何と言うのだろう、原作では紹介されていないか、いないと思われるキャラは既に多く出て来ているが。

この人は、恐らく絶対いなかったろうとは思う、理由は単純だ。

この人がもしいたなら、出番がない等という事はないと思わせるだけの存在感を放っていた。

いわゆる、個性ではない、見た目は美人の女性、赤毛をポニーにしているオベリスクブルーの女生徒。

2年のトップの事を三沢に聞いたら答えられたのがその女性だった。

因みに、その時は三沢のために十代との代表デュエルを賭けた第七のデッキ調整につきあっていたんだが……。



「待て、なぜこんなカードを大量に入れるんだ?」

「ドローギミックは詰められるだけ詰めておくのが有利にデュエルをする秘訣なんだよ。

 ピンチの時に手札がなかったら最悪だろう?」

「それがそうだが、そうするとコンボギミックの数を減らす必要が出てくる」

「確かにそれは重要だが、コンボギミックなんていうのはあまり詰め込み過ぎると事故る。

 事故率を下げるためにもドローギミックは重要だぜ?」

「しかし、既に俺はやりくりターボのギミック1揃えと強欲な壺、天使の施しを入れている。

 これ以上は……」

「だが、せっかく打ち出の小槌も持っているんじゃないか。かなりのレアだぞこれは。

 完全な手札交換カードなんだしな」



アニメ効果だから打ち出の小槌は手札が減らない上にデッキに戻るので再利用もしやすい。

OCGなら結構な博打カードなんだが。

それに、この頃は俺の元いた世界ほどにコンボ成立の条件が甘くない。

まあ、三沢もさほど引きが悪い訳ではないから、それほど必要ないと感じるのかもしれないが。



「まさか三沢、望んだ時に望んだカードが引けるなんて思ってるんじゃないよな?」

「それは……」

「確かに一部鬼のように引きのいいデュエリストもいるが、俺達は違うだろ?」

「確かにそうだな……」



三沢は最終的に折れた、自分の引きが彼らと同じレベルではない事は承知しているんだろう。

まあ、デュエルの精霊がつくと引きがよくなるらしいが。

三沢のようなタイプがそうなるには、実際に精霊の世界に行って引っ張ってくるくらいしないと無理だろうな。



「そういえば……」

「ん?」

「いや、さわやか部長とデュエルしたんだよ」

「へぇ、十代に続き君もか。だとするとやっぱり女がらみか?」

「ああ、見た事ない女性にたまたま話しかけられてな。その後だ」

「その人はよほど美人だったんだな」

「まあな、知的美人タイプの少女だったが、胸がな……多分部長の好みだったんじゃないかと……」

「ああ……それはわかるな……」

「そういえば、さわやか部長はよくカイザーと同等だって言っているが、二年のトップは誰なんだ?」

「2年の……トップだと!?」



急に表情を変えて俺に詰め寄る三沢。

顔色の変りっぷりから、何かトラウマ的な事があったのだろうか?



「うお!? どうかしたのか?」

「いやすまない……」

「いや、話したくないならいいんだが……」

「そう言う訳じゃない、ただ、2年のトップデュエリストは女性でね」

「へぇ、珍しいな。男女比が3倍近いデュエルアカデミアで女性がトップという事は並大抵じゃないだろう」

「ああ、実際並大抵じゃない。炎の魔女という渾名で知られている」

「そりゃまた……」

「彼女と対戦したデュエリストの何割かは自信を喪失してアカデミアを去ったという。

 苛烈な性格でも知られている」

「そんな女性がいれば俺にも情報が伝わりそうなものだが……」

「彼女は、デュエルアカデミア・アークティック校に交換留学しているからな。

 俺達が目にする機会があったとすれば、入学直後の数日くらいのものだろう」

「かなり長期なんだな」

「ああ、半年近く行く事になっているらしい、後一か月ほどという事になるな」

「名前は?」

「姫神穂村」

「へぇ、名字が凄いな」

「確かに、しかし、穂村という名前を炎(ほむら)から取ったのではないかと噂されているくらいに強烈らしいぞ」



アークティック校っていうと、確かヨハンのいた所だっけか。

いや、正確には今年入学した中にヨハンがいるという事になるのか?

まあ、深く考えても意味はないが、ともあれ交換留学か。

ってことは、向こうからも誰かが来ている事になるんじゃないか?



「アークティっク校からは誰か来ているのか?」

「そういえば、そんな話は聞いた事がないな……」

「まあいいか、いない人の事を話しても仕方ない」

「そうだな、それよりデッキを詰めるとしよう。十代に対抗するためには……」

「いやいや、そもそも十代だけのためのデッキを作るのは……」

「だが、あいつの融合モンスターは……」

「むしろ封じるならスカイスクレイパーのほうがよくないか?」

「むぅ……」



相手の行動を制限して勝つ、正しいデュエルには違いないんだが。

問題は、その勝ち方こそが三沢の空気化の原因である可能性なんだよな。

メタデッキは嫌われるからな……、相手の動きを封じるって事は、相手は派手な攻撃が出来なくなるから。

デュエル全体が地味になってしまうのが最大の欠点だ。

だからかどうか、パーミッションデッキがアニメ化したのを見た事がない。

強さという意味で言うならあれはあれでかなり強いんだがな、まあカウンターのカードが旨く当てはまらない場合もあるが。

それとなく、三沢に伝えておかないとな……。


事の起こりというか、彼女の事を知ったのはそんな感じだった……。

実際に合ったのは……っとああ、その前に三沢の新しいデュエルについて触れておきたい。

俺達が相談して決めた三沢のデッキはピケルとクランを主体にした魔法使い族デッキ。

いや、変わりすぎだろうと思うかもしれないが、元々素養はあったのだ。

後はひと押しくれてやるだけでよかった。



「可愛いは正義だ! 妙な視線なんぞに負けるな!」

「あっ……ああ!!」



実際、魔法使い族はサポートカードが多く、三沢のような理詰めで考えるタイプのデュエリストには向いている。

オキシゲドンやハイドロゲドン、カーボネドン等の恐竜デッキは確かに三沢オリジナルだが、

後に恐竜デュエリストことティラノ剣山にお株を完全に奪われる。

それでは普通に空気化一直線なので、俺としては何としても印象に強いデュエルをしてほしかったのだ。

あの二枚のアイドルカードは絶対受ける。

三沢はちょっとキャラが変わってしまう可能性が高いが、中途半端にデッキに入れているよりずっといい。

それに、入れた覚えがないのに入っているという事は、精霊がついている可能性もない事はないだろう。



「お前のタクティクスはどうしても地味になりがちだ。

 そこで、アイドルカードというわけだ」

「うっ、ううむ……だが、バーンデッキにしろというのか?」

「いいや、あくまで魔法使い族デッキだ。

 バーンはロックしないといけないが、そもそも十代がロックを許してくれるとは思えん」

「だがそうなると……」

「ああ、ローレベルのギミックで対応できるんじゃないか?」

「ローレベルか……」



どちらにしろ、多少なりと相手を制限しない事には活躍できないのがローレベルの痛い所ではあるが。

ただ、それでもコンボを使えば色々な戦い方が出来るのがローレベル魔法使い族の強みではある。

この事は先に十代にも伝えてある、”俺は三沢のデッキ調整につき合う事にする”と。

十代は”ああすっげぇデッキが出来るのを期待してるぜ!”と言っていた。

先日は佐藤先生にもコンボ等で話を聞いてもらっている。

やはり、細々としたことではあの人かなりやり手だと思った。

これだけ色々詰め込むんだ、凄いデッキになりそうではある。



「いいか、ロックのギミックはオマケだ」

「オマケ? 低攻撃力のバーン効果メインじゃないのか?」

「バーン効果は有効に使っていくといいが、ロックなんかしててもどうせ破られる。

 それに、もっと有効な……」

「何、それは一歩間違えば破れかぶれの特攻じゃないのか?」

「だから、そのための大量のドローギミックだろ?」

「う……むぅ……」

「お前なら扱えると信じてるよ。中途半端なデッキで勝つよりそのデッキを使いこなした方が格好いいって!」

「むむ……分かった、この路線で突き詰めていくとしよう」

「そうこなくっちゃ!!」



うむ、これで三沢のデッキはまるで別物になった。

そんなこんなで翌日、十代と三沢のノース校親善試合代表決定戦が始まる事となった。

俺は三沢のセコンドみたいなつもりだったが、追い出されたので観客席で大人しく観戦する事にした。

すると、翔がやって来てうらみがましい目で俺を見る。



「ヨシカツ君の裏切り者ー!」

「そう言うなって、俺は両方の友達のつもりだからな、楽しいデュエルをしてほしいと思っているんだ」

「楽しいデュエル?」

「ああ、十代は言わずもがなだが、三沢ももう少しその辺りふっきれたらいい線行くんじゃないかってね」

「ふっきれる? どういう事なんすか?」

「あいつあれで結構格好つけてたからな、かみ合わなくなり始めてたようだし」

「え?」

「分からないならそれでいいんだよ、ただ、翔、これからは三沢も友達に入れてやってくれ」

「あっ、うん……そのつもりすけど……」



翔は首をかしげている、まあ、まだ三沢は空気化してる訳じゃないから分からないだろう。

とはいえ、兆候は既に確認された、前回の神楽坂とのデュエルの時、既に一度言われたらしい。

”えっ、三沢君いたんすか?”と……。

三沢……後がないぞ、頑張れよ……。



「さあ、ラー・イエロートップのシニョールダイーチ!!」

「はい!」

「ドロップアウトのしにょーるじゅうだい」

「おいおい」

「ノース校との親善試合の権利をかけてデュエールなノーネ!!」

「「「「「「「おおおーー!!!」」」」」」


「「デュエル!」」



十代:LP4000   三沢:LP4000



「俺のターン! ドロー!」



元気のいい声で十代が先攻を宣言する。

やっぱりデュエルディスク判定より前にやってるのかね?

両方とも楽しそうな顔してるしまあいいか。



「俺は、フェザーマンを守備表示で召喚!」

『カァッ!』

E・HEROフェザーマン:通常モンスター/星3/風属性/戦士族/攻1000/守1000


「カードを一枚伏せてターンエンド」

「俺のターン、ドロー! 俺は……う”っ……」

「どうしたんだ三沢、今日は第七のデッキを見せてくれるんだろう?」

「ああ……ああ当然だ! 行くぞ! 俺は白魔導士ピケルを召喚!」

『はじめましてなの〜』

白魔導士ピケル:効果モンスター/星2/光属性/魔法使い族/攻1200/守 0


「三沢ッ!?」



流石に十代も別の意味で驚いた様子だ。

んむ、インパクトは抜群だな!

ってあれ? さっきあのピケルじゃべらなかったか?



「三沢君がアイドルカードを出してるっす!?」

「あれは、俺が教えた戦術だ」

「あんなのだしたら負けるだけっすよ!!?」

「そうとも限らない、まあ見てなって」



俺達はデュエルフィールド上の三沢と十代に視線を戻す。

十代の驚き用がなにか……あ、もしかして。



「三沢お前……精霊が見えてんのか?」

「なんだそれは? 兎に角行くぞ! ピケルで攻撃! ピュア・ホワイト・プリズム!」

『フェザーマンさんごめんなのー』

『うおおおお、なんだこのゾクゾクは……!?』

「おい、フェザーマンしっかりしろ!?」

「十代?」



三沢の攻撃命令でピケルは杖を一振り、するとシャボン玉のような光がいくつも発生しフェザーマンを襲う。

何と言うか、消えていくフェザーマンはむしろ楽しげに見えた……。

十代が妙な事を危惧したくなるのも何だかわかるな。

理由が分からない三沢が一番戸惑っているようだ。



「何が起こってるんすか?」

「いや、普通にピケルでフェザーマンを倒しただけだろ?」

「僕にもそう見えたっすが……2人の反応は変っすよね?」

「まあな……」



会場のほうでも十代のうろたえっぷりは不思議に見えるらしく、

俺は心の中で笑い出しそうなのを必死で止めることしかできない。



「とにかく! フェザーマンが破壊されたことでトラップ発動! ヒーローシグナル!

 デッキからクレイマンを守備表示で特殊召喚!」

E・HEROクレイマン:通常モンスター/星4/地属性/戦士族/攻 800/守2000


「俺はカードを4枚伏せてターンエンド」

「俺のターン、ドロー!

 俺はスパークマンを攻撃表示で召喚! 白魔導士ピケルに攻撃! スパークフラッシュ!!」

E・HEROスパークマン:通常モンスター/星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400


十代はどうやら様子見攻撃を行うようだ、確かにスパークマンなら融合前の素材だから被害は少ない。

それに、クレイマンを守備表示にしている強みもある。

本当は融合で一気に仕掛けたい所なんだろうが、

流石に4枚伏せに突っ込んでいくには融合解除がまだ手札にないと言ったところか。



『ハァッ!!』

『きゃーーーなのーー』

『うっ……』

「なんかやりにくいな……」


「くぅ!!」

三沢:LP4000→LP3600


「えっ、直撃したのか?」



だから、ピケルを戦闘破壊した事を当の本人である十代が驚いている始末だ。

しかし、あのデッキなら恐らく伏せているのは……。



「ドラップ発動! 命の綱!! 手札を全て捨てて発動! とは言え今俺の手札は1枚だけだがな。

 戦闘で破壊されたモンスターをそのままの表示形式で復活する!」

白魔導士ピケル:効果モンスター/星2/光属性/魔法使い族/攻1200/守 0

『ただいまなの〜』



「更に、命の綱で復活したモンスターの攻撃力は800アップする!」

白魔導士ピケル:攻撃1200→攻撃2000

『えっへん!』



あれ? OCG効果だな。

確かアニメ効果では手札消費はなかった気がするが、

その代わり処刑人マキュラの効果が手札を全て捨てないと発動できなかったはず。

ペガサス会長がエラッタ(内容調整)の指示でも出したのだろうか?

まあいいか。



「くっ、カードを一枚伏せてターンエンド」

「エンドフェイズにチェーンしてリビングデッドの呼び声を発動!」

「えっ、墓地にモンスターなんていたのか?」

「さっき、命の綱のコストとして……な?」

「流石三沢! 抜け目がないな」

「俺が墓地から復活させるのは、黒魔道師クラン!」

黒魔導師クラン:効果モンスター/星2/闇属性/魔法使い族/攻1200/守 0


『よいしょっと、もう、もっと早く助けなさいよ!』

『今言ってもたぶん分かんないと思うの〜』

『全く、鈍感なんだから……』

『えへへ、クランちゃんツンデレなの〜』

『違うって、唯迷惑してるだけ!』

『本当に〜?』

『ほっ、本当よ……』

「……」



あっ、また十代が茫然としてる。

実は十代女の子に弱いというか、女の子についていけないタイプなのではないだろうか?

まあ、デュエルにずっと夢中という感じだし、多分そうなんだろうな。



「俺のターン、ドロー!

 スタンバイフェイズ、白魔導士ピケルの効果発動!

 自分フィールドのモンスターの数×400のライフを回復する。

 俺のフィールドにはピケルとクランがいる、つまり400×2で800回復する! 癒しの魔法陣!」

『痛いの痛いの飛んでけ〜♪』

三沢:LP3600→LP4400



「さっき与えたダメージが回復しちまった!?」

「ピケルをただのアイドルカードだとは思わない事だ!」

『なのなのー♪』

「やっ、やる気が……」



おうおう、三沢乗ってるなー。

でもまあ実際あの命の綱のお陰で攻撃力は2000になっている。

エッジマンか融合ヒーローが出てこない限りは安泰なくらいの攻撃力があるな。

それに、ピケルののんびりした行動が十代の精神に攻撃を咥えている様子。

はっきり言えば自分のノリに引きこめないので調子がつかめないんだろう。



「アニキなんだか全力を出せてない感じがする……」

「まあそうだろうな」

「それもこれもヨシカツ君のせいっすよ!!」

「それは……どうだろう?」

「ヨシカツ君のせいっす! アニキが負けたらどーしてくれるんすか!!」

「心配しなくても十代はデュエルなら全力を出す奴だよ。手を抜くなんて事はあり得ない」

「それは……そうっすけど」



まあ、目の前でうなだれる十代を見ると不思議で仕方ないだろうが、

三沢は全く意識していないのだから、十代もどう反論していいやら分からないのだろう。

とはいえ、三沢ももうすぐ見えるようになるはずだ、実際彼らもセブンスターズ編では精霊とデュエルする事になるからな。



「更に、黒魔道師クランの効果発動! 相手フィールド上のモンスターの数×300のダメージを与える。

 お前の場には、クレイマンとスパークマンの2体がいる! よって600のダメージ! 試練の魔法陣!」

『さあ、踊りなさい!』

「くぉぉぉ!」

十代:LP4000→LP3400


「そして俺はフィールドに伏せた強欲な壺の効果発動! デッキから2枚ドローする」



なんていうんだろう、このリリカルなデッキ、本当に三沢に合っている気がする。

流石にこのまま押し切れるとは思わないが……。

色んな意味で、三沢が空気化するフラグをへし折れそうだなw



「更に、俺は手札からマジシャンズ・ヴァルキュリアを召喚!」

マジシャンズ・ヴァルキリア:効果モンスター/星4/光属性/魔法使い族/攻1600/守1800


「バトル! ピケルでスパークマンに攻撃! ピュア・ホワイト・プリズム!」

『スパークマンさんごめんなさ〜い』

『うっ……!?』

「そうはいかないぜ! トラップ発動! ヒーローバリア!

 場にヒーローと名のつくモンスターがいる時、一度だけバトルを無効にする!」

「くっ、そう簡単にはいかないか」

『くやしいです〜』

『あんたは元々ボケボケなんだから気合いれなくてもいいのよ』

『クランちゃんたらひどい〜』

『お姉様と呼びなさい、双子だけど私が姉なのよ?』

『え〜クランちゃんはクランちゃんだよー』

「ああっ、なんかすっげー脱力する……」

「どうかしたのか?」

「いや、なんでもないぜ!!」

「そっ、そうか……なら俺は、カードを一枚伏せてターンエンドだ」



十代の戸惑いが三沢も戸惑わせているという妙な構図になりつつあるが、

とりあえずデュエルは今の所三沢有利で進んでいる。

とはいえ、十代も手札を温存しているから反撃の準備も出来ていそうだが……。



「俺のターン! ドロー!

 俺は手札から融合を発動! 場のスパークマンとクレイマンを融合!

 現れろ! エレメンタルヒーロー・サンダー・ジャイアント!」

E・HEROサンダー・ジャイアント:効果モンスター/星6/光属性/戦士族/攻2400/守1500


「サンダー・ジャイアントの効果発動!

 手札を一枚墓地に送り、元々の攻撃力がこのモンスターより低いモンスター一体を破壊する!

 俺が破壊するのは、白魔導士ピケル! ヴェイパー・スパーク!!」

「その展開は予測していた! 速効魔法発動! 我が身を盾に!

 ライフを1500払い、モンスターを破壊する効果を使ったカードを無効化し、破壊する!」

三沢:LP4400→LP2900


「なっ!?

 まさか読まれてたってのか、流石だな……だけどこれはどうかな?

 さっき墓地に送ったネクロダークマンの効果発動!

 一度だけ、ヒーローと名のつくモンスターを生贄なしで召喚できる!

 俺が召喚するのは、エレメンタルヒーロー・エッジマン!」

E・HEROエッジマン:効果モンスター/星7/地属性/戦士族/攻2600/守1800


「さあ行くぜ! エッジマンでマジシャンズ・ヴァルキュリアを攻撃! パワーエッジアタック!」



当然そうなるよな。

攻撃する場合、マジシャンズ・ヴァルキュリアの効果で他の魔法使い族モンスターに攻撃できない。

十代としても効果を使うピケルとクランを先に潰しておきたい所だろうが、仕方ない話だ。



「くっおおおー!!」

三沢:LP2900→LP1900


「これで、かなりこっちのリードって事になるが、まさかこのまま終わらないよな?」

「ああ、当然だろう一番君」

「なら、さあ来い2番! 俺は永続魔法悪夢の蜃気楼を発動! そしてカードを一枚伏せてターンエンド!」

「俺のターン、ドロー!!」



十代は決めに来たようだな、悪夢の蜃気楼で4枚までドローすれば十分ソースがあるだろう。

しかし、三沢はまだ終わっていない。

あれはまだ出ていないわけだからな。



「スタンバイフェイズ! ピケルの効果発動!

 自分フィールドのモンスターは2体よって癒しの魔法陣で800ポイントの回復!」

『おにいちゃんがんばなの〜』

三沢:LP1900→LP2700


「更に、クランの効果発動! 相手フィールドのモンスターは1体、よって試練の魔法陣で300ポイントのダメージ!」

『もっと派手にいきたいものね』

「くっ」

十代:LP3400→LP3100


「俺の方もスタンバイフェイズで効果を使うぜ! 悪夢の蜃気楼の効果で4枚ドロー!

 そして、速効魔法非常食! 悪夢の蜃気楼を墓地に送りライフを1000回復だぜ!」

十代:LP3100→LP4100


「今までのダメージが……、だが! 俺も使わせてもらうぜ!」

「非常食! ってことはやりくりターボか!?」

「そうだ! ゴブリンのやりくり上手を2枚発動! そして非常食をチェーン発動!

 ライフを2000回復!」

三沢:LP2700→LP4700


「そして、ゴブリンのやりくり上手の効果! 1枚ドローして1枚デッキに戻す。

 ただし、墓地の同名カードの数だけ追加でドローできる、墓地の同名カードの数は2枚!

 よって3枚ドローして1枚デッキに戻す。そして、2枚目も同様の処理をする!」

「手札5枚、それで何をしてくれるんだ?」

「クランに王女の試練を装備! 攻撃力が800ポイントアップ!」

『ふふん!』

黒魔導師クラン:攻撃1200→攻撃2000


「バトル! クランでエッジマンを攻撃! パリニカル・ウイップ!」

『ちょ!? 攻撃力負けてるわよ!?』

『クランちゃんがんば!』

『ガンバじゃないー!?』

「攻撃力が足りないぜ!」

「心配無用だ! 速攻魔法収縮! 対象の元々の攻撃力の半分攻撃力を下げる!

 エッジマンの攻撃力を半減!」

E・HEROエッジマン:攻撃2600→攻撃1300


『えっ、えー!?』

『クァァァァ!?(なんだこのゾクゾクは!?)』

「くっ!」

十代:LP4100→LP3400



いくらレベル7のエッジマンといえど攻撃力を半分にされればその能力はさほどでもない。

しかし、三沢もよく王女の試練を使おうと思ったな……。

他のサポートカードが結構いろいろあるから、むしろ成長させる意味はあまりないのだが。

破壊の標的になりやすくなる分損ともいえる。



「更に! ピケルでダイレクトアタック!」

『うにゃー!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいなのー!!』

「トラップ発動! ヒーロー見参! 相手の攻撃宣言時に発動!

 相手に手札からランダムで選ばせ、もしそのカードがモンスターカードだったら特殊召喚できる!

 俺の手札は4枚、さあどれを選ぶ?」

「なら一番右だ!」

「ビンゴ! モンスターカード! 俺はフレンドッグを守備表示で特殊召喚するぜ!」

フレンドッグ:効果モンスター/星3/地属性/機械族/攻 800/守1200



えっ、ヒーローじゃないのか。

アニメじゃいつもヒーローが選ばれてたからなー。

でも確かに悪くない手ではあるな。



「ピケルでフレンドッグを攻撃! ピュア・ホワイト・プリズム!」

『ヒィ! 犬さん怖いのですー!』



ピケルはそういいつつもシャボン玉をフレンドッグにぶつけ、破壊している。

なんというか、無邪気だが暴走娘という感じだな。



「破壊され墓地に行った事により、フレンドッグの効果発動!

 墓地から融合の魔法カードとヒーロー一体を回収する! 俺はフェザーマンを手札に戻すぜ」

「ならば俺は王女の試練の効果発動!

 このカードを装備したピケルかクランがレベル5以上のモンスターを破壊した時、

 このカードと装備モンスターを墓地に送り、デッキから魔法の国の王女(マジカル・プリンセス)を特殊召喚する!

 出でよ! 魔法の国の王女クラン!」

魔法の国の王女−クラン:効果モンスター/星4/闇属性/魔法使い族/攻2000/守 0


『ようやく本領発揮ね、それにリビングデッドの呼び声とも離れられたし、

 サイクロンで破壊されないかビクビクだったわ……』

『クランちゃん格好いいー♪』

『何言ってるのよ、格好いいとか悪いとか、そんな事じゃないの、これで効果が倍になるんだから。

 バトル以外はどんと来いよ!』

『クランちゃんそこはかとなく弱気だ〜』

『仕方ないでしょ、壁モンスターがいないんだもの』

「カードを2枚伏せてターンエンド!」



十代は笑いださないように苦虫をかみつぶしたような顔をしている。

隣でくりくり慰めているハネクリボーが何だか哀れだ。



「俺のターン! ドロー!」

 俺は、マジックカード融合を発動する! 手札のフェザーマンとバーストレディを墓地に送り。

 現れろ! エレメンタルヒーロー・フレイム・ウイングマン!」

E・HEROフレイム・ウィングマン:効果モンスター/星6/風属性/戦士族/攻2100/守1200


「更に! フィールド魔法スカイスクレイパーを発動! これがヒーローの戦う舞台だ!」

「既に攻撃力で上回っているのにか?」

「やって見ればわかるさ、バトル! フレイム・ウイングマンで魔法の国の王女クランに攻撃!」

「速攻魔法、収縮! フレイム・ウイングマンの攻撃力を半分にする!」

E・HEROフレイム・ウィングマン:攻撃2100→攻撃1050


「甘い! スカイスクレイパーの効果! ヒーローが攻撃力が低い場合に攻撃するとき攻撃力を1000上げる!

 スカイスクレイパー・シュート!!」

E・HEROフレイム・ウィングマン:攻撃1050→攻撃2050


「なっ!?」

『やっぱり戦闘は無理だってー!!!』

「魔法の国の王女クランを撃破! そして、フレイム・ウイングマンのモンスター効果!

 破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けてもらう!」

「トラップ発動! ピケルの魔法陣! ターンのエンドフェイズまで効果ダメージを全てゼロにする!」

『いじめちゃ駄目なの〜!』

「流石三沢だ、デッキが変わったからって強い事には変わりないな!」

「当たり前だ、このデッキもちょっとまああれだが、俺の中でも一番のデッキなのは間違いない!」

「ならそれを破って勝利してやるぜ!」

「それはこちらの台詞だ!」

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

「俺のターン! ドロー! スタンバイフェイズ、ピケルの効果発動!

 自分フィールドのモンスターはピケルのみ、よってライフを400回復する!」

『頑張るの〜!』

三沢:LP4700→LP5100


「マジックカード強欲な壺を発動! デッキから2枚ドローする。

 そして、死者蘇生を発動! 黒魔道師クランを復活させる!」

黒魔導師クラン:効果モンスター/星2/闇属性/魔法使い族/攻1200/守 0


『おかえり〜♪』

『ただいまーじゃないわよ! パワーダウンしちゃったじゃない』



だがまあ、王女は召喚条件が決まってるから、墓地から再生できないんだよな。

三沢としても、本当は王女のほうを再生したかった所だろう、バーンも攻撃力もかなり違うからな。

でも、出し辛いキャラなのに戦闘はあんまり出来ないから、やっぱりバーン効果を狙うしかないのかね。



「そして、俺はマジックカード、テラフォーミングを発動! フィールド魔法闇を手札に加える」

「しまった!」

「フィールド魔法、闇を発動!」

「スカイスクレイパーが!?」



高層ビル街になっていたフィールドはゆっくりと闇に落とされていく。

ピケルやクランには似合わないが、闇は魔法使い族の攻撃防御を高める効果があるからな。

そのうえスカイスクレイパーも破壊できると、そう計算して渡しておいたかいがあったな。



『あーん、殆ど見えなくなっちゃったよう』

『でもあたし達には適応してるみたいよ?』

「闇の効果で魔法使い族モンスターの攻撃力、守備力は200ポイントアップ!」

白魔導士ピケル:攻撃2000→攻撃2200

黒魔導師クラン:攻撃1200→攻撃1400



「いけ! ピケルでフレイムウイングマンに攻撃! ピュア・ホワイト・プリズム!」

「トラップ発動! ヒーローバリア! ピケルの攻撃を無効にする!」

「くっ、カードを一枚伏せてターンエンド」

「俺のターン! ドロー!!」



それにしても、ピケルとクラン本当によく粘るな。

これだけあいつらが持つとは思っていなかった。

それだけ三沢の執念が強いのか、タクティクスが凄いのか。

たんに引きがいいだけか。

だが、とうとう手札切れになってしまった。

十代はまだチートドローを2種類残している。

かなり不利だな……。



「俺はワイルドマンを召喚!」 

E・HEROワイルドマン:効果モンスター/星4/地属性/戦士族/攻1500/守1600


「そして、ワイルドマンに装備魔法サイクロン・ブーメランを装備!」

E・HEROワイルドマン:攻撃力1500→攻撃力2000



そういえば、サイクロン・ブーメランも微妙にOCGとアニメの効果が違う。

効果発動条件が厳しくダメージも小さいのがOCG、

だけどこれに限って言えばアニメ効果でようやく並という気がする。

上手くワイルドマンに装備出来るのかという点があるからだ、枚数的に厳しい事が多い。



「ワイルドマンでピケルに攻撃! 行け! ワイルド・ブーメラン!!」

「自爆特攻か! だが、失敗だったな!

 俺の伏せカードは速攻魔法収縮! 戦闘発生前に発動! フレイムウイングマンの攻撃力を半分にする!」

E・HEROフレイム・ウィングマン:攻撃2100→攻撃1050


「くっフレイムウイングマンでの追撃を封じてきたか! だが闇は破壊させてもらうぜ!」

『あう、やめてくださいです〜!』

『オオウ!?(なんという幼女!?)』

十代:LP3400→LP3200



攻撃力の勝るピケルがワイルドマンを返り討ちにする。

しかし、ワイルドサイクロンの効果はここからが真骨頂、とはいえアニメ効果の場合に限りだが。

OCGだと戦闘破壊では効果発動しないからなー。



「ワイルドマンが破壊された事により! サイクロン・ブーメランの効果発動!

 フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 そして破壊した魔法・罠カードの枚数×500ポイントのダメージを受けてもらうぜ!

 破壊したカードは2枚! フィールド魔法闇と、残りっぱなしの永続トラップリビングデッドの呼び声!

 よってダメージは1000だ!」

「ぐぉぉ!!」

三沢:LP5100→LP4100

白魔導士ピケル:攻撃2200→攻撃2000

黒魔導師クラン:攻撃1400→攻撃1200


「ターンエンド」

「俺のターン! ドロー!」



三沢に少し焦りが見られるな、何せこの状況でも十代はむしろ楽しそうに笑っているからな。

追い込まれるほど燃えるタイプというか、この頃の十代はデッキを信じているし、デュエルを楽しんでいる。

こういうタイプのほうが土壇場では強いというのは相場なんだが、アニメではそのまんまだったな。



「スタンバイフェイズ! ピケルの効果! 場にピケルとクランがいる事により800ライフを回復!」

『なんだか省かれてる感じがするの〜』

三沢:LP4100→LP4900


「更にクランの効果! 相手フィールドにはフレイムウイングマンのみ、よって300のダメージ!」

『まー、何ターンも同じ事ばっか言えないだろうけど』

「くっ」

十代:LP3200→LP2900


「カードを一枚伏せてターンエンドだ」

「俺のターン! ドロー!

 フレイムウイングマンでピケルを攻撃! フレイム・シュート!」

『また狙われてるの〜!?』

『進化系をやられた私よりましでしょ』

「トラップ発動! 闇の呪縛!」

「何!?」

「この効果によりフレイムウイングマンの攻撃は出来なくなり、攻撃力が700ポイントダウンする!」

E・HEROフレイム・ウィングマン:攻撃2100→攻撃1400


「マジックカード戦士の生還を発動!

 クレイマンを手札に加え、守備表示で召喚! ターンをエンドするぜ!」



互いに手札切れ状態なのでターンの進行が早くなっている。

十代がチートドローカードを引くのが先か、それとも三沢が押し切るかというところだろう。

ライフ差は放っておいても開いて行く。



「俺のターンドロー!

 スタンバイフェイズ! ピケルの効果発動! ピケルとクランが自分フィールドにいるため800回復!」

『元気になーれ!』

三沢:LP4900→LP5700


「更に、クランの効果発動! 相手の場にクレイマンとフレイムウイングマンがいる事で600のダメージ!」

『そろそろ倒れてくれないかしら?』

「くそっ!」

十代:LP3200→LP2600


「クランに装備魔法団結の力を装備! 自分フィールドのモンスター×800ポイント、つまり。

 攻撃力守備力は共に1600アップする!」

黒魔導師クラン:攻撃1200→攻撃2800


『前の時にこれを引いてればね……』

「すげぇ、すげぇぜ三沢! こんなにやるとは思わなかった!」

「俺もびっくりしているよ。このデッキを組んだのは昨日だからね、しかし相性が抜群にいいようだ」

「ああ、だが俺も負けないぜ!」

「それはこれを食らってから言うんだな!

 ピケルでフレイムウイングマンに攻撃! ピュア・ホワイト・プリズム!」

『やってしまいますのー!』

『長くなってあんたもヤサグレてきたわね』

「ぐッ!!」

十代:LP2600→LP2000


「そして、クランでクレイマンに攻撃! パリニカル・ウイップ!」

『そろそろネタ切れよね! 次は止めにしてあげるわ!』

「ッ!」

「ターンエンド」



これで確かに正真正銘、十代のフィールドはガラ空き。

その上、手札もゼロ。

三沢は手札1枚、伏せカード1枚フィールドに攻撃力2000のピケルと攻撃力2800のクラン。

普通なら逆転はない、だが十代だからな……。



「俺のターン! ドロー!

 俺の引いたカードは、エレメンタルヒーロー・バブルマン!」

「何!?」

「バブルマンはこれ以外にカードが無い時手札から特殊召喚できる!」

E・HEROバブルマン:効果モンスター/星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200


「そして、フィールドにカードが他に存在しない時カードを二枚ドローする!」



図った様な引きだなおい。

まあ十代のチートに文句を言ってもどうしようもないんだが。

神がかってるのか鬼が付いてるのか、ハネクリボーだけでは説明がつかない。



「そして、強欲な壺を発動! デッキから2枚ドロー!

 更に! マジックカード天使の施し! 3枚ドローし2枚墓地に捨てる」



これで手札は3枚、いつもながら凄い引きだ。

十代は特に何の気なしにやっているんだろうが、三沢も青ざめている。

心なしかピケルとクランもだ。

なんというか、アレの相手はあんまりしたくないと思うよな。



「マジックカード融合回収を発動!

 墓地から融合素材として墓地に行ったモンスター一体と融合魔法カードを回収する。

 俺はフェザーマンを回収する!

 そしてマジックカードオーバーソウルを発動!

 墓地のスパークマンを特殊召喚する!」

E・HEROスパークマン:通常モンスター/星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400



ありゃあ、俺が渡したカード、そうか……俺のせいで十代のデッキが強化されてるのか。

そういえば、EコールとRジャスティスも渡したな確か……。



「そして、場のバブルマンと、スパークマン、そして手札のフェザーマンを融合!

 現れろ! エレメンタルヒーロー・テンペスター!!」

E・HEROテンペスター:融合・効果モンスター/星8/風属性/戦士族/攻2800/守2800


「なっ、なんだとこの場に及んでまだそれだけの事をしてくるというのか!?」

「当然! まだまだ終わらないぜ! 行けテンペスター! ピケルに攻撃! カオス・テンペスト!!」

『うにゃー!?』

「くそ!?」

三沢:LP5700→LP4900


「更に! ピケルが墓地に行った事によりクランの攻撃力も下がるぜ!」

黒魔導師クラン:攻撃2800→攻撃2000


『うそぉ!?』

「それはどうかな、トラップ発動! 時の機械−タイム・マシーン! 戦闘破壊されたモンスターを復活させる!」

白魔導士ピケル:効果モンスター/星2/光属性/魔法使い族/攻1200/守 0


「そしてクランの装備した団結の力の攻撃力が増す!」

黒魔導師クラン:攻撃2000→攻撃2800


『ただいま!』

『おっ、おかえり……』

「だが、攻撃力は基本の値に戻っているようだな」

「……ッ!!」

「ターンエンドだぜ!」

「俺のターン、ドロー!

 スタンバイフェイズ! ピケルの効果! ピケルとクランがいることでライフ800回復!」

『かなーりてきとーなの〜』

三沢:LP4900→LP5700


「更に、クランの効果! 相手フィールドにテンぺスターがいるため300のダメージ!」

『これだけ何回もやってればね〜』

十代:LP2000→LP1700


「ドローしたのはモンスターカード……だが……。

 仕方ない、俺は王立魔法図書館を守備表示で召喚する!」

王立魔法図書館:効果モンスター/星4/光属性/魔法使い族/攻 0/守2000


「団結の力の効果により、クランの攻撃力が800アップ!」

黒魔導師クラン:攻撃2800→攻撃3600


『これならいける!』

「な……」

「行け! クランでテンぺスターに攻撃! パリニカル・ウイップ!」

『今なら誰にだって負けないんだから!』

『バカな、バカなー!?!?』

「テンぺスター!!」

十代:LP1700→LP900



いくら攻撃力を増強しているからって、小さな女の子の持ったピンクの鞭で、

テンぺスターのようなヒーローが破壊されて消えていくのは滑稽な部分がある。

団結の力凄すぎ……。



「更に、ピケルのダイレクトアタック! ピュア・ホワイト・プリズム!」

『かれーに決めるの〜!』

「墓地から、ネクロガードナーの効果発動!」

「何!? さっきの天使の施しで墓地に送っていたのか!?」

「ふう、危なかったぜ……」



十代の言う事ももっともだ、まさかここまでピケルとクランでやれるとは思っていなかった。

三沢のタクティクス、確かに侮れないものがあるな。

というか、むしろピケルとクランへのこだわりが……。

精霊宿ってるもんな。

それはそれとして、ネクロガードナーなんて今の時点で持ってるものなんだな?

発売は2007年だから3年目に入るか入らないかという所だった気が。



「あっアニキー!!」

「落ち着け翔」

「でもヨシカツ君! ピンチっすよ! アニキが、このままじゃ本当に負けちゃう!!」

「よく見ろ! まだ十代の目は死んでいない」

「あ……」

「俺達は知っているだろう? ああいう目をした時の十代は負けない」

「それは……そうっすね、なんだかヨシカツ君アニキの事詳しいっすね!」

「……まあなんだ、同じ寮にいるんだしな」



アニメで見てましたとか言ったら頭おかしいんじゃないの?

とか思われそうだ、だが……確かに追い込まれたのも事実。

どうするつもりだ十代?



「ターンエンドだ……」

「ふう、凄い闘いだったぜ、これがラストターンだな。

 ここで俺が逆転出来ななければお前の勝ち、出来れば俺の勝ちってわけだ」

「ここまで来てまだそんな言葉を吐くか、十代……お前ってやつは凄い奴だよ」

「だが、一番は渡さねえぜ! 俺のターン! ドロー!!」



何だか、十代の手が一瞬光って見えた。

これはもうデスティニードロー確実でしょうな……。



「俺の引いたカードは! 死者蘇生!!

 俺は、バブルマンを墓地から特殊召喚する!」

E・HEROバブルマン:効果モンスター/星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200


「バブルマンの効果!

 フィールドに他のカードがない時、デッキから2枚ドロー!」



まさかまだドローソースがあるとは……、流石十代としか言いようがないな。

しかし、この状況を逆転できるようなカードが残っているのか?



「三沢、楽しかったぜ! お前のピケルとクランへのこだわり、凄いパワーを感じた。

 だが俺だって、ヒーローへのこだわりなら誰にも負けない!

 さあ、この間買ったばかりの新カードのお披露目といくぜ!

 マジックカード、ミラクル・フュージョン!!

 フィールドと墓地から融合に必要な素材モンスターを取り除き、融合召喚する事が出来る!」

「何!? この期に及んで融合だと!?」

「こっちも、ちょっとばかり融合条件がめんどくさいから暫く置いてあったカードだ。

 だけどこのミラクル・フュージョンがあれば問題なくなる。

 フレイム・ウイングマンとスパークマンを墓地から取り除き、融合召喚!

 現れろ! シャイニング・フレア・ウイングマン!!」

E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン:融合・効果モンスター/星8/光属性/戦士族/攻2500/守2100


「シャイニング……見た事がない……」

『ねーねーなんかやばそうだよ〜』

『うっ、でもまだあたしの攻撃力は3600あるわ! 負けないわよ!』


「シャイニング・フレア・ウイングマンの効果発動!

 墓地にあるエレメンタルヒーローと名のつくモンスターの数×300攻撃力を上げる!

 俺の墓地には、フェザーマン、バーストレディ、クレイマン、サンダージャイアント、ネクロダークマン、

 ワイルドマン、エッジマンそしてテンペスターの8体が眠っている! よって攻撃力2400アップ!」

E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン:攻撃2500→攻撃4900

『どひー!?』

『ど・ど・ど・どーしよー!?』


「更に! マジックカード発動! 潜入! スパイ・ヒーロー!

 デッキからランダムに2枚墓地に送って発動!

 相手の墓地にある魔法カード1枚を選択し、ターン終了時まで自分の手札として使用する事ができる!

 俺が選ぶのは! 強欲な壺!」 



何ー!?

あれで終わりじゃないのか!?

正直ここまででも、お互い凄すぎるデッキ周りなのに。

三沢も凄いが、十代の勢いが止まりませんって感じだな……。

どこまで行くんだか……。



「強欲な壺の効果でデッキから2枚ドロー!

 マジック発動! バブルシャッフル! バブルマンと敵一体、ピケルを守備表示にする!」

E・HEROバブルマン:攻撃800→守備1200

白魔導士ピケル:攻撃1200→守備0


『あう、ガードなの〜!』

『バカ! あたしたち元々の守備力は0なのよ!?』


「もう生贄を使って召喚するようなヒーローはいないはずだ!」

「ああ、だがこう言う使い方もできる!

 マジックカードヒート・ハート!

 エレメンタルヒーロー一体の攻撃力を500アップし、守備表示モンスターへの貫通効果をつける!」

E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン:攻撃4900→攻撃5400


「まっまさか……」

「行け! シャイニング・フレア・ウイングマンでピケルを攻撃!! シャァイニング・シュート!!!」

『きゃーなのー!!?』

「うおおおおーーー!?!?」

三沢:LP5700→LP300


「更に! 破壊されたモンスターの攻撃力分のダメージを受けてもらう!」

「くぁあぁ!!」

三沢:LP300→LP0



あれだけのライフ差、そしてドローソースが残っていない筈の現状ですら逆転する。

十代の潜在能力の恐ろしさに俺は戦慄した……。

こりゃ、勝てないわけだ(汗)



「やった! 十代のアニキが勝った!!」



隣で翔が騒ぎ始めているが、なんというか、内容の恐ろしさにはあまり興味がないのだろうか?

まあ、考えてみればカイザーの卒業デュエルも普通に受け入れていた彼らだからあまり不思議とは思わないんだろうが。

俺には絶対無理だなアレは。



「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!」

「はぁ……負けたよ。あそこから逆転されるとは思わなかった」

「俺も今回はヒヤヒヤしたぜ! またやろうな!」

「ふっ、それまでにもっとこのデッキを突き詰めておくとしよう」

「楽しみにしてるぜ!」



とまあ、そんな感じで二人のデュエルが終わったので、飛び込んでいく翔達に混ざって俺も行こうかと思ったんだが、

ふと会場の隅に鮮烈なほどの深紅の髪をポニーテールに流した女性が立っているのが見えた。

デュエルアカデミアの制服を着ている、あんな髪の色をした女性が何人もいるとは思えないから、

恐らく彼女は……。

そう思っていると、彼女と目があった。

一瞬、そう一瞬の出来事だったが、俺は寒気がするのを感じた。

何か凄い執念のようなものが彼女から漂ってきていたのだ。

瞳が燃えるように揺らめいていたのも印象的だった。

女性としては背が高い彼女は目立つのだろう、その頃には彼女を発見する生徒も何人かいたのだが、

皆金縛りにあったように動けない。



「……狩りの始まりだ」



そう呟くと先ほどまでの闘志をむき出しにしたような表情が、凶暴な肉食獣のようにニヤリと口元を歪めた。

なまじっか美人なだけにそれは凄絶なまでの凄みがあった。

俺達気がついた生徒は何も口に出せないまま彼女がクルリと踵を返して出ていくのを眺めつづけるしかなかった。





あとがき

今日の最強カードはピケルとクラン!
なーんてやってみたかったのでやってみましたw
こんなデッキなら三沢も空気化できないだろうと。
中途半端に隠すよりロリなデッキを堂々と使った方が決まるかなとw
後、このデッキ実はカオス・ソーサラーも入っている事になっています。
見習い魔術師でリクルートしてピケルやクランを出す事も考えてたのですがw
今回は初回ということでその辺は省きました。
それから、図書館とアニメ効果の打ち出の小槌って実は結構強力なシナジーを持っていると思うのです。
次に使う機会があったらやってみますねw



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