私たちが大学で休んでいる間にも、周囲の事情は加速度的に変化していきました。


今までの知識が通用しない、それだけの変化が世界に起ころうとしています。


既に兆候はありました。


火星脱出に成功した火星の人々。


解体されなかった明日香インダストリー。


「どうやらこっちのほうも囲まれたようだぞ?」

「それは……笑えませんね」


そうだな、まるで冗談のように後手後手に回っている。

このままでは、何も出来ないままに潰される……な。


「ルリ、俺から離れるなよ?」

「いえ、大丈夫です。私これでも銃の成績は良かったんですよ?」


そう言って銃を取り出すルリ。

俺も構えを取って一歩前に出る。

俺の銃は今のところ護身用のデリンジャーだけだ、2発で弾が尽きる。


「ルリ、援護は任せる」

「はい」


ルリの実力を知らない俺にとって多少不安ではあるが、

俺は周囲を見回し、殺気の高ぶりに合わせて飛び込んだ……。





機動戦艦ナデシコ
〜光と闇に祝福を〜





第十七話「それぞれにある『正義』」その2


木連の移民船団は幾つかの大型船とそれの周辺を飛び回る船で形成されている。

そして、幾つかの木星の衛星にはコロニーも作られていた。

木連の住民は1000万足らず、人的資源は枯渇気味で、

殆どの作業を、衛星の影にあった都市と呼ばれる古代遺跡での無人兵器に代用させている。

特に、虫型は電脳や、補修作業などにも適しており、木連の生活基盤は無人兵器に頼っていると言って良かった。

木星自体は人が住むように改良する事が不可能であったため、衛星都市にはそれぞれ自治政府が作られ、

それぞれの政府の代表が巨大に改装された神楽月に取り決めを行いに行くという形の政府形態がとられているため、

<木星圏ガニメデ・カリスト・エウロパ及び他衛星小惑星国家間反地球共同連合体.>という名称となっている。

とはいえ、それぞれの衛星に作られた政府の規模は小さく、生活にも汲々としていることが多く、

ガニメデ・カリスト・エウロパという大型衛星に作られた都市国家に人口の半数近くが存在しているという始末でもある。

三国の取り決めは、ほぼ木連の方針と言っても良かった。



「どうやら、上手く行ったらしいな」

「ええ、無人機は現在ほぼ無力化しているはずです。マスター権限に関する優先順位を書き換えましたので」

「それに、地球圏でのあの騒ぎ、見事な采配という事になるな」

「オメガの残したシナリオです。私はただ、後押しをしただけですよ」

「オメガというのは余程の策士だったと見える、一度会ってみたかったものだな」

「おそらく会ってくれなかったんじゃないでしょうかね? 

「ほぅ、どうしてそう思うのだ?」

「いえ、あくまで勘ですがね」

「ラネリー殿も勘などという物を口にするのだな」


長い黒髪、長身の男神崎はほんの数週間前まで病床に伏していたとは思えないほど顔色がいい。

横を歩く進一は小さな体躯で少し小走りになりながらついていく。

進一は、ナノマシンの沈静化に成功した事は純粋に望ましい事だと思っている。

ボソンジャンプを使ってあの船を脱出させてくれた事にも感謝している。

しかし、ラネリーは今ひとつ信用できない、ボソンジャンプの件もそうだが、秘密が多すぎるのだ。

何かに利用しようとしているのではないかと進一は疑っていた。

しかし、神崎はその事には頓着しない様子でそれが不思議でならなかった。


「それで、神崎准将殿。この後はどうなさるおつもりで?」

「君が色々整えてくれたから地球圏のほうを気にしなくてすむ、だが、戦力がない事には変わりない」

「それで、衛星国家カリストへ、ですか……つてがあると?」

「そういう事だ。ちょっと賭けになるがな」

「ではもう一つ私からプレゼントを」

「ほぅ、一体何かね?」

「はは、そう期待されると照れますが」


ラネリーは、変わった形の通信機を取り出した。

それは、木連の跳躍通信と同じ理屈であると、ラネリーから聞かされていたが、

小型化が進んでいる分いいのか、映像が出ない分古いのか……。

その辺りは評価の分かれる所だが、持ち歩きには便利そうであった。


「ああ、ようやく君達の出番が来そうだ、急いでこちらに来たまえ」

『……』

「そうだ、君達のマスターと接触する事に成功したという訳さ」

『……』

「いや、ちょっと待て、別にそんな事はどうでも……』

『!!』

「いや、だがねぇ」

『!!!』

「分かった……(汗) あまり時間をかけるなよ」

『……!』


何やら言い争っている風だったが、どうにか話がついたらしい。

君達という以上一人ではないのだろう、それを進一が感じるより早く、

ラネリーは神崎へと振り返り。


「貴方には護衛が必要でしょう」

「そうなるだろうが、これでも木連式の修練は一通りつんでいる。そうそう遅れはとらないと思うが?」

「それは凄いですな。しかし、寝るとき、風呂に入るとき、トイレなど色々スキのできる場所はあるものです」

「なら護衛達の腕前は?」

「現状でも一流以上、これからの伸び次第では超一流になれるでしょう」

「ふむ、それは面白いな。で? 肝心のその者たちはいつ来るんだ?」

「三時間ほどかかるといっていました……」

「跳躍をつかうのだろう?」

「いえ、準備にです」

「……」

「……」


ラネリーと神崎の間にコロニー内にもかかわらず北風が吹いた。

二人は何も言わずその場で微妙な雰囲気を放っていた……。

















俺達を囲んだ気配は少しづつ間合いを詰めてきている。

ここは、学部棟近くの森なのだから、学部棟を張られていたと見ていいだろう。

しかし、5人分の殺気が囲んでいるということは、軍事行動とは関係ないと考えるべきか?

軍隊による行動なら小隊単位で動くはず。

もしそうなら、離れた所にもう二隊は潜んでいる事になる。

突破はほぼ不可能だろう。

かといってこの場で防戦して、消耗戦になれば勝ち目はない。

一般人ならともかく軍人となば纏で一時的に能力を増幅しても限界点をつかれる可能性がある。

俺が5人倒した所に集中砲火でもくらえばそれまでだ。


「ジリ貧だな……ルリ、俺が見た所周囲の気配は5つ……小隊単位で来ていると思うか?」

「そうですね……すぐに反応できた事を考えると、今はその5人だけで後は増援待ちの可能性もありますが……」

「望み薄……だな、学部棟を出てからついてきていたと考えれば時間は十分ある」

「そうなります。ですから、やはり突破するしかないと思います」

「突破……」

「はい、アキトさん一人なら木連式の技で正面を抜ける事が出来るはず」

「ちょ……」

「私も色々考えましたが、それ以外ないでしょう。銃でサポートします、脱出をしてください」


ルリは冷静に判断している。

こういう場でも取り乱したりしない、確かに凄い事なのだろう、だが……。

俺にその判断が出来るぐらいなら、復讐などしない。


5人の動きが変わった、ここに飛び込んでくるつもりなのだろう。

前方に3、後方から2、大雑把に把握する。


「ルリ、戦術論を交わすのは無意味かもしれないが。

 第一陣と第二陣のタイムラグはどのくらいだと思う?」


俺がその言葉を話し始めたと同時に前方から狙撃をしてきた。

音から方向を判別するものの、30mと離れていない場所からの狙撃は避けきれるものじゃない。

知覚したときには既に傷ついている、反射神経のお陰でどうにか致命傷は避けているが、肩口に傷を作った。

ルリをかばいながら木陰に身を潜めるが、今度は後方からの狙撃。

射角が取れなかったのだろう、首元を掠めていった。


「のんきですね……、でもそう……私達が疲れた頃……

 多分5分以内には第二陣が突撃をかけてくるはずです。

 私達が第一陣を突破した場合は、その瞬間でしょうが……」


ルリは顔を青ざめさせながらも、銃を構えながら俺の隣に身を潜めている。


「そういえば、銃弾を避ける事が出来ると聞きましたが?」

「ああ、あれは銃弾を見て避けるんじゃない、銃口や相手の筋肉の動きを見て避けるんだ」

「つまり、隠れている人の銃は避けられないということですか?」

「そういうことだ」


そういいながら、半瞬顔を上げて様子を伺おうとするが、すぐに銃弾が打ち込まれる。

あやうく、脳天に穴が開きそうな所をぎりぎりで避ける。

その代わり、髪の毛を十本単位で持っていかれた。

ハゲたらどうするつもりだ。


「狙撃に回っているのが二人、とすれば残りは強襲してくるな」

「私には先ほどの策しか思いつけません、打開策はありますか?」

「ない……こともないが……ルリ、俺を担いで移動できるか?」

「……え?」


ルリのめが大きく見開かれている。

当然だろう、かなり無茶な話だ。

しかし、この作戦そのものが無茶なのだからしかたない。


「どんな作戦なんですか?」

「作戦とも呼べないものだが……」

「はい」

「各個撃破作戦とでも言うかな?」

「もしかして……」

「<纏>の限界が5分というところだ」

「無茶苦茶です!」

「だが他の作戦よりは生存確率が高い」

「でも……」

「常人の数倍の動きだ、奴等にも捕らえきれないさ」

「……分かりました、サポートします」

「ああ、やつらの数が15を超えない程度であることを祈ろう」


小隊の単位は軍隊によって異なる。

4人の分隊3つで小隊という軍もあれば。

逆に10人の分隊が10揃って初めて小隊という所もある。

エステの小隊などは4機で1小隊と数えたりもする。

だが、敵の内情はさっぱり分からない。

それでも、近くの気配が5つだけなのは幸いだろうか?


俺は纏いを使って加速すると、背後に忍び寄ってきていた男の顔にジャンピングニーパットを食らわす。

目立ってしまうので危険だが、ルリから目をそらすという意味でも、

敵がどのくらいの武装か知る意味でもそれなりの意味はあった。


目の前の敵を見て、やはり軍事組織なのだと分かる。

銃やナイフで武装して都市迷彩をつけているやつは軍隊かゲリラくらいだ。


近くにいる二人の敵は、気絶した仲間を無視して、

俺が飛び上がったタイミングに、マシンガンを空中へ向けて掃射してくる。

俺は、とっさに近くの木を蹴って軌道をずらしながら、手前の男に飛び込んでいく。

数発は体を掠めたものの、俺の動きに目がついていっていないのだろう。


纏発動中は周囲の倍から三倍近い速度で動いている。

野生動物でもここまでの動きは難しいはずだ。

ただ、すぐに筋肉が悲鳴を上げるし、長時間使えば筋肉が断裂することもある。

時間が勝負なのだ。


「ばっ、化け物!!」

「くるな、くるなー!!」


変な叫び声と共に、俺に向けてマシンガンを掃射しようとするが、一瞬早くやつらの間をすり抜ける。

そして、それぞれの足元に一撃くれてやった。

二人は俺の方に向き直ろうとした瞬間体制を崩し、マシンガンの乱射でお互いを傷つけた。

即死ではないだろうが、動くのは無理だろう。


続いて、俺に向けてライフルの照準をつけようとしている、木陰の男まで走りこんでいこうとした。

しかし、反対側のライフルが火を噴き俺の行動を鈍らせる。

完全な狙撃は無理と悟ったか、連射気味に打ち込んでくる。


「くそ!」

「任せてください!」


木陰からルリが飛び出し銃を構える。

しかし、その姿は狙撃手から丸見えだ、俺はルリに木陰に戻るように言おうとしたが……


ドシュ……


一瞬の銃撃音と共に、気配が一つ消えた。

ルリは以前変わらず立っている。

俺は思わず動きを止めそうになったが、すぐさま我に返ると近くの狙撃手の後頭部に足を打ち下ろした。


「さすが、といえばいいのかな?」

「射撃は得意と言ったと思いますが?」


俺達は少しの間和んでいたが、背後から気配が近づいてくるのを察知して、すぐさま逃走を始めようとした。

しかし、正面や左右からも数人、合計20人近い気配が周囲に生まれている。


「くっ、さすがに用意周到だな」

「完全に囲まれましたね。最初の5人は囮ということでしょうか?」

「……包囲、殲滅か」

「はい、不思議と私達には縁の無い言葉ですね」

「それもそうだな」


俺達の方が数が多かったためしは無い。

いつも、敵に囲まれてそれを突破してきた。

だから絶望はしていない、しかし、手の打ちようもない……。

CCさえあればボソンジャンプで逃げるという手もあるんだが……。


その時、唐突にもう一つの気配がたった。

その気配は、俺の良く知る……。

そう、二度と見たくない男の……気配だった。


「くくく、さすが我が見込んだだけのことはある。そなたが何者かは知らんが、今からでも遅くない、わが元に下らぬか?」

「貴様は……!!」


北辰、草壁の配下の中でも暗部の代表。

本来、元火星の住民による反乱には一番縁遠いはずのこの男が、俺の目の前にいる。

なぜだ?


「我がここにいる事が不思議でならぬ様子だな」

「当然だ! 火星の反乱になぜ木星の暗部である貴様がいる!?」

「くくく、笑止。どこにつながりがあるかなど教える必要も無いこと。

今重要であるのは我がこの部隊を指揮指揮しているという事実のみ。

 さあ、テンカワアキトよどう動く?」


北辰に率いられた部隊……正面切って相手をするにはきつい……。

それに、北辰に纏を見たれたのは不味かった、奴も今後は警戒してくるだろう。

絶望的な状況の中、俺が構えを取ろうとした、その時。

上空から聞きなれた爆音が木霊した。


ドッゴーン!!


周囲が燃え上がる中、上空を旋回しているブロペラ機……。

あれは、そうか……。


『イェーイ! 助けに来たぜルリさん!』


あの声は、やはりアルフレートか!

飛行機が再度旋回し、何かを撒き散らす。

落としたものは花火や、レンチ他の金属類といったところか、

しかし、航空戦力を持たない彼らにとってみれば青天の霹靂だったに違いない。

北辰が右手を上げると、敵の部隊は速やかに撤収して行った。

一瞬北辰が目をこちらに向けたが、俺はそれに対し睨み返すことしか出来なかった。













地球圏の危機が始まったというのに、地球の人々はそれほどあわててはいなかった。

無関心を決め込んでいる人間が多いのだ。

もちろん、一部は暴走しデモやテロが地球内で横行していたが、全体から見れば微々たる物である。


連合宇宙軍が戦々恐々としている間にも、日常は常に営まれているのである。

そんな中、クリムゾンが所有する領地といっても差し支えの無い、企業用地の一角で不穏な話し合いが持たれていた。


「南雲大使、ご尽力感謝しますわ」

「いや、北辰たちの事についてはもともと草壁閣下より目的に即して使うよう言われていた。

 その件に関してはなんら問題は無いが……いいのか?」

「何がでしょう?」

「我らにとって見れば同じ事とはいえ、シャロン殿には足がつく恐れがある危険な行為ではないか?」

「ふふふ、大使様はお優しいのですね。大丈夫ですわ。その辺はぬかりありませんもの。

 ですが、あまり表を出歩かれない方が良いかとは思いますが」

「……ふむ、ご忠告感謝する」


この言葉は、事件のあらましがもれ伝わるのを避けるためというよりは、木連人を外に出さないための忠告だ。

もし破れば南雲といえども消されることになるだろう。

つまりは、クリムゾンにとっては木連も利用すべき駒に過ぎないということだろう。

南雲は黙考しながらも、目はシャロンから離すことをしていない。


「我らはあなた方の持つ技術を手に入れられればそれでいい。

 ただし、あまり時間がかかりすぎるようだと、強制的に接収を行うのでそのつもりで」

「もちろんですわ。あくまで我々はあなた達の手助けをしているに過ぎません。

 今後とも良いお付き合いが出来るといいですわね」


この時のシャロンの表情は微笑んでいたが目は笑っていなかった。

女狐の微笑みとでもいうのかと南雲はそう思った。















「ユーチャリスの設計図から作った船ですから、名前はエウクロシアなんてどうでしょう?」

「エウクロシア?」

「彼岸花科の花は60属800種あるといわれています。ユーチャリスもその一属ですわ。

 だから、同じ彼岸花の一属であるエウクロシアはなかなかふさわしいと思いません?」

「うーん、アマゾン・リリーって言うくらいだからユリ科だと思ってたけど、彼岸花科だったんだ」

「そういうことですわ」

「じゃあ、そうだね。うん、今日からこの船はエウクロシアだ!」


ラピスは嬉しそうに船に語りかける。

AIヤタガラスに語りかけるのとはまた違った感覚で。

ラピスにとってユーチャリスは家も同然だった。

居住区画さえない、殆ど戦闘用部品のような生活だったとはいえ、それでもやはり思い出深い場所なのだろう。

エウクロシアもまたラピスの家となるのだろうか?


「じゃあ、命名もすんだことですし。アキトさんを救出に向かわないと……」

「うん、急いだ方がいい。アキトと何度かリンクしてみたけど、戦闘は始まっているみたいだし」

「ですわね」

「お待ちください」


今にも飛び出さんばかりのカグヤやラピスに冷水を浴びせるが如く、ホウショウは二人をさえぎった。


「どうしたの、ホウショウ?」

「乗組員がまだ全員乗り込んでいません。それに、

 連邦宇宙軍の将校を迎えた以上、それなりに大義名分がないとナデシコのように正面から衝突するはめに陥りかねません」

「……そういえばそうね」


ホウショウの言葉を聞き、黙考するカグヤ。

将校を迎え入れたのもネルガルのようにあつれきを起こしたくないという会社の考えからだ。

指揮を連合宇宙軍に委ねもしないが、その代わり連合宇宙軍から逸脱するような行為もしない事を確約している。

もちろん、今回の事態は出撃するのに問題はない。

ただし、目的がアキトの救出では理由にならないというだけだ。


「どうしましょう?」

「私の考えで宜しければ一応言いつくろう事は出来ますが」

「そうね、おねがい」

「はい、では」


ホウショウは、カグヤの意を受けてブリッジにクルーを集め、会議を開く事にした。

集ったのは、カイオウ、イツキ、コーラルとメイドたちに、ラピス、アメジスト、カグヤ、ムラサメ、タカチホ、紅玉といった面々である。

もちろん、カグヤに書類の申請をあげる事も忘れていない。

ソツのない行動は彼女の有能さを示しているといっていいだろう。


「これより、遊撃戦艦エウクロシアの作戦会議を始めます」

「「「?」」」

「エウクロシアというのですか、この船は?」

「はい、先ほどカグヤ様が命名なされ、ラピス殿の承認を得ました」


ここに集った全員が、船の名前が決まった安心感と不思議な面持ちで神妙な顔になる。

そう、この会議はスケジュールよりもずいぶん早いものだった。


「皆さんご存知とは思いますが、

 日本時間で本日7:00火星の後継者を名乗る者たちよりの犯行声明が全世界へ向けて発せられました。

 連合宇宙軍の対応は即時殲滅ないし人質の救出後の殲滅とあります。

 火星の後継者より指定された期限は48時間、つまりは残り42時間です。

 彼らが核兵器を保有しているかどうかは不明ですが、ボソンジャンプという戦術を持っており危険であることは明白。

 そこで、我々は連合宇宙軍に進言し、人質救出の任につきたいと考えます」

「な……」

「失礼ですが、ホウショウ副長。その作戦、単艦にて行われるおつもりですか?」

「そのようなことはありませんが、もし連合宇宙軍の協力が得られない場合はそういうことも考えられます」


反論をさしはさんだイツキではあったが、確かに期待できる援軍は少ない。

実際問題として、連合宇宙軍は対応できかねるというのが現状だろう。

今、不思議と木星トカゲはおとなしいが、全軍をあげて動けばまた同じになる可能性もあるし、

何より、そんなに目立つ行動に出れば人質の命が危ない。

ボソンジャンプによる攻撃なども行われる可能性がある。

なにより、自由の女神が爆破された事件は世界に衝撃をあたえたろう。

だが、カイオウはそれらを吟味するように間を置くと、厳かに言う。


「連合宇宙軍としてはそのような無謀な作戦に許可を出すことは出来ません」

「ですが、ここで行かなければ連合宇宙軍には対応策といえるほどのものは無いのではないでしょうか?」

「それは……本部に連絡を取ってみないことには何ともいえませんが、どちらにしろ軍事機密ですので公表は出来ないでしょう」

「では、やはり救出を優先させていただきます」

「連合宇宙軍に協力していただけるという話でしたが、約束を破られるのですか?」

「いえ、そのようなことはございません。

 彼らを刺激せず、更に多数の船を紛れ込ませることが出来る策があります。

 ただ、協力者を多く必要とするため連合宇宙軍に全面協力願わないといけませんが」

「……? それは……」


ホウショウはカグヤの許可を得てから内容を語り始めた。

それは、作戦としてはありふれた内容とも言えた、しかし、連合が許可を出すかは微妙な作戦でもあった。

しかし、ホウショウが語り終えた時、カイオウとしても確かにこれ以外の方法は無いだろうと思えていた……。

結果として、その作戦は異例の速さで実行に移されることとなる。










なかがき

いやー、また伏線張ってしまいました(爆)

それも、この山場の次の山場に使う伏線もちらほら。

アキトの救出はご都合主義が過ぎたかな〜とは思いますが。

まあ、ご都合主義はやめられそうに無いですな(汗)

しばらく〜光と闇に祝福を〜を連続で更新しようと考えております。

何せまだ先が結構ありますし、これだけは絶対完結に持ち込みたいので。 1
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WEB拍手いただきありがとう御座います。

拍手の返信をさせていただきます。

7月5日0:03 更新お疲れ様です。しばらくはほのぼの路線大学編かと思いきや急転直下。次回も楽しみにしてます。 
7月5日0:04 でも大学編でルリとの牛歩のごときラブ米オチ付進展をちびっと期待してただけに残念 
あはは(汗)
いや、そういうのもいいとは思うんですが、個人的に恋愛より戦闘な人ですので、これからは戦闘中心に行かせて頂きます。
フタバアオイはこれから荒れますよ(爆)

7月13日8:21 更新待ってました。頑張って下さいね! 
嬉しいです! やはり、読んでくださる方がいてこそですし、やはりやらねばという気になりますね♪

7月13日20:51 がんばってください!!応援してます!!
ありがとうございます♪ しばらく一本に絞ろうと思いますので、これから少しは更新早くなるはずだと思います。
よろしくお願いします。

拍手を下さったかたがたには感謝しております。
これからも、頑張らねばと思いました。
出来れば見捨てないでやってくださいまし(爆)



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