機動戦艦ナデシコ 逆行のミナト

 第九話 奇跡の交渉『愛撫か?』 外伝 その3
    悪夢の料理「毒か?」

 

ルリ達がいなくなり……代わりに人数の増えたブリッジでミーティングが行われていた。
「と、言うわけで今回の任務は要人の救出よ!」
ブリッジでキノコが喚く。
「なんで大使さんはそんな危険なところに行っちゃったんですか〜?」
喚くキノコがブリッジクルーの質問を無理矢理退けて北極に向かうのであった……。

 

移動中……。流石に連合の勢力圏内で第一種警戒態勢なり必要など無いため、それぞれの部署で待機組と当直組に分かれて行動していた。
ブリッジクルーもエリナ・メグミ・キノコとオペレーターのうち二人が待機と言う形で休憩に入っていた。

そして待機中の食堂にて━━━
「ヒマだ〜」
「ヒマね」
「ヒマだね〜」
パイロット三人娘は姦し……くもなく、だらけていた。
そのテーブルの隣で、ユリカお手製(汗)の料理?をつつく男が一人とそれを見守る男が二人。
被害者ヤマダ・ジロウと傍観者アカツキ・ナガレと微妙なアオイ・ジュン。
「いや〜、羨ましいねぇヤマダ君?」
暗い顔をしながら料理?をつついているヤマダをからかうアカツキ。
アカツキはなぜかユリカの愛情を受けているヤマダに突っかかるが……自ら地雷に飛び込む事もあるまいに……。
「ダイゴウジ・ガイだってぇの。 ……そんなに羨ましいか?」
「そりゃ〜もう。彼女にご飯を作ってもらえるなんて、男の夢じゃない?」
力ない反論をするヤマダの言葉に大きく頷くアカツキ。それが命取りになるとも知らず……。
「……そうかそうか……。じゃあ、食わせてやるよ」
ほんの一瞬のアイコンタクト。
「え?」
ヤマダの顔を見て何かあると感じた瞬間、『ガシッ』とアカツキの肩をジュンが掴むとヤマダはユリカの料理?の皿を持って立ち上がる。
その鬼気迫る雰囲気に及び腰になるがジュンの力は意外に強く、逃げ出す事が出来ない。
「な、何をするつもりなのかな、君たち?」
観念したわけではないが逃げられないのでアカツキは虚勢を張る。
「『羨ましい』っていうから幸せのおすそ分けだ……。しっかり味わって食えよ?」
そう言って料理?を載せたスプーンをアカツキの口に押し込んだ。
 
そして五秒後……。

食堂の床でビクビクと蠢くロン毛がいた。
それを見下ろす、瞳のハイライトが消えた男が二人。
さっきまでいた周辺の女性陣は巻き添えを食らわないように距離をとっている。
「ちっ、一瞬で気絶しやがった。羨ましいヤツだ」
「……なんで一瞬が羨ましいんだい?」
吐き捨てるようにいうヤマダにジュンが尋ねる。
「……体が慣れちまってな……。今じゃ一〜二分は苦しまないと気を失えなくなってきた……」
笑えない話である。
「……そうか……、君もか……」
だが、それに納得顔のジュンの表情からヤマダが何かに気づく。
「……まさかジュン?」
「……そのまさかさ……。子供の頃から味見をさせられていたからね……。今じゃ十分ぐらいは持つようになってしまったよ……」
その瞬間、二人の男たちに言葉は必要なくなっていた。
しっかりとお互いを抱きしめあう二人。そしてその足元には未だに痙攣しているアカツキがいた。

そして……、それを見ていたヒカルは「ヤマダ×ジュン(添え物としてアカツキ)」本を描き始め、一部の腐女子に人気を博したと言う。

ちなみに今回の料理?は気絶したロン毛に(無理矢理)全部食わせたため、ヤマダに被害は無かった(笑)。
代わりにロン毛が川のほとりの花畑で死んだはずの兄と対面していたと言う……(汗)。

 

その後━━━
妄想に浸ったユリカによる主砲発射と、それに引き寄せられた木星蜥蜴との戦闘。
概ねTVと同じなのでここは割愛。
 
そして、ヤマダ・ジロウにより大使は救出され……寄港するまでの間、大使はキノコと相部屋となった(笑)。
結局寄港地まで自室に戻れなかったキノコはナデシコの銭湯のマッサージ器で寝ていたと言う……。
 
なお、メグミ・レイナードはユリカとヤマダの取り合いをする事は無く、アキトにほのかな想いを寄せていた(大笑)。
具体的に何をしていたかと言うと、アキトの隠し撮り写真を眺めたり、元アキトの部屋でこっそり自家発電したりしていたのである(笑)。
だったら降りればよかったでしょうに……。

 


あとがき

ども、おひさしぶりの喜竹です。
お待たせして申し訳ありません。
4000万Hit記念……にも間に合いませんでした。orz
復帰リハビリも兼ねているのでめちゃめちゃ短いです。

本編第九話のアキト達がナデシコを降りた後のお話です。
アキト達がいないナデシコで何が起こっていたのかの一端を垣間見る事が出来ます(笑)。

本編については鋭意執筆中のため、もう少しお待ちください。

 

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