言われて、エリシエルは目をパチクリさせる。

「フブキ先輩が造った機体なら俺より、貴女に乗って貰う方が良いでしょう?」

 そう言われ、エリシエルは頬を染めて照れながらもグリードを見上げる。レンが造った機体……エリシエルは、ブリッジにいる間、祖国であるオーブが侵攻さ れている間、酷い無力感を感じていた。祖国を守る事すら出来ない、そしてシンのように祖国を攻撃するかつての仲間を止める事も出来ない事に歯痒かった。

「力は、ただ力です……あなた達ならお分かりでしょう?」

 そう問われ、アスランとエリシエルは互いに顔を見合わせると力強く頷いた。




「ユウナ!」

 国防本部司令部に入るや否や、カガリはユウナの名前を叫ぶ。ユウナは、頬を真っ赤に腫らし、ロープで簀巻きにされてパイプ椅子に座らされていた。
 
「カガリ様!」

「おお、カガリ様!」

「カガリ! 」

 カガリの復帰に喜ぶ将兵達に混じって、ユウナが情けない声を上げて駆け寄って来る。

「酷いよ、これは! あんまりだ! 僕は君の留守を一生懸命……ぶっ!」

 弁明しようとするユウナに対し、カガリは思いっ切り顔面を殴る。そして、胸倉を掴んで、怒りの形相で引き寄せた。
 
「お前だけを悪いとは言わない。ウナトやお前や首長達と意見を交わし、己の任を全う出来なかった私も充分に悪い!」
 
「カ、カガリ……そ、そんな……」
 
「だがこれは何だ!? 意見は違っても国を守ろうという想いだけは同じと思っていたのに!」

 指摘した筈だ。大西洋連邦と同盟締結の際、国を焼かせない様にと言ったウナト達に、それで国が焼かれねばな、と念を押した。不安が的中した。再びオーブ の国土が焼かれそうになっている。クレタで多くの将兵を見殺しにし、そして今、オーブを危機に晒している。余りにも許せなかった。
 
「いや、だからそれは……」

「言え! キースは何処だ!? この期に及んでもまだ奴を庇い立てするか!」
 
「だ、だから言ったじゃないか! 僕は知らないって!」
 
「ユウナ!」
 
「ホ、ホントに、ホントに知らないんだってば! 確かに家にはいたけど今は………」

 どうやら本当に知らないらしいユウナに、カガリは表情を苦くすると彼を思いっ切り突き放した。

「もう良い! 連れて行け!」
 
「え!? そんなカガリ〜!」

 情けない声を上げたまま引きずられていくユウナを無視し、カガリはソガに尋ねる。
 
「カグヤの封鎖は完了しているな?」

「は!」
 
「ともかく一刻も早くキースを捕まえるんだ。諦めるな。押し返せば停戦への道も開ける。今はその事だけを考えろ」

 カガリの言葉に、将兵達は一斉に敬礼した。




「十一時からミサイル8!」

 アークエンジェルは、ミネルバを初めとしたザフト軍と戦闘していた。現在、フリーダムはレジェンド、ラストはデスティニーと対峙し、そしてインパルスと ゲルググが中心となって、空の戦いを繰り広げている。地上では、ドムの参入で、一気に状況を盛り返しつつある。

「回避!」

 そこへミネルバの隙を突いたミサイルが飛んで来て、マリューが回避するよう指示を飛ばす。ノイマンは必死に舵を引くが、そのミサイルに何処からかビーム が飛んで来て、被弾前に爆発した。

「スカイグラスパー……」

 それが、スカイグラスパーのものであると分かり、チャンドラが呟く。すると、モニターに何故かネオの顔が映った。

<はは、すまんな、余計な事して>

「あ、貴方!?」

 驚愕するマリューに対し、ネオは軽い口調で答える。

<でも俺、あのミネルバって艦嫌いでね>
 
「え?」

「大丈夫、あんたらは勝てるさ。なんたって俺は不可能を可能にする男だからな」

 その言葉にマリューの目が大きく見開かれる。その言葉は、彼女が愛した男性の口癖だった。最期の言葉も同じ……けど、最後まで言い切る事が出来ず、目の 前で爆散した。マリューは、胸が熱くなるような感覚に襲われ、顔を俯かせた。アレは、ムウだ。そう確信した。




 かつてと同じ仕組み。知り尽くしていると言っても良い。アスランは、ジャスティスに乗り込んで発進準備を進める。その隣にはグリードに乗ったエリシエル もいる。

<とりあえず戦闘を止めないと……主力はミネルバね>

「ええ。大丈夫ですか?」

<割り切ってるわよ、ちゃんと>

 倒す事ではなく止める事。なら、迷う必要は無い。エリシエルの言葉に、アスランは笑みを浮かべる。アスランは、笑みを消して開かれるハッチの向こうの戦 場を見据える。

「アスラン・ザラ、ジャスティス出る!」

<エリシエル・フォールディア、グリード発進します>

 ジャスティスが出ると、機体が赤く染まり、関節部分が銀色に輝く。その後ろにグリードが飛び立ち、再び彼らは戦場へと戻った。



 ネオ自身、何でこんな事をしたのか分からなかった。ただ、ミネルバが嫌いというのは口実で、あの女性を死なせたくなかった。そして、このスカイグラス パーに乗った時、妙にしっくした。まるで乗った事があるかのように。

 アークエンジェルとミネルバの間を駆け抜けてビームを撃っていると、ミネルバから撃たれたビームに被弾した。

「ちっ!」

 やはりMA一機で戦艦とやり合うのは無茶だったようで、ネオは舌打ちする。すると、アークエンジェルが目に留まった。ネオは、何となく複雑な気持ちで アークエンジェルと回線を繋ぐ。

 あれだけ大口を叩いておきながら、わざわざ戻って来るのは格好悪いが、ネオは苦笑いを浮かべてマリューに尋ねた。

「………降ろしてくれるか?」

<整備班、緊急着艦用意!>

 すぐさま指示を飛ばすマリュー。どうやら着艦しても良い様だ。ネオは、開かれるアークエンジェルのハッチを目指す。その瞬間、何か別の光景が頭を過ぎっ た。被弾した機体、それを迎え入れる白い戦艦……何処かで感じた事のあるようなその光景にネオは驚愕しながらも、頭を振って、アークエンジェルに着艦し た。




「君は一体……」

 キラはレジェンドの繰り出すビームシャベリンを避けながら感じていた。目の前の機体が、二年前、自分が最後に戦った機体と似ていると。そして、そこから 発せられるパイロットの何かに。

<お前なら分かるだろう……>

 通信ではなかった。まるで頭に直接、語りかけられるように相手の声がした。

<俺はラウ・ル・クルーゼだ!>

「! ラウ・ル・クルーゼ……?」

 その名は、キラが確かに相手から感じていたものの名前だった。その時だった。空に飛び立つ、シャトルが目に留まった。

「アレは……!?」

 シャトルを追いかけようとしたキラだったが、レジェンドに邪魔され、歯噛みした。




「これだけ役者が揃えば十分かな」

 セイラン家のシャトルに乗り込んだキースは、護衛や見張りのオーブ兵を全て始末し、自分でシャトルを操縦していた。チラッと振り返ると、ムラサメやイン パルス、そしてオレンジの機体が迫って来ていた。

「もう遅いよ………レン、お膳立てはしてやった。後は任せたぞ」

 フッと笑みを浮かべ、一気に操縦桿を引く。空高く、シャトルは飛び去って行った。



「嫌だよぉこんな所!」

 拘束されたユウナは、シェルターへと案内されたが、そこは一般人もいるシェルターで彼のプライドがそれを拒んだ。

「僕は本島のセイランのシェルターに……」

「いいからお入りください!」

 無理やりユウナを押し込もうとする兵士達。そこへ、上空をMSが駆け抜け、風圧が起こる。思わず目を閉じる兵士達。その隙を突いて、ユウナが兵士の一人 にタックルすると、その場から逃げ出した。

「ユウナ様!」

「うるさ〜い! 僕は! 僕はぁ!」

 喚きながら何処かへ逃げようとするユウナ。だが、その時、頭上でグフが撃墜された。思わず立ち止まり、呆然と空を見上げるユウナ。だが、次の瞬間には、 グフが目前に迫って来て、彼を押し潰した。




「お兄ちゃん、本当に分かってるの? オーブを滅ぼす事がどういう事か……」

 一方、リサはシンに対し、今も言葉を投げかけている。

<…………>

「私はお兄ちゃん、お父さん、お母さんの思い出が詰まったオーブが大好き……お兄ちゃんは違うの?」

<それ……は……>

 リサの言葉に、シンは何も言い返せない。その時だった。ラストとデスティニーのコックピットに音が鳴り響いた。

<! これは……!?>




「まだ落ちないのか……オーブは」

 ジブラルタルのデュランダルは、未だオーブが落ちないという報告を聞いて呟いた。厄介な国だと本当に思う。ワイヴァーン、そしてアークエンジェルの乱入 には驚いたものの、物量的に有利だと思っていた。キースを口実に、オーブごと討とうと思っていたが、簡単にはいかないようだ。

 フゥと息を吐いて、自室へと入る。

「お帰りなさ〜い」

「ん?」

 すると誰もいない筈なのに声がしたので、ソファの方を振り返る。そして、目を見開いた。そこには、ザフトの白い制服を着て、帽子を深く被ったレンがい た。

「レン!? 何故、君が此処に……」

「まぁまぁ」

 帽子を取って、笑顔を浮かべるレン。デュランダルは、兵を呼ぶ事も出来たが、何故か出来ずに彼の元へと歩く。レンの前には、チェスボードがあり、デュラ ンダルに対面に座るよう促す。デュランダルは、流されるまま彼の対面に座った。

「変装までして忍び込んで来るとは……どういうつもりだ?」

「ん〜……まぁ、色々あったんだけど」

 チェスボードを見つめながら、レンはポーンを動かして答える。それに呼応するように、デュランダルも駒を動かす。

「とりあえずデスティニー・プランの中止を頼みに来ました」

「何?」

 驚いて一瞬、駒を止めるデュランダル。が、彼はすぐに笑みを浮かべて駒を動かした。

「もう君でも無理だ。世界は私の思うままに動いている……この駒の様にね」

 コトッと、ナイトを動かすデュランダル。レンは、膝を組んで顎に手を添えると、笑みを浮かべた。

「博士……貴方が相手にしているのは誰だと思います?」

「何だと?」

 ニコッと笑い、レンはカツンと強く音を立てて駒を置く。ピクッとデュランダルが、その威圧感に気圧される。

「私はレン・フブキ…………ノヴァズヒューマンの生き残り。此処から逆転劇を演じてみせますよ」

 不敵に笑みを浮かべるレン。その時、デュランダルの頬に初めて冷や汗が流れた。





リサ「おぉ! 兄さんが何か格好良いです!」

イザーク「アスラン達に戦わせて先輩は議長とか……相変わらず人が悪い」

リサ「ですが兄さん、この状況でどう引っ繰り返すのでしょうか?」

イザーク「世界は今や議長を信じているからな」

リサ「ですが、良く考えてみたら、ミネルバ側はデスティニー、レジェンド、インパルスに対して、私達はSフリ、∞ジャス、ラスト、グリード、アカツキ、ド ム、ゲルググと偏ってますね〜」

イザーク「敵には回したくないな……」

リサ「とりあえずお兄ちゃんを何とかしないとな〜」
感想

今回はオーブの闘争ですね〜

本来は逃げ込む人はジブリールだったわけですが、キースが逃げ込んでいますね。

そして、デユランダルの所にレンがやってきました、この配置は結構重要な気がしますね。

二人はそれぞれのボスの位置につく事になりますから、この先は二人の戦いになっていくのでしょうね。

こんかいはリサ(マユ)もかなり活躍しました。

でもその事によって、この先のシンの動向が難しくなりそうですね。

なぜなら彼のたたかう目的は復讐でしたから、マユもステラも死んでいないと言う事になると目的を半分以上逸してしまいます。

シンは当然マユとステラのいる所に行ってしまうでしょうね。

でも、ディスティニープランの動向次第ではソレも怪しいですし、この先が読みづらくなってきましたね。

かなり楽しみです♪

次回も期待しております!


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