あれからまた数日が経った。

俺はあれからデッキ作りに躍起になっている。

確かにカードは一気に増えた、種類だけでも500は下らないだろう。

ダブりも結構あるので1000枚を超えるカード群。

これらから最適のデッキを作り上げる事が今の俺の命題だ。

テーマデッキになりそうなものは少ないが、それでもいくつかは可能だろう。

問題はデッキから外せない3種のアウスと地霊術をどう生かすかだろうか。

流石に、クリボーやハネクリボー、スタダやホープといった取りあえずいれば役に立つというカードではない。

どちらかというと万丈目のお邪魔のようにコンボで生かして初めて役に立つカード群だ。

やはり、少なくとも破壊されないように守る必要があるため、攻撃を止めるカードが必要だ。

和睦の使者は3積み必須だな、元々フリーチェーンカードなので除去に強いから入れておいて損はない。


メタな事を言えば、魔道戦士ブレイカーや、デスカリバーナイト、ライオウ等の

優秀な1900アタッカーを入れておけばそれだけで、かなり楽が出来るとは思う。

ただ、地属性のシナジーがないし、

相手が上級モンスターや攻撃力2200以上のゴブリンやトロルを使うデッキなら勝ち目がない。

こちらも、そのパワー型デッキにするという手もあるが、最終突撃命令でも使わないと攻撃表示で安定しない。

というか、ゴブリンデッキ、頑張れば強そうだけどあまり使いたくない気もする。




「格好悪いから?」

「否定できんが、リスクの問題もあるしな」

「守備力?」

「そう、ほとんど0だ、貫通型のモンスターなんかがいたら素通しになってしまう」

「貫通型ね」

「最近は凄い勢いで増えているぞ、霊使いの憑依装着がそうだし、猛進する剣角獣、激昂のミノタウルス、スピアドラゴン

 墓守の長槍兵、逆切れパンダ、ダークソードのユニオン漆黒の闘龍とか。

 上級にはパーシアス、暗黒ドリケラトプス、セイバービートル、地獄将軍・メフィストなんかもいるしな。

 最上級ならエッジマン、アンティーク・ギア・ゴーレム、そしてサイバーエンドとまあ、

 実に17種ってわけだ」

「貫通デッキが組めそうね」

「実際、貫通モンスターには地属性が多い、組もうと思えば組めるかもしれないな。

 生贄召喚しなければいけないのが多いから重いが」



因みに俺がデッキ編成をしているのは寮内ではない。

俺の部屋は4人部屋なので、そんな事をするスペースはないというかベッドでやるしかない。

しかし、今回のカード群にはどう見ても発売していない物が幾つかあったので森の中で好さそうな空間を見つけてやっている。

だからアウスも実体化していた。



「獣族と獣戦士族の混成にしておけば、激昂のミノタウルスと逆切れパンダは無理なく入れられるが。

 フィニッシャーはバブーンになるな」

「ライフを1000払って特殊召喚するあれね」

「だから、回復手段を入れておかないと3回、それもダメージを受けなくてだが。

 結構重いんだよなLP4000が最大だと」

「素早いモモンガは?」

「まあそれが一番安定するんだが、ライフ回復と生贄要員の両方がこなせるという意味でも。

 是非入れておきたいとは思う」

「なら何が問題? 十分な強さを発揮出来るんでしょう?」

「問題点は2つだな、一つは地属性ではあるが、アウス、お前とのシナジーが薄いという事」

「ええ」

「もう一つは、獣族メインっていうのは決めてに欠けるんだよな。

 最大攻撃力もさほどには高くないし、それはガイアパワーで補うにしても、

 特殊効果が守備特化という感じなんでフィールドの破壊や、手札破壊、除外攻撃といった相手を止める効果が少ない」



まあ、後々はそう言うカードも増えてくるんだが……。

なんというか、デッキとして地味な上に、獣族そのものが格好いいイメージがない。

今の地属性においては安定しているとは思うんだがな。

とはいえ、採用しないのももったいない。

最終的に出来上がったのは、獣族、岩石族、戦士族、魔法使い族の混成デッキだ。

岩石族が一番多くなってしまった、岩石7、戦士4、獣4、魔法使い4、機械1の20枚。

前のデッキと比べてモンスターが3枚も増えている。

融合ギミックは、融合魔法カードと素材の重さが問題になるので、保留だな。

まあ、地属性の統一デッキではなくなるが、何体か他の属性モンスターも積みこむとしよう。

折角持っているサイコショッカーを使わない手もない。

というか、機械族はこいつだけだが。

この世界にはサイコ流というサイバ流と双璧をなす道場が存在しているくらいで、

サイコショッカーはそこそこで回っているようだ、それなりにレアだが機械族を買っていれば出る。

アンティーク・ギア・ゴーレムはもったいないが、使うにはサポートカードが多数必要になる。

専用のデッキが必要になるので、汎用性も求めている俺のデッキにはちと重いのだ。



「取りあえずはこんな所か、ドローギミックが少し不安だが」

「やりくりターボは使わないの?」

「あれは、モンスターカードが増えすぎて使えない……」

「重くなるわよ?」

「そこはそれ、アウスに期待しているさ」

「私が出来るのは、ほんの少し運を良くする程度の事よ」

「事故らなくなるだけでも大きな事だよ」



手札事故の発生率を考えるとな……。

遊戯王をやっているものにとってはおなじみだろうが、

かなりの効率のいいデッキでも100回やれば必ず4、5回は事故る。

普通のセンスしかないなら10回に1回の事故は避けられない。

しかも不思議な事に事故が起こり始めると何故か連続して事故る。

手札にコンボシナジーがないカードばかりになったり、重すぎて召喚出来ないカードばかりになったり。

フィニッシャーを出来るだけ早く出そうとするデッキ等の場合事故るとそのままやられる事も多い。

ロックデッキ等になればロックカードが来なくて、相手に攻撃され放題という目も当てられない事態に。

タクティクスも何も、ある程度引きが安定している事が最低の条件なのだ。



「それにしても、随分デッキの構築を急いだのね。

 もっと十代達とテストをしてもよかったんじゃない?」

「いや、駄目だ。今はデッキを知られるとまずい」

「知られると?」

「まだ問題はないと思いたいがね」



そう、セブンスターズとの闘いも近い、そして俺は今頃ある失敗に気がついていた。

三沢を強化(?)したおかげで、

十代はカーミュラ戦の切り札であるシャイニング・フレア・ウイングマンを早期に使うはめになった。

つまり、カーミュラの蝙蝠がカギを持つ相手のデッキ調整を盗み見る時、

シャイニング・フレア・ウイングマンやEコール等やミラクルフュージョンまで見られてしまう可能性が高い。

デッキ調整しないように言う事は簡単だが、実際それは難しいだろう。

常にそうやって戦略を練るのがこの世界のデュエリストだからだ。

だからこそ、何としてもセブンスターズとの戦いには俺が参加しなければならない。

怖くないと言えば嘘になる、カーミュラは7スターズでも恐らく一番怖い。

負けても死なないという意味ではまだマシだが、

インチキ効果も極まれりなフィールド魔法や、幻魔の門をどう破るか、という問題が残る。



「考え出したらきりがないな、さてそろそろ寮に戻るか」

「今日は課外授業の日じゃなかった?」

「あっ! 急がないと!!」




早朝からこんな事をしていた訳だが、どうにか間に合った。

学校内の遺跡を訪ねるピクニックをすると大徳寺先生からは言われている。

まあ、裏事情についても大体知っているので、止めるべきかもとも思ったが、

セブンスターズ編のキーとなる、闇のアイテムの半身が手に入るはずなので、やめる訳にもいかないだろう。



「やー皆よくきてくれたのにゃ!」

「皆って、5人だけですよヨシカツ君以外は無理やり集められたようなもんだし」

「俺は自由意志で参加させてもらってるぜ!」

「ヨシカツ君……錬金術の授業もきちんと出てくれてるし、先生うれしいのにゃ!」

「でも、古代遺跡には興味あるんだな。普段は火山の近くにあるせいで立ち入り禁止なんだな」

「しかし、俺たちはレッド寮の義理があるけど、明日香まで来るとは」

「あの遺跡は曰くつきなの、闇のデュエルに関係あるって言われてる」



色々話しながら、本日の山登りを始めることになった。

デュエルアカデミアのある島は、大きさはさほどではないものの、意外と人が立ち入らない区域は多い。

断崖になっていて近寄れないところ、火山、研究者達がひっそりと研究している森。

特に森は島の3分の1ほどの大きさがあり、隠された建物が幾つもある。


山を登って遺跡のある場所へ、そういえば大徳寺先生よく許可もらったな。

いくら理事長の顔があるっていっても、校長先生は知らないんだろうに。

そんなこんなで遺跡を少し見学してから弁当を食べることになり、

意外に大徳寺先生がケチっぽいという事実が発覚したりもしたが。

そういえば明日香、一緒に大徳寺先生の真似をしたり、

前もサンダーの1、10、100、1000、万条目サンダーのネタも一緒にやってたし。

考えてみると不思議なほど丸いな。

もっとお堅いイメージがあったんだが。



「にゃにゃうにゃ!?」

「ファラオ!?」

「えっ、地面から光が!?」



とうとう、精霊の世界にご招待か、大徳寺先生も仕込み頑張ってるな。

実際、大徳寺先生数年前にはかなりひどい事やってたっぽいが。

吹雪兄ちゃんとか、ラスボスな彼とかに……。



「太陽が3つあるにゃ!?」

「こっ、こんなの見たことないんだな」

「わーきれいだな!」

『クリー!』

「えっ、危険!? 逃げろって!?」

『クリクリー!』



ハネクリボーに諭されている十代。

そういえば、雷とかなったような。

あっ、ビカビカッって来た!



『私も何か言ったほうがいい?』

「いや……、急いで逃げよう!」

「うん!」

「急ぐのにゃ!! 遺跡の中に逃げるのにゃー!!」



俺は逃げるフリというか、本気で雷が怖かったので一緒に逃げた。

でもふと思い出す。

このまま逃げていたら、一緒につかまって足手まといになると。

どの道遺跡のほうは4人でいっぱいだったので、俺は反対方向に逃げる十代についていく。

最も早すぎて追いつけず見失ってしまったが。



『格好悪いわね』

「うっせー!!」



とりあえず、門らしき場所へとたどり着き、思い出す。

十代はきっと、墓守の暗殺者に助けられて、墓守の長に見つかりデュエルをすることになるはず。

俺もどうにかその場にいかねば……。

有利になるかどうかは分からないが(汗


建物の内部にどうにか侵入を果たした、正直あいつら十代にしか目が行っていないようだ。

大徳寺先生も融合の事で十代を成長させたいと考えているだろうから、当然の処置ではあるのだか。

ハブられているみたいで少しばかりむかつく。


そんなこんなで、デュエルをする場所を見つけることに成功した俺は、その場で待つことにした。

十代がここにやってくる可能性は高いはずだからだ。



「なっ、何者だ!?」

「来てたのかヨシカツ!」

「おお! なんだか分からないが、下のほうに4人がいるみたいなんだ!」

「ああ! 俺は今からそこの奴とデュエルして皆を取り返すんだ!!」

「そうか、なら協力させてくれ!」

「協力?」

「タッグデュエルか、面白い!

 ならば、こちら側は、我、墓守の長と、墓守の司令官が務めよう」

「望む所だ!」


「「「「デュエル(儀式開始)!」」」」


十代、佳克:LP8000  長、司令官LP8000



渋めの髭のおっさんが墓守の長、犬のような仮面を被っているのは司令官だろう。

タッグデュエ、ルそういえば、俺タッグデュエルってタッグフォースくらいでしかやった事ないな。

覚えている、敵側のよりも味方側のAIのほうが馬鹿だから、信じられないプレイングミスをして苦しめてくれた……。

例えば、相手側に攻撃力の高いモンスターがいて、俺がマシュマロンを伏せてターンを終えると。

折角渡したマシュマロンという壁を生かさず、生贄召喚してそれでも敵より攻撃力が低かったり、トラップで対処されたり。

俺のターンが来たときフィールドはまっさらでしたなんてこともザラ。

しかし、本物の十代と組むわけだしそんなことは無いと信じたい。


ちなみに、精霊って奴は、サンダーの元にいる有象無象のように出ずっぱりのもいれば、

十代のハネクリボーのようにたまに出てきて助言するだけのもいる。

アウスもどちらかといえば、たまに出てきて助言するタイプの精霊だ。

逆に三沢のピケクリは出ずっぱりのようだがw

ともあれそういう理由もあり、まだ十代は俺が精霊を憑けている事を知らない。



「私の先攻、カードドロー」

「おっさん、目茶苦茶普通にデュエルモンスターズしてるじゃん」

「言っただろう、前にもこの世界に迷い込んだ者がいたと

 モンスターを裏守備表示で召喚! ターンエンドだ!」

「俺のターンドロー!」



因みに、タッグデュエルのルールとしては、ライフは互いに2人分8000。

そして、先ほど決まった流れによると、順番は墓守の長、十代、墓守の司令官、俺の順となる。

なんと言っても手札が互いに最初のターンだけとはいえ倍になるようなものなので、決着が早期につく可能性もある。

ともあれ、今は十代のお手並み拝見だな。



「俺はエレメンタルヒーロー・バブルマンを召喚!」

E・HEROバブルマン:効果モンスター/星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200


「バブルマンの効果! 自分フィールド上に他のカードが無い時、デッキから2枚ドロー!

 カードを1枚伏せてターンエンド!」

「私のターン・ドロー!」



今度は犬仮面こと墓守の司令官のターンだな。

こいつは、アニメではいなかったわけだから、流れが変わる可能性がある。

どう出てくるのか。



「私は墓守の長槍兵を召喚する。そして、墓守の番兵を反転召喚!」

墓守の番兵:効果モンスター/星4/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1900

墓守の長槍兵:効果モンスター/星4/闇属性/魔法使い族/攻1500/守1000


「墓守の番兵の効果発動! 墓守の結界波動! バブルマンを手札に戻す!」

「なにっ!?」



墓守デッキでは定番のコンボではあるが、十代は墓守デッキ自体知らないだろうし仕方ない話だな。

墓守デッキに限らず表に出ていない特殊なデッキは多数ある、

セブンスターズの使っているデッキは基本販売されているものが多いようだが、キーカードは知らないものが多いらしいし。

幻魔の扉なんて下手したら三幻魔より強いんだから話にならない。

そういえば、墓守の長がアニメでは偉く説教していたが、

バブルマンではなく強力なモンスターを呼んでいても、ほとんどの場合反転で手札に戻されただろう。



「更に、私は手札より、墓守の司令官の効果発動!

 このカードを墓地に送ることで、デッキから王家の眠る谷−ネクロバレーを手札に加える」

「ふふ、貴様らがどうあがこうとも、このネクロバレーからは逃れられんぞ!

 いけ、司令官よ!」

「フィールド魔法、王家の眠る谷−ネクロバレーを発動する。

 墓守と名のつくモンスターは攻撃力、守備力は500アップする」

墓守の番兵:攻撃1000→攻撃1500

墓守の長槍兵:攻撃1500→攻撃2000


「墓守の番兵でダイレクトアタック! 番兵旋風撃!」

「ぐぁ!!?」

十代、佳克:LP8000→LP6500


「言い忘れていたが、この攻撃では本当のダメージを受ける、攻撃を受けたターンのプレイヤーがな。

 もっとも、ライフがゼロになれば両方とも生贄となる。

 続けて、墓守の長槍兵でダイレクトアタック! 長槍速撃突!」

「うぐぉ!!」

十代、佳克:LP6500→LP4500



十代、かなり痛そうにしてるな。

考えてみれば、1500や2000の攻撃は本来のライフではかなりきついんだったな。

俺も気をつけないと、十代には俺のターンの間だけでも休んでいてもらおう。



「そして、ライフダメージの分だけ、棺が自動的に閉まる」

「ギャー!?」

「助けてにゃ!?」

「十代!!」

「すまない……皆、それにヨシカツも……」

「大丈夫だ、まだ半分もやられていないだろう?」

「頼んだ……ぜ!」

「ああ!」



あー、そういえば下にいる奴らは棺の中にとらわれているんだっけか。

ダメージを受けるとその分閉まる。

実際に生贄にするつもりがあるのかどうかは別として、嫌な演出だよな。




「私は、カードを一枚伏せてターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」



このデッキにしてからの初デュエル。

かなり慎重にデッキを練ったつもりだが、さて。

巨大ネズミ:効果モンスター/星4/地属性/獣族/攻1400/守1450

ギガンテス:効果モンスター/星4/地属性/岩石族/攻1900/守1300


モンスターはこの2体か、ギガンテスを出せればいいんだが、ネクロバレーが出ている間は無理だな。

それに、単純に地属性モンスターが墓地にいないし。

逆に巨大ネズミはかなり相性がいい。

少しもったいないが、攻勢に転じておいたほうがいいだろうな。

問題は相手の伏せカード、多分アレだろうとは思うが、万一モンスター破壊系だと困るな。

いや、この際墓地にモンスターが行けばいいくらいの覚悟で行ったほうがいいか。



「俺は、手札より巨大ネズミを召喚!」

巨大ネズミ:効果モンスター/星4/地属性/獣族/攻1400/守1450


「カードを一枚伏せて、装備魔法魔導師の力を巨大ネズミに装備!

 このカードはトラップ・マジックゾーンに置かれたカードの枚数×500P装備したモンスターの攻撃力を上げる。

 十代が伏せた一枚を合わせ3枚のカードがゾーンにあるため攻撃力と守備力が1500アップ!」

巨大ネズミ:攻撃1400→攻撃2900


「巨大ネズミで墓守の長槍兵に攻撃! 飢餓暴食!」

「なっ、なにー!?」

長、司令官LP8000→LP7100



「ターンエンドだ」



どうやら、攻撃反応型というわけでもなかったらしい。

なら多分あの伏せカードは……。

ありがたいな、ターンを稼いでフィールド魔法を破壊するカードを出来るだけ早く引きたい所だ。



「私のターン、ドロー。

 ふむ、確かにその装備魔法は強力だ、しかし同時にそれを破壊されればそれまでと言うことでもある。

 マジックカードサイクロン! 魔導師の力を破壊!」

「くっ!」

巨大ネズミ:攻撃2900→攻撃1400


「私は、手札から墓守の暗殺者を召喚!」

墓守の暗殺者:効果モンスター/星4/闇属性/魔法使い族/攻1500/守1500


「更に、トラップ発動! 降霊の儀式!

 墓地から墓守と名のつくモンスターをネクロバレーの効果を無視して特殊召喚できる!

 墓守の司令官を特殊召喚!」

墓守の司令官:効果モンスター/星4/地属性/魔法使い族/攻1600/守1500


「王家の眠る谷−ネクロバレーの効果で全体の攻撃力が500アップ!」

墓守の司令官:攻撃1600→攻撃2100

墓守の暗殺者:攻撃1500→攻撃2000


「墓守の暗殺者で巨大ネズミを攻撃! アサシンブレード!」

「くっ!?」

十代、佳克:LP4500→LP4000


「巨大ネズミが戦闘で破壊され墓地に行った時!

 デッキから攻撃力1500以下の地属性モンスターを特殊召喚できる!」

「ネクロバレーの効果で……」

「ネクロバレーは墓地に干渉する効果を封じることは出来ても墓地で発動する効果は封じられない!」

「クッ」

「特殊召喚するのは、逆ギレパンダ!」

逆ギレパンダ:効果モンスター/星3/地属性/獣族/攻 800/守1600


「弱小モンスターをいくら呼んだ所で!」

「逆ギレパンダの効果発動! 相手モンスターの数×500ポイント攻撃力がアップする!

 相手フィールドには、墓守の司令官、墓守の暗殺者、墓守の番兵の3体がいるため、攻撃力1500アップ!」

逆ギレパンダ:攻撃800→攻撃2300


「くっ!? カードを1枚伏せてターンエンドだ……」

「ヨシカツやるな!」

「ああ、後は任せたぜ、十代!」

「おう! 任せろ! 俺のターン、ドロー!」



相手が基本的に数をそろえて畳み掛けるという戦法を使っているうちはこの手が効く。

ただし、逆ギレパンダは所詮相手モンスターが多くなければ役に立たない。

つまり、フィニッシャーは別に用意しないといけないわけだ。

まあ、十代の手札は多い、大丈夫だろうとは思うが。



「俺はマジックカード、融合を発動!

 フェザーマンとバーストレディを墓地に捨て、現れろ! エレメンタルヒーロー・フレイムウイングマン!!」

E・HEROフレイム・ウィングマン:効果モンスター/星6/風属性/戦士族/攻2100/守1200


「逆ギレパンダで墓守の司令官を攻撃! 暴走! 笹乱舞!!」

「ぐぅ!?」

長、司令官LP7100→LP6900



墓守の司令官を、笹を無茶苦茶に振り回してたたきつぶす逆ギレパンダ。

攻撃力が2300から1800に下がるが、十分使えたほうだろう。

レベル3のモンスターでもあるしな。



「更に、フレイムウイングマンで墓守の暗殺者を攻撃! フレイムシュート!」

『キャー!?』

「まさかここまでやるとはな……」

長、司令官LP6900→LP6800



あれ? 確か今のって、闇のアイテムをくれるはずの墓守のアサシンなんじゃ!?

あーあー、十代分かってないよ……。

そういや、攻撃ためらってくれて始めてわかるんだっけ……。

まあ、デュエル上の事と理解してくれることを祈ろう。

ついでだが、逆ギレパンダの攻撃力は1300まで下がっている。

後の敵は墓守の番兵だけだな。



「まだまだ終わらないぜ! フレイムウイングマンの効果発動!

 破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けてもらう!」

長、司令官LP6800→LP5300


「ハネクリボーを守備表示で召喚し、ターンエンド!」

『クリクリー♪』



ハネクリボーか、ということは準備が整ったという事だな。

上手く発動できればいいが。

後、細かいようだがフレイムウイングマンの効果はアニメ効果じゃないようだな。

3年目にはOCGの効果になっていたから、整合性のためだろうか?

メタの考え休むに似たりかね……。

さて、問題はこの司令官か手札はまだ結構あるようだからな……。



「私のターン、ドロー!

 私は、モンスターを一枚伏せ、手札からマジックカード王家の生け贄を発動!

 互いの手札を確認し、全てのモンスターカードを墓地に捨てる!」

「何!?」

「私の手札は、3枚、墓守の番兵、死者蘇生、墓守の長、よって私は2枚のカードを墓地に捨てる」

「俺のカードは、スパークマン、エッジマン、ネクロダークマン、そして戦士の生還だ」

「では、3枚のモンスターカードを墓地に捨ててもらおう」

「くっ!」



十代は手札を3枚切ったか、となると残りは1枚折角のアレが使えないな。

どうやって乗り切る?



「私は、トラップカード降霊の儀式を発動、墓守の長を特殊召喚」

墓守の長:効果モンスター/星5/闇属性/魔法使い族/攻1900/守1200



うわー、長が司令官を召喚して、司令官が長を召喚してる……。

精霊が好きな自分を召喚が出来てないのが笑えるな。



「バトル、墓守の長で逆ギレパンダを攻撃! 王家の怒り!」

「だが、逆ギレパンダは敵モンスターが3体に増えたことで攻撃力2300になっている!」

「墓守の長も、ネクロバレーの効果で攻撃力が2400になる!」

「くっ!」

十代、佳克:LP4000→LP3900


「更に、墓守の番兵でハネクリボーを攻撃! 番兵旋風撃!」

「だが、ハネクリボーが破壊されることで、このターンもう戦闘ダメージは受けない!」

「墓守の長の効果発動! ネクロバレーの効果を無視し、私を墓地から復活させる! ターンエンドだ」

墓守の司令官:効果モンスター/星4/地属性/魔法使い族/攻1600/守1500



ややこしいが、向こう側のモンスターは全て攻撃力、守備力が500上がる。

よって、長2400、司令官2100、番兵1500、

そして伏せモンスターはリバース効果のあるモンスターだから、偵察者か番兵、守備力は2400か2500となる。

それだけじゃない、特殊効果もネクロバレーがあればこそ生きる効果が多い。

特に、長や、長槍兵、暗殺者などはネクロバレーがなければ余り意味の無いモンスターだ。

逆に偵察者や番兵はどこでも割と活躍が出来きたりする。

まあそれはともかく、相手に伏せカードがないのはラッキーだ。

ここで決めれば一番いいんだが……。



「俺のターン、ドロー!」



俺の引いたカードは、地帝グランマーグ。

霊使いの精霊がつくと手に入るのか、アウスが持っていたのだ。

まあ、以前も言ったが流石に帝は1枚だけしかないというレアカードじゃないしな。

決めきるのは難しいが、再逆転にはちょうどいい。

そのために、前回はわざと使わなかったカードもあるしな。



「俺は、手札からフィールド魔法ガイアパワーを発動!

 全ての地属性モンスターの攻撃力は500アップし、守備力は400ダウンする!」



今まで墓守の墳墓のような砂漠地帯の岩場から凄い勢いで木々が育つ。

ガイアパワーは巨大な森のフィールド。

そのため、フィールド内は枯れた砂漠地帯から緑生い茂る森の中になった。



「何!?」

「そうだ、ネクロバレーが失われたことにより、墓守達の攻撃力、守備力は全て500ダウンする!」

墓守の長:攻撃2400→攻撃1900

墓守の司令官:攻撃2100→攻撃1600

墓守の番兵:攻撃1500→攻撃1000



「そして、トラップ発動!

 リビングデッドの呼び声! 墓地から巨大ネズミを特殊召喚!」

巨大ネズミ:効果モンスター/星4/地属性/獣族/攻1400/守1450


「巨大ネズミを生贄に、地帝グランマーグを召喚!」

地帝グランマーグ:効果モンスター/星6/地属性/岩石族/攻2400/守1000


「グランマーグの効果発動! 地殻激震! 伏せカードを1枚破壊する!

 俺が選ぶのは、相手フィールドの伏せモンスター!」


すると、伏せカードの周囲がグラグラとゆれ、大きくフィールドを振るわせた直後。

伏せカードは地面に飲み込まれるように消えた。

墓地に行く瞬間に見たモンスターは墓守の偵察者だったようだ。



「そして、墓地の巨大ネズミを除外し、ギガンテスを特殊召喚!」

ギガンテス:効果モンスター/星4/地属性/岩石族/攻1900/守1300


「両方とも地属性のため、ガイアパワーの効果で攻撃力が500アップ!」

地帝グランマーグ:攻撃2400→攻撃2900

ギガンテス:攻撃1900→攻撃2400



「地帝グランマーグで墓守の長に攻撃! グランド・ブレイク!」

「ごっ!?」

長、司令官LP5300→LP4300



墓守の長は、グランマーグの巨大な拳をもらって押しつぶされるように消える。

フィールドに出ていた長はプレイヤーに戻る。



「更に、ギガンテスで墓守の司令官を攻撃! ギガス・クラブ!」

「がぁ!?」

長、司令官LP4300→LP3500



墓守の司令官もギガンテスの大きな棍棒をもらって、消え、またプレイヤーゾーンに戻っていた。

なんと言うか、忙しい話である。

精霊との戦いはこの辺が微妙にめんどくさいな。



「そしてフレイムウイングマンで墓守の番兵に攻撃! フレイムシュート!!」

「なぁ!?」

長、司令官LP3500→LP2400



これで、墓守コンビのフィールドには何も無くなった。

ライフでも逆転したので、普通ならば勝利確定と見ていいだろう。

しかし、そう上手くいくかは分からない。



「フレイムウイングマンの特殊効果発動! 破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けてもらう!」

「ぐぉぉぉ!?」

長、司令官LP2400→LP1400


「カードを一枚伏せてターンエンド!」



後は、十代に任せるしかない。

俺は基本的に、相手の知識が元からあって戦っている分有利なのだ。

十代はそういう部分がまったく無いのに互角に戦えている。

相手は墓地潰しのかなり卑怯なデッキであるにもかかわらずだ。

だから、十代ならばおそらく大丈夫だろうとは思う。

俺は視線を向ける、すると十代は口元に笑みすら浮かべサムズアップしてきた。



「後は任せた」

「おう、任せておけ!」

「ふふっ、そんなことを言っていいのかな。私のターン、ドロー!

 私は強欲な壷を発動! デッキから二枚ドローする」



長のカードが五枚に増えた、俺も含め全員が残り1枚であるにもかかわらず。

長はカードを今まで温存してきている。

次にどう出るつもりなんだ?



「私は、マジックカード死者蘇生を発動。私自身を蘇生」

墓守の長:効果モンスター/星5/闇属性/魔法使い族/攻1900/守1200


「更に、フィールド魔法、王家の眠る谷−ネクロバレーを発動!」

「まだ持っていたのか!?」

「それぞれのデッキに3枚づつ入っておるわ!」

「うわぁ……」



まあ、墓守においてはキーカードだから分からなくもないが。

しかし、これで一気に不利になったな。

ガイアパワーで強化した、グランマーグの攻撃力は2900から2400に、

ギガンテスは2400から1900に下がる、これで向こうの破壊圏内に入ってしまった。




「そして、私は墓守の長の効果発動、墓地より墓守の司令官を復活する」

墓守の司令官:効果モンスター/星4/地属性/魔法使い族/攻1600/守1500


「更に、我々はネクロバレーの効果で攻撃力が500アップ」

墓守の長:攻撃1900→攻撃2400

墓守の司令官:攻撃1600→攻撃2100



なんと、またフィールドに出てきた。

本当に忙しいな。

過労死とか言われてるモンスターもいるが。

彼らもその類のようだ。



「手札から、マジックカードフォースを発動!

 エンドフェイズ時まで、選択したモンスター1体の攻撃力を半分にし、

 その数値分もう1体のモンスターの攻撃力をアップする。

 私は、地帝グランマーグの攻撃力を半分にし、その数値分墓守の長の攻撃力をアップする!」

地帝グランマーグ:攻撃2400→攻撃1200

墓守の長:攻撃2400→攻撃3600



「墓守の司令官で地帝グランマーグを攻撃! 旋風剣一閃!」 

「ぐお!」

十代、佳克:LP3900→LP3000



さっき攻撃力を吸い取られ小さくなっていたグランマーグは司令官の剣であっさり崩れ去る。

十分役目を果たしてくれたとはいえ、辛いな。



「墓守の長でフレイムウイングマンを攻撃! 王家の怒り!」

「がぁ!?」

十代、佳克:LP3000→LP1500



やはり、ギガンテスは狙わずフレイムウイングマンを破壊したか……。

ギガンテスを戦闘破壊するとネクロバレーも消えるからな……。

だが、またこれでライフが並んでしまった。



「カードを一枚伏せてターンエンド!」

「俺のターン、ドロー!」



長が伏せたカードが気になるが、状況次第では十分逆転可能なはず。

手札は前に残った戦士の生還とドローカードの2枚。

十代はどう動く?



「俺は、ドローした強欲な壷を発動! デッキから2枚ドロー!

 伏せカードを発動するぜ!

 ヨシカツが伏せていたカードは、ハリケーンだ!

 フィールド上のトラップマジックカードを全て手札に戻す!

 俺のフィールドは伏せていたカードが一枚、そっちは、ネクロバレーが手札に戻る!」
 


伏せカード、使ってくれたか。

これで、敵の攻撃力も下の数値に戻っている、長が1900、司令官が1600だ。

ギガンテスでも両方破壊することが出来るが。

さて、十代どう決める?



「俺は、戦死の生還を発動! 墓地のエッジマンを手札に戻す!

 そして、墓地のネクロダークマンの効果! ヒーローと名のつくモンスターを1度だけ生贄なしで召喚できる!

 俺はエッジマンを召喚!」

E・HEROエッジマン:効果モンスター/星7/地属性/戦士族/攻2600/守1800



エッジマンか、こいつが出てくるともう終わりだなーと感じるあたり、さすがというべきか。

ちょっと金色のカブトムシっぽい体がまぶしいぜ。



「更に、マジックカードヒートハートを発動! エッジマンの攻撃力が500ポイントアップ!」

E・HEROエッジマン:攻撃2600→攻撃3100


「バトル! ギガンテスで墓守の司令官を攻撃! ギガス・クラブ!」

「がっ!」

長、司令官LP1400→LP1100



ギガンテスの棍棒で司令官が沈み、またプレイヤーゾーンに……。

本当に忙しいね……過労死だわ。



「そして、エッジマンで墓守の長を攻撃! パワーエッジ・アタック!!」

「ごぉぉぉ!?!?」

長、司令官LP1100→LP0



こっちは、3100から1900を引いて1200のダメージという事で100ほど超過ダメージがいった。

まあ、それくらいなら普通だよな。

それにしても、さすが十代、何度も何度も逆転しまくりだ。



「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!」



幸い、アニメのときほど棺は閉まりきっていなかったので気分はいくらかマシだったようで。

十代も他の面子も、騒ぎ立てるほどにはやばいとは感じなかった様子。

俺が役に立ったのかどうかは微妙な所だが、とりあえず悪い方向には転がらなかったようだ。

少しほっとしている。


その後、すったもんだの末どうにか精霊の世界から逃げ出した俺達は、元の遺跡で延びていた。

向こうの世界の出来事を4人は夢と思ったようだ、十代は俺に目配せしている所から見ると気付いている。

もちろん、先生は仕掛け人なんだから知らないわけは無い。

きちんと闇のアイテムを十代がゲットしたようなので一安心だが、千年云々とかじゃなさそうだな。


とりあえず、事態は収拾したのでよしとするが、セブンスターズとの戦いが迫ってきたと感じ、俺は緊張していた。






あとがき

闇のデュエルの前哨戦ということで、今回の戦いはタッグデュエルもやってみたいと思って書いたものです。

いろいろネタを仕込んで行きたいと考えていた時期なので、面白かったのなら幸いなのですが(汗)



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