なんだか小説書いていて久しぶりにとても楽しく感じています。

殺戮

「つまり君達は、その…仮面ライダーという力を持った存在で、様々な異世界を巡り歩いている。そう解釈して良いんだね?」
「そういうことになるな」

警察署のとある会議室で、署長である波野(なみの)とそれに付き添うベテランそうな刑事こと加島(かじま)は廻達三人の素性を短絡的に聞かされた。

「それで、天我(テンガ)も仮面ライダーの一人、と言いたいのか…」
「勿論。今まで巡って来た世界の内、ライダーは存在しても、肝心にその”仮面ライダー”という呼び名が無い世界があるくらいなんだから」

流姫は何時もの活発な口調で言った。

「成程、俺も……仮面ライダー」

そう言って会議室に入って来たのは親しみのある雰囲気を漂わせる若い男だった。

「……テンガか」
「そう、彼が天我(テンガ)こと、六道昇(りくどう のぼる)だ」

刑事に紹介され、椅子に座る昇。

「よ、さっきぶり」

と悠長に話しかける廻。

「さっきのあんたの姿…ディロードって言ったっけ…。よくあんな力が出せるな」
「お前も十分に凄いと思うが。少なくとも並のライダーでは到底敵わないだろう」

”謎の存在”がかなりの実力。
と評していたことを伊達や酔狂ではないことを実感し、本人に伝える廻。

「あの、この世界で今まで変ったことはありませんでしたか?」

信彦はそう質問した。
署長は苦戦の表情でこう答えた。

「実は、グロンギ達の行動が最近妙なんだ」
「妙?」
「あぁ、今までは人を殺すとき、奴らは何時も一人ずつ現れてきた。
でも近頃はあんた達も見たように、複数で行動するようになっている」

廻はそれを聞いてブツブツとつぶやき始めた。

「……ゲゲルは基本、一人ずつの筈。…それなのに最近は複数で……」
「何かわかったの?」

流姫が問いかけると、

「グロンギ達は…デカイことをしようとしているのかも…」
「デカいこと?」

昇はそれがどんなものか、気になった。

「基本的に奴らの殺戮ゲーム…”ゲゲル”は一回に付き、一人がそのプレイ権をを与えられて、なんらかの規則にそったやり方で人間を殺したりするが…基本中の基本ルールである”一回につき一人”というものが完全に無視されている」

「「「………」」」

刑事、署長、昇は廻がグロンギに関する幾多の情報を持っていることに驚き、声も出なかった。

「そこまでやるってことは、あいつらは何か特殊なゲゲルを行っていると見るのが妥当だろう」

説明され、署長と刑事は成程といった顔でいるが、

―ジー…―

「な、何?」

昇は流姫をじっと見ていた。

「さっきから気になっていたんだけど…なんで警察の人間でもないのにそんな格好なの?もしかしてコスプレイヤー?」
「違う!!」

昇の見解に流姫は全力を持って否定する。
そして、この世界に着た途端に服装が変化していたことを話して、コスプレ疑惑は晴らされた。

でも、廻は…。

「警察署に来たのこの世界に来た翌日だろ、それでもその制服着てるってことは…」

その先の言葉はない、流姫が全力で廻を殴ったから。

このように、シリアスとギャグがまじった感じで話は終わった。
ついでに聞いてみたら昇の正体は当然の如く極秘事項で、今廻達の居る警察署の人間とかなりのお偉いさんしか知らないらしい。



***

翌朝、廻達はこの世界に滞在する間は警察と協力してグロンギと戦うこととして家(掘っ立て小屋)に帰されることとなった。戦ってる場面を一般人やメディアに目撃されても警察の方で新たな人類の味方として発表するということにもなったらしい。

その数日後のこと。

テレビをつけてみると。

『た、大変です!未確認達が街で大暴れしています。こうしている間にも、人々が犠牲になっています!今我々にできるのは天我(テンガ)を応援してあげることだけです!』

「!!…行くぞ!」
「勿論!」
「うん!」

―ブオォォォオオオンッ!!―

三台のマシンはエンジンに火をつけて現場へと主を運ぶ。

「これは…」

ディガイドは我が眼を疑いそうになった。
何しろ、眼前には大勢のグロンギたちで溢れかえっているのだから。

「グロンギがいるのは此処だけじゃない筈。ディロード、ここは俺達が何とかする!君はテンガと合流して別ポイントを」

「あぁ、そうした方が良さそうだ」

ディロードは促されるとこの場をディガイドとSHADOWに任せてマシンディローダーで駆ける。



***

「ようやくついたな」

ディロードは目の前に広がる光景にある意味での感動を覚えていた。
ここまで大量の怪人群とはそうお目にかかることはないのだから。

「遅れてゴメン!」

テンガも奇怪なバイク・イエガンに乗って登場する。

「行くぞ」
「あぁ…これ以上、誰も…誰も悲しませない!」

テンガはそう言うと基本形態の”アトミックフォーム”から銅色とメタリックブルーの”ブリザードフォーム”に変化する。

「……寒」

ブリザードフォームになった途端、テンガの周囲は凄まじい勢いで超低温環境が出来上がっていく。

さらにテンガは落ちている木の枝を戟型の”ブリザードパイク”に再構築した。

「ウアァァァアァァァ!!」
「おい待て、一人では…」

ディロードの制止も聞かずにテンガ武器を手にグロンギ怪人に斬り込んでいく。

その時、テンガの脳裏には今までのゲゲルで死んでいった人たちのこと、そしてそれによって涙を流した人達のこと。
テンガのなかで今蠢いているもの、それは”怒り”と”憎しみ”だった。

「止めても聞かないなら、俺は俺で勝手にやらせてもらう」

とディロードもテンガと連携を組まずに一人でグロンギの大軍に突っ込んでいく。
とはいえども数が数、ディロードはカードを装填する。

≪ATTACK RIDE…ILLUSION≫

ディロードはカードの効果で本体を含めて五人に分身すると、再び敵群へと突っ込んでいった。

方やテンガは…。

「ダアァァァアァァァ!!」

武器のリーチを活かして近距離、中距離の敵をとんでもないスピードで片づけていく。
その時、

「…!!」

テンガは何かを感じた。
そして、その感じる気配の元のある方向へと顔を向ける。

「……」

そこには金色の身体をしたカブトムシのようなグロンギだった。
姿かたちは何となくテンガと似通う点がある。

『ガサガゲダドギデロ…(抗えたとしても…)」
「…?…」
『抗えたとしても意味は無い」
「!?」

さっきまでグロンギ語で話していた者はいきなり日本語で話し始めた。

「お前は…?」
『我の名は…ン・ガンド・ゼバ』



***

一方、二人は。

≪KAMEN RIDE…RIOTROOPER≫
≪KAMEN RIDE…IMPERER≫
≪KAMEN RIDE…TIGER≫

ディガイドは少しでも自分らの負担を軽くするため、ライダー達を召還する。
召喚されたタイガとインペラーや三人のライオトル?パーはディガイドとSHADOWの援護に回って戦っている。

「全く、いくら倒してもキリがないったら…」
「確かにこれは骨が折れる」

召喚ライダーの助けがあるとはいえども、グロンギ達の数は常軌を逸している。
だが、そんなことを思っていた時に…。

「……あれ?」
「…これは?」

二人は戸惑った何せ先程まであたりを蹂躙していたグロンギの大群が撤退を始めているのだから。



***

「お前が…グロンギの親玉…」
『そういうことになるな』
「今度はどんなゲームをしている?」
『ゲゲルは今のところやっていないが』

その言葉はテンガに信じられないと言った気持ちを生み出した。

「なら…どうして?」
『簡単だ。殺したいからこそ殺す、本能のまま」

それを聞いた時、テンガのなかで何かが音を立てて切れた。
テンガはアトミックフォームに凄変身すると、構えを取って走り出す。

「ウリャアァァァ!!」

そして空中を舞うと、そこから錐揉み回転しながら左足でキックした。
テンガ必殺の”アトミックキック”が繰り出された。

―……ガシッ!!―

「!!?」
『この程度の力で我を討つことは叶わん』

ガンドはアトミックキックを両手でがっしりと掴んでいた。

『…ハア、フンッ!』
「ドアァァァ!!」

ガンドはそのままテンガを全力で放り投げた。
無論、テンガの身体は数十メートル先にまで吹っ飛ばされてしまう。

「………負けるか…」
『……ほう」

僅かに発せられた声に超人的聴力で聞き取ったガンド。
テンガはガンドを倒すことを諦めず、闘争本能を沸騰させ、叫びながら走り駆けていく。

「ウアァァァアァァァ!!凄変身!!」

その瞬間テンガの身体は銅色ラインが無くなる代わりに銀色ラインが発生し、灰色の部分も鋼色に変色。ベルトのバックルにも銀色の装甲が形成される。

これこそはテンガの強化形態”オーバーフォーム”。

「ウッリャアアアアアア!!」

キックの届く距離にまで来ると、テンガはアトミックフォームと同じ要領で蹴りを放った。

―ガンッ!―

今度は受け止められることなくガンドの胸に命中。

『…ガラギ(甘い)』

ガンドはまたテンガの足を掴もうとするが、

「まだだ!」

テンガは残った右足でガンドの身体を蹴って、空中を反転した。

「喰らえぇぇぇぇぇぇ!!」

オーバーフォームの必殺技”オーバーアトミックキック”の”反転キックバージョン”が決まった。

『………成程、骨のある良い攻撃だ。流石に我も今の一撃は結構痛かったぞ』

ガンドは生きていた。

『次に会う時が楽しみだ…!』

そう言ったガンドは笑いながらその場を去ろうとする。

「待て…!!」

テンガは怒りの炎が消えぬまま、再度ガンドに向かおうとしたが、

「……アッ!!」

―バタンッ!―

突然にも倒れてしまった。

一体彼の身に何が起こったのか?
そして、廻達一行はこの世界を救えるのか…?



次回、仮面ライダーディロード

「俺は…弱い」
「…究極の闇…」
『ヅギビ ザジラス…!(遂に始まる…!)』
「こいつが戦っていたのはそんなんじゃない!」

”天我”

全てを救い、全てを砕け!

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