アイズは、新世紀同盟に所属するサラという少女と共に、見知らぬ森を歩き続ける。夜は魔物も活動的になるが、この辺りの魔物は比較的、強く もなくアイズとサラは難なく倒す。

 どれくらいの距離を歩いただろう? いい加減、出口が見えても良い頃なのに、ちっとも出れる気配がない。サラは、近くに流れている小川の水を掬って飲む と、フゥと息を吐いた。

「此処はどの辺りなんだろうな……?」

「さぁな……キムラスカかマルクトか……それすら分からん」

 面倒な場所だ、とアイズは愚痴るが魔物と戦い、休み無しで歩いているのに、ちっとも息一つ切らしていないアイズをサラはチラッと見る。

「線が細いのに体力あるんだな……」

「何か言ったか?」

 問われて、サラはハッとなり、首を横に振る。

「な、何も言ってない!」

「そうか……」

 アイズは、スッと目を細め、前方の茂みを睨み付ける。

「誰だ? そこにいる奴、出て来い」

 そうアイズが言うと、サラもハッとなって杖を構える。すると茂みが揺れ、小さい影が出て来た。

「アンタ達、誰?」



 Tales of the Abyss〜2nd〜
 
                      第一曲:二つの出会い




 出て来たのは、アイズよりも年下の少女だった。エメラルドグリーンの髪をツインテールに結び、深い金色の瞳をしていた。服は、黄色い燕尾の服に短パン で、その手には弓を持っている。

「こ、子供?」

「アンタ達、人の森に入って来て何してんの?」

「えっと、その……わ、私達は道に迷ってだな……」

「何だ、迷子か」

 そう言うと、少女は踵を返し、スッとある方角を指差した。

「この先、まっすぐ行くと平原に出るよ」

「そ、そうなのか?」

「何だか最近、色々と外の世界が騒がしいから参っちゃうのよね」

 そう言って、少女は周りの木々を見渡す。

「君は此処に一人で住んでいるのか?」

「うん。近くに小屋あるから、そこに住んでる」

「一人で住んでるのか? 凄いな……」

 魔物も棲息している森の中に一人で暮らしている少女。サラは、チラッとアイズの方を見る。

「おい、お前。軍人だったら、こういう子を保護したらどうだ?」

 こんな所に一人で住んでる子を見過ごす事はサラには出来なかった。アイズは、チラッと少女を冷ややかに見つめる。別に、そういうのは軍人の仕事ではない のだが、此処で言い争っても無駄な体力を使うだけなので、アイズは、少女に質問する。

「…………外に出たいのか?」

「? そりゃ出たいに決まってるわよ。これでも年頃の女の子なんだから。何の因果でか、この森で狩りをして生計を立て、でも昔、都会に行って気分悪くなっ ちゃったのよね」

 ウエ、と気持ち悪そうに言う少女。外に出て、普通に暮らしたいという願望はある。が、如何せん都会の空気というのは気持ち悪く、少女の体質に合っていな いようだった。

「プラネットストームとか言うの停止してから余計キツいわさ……」

 プラネットストームが停止し、人類はそれに代わるエネルギー源を求めた。その一つが電気である。火、水、風……それらの力を用いて、新たなるエネルギー が発生した。それが“電気”である。雷と同質のエネルギーであるソレは、機能低下した譜業を再び3年前と同じくらい使用できるようにまでした。

 その分、発生する煙などが環境に著しくない損害を与えているのも事実である。やはり、プラネットストームによって与えられていた恩恵は計り知れない。

 ちなみに、譜業は、3年前ぐらい使用出来るようになったが、譜術に関しては威力ががた落ちした。ある程度、素質のある者――ジェイドやアイズ等――は、 それなりに使えるが、大半の譜術士は、その職を追われてしまった。

「………とりあえずグランコクマまで行く。身寄りの方は他の奴らに任せる」

「う〜……外に出るの久し振りだよ〜」

「言っておくが、お前は外に出たら敵だからな」

「…………」

 ビシッとサラがアイズを指差して言うが、アイズ本人は別にどうでも良さそうだった。




「やっと出れた……」

 森の外に出ると、既に日が昇って朝になっていた。平原に出ると、すぐに街道が目に留まり、サラはひとまず助かったと安堵の溜息を零す。

 アイズは、街道に立て掛けられている表札を見つけ、此処がどの辺りか、確認する。

「此処は……エルドラントの近く」

「何!?」

「レプリカの国……か」

 少々、厄介な場所に飛ばされた、とアイズは舌打ちする。

 3年前のレプリカ大戦により、生み出された多くのレプリカ。生き残った彼らは、戦いの首謀者が18年前に消滅したホド島のレプリカ……エルドラントに移 住し、彼らの国を作った。キムラスカ、マルクト、ダアトはその事に合意し、エルドラントを移動させ、南ルグニカ平野を与え、小国として認められる事になっ た。

 レプリカは生まれた時、赤ん坊のように歩く事も出来ず、知識がゼロである。また国民も、世界中の人々がレプリカという存在を認められた訳ではないので、 現在、自分の国の成長の為、異様な混乱を避けるべく、極力、外交を絶っていた。

「厄介だな……レプリカにも私達を恨む者だっているのに……」

「レプリカって何?」

 コクッと首を傾げる少女。サラは、少女にも分かるようレプリカの事を説明する。

「レプリカとは、フォミクリーという技術で作られる全く同じ人間の事だ」

「だが、レプリカはオリジナルと違って能力が劣化している事が多く、普通の人間と違って第七音素のみで肉体を構築しているから、音素乖離が起こり易く、消 滅し易い不安定な存在だ」

「??」

 アイズが付け足すと、少女は更に分からない様子で目をパチクリさせる。

「あ〜……つまり、そっくりそのまま同じ人間を作っちゃうって事」

 ミもフタも無いサラの説明にアイズは目を細める。

「そういえば、お嬢さんの名前は?」

 ふと、サラがまだ少女の名前を聞いていないのを思い出し、名前を尋ねる。

「私は、フレア・セルディール。森じゃ狩りして生計立ててるんだ」

「フレア……いい名前だな」

 クスッと微笑みかけるサラは、そこでハッとなって杖を構え、アイズに向き直る。

「?」

「そ、外に出たら敵同士だと言った筈だ!」

「…………ああ」

 そういえば、そんな事を言っていたような気がするとアイズは思い出すように手を叩く。すると、青い瞳が赤くなり、刀を抜く。

 アイズの瞳は、“譜眼”と呼ばれる目に譜陣を刻み込んで、より強力な譜術を使う、彼の義父であるジェイド・カーティスによって考案されたものである。譜 眼は本来、禁術に指定されているが、何故、アイズがこれを持っているのかは不明である。

 アイズの譜眼は特殊で、ジェイドは譜術の暴走を効率的に抑える為に、響律符(キャパシティコア)の眼鏡をかけているのに対し、彼は自らの意志で譜眼を発 動させる事が出来る。それにより、譜眼の暴走は、極力、抑えられている。

「む〜……兄ちゃんと姉ちゃん、何か険悪な雰囲気だの〜」

 ポリポリと頬を掻いて、少女――フレアは、対峙するアイズとサラを傍観する。

「戦うのは別に構わないが………俺に、その女をグランコクマまで連れて行かせるのではないのか?」

「……………そうだった」

 アイズは憎むべきマルクトの軍人だが、フレアみたいな女の子を一人、置いていくのは自分の信条に反する。今まで森で一人で暮らしていたのなら、別に一人 でも大丈夫だと思うが、“己の中に流れる血が”、それを許さない。かと言って、新世紀同盟に連れて行くのは気が引けた。新世紀同盟は、世間の目から見れば テロリスト。そんな所に、小さい女の子を連れて行ける訳がない。

 サラは、舌打ちして杖を降ろすと踵を返す。

「関所を通らずにエルドラント国から出るには、北のフリッグス山脈を越えて、パダン平原に出てフーブラス川を超える必要がある。しばらく歩きだが、フレア は構わないか?」

「良いよ〜。外の世界も、結構、変わってるっぽいから面白そうだし♪」

 笑顔を浮かべて頭の後ろで手を組むフレアに、サラは微笑んで頷くが、アイズはさっさと歩き出す。

「なら、とっとと行くぞ。この国の奴らは、他国の人間に対して好意的とは言えないからな」

 3年前、レプリカは、人々から気味悪がられ、迫害された事は少なくない。オリジナルの葬式の最中、レプリカが現れ、大騒ぎになった事例もある。その事か らか、レプリカの人々は、他の国に対して余り友好的ではない。

「そ、それぐらい分かっている! 言っておくが、マルクトの領土に入ったら私は、消えるぞ! あくまでも一時休戦だからな!」

「分かった分かった」

 勝手に言ってろと言わんばかりのアイズの態度に、サラは表情を引き攣らせる。そこへ、チョンチョンとフレアが突っついてきた。

「姉ちゃん、兄ちゃんと仲悪いの?」

「まぁな。一応、敵同士だ」

「じゃ、何で一緒にいるの?」

「今はお互い無事に帰る為に一時休戦しているに過ぎない。この国の領土から出れば、後は敵同士だ」

「ふ〜ん……」

 何だか変な関係、と呟いてフレアは、先を歩くアイズとサラに付いて行った。




「はぁ! はぁ!」

 一人の少年が息を切らし、雪の山道を走っていた。緑の髪をポニーテールにし、その顔は目の部分を隠した銀色の仮面を付けていた。白い長袖の服に、黒い長 ズボンを穿いており、腕には金のリングが幾つも嵌められている。

 少年は、立ち止まると激しく息を切らし、ドサッと腰を下ろした。

「失敗しました……まさか、追っ手がかかるなんて」

 仮面の下から汗を流し、少年はボヤく。フゥ、と息を吐くが、ハッとなって自分の影を見る。すると、少年の影が膨らみ、その中から黒装束を身に纏い、黒い 覆面をした長身の男が現れる。その両手には、鋭い爪が装着されていた。

「貴様……何者だ? 我らを嗅ぎ回っていたようだが?」

 少年は、男と距離を取り、ジリジリと後ろに下がりながら答える。

「別に……ただ、あなた達、新世紀同盟が英雄達によって平和になったこの世界で、何故、テロ活動をする必要があるのか、気になっただけです」

「我らは我らの信念の為に戦う」

「この平和な世界になる為に、どれだけ多くの血が流れ、犠牲が出たと思ってるんですか? その世界を再び壊すなど……僕は認めませんっ」

 少年は、そう言うと手を地面に叩き付けた。すると、地面に譜陣が浮かび上がり、地面の一部が崩れ落ち、少年は崖下へと落ちていく。覆面の男は驚愕しつつ も崖下を覗き込むが、既に少年の姿は見えなかった。

「今の譜術は……」




「寒っ!! 寒いッス!」

 フリッグス山の入り口に着いた途端、余りの寒さにフレアが縮こまる。

「この辺は南の方だから、そんなに雪は積もっていない筈なんだが……」

「冬だからな……」

 流石に雪ぐらいは積もる、とアイズは言ってのけて雪道を歩き出す。

 どてっ!!

 が、突然、前のめりに倒れてしまった。

「…………ぷっ!」

「兄ちゃん、大丈夫?」

 思わず噴き出すサラに、何もない所で躓くアイズを可哀想な目で見つめる。アイズは、無言で起き上がると躓いた所の雪を払う。すると、緑色の髪が見え、引 き摺り起こした。

「遭難者か?」

「入り口で遭難ってあんの?」

 いざ、雪山に乗り込もうとして入り口で行き倒れ……ミラクルとも思える行為だとフレアが呟く。アイズは、少年の手を離すと、そのまま道に捨てて歩き出 す。

「って、ちょっと待てぃ!!」

 が、ガシッとサラに肩を掴まれて止められると、不機嫌そうに振り返る。

「……何だ?」

「お前、こんな子供の遭難者を見捨てて行く気か!?」

「…………いちいち遭難者を救助していては身が持たん。雪山で力尽きた者は見捨てて行くのが常識だ」

「どんな常識だ、どんな!?」

「二人とも敵同士なのに仲良いやね〜」

 少年から雪を払い、背負うフレアは先を歩きながら呟く。身長が15cmぐらい差があるのに、森で狩りをしながら生活していたお陰か、軽々と少年を背負っ ている。が、身長差の所為で、少年の足は引き摺っているが。

「ちょ、ちょっと待て! 私とコイツは敵同士だ! 本来なら命の取り合いをすべき相手なんだ!」

「そなの?」

「らしいな」

「む〜……複雑な関係なんだにゃ〜。と、そういえば兄ちゃんの名前、聞いてなかったっけ」

「む、そういえばそうだな。おい、私らだけ名乗って、お前が名乗らんのは失礼じゃないのか?」

 そうサラに言われると、アイズは冷めた目で彼女を見返す。

「命の取り合いをする相手に名乗るのか?」

「いちいち人の揚げ足を取るな! 少なくとも今は、国境を越えるに当たって一時休戦して、協力する相手に対し、名乗るのは人として最低限の礼儀だろう が!」

「変な事に拘る奴だ……マルクト帝国軍第三師団所属、アイズ・カーティス大尉だ。文句ないだろう?」

 そう言って先に進みかけるアイズだったが、ふとサラが呆然となって震えているのに気付いた。

「ほへ? 姉ちゃん、どうしたの?」

「カーティス……だと? あの“天賦の死霊使い”の……」

「義父だが?」

 その時、瞬時に杖を突き出し、アイズを地面に押し倒し、彼の顔の真横に杖を突き立てるサラ。余りに突然の事に、フレアは驚きを隠せなかった。が、アイズ は平然として尋ね返す。

「国境を越えるまでは休戦ではなかったのか?」

「お前……英雄の……ジェイド・カーティスの……!」

「息子……という事になっている。血は繋がっていないがな」

 一応、刀に手をかけていつでも斬りかかれるような体勢を取りながら答えるアイズ。サラは、唇を噛み締め、ガタガタと震えながらも杖を引いて、アイズから 離れた。

「…………取り乱してすまない」

「姉ちゃん、大丈夫?」

「ああ……それより、フレア、重いだろう? 代わろうか?」

 ずっと少年を背負っていたフレアに、微笑みかけながら尋ねるサラ。その時、少年が呻き声を上げた。

「ん……」

「む? 気が付いたか?」

「此処……は?」

 女の子のような高い声を上げる少年に、サラが答える。

「フレッグス山だ。君は、入り口の所で倒れていたんだぞ?」

「そう……ですか」

 少年は、フレアから降りるとキョロキョロと周囲を見回すと、アイズ達に頭を下げた。

「すいません。ご迷惑をおかけしました。僕はニオと言います……助けてくださりありがとうございます」

 少年――ニオが礼を言うと、サラは頭を横に振った。

「いや、たまたま私達が通りかかったから良かった。しかし、どうしてこんな所に?」

「……少々、追われていまして。上の崖を崩して逃げて来たんです」

「また無茶を……しかし、追われているとは物騒な話だな。私達は、このまま山を越えてパダン平原に出る。その後、このアイズとフレアと一緒にグランコクマ に行ってはどうだ?」

 また勝手な事を、とアイズが目線でサラに訴えるが、彼女は見て見ぬフリをする。

「グランコクマ……ですか」

「…………こんな所でマルクト軍に追われているのか?」

 探るようなアイズを見て、ニオは「いいえ」と答える。

「分かりました。しばらく、お世話になって良いですか?」

「…………勝手にしろ。一人でも二人でも変わらん」

 そう言うアイズに、フレアがニコッと笑う。ふと、フレアはニオのしている仮面について尋ねた。

「ねぇ、ニオ君、何でそんな仮面してるの?」

 顔全体を隠しているのではなく、目の部分だけを隠している銀の仮面。こういう仮面をしている人は、何か言えない秘密があるのだろうと今まで取らなかった が、やはり気にはなる。

「ああ……3年前の戦争で、ちょっと傷が出来まして。余り見ていて気持ち良いものじゃないので、隠してるんです」

「3年前の戦争か……確かに、ロクなものではなかったな」

 世界中の人々の心を支配していたユリアの預言(スコア)。それは、繁栄の為ならば、回避出来たかもしれない犠牲を見殺しにする。その結果、何度も大きな 戦争が起き、数え切れない命が散っていった。

「む〜……ずっと森の中にいたから、いまいち分かんないのよね〜。プラネットストームが停止して、エネルギー不足って言うのは、たまに来る行商人の人から 聞いてたけど……」

「知らない方が幸せ……という事もあるものですよ」

 微笑を浮かべて言うニオを、アイズは目を細めて見つめていた。

「あ、そういえば皆さんの名前は……」

「ああ、私はサラ・エグネスだ」

「フレア・セルディールだよ」

「…………アイズ・カーティス」

「え?」

 最後のアイズの名前を聞いて、ニオは彼を見る。

「カーティス?」

「…………英雄、ジェイド・カーティスの養子だそうだ」

 何故か不機嫌そうに説明するサラ。ニオはジッとアイズを仮面の奥から見つめる。

「そうですか……彼の……これも何かの縁なのでしょうか……」

「何か言ったか?」

「いえ……よろしくお願いします、アイズ殿、サラ殿、フレア殿」

 改めて頭を下げるニオに、サラは苦笑いを浮かべて頬を掻いた。

「何だかむず痒いな……サラ、で構わないぞ」

「私も〜。フレアで良いよ」

「そうですか? では、サラとフレア……アイズ殿は?」

「好きに呼べ」

「それじゃあ……アイズですね。足手まといになるかもしれませんが、よろしくお願いします」

 そう言い、手を差し出してくるニオ。アイズは、ジッとその手を凝視するが、やがて手を握り返した。




「超振動だと?」

「はい」

 マルクト帝国の首都、グランコクマ。ピオニー・ウパラ・マルクト九世の治める都のシンボルであるグランコクマ城。そこの謁見の間では、ジェイドが主であ り、幼馴染でもあるピオニー九世に、アイズが新世紀同盟の女兵士と超振動で、何処かへ飛ばされた事を報告しに来た。

 ピオニーは玉座に頬杖を突きながらも楽しそうに笑う。

「ふん、まるであの二人みたいだな。何か面白そうな事でも起こるのか?」

「ご冗談を。しかし今の時代、超振動を起こせるのは彼ぐらいだと思っていましたが……」

 第七音譜術士(セブンスフォニマー)の固有振動数が同調した時に起きる擬似超振動。3年前、ジェイド達の活躍により第七音素(セブンスフォニム)の意識 集合体であるローレライが、音譜帯に還った事により、世界中の第七音素は減少し、超振動が起こる事など一人の例外を除いて稀である。

「陛下。アイズの捜索を許可して頂きたいのですが……」

「任務中に行方不明になった兵士は殉職、もしくは脱走罪扱いだと決まっている筈だが?」

「今回は例外です。アイズが第七音譜術士である事は私も知らない事でした」

「ふん……血は繋がっていなくても息子が可愛いか?」

 ニヤッと楽しそうな笑みを浮かべて問うピオニー九世にジェイドは沈黙する。

「良いだろう。アイズの捜索隊を編成し、指揮はお前が執れ」

「ありがとうございます」

 ジェイドは立ち上がると、踵を返して謁見の間から出て行った。ピオニー九世はフゥと溜息を吐いて、彼の出て行った跡を見つめる。

「(ジェイドの奴も丸くなったな……)」

 かつては、アイズのように怜悧冷徹でキムラスカ軍にさえ恐れられていた彼が、最近は妙に穏やかになった。それもこれも、かつての仲間が帰って来てからな のだろうかと思った。







 〜後書き〜

フレア「都会に憧れる森の野生児、フレアちゃんでぃ〜っす!」

ニオ「テ、テンション高いですね……」

フレア「でも、都会は空気が汚いから厳しいッス」

ニオ「う〜ん……確かにエネルギー源が電気が主流になってからは環境が汚染されてますね。その分、譜業は、3年前と変わりなく使えるんですが」

フレア「姉ちゃんは、兄ちゃんを敵視してるけど、兄ちゃんは別にどうでも良さそうだよね?」

ニオ「父親に似て淡白なのか、ああいう性格なのか……」

フレア「にしても、アンタの正体ってさ〜……」

ニオ「分かってても秘密にしてください。TOD2の仮面の人だって同じでしょう?」

フレア「まぁね〜」

押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


眼堕さんへの感想は掲示板の方へ♪



戻 る

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.