遠い遠い昔の話。

これは、一人の青年と二人の少女のお話。

さぁ語ろうか。

それは三人の青年達の、遠き日のオモイデ―――――。





人気投票第一位記念

灼眼のシャナ
〜闇と焔の二重奏(デュエット)〜
外典 遠き日のオモイデ
                                                                                      著・神威

第一章  私の居場所は貴方の傍だけ



漆黒の宇宙。

一隻の戦艦が其処にただずむ。

戦艦の名は『ユーチャリス』

S級テロリスト犯『天河 アキト』の母艦である。

現在ユーチャリスは火星の後継者との戦闘を終え、月のドッグに戻る途中であった。

「アキト」

アキトの五感をサポートしている少女『ラピス・ラズリ』が呼ぶ。

「どうした? ラピス」

アキトはその事に関して負い目があるのか、ラピスには甘い。

今も、復讐に走ったアキトを知っている者ならば目を疑いかねないほど優しい声で返事を返す。

「ボソン反応。ナデシコ級が来るよ」

「――――ルリちゃんか」

ラピスの報告に誰が跳んで来たかを悟る。

其の言葉を機に、ユーチャリスの前方に虹色の光が溢れる。

『アキトさんッ!』

同時に通信が入り、一番会いたくて、でも会えない少女が映された。

「何のようだ?」

勤めて冷たく言う。

『戻って、来て下さい。もう復讐は終わった筈です!』

ルリの悲痛な叫び。

「―――確かに、北辰も草壁も山崎だって俺の手で殺した。だが、其れがどうした?  それに俺は、もう俺の為だけに復讐をしてる訳じゃない」

静かに、だがしっかりと言う。

『どういう事なんですか?』

「これは俺のエゴさ。自分勝手な、自己満足。俺は後継者どもに殺された火星の民の為 に復讐している。後継者を根絶やしにしない限り、俺は止まらない。止まるつもりは無い」

そう宣言すると同時に、リンクを使ってラピスに指示を出す。

(ラピス、ジャンプの準備だ)

(解った)

五感共有の副産物とも言われるそれは、言葉に出す事無く意志の疎通が出来る。

勿論相互間のみに言える事なので、他人に聞こえる事は無い。

『――――解りました。もう、止めません。でも全部終わったら戻って来て下さい。それだけ、約束してください』

「――――」

絶句。

まさかそんな事を言われると思ってなかったアキトは一瞬フリーズしてしまう。

(アキト、準備完了)

ラピスからジャンプの準備が整ったとの報告を受ける。

「―――解った。約束しよう」

其れだけ言い残し、ユーチャリスはジャンプした。

アキトは思う。

―――それでも、俺は戻れない。









ユーチャリスが跳んで行ったのを見届けた私は、万感の思いをもって呟く。

そう、あの人の名前を―――。

「―――アキトさん」

心なしか動悸も早くなる。

やっぱり、私はあの人が好きなんだなぁと実感する。

「艦長、何であんな奴の事なんか気にするんですか!?」

―――ハーリー君、五月蝿い(怒)」

ぽかぽかとしてた物が一瞬で冷める。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁんっ!!(泣)」

何故か泣き出して走り出すハーリー君。

何でだろ?

「か、艦長。声、出てましたよ?(汗)」

「・・・・・・・気にしないで下さい」

サブロウタさんが教えてくれました。

口に出してたとは不覚です。

「しかしハーリーの奴も報われないよなぁ〜」

サブロウタさんが何かを呟きました。

「何か言いました?」

「いえ、何も!」

私がそう聞くと、サブロウタさんは急に慌ててそう言いました。

? 気になりますが良しとしましょう。

今の私は、限りなく機嫌が良いですから。

今まで私達から逃げていたアキトさんが、全部終わったら戻って来てくれると、口約束ですがそう約束してくれたんですから。

「では、地球に戻りましょう」

私はそう宣言し、ジャンプの準備にかかるよう指示を出します。

『ちょっと、私は彼みたいにぽんぽんと跳べないわよ?』

指示を出した直後、イネスさんから通信が入りました。

「地球に戻ったらいくらでも休ませて上げますから」

私はそう言って何とかイネスさんを説得し、そのままジャンプに入りました。





地球に戻った私は報告をすませると宿舎へと戻りました。

何故宿舎に行くのか?

其れはアキトさんやユリカさんと暮らしていたアパートの部屋は、お二人が亡くなって(実際は生きていましたが)から引き渡したので、代わりに宿舎でお世話 になる事になったからです。

ミナトさんの所にお世話になる話も出てましたが、ミナトさんに迷惑をかけたくなかったのであえて宿舎にしました。

尤も、ミナトさんなら迷惑じゃないと言ってくれそうですが・・・・・。

ガチャ

鍵を開け、部屋に入ると直ぐにお風呂の準備に取り掛かります。

夕食は報告帰りに『日々平穏』でとりましたから、後は汗を流して寝るだけです。

寝る準備を整えた私は、毎晩恒例の挨拶をします。

「お休みなさい、アキトさん」

ミナトさんに作って貰った、アキトさんの人形を抱え、私は眠りにつきます。

アキトさん。

私の、私が居たい場所は貴方の傍だけです――――。
                                                                                         続く















次回予告

二人の少女は青年を想う。

青年は少女の想いに苦悩する。

己が犯した大罪故に。

果たされない復讐がある故に。

青年に、少女の笑顔は眩しすぎた――――。

次回

外典  遠き日のオモイデ

第二章  彼女の笑顔が眩しくて                                    乞うご期待





















後書き

前回の投稿(外伝)の後書きに、次回は本編かサモンでと言いましたが、結局は人気投票一位のほうが先にあがりました(汗)

と、言うか掲示板に暫く更新を休むと言いましたが、ほぼ終わりまで書きあがっていたのでさっさとだしてしまいました。

次回から暫くこの話を書きますので、本編のほうはお休みになります。

また、掲示板に書き込んだとおりこれから暫くお休みになります。

ご了承を。

さて、今回のお話はいかがでしたか?

これはアキトが人気投票一位になった記念に、と書かせていただいた物です。

全七話の予定ですので、それまで暫しのお付き合いを。

では、感想その他もお待ちしております。
                                                                       二 月二十二日・執筆完了 神威





いやー素晴らしいです♪

お話は短いのに、きっちり思いのたけをぶつけ合ってますねぇ。

それは良いのですが、せっかく外伝に出られても、私本編まで付いていけない んですか?

まぁ、無理だろうね。シャナの世界観では、ルリちゃんは無力だろうし。

ルリちゃん? いつも忘れるなんて、鳥頭どころか、アメーバクラ スですね…叩けば頭が良くなるでしょうか?

うわ! 待ってくださいルリ様! 今後はこのよう事の無い様に精進しますゆえ!!

…まあいいでしょう、話が進みませんしね、しかし持っていけないんですか?  レインボーブリッドとか…

それは、無理でしょ、そもそも後書き系のみの能力なんすから(汗)

それじゃあ、やっぱりあの小娘にヒロインを引き継ぐしか無いんですね…

あっ、う…元気出して! 神威さんはルリ派の人だから、きっとうまくまとめてくれるさ!

そっそうですね! 神威さんはそこ にいるボンクラと違って、アキト× ルリの 信奉者ですから、きっと!

ぼっボンクラ…

貴方なんかボンクラ 作家で 十分です!


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