此れでよかったんだよね? アキト―――。




―――えっく、ひっく・・・・・・。

今日も、一人で涙する。

あの人と別れて早三日。

私は、

私は笑えてるだろうか―――?



灼眼のシャナ
〜闇と焔の二重奏(デュエット)〜
外典 遠き日のオモイデ

第四章・裏話   私の思い
             〜今貴方に出来る事〜   
                                                                                      著・神威



思い出されるのは、あの日の事。

私があの人に別れを告げたあの日。

私は、本当に見ていたものが解ってしまったから。

だから私は―――――。




「皆老けたね〜」

そう言って私が目を覚ましたのは、一ヶ月前。

念のためにと検査を受ける為、私は今病院に居る。

勿論一日で終わるような物でも無いし、お父様の口添えもあって一度検査入院する事になってる。

そんな中、私が考えるのは何時でもあの人の事だった。

「ねぇ、アキトは何処?」

幾度と無く聞いた事。

でも、誰も教えてはくれなかった。

そんなある日、私はテレビで、あの人が指名手配のS級戦犯として指定されている事を知った。

今や何処も、あの人の事で一杯だった。

「―――そんな、嘘だよね?」

やっぱり呆然とした。

でも信じれなくて、アカツキさんに聞いてみた。

「本当にアキトなんですか?」

アカツキさんは渋っていたけど、私にも聞く権利があると、教えてくれた。

それは今巷で噂してるようなものではなく、想像を絶する程のものだった。

「テンカワ君は、できるだけ民間人の居るコロニーは破壊しないようにしていた。其処はやっぱり彼らしいね。其の大半は後継者達が証拠隠滅に破壊したものだ よ」

アカツキさんはそう説明してくれた。

彼が、五感が失っても尚私を助けようとしてくれた事も、勿論。

愕然とした。

自分がのうのうと夢を見ている間に、あの人は想像を絶する苦痛を味わい、憎悪を募らせていた。

私にはとてもできるような事じゃなかった。

そして考えてみた。

私が本当に見ていたのは、アキトだったのか? 

私は、彼に理想を被せていなかっただろうか?

私は彼の重みになっていないのだろうか? と――――。

今考えてみると昔の私は、其れは酷いものだった。

所構わず彼に飛びつき、彼が嫌がることをし、彼に迷惑ばかりをかけていた。

私が本当に見ていたのはアキトだったか? 

違う。

私が見ていたのは、幼い頃に自分を助けてくれた時の、あの王子様だったようなアキトの影。

私は彼に理想を被せていなかっただろうか?

被せていた。

私は彼に、理想の王子様を見ていた。

私は彼の重みになっていなかっただろうか?

―――なっていたのだろう。

それでもあの人は、私を選んでくれた。

それでもあの人は私を助ける為に、死に物狂いで強くなった。

そしてあの人は、そんな私を助けてくれた。

あぁ、何て、彼は何て美しいのだろう。

其れに比べて私はどうだ?

醜い。

私はとても醜い。

彼に迷惑ばかりをかけ、その癖彼自身を見て居なかった。

私は虚像に恋をしていた。

恋に、恋していた。

またしても愕然とした。

私の為に全てを捨てたあの人に、今の私はつりあわない。

何処までも美しいあの人に、醜い私はつりあわない。

そして、其の答えに行き着いたとき、私は三度愕然とした。

あの子が、本当の彼を見ていた事に気がついてしまったのだ。

だから私は一つの決意をした。




ガチャ

ドアが開く音。

きっと、あの人が来たのだろう。

決意をしたあの日から一週間。

遂に、この日が来た。

全身黒ずくめの姿で、あの人は来た。

―――不覚。

嬉しくて涙が出そうになった。

あの人の瞳も、心なしか潤んでいるように感じた。

バイザーで隠れて見えなくても、何となくそんな感じがした。

でも、もう遅すぎたのだ――――。

「ユリカ―――」

あの人が、全ての思いと共に私を呼ぶ。

私は―――、

「あの〜、どちら様ですか?

そう言った。

これ以上、彼の重みになりたくなかった。

だから私は逃げたのだ。

アキトの動きが止まる。

唖然とした様子で呟く。

「ユリカ? 俺が、解らないのか?」

彼の声が震えている。

悲しみがにじみ出ている。

それでも私は、私は―――

「えっと、もしかしてアキトのお友達ですか?」

逃げた。

アキトが絶句する。

「えぇ、そのようなものです」

アキトは無理やり感情を押し込めた声でこたえる。

そして私に歩み寄る。

「彼に、此れを預かってきました。それからこう伝えてくれ、とも」

そして、私たちの婚約指輪を差し出す。

「護れなくて、ゴメン」

何故、貴方が謝るの?

「傍に居てやれなくてゴメン」

何故貴方が謝るの――――?

私の瞳を見て、何度も謝る彼。

あぁ、私は幸せ者だ―――。

こんなにも彼に愛されたいた。

そして彼は、私の返事を聞くことも無く去っていった。

彼が去った後、私ははじめて泣いた。

「あぁぁぁぁあぁぁっ」

声を上げて、泣いた。

「ぁぁぁアキトぉ、アキトぉ」

あの人の名前を、何度も呼びながら。

幸せだった時間は、もう戻らない――――。

でも。

此れで良かったんだよね? 

アキト―――。
                                                                                         続く


















後書け

ども、神威です。

第五章をあげるまえに、ユリカの心情を語ってみました。

私自身、彼女が嫌いなわけではありません。

天真爛漫なのはいいことだと思います。

ただ、彼女の性格、特にアキトに関しての事には好意がもてませんでした。

何処となく押し付けのような感じがしたからです。

だからあえてこのような形にしました。

第五章のほうはまだ先になりますので、今しばらくお待ち下さい。

因みに、此れは本日十八時半より書き始め、書きながら構想ねって十九時五分に書き終えました。

ぶっちゃけ自分でもびっくりデス。

書きながら構想練るのは何時もなんですけどね(笑)
                                                                         三月十四日・執筆完了 神威



感想

神威さん、申し訳ない。(汗) これは…前回の感想に対するお答えですね…

誤解を招く発言の所為ですね、完全に貴方が悪いです! 私とアキトさんのラ ブを邪魔するお邪魔虫の事をかばうような発言をするから!

いや、そのこの作品は神威さんなりのユリカ嬢に関する結論のようですね。

で、貴方はユリカさんをどう思っているんですか?

実は彼女に関しては、特にプラスでもマイナスでもない、ヒロインの一形態として捉えさせて頂いてます。

どうしてですか? あんなにうっとおしくついて回って勘違いも甚だしいです し、大体作戦は失敗しまくりじゃないですか!!

その辺は、TVの中で彼女が徐々に成長していくように作られている風にも見える。ルリちゃんや、アキトがそうであるようにね。

ギ ロ…

あうう…すいません、ルリ様。

本当にもう…それは兎も角、フォローが多いですね、もしかして貴方はユリカ 派ですか?

いや、前々から言っているようにアキト派。主人公のかっこよさこそが物語りの主軸であって欲しい人です。ヒロインは物語のスパイスで良いと思っています。

それなら、別にユリカさんがどういう地位にいようと問題ないのでは?

まあ、そうなんですけどね。ただ、彼女は統合的戦術シミュレーション無敗とか言っていたでしょう?

…そうですね、でも、その部分もアキトさんがからむとてんで駄目になっていました。

彼女は天然でほわほわした性格だけど、一つの事に夢中になるとほかの事が見えなくなる性格と言う事だね。でも、実はそれメグミ嬢にも言える事なんです。

はあ

無茶をした結果が悪い方に働くというのは、アニメ上ではユリカ嬢だけですが、メグミ嬢も独断でアキトについていったり、敵である九十九と仲良くなったりし てます。

そういえば、そうですね…

TVで悪い結果を、劇場版では更に敵の手助け、という形になったのは、ユリカ嬢というキャラを貶めようという意図すら感じてちょっと嫌でした。

でも、そういうキャラクターなんだから仕方ないでしょう。

そう言われれば、それまでなのですが、ユリカはアキトを見ていないという考え方は劇場版から来ている部分も大きいですよね?

それは、そうでしょうアキトさんのニセモノと本物の見分けがつかなかったん ですから。

夢の中の出来事を云々しても仕方ないですが、彼女は一年アキトを探していたのです。眠りながらもずっと。それを形にされれば彼女は傾くしかなかったのでは ないでしょうか?

それは…

結局私が言いたいのは、彼女がアキトを見ていないと感じる方が多いのは、彼女の強引さからなのですが、ああいう人は本能的に相手を見抜く才能を持っていま す。

…?

ユリカ嬢は、アキトの考えを無視しているように見えて、その実誰よりもアキトを良く把握していたのではないか、とそう考える訳です。

何故そう思うんです?

その答えは、分りやすいと思いますよ。アキトが結婚相手として選んだのがユリカ嬢である事が何よりの証拠です。

でも! 私もあの場にはいましたが、年齢的に釣り合わなかったので劇場版で 補正されていますよね? ユリカさんを排除してヒロインに上っています。その事はどう考える訳ですか?

私にとって、ルリ様も、ユリカ嬢も魅力的なヒロインである事には代わりありません、それはそれで良いと思いますよ。

だったら一体何が言いたいんです か!?

ルリ様の十分の一で良いのでユリカ嬢にも幸せを、とまあそういうことです。

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