機動戦艦ナデシコ 逆行のミナト


第十三話 『秘密』は一つじゃない 外伝2
 〜クリスマスはコスプレで〜
 
 
 
クリスマスパーティー。
それは一年を終える際の重要な行事である。
もっとも一人身の人間にとっては『ジングル・ベル』が『シングル・ヘル』となり、悔しい思いをする行事になるのだが。
そしてそれはナデシコという戦艦の中でも通用していた。
 
「アキトさ〜ん!」
「アキト〜!」
「アキトお兄ちゃ〜ん!」
食堂で料理の準備をするアキトにまとわりつく三人の妖精たちに苦笑する食堂スタッフ一同……。いや、一人だけちょっと苦々しそうな顔をしているが……。
「ほらほら、アキトは今料理をしてるんだ。しがみつくのは後にしておやり」
「「「はぁい……」」」
さすがの妖精たちもおっかさんにはかなわないらしい……・。
「けっ!」
「なんでアイツばかり……」
「この世には神も仏もないのか!?」
それを見て悪態をつく一人身どもの声がルリたちに聞こえなかったのは幸運だったのだろう……。
 
 
ちなみに、聞き分けのいいルリまでがアキトのところに行っていた理由は……クリスマスパーティー(コスプレ可)の衣装を選んでもらうためである。
結局、アキトに見たててもらう事が出来なくなったので自分たちで決めることにしたルリたち。
ミナトの、
『アキト君に自分のセンスを見てもらうのもいいんじゃない?』
の、一言も大きかったのだろう。
バーゲンセールのワゴンのごとく女性陣が群がるスペースへ突進していくのだった……。
 
 
結局、それぞれのメンバーが選んだのは……
 
ユリカはエステバリスガールに。
ヤマダは天空ケンor仮面のメイド○イで悩んでいたが結局天空ケンで決めた。
ヒカルはヤマダと合わせて海燕ジョー。
イズミはチャイナ服&ウクレレ。
興味のなかったリョーコは不参加のつもりだったが、アキトの参加を聞いて急遽ウリバタケの用意した白いプラ○スーツを着用した。
そのアキトはサンタクロースの姿である。プレゼントを配る係として多数の女性が推薦したらしい(笑)。
ジュンとゴートはトナカイである。……アキトの乗ったソリ(リヤカー)を引く役目であった……。
ラピスは最近お気に入りの魔法少女アニメの『プリズ○☆イリヤ』のイ○ヤスフィールのコスプレ。
キラもラピスと同じく『プリズマ☆○リヤ』の美○で合わせている。
メグミもラピスたちに合わせて魔法少女アニメの『○リズマ☆イリヤ』のカレイドル○ーである。胸のサイズがちょうどいいらしい(笑)。
カグヤはアキトのコスプレを知ってから大急ぎで用意させたサンタ服(ミニスカ仕様)。アキトに合わせたのは気持ちを知ってもらいたいらしいが……(涙)。
エリナとアクアはそれぞれ白と黒の猫スーツ(レオタード?)であった。さらにコミュニケのシステム(感情や勢いでウィンドウのサイズが変わる)を応用して尻尾やネコミミが表情や行動に合わせて動くようにウリバタケが改造したと言う。実は今年のネルガルの民生品で一番ヒットした品物でもある(笑)。
ホウメイガールズは五人一組と言う事でギャラ○シーエンジェルのコスプレであった。
ライカは『超重神○ラヴィオン』のミ○キ・立花のコスプレである。胸が大きいため胸が大きく揺れるその衣装がよく映える。
そして我等がミナトは……『あそびに○くヨ!』のエ○スのスーツであった! 『ぼん・きゅっ・ばん!』を地でいくミナトの姿に思わず手を合わせて拝む男性が続出したのだが……その辺を詳しく書くと行数が増えるので割愛する。(オイ!?)
だがしかし、ルリの衣装が決まらない。
理由は……大勢の女性陣に着せかえ人形になっていたからである。
「あの……いいかげんに決めたいんですけど……」
着せかえを続けられ、うんざりしてきたルリ。
「もうちょっと我慢してルリルリ。……ん〜、やっぱこれも捨てがたいわよねぇ」
「でもでも、こっちもいいと思うんですけど〜?」
「そうなのよね〜。どれにしようか迷っちゃう」
そこへ降り立つ世紀の趣味人・ウリバタケ。
「そんなルリルリにお勧めなのは! 往年の名ゲーム『○リンセスメーカー2』からこの『リ○ンの服』をぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
どてぽきぐしゃ!
ウリバタケが『それ』を取り出した瞬間、周辺の女性陣から速攻で叩きのめされたのは言うまでも無い。
「なんて物をルリルリに着せる気なの、貴方は!?」
「じょ、冗談だ……。ほ、本当はこっちの……『傾○のローブ』を……」
「そっちも問題よ!!」
「それ以前に女子更衣室に入ってくるんじゃないわよ!!」
さらなる殴打を食らい完全に昏倒するウリバタケ。
結局ルリは巫女さんだった……(一部太正(誤字にあらず)ロマンを主張した者たちもいたが黙殺された)。

結果としてこの選択は間違いではなかったらしい(笑)。
巫女服のルリを見て、こっそりハァハァするアキトがいたのはオモイカネだけの秘密である(爆笑)。



そしてイツキの紹介を終え、宴は進んでいく。
ヒットアップしていく会場で始まるカラオケ大会。

「ではエントリーナンバー五番! 新人のイツキ・カザマさんです!」
「わ、私ですか!?」
何時の間にか司会をしているプロスに名前を呼ばれて驚くイツキ。
「ええ。こういったことは艦内の結束を高める効果もあります。お願いしますよ」
「は、はぁ……。ええと……じゃあ、この曲で……」
オモイカネが表示したパネルを見て、ある曲を指差す。そしてマイクを受け取り壇上に上がるのだった。

「では次はイツキ・カザマさんです! 皆さん拍手〜!」
ある意味アジテーションである(笑)。
集まる注目の中、イツキが歌いだした曲は……、ある意味全員が予想していなかったのだった。
 
『熱く〜胸を焦〜がす〜 強く 気高い この浪漫(ロマン)〜♪』
曲に気づいた者達が顔を上げる。
『僕らは取る 最後の武器を〜♪』
「おい、これって……」
『手を打ち合い、笑い合って〜♪』
「ああ、間違い無い……」
『夢に〜見続けてた〜 あの螺旋が役立つのさ〜♪』
「JANprojectの……」
『僕らが戦う理由(りゆう)だけ〜 どうか忘れずいて欲しいよ〜♪』
「「『DRILL!』」」
『振り向くな〜 恐れを見せるな〜♪』
それを聞いて小さく口ずさみ始める面々。
『I GET THE POWER OF DRILL〜♪』
その足がリズムを取り始める者もいる。
『夢を取り戻すんだ〜♪』
「「「WOW WOW WOW WOW WOW WOW WOW ……、WOW WOW WOW WOW……!」」」
聞いていた整備班員の一部が合いの手を入れる。
そして……、
「「「『DRILL廻せ!!』」」」
その一部の言葉が壇上のイツキと言葉が重なった。
『今こそ立ち上がれ〜! ドリルの戦士よ〜♪』
ここまで来てようやく他の面々にも何の曲か判ってきた。
『神速のドリルで〜 敵を貫け〜♪』
「これって確か……」
『強敵(きょうてき)を蹴散らす〜 螺旋の勇者よ〜♪』
「ゲームのCMで流れていた奴じゃなかったっけ?」
『廻すべき浪漫(ロマン)と夢を信じて〜♪』
「そうそう。なんて言ったっけ?」
『前へ〜 前へ〜♪』
そんな声をよそに手拍子が会場内に響いていく。
『例え〜 力尽きて〜 闘志の螺旋 砕けても〜♪』
「ちょっと思いだせないけど、確かヤマダさんの好みそうな奴だったよね? 『熱血』とか言ったりスーパーロボットが一杯出てくる奴」
『僕らは後に退く事無い〜 ともに螺旋の空に散ろう〜♪』
「まぁ、何でも良いんじゃない? みんなノってるみたいだし」
『恐れるな〜 諦め見せるな〜♪』
「そだね〜」
『I GET THE POWER OF DRILL〜♪』
そう言って自分たちも参加し始めるクルーA・B・C。
『さあ 止まらず 行くんだ!〜♪』
「「「「「「「「WOW WOW WOW WOW WOW WOW WOW ……、WOW WOW WOW WOW……!」」」」」」」」
聞いていたクルーが合いの手を入れ始める。
「「「「「「「「「「『DRILL廻せ!!』」」」」」」」」」」
この時、ヤマダ・リョーコ・ヒカルがステージに飛び乗り一緒に歌いだす。
『『『『雄々しく 舞い踊れ〜 螺旋の勇者よ〜♪』』』』
乱入を咎めるどころか盛り上がる観客たち。
『『『『白銀(しろがね)の螺旋で〜 天を貫け〜♪』』』』
しかしそんな事は意にも介さず歌い上げるイツキたち。
『『『『退くことを知らない〜 ドリルの戦士よ〜♪』』』』
特にヤマダが燃えていた。まさか自分とヒカル以外でこんな熱血系の歌が聞けるとは思っていなかったのだろう。
『『『『燃え上がるドリルを信ずるままに〜♪』』』』
マイクを構えた四人が熱唱する。意外に思うのはリョーコの存在だが、やはりリョーコが熱血を理解する『漢』であったということだろう(笑)。
『『『『明日へ〜 明日へ〜♪』』』』
少し長めの間奏を『WOW WOW WOW……』と歌ってテンションを上げる一同。そして……。
「「「「「「「「「「「「「「「「「『『『『DRILL DRILL DRILL廻せ!!』』』』」」」」」」」」」」」」」」」」
一気に爆発した。
『『『『今こそ走り出せ〜 ドリルの天使よ〜♪』』』』
オモイカネが格納庫のスポットライトを操作してアクセントをつける。
『『『『究極のドリルで〜 悪を貫け〜♪♪』』』』
ラピスとキラが踊りながら歌い出す。
『『『『最強を夢見る〜 螺旋の王者よ〜♪♪』』』』
オモイカネが表示した歌詞を見ながら歌う者が増えていく。
『『『『突き進む 未来と螺旋 信じて〜♪♪』』』』
興味無さそうにしていた者たちも歌い出す。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「『『『『夢へ〜 夢へ〜♪♪』』』』」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
ついに全員が合唱したのだった。

歌い終わった瞬間……会場は一つになっていた……。
そしてその盛り上がりのまま最後まで突っ走ることになる。



このパーティーの後、完璧にクルーに受け入れられていたイツキであった……。



なお、イネスももちろんコスプレして参加していたのだが……それはあえて突っ込まない。
……それはイネスのコスプレが『冥土服』……もとい『メイド服』であったためである……。
旬を過ぎたものはそれがどんなに良いものであれ、無意味になるからだ……。
 
 
 
 

あとがき
 
ども。お久しぶりの喜竹です。
本編の今年中の更新が間に合わなさそうなので、電波系の作品で間を繋いでみました。
クリスマスと合わせた外伝です。
本編中のパーティーの模様を書いてみました。
 
今作の中で使用した曲『DRILL』は気づいた人もいるかもしれませんが某グループのアルファベット四文字の歌の替え歌です。いかがでしたでしょうか?
 
なお、『リ○ンの服』とは、PC98版プリンセスメーカー2にて町の裏通りに行くと購入できる秘密アイテムです。グラフィック的には全裸にリボンの首輪を巻いているだけという、『服じゃないだろ、コレ!』と突っ込まれる事うけあいなブツです。(ちなみにこの服はそのまま町に買い物にいけます Σ(゜o゜))
また『傾○のローブ』とは怪しい行商からのみ購入する事が出来る服で、天女の羽衣的なシースルーの服です。
 
あと、旬とは決して服装としての旬ではなく、着る人間の年れ……はぅっ!?
「作者だと思って下手に出てたら……随分といい度胸じゃない? たっぷり『実験』してあげようかしら……?」
━━━注射器が刺さったまま倒れている作者を引き摺る長身の女のシルエットが扉の向こうに消えていく━━━
 
To be continued?



追伸
私は某掲示板サイトに別ペンネームにてマヴラブアンリミテッドの作品を投稿していますが、「これはひどいオルタネイティブ」は書いていません。
誤解なきよう、お願いします。



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