死神、封印の紋章

廻は懐から一枚の”写真”を出して見ていた。

「廻」
「何だ?流姫」
「その写真何?」
「…役目を終えたら出てきた…」

廻は写真を渡した。


「……個性的、というか…ハッキリ言っちゃうと…」

その写真は像が少々歪み、別のものまで映っていた。

「俺は良いと思うぜ。皆いい笑顔してるじゃないか」

その写真に映し出されていたのは構えを取ったテンガとそれを応援するかのように背景となっていた人々の笑顔だった。

「……もしかしたら、これが俺の役目の時を知らせる物なのかも、な」

そんな風に和んでいると、

―バンバンバンバンッ!!バンバンバンバンッ!!―

家の壁をたたく音がする。

「新たな世界…」



世界の救済者、ディロード。九つの世界を巡り、その心は何を映す?



「とんでもない数…」

窓から外を見ていた信彦はそう言った。

「あれって、ダークローチの白い版ってか、アルビローチだよね?」

そうそこに居たのはブレイドの世界の怪人・アンデッドの中でも特異な存在”ジョーカー”によって生み出されるダークローチの極めて近い種といえる怪人達だった。

「っていうことは…」
「また団体さんとお相手か…」
「兎に角一旦外出て片づけよ。うるさくて堪んないし」

三人は会話を終えて、ドアを蹴とばすようにして外に出る。

「「「変身!」」」

≪KAMEN RIDE…DEROAD≫
≪KAMEN RIDE…DI‐GUIDE≫

「俺は月の寵児!仮面ライダー、SHADOW!RX!」

各々のライダーに変身する。

≪ATTACK RIDE…EXTRA BLAST≫

ディガイドはカードによって超高速連射撃”ディガイドエクストラブラスト”をアルビローチの大群に浴びせた。
それによって、攻撃を受けなかった他のアルビローチ達は動揺して動きが鈍った。

「!!、今だ。シャドーフラッシュ!」

SHADOW RXは両手をバックル脇に添えると、ムーンライザーから眩い閃光が辺り一面を覆った。

「シャインブレイズ!」

立て続けに武器を出す。
だが、先ほどのシャドーフラッシュによって殆どのアルビローチが視覚に異常をきたしていた。

―ズバッ!!ズババババッ!―

鋭い音がすると、三人の周囲に群がっていた連中の大半が消えていた。

「いつ見ても冴えわたってるな、お前の”影光一閃”は…」

影光一閃(えいこういっせん)
それはSHADOW RXがシャドーフラッシュの閃光で敵が混乱している間にシャインブレイズで走り抜けるように切り裂いていく技である。

「後は俺に任せろ」

ディロードがそう言うと、二人は後ろに下がった。

≪FINAL KAMENRIDE…HI・HI・HI・HIBIKI≫

ディロードは灼熱の炎に包まれると、”D装甲響鬼(アームドヒビキ)”となる。
手には装甲声刃(アームドセイバー)が握られている。

≪FINAL ATTACKRIDE…HI・HI・HI・HIBIKI≫

「ハアァァ……」

D装甲響鬼が声を発し始めると、装甲声刃にはエネルギーが籠っていく。

「デリャァァァァ!!」

必殺の音撃技。
音撃刃・鬼神覚声がその場にいた群れ全てを炎の刃で焼き尽くす。

「ま、こんなとこか」
「…テンガの力は使わないの?折角手に入れた新しい力なのに」

ディガイドの言葉にディロードはこう言い返した。

「何、ちょっとこの世界のライダーとの腕試しにと思ってな」
「……そう」

なんかもう、諦めましたみたいな声だった。

そんな三人を遠くから見る一つの影。

「あのライダー達は!?」



***

戦闘終了後、町へ出て情報を集める一行。

「ところでこの世界での流姫の服ってさ…なんかこう科学者って感じしない?」

確かに信彦が言う通り、現在流姫は眼鏡に白衣と言った科学者が着用しているような服装。

「まあ…婦警よりはマシだけど…」
「…結構喜んでたじゃね…」

―ギラッ!!―

「………」

廻は黙った。

「でも、本当に人が居ないわねー」
「もしいたら廻はどうなるか?」
「黙れ、馬鹿共!」

実は廻には以前旅した世界の一つで警察に職務質問を食らったことがあったのだ。
ま、仮面とスーツと言うアンバランスな格好なので仕方ないと言えば仕方ないが。

「ナレーションも黙らんかい!!」

そこへ

―バッ!!―

アルビローチ共の登場。

「まただね…」
「正しくゴキブリね。数とか見た目とか」

信彦と流姫はしっかりと敵群への批判を口にする。
それと同時に、

『グボオォォォ!』

一体のアルビローチが吹っ飛ばされていった。
その先に居たのは、一人の男だった。

(あいつは…?)

廻が考えていると、男は腰にベルトを出現させ、カードをバックルに”ラウズ”しながらこう言った。

「…変身…」

≪CHANGE≫

音声が聞こえると、男の姿はベルトを中心に変化していき、あっという間に変身した。
その姿はまるで死神のようだった。ダークグレーのスーツに紫色の鎧。そして特筆すべきなのは彼の両腕両脚だった。
右腕にはスペード、左腕にはハート、右脚にはクラブ、左脚にはダイヤの紋章が刻まれている。

その姿を見た廻は、

「クレスト…か」

そうこの戦士こそが”仮面ライダークレスト”。

クレストは手中に鎖鎌型の武器”クレストシックル”を出現させると、バックルの”クレストラウザー”とコネクトさせた。

「仕掛けるね」

信彦はそう言った。

クレストはサイドバックルからラウズカードを取り出すと、躊躇いなく使った。

≪BLIZZARD GALE≫

「え!?」

今の声は流姫。

クレストは拳を敵群に向けると、コースクリューパンチの要領で途轍もない冷気を浴びせた。
結果、その場にいる全アルビローチが氷漬けにされる。
クレストは次の一手を打つため、更にラウズ。

≪LIGHTNING SLASH≫

クレストシックルの刃がパチパチという雷を発する。

「……フッ…」

クレストが動くと、斬撃によってそこに居た標的が砕け散った。

「あいつ、なんでブレイドやレンゲルのコンボ技をカード一枚で…?」

流姫は信じられないと言った顔をするが、廻はこう言ってみせる。

「じゃ、調べれば良いだろ。あいつの力…。変身」

≪KAMEN RIDE…DEROAD≫

「面白い、一発やるか」

クレストは殆ど閉ざしていた口を開いた。

「そう慌てなさんな、面白い余興を用意してあるからよ」

ディロードはライドブッカ?・ソードからカードを一枚取り出してこう言った。

「変身!」

≪KAMEN RIDE…TENGA≫

身体は銅色のラインに彩られた灰色の生体装甲に覆われて”業火を司る戦士””Dテンガ・アトミックフォーム”と化す。

「!?……成程」

最初は驚いた様子だが、直ぐに冷静さを取り戻していくクレスト。

「さって、行きますか?」
「断っても来るだろう」
「言えてるかもな!」

やり取りが終わった矢先にDテンガはクレストに向かっていく。

「武器も持たずに突撃とは…」

冷笑するクレストだがそれを聞きとったDテンガは、

「ならば持ってやろうか?」

≪FORM RIDE…TENGA BLIZZARD≫

戟型のブリザードパイクを装備した”氷を司る戦士”ブリザードフォームとなる。

「まだ、他の姿に!?」

流石にクレストもこれには驚きを隠せない。

―ガギンッ!ガギッ!―

二つの武器が衝突すると、

「…凍ってる」

ブリザードパイクに触れたクレストシックルの刃は凍りついてしまっていた。
マイナス200℃という超低温を放つブリザードフォームとブリザードパイクに触れれば当然の結果と言えるが。

ならばとクレストは後方へジャンプして遠距離を保つ。
そして、カードをラウズする。

≪BURNING SHOT≫

凍りついていた刃は一瞬にして溶けると、それと同時に火炎が灯った。

「…ハッ!!」

刃は振られると、其処からは炎の刃がディロード目掛けて飛ばされる。
だが、そんな攻撃をただで許す彼ではない。

≪FORM RIDE…TENGA HURRICANE≫

”嵐を司る戦士”ハリケーンフォームにフォームチェンジ、ハリケーンシューターを構えて炎の刃が到達する寸分前に発射する。

「「グハァァァ!!」」

当然の如く双方ともにダメージを受けた。

「フ…フハハハハハ…!」

いきなりクレストは愉快そうに笑った。

「何が可笑しい?」
「いや、ここまで楽しめたのは久しぶりなものでな」

そういってクレストを人間の姿に戻った。

「俺は仮面ライダークレスト、仮央元(かおう げん)。お前は?」
「…砕谷 廻。又の名を仮面ライダーディロード」




次回、仮面ライダーディロード

「…この世界は滅びかけている」
「アルビノジョーカー!?」
『たかが人形如きが…!』
「元!!」
『ウオォアァァァ!!』

”造られた者”

全てを救い、全てを砕け!

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