「ルリちゃん、周辺状況はどうなってる?」

「レーダーには何も映ってません」

「やっぱりか〜。うん! だったら問題ありません! ミナトさん、ナデシコ発進カウントダウン開始してください!」

「りょ〜か〜い♪ 相転移エンジンリンク順調…出力60%まで上昇、

 艦内圧力及び姿勢制御用重力バランサー、全部まとめてオールオッケイ!

 エンジンカウントダウン5…4…3…2…1…」

「ナデシコ発進してください!」

「ナデシコ発進!」


ユリカがてきぱきとした指示でナデシコを出航させていく。

エリシウム山のネルガル研究所を後にして、チューリップに追い立てられる様に、ユートピアコロニーへと進路を取るナデシコ…

しかし、この状況下でも艦内の士気は高い。


「では、皆さん! 頑張っていきましょう!」

「「「「は〜い!」」」」」




一人艦内の状況に付いて行けないルリが


「バカ」



と、そっぽを向いて呟いた。その隣では


「バカ」


ラピスが同じ台詞を言っている。が、何故か嬉しそうだ。


「…心配したんだから……で・も♪ アキトを助けたんだから、これも貸しね♪」


またしても増えてしまった例の貸しポイント。

アキトの明日は………どっちだ!?









機動戦艦ナデシコ
〜光と闇に祝福を〜





第十一話 「さらりと出来る『運命の選択』」その6


火星……


赤い星……


今は緑も増えつつある、赤い星……


テンカワさんはここで何か、決着をつける事があるみたいです。


艦長は何か変わった事考えたみたいだけど。大丈夫かな…


そして、もう一人の私………







ここは……


火星は私にとってはどうでもいい場所。


思い出があるわけじゃない、


初めて来る場所。


テンカワさんと艦長の故郷……


ネルガルの目的がある場所…


私は……ナデシコが沈まなければどうでも良いかな。マジで…


でもナデシコは今、戦場に向かっています。


色々な人の思いを乗せて……


私の思いもその中にあるのかな…?


わからないけど…









…ちゃん? ルリちゃん?」

「はい」

「ユートピアコロニーまで、後どのくらい?」

「約100km、後一分で視界に入ります」


言われて気付きました…私、少しぼーっとしてたみたいです。

まあ、私が何かしなくても現在の状況ならオモイカネが全てやってくれると思いますが。

でも、オモイカネが少し心配したのか『ルリ大丈夫?』『心配したよ』という、小さなウィンドウを展開しています。



「ありがとオモイカネ、心配してくれて」


と呟いてオモイカネにお礼を言いました。

でも、それほどショックだっのでしょうか?

私にとって彼女が<もう一人の私>だと知る事が…

自分でも分かりません…過去と同じ位、未来の事が分からなかったからでしょうか…?

でも、私はその事を不安に思ったことはありません。

バカな大人を見ていると、自分もああなったら嫌だな…くらいは、思った事がありましたが……

今の自分と彼女の違い…それが何だか埋められないの様に思え て、

彼女を思うと…(あせ)るような、モヤモヤしたような…わけ の分からないモノが、何か・・・









ユートピアコロニーが近付いてきました。

私は流れ込んでくるデータから、必要と判断した物だけ読み上げます。


「ユートピアコロニー、モニターに出ます。レーダー圏内に敵影なし、レーダーをアクティブに切り替えますか?」

「ううん、このままでいいよルリちゃん。レーダーは敵を視界に収めてからで十分! 

 メグちゃん、そのシェルターどこにあるか分かる?」

「はい!」


メグミさんがオペレーター席から返事をしています。

いつの間にリトリアさんと交代したんでしょう?


…いえ、リトリアさんも席の隣に控えてますから、別に交代した訳じゃ無いみたいですね…

メグミさんがシェルター位置の報告を終えると、直ぐに艦長から指示が出されます。


「ミナトさん、目的地までお願いします♪」

「う〜ん…じゃあ、こんな感じかな?」


ミナトさんは頼りないコメントを返しましたが、綺麗な操艦でシェルター上空に回りこみます。

しかし上空に到達する頃には既に、チューリップによる包囲網が完成しつつありました……


「敵チューリップ群レーダー圏内に到達……前方より10…後方より10…上空より10…周囲、完全に囲まれました。

 敵チューリップ群より敵艦続々出撃中。現状…カトンボ300、ヤンマ60、更に増大中…」


チューリップってどうなっているんでしょう?

オモイカネは【あの中に入っているとは考えられないから、空間転移の類ではないか】と推測していますが…


「うっ? 一体どうなっているんだ? こんなに入ってるなんて…」

「確かに多いですけど…問題ありません! ウリバタケさん! 例の作戦よろしくお願いしま す!」

『おおよ! 絶体絶命のピンチを一発逆転する新発明! 燃えるねぇ! 

 残念なのは、艦長の発案だからこんな事もあろうかとって言えない所かぁ!』


異様に張り切っているウリバタケさんが指示を下し、ドッキング部位を切り離していきます。

ナデシコ下部から切り離された物はエスカロニア……に、似せてあるだけのハリ ボテで、はっきり言ってみすぼらしい…

でも、これをたった一時間程度で組み上げたんだから…バカも極まってるわホント。

一応双胴型と言えなくも無いその形は、ナデシコから離した途端四つに分裂…というか四散という感じだけど…

一応ブースターが付いていて、それぞれ別の方向に向かって飛んでいきます。

もっとも、直ぐに撃墜されるんだけど。

撃墜されたハリボテミサイルから<虹色に光る小さな物>が無数に散らばった…


「ナニあれ?」


あまりのバカっぽさに私がうなだれていると、ハイになっているウリバタケさんの顔がスクリーンに大写しになります…


『あれこそ! あれこそ俺が長年かけて作り出した究極のチャフ、 ハイパージャマーエミリオ君だ!

 この能力、コストパフォーマンス、生産性! どれをとってもこいつに及ぶ物は無い!

 さらに! エミリオ君の凄い所はレーダーやソナーを無効化するだけではなく、

 カメラ映像をも歪ませる所だ!』

「あの〜、ウリバタケさん、それじゃこっちのカメラも使えないんじゃ…(汗)」

『あっ』

「バカ」


艦長はウリバタケさんにに対し気まずそうな顔をしていましたが、直ぐに表情を正して命令を下します。

何時もこうだったら艦長らしいんだけど…


「では皆さん、有視界航行に切り替えます。私が表に出ますので指示に従って下さい!」

「艦長、それは少し問題があるのでは…」

「ほえ? どういう事です?」

「いえ、危険ですし…操艦されるミナトさんが見えなければ意味はありません」

「う〜ん…でもでも、ここ以外で操艦はできないし…ブリッジ(ここ)に 穴を開けるわけにも……」

「大丈夫です。エステバリスで四方から指示を出せば何とかなるでしょう」

「エステのカメラも駄目じゃないんですか?」

「アサルトピットを開放した状態なら問題ありません。それに、敵も現在は行動不能の筈ですし…」

『そうだな、エミリオ君の効果時間は30分と言った所だ…有効に活用しないと直ぐ敵さんが動き出しちまう』


艦長は暫く唇に指を当てて【ム〜】と言う感じで考え込んでいましたが…なにか納得したらしく、顔を上げて指示を出します。


「分かりました! エステバリス隊発進してください! ナデシコの誘導と離着陸の護衛もお願いします!」

『分かったぜ!』

『りょ〜かい♪』

『エイが五匹…五エイ、護衛』

『このガイ様に任せとけ!』


皆がエステのアサルトピットを開いた状態のまま発進していきます…

あれ?

テンカワさんがいない。

コミュニケの反応を追って、艦内を捜索してみます……


…いた…


まだ、医務室にいるみたいですね。

どうしたんだろう…そう思って私は、部屋の中を覗いてみました……


『ふう、どうやら寝たみたいだ…』


テンカワさんは何か思いにふけるような表情でしたが、ベッドに突っ伏しているコーラルさんを

すっと抱き上げると、自分の寝ていたベッドに寝かせました。

テンカワさんはベッドに横になっているコーラルさんを見て優しそうな表情をしています。


『流石に、寝ている時は大人しいな…』


私はその姿を見て思わず口元を緩めてしまいました…

バカですけど…何か<必要な事>の様な気がしたんです。

それでも、私は声をかけるべきだったと思い直して口を開きかけ…


『覗いているのはルリちゃんかい?』

「はい」


先に見つけられてしまいました…どうしてでしょう?

電子的には<見て>いますが、コミュニケウィンドウも展開していないのに…

テンカワさんは、まるで気配でも読むかのように<私の見ている場所>に向き直って話しかけました。


『出撃か…急がないとな。でも、その前に言って置く事があるんだ…

 確かに俺は君を騙していた…でも、彼女は君自身ではないし、君も彼女ではない。ただ<遺伝子が同じ>なだけ…

 もしかしたら、良く似た人生を歩んできたかも知れない。けどそれは、他の人にもある事だ…重ね合わせる事は無い。

 ルリちゃん、君は世界で唯一なんだ…忘れないでくれ』

「……」


テンカワさんはそういい終わると格納庫の方に駆け出して行きました…





……私は……


その言葉が正しいと思いました。

でも、やはり心のどこかで引っかかっている…


それに、私は……テンカワさん…


「そんなの…そんなの、綺麗事です…」


口に出た言葉が本心なのかどうか……私にも分かりませんでした…













「ハンケイゴジュッキロケンノムジンキ、ムリョクカサレマシタ」

「やってくれたな…」


オメガはアジトを出て、ユートピアコロニーから100km程離れた所に陣取っていた。

戦艦は一隻のみだが、なにやら巨大な船を連れている。

もっとも、巨大な船の方は貨物船であるようだったが…


「所詮は無人機か。こうもあっさり無力化されるとは…

 しかし、ナデシコの出力は上がっていた……どういうことだ…?

 まさか、何らかの改造で一時的に……いや、核融合炉を使ったか。

 かなり危険な賭けをやってきやがる…あの艦長も単なるバカと言う訳でもないらしいな」

「ダイニジンハドウシマスカ?」

「…そうだな、ナデシコとドッキングしていたのがあれだったとすると…次は…

 第二陣を背後から、となるだろうな…なら、先ずはそこからだな。

 おい!」

「ハイ、ドノヨウナゴヨウケンデショウカ?」


オメガは子供に耳打ちをする、そして、用件が終わると下がれと命じた。


「カシコマリマシタ、カナラズセイカヲオミセシマス」

「ふん、精々奴らの戦力を削っておけ」


オメガは表情を無くしたかのように無表情に接すると、また自らの考えに没頭し始めた……
















――エリシウム山・ネルガル研究施設――


ナデシコが出払った筈のドックから、エンジン音がしてくる……

内部には何も残っていない様に偽装されていたが、先ほどエンジンに灯がともったらしく音が漏れ始めていた。


「ヤガネ、周辺状況はどうなっていますか?」

『第二陣通過、現在約30km程先行されてる』

「そうですか…意外と遅いですね…少し近くなってしまいますが仕方ありません。エスカロニア、発進準備進めてください」

『OKルリ』


エスカロニアブリッジのメインスクリーンを含む幾つものスクリーンが、行われている発進シーケンスを流していく。

そして、コミュニケウィンドウが開き…


『発進準備OK』

『オールグリーン』

『出発進行』

『ルリ発進許可を』


ヤガネがルーミィをせっつく様にウィンドウを乱舞させている…

そんなヤガネにフッと微笑み、ルーミィは発進許可を出す。


「エスカロニア発進」

『了解、エスカロニア発進!』


エスカロニアはドックから出て加速し始めるが…

しかし、当然チューリップはエスカロニアに対して艦隊を呼び寄せる事で対抗しようとする。

三機のチューリップから100隻近いカトンボと、数千に及ぶバッタが出現してくるのが見えた…


「これは…正直、倒すのが骨ですね…」

『一気にやる?』

「そうですね…では周辺の敵の掃討をしましょう。クルージングガンポッド展開」

『了解』


ルーミィの言葉と共にエスカロニアから八機のガンポッドが分離し、それぞれが敵に狙いを定める。

エスカロニアの戦闘はあまりにも一方的だった。連携、攻撃力、機動性、空間把握…どれをとっても無人兵器群とは圧倒的な差がある。

ルーミィが数秒の間指示を続けるだけで、十機単位のバッタがスクラップに変わっていく…

見る者こそ居ないが、今のルーミィの姿……それは正に<戦女神>とも言えるものであった。




「ガンポッドの残弾が4割になっていますね…ディストーションアタックで仕留めていくと時間がかかりますし…」

『一度補給させる?』

「いえ、そんな事をしている暇はありません。アキトさんが突っ込んでしまわないか心配ですし…」

『ルリも苦労人だね…』

「余計なお世話です! というかヤガネ…一体どこでそんな事を憶えるんです…」

『ひ・み・つ 』

「…」


(一度記憶を検索してみる必要がありそうですね…)

ルーミィはヤガネの豹変に唸っている。

もっとも、そういった考え事をしながらもバッタの駆逐を怠っていた訳では無いが。

しかしその快進撃も一度止まり、それからは暫くこう着状態となっている。

エスカロニアが局地的に優勢になる事は多いのだが、包囲網に穴を開けるほどには至らない。

ガンポッドの猛攻で無人兵器群を撃ち落としても、暫くすると救援が到着して穴を埋めるので

エスカロニアは一度下がるしかなくなる…そういった攻防が数度繰り返されていた。


その間ルーミィは終始無言で、思考を重ねている様だった。

もっとも、考えているのがヤガネの事か、アキトの事かは分からないが…

あまりに長い沈黙に耐えられなくなったヤガネが、ルーミィの前にウィンドウを展開する。


『ルリ、返事をしてください』

「…」

『私が悪かったのなら謝ります』

「…」

『あのう…(汗)』

「…」

『テンカワ氏の救援に行かれるのでは…?』

「…

 ……

 ………

 ……(ニコリ)」

『イエス! マム!』


ルーミィは微笑を返しただけだが、その背後には……


ゴゴゴゴゴ…


と言う音が聞こえてきそうなほどの<何か>が渦巻いているのが、AIであるヤガネにすら感じられた。

ヤガネは本能的に察する…【今テンカワ・アキトの救援に遅れれば、自分はどうなるか分からない】…と。

トン幾らのくず鉄として売り買いされる運命だと…

もっとも、ヤガネは元々ルーミィの事が好きなのだから、真剣にやっている事には変わりないのだが…


ヤガネは自らの演算能力を120%発揮して敵の行動・撃墜予測と、それに対応する進路を割り出す。

僅か数秒の間に千以上の敵機の動きを把握・演算し、ルリに伝える…


『ルリ! 演算終了! いけるよ!』

「良く出来ましたヤガネ! ガンポッドのディストーションフィールドをリフレクターモードに!」

『了解、リフレクターモード起動!』

「グラビティリフレクション・タイプR<ヒッグスブレイク>発動してください!」

『了解!』


エスカロニアはその砲塔からグラビティブラストを放つ…しかし、グラビティブラストは八 方向に拡散した!

エスカロニアから拡散したグラビティブラストは周辺に散った八機のガンポッドに向かって飛んでいき…

ガンポッドのディストーションフィールドに接触すると反射、さらに拡散する……

それぞれがバッタやカトンボに向かって飛んでいく。

大気圏内、フィールドによる緩衝、エネルギーの拡散という弱みこそあるが、四基の相転移エンジンは伊達ではない。

避ける間もなく降り注ぐ強力なグラビティブラストに、バッタやカトンボが貫かれて次々爆発していく…


       ズガァン!!

ド ゴォッ!!

                バギャッ!!

グ シャッ!

ボンッッ!!

     ドガンッ!!!

         ドムッ!!


爆発に次ぐ爆発で、周辺が赤く染まる……

倒したバッタやカトンボが熱エネルギーに変わり、ガンポッド達の内側が飽和状態になる…

チューリップ等はそれらの中心に位置していた為、余剰エネルギーで溶解していった。

チューリップがあった位置には強い熱エネルギーが残り、まるで太陽の様に輝き続けていた……


「これは……」

『予想以上に凄まじいね…』

「……」

『出来ればこれからは使わないでいたいね…』

「エスカロニアの損傷をチェックして下さい。システムの一部に異常が出ています…やはり、急造のシステムでは無理がありますね…」

『ルリ…』

「後悔は後でも出来ます。今はナデシコの帰還ルートの構築に主眼を置いてください」

『YES・マスター』


ルーミィは淡々と作業を行っている。

だが、内心では…あまりの威力に相転移砲と同等の虚無感を感じていた……

とりあえず、この戦法は優人部隊相手には使えないだろう。

だが、使ってしまった以上…誰かに<模倣>される可能性もある事を、ルーミィは感じていた……














チャフがばら撒かれた空間で、ナデシコを誘導しながら降下していく俺たち…

バッタやカトンボも現状では障害物に過ぎない。

通行の邪魔になるものは攻撃…というより、排除するだけだ…


「ナデシコ、右に2度、微調整頼む」

『はいは〜い♪』

『アキトォ、頑張ってね!』

「いや、頑張ってと言われてもな…ただの先導だろう…」

『先導だからって手を抜くんじゃねー!』


リョーコちゃんに怒鳴られつつ俺は作業を再開しようとした…

…しかし、ふとおかしな事に気付く。

下で、何かが動いている。

エグザはコックピットを開け放っている(カメラを使っていない )ので、遠くが見える訳じゃないんだが…


「リョーコちゃん」

『何だ?』

「下に誰かいる様に見えるんだが…」

『ん? 確かに人に見えなくも無いが…殆ど点じゃねえか。良く分かったな…』

「ちょっと様子を見に行ってくる」

『あ、おい! ちょっと待て! フォーメーションはどうすんだ!?』

「大丈夫だろ、4人いれば四方に目が利く。俺は一度下に降りる…」

『った〜く、ま〜た命令無視してやんの…給料なくなっても知らないぜ』


うっ、給料の話は…結構痛いが…

何か重要な事を見落としている気がする。

オメガ…奴は一体どういう手を使ってくるのか……

俺なら、確実を期す為には…

いや、まさか……な…

奴は<決着>をつけるために来る筈だ。

ならば…








考えている内にも、エグザは地上まで到達していた。

ナデシコは遥か後方だが…


「おい! 誰かいるのか!?」


地上に向かってそう声をかける。

地上はビルのガレキや廃材が多く、先ほどの人物がどこにいるのか掴みづらい…

…ん?

真下から気配を感じる…

不思議に思ってコックピットから顔を出すと、


「君が器用なのは分かるけど、何も私が隠れている廃材の真上に降りる事無いんじゃない?」


廃材に挟まっているルチル・フレサンジュが愚痴をこぼしていた…


「すまんな、まさか隠れるとは思わなかったものでな…」

「うそつき」


ルチルはどうやら、俺がわざと彼女の真上に降りたと思っているらしい。

幾ら俺でも、フィードバックの視界が無い状態ではそれほど正確な動きが出来る訳じゃ無いんだが…


「俺はそこまで意地が悪く見えるか?」

「そうね…(ひね)くれてる感じ」

「捻くれてる…か…言いえて妙かもな…」

「それを認めるわけか…結構素直ね。普通否定しそうな物だけど…」

「俺に取っては如何でも良い事だからな…それで、ナデシコに乗る気になったか?」

「なった、と言いたい所だけど…」

「…何かあったのか?」


俺の質問に対しルチルは表情を歪めた。

何かを隠している…それは以前から感じられたが…

以前と違うのは、その顔に絶望の翳りが見えることだ。


「そうね…話しておかなくちゃならないわよね…」

「出来る事なら…な」

「でも、ここでは無理…私をナデシコへ連れて行ってくれるかしら?」

「それは、ここにいる1000人の命よりも重要な事か?」

「ある意味ね」

「…分かった、連れて行こう」


俺は周囲の気配を探るが、今の所他の人間の気配は無いようだ…

しかしコックピットが狭いので、俺はルチルを抱きかかえるようにしてエグザに乗せ、ナデシコに向けてエグザを飛ばした…







この時、俺はまだ気付いていなかった。オメガの罠がその (あぎと)を閉じた事に…






……<選択すべき未来>を示す為の役者は今、揃いつつある……
















なかがき


いやー、今回も何だか前哨戦臭い展開になっちゃったねー

本当にいつになったら11話の山場に差し掛かると言うんです!?

いやまあ、次回か次々回位から何とかアキトVSオメガに持っていけると思うけどね…

どうせ、いざそうなってみるとまた伸びるんでしょうに…

うう…どうしてかねぇ別に伸ばそうと思っているわけでもないんだけど…

決まっています、貴方がな仕込みをす るのが好きだからです!

ううっ、まあ否定しないけど…

それより、今日のゲストは誰です?

今日のゲストはルーミィなんだけど…

私じゃないですか!

まあ、今回は出番多かったしね…

そりゃそうですけど…まあ、新必殺 ヒッグスブレイクも出来ましたし。

ますます無敵になっていくねぇ…

何言ってるんですか! 貴方がそうしてる んでしょう! 私はアキトさんに守られるかよわい少女でいたい のに…

ははは(汗)

何か言いたそうですね…

いや…それは、それとして、今回はお知らせが…

ほほう、どんなです?

HP製作の為一週間ぐらいお休みを頂きます。

またなのですか! これで三度目じゃない ですか! この調子ではいつこの駄作が終わるのか見当もつきま せん!

とはいってもHP製作って結構大変でね…KittKisteさんに大分手伝って頂いて る。

…更にアホですか! KittKiste さんはご自分の作品があるでしょうに! 貴方の所為で遅れたらどうしますか!

ははは、もしそうなったら私の責任です、苦情メールはこちらにまわしてください(汗)

ピキ (怒)…バカを極めてるんじゃありません! レインボーブリッド・バースト!!

どごごー んー!!

ぐあ! こっ…今回怒られるような事…した…?

KittKiste さん作品が遅れた時の読者さん達悲しみ一撃です!!

 


押していただけると嬉しいです♪

<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.