どうも、ヨシカツっす。

前回の戦いの後、ようやくデッキ調整を再開できると喜び勇んで再調整を開始した。

カーミュラ戦用のデッキはメタという程メタれなかったけど、どうにか勝てたので良しとする。

激昂のムカムカを手に入れたので逆ギレパンダはやめておいたり、バーン対策をどうするかとか。

荒ぶるアウスの効果を上手く使うために、モンスター破壊を防ぐカードを多めに積む事にしたり。

色々考える所はある、しかし、今後の事を考えると、問題となるのはモンスター効果をどう捌くかとなる。


なら、やっておく必要があるのは三幻魔対策だろうか。

なにせアニメ設定の三幻魔はトラップを破壊する効果がある。

OCGではウリアだけの効果だが、確か影丸理事長は幻魔の効果だと言っていたはず。

そして、ウリアそのものの特殊効果は永続トラップを1枚墓地に捨てる事での復活。

それだけじゃない、発動していない伏せ状態のトラップ3枚で召喚できた。

しかも、召喚時は永続のトラップとは言っていない、つまり普通のトラップでも出来るという事だ。

そう、幻魔の中でOCGにおいては恐らく一番弱体化したのがウリアだ。


後もう一つ影丸理事長のカードの中で困るのは、フィールド魔法。

ドロー以外で自分は2枚ドローできる、ナニソレ?

相手も効果がなきゃフィールド魔法とは言えないじゃん(汗)

そう、あのチート過ぎるフィールド魔法が一番厄介だ、あれと比べればアニメ版の強化された3幻魔なんてオマケにすぎない。

下手すればヘルバニアより恐ろしいフィールド魔法……。

影丸理事長は恐らくあれを対処されるとデッキが回らなくなるはずだ。

3幻魔を呼びだすためには最低限9枚以上の生贄カードがいるんだから。

幻魔その物を含め12枚は最低限必要となる。

普通にドローすれば先攻取っても自分ターンで7ターン、相手ターンも計算すれば13ターンかかる。

そして、そんなペースでは幻魔が揃うまでに決着がついているだろう。

それが、あのフィールド魔法があるだけで、自分ターンで3ターン、相手ターンを含めても5ターンで出揃う。

もちろん、生贄を用意していただけではないので、アニメでも3ターンではなかったが。

ともあれ、普通の方法で3体を召喚するのはかなりきつい。

あのフィールド魔法を破壊する用意だけはしておいたほうがいい。



あの後、闇のデュエルの事で落ち込んだ十代を励ますべくレッド寮の面々で温泉に向かう事となった。

俺は三沢も誘う事にした、三沢がこういうところで空気なのは寮が違うからかね……。

ともあれ、問題は三沢がまだ精霊を視認出来ないという事だ。

折角ピケクラの精霊がついているというのに、もったいない話である。

それに、タニアに負けてほしくないのだ、負けたら結局空気化する気が凄くする。

しかしタニアはなんだかんだ言いつつかなりの曲者、三沢っち化したのでは勝利は危うい。

まあ、呼び方はどっちでもいいんだけど、精霊の力を引き出せるようになっておかないとな。

とはいえ、実際の所は行き当たりばったりだ、温泉で精霊世界に行けば何とかなるかもという程度。



「ふう……温泉もたまにはいいものだな」

「あそこまではしゃぐ気にはならないが確かにな」



俺は三沢と温泉でオッサン臭くくつろいでいた。

まあ、俺は元が元なので、そういうのも仕方ないが三沢……15歳からオッサンくさい男か。

とはいえ、逆に十代たちのように小学生に立ち返る気にもなれない。

風呂で泳いだり水鉄砲を打ち合ったりと……。

まあ、こっちまで来たら反撃はするがね。



「それにしても、アカデミアの敷地内にこんなものがあるなんてな」

「ああ、元々は観光地だった場所をKCが買い受けたらしい」

「へぇ……」



そういえば、影丸理事長は金持ちっぽかったが、KCとの関係はどうなんだろう?

あくまでオーナーはKCなわけだから、影丸は雇われと言う事になるんだろうな。

それにしては、3幻魔のある場所にアカデミアを作ったのは影丸の指示らしいし。

力関係がいまいちよく分からない。



「そういえば、アレから体の調子はどうだ?」

「相変わらず時々引っ張られてるような気がすることがある。

 いい加減診てもらうかとも思っていたんだが、温泉で気分転換すれば……?

 そういえば、十代達の姿が見えなくなってないか?」

「本当だな、探してみよう!」

「ああ!」



そうして、捜索を始めた俺達は、まだ残っていたのだろう渦に巻き込まれ……。

ちょっとおかしな洞窟のような場所に落下する羽目になった。



「……ここは」

「俺達さっきまで温泉にいたのに服を着ているぞ!?」

「ああ、それもだが……アウス、いるか?」

「ええ……計算通りね」

「こらこら……」

「何? ヨシカツどういうことだ!?」

「いやなに、お前が時々からだが引っ張られるように感じる理由の元を教えようと思ってな」

「どういう意味だ……」

「こー言う意味なのー!」

「本当にもう! 鈍感なんだから!」

「えっ、なんだ!? 小さい子供が……だがこの服装……」

「そう、お前のよく知っている」

「ピケルで〜す♪」

「クランよ」

「何ーーーーッ!?!?!?」



流石に相当効いたようだな。

元々三沢のピケクラ愛は相当なものだ。

しかし、表向きはまじめな生徒として振舞うために封印している。

だからこそ、折角精霊がついていたにもかかわらず自分は見る事が出来ないという事態に陥っていたのだろう。



「いやまさか、そんな事ありえるわけが!?」

「おにいちゃんピケルの事きらい?」

「あっ、いやそんな事は……」

「全く、カミングアウトしちゃいなさいよ、ロリコンだって。

 そうすれば、アタシ達がいつも一緒にいてあげるって言うのに」

「おっ、俺は、軟弱な……いや、君達も十分強さはあるんだが……」

「何を迷ってるのよ?」

「おにいちゃん、ずっと一緒にいようよ〜」

「あっ、うう……ヨシカツ! 俺はこんなときどうすればいいんだ!?」

「受け入れればいいんじゃね?」

「だがそれでは、今までの俺のイメージが!?」

「それは既に前回崩壊したから問題ない」

「なんだとー!?」



三沢もまだそういう建前が残っているとは。

目の前にピケクラがいるんだから認めてしまえばいいのに。

ある意味往生際の悪い奴である。



「へっ、自分に自信も持てない奴がデュエリストなんて、随分レベルが低くなったもんだな人間の世界は」

「誰だ!?」

「……ありゃ、炎の剣士か」

「おうよ、OCGじゃ何故か融合モンスター扱いで非常に使いづらいが、

 この世界なら俺は普通に使えるナイスな炎系の戦士族モンスターなんだぜ!」

「メタな発言ありがとう……」



まあ、炎の剣士の言いたい事もよく分かる。

なんと言っても、炎の剣士はアニメにおいては城之内のキーカードの一つだったのだ。

しかし、OCG化した時は何故か融合モンスターの上に効果なし。

炎の剣士は炎の属性効果がついた攻撃で色々燃やしてきたが、通常モンスターになっているのは痛い。

ならこの世界においては、アニメ効果で有名な炎に弱い種族に対する優位性があるかもしれない。

恐竜族は全滅するとか、アンデットに強いとか、いろいろあった気がするな。



「ともあれ、お前がデュエリストだというなら、デュエルで証明してみるか? この炎の剣士様相手によ」

「いいだろう、炎に対するは水、澄み渡る……」

「こら! アタシ達を使いなさいよ!」

「いや、だが……」

「精霊の憑いたデッキは通常よりも引きがよくなるらしいぞ」

「らしいと言われてもな……俺はデュエルタクティクスで……」

「やっぱり、おにーちゃんピケルの事嫌いなの……?」

「うう……、わかった、やる、やってやるよ!!」

「最初から素直にそうしてればよかったのに」

「話は決まったか? じゃあ、さっさとやろうぜ!」

「ああ!」


「「デュエル!」」


三沢:LP4000   炎の剣士:LP4000



「さあいくぜ! 俺のターン!」



炎の剣士の先攻のようだ、まあ押しが強そうだしそうなりやすいよな。

対して、三沢はまだ動揺から立ち直っていない感じがあるが……。

まあ、デュエルをすればわかるだろう、あのデッキは三沢が全力で作ったデッキなんだから。



「俺は、漆黒の豹戦士パンサーウォリアーを召喚!」

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー:効果モンスター/星4/地属性/獣戦士族/攻2000/守1600


「カードを一枚伏せてターンエンド!」



パンサーウォーリーアーはかなり使いづらいデメリットモンスター。

生贄確保しなければ攻撃できないというのは痛い、

しかし、このモンスターを使い炎の剣士を使ったデュエリストといえば……。

向こうが海馬だったんだし、こっちは城之内が来たってわけか。




「俺のターン、ドロー!

 俺は、モンスターを裏守備で出す! そしてカードを一枚伏せてターンエンド!」

「エンドフェイズにチェーンして、速攻魔法発動だ! スケープゴート!

 4体の羊トークンをフィールドに守備表示で特殊召喚するぜ!}

羊トークン:トークン・通常モンスター/獣族・地・星1・攻/守0

羊トークン:トークン・通常モンスター/獣族・地・星1・攻/守0

羊トークン:トークン・通常モンスター/獣族・地・星1・攻/守0

羊トークン:トークン・通常モンスター/獣族・地・星1・攻/守0



炎の剣士は自信たっぷりに羊トークンを召喚して見せる。

恐らく、パンサーウォーリアーのための生贄だろう。

通常召喚の生贄に使えない上に、シンクロやエクシーズもないから儀式召喚の生贄にするか、他の生贄にするかしかない。

まあ、これも昔(元の世界の)はそれなりにはやった戦術だった気もするな。



「俺のターン、ドロー!

 そのままバトル!

 羊トークン一体を生贄に、パンサーウォーリアーで伏せモンスターに攻撃だ! 黒・豹・疾・風・斬!」

「破壊されたモンスターは見習い魔術師!

 その効果でデッキからレベル2以下の魔法使い族モンスターを裏守備で特殊召喚する!

 俺が召喚するのは黒魔導師クラン!」

『裏守備だから、カードに蓋されて出られないんだけど……』

「次のターンが来れば出られる!」

「へっ、面白い事するじゃねーか!」



炎の剣士は凄みのある顔で笑いながら三沢を見る。

三沢は見られて何かを思い出したのだろう、同じような笑顔で返した。

デュエルを楽しむもの特有の攻撃的な笑み、どうやって倒してやろうというバトルホリック的なものだ。

正直言って俺も三沢のデッキが本格的に回る所を見てみたいと思っている。

目が離せなくなりそうだ。



「俺はリトルウインガードを守備表示で召喚し、カードを一枚伏せてターンエンド!」

リトル・ウィンガード:効果モンスター/星4/風属性/戦士族/攻1400/守1800


「エンドフェイズにチェーンしてトラップカード停戦協定を発動!

 フィールド上の裏守備モンスターを全て表側表示にし」

黒魔導師クラン:裏守備→守備0

黒魔導師クラン:効果モンスター/星2/闇属性/魔法使い族/攻1200/守 0


『ふー、やっと出られた……』

「そして、効果モンスター1体につき500ポイントのダメージを相手に与える!

 フィールド上には、クラン、パンサーウォーリアー、リトル・ウインガードの3体の効果モンスターがいるため、

 1500のダメージを与える!」

「うおおーー!?」

炎の剣士:LP4000→LP2500



「俺のターン、ドロー!

 スタンバイフェイズ! 黒魔術師クランの効果発動! 試練の魔法陣!

 フィールド上の相手モンスター1体につき300ポイントのダメージを与える!

 今相手フィールドには5体のモンスターが並んでいる、よって1500のダメージ!」

『最大火力! 行くわよ!!』

「うごぁー!?!?」

炎の剣士:LP2500→LP1000



なんというえげつないコンボ……こりゃ炎の剣士(城之内)の凡骨デッキじゃ辛いか。

まだ3ターンしか相対ターンでも回っていないのに終わりが見えてきた。



「しかし、なんというか落ち着かないな……」

『慣れなさいよ! これからはずっとこうなんだから!』

「そう……なのか?」

『アンタがアタシ達を捨てなければね』

「ぐっ……」



三沢、まだ葛藤してたんだな……諦めてこっち側に来ればいいのに。



「それは単に、貴方が何も考えてないだけでしょ」

「それは辛いお言葉、だが、そうでもないんだぜ」

「なら何れ見せてもらおうかしら」

「お望みのままに、ってね」



うちのアウスはこんな感じだし、ピケクラのほうがなついてくれるだけやりやすいと思うがね。

それに、さっきのコンボみたいな事が出来ればかなり強力でもあるしな。



「とっ、兎に角、俺はピケルを召喚する!」

『しょうかんなのー!』

白魔導士ピケル:効果モンスター/星2/光属性/魔法使い族/攻1200/守 0


「へぇ、でもそんな攻撃力の低いモンスターを並べたって羊トークンくらいしか倒せないぜ!」

「それはどうかな?

 マジックカードマジシャンズクロス!

 2体以上の魔法使い族モンスターがいる時、1体を選択し発動!

 他の魔法使い族が攻撃できない代わりに1体の攻撃力を3000とする事が出来る!

 ピケルにクランの魔法を乗せて!」

白魔導士ピケル:攻撃1200→攻撃3000


「行け! ピケルとクランでパンサーウォーリアーを攻撃! クロスロッド・マーブル!!」

『行くわよピケル!』

『はい、クランちゃん!』

『お姉さまと呼びなさい!』

「へっ、そう簡単にやられてたまるかよ! トラップ発動! ドレインシールド!

 モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分ライフを回復する!」

炎の剣士:LP1000→LP4000



「くっ、回復を許すとは」

「へっ、誘いに乗って強力な攻撃してくるからだ!」

「カードを一枚伏せてターンエンド」




確かに、ピケクラで一撃必殺しようとしたのは、トラップがある事を考えれば無策だったかもしれない。

しかし、後残り1000だったのだから、パンサーウォーリアーの上から攻撃が決まればそれで終わる。

そう考えると、決めたい気持ちも分からなくはない。



「俺のターン、ドロー!

 マジックカード天使の施しを発動するぜ!

 カードを3枚ドローして、2枚墓地に捨てる!」



墓地アドバンテージを稼ぎに来たか。

ってことは、やっぱり墓地にモンスターがいったってことだろうな。

あのカードの布石と見て間違いないだろう。



「へへっ、いいカードを引いたぜ! 儀式魔法黒竜降臨!

 リトル・ウィンガードを生贄に捧げ、黒竜の聖騎士を儀式召喚!」

黒竜の聖騎士:効果モンスター/星4/闇属性/ドラゴン族/攻1900/守1200


「更に、黒竜の聖騎士の効果発動!

 自らを生贄に、手札及びデッキからレッドアイズ・ブラックドラゴンを特殊召喚する!」

真紅眼の黒竜:通常モンスター/星7/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000


「バトル!

 羊トークンを生贄に、パンサーウォーリアーでクランに攻撃! 黒・豹・疾・風・斬!」

『ちょっ、何かフォローしなさいよー!?』

「すまない」

『すまない、じゃなーい!』




クランがパンサーウォーリアーに切り裂かれて墓地に一直線に向かった。

一応守備力0とはいえ守備表示だったので、三沢にダメージはない。

こうなると、攻撃力の低いモンスターを場に出しているのは不利かもしれない。



「更に! レッドアイズ・ブラックドラゴンで白魔導士ピケルに攻撃! 黒・炎・弾!」

『いやー、なのー!』

「ぐっ」

三沢:LP4000→LP2800


「トラップ発動! 時の機械−タイム・マシーン!

 戦闘破壊されたモンスターをそのままの表示形式で復活させる!」

『ただいまー、なのー♪』

白魔導士ピケル:効果モンスター/星2/光属性/魔法使い族/攻1200/守 0


「ターンエンドだぜ!」

「俺のターン! ドロー!」



見事な逆転劇をくらった三沢だったが、元々もろい魔法使い族デッキ、戦闘破壊対策は多く積んでいるだろう。

さてさて、どうなるか。



「スタンバイフェイズ ピケルの効果発動!

 自分フィールドのモンスターの数×400のLPを回復する。

 俺のフィールド上のモンスターは1体! 400回復する! 癒しの魔法陣!」

『いたいのいたいのとんでけなのー♪』

三沢:LP2800→LP3200



「うっ、気が抜ける……そうか十代の奴知っていたのか……」

『そうなのー♪』

「まあ、あんまり気にしないほうがいいと思うけどな。

 どっちみちやる事は変わらない、引きは悪くないだろ?」

「全く、ヨシカツ、お前って奴は……。

 まあいい、確かにそうだな。

 俺はマジックカード死者蘇生を発動! クラン復活!」

黒魔導師クラン:効果モンスター/星2/闇属性/魔法使い族/攻1200/守 0


『ふう、墓地は暗いんだから、あんまり長くいさせないでよね』

「わかっている! お前はこのデッキのキーカードだからな」

『わっ、分かってるならいいのよ』

『クランちゃん赤くなったー♪』

『黙りなさい!』



彼女らが揃うとどうしてもほんわかな雰囲気になってしまうな。

しかし、この状況からどうするつもりだ?

手札は残り2枚しかないが……。



「俺は手札から天使の施しを発動する!

 デッキから3枚ドローし、2枚墓地に捨てる」



今捨てたのは、魔法図書館とマジシャンズ・ヴァルキュリア?

なるほど……、あのコンボはするつもりがないのか。

魔法図書館で出来るコンボを調整につきあった俺は知っている。

三沢のデッキだからこそ出来るアニメ専用コンボ。

次回あたりは見せてくれる事を期待してるがw



「更に、俺はマジシャンズ・ヴァルキュリアを召喚!」

マジシャンズ・ヴァルキリア:効果モンスター/星4/光属性/魔法使い族/攻1600/守1800


「バトル! ピケルで羊トークンを攻撃! ピュア・ホワイト・プリズム!」

『えーい、なの!』

「ちまちまやってんな!」

『やーん、あの人怖いの』

「大丈夫だ、直接は攻撃してこないから」

『なら安心なのー』



羊トークンを、ピケルの杖から出たシャボン玉が破壊する。

まあ、羊トークン自体が風船みたいな感じなので、似たもの同士にも見えるが。



「更に、クランで羊トークンを攻撃! パリニカル・ウイップ!」

『なんだかゴミ処理みたいで今一乗らないんだけどね』

「そういわず頑張れ!」

『はーい』

「これで羊トークンは全滅だな、

 パンサーウォーリアーが攻撃するためには、犠牲を覚悟しなければならなくなる」

「へっ、小細工くらで俺をどうにかできると思ってるのか?」

「君の言う小細工の積み重ねこそがデュエルの醍醐味だ、結果がどうなるかは次のターンに分かる。

 俺はカードを一枚伏せてターンエンド!」



これで、三沢の手札はゼロ。

変わりにフィールドには3体のモンスター、そして伏せカードが1枚ある、

対する炎の剣士は手札が2枚あり、場にはパンサーウォーリアとレッドアイズがいる。

どちらが有利とは現状いえない、3ターンづつ終わってほぼ五分五分と言う所だろうか。



「俺のターン! ドロー! 俺は鉄の騎士ギア・フリードを召喚!」

鉄の騎士ギア・フリード:効果モンスター/星4/地属性/戦士族/攻1800/守1600


「行くぜ、バトル! ギア・フリードでマジシャンズ・ヴァルキリアを攻撃! アイアン・スラッシュ!」

「トラップ発動! リビングデッドの呼び声!

 墓地からもう一体のマジシャンズ・ヴァルキリアを特殊召喚する!」

マジシャンズ・ヴァルキリア:効果モンスター/星4/光属性/魔法使い族/攻1600/守1800


「そして、マジシャンズ・ヴァルキリアの効果は、自分以外の魔法使い族モンスターに攻撃できなくなる効果!

 つまり、2体のマジシャンズ・ヴァルキリアの効果によって魔法使い族モンスターに攻撃する事は出来なくなった!」

「ロックか! やるな……。
 
 だが、俺のターンはまだ終わってねえ! マジックカード黒炎弾!

 レッドアイズ・ブラックドラゴンがいる時に発動可能!

 レッドアイズが攻撃出来なくなる代わりに攻撃力分、つまり2400のダメージを与える!」

「ぐぉぉッ!!」

三沢:LP3200→LP800


『おにいちゃん大丈夫!?』

『何とか言いなさいよ!!』

「あっ、ああ……大丈夫だ……」

「へっ、その程度でへばってるようじゃこの先勝ち目はねーぜ?」

「ふっ、俺一人では確かにそうかもしれん、しかし、俺には頼もしい2人の味方がいる!」

『あっ!』

『くっ、臭い事言ってるんじゃ無いわよ!』

「やってみる事だな、カードを一枚伏せてターンエンド!」



おっと、いきなり結束を深めたか、三沢いい感じに進化してるな。

このままならロリコン道一直線……じゃなかった、強いデュエリストとして名を残す事が出来るはず。

まあともあれ、これで炎の剣士も手札は尽きた。

どちらが有利かはまだ分からない。



「俺のターン、ドロー!

 スタンバイフェイズ! ピケルの効果発動!

 自分フィールドに4体のモンスターがいるため1600の回復! 癒しの魔方陣!」

『痛いの痛いの飛んでけー♪』

三沢:LP800→LP2400


「更に、クランの効果発動!

 相手フィールドに3体のモンスターがいるため900のダメージ! 試練の魔方陣!」

『さっきの様にはいかないわよ』

「ぐっ」

炎の剣士:LP4000→LP3100



モンスターの数が出揃っていれば、ピケルとクランの効果は強力だ。

実際、今の効果だけで開いていたライフの差がかなり詰まった。

このまま行けば次のターンには逆転と言う事もあるだろう。

それとも、三沢は何か仕掛けるか?




「マジックカード強欲な壷! デッキから2枚ドロー」



三沢はニヤリと人の悪い笑いを作った。

これは、おおよそ勝利のための布石が揃ったということだろう。



「更に手札からマジックカード発動! マジックブラスト!

 自分フィールド上にいる魔法使い族モンスターの数×200ポイントのダメージを与える」

『一気に逆転よ!』

『ちょこっとだけどねー♪』

「ガァッ!?」

炎の剣士:LP3100→LP2300



なるほど、確かに、この効果があって、ヴァルキリアロックが維持されれば後1、2ターンで勝利できる。



「へへっ、いいもんもってんじゃねーか」

「俺はカードを一枚伏せてターンエンド」

「俺のターン、ドロー!

 へっ、攻撃してくるかと思ったが、してこなかったようだな。

 なら、俺はパンサーウォーリアーを生贄に、俺を召喚するぜ!」

炎の剣士:効果モンスター/星5/炎属性/戦士族/攻1800/守1600


「レベル5の割には攻撃力が低い、

 デュエルキングの仲間、城之内のデッキのキーカードだったと聞いているが……。

 一体どんな効果が……」

「先に教えておくとだ、俺は恐竜族、獣族、昆虫族と戦闘する時、攻撃力が1000アップする。

 炎に弱いモンスターに強いって事だな、逆に水族、雷族に対しては攻撃力が1000ダウンするけどな!」



うむ、これはオリジナル効果だな、OCGにおいては炎の剣士は通常モンスターだし、

アニメの効果の場合、実ははっきりとした効果がよく分からないと言うのが本音だ。

炎に弱い属性のモンスターをよく破壊していたが……どういう風に強いのかよく分からん。

その辺の調整の結果かもしれないな、しかし、攻撃力1000アップは大きいな。

状況によっては御用ガーディアン並みの攻撃力になると言う事か。





「だが、俺のフィールドには魔法使い族しかいない」

「そう、だからな、使えるようにするんだよ! 永続罠発動! DNA改造手術!

 その効果でフィールド上モンスターの種族は全て一つの種族となる!

 俺は恐竜族を指定! フィールド上全てのモンスターは恐竜族となる!」

「なっ!?」

「この効果で、炎の剣士は全てのモンスターに対して攻撃力2800で攻撃可能だ!」



効果で全てのモンスターが同一種族族となるというのは、

アニメにおいてSALと戦った時に獣化したヒーロー達を見ていればわかる。

そう、ビジュアルが可愛い魔法使い達から恐竜の特徴を持つモンスターに変化すると言う事だ。

皆女性的なフォルムは残しつつ、恐竜化していった。



『もー、一体どうしてくれるのよ! こんなの格好悪い!!』

『そーかな、恐竜なクランちゃんも可愛いのー』

『んなわけ無いでしょ!!』

「うっ、すまない……、出来るだけ早く対処する」

『本当に急いでよ!!』



半分ティラノのキグルミ状態のクランが恐慌状態で叫ぶ。

ピケルはイクチオサウルスみたいに首が伸びていた。

んむ、ホラー気味。

顔はのほほんとしているのであまり怖くは無いが。

この状態のままでほっとくのはかわいそうだと思う程度には十分変だった。



「また、恐竜族となったことで、マジシャンズ・ヴァルキリアの効果は無効となる!

 よって、バトルを行う事が出来る!」



そして、フィールド上にある炎の剣士もなんだかトリケラトプス風の容姿となっている。

それが嫌だからか、自分自身はフィールドに出ていない、あくまで普通のカードのようだ。



『あんたずっこいわよ!! 一緒に恐竜族になんなさい!』

「ごめんだね、そんなお笑いみたいな格好」

『くぅー! 後で見てなさいよ!!』

『どうどうー、クランちゃんおちついてなのー』



まあそれはともかく、これで確かにヴァルキリアロックは解除された。

炎の剣士側のモンスターは3体、

ピケクラを攻撃すればLP的に終わりに出来る、普通ならそうしたい所のはずだ。

しかし、伏せカードが気になるところだろう。

となれば、あえてロックの問題から先につぶしておくべきと考えるか、それでもトラップの発動がなければ勝利できる。

城之内ならあんまり考えずに特攻しそうな気もするが、実際どうかな……。



「俺は、俺自身でマジシャンズ・ヴァルキリアを攻撃! 闘気炎斬剣!」

「くっ!!」

三沢:LP2400→LP1200


『ちょっ、大丈夫なの!?』

「更に、レッドアイズでもう一体のマジシャンズ・ヴァリキリアを攻撃! 黒炎弾!」

「がぁ!?!?」

三沢:LP1200→LP400


『あう、おにーちゃん負けないで!』

「止めだ! ギア・フリードでクランを攻撃! アイアン・スラッシュ!」

『きゃー嫌!?』

「攻撃宣言にチェーンしてトラップ発動! 闇の呪縛!

 このカードの効果により、相手モンスター1体の攻撃力は700ダウンし、攻撃宣言できなくなる!」

「ならば、バトルを終了し、マジックカード発動! クイズ!

 墓地の一番下にあるモンスターを当てる、当たればこのカードは不発そのモンスターは除外される。

 当たらなければ特殊召喚ってわけだ。さあ、何か言ってみろ!」



サイコショッカー!

俺なら絶対そう答える、他に召喚可能な上級モンスターはいない、レッドアイズはもう場にいるしな。

しかし、そんな事情を三沢は知る由もないし、助言はルール違反だ。

まあ、初期の頃城之内も随分助言してもらってた気もするがw



「……最初に墓地にいったのは……確か、リトル・ウィンガードだったはず。

 なら、リトル・ウィンガードだ!」

「ブブー、ざーんねん! 最初に墓地に行ったのは、天使の施しで墓地に落としたこのカード!

 墓地からサイコ・ショッカーを特殊召喚する!」

人造人間−サイコ・ショッカー:効果モンスター/星6/闇属性/機械族/攻2400/守1500 


「これで、炎の剣士の効果は使えなくなった。

 その変わり、ギル・フォードは攻撃力も元に戻った上で攻撃可能になり、

 サイコショッカーという強力モンスターも召喚できたわけだ。

 お前のライフは残り400、次のターンで何とかしないと終わりだぜ」

「くっ……」

「へへっ、ターンエンド!」



正直クイズは蛇足のような気はしないでもない。

召喚しなければ、炎の剣士が実質攻撃力2800のままいられたのだから。

しかし、トラップを発動できないアドバンテージは大きいので、どっちがいいとは一概にはいえないが。



『おにーちゃん』

『アンタ……、いえ……大地どうするの?』

「2人とも、力を貸してくれ、このドローに全てがかかっている!」

『うん、おにーちゃん頑張れ!』

『ええ、力を貸すわ!』

「俺のターン! ドロー!!

 俺の引いたカードは、マジシャンズ・クロス!」



ここで、このカードを引くとは、流石に精霊がついただけのことはあるな。

炎の剣士が全力だったかは分からないが、それでも確かに三沢は強くなっているのだろう。



「スタンバイフェイズ、ピケルの効果発動!

 2体のモンスターがいるためLP800回復! 癒しの魔方陣!」

『少しでも楽になるのー』

三沢:LP400→LP1200


「更に、クランの効果発動! 相手フィールドには4体いるためLP1200のダメージ! 試練の魔方陣!」

『もう負けないわ!』

「ぐっ、おおーー!??」

炎の剣士:LP2200→LP1000


「感謝するぜ! サイコショッカーのお陰で、このマジックカードを使う事が出来る!」

「へっ、俺も焼きがまわったか……」

『今度はアタシに任せなさい!』

「ああ! 俺はクランを選択しマジシャンズクロスの効果発動!

 攻撃力を3000とし、クランのみ攻撃できる!」

『ピケル、行くわよ、準備はいい?』

『うん♪』

「クランで炎の剣士を攻撃! ドレッド・マーブル!」

『恐怖に飲まれなさい!』

『お疲れ様なのー!』

「ぐあぁぁぁ!?」

炎の剣士:LP1000→LP0



白黒の合成魔法の渦が炎の剣士を飲み込み、そのまま消えていく。

炎の剣士は、負けたが楽しそうな表情をしていた。

しかしサイコショッカーの召喚は蛇足と言う気がしてならない。

DNA改造手術の効果で魔法使い族のサポートカードが使えなくなっていた事を考えればなお更だ。

もしかして……、炎の剣士はあえて、三沢に花を持たせたのか?

よくは分からないが、ただ、楽しいデュエルだった気はする。

傍目から見ている分にはだが。



「へっ、俺を倒すとはな、これでお前もいっぱしのデュエリストってわけだ、

 デュエリストに必要なものはわかったかよ?」

「ええ……今回は、花を持たせてくれたんですね」

「よせやい、サイコショッカーについては、偶然だよ偶然、にしても幼女の精霊つけてる奴なんて始めてみたぜ」

「え”……」

「まあせいぜいがんばんな、ロリコンデュエリストさんよ」

「ちょ、それは違……」

「おにーちゃん」

「何か不満あるの?」

「いえ、ありません……」



なんとまあ、ピケクラに尻に敷かれてるよ。

三沢女には弱そうだからな、まあ、だからタニアに引っかかったんだろうけど。

そういえば、次の対決ってタニアじゃなかったっけ?

まあどうにか間に合ったわけだ、対タニア用秘密兵器がw

タニア対ピケクラ……一体どうなる事やら……。




あとがき

温泉編独自解釈により三沢をパワーUP、ピケクラデッキの切り札を伏せたまま勝利しましたw
ともあれ、三沢のピケクラデッキ、攻撃力の低さをカバーするためマジシャンズクロスは3積みです。
マジックカードはかなり多く積んでいますが、いまだに同じ3積みの打ち出の小槌がきていなかったりwww
所詮お話ですので偏りは勘弁してください(汗)
次回のタニア戦では切り札を出す予定ですw



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