銀河英雄伝説 十字の紋章


挿話一 十字、父親となる。






宇宙歴783年、マルカートに駐留艦隊司令として着任してより1か月ほど。

海賊との対決より4年前の事。

俺はエミーリアの懐妊を知った。

丁度それまでは着任関係の仕事がバタバタしており忙しかった事もあったが連絡はきちっとしていたつもりだった。

ただ、エミーリアのほうで忙しい間は秘密という事になっていたようでメイドのバーリさんからも報告がなかったのだ。


まあ、最近はうちもかなりの金持ちになったので護衛もかなりの数が常駐しているし、メイドもバーリさん以外にも結構いる。

こちらにエミーリアが越してきた時も3000坪を越える邸宅を用意したものだ。

もっとも地価がハイネセンポリスの1000分の1なので実質邸宅の代金と庭の整備代金のほうがメインだが。

メイド10人、護衛15人、その他の使用人も10人といった感じで当然その中に薔薇の蕾が混ざっている。

近くには十字教の教会があるのもお約束だ。

そのためにわざわざ教会を作って渡している。

エミーリアの安全は俺が今後も活動していくために必須だと考えているからだ。


そのため、例え俺が知らない状態でもエミーリアの安全も体調も一通り整えてくれる。

とはいえエミーリアもコンビニの運営会社に顔を出す程度はしなければならない。

頻度は低くても、100%安全とはいかないのが辛い所だ。

まあ、おめでたである以上は俺が代替で出る事にすればいい。

何せここの仕事はかなり暇だから問題ないだろう。

そんなこんなで10か月、エミーリアと出来るだけ一緒に過ごした。

そして……。



「女の子か!」

「ええ……」

「エミーリア似だな! 目元とかそっくりだ!」

「でも口元はあなたそっくりよ」

「俺に似てるのがそのくらいでよかったよ、男みたいな顔に育ったら不味い」

「まあ♪」



エミーリアは子供を産んで直ぐであったため、面会は早々に打ち切られ術後の様子見のため退院したのは一週間後くらいだった。

その後、お定まりのイベントでもある名前決めで色々もめた後最終的にリーリアという名に落ち着いた。

更に子供の事をエミーリアパパやうちの両親に告げたところ一度戻ってくる様にと言われた。



「エミーリアちゃん久しぶり! うちのバカ息子が迷惑かけてない!?」

「いいえ、いつも良くしてもらってます♪ この間もまだ体調戻ってないからって介添えしてもらってましたし」

「あら、珍しく気が利くのね」

「いえ、普段から家にいる時はデート欠かせてませんし、プレゼントもよくもらってます。

 でも疲れているのに無理する様な事はして欲しくなくて。

 無理やり休ませたりしてますね」

「出来た娘さんだよ。ジュージ。手放すんじゃないよ!

 で! 初孫はどこなんだい!?」

「御免なさい。車の中でバーリさんにあやしてもらってました。

 最初にお見せすると、リーリアちゃんのお話だけになっちゃいますしね♪」

「あら、分かってるじゃない! こういう時メイドさんがいると便利ね!」



そうして、リーリアを呼び。一度家に入って雑談に花を咲かせる。

と言っても、俺は壁の花状態だが。

何せ母とエミーリアがマシンガントークを続けるものだから。

普通に話せる状態になるまで1時間以上かかった。

こんなに長話でよく疲れないなと思ったものだ。


もっとも、俺も惑星パラスそのものが懐かしい。

かれこれ10年ほど開けていた事になるのだから。

暫くして、エミーリアが母乳を飲ませリーリアを寝かしつけるとジュニアスクールの頃の友達が押し寄せてきた。

多分エミーリアが連絡を入れていたのだろう。

主にエミーリアの知り合いが多かった、俺も一応連絡を取っておくかと思い電話等をしてみるとえらい怒られた。

薄情者というのが主な理由だったが、確かにいきなり連絡するのもどうかと思う。

ただまあ、成功の秘訣だのを聞きに来る奴やら金の無心やらが多かったのは閉口した。



「普段から連絡してないからああいうのが湧くのよ」

「う”っ否定できない……」

「まあ、いつも忙しいから仕方ないけど。人間関係も大事なんだよ?」

「元ボッチにそんなことを言われるとは……」

「もう! 15年以上前の事じゃない!」

「ははは! でも感謝してるよ。リーリアの事も。俺をいつも支えてくれる事も」

「ううん、私もだよ。いつももらってばかりで申し訳ないくらい」


後、長男のタツヤ兄と次男のカツヤ兄も帰ってきていたので話をした。

なんでもタツヤ兄が言うには家業がいまいちうまくいってないらしい。

俺は、コンビニチェーンの話をした。

出店資金等はご祝儀としてこちらで立て替える事で用意し店の改築資金も出した。

カツヤ兄も手伝うと言っていた、同盟軍にいたはずだが出世が進まず大尉止まりらしい。

まあ、同盟軍の大尉ならそこそこ生活費は問題ないはずだが、女関係が問題あったとか。

俺はそれ以上追及する気になれなかった。


翌日、ごり押しで面会を申し込んできた市長に付き合い少し対談する。

まあ俺もメディアを利用しているのでやり方に文句も言えなかったが、問題はその関係者としてエミーリアパパが来ていた事だ。

親父さんの家に行くのは次の日となっていたので待ちきれなかったのだろう。

あっちもこっちも残念な奴でいっぱいだった……。

ただ、俺のほうは困った事に英雄の虚名に漫画王に同盟の金持ちランキングに載るくらいの大金持ちという点だ。

メディアなんかに出たものだから、翌日から地方紙から中にはハイネセンの新聞まで取材が殺到した。

仕方ないので翌日はエミーリアパパの家にエミーリアとリーリアを残しバーリさんに仕切りを任せて会見を行った。

30以上のメディアが来ていたので一度に対応したほうが楽だという判断になったのだ。


「ふう、とりあえずはこれでいいか」

「お疲れ様です、ご主人様」

「バーリさん。メディアの反応はどうです?」

「概ね良好かと。ただ、当然ですが第三都市の市長に会ったのは失敗かもしれません。

 パラスの市長クラス以上の面会申し込みが殺到しています」

「あー、そうなるよな。生家だからという理由である程度は断るとしても……。

 エミーリアの所の市長とパラスの惑星代表は会う必要があるか」

「はい、その様に手配しておきます」



その後も日が暮れるまで面会だの会見だので引っ張りまわされる事になった。

とはいえ、半ば自業自得ではあるのだが。

そうして、金の無心や商売話の関連は精査を行った後、問題なさそうなものだけ行う事にする。

中には俺を脅したり、武器を所持して接近しようとする輩もいたが接触前に排除された。

プライベートアーミーは伊達じゃないのだ。

その後、エミーリアの実家のほうに戻りエミーリアに色々報告したり、エミーリアパパと話したりしているうちにその日は暮れた。

それから、どうしてもというもの以外の面会は断りながら2日ほど過ごす。

エミーリアもかなりリラックスしている様で何よりだった。

リーリアの世話をメイド達に頼んでデートなんかもした。

そして、その日の夜、エミーリアパパと話す事になった。



「子供が出来て一安心したよ。君は仕事に夢中だったように見えたからね」

「いえ、お恥ずかしい。本当はもっと早くと思っていたんですが。思いのほか色々重なりまして」

「ふむ、では暫くは時間が出来たという事かね?」

「はい。エミーリアに余裕があればもう一人か二人くらいと思っております」

「はっはっは! まあ、女性は子供が産める時期に限りがあるし、急いだほうがいいね」

「その通りですね。まあ生々しい話はこのくらいにしましょう」

「まあ、私としてはリーリアが生まれてくれただけでも十分だがね」



そうして、とりとめもない話を暫くして、現状の確認を一通り済ませる。

エミーリアパパは以前と比べ威圧感があまり感じられなくなっていた。

リーリアが生まれた安心もあるだろう、しかし緊張感がないのは別件かもしれない。

俺に薔薇の蕾を引き継がせた事で肩の荷が下りたと感じているんだろう。

結局最後まで薔薇の蕾や同盟の現状等に対する話をしなかった事からもそれらは明らかだった。


「エミーリアとリーリアの事、頼んだよ」

「はい!」


翌日俺たちは任地であるマルカートに戻る事にした。

家族たちは総出で見送ってくれたのが印象的だった。

この生活を守るためにも、同盟内を戦火で焼く様なマネは絶対しないと誓った。


それから、暫くはマルカートで大した事もできずにいたのだが。

エミーリアとの時間を多く取る事が出来た。

結果として2年後には男の子が生まれるのだが、それはまた別の話……。







あとがき


やっつけ感が酷くて申し訳ない。

本来は16話に入れるべきエピソードだったのですが、子供の事を入れ忘れていた事に今頃気づきましてw

急遽突貫で作った話です。

異様に短いかと思いますが、ご容赦をw

今更ですが、もっと早く結婚させて子供作らせたら軍に入れたりとか出来たかもですが(汗

後、土曜日には18話もきちんと公開するつもりですので、ご安心くださいませ。



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.