それは礼拝堂の奥に填め込まれた…一枚の巨大なステンドグラスから差し込んでくる、逆光 とその影










立ち上がった影は、小柄な男の姿をとった。










俺を確認した男は…ステンドグラスから離れて俺に近付いてくる……






(ア……アキ、ト?)






……そして、俺に話しかけた……









(どうしたの? アキト…変だよ……?)









「ククク…久しぶりだな、テンカワ・アキト」









(アキト…? お願い、返事をして……)









「いや…? 昔にあやかって、こう呼ぶべきか?」













(嫌…ア、キト…こワいよぉ…アキ・トォ………)













「Prince  O Darkness(魔王)、と」













(応えテ、アキト……私を…一人にシなイで…)












……俺は……











(オ願イ…ダカラ……モゥ…置イテカナイデ……)












強すぎる怒 りに……目眩さえ感じていた………












機動戦艦ナデシコ
〜光と闇に祝福を〜





第十一話 さらりと出来る『運命の選択』 」その4


―――


夢を、見る……


お兄ちゃんのいない夢………




砂漠で女性に拾われて、アタシはアタシでない事に気付く…


アタシは私になり、みんな忘れた……


その<なにか>を取り返したくて…たくさん、沢山勉強して……


でも…自分に何か欠けているから。だから…何も感じなかった………


世界に否定されているように感じたから…私は世界を知ろうと思った………


けど、欲しかった物は……20年後に突然現れる……


私は遅すぎてしまった……お兄ちゃんは弟になり、もう<お姫様>と一緒だった………


私は………アタシは…?


どうすれば…………


どこに……




「うぅ…」


またほっぺがちべたい………

このユメを見るようになってから…アタシは、おきた時いつもないてる。


「アイちゃん、また怖い夢見たの?」

「ううん……ちがうの…長い、ながいユメを見てたの」

「え?」

「お兄ちゃんとも会えたけど、私……おばさんだった」

「…そ、そうなの。大丈夫よ、そんな事にはならないから…アキト君、直ぐに戻ってくるわよ」

「うん♪」

「さあ、もうお休みなさい。明日はまた学校でしょ?」

「ぶぅ」

(つまんないけど、ちゃんと<おべんきょー>しないと…せつめーできないよね?)

「ふふふっ♪」

(くッ…我が子ながらあのむくれた顔が侮れないわ………なんっっって可愛いのかしら )


おかあさんとそんな会話をして、アタシはまた目をとじたの。こんどこそ、いいユメが見られると思いながら……












一見、ほほえましい親子の会話だが。

……声に出していない部分は168°程ズレている親子だった。














今、目の前にいる男。


包帯で顔を隠している。


その小柄な姿を見たのは、僅か二度。


しかも、一度は後姿をアメジストの体を借りて追いかけただけ。


だが…その男は俺の過去を知り、ユリカを撃ったあの男なのだ……


俺は…奴を目の前にして、これほど心乱れるとは思っていなかった。


本当はこんな所でやりあっている暇など無い…だが!


俺は……俺はッ……奴を目の前から消し去ってやりたい!!




「 オ  メ ガア アァァァァー!!」



「ふ…気に入ってもらえたようだな、Prince O Darkness……うれしいぞ」


俺は奴の言葉を聞く事無くコルトを抜き、全弾一斉に撃ち込む…しかし、


           カキカキカカカカキーン!!



「ククク…もう終わりか?」

「携帯用ディストーションフィールド発生装置! 未来から持って来ていたのか…」


オメガは何も言わず二ヤリと笑い返す。

俺も無言になり、じりじりと慎重に間合いをつめる…接近戦に持ち込む為だ。

携帯用ディストーションフィールド発生装置にも欠点はある。エネルギー消費が大きい為、長時間維持出来ないのだ。

以前俺がホクシンに銃を連射して効かなかった時、そのまま次の弾をこめようとしたのもその為だ。


俺は銃撃を好む。現実的に考えて、人では反応出来ないレベルの速度で打ち出されるからだ。

銃の使えなくなる時もあるが…そんな時に素手で戦うのは、刀剣類のリーチが中途半端だから。

昔…刀剣はゲキガンガーの事もあって好きだったが、今や一番使わない武器だ。


オメガが俺の接近にあわせ身を引く…間合いが詰まるのを嫌ったか? かなり大げさに下がっている。

……まさか、手榴弾か!

俺が一度間合いの外に出ようとすると、今度はオメガは手を口元によせ何かを呟きながら俺に接近する。


(何だ…? 何を狙って……!)


僅かな違和感が直後に警鐘となって俺を貫き、俺は反射的に横へ飛んだ。


              ドゴォォーーン!


半瞬遅れて、俺のいた場所に爆発が起こる!

そして…爆発のあった床の下から、バッタの顔が出てきた。


「なっ!?」

「ククク……お気に召してくれたかな?」


オメガがその言葉を言い終わらない内に、バッタが礼拝堂の床を突き破って次々と現れる。

数にして六機のバッタが礼拝堂の中に出現した…


「貴様……まさか…!」

「そうだ…俺がこいつらを操ってシェルターを襲わせたのさ」

「……何故、そんな事をする…」

「俺は料理には時間をかける方なんだ。折角用意した<料理>だ…楽しんでくれるだろう?」


オメガはその言葉と共に俺から離れる。と同時に六機のバッタが俺に向けて迫る…


「チイッ!」


俺はバッタの群れの中に飛び込んで銃撃を避ける事にした。

<敵味方識別装置>がある以上、バッタどもの中にいれば――同 士討ちを避ける為――撃たれる事はないだろう。

バッタの体当たりを避けるようにしつつ、オメガに向かって走る…

現実問題として、バッタの体当たりで<ディストーションフィールド>に接触すれば吹っ飛ばされるだけではすまない。

空間をねじ曲げるアレに接触しては、流石に体が……

唯一何とかなりそうなのは、初期型バッタのディストーションフィールドは常時展開ではなく、

体当たり時や銃撃など、ある程度以上の衝撃に対してしか発動さ せない事だが…

ただ、それでもバッタのサイズは3m弱ある。例え一機でも生身で撃破は難しい…どうしたものか……


「クソ!」


流石に6機相手にいつまでも逃げ回る事も出来ない……仕方ない…か。

木連式柔 奥伝<(まとい)――木連式の肉体操作術の一つを発動させる。

筋力の限界を自らの意思で引き出すものだが、その時“認識速度も”上昇する為、相対的に敵の動きが遅く見える様になる。

そして…むこうが反応するより先に、俺は正面のバッタに木蓮式<連華掌>を仕掛ける。

対物の技とは言え、今のスピードなら屋内のバッタ等止まっているようなもの…仕掛けるのは難しくなかった。

左拳をバッタに押し付け振動させ、その振動の増幅する一点を見切り……右の掌を


「ハアァッ!!」

放つ!


           ズシーーン!!


流石に外部装甲は貫けなかったが、電子機器は今のでいかれた様だ。バッタは煙を吹き動きを止める。

もっとも、たった一匹倒しただけだが…奴に接近するにはもう二・三匹倒さなければならないな…


「流石だな…まさか、素手で機動兵器を破るとは、やはり化け物か」

「貴様なぞに、言われる筋合いは無い!」


俺は怒りのままに言葉を叩きつけた、その時…オメガの表情が豹変する!

怒りと絶望…そして復讐の暗さ…かつて俺を突き動かしていた物が、奴の目に浮かぶ。


「筋合いは無いだと! 貴様ァ!! 言うに事欠いて、この俺に!」


オメガの怒りに呼応するように、俺の周りのバッタ共が襲い掛かる…が

俺はそれに勢いをあわせ、一機(ほふ)って通り道にした…… 直後、後ろで爆発が起こる!

何だ…? …まさか、自爆!?

俺は丸まって前方に飛ばされながら、オメガを見た…

オメガは一瞬で消え…次の瞬間こめかみに強い衝撃が走り、俺は叩き伏せられた。

恐らくは両手を組んで打ち下ろす、ハンマーパンチだろうが…何なんだ!?


「グウッ! …な、に?」

「お前に対して、何の用意も無いまま挑むと思っていたのか?」


クソ…打ち所が悪かったか……どうにもフラフラする。

しかし、アレは何だ? 一瞬で消えたように見えたが…ボソンジャンプなら出現速度が遅いからこんなに早く攻撃できない筈。

それに、ジャンプ特有の蒼い光は見えなかったし、イメージング開始から転送までに必要な処理時間が無かった。

だとすれば…何らかの強化処理か!


「ククク…その通りだ。だが、貴様はもっとポーカーフェイスだと思っていたが…腑抜けたな」

「何?」

「元の貴様なら…そう<Prince O Darkness>なら、そもそもこんな所には来なかった筈…

 それがどうだ? 俺の作戦に引っかかり、優勢を確保できもしないまま死ぬ寸前だ。

 <守ろうとすれば弱くなる> これは以前貴様から学んだ事なんだがなぁ」

「……」

「やはり、忘れているか……お前にとっては木連の人間等、紙屑同然の 価値しかなかったからな…」


そうか…あの時コロニーに住んでいた人間か!

俺の復讐で犠牲になった人々の……

だが、何故?

何故A級ジャンパーであるオメガは<火星の後継者>に協力していた?


「俺は…火星の後継者の一部隊にいた。火星の後継者はあの方を、

 死に逝くしかないあの方を唯一保護してくれた組織だったからな。

 例え…草壁とヤマサキのいる組織だとしても……」

「あの方とは何者だ?」

「死に逝く貴様には関係の無い事だ」


そう言いながら、オメガは立ち上がろうとしていた俺の右肩を足で押さえつける。


「さあ…終わりだ……」


オメガはそのまま俺の肩を押さえ、拳を構える!

ッ! 足が…動かせない!? 纏を使った今の俺を力負けさせるとは…


「テンカワ・アキト!!」


仕方ない…これはあまり使いたくなかったが…

俺の思考が冷静にそれを判断した時、心の中に突然何かが飛び込んできた。

(アキト! アキト!! お願い…応えて!)

(ラピス?)

何故突然彼女がリンクしてきたのか…何故悲痛に感じるのか分からなかったが、

俺はその言葉を聞き僅かに力を抜いた…


「…何? もう諦めたのか?! つまらんな…やはり腑抜けたか。もういい、死ね!」

「お前がな!」


俺は纏いで増幅した力を集約し、右腕の骨を外して転がりよける!

同時に、礼拝堂の壁を突き破って巨大な物体が飛び込んできた。


            ドッッッゴォーーン!!!


「なっ!? ゴアァ!!」


大型のトラックにでも跳ねられたかの様に吹っ飛ぶオメガ。口からは吐血、あれでは内臓が破裂したか…?

そして、オメガが顔にまいていた包帯が破れた、その顔には…



……以前の俺と同じ光の紋様が浮き出ていた……



「オメガ…お前、まさか…」

「そうさ、俺もヤマサキにな…」

「ならば、何故?」

「…」


その問いにオメガは一瞬何か言いたそうな表情をするが、

しかし…言葉を言うより先に光に包まれ、消え去った。

ボソンジャンプで逃げたのだろう…



オメガは……直ぐに戻ってくる。

奴には…奴にはもう、時間が無いのだから……



(……俺と同じ、か……)

しかし…退くわけにはいかない!


俺にも…


オメガにも…



お互いに<譲れないモノ>がある。




…次は…



ヤツと、決着をつける時……か…


















―― ナデシコ ――


その頃ナデシコでは、回収したヒナギクをナデシコ下部へと収容していた。


『たっだいま〜♪』

『無料セール中…タダ今…』


ごく一部に<THE・世界>が広がる中、

リトリアはコミュニケで通信を受けて、ヒナギクの着艦を告げる。


「ヒナギク回収しました、ナデシコいつでも行けます!」

「相転移炉も順ちょ〜♪ どうにか40%を維持♪」

「えぇ? 順調で40%ですか?」

「だってぇ、大気中なんだから仕方ないじゃん」


ユリカの問いかけに暢気な顔のまま応えるミナト…

ユリカは考え込んでいる…ジュンは何か言いたそうにしているが、自分からは言えない様だ。

……ちなみに、この<むにゃむにゃしたジュンの写真>が極少数女性クルーの間で出回ったりしたが、それは余談である。


「ん〜 …じゃあ、これからアキトを迎えに行きましょう♪」

「なんでそぉ〜なるのッ!」

「やるわね…」
某パイロット@格納庫

思わず古い突っ込みをするジュン。今までの緊張感が台無しだ…(汗)

しかし、ユリカの言う事はよどみが無かった。


「ジュン君、アキトが<孤立>してるのは何でだと思う?」

「孤立?」

「うん…砲戦フレーム一機。アキトならこれでも何とかしちゃう気もするけど…

 なんてったってアイドル私の王子様だもん!」

「うぅっ……そうかも知れないね…(泣)」


恋敵の事を褒めた上、例の王子様発言をするユリカに少し……かなり悲しいジュン。

もはやブリッジクルーにとって見なれてしまった風景ではある。

周囲の反応も、またか…といったものだ。リトリアだけは何かむずがゆそうな感じで見ているが…


「でも今…アキトが孤立してる事は変わらないよね」

「うん、まあ…」

「それって、何でだろう?」

「え? ユートピアコロニーが見たかったんじゃ…」

「うん。それもあると思う……でもアキトなら、それだけの為に危険なまねはしないよ…多分。

 だって、今までのアキトって…不思議なくらい冷静だったでしょ? あんまり無意味な事はしないんじゃないかな…」


ユリカの言葉にハッとして、ジュンは今までを思い出してみる。

時々…もとい、しょっちゅう女性の前でタジタジしていたが、それ以外は確かに頼れる存在だった…

冷静さを欠いた戦いをした事もあるが…恐らくはそれさえも<必要な事>だったのではないだろうか?


「うん、確かにそうだ。だとすると、囮…? いや、木星トカゲ相手に意味があるのか……?」

「それなんだけどジュン君…今までの襲撃、私達まるで見張られてるみ たいだって感じなかった?

 まるで……ナデシコの行く先々に先回りされているような感じ がしなかった?」

「まさか…」

「アキト“は”大丈夫だと思うけど…早く、早く行かないと……<何か>が起こるような気がして…」

「それは…だけど、提督の判断も仰がないと」


それまでは艦長と副長二人のミニ会議だったが、唐突に


「うむ。行くべきだろうな…彼の戦力は我々にとって貴重な物だ」


と、フクベが閉め括った。しかし、フクベは正直舌を巻いていた。ユリカが木連の事に少し感づき始めている様に思えるからだ。

彼女はサツキミドリの時も伏兵に気付いていた。あれは……<人 間に対して取る戦法>だ。

フクベはこの女性艦長が士官学校時代<戦術シミュレーション無敗>だった、その素質を感じていた。


『ブリッジ、こちらエスカロニア。ナデシコより先行します』


その時の会話を聞いていたのだろう、ルーミィがエスカロニアからコミュニケによる通信を入れてきた。

ユリカはその言葉を聞いて急に顔色を変え、


「ルーミィちゃんちょっと待って!」

『どうかしましたか?』

「ナデシコ先行じゃ駄目?」

『それでは素早い展開が出来ません。エスカロニアは乱戦になる前、 敵戦力をそぐことに特化していますから』

「う〜っ」

『では、いきます』


そう言ってそのまま通信を閉じてしまうルーミィ、ユリカは言葉を続けようとするが間に合わなかった…


「ちょ… もう! 艦長命令です! 待ちなさ〜い! アキトのお迎えはハッ! … あ、アハ、アハハハ……」


結局、アキトに会いたいだけのユリカであった…(汗)


((((やっぱり…))))












オメガはボソンジャンプで間一髪帰還したものの…体をナノマシンにやられている上、今回の内臓破裂で既に瀕死であった。

火星内に設けているアジトの一つに戻ったオメガはどうにか自力で部屋まで戻り、ベッドに横たわる。

部屋の手前では数人の子供がたむろしている…しかし、表情は無く無機質な動きを繰り返すのみ。

ベッドで横たわっていたオメガは自分の体の状態から、もう三日と持たない事を覚悟した。

内臓が駄目になっている以上、生きている事は出来ない。後はナノマシンと、そして……


「くっ…流石に、これは……おい!」

「ナンデショウカ?」

「薬を持って来い」

「ワカリマシタ」

「ククク…こんな奴らが最後の戦いのコマとはな…俺も…ゴプッ!!」


オメガはかすれた声を出しつつ自嘲する…しかし、体の方はもう持ってくれそうにない。

吐血が続く……オメガにはもはや死神が見えていた。

…いや、オメガにとってテンカワ・アキトは死神そのものか。

いつも手の届かない所にいて、自分の運命を左右する……

だから、最後くらいはあの死神を冥界まで引きずり込んでやると心に誓った。

子供のうち一人から薬を受け取り飲み込む。


「ッグ! …ム…ゥ……」


胃は悲鳴を上げたが、何とか押し込むことに成功した…


「お前達は、自分の機体の整備でもしていろ! 俺は暫く寝る」

「ハイワカリマシタ」


その過ぎ去っていく子供達を見ながらオメガは顔をゆがめる。

オメガの心理にどの様な感慨が走ったのかは分からない…だが、彼は直ぐ表情を戻して


ニンギョウめ…」


そう一言呟き、オメガは深い眠りに着いた……















オメガとの戦闘後……

大事そうにアキトを抱えた砲戦フレームが、ようやくナデシコの格納庫に到着した。

アサルトピットからラピスとメグミが素早く降りて、砲戦フレームから慎重に降ろされたアキトに駆け寄る。


「アキト!」


ラピスはアキトに飛び付き…


「アキトさん! 大丈夫ですか!?」


メグミは傍で気遣うように見守っている。


「ああ、何とかな…」


アキトは纏の後遺症で体が思うように動かなくなっていたが、

それでも、ラピスをぶら下げたまますっくと立ち上がり、ゴキリと言う音と共に右腕の骨をはめる…


「キャ!」


メグミはあまりの行動にびっくりして声を上げる。

医学知識を持つ物から言えばアキトの無茶はまともなレベルの物ではなかった。

体の衰弱振りから大体…<三日は何も食べず、睡眠もとらず動き続けてきた>という様な栄養失調・筋肉疲労などが見受けられる。

まともに動ける様な状態ではないのだ…その状況で己の腕を繋ぎ直すなど、正気の沙汰ではない。

看護士の知識を持つ物として何かしなければと思ったが、その時ユリカが飛び込んで来てた。


「アキト! アキトー! 大丈夫!? どこも怪我は無い?」

「ああ、問題は無いよ…それより、艦長がこんな所に…」

「うそ! そんなの見れば分かるよ! 強情なんだから、ぷんぷん! 艦長命令です! 医務室にいきなさ〜い!」

「はいはい(汗)」 

「…と、その前に……何でラピスちゃんがひっついてるのかなぁ〜(怒)」

「(汗)い、医務室に行くのが先なんだろ?」

「アキト…後でキッチリ聞かせてもらうか らね(怒)」


そんな会話の後、アキトはユリカとラピスに両肩を支えられつつ医務室へと向かっていく…

三人の姿がなんだか夫婦ゲンカ+子供の様で、微笑ましく見える。

その中に自分がいない事が、メグミは何故か少し不満に感じられた…


「……いいなぁ。アレ」


なんとなく、人差し指を口元に当ててみる。

メグミが無意識のうちに呟いた言葉と、その仕草・表情で周囲の整備班にどよめきが走る。

そして、数秒後にはメグミあての叫びを上げる整備班員が続出した!


「ぐあ〜!! 肩が…肩が痛いぃ!」

えるぅ〜!」

「俺なんて、脚を捻って動けねえんだぜ!!」

「アレは……イイものだ…ッ!!」(感涙)

「目が! 私の目がぁ〜ッ!!」

「誰か! 保存、保存だ〜〜ッ!!」

「持病の癪が!」


なにやら妙なのが混じっているが。

大体は仮病なのだろう…だが、本当にわざと体を傷つけて見せる者も続出し、格納庫は大混乱となった。

だが、それが自分の仕業だと気付かないのか、メグミはニッコリとしながら


「整備班の人達も大変ですね♪ お大事にしてください♪」


そう言って踵を返し、自室に向かって歩き出した。

背後には(一部に顔から漢の熱い血潮を流している者も あるが)整備班員達の涙ぐましい声がいつまでも響いていた…













エスカロニアをナデシコに一時ドッキングさせ、ルーミィは医務室へと急ぐ。

一応プロスには連絡を入れたものの、今回の彼女の行動は決して褒められる事ではない。

戦闘がいつ起こるかも分からないのだ。戦闘に携わるクルーの戦闘待機は常に必要である…

しかし彼女は今、アキトの所に急いでいる…今の彼女にとって、アキトはナデシコに匹敵するほど<守りたいもの>なのだ。

そして、ルーミィは医務室の扉を開けて中へと入り込もうとした…

しかし入り口で“なにか”にぶつかり、跳ね返される。


「すまん、大丈夫か?」

「あっ、アキトさん!?」

「ルリ…何を急いでいるんだ? 今は戦闘配備中だろう。エスカロニアにいなくて良いのか?」

「すいません…でも、アキトさんも動いていいんですか?」

「ああ。ただの栄養失調、ちょっと点滴を打ってもらっただけだよ」

「そうなんですか…」


ルリは心の中でほっと息をつく。

しかし…アキトの無茶は今に始まった事ではない。

アキトには一度、を刺しておく必要があると思った…


「アキトさん、まさか出撃するつもりじゃないですよね?」

「そのつもりだが?」

「何故ですか!? エスカロニアは元々こんな時の為の船です。アキトさんが休んでいても問題はありません!」

「…だが、オメガが来る」

「…オメガ…宇宙軍の調べた火星の後継者の幹部には、条件に該当する人間はいませんでしたが…」

「幹部じゃなかったら?」

「なら何故、わざわざ立ち向かってくるんですか!?」

「奴は俺を憎んでいるし、時間が無い」

「??? どういう事です?」

「奴の死は近い…次は全力で来るだろう…」

(それに…俺はヤツを受け止めなければならない……ルリ、すまない)


ルーミィはアキトが何らかの確信と、覚悟を元に言っている事を察する。しかし、このままではアキトの身が持たない…


「分かりました、けど…私をエスカロニアに戻したい時は、医務室に戻ってください」

「何?」


ルーミィは何を思ったのか少し微笑むとアキトに言った…


「私、ストします」

「え〜っと」

「もし要求が受け入れられない時は、エスカロニアは戦力にならないと思ってください」

「…(汗)」

「別に不可能な事を言うつもりはありません…戦闘が始まったら出て来てもいいです。

 でもそれまでは、医務室にいて下さい。そうしないとエスカロニアは働きません。

 さあ……どうしますか?」

「…………」

「そうですか…どうしても、というなら別の条件でも良いですよ?」

「? 別の、条件??」

「はい………例の貸しポイント一 気に五つです」

「なッ!? 何故ソレヲ!!(汗)




「聞きましたよ? ………ラピスに」


何故かルリは、ちょっと拗ねたような顔をしている。

ラピスとだけそんな約束をしたのが、仲間はずれのようで気に入 らないのだろうか?

そしてアキトは………


「ゴメンナサイソレダケハカンベンシテクダサーーーーイッ(泣)」

ダダダダッッ!!!!

マジ泣きながら今出せる限りの速度で医務室に戻っていった…


「冗談だったんですが…ちょっと……残念でしたかね?」


首を傾げ、そう誰にともなく呟いてその場を去るのだった。








一方、その頃コーラルは………


「びぇぇぇええええ〜…ご・ご主人様のお出迎えが出来ないなんて………

 私…私……メイド失格ですううぅぅぅぅぅぅ!!」


………いつかの様に、艦内を彷徨(さまよ)っていた。










なかがき4


しかしまあ、既に4回目…13話が終わるのはいつの日か…今考えてるだけでもその8位は行きそうだ…

駄文は長くなるものです。

そうは言ってもね…最後までが長いと結構大変かも(汗)

まあ、脇役好きさんのお陰で文章だけは見れるようになりましたが…私の パートまでギャグなのは何故ですか!?

いや…ほら、もう少しギャグを入れてから本番に行くと言う事だよ。

もう一度掴んだ力を披露して欲しいみたいですね?

それはちょっと…(汗) 今回からゲストを交えて話をするんだから。

ほほう、そういう手できましたか…少しは頭が回るようになりましたね。

そうではなくて、脇役好きさんからの提案なんだけど…

そうでしたか、らしくない位良い提案だと思ったんですよ。

で、今回のゲストは…? あれ? 用意して無いや(汗)

はあ、で は何時もの如く吹っ飛んでいきなさい! レインボーブリッド・バースト!!

どばごー んー!!


うぎゃー!!



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