あらかじめ注意しておきます。
本作を見ると劇場版に出演しているラピス・ラズリ嬢(後少量のテンカワ氏)の印象が180度変わってしまう可能性があります。
これに関しては大手ナデシコ系サイトである『Action』様の『時の流れに』が読める方は大丈夫だと思われます(ぉ
念の為に注意事項として書いておきますので、印象を崩されるのが嫌な方はお戻り下さい。
尚、この物語は劇場版終了直後の時間軸でお送りします。





シルフェニア400万&二周年記念作
―らぴすといっしょ♪―





漆黒の宇宙に一隻の戦艦がある。

我らがテンカワ・アキトが艦長を勤める戦艦・ユーチャリスである。

現在ユーチャリスは火星での最終決戦を終え、物資の補給と機体の修理の為に月にあるネルガルの隠しドックに向かっている所だった。

火星の後継者は滅んだ訳では無いので必要な処置である。

一息にジャンプをしなかったのは、戦闘でのダメージが残っていたからである。

北辰との最後の戦いは勝ったとはいえそれは殆ど運(紙一重)だったのだから、無理はない。

精神が磨り減ったとでも言おうか。

その為、若干時間はかかるが小休止をはさんでジャンプした方が負担は少ないのだ。

周辺宙域に機影がないかを確認し、安全な事を確認し終わったアキトはラピスを伴ってブリッジを後にした。

艦は自動航行モードに切り替えてあるので問題はない。

自室に戻ったアキトはシャワールームに行く。

その後ろには当然のようにラピスが続く。

まぁ、実験の影響で水を極端に怖がる傾向があるラピスが一緒に入るのは何時もの事なのだが。

基本ラピスは常にアキトと共にある。

ラピスは自分を救ってくれたアキトに恩を感じてるし、感情をくれた事にも感謝してる。

結局ラピスはアキトが大好きなのだ。

アキトもラピスには甘甘なので特に注意はしない。

アキトはアキトでラピスが可愛くて仕方がないらしい。

その結果―――

「ん、アキト、かゆくない?」

「あぁ、大丈夫。ありがとう、ラピス」

「〜♪」

―――と、まぁどこぞのバカップルのような状態になってしまってる訳だ。

尚、ラピスって水駄目なんじゃなかったっけ? という疑問はこの際忘れる事にする。

ちなみに、最終決戦の時の電脳世界でルリと会話した時のあのいかにも『感情持ってませんよー』的なのは何処に行った?

と聞かれれば、それはもう忘却の彼方としか。

実際、あの時のラピスは嫉妬ゆえにあんな抑揚の無い声になっていたのだ。

アキトは私のもんだ! と云う、まぁ可愛らしい嫉妬である。

昔の仲間が出てきて焦りがあったのだろう。

折角今まで独占状態だったのだから仕方あるまい。

「ラピス、月についたら何処かに出かけようか」

ラピス嬢にかかれば復讐鬼のアキトもこんなものだ。

とことんラピス馬鹿(この場合は良い意味で)なアキトであった。

「うん♪」

にこやかな笑みを浮かべるラピス。

アキトの口元にも微笑が浮かぶ。

そんなほのぼのした空気が流れる中―――

『………』

―――ぽつねーん、と所在なさげに浮かぶ、心なしか寂しげなオモイカネ´のウィンドウだった。


◆ ◆ ◆


何度かボソンジャンプを繰り返したユーチャリスは、現在月にあるネルガルの隠しドックに停泊していた。

整備の為に来ていたウリバタケと幾つかは話し、アキトはイネスが居る隠しドック備え付け(急遽急造した)の医務室に向かっていた。

簡単な検査と、現在までに入手した様々な研究資料を提出する為だ。

その中にはアキトに投与されたものの資料も幾つかある。

とはいえ、此処までナノマシンを投与――もはや汚染と言うべきか――されたアキトの体が完治する事は無い。

治療が成功したとしても、一般より寿命は短いだろう。

度重なる戦闘で酷使しすぎたというのもある。

ともあれ、ある程度制御できる方法が見付かる可能性があるので、こういった資料は全てイネスに提出する事になっているのだ。

勿論、その後ろにはアキトのマントの裾をちょこんと握ったラピスがついていっている。

「イネス、居るか?」

「……あぁ、アキト君。入って頂戴」

部屋ではイネスが何やら資料を見ているようだった。

「これが今までに見付けたヤマザキの研究資料だ。殆どが失われていたが、まぁこれだけでも役には立つだろう」

「助かるわ」

ちなみに、この会話中ラピスはアキトの後ろに隠れつつ今にも噛み付かんばかりにイネスを睨んでいた。

可愛いじぇらしーだ。

尚、何処からともなく『がるるるるー』という唸り声が聞こえて来るのは気のせい、である。多分

「アキト君、簡単な診察をするから其処の椅子に座ってくれる?」

「わかった」

そう言ってアキトは手馴れたようにマント等を外していく。

掴むものが無くなったラピスは、所在なさげに手をさまよわせると近くにあったアキトの手を握った。

イネスが居る手前あからさまに笑ったりしないが、ラピスの口元には微笑が浮かんでいた。

大切な物が見付かったと言わんばかりの微笑だ。

尚、ラピスはこの際アキトの口元にも微笑が浮かんでいた事には気がつかなかった。

……似たもの同士と言うか、らぶらぶだねーというか。

「特に……異常は無いわね。とりあえずナノマシンの暴走を抑える薬は渡すから、発作が起きたら必ず飲むように」

「いつも助かる、ドクター」

「……お兄ちゃんの為ですもの」

「アキト、終わったならいこ」

二人の会話に割り込むようにラピス。

「ん、そうだな」

イネスに軽く挨拶した後、アキトは部屋を後にした。

……勿論、ラピスの前に居たので、ラピスが一瞬イネスを見てニヤリと笑った事には気付かなかった。


◆ ◆ ◆


さて、簡単な診察も終わった所でアキト達にする事はなくなった。

本来ならアカツキかエリナにこれまた簡単な報告をした方がいいだろうが、まぁ、其処は気にしない。

なのでアキトは約束通りラピスと出かけようとした。

が、まぁ、言わなくても解ると思うがアキトの格好はアレである。

―――そう、見た目は何処を見ても変態(ぁ

ラピスと一緒に歩いていた日には、変質者として通報される事間違い無しである。

残念ながら今現在、アキトは私服と言えるべき物を持っていなかった。

五感をサポートするものをつけていたのだから、それもまぁ仕方あるまい。

其処でアキトはエリナに頼み、黒系の服を何点か。

そしてイネスには視覚補助で使っているバイザーの変わり――ようはまともな外見になるものである――を頼んだ。

バイザーの変わりは流石に今すぐ、と云うわけにもいかず、結局完成は早くても明日の正午になると言われた。

ちなみに、バイザーの変わりは視覚補助だけに機能を絞ったサングラスになる。

ラピスが居るのである程度は許容範囲内なのだ。

結局、ラピスと出かけるのは早くても二日後となるのだった。



―――アキトがバイザーの変わりを頼んで三日後

漸く変わりのサングラスが完成したと言う報告を聞いたアキトは、早速件のサングラスを受け取りに来ていた。

「まぁ、これなら外に出ても怪しまれない、か」

元々童顔なアキトには激しく似合わない気がするが、文句は言ってられない。

尚、現在アキトは普段のマントとバイザーを外し、たった今貰ったサングラスと、二日前に届いたエリナ選別の服を着ている。

これで服装がスーツだったらどこぞのエージェントに見えただろう。

「ドクター、感謝する」

アキトはそれだけ言うとその場を後にした。

「アキト、行こう?」

ラピスは満面の笑みでアキトの手を引く。

一応、視力が極端に落ちている(補助用のサングラスを付けていたとしても)アキトを先導する意味もある。

もっとも、ラピスとしてはアキトと手をつなぐという、行為そのものが嬉しいのだろうが。

「ラピス、まずはどこに行こうか」

「動物園!」

「動物園か……よし、解った。しっかりつかまってるんだぞ」

「ん」

アキトはラピスをしっかりと抱きかかえると、個人用(正確には二・三人まで同時に使えるが)D・F発生装置を作動させる。

CCを確認し、一言。

「ジャンプ」

こうしてアキトとラピスは地球に跳んだ。

もっとも、その理由が動物園に行く為だというのは後にも先にもこの二人だけだろう。











































後書き

続いちゃったよ………orz

本来なら一本に纏めるつもりでしたが、何かぐだぐだと長くなりそうだったので此処できりました。

尚、本編中に出て来るラピス&アキトが変わりすぎなのは仕様です(ぁ

ついでに、あれ、テーマってラピスじゃ? って言う質問はなしにしてください。

ほんと、自分でも不思議です。

い、一応アキ×ラピって事で納得してください!(あせあせ
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