ドランブルク領の三将軍(その一人であるガラルドは格下げされたため現在二将軍)。
王族との血縁薄いモルンカイト侯爵が、高い爵位と領土を保っていられるのは彼らの手腕による。
先々代モルンカイト侯爵が先々々代にあたるドランブルク侯爵から領地を引き継いだ折よりの制度だ。
この世界において爵位とは本来領地の管理者としての名である。
しかし、先々代モルンカイト侯爵はドランブルク侯爵を襲名せずに領主となった。
公式にはドランブルク侯爵を名乗るのはおこがましいと国王陛下に申請し受け入れられたとされる。

その当時より三将軍の形は既に出来ており、モルンカイト家が戦働きでのし上がった事をうかがわせる。
そんな三将軍モーティマス、ド・ナーレン、(元)ガラルド。
彼らはランベルトの直轄ではないが、国境の監視を引き受けている。
そのための負担軽減の意味でドランブルク領は国から税の軽減措置を受けている。
それぞれが詰めているのは基本国境地帯であり、
筆頭であるモーティマスは南東の獣人集落付近の国境に砦を構えている。
ガラルドは北東のバーラント国境砦を管理していた。
しかし、ド・ナーレンは砦を構えている訳ではない。
彼は主に南部のオーランド公に対する牽制の意味合いで南部に詰めている事が多いが、
実際は遊軍と言う意味合いが強い。
ワイバーンの進軍速度は騎兵の倍以上であり、その攻撃力、上空うにいる事の防御性も相まって強い。
たかだか30騎で1000の軍相手に勝てると言われるほどにその差は如実だ。
そんな特殊な将軍であるド・ナーレンであったが、彼の素姓は侯爵本人以外には知られていない。
また、彼に下される任務も極秘の物が多く、表立った活動は他の将軍の支援ばかり。
しかし、戦場での働きは凄まじいものがあり、畏怖されてもいる。
だが、そのため余計不気味に思われる事が多く、白き死神の2つ名をつけられるほどだった。
彼の乗るワイバーンには白い装甲が付けられており、本人も白い鎧を好む事から付けられたのだろう。
そんな彼は、雪の舞う雲の中にワイバーンで突っ込みながら鼻歌等歌っていた。
もちろん、強い風の中だ、本人ですら音は聞こえないだろう。

『また私のみか、お前は軍事行動の意味を理解していないな』
(そうでもないさ、相手の意表をつけさえすれば戦力が低くても目的をくじく事はできる。
 もちろん無理をする気はないけどね、元々こんな領土どうでもいいんだしさ)
『ならば雪中行軍等という馬鹿な真似はやめよ』
(馬鹿かもしれないけど、きっとたのしぃよー? ラグローももう少し気楽に生きればいいのに)
『全く貴様は……』

ド・ナーレンにとってそのワイバーンは友であった、人語を話す事はないが心で会話できる。
名をラグローとド・ナーレンは呼んでいた、竜語が分かる訳ではないので本名ではない。
しかし、ド・ナーレンにとってラグローは生涯を友にする存在と決めている。
ラグローもまたド・ナーレンの事を気に入っているようであった。
それだけであれば、種族の垣根を越えた友情で済んだだろう。
だが、ド・ナーレンには倫理観が根本的に抜け落ちていた。
ガラルド元将軍もまたそうであったが、彼のにはガラルドにあった保身すら抜け落ちていた。
彼の指針を決めている物は幾つかあるが、その中で上位に位置するのは面白い事であった。
戦略戦術上の無意味を気にしない、それはある種の化け物であったのかもしれない。



異世界召喚物・戦略ファンタジー
王 国 戦 旗
作者 黒い鳩


第二部 『小さき王国』 第三話 【九十九村


この世界において、市町村の別は領主が定める事が多い。
元々人口が多ければ都市なのであまり関係ないが、町村の別は個々の判断によるところが大きい。
当然ながら人口が10万なんていうのは大国でもそう多くなく、
ランベルト王国においては首都ですら届くかどうか微妙な所だとか。
ましてや、ドランブルク領においては人口1万を越える都市クラスは2つのみ。
城塞都市アードックと首都にあたる第一都市ゼオン、どちらも2万前後の人口らしい。
もっとも、今回言いたいのはそこではなく、町村の基準があいまいであると言う事だ。
北部地域の農村の人口は合計しても2万前後、寒い土地柄のせいであまり人が増えないからだろう。
そのうち3500人が住まう村がある。
日本の一部では町認定を受けてもおかしくない規模(注1)だが、
立地条件が盆地となっており、周辺地域に移動し難く流通に適さない。
そのため放置されていた所、火山が近いからか雪が積もり難い土地だったらしく、人が増えたようだ。
最も、彼らは領主から援助を受けたりはしておらず、税だけは徴収されるため不満は溜まっているらしい。
ただ同時に排他的であり、自警団を組織し、他の村から来る人々を排除するとか。
村を逃げ出した流民達がこの村に来なかったのはそういう噂のせいらしい。
その村の名を”ツクモ”という。
(注1:日本における町認定の最低人口は県ごとに違う、三千から一万七千まであり、所によっては人口規定がない事もある)

「ツクモ村ね……九十九……いやまさかな……」
「何を考えているのですか? たつにーさん」
「何でもない」
「隠し事は関心しないのです。苦楽を共にする相方なのに」
「いや、相方って……」

一応砦にあった軍の備品を使って屋根のある馬車を仕立ててもらっていた。
俺は御者台に顔を出しながら色々考えていたのだが、アルテには看破されていたらしい。
幼女の姿とはいえ流石はエルフ、侮れん。
しかし、そんな考えよりも盆地らしき山に囲まれた地域が見えてきたため御者台のアル・サンドラに聞く。
彼女は本来護衛として馬で先行すべきなのだが、護衛は近くにいたほうがいいとの事で御者台にいる。
それもどうかとも思うが、彼女の気まじめさ故なのかもしれない。
周囲は10騎の騎士で囲んでいるためそうそう盗賊やモンスターが出ても手出しできないだろうが。

「へえ、かなりの規模だな。畑も整理されているように見える」
「そうですね、ここでは村長がかなりの権力を持っていると聞きますので」
「周囲から隔離されてる事を考えれば王様気取りじゃないでしょうか?」
「アルテさんは物知りですね、恐らくその通りかと思われます」

確かに、年に一度税金の取り立てに徴税官が来るだけ、それ以外で人の出入りがあまりない。
そう言う空間で3500人もの人々の長をしていれば王様を気取りたくなるのも分からなくはない。
とはいえ、まだ会ってもいない人物の良し悪しを考えても仕方ない。
だが、村長の人となりは知っておくべきだろう。
最も出立前に村長達に聞いた話もほぼ同じだった訳だが。

尚更気を引き締めてかからねばならない。
こちらは戦力は上回り人数にも差はないが、新参もいい所だし、何より領主に弓引いた身。
今の所他の村々も様子見を決め込んでいるだろう。
だが、彼らがこちらにつけば話も変わる。
元々領主の重税にあえいでいた人々だ、雪崩をうってこちらに転ぶ可能性が高い。

幸い、この村から身売りさせられた人達も何人かいたので、その返却の時会見の約束は取り付けている。
ただ、他の村々と比べかなり少ない人数だった。
施政が上手く行っているのか、それとも徴税官を上手く回避する方法でもあるのか。

「警戒をする必要があるかもしれないな……。
 この規模の村? だと魔法使いがいる可能性もあるか」
「それはまた話が飛んだのです。どうしたのです?」
「いや、考えてみれば砦には魔法を使う人間がほとんどいなかった。
 幸い事前にその情報を得ていたから俺達はああして魔法を使ったり奇襲をしたりでどうにかなったが、
 もしも魔法の使い手が何人かいれば話は変わっていたかもしれない」
「それは、教育の問題もあって参謀クラスでもないと魔法はつかえないですから。
 砦で魔法を使えたのは私と参謀長くらいでしょう、それも初歩的なものでしかないですが」

アル・サンドラの話を聞いて確信が持てた。
もしもこの村に魔法使い、いや宗教でも、麻薬でもいい、民心をまとめ、徴税官をごまかせる何か。
そんな何かがあれば今まで領主から目をつけられず栄えた理由も分かる。
もっとも、この村から兵士に取られた人達に聞いても分からなかった。
まあ、所詮はあてずっぽうだが、可能性だけは頭に入れておくべきだろう。
そんな事を考えているうちに、畑を抜け村の入り口近くまで来ていた。
入口にはきちんと城門があり、何人か自警団が詰めている。
もっとも、自警団というより村長の私兵組織と見たほうがよさそうだが。

「城郭と言う程でもないが、外周に土嚢が積み上げられているな」
「あきらかに町なのです。この分だと三千五百人という人口の申告も怪しいのですよ」

アルテが評した通り、この村は明らかに変だった。
少なくとも農業だけで成り立つ感じがない。
家も他の村々のように石組みや木組みではなくレンガ造り。
道もきちんと整備してあり石畳が敷き詰められている。
酒場や宿屋は一つ二つある村もあるが、ここのように何件も料理屋が立ち並ぶのは町規模でなければない。
それだけではない、鍛冶屋、雑貨屋、薬屋、町の表通りにありそうな物はひと揃い揃っている。
町、それも城郭都市のような雰囲気がこの村にはあった。
そして、行きかう人々も多く、農村のはずなのに表通りだけで数百人いそうだ。
ここまであからさまだと、笑うしかない。

「どうしたのです? 半笑いになって?」
「いや、この分だツクモ村は領主への届け出を随分としていないんじゃないか?」
「私も始めてみましたが、とても届け出通りの村とは思えませんね。
 町の規模と活気から見て一万人はいかないでしょうが五千人よりは多いでしょう」
「それだけ税金のごまかしが出来るって相当なものだな。
 この村から兵士にとられたり奴隷に出されたりした人が少ないのもうなずける」

九十九村、かなりの食わせ者だと考えておかないとまずそうだ。
盆地全体に広がった耕作地、雪深いと言っても過言ではないはずの場所なのだがさほど積もっていない。
農村は冬になると家に引きこもる事が多いが、その必要もなさそうだ。

「そしてあれが村長の屋敷……」
「まるで城なのですよ」

まあ、城というには小規模ではあるが。
堀を巡らしている訳でもなく、二の丸、三の丸といった外周部もない。
だが、それは確かに城の形をしている。
権威の主張としてこの上ない、はっきり言って領主に喧嘩を売ってるのは間違いなかった。
しかし、それでいて今まで何もなかった事を考えると何らかの手段で誤魔化していたのは間違いない。
流石にこの規模の町でも千人規模の軍が来ればひとたまりもないだろうから。

俺達は一先ず宿を取り、使いの者として騎士の一人を派遣する事にした。
こちらから願い出るとはいっても、下手な事をして足元を見られたくはない。
いきなり行って待たされる事にでもなれば、格好悪ゲフンゲフン……舐められている事になる。
格下扱いされれば、今後の主導権を持っていかれる可能性も高い。
もちろん、こっちにいても待たされる可能性はあるが、その時はその時。
少しばかり面倒な思いをしてもらおう。

「たつにーさん悪い顔をしてるのです。もしかして、アレの事です?」
「まーな、一筋縄じゃいかない村長のようだし、役に立たないに越した事はないがね」
「その顔だと説得力無いのですよー」

アルテの言う事も一理ある、ここで普通に呼び出されたら拍子抜けするかもしれない。
とはいえ、頭のいい奴ならむしろ待たせたりはしないはずだが……。
村長の名は確かラバノーバ・エントス、年齢は40代中ごろのおっさんのはず。
村から受ける老獪そうな印象にしては若い、それが気になる所だが。
まあ、人の事を言えた義理でもないか。

「それにしても、立派な宿屋だな」

そう、一流なのかどうか分からないが、結構高級感のある宿屋だ。
ラウンジでアル・サンドラ以下騎士たちに囲まれている状況も凄いが。
今まで俺が使っていた部屋やら、旅の宿に使っていた馬小屋等を考えれば雲泥だ。
というか、俺砦に部屋もらってからまともに使った覚えがない……。
書類整理が終わらず一昨日までずっと缶詰状態で働き、旅では馬車の中で眠る。
まあ騎士達よりいい寝床ではあったんだろうが。

「何をおっしゃりますか、組織の頂点に立つお方がこのような場所で立派等と言っていては笑われます」
「たつにーさんをなめてはいけないのです。僅か数ヶ月の間に貧乏生活を満喫できる猛者なのです!」
「いや、満喫してはいなかったが」
「何を言っているのですかたつにーさん!
 アルテは貧乏丸出しな村にやってきて復興掲げて四苦八苦するたつにーさんに引かれたのですよ?」
「いや、お前出会った当初からいきなり漫才の相方にしようとしただろうが!」
「はて? どうだったのでしょう?」
「あんな無茶を忘れるとは、流石に俺も引くぞ!!」
「そんな、たつにーさん捨てないで?」
「何で疑問系!」

いつの間にやらアルテのペースに乗せられている俺だったが気分はなごんだ。
というか、アルテは王族なのにこういった感情の機微を読み取るのが随分上手い。
今回の会見でも役に立ってくれそうだと考える。
そんな時、ふとアル・サンドラが口を開いた。

「そう言えば、我々の組織はいったいどういう名前なのでしょう?」
「……え?」
「……あ」


その時、時間が凍りついた……。


「そういえば、名称なかったな……」
「無かったのですか!?」
「そりゃ、食糧難で無理やり組織して砦に攻め込んだだけですからねー。
 大望とか考えてる暇もなかったですし」
「ですが、先だっての会議で誰も話題に上らせなかったのは……」
「各村長はいずれ自分の村に帰るので、あまり深く考えてなかったのですよ」
「それに、君たちは負けた手前あまり疑問を口に出さなかったというのもあるだろう」
「そんな理由で……なのですか? しかし、会見ともなれば組織名は重要ですよ!?」
「あー……確かにそうだな……」

今頃担って気付く根本問題。
はっきり言って、自転車操業過ぎる状況だったので誰も意識に上らなかった可能性も……。
しかし、一応俺が長とはいえ、勝手に名称を決めて大丈夫だろうか?
それも旅先で……。

「因みに、現状で会議をするには少し時間が必要なのです」
「時間?」
「はい、会議を開く旨に関しては手紙を早馬で届けさせればいいですし、
 内容についてはリフティちゃん経由で即日知る事が出来るのです。
 つまり2日あればなんとかなると思うのです」
「では、組織名の試案を俺が書いて、会議を開いて承認するようにという文面をつければいいわけか」
「それでいいと思うのです」

そんなこんなで、俺は組織名の試案を出し、手紙に添えて送る。
因みにこの世界の紙は羊(?)皮紙なのでかなり高い。
だが、幸い用意のいいアル・サンドラが何枚か所持していた。
そして、アルテが1人の騎士とその馬に祝福を施すと、その騎馬は凄まじいスピードで走り出していった。

「まあ、半日持てばいいほうなのです。しかも筋肉痛で数日動けなくなるのです」
「ひでぇ……」
「でも大丈夫なのです。引継ぎの早馬は手配してあるのです」
「いつの間に……」
「こんな事もあろうかと、なのです!」
「っておい!」

まさか真田さんネタが飛び出すとは思わなかった、本当にこいつは何でもありだな。
ともあれ、俺達は数日この宿で過ごす事になりそうだった……。

2日ほど、久しぶりに少し気を抜いた日々を送った。
アル・サンドラと訓練したり、いつの間にかアルテと漫才していたり。
とはいえ強者度が上がるほどでもなかったようだが。
そして無事に組織名を決めたその日の内に、村長の呼び出しがあった。
知っていたのか、それとも偶然かは分からないがタイミングのいい事だ。

「……なるほどなのです」
「ああ……」

城に案内され、内部を歩いている俺達はここの作りに対し感想を抱いていた。
明らかに成り金趣味、金ぴかの置物やら、ギラギラ光る水晶っぽいもの等目に痛い品物が続く。
相手の気力を殺ぐためのトラップだとしたら成功しているだろう……。
俺とアルテはげんなりしていた。
サンドラも確か王都の生まれらしいので、妙な汗をかいているのが分かる。
おつきの騎士を2名連れているがそちらはあまり気にしていないようだ。
逆に案内が緊張しているのが窺える、まあ当然だろう、反乱軍の首魁が来ているのだから。
そして、村長の執務室というか謁見の間の入り口まで来た。
だがそこでは衛兵らしき男達が2人槍を交差させて立ちふさがっている。

「面会が許されたのはタツヤ・ワタナベのみだ、残りはここで待っていろ」
「なっ! 無礼な!! 組織の長に護衛も付けずに来いと言うか!!」

衛兵達は物々しく言いつのるが、それに対しアル・サンドラが爆発していた。
衛兵2人の強者度はどちらも5、熟練というほどでもない。
実戦を経験した事もないだろうから、かなり強い方かもしれないが。
こちらの護衛騎士2人はどちらも10なので彼らに任せておくだけでも十分強行突破が出来る。
だが、そんな事をして会見をぶち壊しにしても仕方ない、それに人となりを見るチャンスでもある。

「構わん、どちらにしろ合うしかない。
 今は従っておこう、だが、協力関係が結べないようならサンドラ、お前に任せる」
「畏まりました」

アル・サンドラは本当にまじめな女性だ、降ったばかりなのにこれだけ活躍してくれるのはありがたい。
正直組織が大きくなりすぎて今引き締める人材が必要になっているのだ。
彼女はうってつけに思える、ただ組織の感情的に敵だった彼女をいきなり要職にはつけられない。
となると、手柄を上げてもらうしかない訳だが、場合によっては早速頼む事になるかもしれない。
そんな事を考えながら衛兵達の脇を抜け、10m四方程度の小さな謁見の間にやってくる。
そして、俺は立ったまま相手を見据えて言を放つ。

「お招きいただきありがとう。ドランブルク王国代表の渡辺達也(わたなべたつや)だ。
 以後見知りおき願おう」
「王国だと? 大きく出たものだな」
「ん? ここの村長は礼儀を知らないのか? 名乗られたら名乗り返すのが礼儀だろう?」
「……」

俺は組織名がドランブルク領を独立した王国にする事を目的としたものだと知らせた。
男はそれに驚きを隠せない様だった、当然だ、俺は王国そのものを相手にすると言っているのだ。
玉座を模したものだろう、金ぴかの椅子に座った筋肉だらけで、しかし太めの白人は怒りを顕わにする。
だが、俺は平然としている、ステータスが分かるのとアイコンで伏兵が読めるのは本当に強力だ。

名前:ラバノーバ・エントス 種族:人間
職業:村長       強者度:4
生命力:33/33   精神力:8/8
筋力 :19      防御力:19
器用度:21      素早さ:12
魔力 : 9      抵抗力:19
耐久性:18
<<術・技>>
政治:1(政治行動に補正)
<<装備>>
豪奢な衣装 :固さ2:防御力補正4:守備力6
強固の指輪 :一日一度だけダメージを10ポイント軽減する。
強固の指輪 :一日一度だけダメージを10ポイント軽減する。
<<物品>>
財布(4288D)
++++++
 

強固の指輪とかいうのが厄介だな、2回攻撃を無効化されるというのは戦闘においてはかなり不利だ。
伏兵がラバノーバの後ろにある垂れ幕の裏に4人、4本の柱の影にそれぞれ1人。
入口の兵も含め10人、平均強者度は5、強くはないが厄介ではある。
戦うとするなら、アル・サンドラを引き入れないと勝ち目は無い。
とはいえ、向こうもそこまで考えてはいないと信じたいが……。

「ラバノーバ・エントスだ、もっとも知っていて聞いたのだろう?
 貴様に礼儀をどうこう言われたくはないな」
「最もだ、しかし不思議だな。
 ツクモ村だったか、この村だけ豊作だったのか?
 周囲の村々は皆餓死者が出たり、身売りをするような事態になっているのにな」
「そうだ、ここは毎年豊作だ。
 他所の事は知らんがね、何しろこの村は周囲の情報が入ってきにくいからな」

ラバノーバの口元がにやりと歪む。
理由は知っているが教えないと言う事だろう。
まあ、これだけ無礼を働いたのだ、追い返されたり武力行使されていないだけ懐が深い奴なのだろう。
最も、俺が無礼を働いたのには意味がある。
理由の一つは、この男は交渉相手にならないだろうからだ。
そしてもう一つは情報の確保、相手の感情に訴えると言う意味で怒らせるというのは下策ではない。
もっとも、大きな効果は得られていないようだが。

「まあそれはそれでいいんだが、いい加減お前たちの代表を出してくれないだろうか?」
「は?」
「ラバノーバ村長は確かに村の長なんだろうな、この城の主ももしかしたらそうかもしれない。
 だが、村の実質的権力はあんたにはないだろう?」
「なっ、何を言っている!?」
「知っているさ、ここに伏兵が8人いる事も。
 そして部屋の後ろで聞き耳を立てている人物がいる事もな」
「なっ、何を根拠に……」

うろたえるラバノーバ、しかし、残念ながら俺の目にはアイコン表示で1km圏内の人物は丸見えだ。
壁で隠れていようと、天井裏にいようと、地下に隠れていようと、俺の視界1kmに入れば表示される。
隣の部屋で聞き耳を立ててる奴なんて丸見えだと言う事だ。
そして、そのパラメーターも。

名前:フィブリノ    種族:魔族
職業:隠者       強者度:15
生命力:83/33   精神力:72/78
筋力 :??      防御力:??
器用度:??      素早さ:??
魔力 :45      抵抗力:??
耐久性:??
<<術・技>>
政治:4(政治行動に補正)
戦略眼:4(作戦行動に補正)
暗黒魔法:?????
<<装備>>
ローブ :固さ2:防御力補正4:守備力6
指輪:???
指輪:???
<<物品>>
財布(1633D)
++++++

流石は魔族というべきか、人間より強力そうだ。
精神力や魔力が普通じゃない。
何にせよ、こいつの相手をするのはアル・サンドラでも厳しいかもしれない。
種族差ってやつは埋めるのが難しいな……。

「魔族と会うのは初めてなんでね、礼儀にもとる面があれば許してくれ。フィブリノさん」
「なっなー!?」
「ラバノーバ、もういいですよ」
「フィブリノ様……」
「まさか、見破る、いえ、私の事を知る者がいるとは思いませんでした」

隣の部屋からカーテンを経由しこの部屋がつながっている事は間違いないようだ。
フィブリノのアイコンの動きを見ていれば分かる。
そして数秒、現れたのは、紫色の肌と、額からユニコーンのような一本の角が出ている女性だった。
服装もローブを目深にかぶり、肌の色と角以外は判別しにくい。
だが、声の感じや体格から、恐らくは女性だろうとは感じられた。

「タツヤ殿、先ほどからのご無礼の段、誠に申し訳ありません。
 しかし我らとて、簡単に秘密を明かせ無かった事をご勘案くださり、平にご容赦の程を」

彼女は俺を見つめ、そしてすぐさま臣下の礼を取った……。
つまり、フィブリノは俺を試していたと言いたいらしい。
実の所はわからないが、それでも片膝をつき、頭をたれ、許しを請う以上、正面切って敵対はしないのだろう。
だが、まだ初対面、そして全く底を見せていない魔族、それに力でもアル・サンドラですら互角にやれるかどうか。
そんな彼女が何故いきなりこういう行動に出たのか、疑問ばかりが頭をよぎった……。




あとがき
方向性が……実の所よく分からない方向に進行しつつありますww
とりあえずは、元のレールに乗せる事は出来ると思いますが。
ともあれ、また一人ハーレム入り候補が出現しました。
まだまだ先は長いですが、最終的に8人くらいまでは増やしたいですねw



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