いきなりですが、今作品のタイトルに物足りなさを感じて付け足しを行いました。

最終楽章・光の鎧

「とうとう九つ目…最後の世界だ」
「案外長かったわね」
「でも、これで終わるよ」
「私は途中参加なので短い感じがしますけど」

家からでた一行。
会話を終えた後、男三人は流姫の目立つ服を見た。
すくなくとも女の子が一回は着てみたいだとか言われているアレなわけで…。

「何故にウエディングドレス!?」

盛大にツッコミを入れる廻。
現在、流姫は漆黒のウエディングドレスを身につけている。
流姫自身もなんだかまんざらではなさそうな顔だ。

「それ着替えた方が良いでしょ。目立つよ絶対」

信彦はもっともな意見を述べた。

「今までの中で一番分かりやすいです。というか誰かと結婚する勢いですね」
「…///」

散々に言われたせいか、流姫は流石に顔を赤らめた。

(結婚か……いっそ…)

自分の想い人に顔を向ける流姫。
しかし、鈍感な彼はそれに気づくことはない。
がんばれ、流姫。

「…どうかしたか?」
「別に」

そして気付け、廻よ。

(廻さん…)
(やっぱり君は…)
((鈍感だ))

二人の思考は見事なまでにシンクロした。
というか、会って日が浅い和雄にまで呆れられてしまっている。

「オォ!居たぞ!」
「「「「???」」」」

いきなり聞こえてきた声に一行は首を傾げる。
そして、声の主たる黒服の男たちは一気にこちらへやって来た。

「全く、そのお姿で外を出歩かないで下さい!早く城へ戻りますよ!準備とか色々あるんですから!」
「???」

流姫は男のいっていることが何一つとして理解できなかった。

「さあ行きますよ!」

男達は流姫を大勢で抱えると猛スピードでどこかへと運んで行った。

「「「…速い…」」」

三人は黒服達の走行スピードに唖然とした。

「って!んなこと言ってる場合じゃない!追いかけるぞ!」

マシンディローダー・ライトグラス・ロードチェイサーに跨った三人は流姫を誤って連れて行った黒服達に追いつくべく、エンジンに火を吹かせて走り出す。





世界の救済者、ディロード。九つの世界を巡り、その心は何を映す?





とんでもないスピードで城へと連行された流姫。

(一体この先どうなるのやら…?)

城の一室で考える流姫。
場所と状況だけに変身して無理やりにここを出ていくわけにもいかなかった。
そんなタイミングで、

「侵入者だ!王と妃をお守りするんだ!」

その声を聞いたとき、流姫はハッとなった。

「もしかして」



***

そのまさかで、城外の方ではファンガイア達が廻らを囲んでいた。

「侵入者め。この忙しい時期に…」
「俺達は間違えて連れてこられた仲間を迎えに来ただけだ」
「ほざけ!」
「…廻さん。話し合いは通じないみたいですね」

和雄は唐突に言った。

「頭を冷やしてやるぜ」

三人は変身のプロセスを取った。

「「「変身!」」」

≪KAMEN RIDE…DEROAD≫

一気に三人はライダーへと変身。

「新たな力だぜ。変身!」

≪KAMEN RIDE…KOKU‐O≫

電仮面やオ−ラスキンとオーラアーマーが身を包み、D刻王・ハンマーフォームに変身する。

「姿を変えた!?」

ファンガイアの一体は驚く他無かった。

「それじゃ、余興に一発…」

D刻王はカードを取り出す。

≪ATTACK RIDE…TADAIMA SUISAN≫

「只今、推参!」

胸を張って決め台詞を口にする。

「…で、何の意味がある?」

一体のファンガイアは尋ねた。

「特に意味はない」

キッパリとD刻王は言った。

「だったら、やるなあぁぁぁ!!」

そう叫ぶながらファンガイア達は三人のライダーに向かっていく。

「ムーンイリュージョン!」

SHADOW RXが技名を叫ぶと、ムーンライザーは輝き、ファンガイア達の眼の前には一人ずつSHADOW RXが現れていた。
しかし、そのSHADOW RX達は触ってみると空気のように触れられなかった。
そう、幻影だ。

「こざかしい!」
「フッ、どうかな?」

と、SHADOW RXは再度ムーンイリュージョンを発動する。

「下らん小細工は通…何!?」

ファンガイアらは焦った。
何故ならば、先程までは空気のように実体の無かった分身たちに実体が存在しているのだから。

分身達は格闘戦で戦いを仕掛けて行き、G4も銃撃と格闘を上手く使い分けて戦った。
だが、D刻王はじっとしていた。まるで何かを待つかのように。

「オラァ!」
「ハアッ!」

二人のライダーによってファンガイア達は一か所に集められた。
その時、魔王が動いた。

≪FINAL ATTACKRIDE…KO・KO・KO・KOKU‐O≫

いつの間にか手にしていたコクガッシャー・ハンマーフォームにはエネルギーが宿り、D刻王はそれを勢い良く振るった。
それによって、充填されたエネルギーは地を這いながらファンガイア達に向かう。

「終わったな」

D刻王はそう言った。
しかし…。

――ズバアァァァァァン!!――

「何!?」

驚いた。
D刻王の攻撃は何者かによって止められていたのだ。
その姿は煙で当初はよくわからないが、時間経過とともに煙が晴れると、その姿は明らかになっていく。

「あれが、この世界の仮面ライダー…ですか」

そのライダーの姿はエンペラーキバやダークキバに近いものがあった。
ただし、確実に違うと言える点が二つあった。

一つ目は、鎧が光を発するほどに輝く銀色・眼の色は黄金であること。
二つ目は、身に宿す魔皇石の数であった。
両手や両足、両肘や両膝に二つずつ。胸には巨大と言えるものが三つ。そして額に一つと、全部で十二個の魔皇石が紫色に煌いている。いや、左足の裏の物も含めると十三個だ。

「ほ〜、貴様が此処を守護するもの……”シャイン”」

ディロードに戻ると、シャインの肩に触れようとする。

――パンッ!――

「私に気安く触れるな無礼者」

シャインはディロードの手を弾いた。

「成程、ファンガイアの(キング)様ってことか」
「下郎が…」

まさしく一触即発の緊張感に包まれた。

「待ちなさーーーい!!」
「「!!?」」

デカい声を耳にして二人はその声の主が居るべき方向に顔を向ける。
そこには、流姫がいた。

「オォ!我が妃よ。私の活躍を見に来てくれたのか?」

ディロードはその時思った。
”こいつバカだ”と。

「誰があんたの活躍など見ますか!」
「な!?」

予想だにしない返事でシャインはたじろいでしまう。

「ていうか!あんたら三人も暴れすぎ!」

その怒りの矛先は仲間にまで及ぶ。

「「なんでさ?」」

SHADOW RXとG4は思わずそう言った。

(説教は良いから、自分から妃じゃないって言えよ)

只一人ディロードは冷静な思考を保っていた。



***

「それではなんだ?お前たちは別人を連れてきたのか!?」
「「「申し訳ありません!」」」

誤解が解け、黒服達はシャインに説教を喰らっていた。
それはもうこっ酷く。

「その方達、済まなかったとだけ言うとしよう」
「もう良いよメンドくせぇから」
「貴様!王に向かって「黙れ雑魚」……」

廻に殺気をあてられ、黒服の一人は黙り込んでしまう。

「にしても、アタシが妃と間違われて連れてこられたってことは…お妃さんは外にいるの?」
「…あぁ。数日も前から姿を暗ましている」

流姫の質問にシャインは悲しげに答えた。

「この世界の使命って、お妃さんを探し出すことかな?」
「…いままでの流れからして、それだけとは思えん。もっと厄介な一件も絡んでくると予想する方が利巧と言うものだ」

今までに巡って来た八つの世界の経緯から、廻はこの世界でも倒すべき強大なる者の存在を警戒する。

「その方達、我が妃の捜索に手を貸してはくれぬか?」
「まあ良かろう。この世界に居る間はここに留まっていた方が良さそうだ」

という廻の判断で一行は城にいることに……なったと思われたのだが…。

「ただし、私との一対一の勝負で勝てればな!」
「大層な自身だな。…それに協力申し込んでおいて…」

このように、シャインの傍若無人ぶりによって廻は戦う羽目と化した。



***

城内広場。
ディロードとシャインは対峙している場となっていた。

ギャラリーは黒服達や流姫、信彦、和雄。

「それでは私から行くぞ!」

シャインは一気に距離を詰めてディロードに拳を喰らわせようとするが、

――ガシッ!――

「甘いぜ」

ディロードはしっかりとそれを受け止めていた。
それを確認したシャインは素早くディロードから離れる。

「反射神経は良いようだな」
「簡単に負けるようでこの”光の鎧”の継承者は務まらんからな」

王としての威厳なのか、胸を張ってそう答える。

「そうかい。ならばその継承者としてのプライドを一度砕いておくか」
「何!?」
「変身」

≪FINAL KAMENRIDE…RYU・RYU・RYU・RYUKI≫

D龍騎サバイブにFKRすると、手にはドラグバイザーツバイ・ドラグブレードが現れる。
ライドセイバーとで二刀流を展開する。

≪ATTACK RIDE…SWORD VENT≫

その瞬間、ドラグブレードは高熱火炎を纏い、D龍騎サバイブはそれを振るうと、炎の刃こと”バーニングセイバー”がシャインにへと飛んでいく。

「させるか!」

と、シャインはその身に充満する魔皇力を足に集中させてバーニングセイバーをキックして相殺した。

「この程度で敗れる私ではない」
「なら別の手だ」

≪FINAL ATTACKRIDE…RYU・RYU・RYU・RYUKI≫

ドラグランザーが召喚され、D龍騎サバイブは天高くジャンプすることでその背に乗った。

『ギャオオオォォォォォォォ!!』

ドラグランザーは雄叫びをあげながらバイクモードに変形していく。
そして、地上を主と共に駆ける獣となりてシャインの周囲に火炎弾を連続発射する。

『グオオォォォォォ!!』
「クッ…!!」

周囲に火炎弾を撃ち込まれたことで逃げ場がなくなる。
そして、ドラグランザーは容赦なく、”ドラゴンファイヤーストーム”でシャインに激突した。

「グァァァァァァ!!」

苦しそうに叫ぶシャイン。
と、思われたとき。

「ウエイク・アップ!」

聞きなれない声がすると、(フエッスル)の音が木霊する。

♪〜〜♪〜〜♪〜〜

「ハアァァァァァァァァァ!!」

攻撃をくらってた筈のシャインはいつの間にか上空でウエイク・アップフエッスルをベルトのバックルにぶら下がっていた”シャインキバット”に吹き鳴らさせ、周囲は闇夜と化す。

「やるな」

カードの効果はもう消えていたのでドラグランザーはバイクモードを解除されていた。
そしてシャインは左足裏の魔皇石に力を集中させた必殺キック、”スピリット・オブ・ブレイク”を炸裂させようとする。

「悪いが、簡単には喰らわないぜ」

≪ATTACK RIDE…GUARD VENT≫

ドラグランザーは直様D龍騎サバイブの周囲を旋回し始めた。
それによってドラグランザーによる防御”ファイヤーウォール”にスピリットオブブレイクがぶつかる。

――ズガアァァァァァン!!――

とんでもない位にうるさい爆音。

そして、ディロードとシャインは未だに立っていた。

「どうする?まだやるか?」

余裕の姿勢を崩さないディロード。

「…フッ、これほどの実力ならば、私の傍に置くことに文句を言う奴はおるまい。…これで、近い内に婚礼も…」
「婚礼?」


***

その頃、戦いを終えた彼らを見下ろす黒い影。

「仮面ラ〜イダ共よ!九つ目の世界においてお前等の旅はここで終着となる。我らが偉大なる組織…”大ショッカー”のためにもぉ…!」

ドクトルGは不気味にそう言って次元の壁の向こうへと消えた。



次回、仮面ライダーディロード

「手がかりなし!?」
「頼む!私の大切な人なんだ!!」
「裏世界の情報だと…ヤバい奴らが動いてるって話だぜ〜」
『我らがロードに命を捧げよ!』
『一族復活の儀』

”伝説の魔物”

全てを救い、全てを砕け!

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