銀河英雄伝説 十字の紋章


第十三話 十字、結婚する。






ハイネセンの中規模都市にある基地での備品整備課の課長。

割と長ったらしい役職についてからもう2年たった。

今年は宇宙暦782年、俺も25歳になった。

因みに、ヤンとラインハルトの年齢は俺から10引けばヤン、20引けばラインハルトとなる。

つまりヤンは今15歳、ラインハルトは5歳という事だ。

だからヤンは来年あたり士官学校に入ってくるはずだ。


こちらへはハイネセンの家から通っている。

流石は未来の技術だ、1000kmは離れたこの都市まで半時間ほどでついてしまうのだから。

無人タクシーだからと馬鹿にできない。

あれだ、高速道路の制限速度が2000kmオーバーなのが笑える。

なんというか、無人タクシー専門の道路なのだ、人の運転では少し怖い。

人間の腕でも十分可能だが、緊張感をずっと維持できるのかは不明だから。


後、金儲けだが、通販サイトを運営してみる事にした。

やはり、ネットだと店舗を構える必要がないので安上がりだ。

その上、仕入れに関しては独自に色々動くことができる。

漫画、アニメ、グッズ、プラモ、ガレキ、映画、ゲームといった系統はコネがあるため都合をつけやすい。

もちろん、他の商品も増やしている、食べ物、衣料品、化粧品や家電に至るまで業者とかけあってサイトに掲載した。

他のサイトとの違いを出す意味もこめて、テレビ放送も行っている。

いわゆるネットテレビだ。

技術力は高いので、安めにそれなりの番組を作れるのが強みだろう。

まだ、初期投資と倉庫の賃貸代金等を合わせると、当初結構な赤が出たが、宣伝をうちいろいろ周知することで黒字になっている。

おかげで俺の資産も2億ディナール(220億円)近い金額となった。

まー目標金額が最低50億ディナールだからまあ先は長いが。


ただし、当然このシステムの良さはすぐ知れ渡るだろう。

同じことをフェザーンが金に物を言わせてやれば、某密林サイトのようなものができるだろう。

対抗するためには特化しなければならない。

だが最初からすればそれも真似られるから、今は漫画系の多いネットショップくらいの認識でいいだろう。


それから、同盟と帝国の状況だが、同盟はまた懲りずにイゼルローン要塞攻略を考えているようだ。

相変わらず万単位の艦隊を編成して、敵防衛隊を釣りだして殲滅、その後突入、という感じのようだ。

トールハンマーの無効化についても策はあるのかもしれないが、常套手段の上である以上、上手く行く可能性は低いだろう。

艦隊戦にこだわらなければ何とでもなる事を知っているだけにもどかしい。


俺個人の事については、エミーリアのおかげで落ち着いていると言えるだろう。

現状、政治力を得られるかについては完全に教主2人に任せている格好なので時間が出来ていると言える。

もっとも、それで当選させる予定のトリューニヒトはフェザーンで後2年仕事をしないといけない。

地盤を固めさせるのに最低1年かける必要があるから、それも保留。

つまり時間があるということだ、なので2人でよく出かけたりしている。

流石に仕事があるのでほとんど夜となるが。

彼女との時間でリフレッシュしては仕事をこなすという感じだ。



そうそう、着任直後にあった事だが。

セイン・ティトリー少尉、彼女との話し合いはそう……。



「大尉! 本日のご予定を確認します!」



いきなりやってきて話始めるセイン。

彼女はそう、今俺の秘書のような事をしている。

何があったのかと思うかもしれないが、ある意味簡単な話だった。


彼女が配電設備の交換を嫌ったのは、あの配線設備が旧式ながら新しいものよりも物持ちがよく、出力も高いからだ。

もちろん、半年に一回修繕しないといけないレベルまでくたびれていたんだから軍で使うには不安が残る。

だからこの場合、ドーソン大佐の言うことも、彼女の言うことも同様に間違ってはいない。

ただ、上管の言うことに逆らってまで押し通す話でもないという事。


そのあたりを含めて話をした所、彼女はあの配電設備そのものにこだわりがある事がわかり、

取り替えたらその設備を彼女に引き渡すという事で手を打ってもらった。

しかし、彼女は殊の外(ことのほか)その事に感動してくれた模様で、ムライ中尉が転属になったのを機に課長補佐に立候補した。


彼女の活躍はめざましく、特にボイコットをしていた奴らをまとめて引っ張ってきた手腕には驚かされた。

他にも、交換部品の仕入先やそれらの品質等に関する情報も詳しく、はっきり言って彼女はスーパースペックだった。

まさに、備品整備課で働くために生まれてきたようだ、と思ったが口に出したら張り倒されるだろう……。

まだ17歳、つまり彼女は士官学校を出ていない、恐らくは中学卒業後直ぐ幹部課程の資格試験を受けて一般から上がったのだろう。

幹部課程の資格試験を合格しても、曹長にしかなれない。

その後、准尉、少尉と上がるのにはそこそこ年数がかかるものだが。

まあ、彼女の働きを見ていると、スピード出世も頷ける話ではある。



「わかった、じゃあ。仕事の配分は任せていいか?」

「はい! 外回り、頑張ってきてください!」

「ああ」



ほんと、電気設備の大好きなお嬢さんだ。

ここまでなつくとは思わなかった、課長補佐つーか彼女が課長でもいいんじゃね?って感じである。

まあ階級が全ての軍隊においてはそれはないわけだが。

大尉で課長だって地方基地だから、それに総務部の下のわりと下っ端の課だから大尉でもやれているという事だ。

総務部の部長は中佐だし、課の中では少佐が課長をしている所もある。


そんな内部事情等どうでもいいのだが、俺も大尉から少佐になるのにそう何年もかけていられない。

そろそろ動かねばならない、第三次イゼルローン攻略が始まるとなると、大規模な死者が予想される。

それに、ビュコック准将の長男であるアンドレ・ビュコック氏が出るらしいのだ。

今までは少なくとも艦隊戦等には顔を出していなかった事は薔薇の蕾の情報網で知っていたが、とうとう出てきた。

彼は士官学校でも次席というエリートであり、30歳で現在は中佐。

今回、イゼルローン攻略で活躍すれば、例え敗北しても大佐に昇進はほぼ確実と言われているらしい。

中佐という事は提督の参謀官の末席か、戦隊長の参謀か、巡洋艦の艦長あたりの役職となるだろう。


そして、俺が聞いた所彼の役職は巡洋艦の艦長らしい。

今回生き残れればいいが、死ぬ可能性はかなり高いと見ていい。

提督の参謀でもしてるならまだ死ぬ可能性は低めと言えたが。

ともあれ、艦隊戦において艦長の場合配置される場所によって死亡率が変わる。

コネをフルに使ってでも後方にまわしてやりたい所だが。


彼自身がそれを許さない可能性が高い、何故なら彼はビュコック准将の生き写しのような頑固者らしいからだ。

次男のアンリ先輩があれだけフランクなのも長男に対する反発があったらしい。

俺自身はまだ会った事もないのでわからないが。

頑固者を味方に引き込むのは難しいかな……と少し頭が痛い。


ともあれ、そういった事もあり俺もせめて参謀か駆逐艦艦長として第三次イゼルローン攻略戦に参加できればと考えている。

そのためには来年までに少佐にならなけれなならない、コネはあるが昇進に使うのは色々問題が残るしな。



「しかし、やはり情報網って必須だよな……」



外回りで媚びを売って回っているのも嘘じゃないが。

それだけで出世できるほど軍という組織は甘くない。

あくまで、手柄を上げた時に評価されやすくなる程度の事だ。

まあ、その差が大きい場合もあるんだが。


ともあれ、そういった事とは別に、俺は今少し本格的に動いていた。

薔薇の蕾の情報網に、帝国軍のスパイとおぼしきものが捉えられたからだ。

両者ともスパイには違いないが、同盟内での年季が違うという事だろう。

ともかく、俺は今そのスパイの情報を集めている。

もちろん直接集めるのは危険なので、極力は薔薇の蕾や十字教を介しているのだが。

流石に今回は会いに行かないといけないだろう。



「バグダッシュ。久しぶりだな」

「ジュージの旦那、久しぶりだねぇ」

「折角だ、コニャックでもやらないか?」

「へえ、これがあのコニャックですかい」



コニャック、フランスのコニャックという街で作られたブランデーの一種。

その後周辺の県にそのやり方が広がり、一定のブームを生む。

品質の良い事で知られ、高級ブランデーとされている。

だが、同盟がいくらフランス人多めの国だとしても、コニャックの街も残っていなければフランスそのものが失伝しかけている有様だ。

コニャックといっても、手法こそ真似られているが、正式なものとは言えないかもしれない。

だがまあバグダッシュはそこまでの背景は知らないだろう。

浴びる様に飲んでいるのがその証だ。



「で? どんな情報をお望みですかい?」

「これを」



俺はメモをバグダッシュに渡す。

古典的な手法だが、盗聴等の危険には多少効果がある。

カメラを仕掛けている相手もいるかもしれないが、そっちの方はジャマーを抜けるようなものはそうない。

だが、声は聞き耳を立てるだけでいいんだから、どこに潜んでいるか分からない。


家のセキュリティは最高レベルだが、俺自身がそれを持って回るわけももいかない。

結局こうした原始的な手法が一番確実だったりするのだ。

バグダッシュは俺の渡したメモ紙を食い入る様に見ると、



「全く、叶わないな。もうこちらの情報は把握済みってことですね?」

「ああ、一応別系統の情報網も持ってるからな」

「以前から思っていたんだが。本当に俺必要ですかい?」

「必要だよ。彼らには広範囲の情報を頼む事が多いからな」

「なるほどね。その隙間を埋めるのが俺の役目って事ですかい」

「少なくともこっちはそうしたいと思っている」

「はぁ……旦那にゃ敵いませんな」



本当の事は言わないが、バグダッシュ以外で俺の持つ情報網は実は3つある。

一つは言わずと知れた薔薇の蕾、二つ目は十字教、三つ目はネットだ。

もっとも、この世界のネットの精度は低いため一度調べても別系統から確認しないといけないが。

何せ、光速程度ではこの広い世界をカバーする事はできないからな……。


なにせ、銀河英雄伝説の世界観は銀河系のオリオン腕とサジタリウス腕をまたぐというものだ。

その広さは直径にして、最低2万光年の範囲となる。

つまり、反対側の情報は光の速度では万年単位で情報が遅れる事になってしまう。

同盟内部の情報でも、隣の星系の情報ですら、光の速度では数年遅れる。

バカ高い超光速通信を使うか、超光速航行の可能な商船でも買って行き来するしかそれより早い情報を得る方法はない。

つまりこの世界、下手したら商人が一番情報が早いということだ。

薔薇の蕾は表向き、通信関係の会社であるし、商船も持っている。

そして、十字教は地球教の司教クラスだった人員が何人かいるため、フェザーン商人に顔がきく。

俺の情報網はそれ頼りな所が大きいため、大雑把になりがちでバグダッシュの情報はかなり頼りにしているのだ。



「俺の情報はこんな所です。料金のほうは」

「店の方に回してある。そのほうが良いだろ?」

「ええ、ありがたいです。あのおっさんと話さなくても良ければもっといいんだが」

「それは無理だな、諦めてくれ……」

「へいへい、金払いがいいんですからその辺は我慢しますよ。それじゃ俺はこのへんで」

「感謝しているよ」



手を振って去っていくバグダッシュを見送り、俺はバグダッシュの情報を精査する。

なるほどな、俺の知りたかった情報の7割くらいは書かれている。

後の3割は、自分で確認するしかないか。

とはいえ、そんな資料残してくれてるといいんだが。



「当たって砕けるわけにもいかないしな」



俺は出世のためにこれをやる以上、危ない橋を渡るわけにもいかない。

証拠を抑えるのに自宅に踏み込むなんて真似は出来ないわけだ。

一番いいのは相手の自供を引き出す事。

それが無理なら、なんとか証拠を持ち出させる事。

どちらも難易度の高いミッションである。

何せ、俺が直接手出しをせずに動かさないといけないわけだから。



「ならやっぱり、あっちの手しかないか」



幸い、バグダッシュはホシの行動パターンや性癖まで書いてくれてある。

ここまでやれるなら自分で逮捕して手柄にでもしろよ、と思わなくもないが。

彼はそういったリスクを好んでするタイプでっもないな。



『お前の大切な人形は預かった! 助けてほしくば、都市外のハズレにこられたし』



これは、たまたまネットで誘拐を計画していたらしき2人組に悪知恵をつけてやった結果である。

もちろん犯罪は未然に防ぐべきだ、だが彼らのやっている犯罪は軽犯罪法の範囲。

まだ早い。


俺はハイネセン周辺の人工衛星の情報を取得する事ができるアプリサービスを使って、犯人達の行動を監視する。

彼らは大げさに人質としている物を持ち上げ、動画の撮影をしている。

犯行声明ってやつだ、もちろん誘拐なんだから誘拐した家の関係者に届けるんだろう。


まあ、馬鹿な奴らだとは思う。

今の犯行声明で既に彼らの身元割れだろうし、あんなことを言われて金を持ってくるやつもいない。

だが、盗まれた人間にとってはよっぽど重要なものだったのだろう。

暫くして男が現れた。



『貴様ら!! それを返せ!!』

『えっ、もう来たのか!? まっ、まあいい』

『そうだぜ、兄貴。身代金要求しないと!』

『ああ! やいやい! 返してほしけりゃ1万ディナール出しな!!』



身代金の要求をここで初めてするとは馬鹿にも程がある。

一万ディナール(約110万円)というのも中途半端な額だ。

言ってないのにそんなに持ってきている可能性は低い。

だが、男の方は少しだけ考えた後、うなずいた。



『いいだろう』

『おっ、おお!』

『やったぜ! ネットも馬鹿にならねぇな! 兄貴!』

『ばっか、そういう事言うんじゃねえよ!』

『ネット?』

『親切な人があんたはそれを人質にすれば金を出すって言ってたんだ!』



馬鹿が……まあ、別に俺の元までは追ってこれないだろうが。

何せ、あのコメントは幾つもの惑星経由でネットにつないでいる、超光速通信から足が付く可能性もあるが。

それでも俺まではたどり着けないだろう。

俺がコメントしたわけでもないしな。



『ちっ、もう足がついたのか』

『へ?』

『やっぱりお前たちも死んでもらう』



男は銃を構える、そしてその背後から俺はいきなり手錠をはめた。

そう、俺はずっと近くに潜んでいたのだ。

だいたい、彼の背後に当たる位置にずっと。

そもそも、この街の外は廃墟になった地域、地震だか地殻変動の影響らしいが。

区画の再建をするための交渉が上手く行かず、地主がゴネて頓挫。

その結果現在のガレキの街のような状態である。

それ故に隠れる所には困らなかった。

もちろん、偽装もそれなりにしていたが一人で来てくれて助かった。


俺は、その男も誘拐犯(?)の2人も一緒に捕縛し、基地へと連れて戻る。

そして、ドーソン司令を通じて軍警察に引き渡す。

これは2つの意味で美味しいのだ。

一つは当然、ドーソン司令のお覚えがめでたくなる。

もう一つは、軍警察が自分の手柄にしてしまうのを防ぐためでもある。



「しかし、凄いものだねナカムラ君」

「いえ、これもドーソン司令が言われた警備強化のたまものです」

「ふむ、確かに提唱はしたが実行したのは君の部署だけだった。

 他は形だけの所ばかりだ。全く……」

「しかし、今回の事で真面目にする事になるかと」

「そうだな。結果が出たからには目の色を変えるだろう」



ドーソン司令は操り安くて助かる。

とはいえ、他の奴らみたいに自分の利益だけ考えて操っているつもりはないが。

今回の事で警戒は強まるだろうし、実際に帝国のスパイを見つけたのだ。

それを指導したドーソン司令の評価は高まるだろう。

俺自身の出世のためではあるが、幾つかの効果を同時に与えられる。

こういう事が出来るのも事前に情報を多数手に入れられる環境にあるからだ。

情報がどれだけ大切かわかるというものだな。


こうして、俺は少佐になる条件を満たした。

幸い、コネを使って立ち回らずともドーソン司令が推薦してくれたので、半月ほどで少佐になる事ができた。

ドーソン司令も大佐から准将になるほどのものではないものの、勲章の授与があるらしい。

ウィンウィンである。



ともあれ、俺は仕事を早く済ますと、昇進の事を家に帰ってエミーリアに伝えた。

エミーリアは驚くでも、呆れるでもなくほんわりと笑う。



「そっか、ようやくだね」

「ああ。結婚しよう」

「ふふっ、もう一緒に住んでるし、結婚したようなものだけどね。

 式はあげておきたかったし……皆も呼ばないと」

「ああ!」



こうして俺達は結婚式までのスケジュールを組んだ。

とはいえ、俺のした事は式場の予約や諸々の代金の支払いがメインで、企画についてはほとんどエミーリアの意見を採用した。

やはりこういうのは女性の夢を叶えるものなのだから、男が口出しするようなものでもないだろうと思ったからだ。

まあ、本当の所よく分からなかったというのが大きいが。

式場の違いとか、引き出物の良し悪しなんて分からないよほんと……。



「でも凄いね。招待客に偉い人がいっぱい」

「そうか?」

「そうだよ。お父さんのパーティでも見かけないような人もいるし」



確かに、たかだか少佐の結婚式としては異例だろう。

金はまあ、かなりかけているが持ってるんだから使えばいいというものだ。

俺の結婚式に著名人を大量に呼ぶ羽目になったのは、漫画の方のツテのせいだ。

漫画家、映画化した影響で映画関係者、ゲーム等の企業の社長、影響力のせいで来たがる政治家などなど。

それに十字教がうるさかったので、結婚式を十字教の協会で上げる羽目になった。

しかも、式を取り持つのは教主リディアーヌ・クレマンソー。

そして、回帰教の教主であるアンリ・ビュコック先輩も来る。

どんな結婚式だという話になるのは仕方ないだろう……。



「お父さん、大丈夫かな?」

「大丈夫……って?」

「お父さんあれで結構小心者だから」

「小心者って。大会社の社長でしかも諜報組織を抱えている地方の人物とは思えないほどの大物だよ?」

「でも、今回来る人達は同盟を動かしている人達もいるじゃない」

「んー、どうなんだろ? 同盟の中枢にいる人達もいるけど。

 でもそんな国を動かしてるってほどの大物はいないと思うけど」

「そうかな……」



あのヤクザのドン的な親父さんが緊張ね……。

ちょっと想像つかないな。

むしろ、政治家を脅して手駒にしそうだが……(汗




当日になり、結婚式が人でごった返す事になり少々頭が痛い。

当然といえば当然で、漫画王の渾名は伊達ではないし、十字教や回帰教の信者も多数来ている。

それにマスコミも多数来ているようだし、コネを作りたい人達が飛び入りしようと伺っている。

はっきり言って、俺ここまで有名人になっていたとは思っていなかった。

どれも顔を出さない活動ばかりだったからな……。



「新郎十字中村、あなたは新婦が健やかなるときも病めるときも愛することを誓いますか?」

「はい」

「新婦エミーリア中村、あなたは新郎が健やかなるときも病めるときも愛することを誓いますか?

「はい!」



エミーリアが少し上ずった声で誓うのが微笑ましかったが、その後誓いのキスでは俺も同じ様なものだった。

互いに赤くなっているのを意識していたが、儀式は進みケーキ入刀まですませる。

この形式の結婚式そのものはずっと残っていたがその意味等は忘れられていた部分もあるらしく観客に新鮮に受け取られていた。


その後新郎新婦の友達や家族、仕事の関係者等が色々語るわけだが……。

その時間が異常に長くなってしまい、疲れ始めた所でようやく終わった。

やっぱあれだな、ドーソン司令はこういうの好きだわ……一人で半時間近くしゃべってたしな。


披露宴も終わった後、俺達は新婚旅行に向けて出発する事となる。

2週間ほど有給休暇をもらう事に成功した俺は、エミーリアとその間を盛大に楽しむ事にした。

ばらまきをするわけじゃないが、折角金を持っているんだから使わないとな。

今まで金を使ったのは基本的に将来への投資がほとんどだったから……。


南の島にバカンスが昭和から平成の俺にとっちゃ普通だったが、ここのハネムーンの場合別の惑星に行く事になる。

バカンス惑星とかあるんだから凄まじいな。

もちろんエミーリアの水着を堪能したし、初夜だって迎えた。

むしろ夜はやりっぱなしだった気がする。

いやだって、前世を含めて嫁もらったの初めてだしな……。


そうしてハネムーンをして帰ってきて3ヶ月ほど。

辞令が俺に届けられる。

それは駆逐艦の艦長になれというものだった。






あとがき



ようやくジュージを駆逐艦の艦長にすることができました。

長かった……まだ原作まで結構遠いのに。

とはいえ、流石にこれからも1年単位で進めるかというとそうでもないのですが。

ただ次回が第3次イゼルローン会戦となるのはほぼ確実です。

そうでないと艦長にした意味ありませんしねww



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