「ん? お前みたこと有るよな?」

「…ああ、憶えていてくれて嬉しいよ」

「確か…テンカワ・アキ…ウプ」

「ん!? お!? やめろ! 俺から離れろ!!」


俺の眼前まで迫ったシャノンの口元が不自然に膨らむ。

アレは…やはり、発射態勢…!!?

俺は必死で足元の二人を振り払って逃げようとするが。

酔って理性が吹き飛んでいる所為か、二人の力は意外に強く足を動かす事ができない。

そして、シャノンが俺の上で……


「ギャァァァァァァーーー!!!」


俺は、結局<野馬亭>でシャワーと服を借りて帰る事になった…(泣)


スクラップド・プリンセス
トロイメライ



              シャンソン
旅人と異人の『世俗歌曲』

第五章:世界の秩序(前編)


闇の中に浮かび上がる影がある。

白い光に包まれた何か…

それは、人というには整いすぎた何かだ…

そして、その足元にはうずくまる影が4つ。

いずれも鍛え上げた肉体をしている。

しかし、そのどれもが傷つき息も絶え絶えである。

それでもその顔には何の表情も浮かんではいない、彼らが個というものをそれだけ捨てているという事だが…

四人のうち三人には内部から破裂したような裂傷がある。

この独特の傷は雷が体を通り抜けたときにできるものである。

また、彼らはそろってひざを砕かれていた。

リハビリしだいでは歩けるようにはなるという程度にではあるが…

戦闘を行うことはまず不可能だろう。


「…負けたか」


その言葉に、4人の男たちはピクリと反応する、表情が浮かばない筈のそこには恐怖が確かに写し出されていた…

彼らは<粛清使>だ…<粛清使>とは、個を捨て主なるマウゼルの代行者として死を与えるものだ。

<粛清使>は決して負けない、失敗しない。

なぜなら彼らが負ければ主なるマウゼルの絶対性をゆるがせることになりかねない。

ゆえにこの敗北は彼らに死に勝る恐怖を与えてしまっていた。


「思ったより手強いな<守護者>は…」


光に包まれた影はただ睥睨するように4人を見下ろしていたが、あごに手を当てるようなしぐさとともに口を開く。


「本来私が直接介入するつもりはなかったのだが…

 軍に任せておくこともできるが…奴らは本質を理解していないからな…欲をかいて失敗されても困る

 それに古代の遺物も動き出している、本格的に絡んでくると厄介だ。

 主なるマウゼルの予言の精度が一部落ちているのも気になる…」


一通りいい終えるとあごから手をはなし悠然とした動きで右手を突き出す。


「今こそ本物の力を汝等に与えよう。主なるマウゼル、全能の造物主たるマウゼルの御業により、今こそ汝等は一つとなる」


影は歌うように呟きながら<粛清使>たちに近づいていく…


「我、主なるマウゼルの使い。第四の秩序守護者<ガリル>の名において、汝等に奇跡を授けよう。

 歓喜せよ、汝等は今こそ人たる存在の殻を捨てる」


影はその場にうずくまって動かない<粛清使>の一人の前に立ちいきなり顔をつかみ上げた。


「歓喜せよ、歓喜せよ、今一度誕生の時」


影の指がずぶりと<粛清使>の額にめり込む。

どういう原理か脳まで到達するほどにめり込んでいるにもかかわらず、<粛清使>は死んでいなかった…

<粛清使>が白目をむいた、しかし、痙攣しているというよりは恍惚としているといった表情だ…


「あぁ…ごぎゃぁあぁぅぅぅぅ!!!」


闇の中に絶叫が、いや産声が響き渡った…














<大熊亭>の食堂でウイニアはテーブルクロスを取り替えていた。

修繕は殆ど終了していた、少なくとも現状では穴が開いた跡は見つからない。

<大熊亭>もそろそろ巡礼の季節が近づいてきた。

稼ぎ時が近づいてきているだけに、ウイニアのする事は無数にあった。

そんな黙々と仕事を続けるウイニアの横に小柄な人影が立った。


「あっ、あのね…」

「…」


自信無げに話しかける少しつり目がちな金髪の少女。

しかし、対するウイニアは少しだけ動きを止めるものの、結局は無視して仕事を続ける。

それを見て、金髪の少女…パシフィカは少しうつむきながらさびしそうに呟いた。


「そっか…知っちゃったんだね」

「…!」


今度こそ、ウイニアの動きは完全に止まった。

それでも、目はパシフィカに向けない…

どこか戸惑ったようにうつむいている。


「その…別に隠そうと思ったわけじゃないんだよ?」

「…」

「でもさ、私が誰だか知っちゃうと迷惑がかかるし…」

「…」

「ごめんね…すぐ出て行くから」

「…ぁ」


ウイニアは小さくなってしまったように感じるパシフィカの背中にそれでも何もいうことができなかった。

そして、どうしていいのかわからない自分に唇をかむのだった。











タウルスの街を見下ろす山道、二騎の騎馬が立ち止まり会話を交わしている。

小柄で華奢な貴族的外見の少年と、無骨で大柄ながら引き締まった姿の男、クリストファ・アーマライトとルーク・スタームの二人である。

アキトに破れその場では<守護者>の排除を諦めたクリスではあるが、組織にいる以上やめる事が出来るわけもない。

だが、クリスは出来るだけ直接は係りたくなかった。

見逃してもらった恩義もある、だが、それだけではないという事にまだ気づいてはいなかったが。

それでも、バイラッハ男爵夫人の命令はある、その時になれば戦う事を厭わなかっただろうが。


「どうするつもりですか?」

「何をだ?」

「作戦です。時間をかけている暇は無いですから情報戦も出来ないでしょう?」

「…そうでもないが、今から仕掛けても間に合わないだろうな。先ほど三人が旅支度を始めたと報告にあった」

「なるほど、それではある程度街から離れたところで待ち伏せですか?」

「そうだな、今丁度布陣を敷き終わった所だ」


それを聞いてクリスは安堵すると同時に少し後ろめたい気持ちになる。

約束をしたわけでもない、別に参加しても問題ないはずだが…


「どうした?」

「いえ…」

「…戦いに参加できないなら、一度報告に戻るか?」

「大丈夫です。全てを見届けるようにというのがバロネスのご命令ですので」

「そうか…」


ルーク・スタームは無表情を貫いていたが、彼がクリスの事を気にかけているのはなんとなく分かった。

クリスは感謝すると同時に思考を切り替える。

まずは現状を把握しなおさなければならない。

そこで、スタームの認識を確認することにした。


「彼らの戦力をどう見ます?」

「純粋に戦闘力だけ見ればかなり高いといえるだろうな、しかし、精神面ではまだ未熟。

 しかし、現状でそれをつくのは難しいだろう。人質をとる方法もあるにはあるが…」

「そうなると、もう一人の彼も出てきますね」

「そうなる、テンカワ・アキトだったな…戦力的に見て彼は<守護者>に匹敵する障害になるだろう」

「はい、あるいはそれ以上かもしれません」

「そうである以上、奇襲攻撃か包囲殲滅しかあるまい。

 しかし、その場合シャノン・カスールは10人も相手をつければどうにかなるとしても、

 あのラクウェル・カスールはそうもいくまい。接近戦に持ちこめれば別だがな」

「そうなりますね、彼女の攻性魔法はジェイドサーキットクラスですから、情報部の魔道士でも刃が立つかどうか…」

「故に、小集団による一撃離脱を繰り返し徐々に戦力を削っていくしかあるまい」

「なるほど…有効な攻撃だと思いますよ」


少人数の逐次投入、普通なら愚の骨頂とされる戦法だ。

しかし、上位の魔道士相手に奇襲はおぼつかないし、包囲殲滅に出た場合戦術級攻性魔法を出されれば全滅という事もありうる。

ゆえに、嫌がらせに等しい少人数による一撃離脱を繰り返し、相手の体力を削って戦力が低下したところを叩く。

被害も大きいだろうが、確実な戦法であった。


「しかしスターム少佐は冷静ですね。この作戦かなり厳しい物になると思いますよ?」

「承知の上だ。他に方法があるならその方法を採用するが?」

「ん〜そうですね、ジェイドサーキットの魔道士を連れてくるとか?」

「我々にその権限は無い」

「分かっていますよ、言ってみただけです」

「…お前でも冗談を口にするんだな…」

「そりゃ…そうですね」


言われてクリスは今まで自分が冗談など言った事が無い事に気付く。

それは、心の余裕とでも言うべきもの、今までのもやもやした思いが少しだけ軽くなっていた。

動揺するクリスにスタームは付け加える。


「余裕があるのはいいことだ。今までの貴様はそれがまるで感じられなかった」

「…スターム少佐に言われたくは無いですね」

「ふん、確かにな」


その言葉が終わるとどちらからとも無く二人は山道を駆け下りていった。

山道にはただ風が吹いているのみであった…

































「行くのか?」

「ああ…」


俺は目の前にたたずむ男、シャノン・カスールに声をかける。

真剣に構えるこの男の表情はどこか気だるげで、自分を押し隠しているようなところがある。

感情を押さえ込むためなのか、それとも別の理由か…

そんな事は実の所たいしたことでは無いのだが。それでも、三人の先を考えれば不安ではある。

この男がどれだけ腕が立とうとも軍隊は相手にできまい。

暗殺者だけなら問題ないだろうが…国が動いているならいずれ表の軍を動員される可能性も…

いや、余計なおせっかいだったな。

彼らは俺の手を期待してはいまい。

それでもやはり気になるものは気になる。


「あてはあるのか?」

「…あんたも珍しい男だな、アイツが<廃棄王女>だとわかってそれでも心配してくれるような人間は殆どいなかったが…」

「まあ、俺は実際のところ、その<廃棄王女>の危険性なんて知らないしな。俺から見ればいいところ甘えん坊のお嬢ちゃんって所だ」

「甘えんぼう…か、あいつの場合はなああするしか無いんだろう」

「だろうな…」

「…ああ、だが俺としては認めてやるわけにはいかないがな」

「…フ」


俺は鼻で笑った、シャノンはそれを見て少しほほを染める。

いい訳じみていたと思ったのだろう、あの我侭がシャノンに対する確認行為だという事は他人の俺から見てもわかる。

表向きはめんどくさそうにしていてもシャノンが律儀に付き合っているのもその辺に起因しているのだろう。


「<廃棄王女>に関しては俺には分からないが、お前らはちょっと見てられない所があるからな」

「あんたに言われる筋合いは無い、大体昨日だって何だって俺の代わりをした? 奴の目的は俺だった筈だ」

「酔っ払いを一人行かせるのは忍びなくてな、相手にも失礼だろう?」

「…!」

「まあ、あの技にかなう奴はいないと思うがな」


シャノンは声こそ発しなかったが俺をねめつけてきた、正直言って昨日のことは少しばかり腹も立っていたので意趣返しにはなった。

シャノンもその事は分かっているらしく、口には出さないものの、不可抗力だといいたいに違いない。

しかし、吐しゃ物をもろにくらった俺としては反論させるつもりも無い。

そんな時、いきなり間延びした声が俺たちの緊張(?)を打ち砕く。


「シャノ〜ン、準備できたわよ〜」

「分かった」


シャノンは何か言いたそうな目で俺を見ていたが、ついと視線をそらし、似合わないことを言った。


「まっ、世話になったな」

「気にするな、ただのおせっかいだ。お前らは自分の心配をしていればいい」


俺の言葉にシャノンは少しポカンとしていたが、仏頂面になって俺に言う。


「まったく、せっかく素直に感謝してやったってのに」

「まあ、柄にも無いことはするもんじゃないって事だ」

「はぁ、じゃあな」

「ああ」


そう言葉を交わしシャノンと別れる、しかし、それと入れ替わるようにラクウェルが俺の前に来ていた。

ラクウェルはいつものように微笑んでいた。

しかし、どこか物悲しげに見えるのは錯覚ではないだろう。

三人とももっとこの町にいたかったはずだ。


<廃棄王女>…物語のような呪われたお姫様、もっとも本当に呪われているのかどうか誰にも分からない。

それでも、宗教が、国家が、それを認め彼女を追う以上、呪いの是非など関係ない。

こんな話は俺のいたところではありえない話だが、それでも結局権力闘争がある以上、

形を変えて似たようなことは起こっていただろう。

俺自身も違った形ではあるがその手の権力者の横暴には付き合わされたことがある。

出来れば彼女らは俺のようになってほしくない。


ラクウェルにもせめてその笑いが本当の微笑みでいられるように、俺にも何か…

そう考えてしまう。しかし、彼女は。


「アキトさん。ありがとうございます。でももうあまり無茶はしないでくださいね。貴方はここに悲しんでくれる人がいるんですから」

「?」

「ウイニアさんやミシェルさん、ボランドの店主さん、他にもこの町の人々から慕われていることは町の人々の反応を見れば分かります。

 私たちは今までも三人でやってきました。だから、これからも大丈夫です」

「…意外だな、そんなに話すとは思っていなかった」

「ふふ…そうですか?」


そう、ラクウェルは普通のテンポで話していた。

いつものどこかのんびりとした口調、それは作ったものだったのか。

それとも、今は意識してそうしているのだろうか、何にせよ彼女のそれは明確な拒絶。

自分たちの逃避行に俺を巻き込むまいとしているのは明らかだ。

それに事実、他人事には違いない。

俺は口を開こうとして出来なかった…

彼女らは強い、自らの事で他人を巻き込むまいとするその精神は俺には無かったものだろう。

それは、復讐のためにすべてを巻き込んだ俺とは正反対の強さ。

その強さの前に、俺はただ黙って見送ることしか出来なかった。














ここは…


そうでした、私は…


でも、このままでは私は何も出来ない。


それなら…いいえ、それでも私は…


<世界>と同化してしまうわけにはいかない…


でも、このままでは…


…!??


この反応は…














タウルスの街を出て暫く先にある街道。

事前情報ですでにシャノン達が向かう先を予測していたスタームはこの街道に兵士を分散配置していた。

数隊は目立つ場所に、もう数隊は視界にさらされない場所に。

そして気配を悟られぬよう、常駐型警戒用結界魔法<アスガルド>の圏外まで離れている部隊が数隊。

シャノン達が通りかかるとそれぞれが別々のタイミングで襲い掛かるという作戦だ。

しかし、結論から言うと彼らはまともに戦う機会を与えられる事は無かった。


そこに、異形が現れたからである。

突然現れたそれは、最初は<粛清使>かと思われた。

しかし、その大きさが尋常ではなかった。

そして、その表情には喜悦が浮かび上がっていた。

<粛清使>はそもそも自分の個を持たない、故に表情など浮かんでいる筈が無いのだ。


「なっ、何者だ!?」


兵士は問いかけを行うが、<粛清使>のようなものはただへらへら笑うだけ。

業を煮やした兵士が問い詰めようと近づいたその時、

顔面が割れた…

いや、それどころではない。

体中が崩れてまるでアメーバのようにぐにょぐにょになる。

そして、その体から、8本の腕が凄まじい勢いで飛び出した。

腕はありえない勢いで伸び続け10m程まで伸びてようやく止まった。

回避できなかった数名の兵士は胴体を貫かれ絶命している。

兵士達の半数は直ぐに逃げ出したが、立ち向かっていくものもいた。


「化け物め!」


剣を振りかざし、絶命した兵士を貫いている腕を切ろうとする。

しかし、その剣が腕を切ることは出来なかった。

なぜなら、体を腕に貫かれて絶命した筈の兵士が立ち向かっていった兵士を切り殺したからである。

よく見れば貫かれた傷は無くなっていた…貫かれた体と貫いた腕が融合していた。

そして、絶命した兵士は、<粛清使>と同じ様にへらへらと笑い始めている。

そこからは、もう悪夢としか言いようの無い事態だった…

切っても突いても死なない敵を前に兵士達は逃げる事しかできないが、

アメーバ状のそれは、死んだ兵士たちどころか、生きている兵士達もそのまま取り込み、更に巨大になっていった。

そして、巨大になるにつれ、触手の長さが伸びていき、最終的には部隊の三分の一近い数を喰らっていった。



逃げ続けた部隊が逃げ延びる事ができたのは幸運だったのか不幸だったのか…

なぜなら、彼らが逃げ延びる事ができたのは化け物がタウルスの街を見つけたためだった。

化け物はそれが分ると兵士たちを無視してタウルスの街へと向かって動き出した。










早朝の事、夜陰にまぎれるように出立したシャノン達を見送って、それから俺は仕事に出た。

いつもの様にパンを焼く作業に没頭していたが、時折天井を見上げて彼らのこの先を思う。

関係ない事、そう言ってしまえばそれまでなのだが…

いかんな、おせっかいな性分はどうしても直らないらしい。

ため息をついて、作業を再開しようとしたその時。


「…なんだ!?」


突然背中を駆け抜けるような悪寒と共に、巨大な気配がタウルスに近づいてくるのが分った…

巨大な気配…人では絶対ありえない、動物、いや熊だろうが象だろうがこんな気配になる事は無い。

それに、人の気配に似ている…それだけじゃない…

俺は、表情を引き締め店の外に飛び出した。

特に今のところ変わったものは見えない…

しかし、気配は勢いに乗ってこちらへと向かってくる。

このままでは埒が明かない…

俺はボランド商店の屋根に飛び上がり、気配の方向を見る。

そこには、黒いシミがあった…

いや、違う…あれは……アレは……

こびりつき黒く変色した……血……

アレは、その気配の主は…無数の返り血を浴びて黒く変色した何かだった…


「くそ!」


俺は屋根を飛び降りその気配の主を調べて対策を立てねばとそちらへ向かおうとしたが、

そこを通りがかったミシェルに気付かれた。


「え!? アキトどこいくの?」

「ミシェルか! …いいか、よく聞いてくれ」

「う…うん」

「みんなを促して街の南に逃げるんだ!」

「え!? なに…?」

「化け物がこの街に近づいてくる!」

「ばっ化け物!?」

「そうだ、化け物だ」

「ははは…アキトったら冗談きついんだから!」

「…俺が冗談を言っているように見えるか?」

「…ううん、見えない」

「だったら、早くしろ」

「はっはい、でも…」

「サフィールさんに言って手伝ってもらえ、時間が無い。急げ!」

「分ったわ!」


ミシェルは俺の言葉を聞くと一目散に走っていった。

まあ少し心配だが、仕方ないだろう。

俺は、兎に角、その化け物が来る方へと向かった。

街の外に出て街道にほど近い森に飛びこむ。

出切れば迎撃して何とかしたい所…しかし、この気配から察するにかなり巨大なのは間違いなかった。

まともに遣り合ってどうにかなるのか…そんな不安はあったものの、俺はその気配と対峙する事を決めた。


「出切れば弱点でも見つかればいいが…」


冷汗をかきながらも木の上に隠れてその気配の主が現れるのを待った。

しかし、気配は背後から襲ってきた。


「クッ」


俺は何が起こったのか分からないまま、横っ飛びで気配を避ける。

それは、俺のいた所を凄まじい勢いで通過していった。

それは、手が何本もより合わさったような…

醜く太い触手だった。


「まさか…」


俺はそのまままた直ぐに別の木に飛び移る、そこもまた木をなぎ倒しながら手がより合わさった触手が通り過ぎる。

いつの間にか化け物が足元近くまで来ていた。

森の影から出たそれを、俺は初めて視認した…

それは、簡単に言えば肉団子だった…

何十人という人間で出来た肉団子…

俺は思わず吐き気を覚える…しかし、それは俺が築いてきた物と同じ…

俺には見慣れたもののはずだった、しかし、俺が吐き気を覚えるのはその中の一人がゲラゲラと笑っているからだった。

それにあわせる様に周りの顔も笑っている、しかし、その顔は引きつり自らの意思でないことは明らかだった。

もう人間というより人間の残骸と評した方がいいだろう。

しかし、この姿から見るにこの肉団子は人を取り込んで大きくなるという事か…

厄介な…


「爆弾でもあれば一発でしとめられるが…」


まさか、そんなものを用意する事も出来無いだろう。

木連式には飛び道具も無いでは無いが、こんな化け物に一撃必殺とは行かない。

近づけば取り込まれる…

他に…魔法か…しかし、使い手がいない…

まさに八方ふさがりだな…

俺は間合いを取る為に逃げつつ、どうにか化け物を倒す方法を考えていた。

しかし、誘導はあまり上手く行かず、多少の時間は稼いだ物の、化け物はタウルスの街へとなだれ込んだのだった。







なかがき


申し訳ない。

結局前後編になってしまいました。

しかも、最後の方小説を見ないで書いてますのでかなり変かもしれません。

次の話を書くとき変でしたら調整しますのでお許しを。

でも、中継点はグロイ方がなんかいい気がして…(爆)

次回こそ『世俗歌曲』を終わらせて見せる!(実は自信ない)



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m

WEB拍手ありがとう御座います♪

スクラップド・プリンセス・トロイメライは9月30日正午から10月26日正午までにおいて、275回の拍手を頂きました。大変感謝しております。

コメントを頂きました分のお返事です。

9月30日 18時 ありがちな誤字発見 ×体制→○体勢
ぐはぁ!? 申し訳ない…誤字脱字は日常茶飯事なんです(汗)

9月30日19時 アキトに機動兵器・・・があったらいいな〜なんて
う〜むぅ、ネタバレになってしまいますが、アキトにも結構いいものを用意しています。一応主人公ですし、決められるくらいのものを出しますんでよろしくで す!

9月30日20時 落ちの王道ナイアガラリバース、笑わせていただきました
はっはっは、そう言っていただけると嬉しいです♪ いや、アキトには今後も出来るだけオチをやってもらうつもりです(爆)

9月30日21時 アキト最高!ピースメーカーにも逆らえそう。
その話なのですが、ちょっと迷っています。アキトがピースメーカと戦ったりはいずれしますが、ピースメーカーが人間の優位に立つ理由がよく分らんので…
遺伝子とかに服従を命令として入れられて生まれてくるのなら外の人は最初から関係ないですが、<HI>の使うような一種の精神汚染の場合は普通は逆らいよ うがありません。
でも、その場合パシフィカが何故逆らえたのかと言う部分もありますが…結構考えさせられる部分ですよね。

9月30日22時 半日もたっていないのに200を超えてるとは…。これからもがんばってください。
??どういうことでしょう…多分上に書いていた部分の事でしたら一月近くかかって200数十という事です。
そんなに人気ありません(泣)

9月30日22時 いや、三色パンよりボン太くん(ある意味鬼装備)でスーピィくんと世界を超えた出版社タッグで是非!
凄い…確かに面白そう…でも、ボンタ君はナタリィにでも作らせますか? 普通はちっと無理でしょうね(汗)

9月30日23時 面白い 次も早くだしてください
ありがとうございます! ははは…やっぱり月一が限度です。早く出そうにもねたの問題もありますし、書くの遅いんですよ私…

10月1日0時 面白いッ、そして、アキトやっぱ強いなぁ♪
面白いと言って頂きありがとうございます! アキトは木連式を習得している事にしていますし、木連式そのものが無茶な設定になっておりますので。
私のSSのアキトはかなり強い部類かも知れません…昂氣の方ほどじゃありませんが(爆)

10月1日1時 台詞に『!』を多用しない、冷静なアキトが格好良いです
ありがとうございます。冷静にいられるようにしてはいるんですが毎回と言う訳にも行きませんね。
でも、できるだけそれっぽくいけるようがんばります!

10月1日1時 アキト強っ!でも、この先出てくるアレらとどう立ち回るか楽しみです
ははは…さすがにアレとそのまま打ち合えるほど化け物にはしていません。でも、できるだけ立ち回らせて見ますね♪
 
10月1日4時 ついに出ました、木連式! それにしても、アキト強いですなー。
ちょっと強すぎたかな…でもま、いつもこんな感じですので、まあイメージ的にはアキト=シャノンよりはもう少しアキトの方が強いかと。

10月1日14時 アキト強いですね〜 けどラストはやっぱり不幸ですね(笑)
剣を持たせればかなり強いです。でも柔だけではちっと限界あるかも?(爆) でも、<纏>のおかげもありますしね〜

10月1日18時 アキトの強さはこれで大丈夫でしょう。これからの敵の強さを考えると。今回も面白かったです。
そういって頂けると嬉しいです! これからの敵、その一つに出会ってしまいました。アキトかなりピンチです。今シャノン達を帰ってこさせるのかこさせない のか思案中(爆)

10月1日20時 続きを楽しみにしてます、頑張ってください   げ○かけられたアキト、ご愁傷様
はい! 次回も頑張りますのでよろしくです! アキトはオチ担当ですので(爆) 毎回は無理でしょうけどできるだけアキトで落としてやりたいと思っていま す。

10月3日4時 いまさらですが、三色パンマンの絵を見てみたいと思った私は邪道でしょうか・・・
うぐぅ…自分でもあんまり考えないようにしていた…(爆) 三色パンマンは仮面ライダー「ぱん」みたいなイメージでやてましたからね(爆死)

10月3日13時 アキトと半熟騎士の絡み
今年中にそこまでいけるか不安だったり(汗) でも、頑張って何とか次章にすすまねば!
 
10月5日14時 久しぶりに爆笑しました♪次話待ってますm(_ _)m
笑っていただけて嬉しいです♪ 次回何とか『世俗歌曲』を終わらせたい所です。よろしくお願いします!

10月11日1時 とても面白いです!続き楽しみにしています!
ありがとうございます! 今後ともがんばらさせて頂きます。月一程度ですが、よろしくお願いします!

いつも、感想をいただける事嬉しく思っております。
今後も出来るだけ感想をいただけるような作品を目指していきますので、見捨てないでやってくださいね(汗)


感 想はこちらの方に。

掲示板で下さるのも大歓迎です ♪



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