光あふるる場所
In a far star of the future




外伝っぽいもの「人まねみたいになってしまい申し訳ありませんorz」




 
「ねぇ、ほっくん、生きてる……?」

「……」



北辰の上にまたがり、赤い少女が体をゆする。

息はしているようだが北辰に返事はない。

その体はまるで雷にでも打たれたように所々放電し、また黒こげになっていた。



「……破れた……のか?」

「……うん、ほっくんがんばったけど……あんなのに勝てるわけないよだって、あれは」

「言うな、確かにアレに敵うものはおらんだろうが、そこにたどり着くこともまた不可能に近い。

 彼奴も何かを捨てて進んだという事よな」

「うん、そうだね……でも、ほっくん」

「幸い生身の部分はそれほどやられてはおらぬ……今ならば……」

「もうやめようよほっくん! こんな事しても誰も喜ばないよ。それに……」

「……?」

「ここはエアルじゃないよ」

「な!? もしや……」

「うん、多分違う時代の違う場所」



北辰は呆然として周囲を見回す。

確かに、以前いた場所は砂漠多き惑星エアル。

しかし、現在いる場所はどうみても橋の下、セメントの地面がちょっと冷たいと感じる余裕があった。

恐らく地球か、良く似た環境下の星だと推測された。



「……」



北辰は身動きをとることも出来ず、ただその場にい続けた。

彼の生身の体は半分程度、機械が補っている部分が無ければ片手、片腕、それだけでも辛い事だが。

目標の消失、生きる意味と呼べるものが突然なくなったのだ、それは北辰をして動けなくなるほどのものであった。

なぜなら、北辰は一度生きる意味をなくしている、そして惑星エアルにてようやくそれを手に入れたところであったからだ。



「ほっくん……あの、あのね……」

「……」



北辰は呆然としながらも夜天光を見る、そこにはいつもと変わらぬ赤いゴスロリのドレスを着た少女がいる。

少女は必死に何か訴えかけているようだが、要領を得ない。



「ほっくんの体を直す方法あるかも……」

「体……?」



言われて北辰は自らの体を見る。

確かに、全身ボロボロ、満身創痍といっていい状態だ。

だが、北辰にとって体の痛みなどいつもの事、木連の暗部にいた頃からずっとである。

それでも、現状では動く事すらままならない。



「元々やーは高次物質の塊だもの、エネルギーには事欠かないよ」



そう言って夜天光は自らの左手を引き抜いた。

引きちぎられるような鈍い音と、血かと思えた場所からもれ出る光が何が起ったのかを如実に表している。

引き抜かれた腕が腕の形状を失い、光の塊となるまで数秒も要しなかった。

夜天光は残った右手で左手だったものをゆっくりと北辰の体に押し当てる。

その光りは徐々に北辰の体内へと消えていった。


その瞬間、北辰は自らの体内に凄まじいレベルでの活性化が起きている事を感じていた。

それは機械部分にも及び、ほんの数分で北辰の体は動けるレベルまで回復した。

隣では夜天光が息を切らしているが、それも当然だろう。



「もう……大丈夫だよね……」

「夜天……汝……」



夜天光は、腕を引きちぎった先からだんだんと体が薄れ始めていた。

まだ微々たる物だが、腕一本まるまる渡したのだ、何かの反動があってもおかしくない。



「大丈夫だよ、ほっくんが元気じゃないとやーも元気でいられないもん」

「……」



北辰は戸惑いを見せていた、夜天光は所詮道具、そうやって作り出されただけのモノに過ぎないはずだった。

しかし、今は人に近い、ともすれば普通の人間よりも出来のいい存在になりつつある。

しかも、今回は明らかに命を助けられた、確かにスレイブはマスターがいなければ消えてしまう存在ではあるが。


北辰は回復した肉体で立ち上がる、機械の半身は流石に完全とは行かないが、それでも一応は動く。

そして、夜天光の頭に手を載せて聞く事にした。



「汝の体を戻すにはどうすればよい?」

「えっ?」

「このままでは消えるのであろう? せっかく手に入れた我が力、唯で失くすには惜しい」

「あっ……うん!」



夜天光はその言葉を聞いて、本当に嬉しそうな笑顔になる。

北辰がそういう感情を表現する事は少なく、自分がそれを見ることは無いと半ばあきらめていた事でもあったからだ。

笑顔のまま夜天光は話しはじめる。



「やーは高次物質の塊だから、この世界では安定してないの。

 だから、今は体のまわりに力の膜を張ってる感じかなぁ、腕をとったことで力がへって膜が破れてるの。

 なおるためには力を結晶にしたものが一番だと思う」

「……」



北辰はこっそりため息をついた。

夜天光は意識していないようだが、結構危ない台詞をはいていた、しかし、北辰にとっては関係ないはずで、どう反応すればいいのか一瞬迷ったのだ。



「力の結晶……核物質のようなものか?」

「うん、それでもいいよ」

「……」



北辰はウラニウムについては詳しく知らなかったし、また木連では核で通っていたのでその一言で済ませたが、その実かなり無茶ではある。

それを手に入れるには少なくとも、放射能の直撃を覚悟しなければならない。

夜天光には関係ないのかあるのか、現時点では判断がつかないのだ。

北辰は心の中でウラニウムを却下していた。



「ん!?」



突然周囲の景色が一変した。

いや、正確には特に変わった様子は無い、しかし、まるで光を失ったかのように風景がモノクロ化した。



「これは!?」

「わかんない……でも、嫌な感じ……」



夜天光が警戒して周囲を見回すさなか、北辰は見つけた。

人形……手縫いなのだろう、所々縫製の荒い所すら見受けられる、特別で気が良いとも思えない。

そんな言ってみればただの人形が宙に浮いている……。



「面妖な……」

「面妖なのはあなた方ですわ、御崎市に突然そんな大きな存在の力を発現させるのですもの」

「存在の力だと?」

「あー、たぶんさっきの……」

「それだけの力をもっててなぜそんな事を聞くのかしらないですけど、フリアグネ様の計画の邪魔になりそうな貴方達を排除するわ」

「ふむ、ところで夜天よ」

「なーに、ほっくん?」

「あれでは駄目か?」

「んー、変なのだけど、結構大きな力を中に持っているっぽいね」

「そうか……ならば」

「うん、やってみるよ」

「何を言っているのか知りませんけど、宝具バブルルートの力存分にお見せしますわ」



体調が戻った北辰は疾駆し、人形はコインを投げつけ北辰はなんなくそれを回避する。

しかし、そのコインは突然紐状に変わり北辰にまきついた。

今までもかなり変態的な戦闘を経験して来た北辰だが、さすがにここまで変わったものははじめてみる。



「貴様一体どういうつもりだ?」

「貴方をフリアグネ様にお見せしようと思って、かなり変り種みたいね、もしかしたら燐子(りんね)にしてくださるかもしれないわよ」

「フンッ貴様ほどでは無いわ!」



北辰は力任せにコインの紐を引っ張って人形を引き寄せようとする。

しかし、そのコインは宝具と呼ばれるだけあるらしく、機械で強化されている北辰の力でもびくともしない。



「クッ!?」

「ほほほ、後はそっちの赤い……って、え?」

「はむはむ、変わった味だけど、結構回復できそう」



夜天光はコインから丸呑みするように紐も食べていった。

そうして人形の所までたどり着く。



「んーっとなかなか美味しかったよ。でも、ちょっと塩味がたりなかったかな?」

「よくもよくも!! フリアグネ様にもらった大切な宝具を!!」

「ねぇほっくん、これももらっていいの?」

「そうだな、回復はしたのか?」

「んー、もんだいないよ?」



夜天光は先ほど引きちぎった腕をまた出現させていた。

そう、エネルギーさえ充填できれば何とかなるというのは嘘でもなんでもなかったのだ。

北辰はその事を納得すると同時に、目の前の敵を再度確認する。

明らかに物理法則上ありえない代物だ。

夜天光もそうだが、不思議などはわりとありふれたものらしい。



「そうだな、とりあえず力は多くて損をするものでもない、食べておけ」

「ほっくんの言うとおりにするね!」

「ちょっ、え!? ギャー!?」



夜天光は人形とつかんだと思うと、その人形を手の中で再構成してしまった。

光の玉となった人形をぱくりと飲み込む夜天光。

人形の姿がなくなったことは少し残念そうだが、エネルギーは完全なところまで回復したようだ。


すると、同時にモノクロになっていた世界が色を取り戻す。

つまりは先ほどの人形がやっていた事だという事だろう。



「また変わった世界に来たものだな……」

「やーは良く分からないけど、ここエネルギーだけは多いみたい」

「ふむ、そうか……それだけあるなら、奪い取ってみるのも一興か」

「ほっくんがそうしたいなら、やーはどこまでもついていくよ?」

「ふむ、そうだな……ではこれからも頼むぞ」

「えっ、あ! うん!! 任せて♪」



組傘の男と赤いドレスの少女は異世界である事を気にもかけずに歩き出す。



二人にとってそれはさして重要な事ではないのかもしれない……。






あとがき


うぐあ!?

申し訳ありません、このお話はくまさんの作品を見てから作っていますので、パクリ見たいな物かもしれませんorz

詳細は違っているとはいえ、まずいなー(汗)

いや、元からこういう風にするつもりでは合ったのですが……はははは(泣)

記念作品ということで笑って許してくだされorz

自作ネタにもかかわらず、駄目っぷりが糸を引く黒い鳩でした〜。


いや、三周年もやーちゃん祭りも大変嬉しいですがw










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