「覇ッ!!」

「殺ッ!!」

拳と剣が唸る。

どれ位の時がたったのだろう?

長い時間戦い続けてる様な気がする。

でも実際は三十分もたっていないだろう。

今まで学校で見せていた僕では到底出来ない事を繰り返す。

皆に其れがばれようが一向に構わなかった。

何よりも皆の命が最優先。

それにより僕の評判が悪くなろうが僕に対する態度が変わろうが関係なかった。

「マリアンヌの苦しみ、味わうが良い!」

「くっ」

フランベルジュに存在の力が流れ込んでいくのがわかる。

そして剣に炎が纏わり付く。

一閃。

「チッ!」

余裕を持って其れを避ける。

衝撃波で地面が抉れる。

「真空波!?」

斬撃で真空波を発生させての遠距離攻撃。

後ろに聳えていた大木が真っ二つに切れる。

「冗談ッ!」

ほんとに、冗談じゃなかった。

改めて紅世の徒の強さ、そして怖さを知った。

そして不覚にも恐怖した。

恐怖で、一瞬体が硬直する。

―――しまった!?

気が付いた時には、既に剣が迫ってくる所だった。


       
灼眼のシャナ
〜闇と焔の二重奏(デュエット)〜


第五話  真なる覚醒
                                                                                      著・神威


side/syana

「悠二、ダメッ!!」

叫んだけど悠二には届かなかった。

フリアグネに連れられて出て行く悠二。

私はあれから暫く呆然としていた。

『――――シャナ』

アラストールが呼びかけてくるけど、返事をする気にはなれなかった。

悠二が居ないという事はアキトが居ない、という事。

心にぽっかりと穴が開いたような感じがする。

今は遠くに居るヴィルヘルミナもこんな気持ちなのかな?

私らしからず暫くぼーっとしていると、今度はアラストールの叱咤の声が飛んで来た。

『シャナッ!』

びくっ、と首を竦めて恐る恐る声をかける。

「あらすとーる?」

悠二が死ぬという事はアキトが死ぬという事で。

万が一にも悠二が死んでしまったら?

―――アキトが居なくなる。

そんな怖い想像をして、恐怖する。

―――何時からこんなに弱くなってしまったのだろう。

そんなのは決まっている。

初めからだ。

私は、初めから弱かった。

アキトを喪うのが怖くて、今まで表に出てこなかった弱さが出て来ただけ。

ただ、それだけの事。

『シャナ、良く聞け』

アラストールの声がする。

『アレはそうそう負けん』

アレ、とは悠二の事だろう。

『故に我等は我等にできる事をしよう』

そうだ。

こんな所でくよくよしてられない。

アキトの隣を歩きたいから。

こんな所で足踏みしてられない。

―――だから今は、私達にしか出来ない事をしよう。

『目標はフリアグネの塒』

「―――絶対、潰すッ!
      アキト
これ以上貴方に負担がかからない様に。



side/yuuji

斬ッ!

「ぐっ」

左腕を犠牲にして体への斬撃を避ける。

半ばまで切れ掛かるが意に介さずに離脱。

左へ勢い良く跳躍。

ズザァァァァッ

地面をすりながら勢いを殺し、そのまま更に後ろへ跳躍。

直後、銀色が煌いた。

何時かの様に真空波が飛び出す。

其れを更に右に避ける。

痛む左腕を右手で押さえ、体の中にあるナノマシンが傷を癒してくれるのを待つ。

「はぁっはぁっはぁっ」

傷も塞がった頃、避けるのを止めて対峙する。

「おや、逃げるのはもう止めたのか?」

赤く燃え盛る剣を持ち、フリアグネは聞いて来た。

「まぁ、ね」

このまま逃げ続けても埒が明かない。

荒れた息を整えながら、僕は次の手を考える。

―――本当は、一つだけなら方法があった。

そう。

宝具『草薙の御剣』を使う事。

無手の僕と得物を持つフリアグネではリーチの差が違いすぎるし、威力も桁違い。

ならば此方も武器を使う事で其れをチャラにする。

ただ問題が一つ。

実を言うと僕は単独で御剣を召還した事が無かった。

確実に召喚するのならアキトに交代すべきだ。

でも此れは僕に売られた喧嘩で、アキトが関わるべき事では無い。

――――いや、僕の中に居る時点で既に関わっていると言われたら其れでお仕舞いだけど。

だから僕一人でやろう。

「さぁ、今度こそ切り刻んであげよう!」

こんな所で死ぬ訳には行かない。

それは僕だけでは無く、アキトの死をも意味するからだ。

だから、頼む―――――!!

――――来てくれ! 草薙の御剣ッ!!

シーン・・・・・・・。

反応は、無い。

「僕じゃ、駄目なのか?」

無力感が襲う。

―――その直後の出来事だった。

「―――ッ!?」

気が付いた時には、目の前が真っ赤に染まっていた。

「――――――ぁ?」

気が付いたら、地面が目の前にあった。

「―――――ぁれ?」

気が付いたら、僕の意識は霞んでいった。

ドサッ

気が付いたら、とても眠くなって来た。

「兄さんッ! 兄さんッ!!」

「おい、坂井ッ!」

「悠ちゃん!?」

誰かが呼んでる気がする。

―――誰だろう?

大切な人達の様な気がする。

「嫌、死なないでッ!」

「坂井、起きやがれッ!」

とても哀しそうな声。

泣か、ないで―――?

(悠二、お前は死ぬべきじゃない)

あきと?

(大丈夫。俺が護ってやる)

(だから今はゆっくり休むんだ)

ブラックアウト。

――――そして、死神は目覚める。

「な、何だ? あれは―――」

髪が銀色に染まる。

「兄、さん?」

瞳が金色に染まる。

「何なんだ、其の姿は!?」

体の傷が全て塞がる。

「坂井、なのか?」

「フリアグネ」

周りの声は無視して、フリアグネのみに集中する。

「ヒッ!?」

「貴様は、殺す―――ッ!!
こんじき
金色の死神は、今目覚めた。
                                                                                        続く

 



























次回予告

目覚めたアキト。

怒りに満ちた其の眼差しはフリアグネを貫く。

持ち得る全ての力を具現し、アキトは対峙する。

命達の反応は――――?

倒れた悠二は一体どうなるのか!?

そして襲来する蒼の妖精。

次回

灼眼のシャナ
〜闇と焔の二重奏(デュエット)〜

第六話  妖精                             乞うご期待
















後書き

ども、お久しぶりです。

最新話お送りしましたがいかがでしたか?

今回は悠二が瀕死の状態に陥りましたが、復活の際にはパワーアップを図るつもりです。

ので、ご期待(?)下さい。

感想その他もお待ちしております。
                                                                         九月十二日・執筆完了 神威



感想

フフフフ…

あう…血から響き渡るような不気味な声…

もう、何言ってるの、あんな嬉しそうな笑い声なのに〜♪

そうなんだろうか(汗)

また出ましたか、確かラクウェルさ んでしたっけ。

そうなのよ〜黒い鳩 さんたら、最近私かいてくれないんだもの〜、寂しかったわ〜

でも、嬉しそうな声が聞こえたから〜、ちょっと寄ってみたんです♪

それで、何が嬉しいんですか?

ズ ル…

…でもま、いいでしょう。次回の題名を見れば一目瞭然です!


次回ついに! ヒロインたる私の登場です!!


さすがルリちゃんね〜、凄い自信だ わー、これはお祝いしないと駄目ね〜

そうだ! 確か
パーティ用の魔法があったはず…

ちょっと待ってください! その魔 法って!?

いでよスーピィ君パーテーィ仕様!

ど んどどどんがらどどどば ごーん!

おっ重い…!! 妙な魔法仕掛けな いでください!!

えー可愛いのに〜。じゃあスーピィ君特大召喚!!

どんどどどんがら どどごーばこばこ!!

ガハッ…!!? つっ潰れる…

ふう、逃げて正解でした。

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