「――――――前大戦より10年の月日が経ちました。我々は今現在多くの犠牲の上に成り立つ平和を謳歌しています。飢饉、テロ、宗教、民族問題・・・我々 人類は未だに多くの問題を抱えています。しかし、我々はそれを乗り越え一つの生命体として、この地球に生きています!人には言葉があります!兵器ではな く、人は言葉を使い分かり合えるはずです!皆さん、兵器を捨て、何よりも尊きこの平和・・・未来永劫享受して行こうではありませんか!」

 長い演説が終わり、観衆は雄たけびを上げる。そして、それをモニター越しに見ていた男は、不愉快そうに映像を消した。

「・・・欺瞞だな。このような物を公共の電波を使って流すなど」

「彼女だからなりえたのだろう?世界統一政府初代首長に・・・」

 男は肩に置かれた手を掴むと、言った。

「ふ・・・君は寛大だな。本来なら君があそこに立つべきなんだ。ラクス・クラインなどではなく・・・ね」

「今更何をいっても遅いさ・・・。だが、それ相応の代価は払ってもらわないとな」

 女の言葉に男は笑うといった。

「そうだな。簒奪者に相応しい・・・それ相応の罰を下さないとな」

「それにしても・・・民衆は素直すぎるな」

 かつて為政者であった女は残念そうに言った。

「人は指導者を求める。それも、圧倒的なカリスマを持った・・・な。ただついていけばいい。何も考えず、行動せず・・・。それが、一番楽なんだからな。そ して、自分たちが飼いならされている事すら気付かんのさ」

「平和に・・・慣れすぎたんだよ、きっと」

 女の言葉に男は苦笑した。

「君は優しいんだな。でも、それじゃぁいけないんだ」

「そうだな。だから・・・やるんだもんな」

 呟いた女の言葉に、男は力強く頷いた。

「あぁ・・・民衆の首についた、妄執という名の鎖を打ち砕くために。そして・・・母なる地球を救うために・・・」

「クリスマスプレゼント、ちゃんと届けないとな」

 女の言葉に、男は微笑むといった。

「さぁ、パーティーの幕開けだ」





















獅子の名を継ぐもの
What comes after war

頑無


第1話
A curtain goes up.
―開幕―






















「はぁ・・・」

 デスクの上で溜息をつく、見目麗しい・・・見ようによっては、女性でも通るんでは無いかというような、中性的な顔立ちをした男がいた。

「どうしたんだ、少年?」

「やめてくださいよバルドフェルドさん・・・僕だってもうそういう歳じゃありませんから」

「ハハハ、スマンな・・・では、こう呼んだほうがいいかね?次期世界統一政府直轄治安維持軍総官キラ・ヤマト元帥殿」

「・・・少年でいいです」

 声をかけられた男・・・キラ・ヤマトが呆れながら声をかけてきた男・・・アンドリュー・バルドフェルドに言った。

「君は相変わらず溜息が多いなぁ・・・。そんなんだと、退官した僕がオブザーバーとして、治安維持軍に残ったのもまんざら悪い事じゃないみたいだね」

 自慢のブレンドコーヒーをキラの執務室にあるコーヒーメーカーを使って入れる。ここは以前バルドフェルドが使っていたため、何故かそういった機材が充実 していた。

「ほら、とりあえずこれでも飲んで気を落ち着けなよ」

 差し出されたコーヒーを受け取ったキラだが、その顔は晴れていなかった。

「全く・・・一体誰のせいでこんな思いをしてると思ってるんですか!貴方が急に軍を辞めるなんて言い出さなければ、僕がこんな忙しい思いしないで済むの に・・・」

「ハハハ、こりゃ参ったね・・・。でも、僕もいい年だ・・・そろそろ、夢でもあったカフェでも開こうと思ってね」

 バルドフェルドは以前まで治安維持軍総官として、精力的に活動していたのだが、一月前に、突然辞表を提出したのだ。よって、現在総官は不在で、彼の副官 的地位にいたキラが、バルドフェルドの執務室を使い、残務を処理しているのだ。

「まだ、現場でやらなきゃいけない事もあるのに・・・・」

「フフフ・・・君も、なにやらまだ未練があるようだね?」

 キラの言葉に、バルドフェルドは笑っていった。

「・・・えぇ。ここ最近、同じ夢ばかり見るんですよ」

「・・・・・・・昔の女の夢かね?」

 バルドフェルドの言葉に、キラは驚いたように彼を見た。

「何故・・・?」

「ふ・・・男が決まって、そういう目をする時は、別れた女の事を思い出してるもんさ。で、どんな夢なんだ?」

「・・・星のような無数の煌きが自分たち2人の間を流れてくんです。そして、その場には自分達二人しかいない。そして、彼女が寂しそうな目でこっちを見て 言うんです。“可哀想な人”・・・と」

「ほぉ・・・」

 バルドフェルドが考えるように頷く。

「そして、彼女が涙を流す。いつもそこで目が覚めるんです」

「もしや、フレイ・・・って娘かい?」

 バルドフェルドの口からその名が出たことに、キラは内心驚いた。

「えぇ・・・。ご存知・・・なんですか?」

「いや、既に亡くなっている・・・という事ぐらいだな。死者が夢に出る・・・か。あまり気味のいいものでもないな」

 コーヒーを一口、飲みながらバルドフェルドは呟いた。

「えぇ、でも・・・本当に懐かしくて。彼女の姿・・・昔のまま、何も変わらず・・・」

 キラの落とした肩を、バルドフェルドが優しくたたいた。

「時は無常だな・・・どんな形にせよ、時は人を変える。君がそんな事言うだなんて、思いもしなかったがね」

「いえ、本当に・・・その通りです。時は人を変えますよ・・・。じゃ、僕はこれであがりますから」

 キラはそれだけ言うと、書類をいくつか纏めて部屋を出て行った。

「あぁは言ったけど、“時”だけでは人は変わらないんだよキラ君・・・」

 雨が降り始めた外の景色を眺めながら、バルドフェルドは残ったコーヒーを口に含んだのだった。



















『キラ・・・』

「フレイ!」

『キラ・・・可哀想な人・・・』

「フレイ、君は―――――!」

『私は、いつまでも貴方を見守ってるわ・・・。私の想いは、変わる事は無いもの』

「あぁ・・・フレイ・・・」

『時間だわ・・・。刻の見える場所で・・・また会いましょう?』



「フレイ!!」

 そこは先ほどまで彼がいた、浮遊感や星の瞬きが満たす空間ではなく、見慣れた自室であった。

「また・・・夢か」

 キラは、1人ベッドの上から起き上がると、冷蔵庫の前に立ち中からミネラルウォーターを取り出し、一気に口に含んだ。

「“私の想いは”・・・か」

 キラは冷蔵庫を背に、床に座り込んだ。

「今の僕には・・・・重過ぎるよ、フレイ・・・」

 今だ明けやらぬ夜に、恨めしさを感じ・・・キラは再び誰もいないベッドルームへと向かったのだった。



















See you again!









後書き

頑無:むはっ!ぜぇぇぇぇぇったいやらないと思ってた種小説始めちゃったよ・・・

アスラン:・・・無様だな

頑無:き・・・きしゃまはっ!!白竜連れた豚君じゃないかね!

アスラン:誰が豚か!?

頑無:なら歌が好きな銀髪アルビノの・・・

アスラン:歌はいいねぇ〜・・・って何やらせるんだ!!

頑無:え?違うの??

アスラン:違うわけじゃないが・・・って違う!!それにここは後書きの部分だ!!

頑無:え?後書きって出演者を作者が弄る為にある所じゃないの?

アスラン:お前しれっととんでもない事言ったな?

頑無:いやぁ・・・アスラン君は真面目さんだからねぇ〜。弄るの楽でいいよ

アスラン:俺の時だけ待遇違うと思ったら・・・お前そんな事考えてたのか!

頑無:だぁってねぇ〜・・・たまには息抜きさせてよ

アスラン:TSL・・・

頑無:ギクゥッ!ダメ、その話は!他所様のHPで何いってんのあんた!?

アスラン:いや、ネットの海に彷徨う幾千幾万の銀髪ツインテールの分身がだな・・・

頑無:え?え?え??

アスラン:毎夜俺の枕元に現われては「頑無に続きを早く書かせろ」と煩いんだ

頑無:ま・・・ましゃか!?

アスラン:おかげで俺はカガリとの甘い蜜月な日々すらおくれん

頑無:・・・ひとつきく、アスラン君?

アスラン:なんだ?

頑無:さっきから気になったんだが、その手に持っているM92Fは勿論玩具だよね?ね、ね?

アスラン:ん〜・・・一つ言える事は、俺は相当ストレスがたまっているという事だ

頑無:え、そのまま構えるってアレですか?既に装填済みって事ですか??

アスラン:ま、とりあえずね・・・っと、サイレンサー忘れた

頑無:(ヤヴァイ!確実に殺される・・・)では、皆様次回お会いしましょう。さいなら!

スタコラサッサー

アスラン:・・・逃がしたか。それにしても懐かしすぎる擬音残して逃げたな

カガリ:アスラン、まだこんな所いたのか?

アスラン:カガリ・・・いや、一応皆さんに挨拶を・・・とね

カガリ:律儀な奴だな、お前は

アスラン:まぁ、それが俺さ。では皆様、次回もお楽しみに

アスラン・カガリ:また見てくれ!


感想

頑無さん連載開始!!

やりました〜!!

送ってくれるとは、なんだか嬉しい♪

で、物語ですが、どうやらキャラは同じでも流れは違うようです。

SEEDのキャラがもし責任を果たしていたら、と言うポイントから入っています。

物語の主人公が最終的に地位を手に入れると其れを得る為に戦っていたみたいで格好良くないと思われがちですが、

むしろ、権力から逃げるというのは、あまり褒められた事ではありません。

なぜなら戦争が終わって疲弊した状態にある時は、大抵指導力や行動力のある人物が求められているからです。

そういった人物が上に立たずに、政府などをそのままにしておくと、一部の暴走を招き大抵ろくな事になりません。

種運命もそういった部分があるのは事実です。

キラ以下のメンバーが隠遁生活を送っていた為に、プラントがデュランダルの好きにされてしまったと言う部分もあるのですから。

ラクスは政治の場に残るべきだったと思いますね。

なるほど、責任と普遍化の狭間です ね。

物語の主人公が最終的に権力を手に入れないのは、権力というのは普通の人間にとって遠い場ですから想像し辛いという部分もあります。

つまり、権力者になった主人公というのは感情移入しにくいものと言うことになるでしょう。

なるほどね、でも実際其れをしないのは逃げだと言う部分があるのは事実だ。

だからまあ、どうしようもないんだけど。

でも厳無さんはその辺りの事を考えておられるようで安心です。

そういえば…

アスランさんの言っているTSLというのは、

独立遊撃機動部隊戦記ナデシコThe Second  Legend〜いつか皆が謳う詩〜という厳無さんのナデシコ作品ですね。

だろうね。

ナデシコ+漫画版ナデシコ×無責任艦長タイラーという異色作のようですね。

とはいえクロスは最近からなのかな?

兎に角、こちらも続きが楽しみですね♪


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