機動戦士ガンダム〜アムロになってフラグをぶち壊す〜






02





シャアの襲撃から2日、どうにかやり過ごしてルナ2へとたどり着いた。

原作通り補給艦バプアの襲撃はあったものの、リュウさんの活躍と俺の支援で切り抜ける事ができた。

ジョブ・ジョンの方は、命にかかわるほどの傷ではなかったようだ。

いやはや、これで死んだら俺が殺した様なものだから、生きていてくれて嬉しい。


ただまあ、ルナ2はルナ2で大変なんだが……。

ワッケインも根はいい人なんだろうが、軍人としては硬すぎて話にならない。

アニメを忘れた人は寒い時代のコメントのほうを思い出すだろうが。

アニメにおいて、最初はさんざんこき下ろされたのだ。

幸い俺は今交渉の場にはいないが、同じ事が起こっている事だろう。

とはいえ、心配はいらないパオロ艦長と親父さんがいるからな。

特にパオロ艦長は階級的にもワッケインより上だ。


ルナ2司令のワッケインが少佐というのはおかしいが、恐らくパオロ艦長の中佐より下にしたかったのだろう。

その辺作り手の考えが如実にわかる一面ではある。

ただ、現実的にはおそらくルナ2の艦隊は壊滅しているのでワッケインは艦隊再建されるまでの繋ぎである可能性が高い。

つまり正に自分で基地を自由にする事も出来ない程度の地位でしかないという事だ。

だとするなら、ある意味言っている事もわかるというもの。


その後、俺達はブリッジに集められることとなる。

ルナ2の状況等を説明され、結局ルナ2では俺達を守る事は出来ないと伝えられた。

ルナ2艦隊のうち残っているマゼランは1隻だけ、サラミスが20隻程度。

現状のルナ2の戦力はたったそれだけだ。

ここから護衛を割けばルナ2を放棄するしかない。

実際、原作でリード大尉らがサラミスで脱出したのはほぼルナ2放棄といっていいだろう。

今回はパオロ艦長のおかげでルナ2からの脱出が早まった事もあって壊滅的打撃は受けていない。

それに、∨作戦回収任務の責任者パオロ艦長に問題がないのだ。

リード大尉らは着いてこないのだろう。



「そこで、我々はこのままジャブローに降りる事を目標として動く事になる。

 幸い、ジャブロー上空はまだジオンに制圧されてはいない。

 シャアについてもシャアザクの足をアムロが切り落として以来、シャアが直接出てきてはいない。

 シャアザクが修理されるより前に素早く行動するほうが有利に働くだろう」



そう、シャアみたいなアグレッシブな上司がいると、こちらとしても対処が難しいが、幸い暫くは直接相手をしていない。

だが、同時に思う。

シャアが地球上空に来る俺達を待ち伏せしている可能性は高い。

ザクが直ってなければ、別のザクを赤く塗って出てくるくらいはするだろう。

まあ、塗らないほうが伏兵としては良いと思うが、主義や信条でもあるんだろう。


俺は限られた時間の中でシャアに対抗する方法を考える。

ガンキャノンにビームサーベルをもたせたのは正解だったが、初見殺しでしかない。

それを生き延びた以上もうシャアに同じ手は通じないだろう。


出来ればG−3ガンダムを使いたいが、ニコイチしている最中であるから、ジャブローまでに間に合わない。

ならば、ガンキャノンを強化するしかないだろう。

ガンダムはとりあえずリュウさんに乗っていてもらおう。

あれのほうが俺も成果を出せるんだろうが、逆にリュウさんが熟練してくればアムロの単騎戦闘なんて原作の状況が緩和する。

それに、ガンキャノンはMSVにおいてバリエーションが結構存在している、強化で上手く行ったものを試せばいい。

即ち、バーニアの取り付けである。

ガンダムにはあるがガンキャノンの初期型にはないのだ。

だから、よくガンキャノンやガンタンクはホワイトベースの砲台みたいなことをやっていたのだ。


そして、MSVにおけるガンキャノン後期型とガンキャノンUはバーニアがついている。

それによって機動力を補う事で汎用性を高めているのだ。

そこで、俺は親父さんに提案したのだ。



「このガンキャノンって、バーニアをつけたらもっと使える様になると思うんだけど」

「ふむ、確かに。G−3はジャブローで最終調整しないといけないからな。

 この際、G−3用のバーニアを取り付けるか」

「いいの?」

「待ち伏せがあるんだろ?」

「可能性は高いと思ってます」

「生き残らないと組み立ても出来ないからな」



親父さんは快く応じてくれた。

ならばと、メインのガンダムのバーニアとは別に姿勢制御に使う複数のバーニアを機体のあちこちにつける。

宇宙で高速戦をしようというのだ、姿勢制御バーニアは多いほうが良い。

名付けて、ガンキャノンフルバーニアン。

バーニア出力だけならガンダムの1.3倍くらいにはなっているはずだ。

自重があるので、実際はガンダムほど軽やかにとはいかない。

それでも、ガンダムに近い宇宙機動戦が出来るというのは大きい。



「アムロ・レイ。ガンキャノンフルバーニアン出ます!」

『リュウ・ホセイ。ガンダム出るぞ!』



敵がレーダー圏内に入ったわけじゃないが。

可能性が高いという事で出撃許可をもらった。

申請は親父さんがやってくれた。

流石に俺じゃ角が立つからな。


しかしあれだな、複数のバーニア制御なんて手動でやるもんじゃないな。

ある程度は学習プログラムが補正されていくので楽になるはずだが。

現状、機体を安定させるために何箇所も同時にバーニアを吹かすというような真似をしている。

感覚である程度わかるが、手が足りない。



「ッ!!」



シャアがいる、というのがなんとなくおぼろげにわかる。

朧げなのは俺がアムロとして不完全だからだろうか?

まあその辺はどうでもいい、ニュータイプ能力が発現しただけありがたい話だしな。



「行け!!」



俺は、肩のキャノン砲を発射する。

現在位置から動かなければどこかには当たる、目が良すぎる人みたいだが。

だが当然、向こう側も事前にしれる以上回避される。

ニュータイプ同士の戦いは、基本的に読み合いにならない。

原作でもそうだったが、近接してからの削り合いでなければ決着がつけられないのだ。

読めても身体が追いつかない、それだけのテクニックか心理的罠を用意する必要がある。

まあ逆に言えば操縦テクニックがなければいくらニュータイプ能力が高くても簡単に沈むとも言えるが。


それはともかく、そんな状況で遠距離射撃を行った理由は2つある。

相手の奇襲の動きを止める事、味方に敵の位置を教える事だ。

静止衛星軌道上であるここにおいては、昔の人工衛星や軌道エレベーターの残骸が多くある。

更にはついこの間コロニーの残骸も撒き散らされた。

結果として隠れる場所には事欠かない。

残骸に隠れたまま接近されては、大変な目にあうだろう。



「視認、敵ザク4。シャアザクもいます!」

『無理に倒さなくても良い。ホワイトベースが大気圏突入体制に入るまで約4分、護衛を頼む』

「了解しました」

『カイとハヤトがホワイトベースの砲座で砲撃支援をする、あまり無茶をするな!』

「はい!」



そういえばふと思ったんだが、カイ・シデンとハヤト・コバヤシはパイロット候補になっているがまだ乗せてもらってない。

カイは別に乗りたいと思っているわけでもないので、今の状況を喜んでいるだろう。

ハヤトはまあ、フラウ・ボゥに良い所を見せるためにも早く乗りたいはずだ。

俺がガンキャノンに乗る事によって活躍の場を奪っている格好なのは申し訳ない。



『このガンダムなら、やれる!』



リュウさんもここまでにザク2機を倒している。

スレンダーのザクとガデムのザクTだ。

そのため自信がついてきたんだろう、良いことだ。

因みにリュウさんがガデムと対峙した時、俺はバプアを撃破していた。


しかし、当然バプアが運んだザクはシャアに渡ったはずだ。

だからこそ今4機のザクが俺達に向かってきているんだから。

因みに、本来ルナ2でも襲撃に合うんだが、パオロ艦長が出立を急いでくれたので間に合わなかったんだろう。

正直、一回でもリスクが減るのはありがたい。


しかし、ガンキャノンフルバーニアンは流石に動きがいい。

もちろんガンダムと比べれば硬い動きしか出来ないが、砲撃しながら機動回避が出来るとかガンキャノンとは呼べないな。

今回は、盾とビームライフルを装備している、基本的に近接する気はないからだ。

何よりホワイトベースに取り付かせなければ勝ちなんだから。



「ようは相手の弱みにつけ込むべきだよな」



俺は、シャアザクを牽制しながら、別のザクを撃破する。

それが出来るのはキャノンとビームライフルを別々に撃つという小器用なマネをしているからだ。

ファンネルやフィンファンネルで6つ同時とかを撃つニュータイプ能力なら2つくらい問題ないと思ったがやはりいけた。

キャノン砲でシャアザクを牽制するだけではシャアに近づかれかねないが、やはり前衛にガンダムがいるのが強みだろう。

リュウさんもホワイトベースにシャアを近づかせないよう精一杯牽制してくれている。



「これで3つ! 後はシャアだけだが……牽制だけじゃいずれとりつかれる……」



そう思っている間にも、後方からミサイルの雨がきている。

おそらくドレンのファルメル。

シャアと別ルートで接近してきたんだろう。

ミサイルの迎撃なんて、出来るやつは今いないはず……。



「ちぃっ! 腕は2本しかないってのに!!」



俺は、片手でキャノンを操作しシャアを牽制しつつ、もう片方の手でビームライフルを連射してミサイルを撃ち落としていく。

ここで失敗したら、ガンキャノンで大気圏突入なんて馬鹿な事をしなくちゃならない。

耐熱フィルムもないんだから、焼け死ぬだけだ。



『アムロ、ホワイトベースに戻って。タイムリミットよ』



セイラさんの声が聞こえる。

ミサイルの対処はどうにか終わった、シャアのほうもどうやら下がるようだ。



「了解」



俺は早々に切り上げてホワイトベースに着艦する。

あまりギリギリになると死にかねないからな。

ガンダムならまだしも。



『クッ! まずい!』



あっ、リュウさん……。

このままじゃまずい!



「リュウさん! ガンダムには大気圏突入用のシステムがあります!

 腰のあたりにある赤いボタンを押してください!」

『なっ、わかった!』




ふう、ギリギリでまにあった。

ガンダムの大気圏突入は歴史の修正力なのか、俺の代わりにリュウさんが粘りすぎて落ちていく。

ただ、幸いなのはガンダムもホワイトベースもどうにかジャブローに向けて降りる事ができそうだということだ。

問題はレビル将軍、いや他の将軍達も含め、俺達に対する印象はあまりいいものじゃないだろうということだ。

原作におけるレビル将軍は鷹揚ではあったが処分に情を挟むような人間ではなかったし、

ゴップ将軍は政治将校としては優秀なのかもしれないが、ホワイトベース乗組員に関してはヤシマ家くらいにしか興味を持っていなかった。

ありていに言って、取り入る人間が必要だ。


そうでなければ、原作と同じ様に1年間牢獄生活か軍属だが階級がないという最底辺かという二択になるだろう。

もっと悪ければ一生牢獄生活という事もありえなくはない。

とりあえずミライさんに話しておく必要がある。

変な嫌悪感で折角のゴップ将軍のコネを活かせないようじゃ不味いからな。

後は、親父さんとパオロ艦長にコネがあるかだが。


親父さんは∨作戦の関係上、主導したジョン・コーウェン少将にコネがあるはず。

0083の頃は中将だったが、それも∨作戦の功績と思われる。

ともあれ、連邦軍最高幕僚会議の一角である以上、発言力は大きいだろう。

因みにレビル将軍、ティアンム将軍、ゴップ将軍らも名を連ねるのだからその影響力は推して知るべし。

まあ、レビル将軍とも一応つながりはあるかもしれないが、親父さん……技術屋だからなー……。


パオロ艦長は艦隊派なので、ティアンム将軍の旗下にあるといっていい。

ティアンム将軍は中将なのでこの当時、レビル大将、ゴップ大将に次ぐ第三位の地位にある。

他にもワイアットやコリニー等中将はいるだろうが、中でも頭抜けて影響力が高いのは間違いない。

実際、宇宙反攻作戦の初戦であるソロモン攻略作戦の指揮を取ったのがレビルではなく彼なのもその証拠と言えよう。

だが、パオロ艦長との関係がどの程度なのかが分からない。

とはいえ、パオロ艦長なら恐らく何も言わなくてもこちらのために行動してくれるはず。

手を出す必要はないだろう。


これだけ考えても、実際のところ行動に移せる事は少ない。

俺が直接何かを言っても角が立つだけだし。

俺に出来るのはせいぜいが、親父さんにそれとなくジョン・コーウェン少将とのつながりをつけておいてもらうくらいだ。


この世界は人の命が軽すぎる。

今生きている人間は2分の1のクジに当選しただけだ。

宇宙にいても地球にいても死んでいた可能性は十分にある。

戦争をしている軍人より一般人のほうが生きづらいくらいだ。

特にジオンの掲げる地球から人類を脱出だのというお題目は鼻で笑う話である。

何故なら、そのためなら地球に住んでいる人間をいくら殺そうと気にしないと言うんだから。


はっきり言って、スペースコロニーがあるということは、人工で自然環境を操作できるということだ。

地球の自然環境も人が調整することは不可能じゃないだろう。

ただ、人口の増えすぎはコントロールできないというのは理解できる。

そういう意味で一年戦争が地球にとって環境整備をしやすくしたとも言えてしまうのは辛い。


まあ、今の俺はそんな事を心配する余裕はない。

そろそろ地上も近いしな。



「ガンダム! リュウさん聞こえますか?」

『あっ、ああ……どうにか』

「ならホワイトベースに着艦してください」

『了解した』



呆然としていたが、無事な様で何よりだ。

俺が大気圏突入しなくてよかったとは思うが。

因みに親父さんは大気圏突入のテストが出来て上機嫌なようだ。

これだから研究馬鹿は……。



それから誘導に従い、俺達はジャブローへと侵入していく。

ある意味歴史が変わった瞬間なのかもしれない。

ただし、いい方向に変わったのかと言われると微妙な所だろうが。









宇宙暦0079年9月30日、ジャブローについて一週間が経とうとしていた。

やはり、ホワイトベースとモビルスーツは取り上げられる事となる。

テスト機ばかりなのだから当然と言えば当然だ。

ただ、並行作業で色々な開発が進んでいるため、既に陸戦ガンダムがロールアウトしており、インド戦線に投入される予定となっている。

恐らく08小隊の前身の小隊が発足するのだろう。


それとは別に、テスト用に作られたガンキャノンやガンタンクを可能な限り投入して、北アメリカの戦線維持を行う作戦が予定されている。

陸戦ガンダムはインド戦線がメインになるが、陸戦ジムは北米戦線にも投入されるとの事だ。

因みに北米戦線を押し上げたり、北米奪還は考えていないらしい。

投入する数が全部合わせても10機程度と少なくテスト機であるため損耗するわけにいかないからだ。


そして、戦時任官で曹長になった俺と軍曹になったカイはそちらに投入されるらしい。

乗り込むのは、どちらもガンキャノン。

俺はガンキャノンのパイオニアと思われているらしい……。

まあ、MS4機とバプアを落とした実績があるのでエースというのは間違いではないが。

ガンダムをリュウさんに譲ったのは別にガンキャノンが得意だからって理由じゃないんだが……。

まあ、フルバーニアンに改装したガンキャノンをそのまま使っていいという事なのでありがたい話なんだが。

装甲は間違いなくガンダムより厚いしな。

とりあえずガンキャノンの色を変えていいという事なのでトリコロールカラーをお願いした。



とりあえず集合場所へと向かう。

きちんとした訓練を受けていない俺達は出会った上官に敬礼をするしかない。



「おっ、エースのお出ましか。

 お前達の隊長をする事になった、エイガー少尉だ」

「アムロ・レイ曹長であります!」

「カイ・シデン軍曹であります!」

「元気がいいじゃねーか。よろしくな!

 とりあえず今日は奢ってやる、飯を食いに行こうぜ、出撃したら暫くレーションばっかになるからな」

「はっ! ご相伴に預かります!」

「は!」



カイはこういう上下関係は苦手だが、とりあえず最低限の事だけはいう様に言ってある。

後で愚痴を聞かされる事になるんだろうけどな……。


しかし、エイガー少尉か。

戦車兵上がりのガンキャノンパイロットだったな確か、ジオニックフロントではマッドロックことガンダム6号機を使う。

もっともジオニックフロントはジオン側を扱った作品なので、ボスキャラ扱いであった。

それも、中ボスであるため慣れたプレイヤーからすれば本当にガンダムかよ? とか酷い扱いである。

そりゃエースではあっただろうが、ニュータイプでもなければユウ・カジマのような特級エースでもない。

仕方ないと言えば仕方ない話ではある。



「しかしガンキャノンってのはいい機体だな! 火力は高いし、装甲は厚いし、砲も多い!」

「そ、そうですね!」



バーで飯を食ってる俺達の横で既に半ば出来上がっているエイガー少尉が言う。

彼のような人間からすれば、ガンダムタイプやジムタイプのような人間の延長線という意識の強い機体よりもいいのかもしれない。

ガンキャノンやガンタンクはなんのかんの言ってメインはキャノン砲だからだ。

戦車兵だった彼からすれば、そういう機体のほうが扱いやすいのだろう。



「これで思う存分ジオンの奴らをぶっ殺せるってもんだ!」

「はい!」



俺はお追従キャラを貫いている。

最初から意見を言っても仕方ないしな。

それに、気持ちはわからんでもないからだ。

だが、カイはそれが気に障ったらしい。



「へぃへぃ、でも連邦だって正義ってわけでもないだろうに」

「ッ!」

「おい、お前……確かカイって言ったか。連邦が正義じゃないだと?」

「だってそうでしょ? ジオンが独立戦争を始めたのは連邦の圧政のせいじゃないっすか?」

「ぷっ! びゃはははは!」

「何がおかしいんです?」

「お前アホだろ?」

「はっ!?」



カイがアホってのは確かに俺も同感だ。

連邦のそれもジャブロー内でこんな事を言って、下手したら敵性と判断されて投獄されるぞ……。

だがもっとアホなのは、斜に構えすぎて真実を見抜けてない所だな。



「カイ、前の言ってる事は戦争前なら正しかったかもしれない。

 だが、奴らはサイド1,2,4,5を壊滅させ、地球にコロニーを落とした。

 死者の数は解っているだけでも30億を超える。

 それだけの死者を量産してくれた奴らが、スペースノイドの自治? 独立?

 お前確かサイド7の出身だよな? だからわからんのだろうが。

 今みたいな事言ってたら刺されるぞ」

「え?」

「今生きている人間のうちサイド3とサイド6,7を除けば、親類か友人か恋人か、誰かしらジオンに殺されてるんだよ。

 数字からわからないのか?」

「あっ……」



そういう事だ、監督の考え方のせいかそういう部分はまるで作品に反映されていなかったが。

実際には死者の数を考えれば絶対にそうなる。

ジオンへの恨みはサイド3に対するテロが多発してもおかしくないレベルだ。

むしろ、ティターンズが出来たのは当たり前にすぎない。

まあ、上層部が暴走するという意味不明な組織だったので、潰れて当然だが。

正しいティターンズが必要だったのだ。

というか連邦がきちんとしていればティターンズも必要無かったと言える。



「しかも奴らは、上層部にしっかり教育を受けて自分たちが正義だと疑っていない。

 狂信者の集団だ、ジオンバンザーイつって自爆特攻するやつだっているくらいだぞ?

 そんな奴らに情けをかけてみろ、殺されるのは俺達だ」

「確かに……」

「奴らを人間だなんて思うなよ。ゴキブリか何かだと思え。そうじゃないとやってられん」

「しかし……」

「カイ、ぼく達だって殺される所だったの、忘れてないか?」

「あ……」

「あのザクにテキサスコロニーの人達が100人は殺されてる。ボク達は運が良かっただけだよ。

 脱出した人達全員が助かったかどうかすらわからない」



カイは意気消沈したが、彼の性格なら意見を変えたわけではないだろう。

だが、それでも戦争をする側の気持ちも少しは解ってくれたと信じたい。

人殺しは人殺しだ、俺だってMSごしだからやれているのは否定できない。

ニュータイプ能力つっても、現在のところシャア以外はなんとなくいる場所がわかるくらいだしな。



「アムロ、お前はテム・レイ大尉の息子なんだろ?」

「ええ」

「連邦が戦えているのは彼のおかげだ、俺が感謝してたって言っておいてくれ」

「わかりました」



エイガー少尉か。

一年戦争時代は、突撃バカっぽいイメージだったがティターンズに参加した時は結構よく考えてる人になってたな。

やっぱりこの頃から既に素養があったのかもしれない。

彼との縁は大事にしたいな。


まあ、先ずは北米で生き延びられるかという事が一番大事だが……。














あとがき


新年あけましておめでとうございます!

今年もどうにか続けていけるようでありがたいですw


ガンキャノンの強化に走りすぎてしまいました(汗

まあ、実際バーニアを増やせば宇宙において、ガンキャノンは十分戦えると思います。

地上で走るスピードは流石にどうしようもありませんが。


後、オリ主がみょーに強くなってきましたが、アムロと同等になれるかと言われると難しいです。

意表を突いて優位に運ぶのが基本スタンスですね。

リュウの強化はどうなんだろ?(汗

あんま考えてないな……



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