いきなりですが、アクセス数が20万突破!!
これからも頑張っていきますので皆さん、これからもイーヴィル達の活躍を楽しみにしていて下さい!

自分もできる限り、皆さんの御期待に添えるよう尽力します!

Sの守護者/心【せいしん】


修行場。

「ハァァ……!!」

どっしりとした構えをとるホッパー。
ゆっくりと呼吸する。

『キシャア……!!』
『シュシュシュ…!』

眼の前にはみたことも無いような、カマキリやカニと良く似た怪人。
怪人二人は前後同時にホッパーに襲い掛かった。

「………!」

ホッパーは俯いていた顔をあげると、無我の境地となって構えを解き、怪人の動きを先読みして無駄という無駄が一切無い動きで攻撃を寸分でかわし、それによって生まれた敵の隙や間合いを活かして蹴りと拳を決めた。

怪人は距離をとり、再度襲い掛かったが、ホッパーは反撃せずにただ避けた。
そう、ただ避けただけで…。



――ズバッ!――

――バギィン!!――



カニは身体をカマキリの刃によって切断され、カマキリはカニのハサミによって身体をねじ斬られた。

「……いいわ。八割ほどは大丈夫ね。心を無とすることで恐怖や先入観を棄て去りさえすれば、攻撃を寸分の動きでかわせる。そして、それによって出来た敵の隙と間合いが、次の反撃へと繋がる」

部屋の隅でホッパーの成長を感じるプレシア。

「さて、次はファイナルステージ。サンクチュアリのマキシマムドライブ」
「はい」

ホッパーは機械のように淡々と返答する。

【SANCTUARY】

ホッパーサンクチュアリへとメモリチェンジ。

サンクチュアリメモリの水晶(クリスタル)に触れた瞬間、スイッチが入った。
それと同時に部屋の模様が一つの異形へと変わり、ホッパーの眼前に立ちはだかった。





*****

「放して!!」

凪の抵抗に対し、堺は彼女に羽織い締めをかけ、井坂が生体コネクタを確認する。

「おかしい?まだコネクタが完全ではない。これだけの恐怖を味わえば、確実に完成する筈なのに…!!」
「教えて下さいよ。首の皮一枚で繋がってるとはいえ、君の心を恐怖から守る者は誰なのかを?」
「イヤァーーー!!」

井坂と堺は凪を突き飛ばし、メモリをスタンバイ。

「こうなれば、死の一歩手前「テメーらァ!」

そこへWとイーヴィルが。

【WEATHER】
【ELEMENTAL】

ドーパントとった二人は雷やカマイタチを飛ばすも、シールドでそれを防ぐライダーはソードで斬りかかろうとする。しかし、ウェザーとエレメンタルはそれを避けた。

Wとイーヴィルは一気に勝負を付けるため、矛を盾に収める。

【CYCLONE/HEAT/LUNA/JOKER・MAXIMUM DRIVE】
【MAGICAL/SONIC/TRICK/KNIGHT/BLASTER/LEADER・MAXIMUM DRIVE】

「「ビッカー!ファイナリュージョン!」」
「「ジェノサイドスーパーノヴァ!」」

プリズムビッカーとグレインノヴァから放たれた虹色の光線は一直線にいくも、ウェザーとエレメンタルは濃霧や竜巻を起こして姿を暗ました。





*****

モトクロス。

シュラウドはポケットからだした、信号機とストップウォッチが一体化したような青いメモリを照井になげわたす。

「トライアルメモリ。それを使えば、全てを振り切る速さを手にいれられる」
「全てを振り切る?…なんだか凄いじゃない!」
「試して御覧なさい」

【ACCEL】

「変…身!」

【ACCEL】

照井はアクセルとなり、スターティングスイッチに触れる。

【TRIAL】

マキシマムモードからメモリモードにして、メモリチェンジする。

【TRIAL】

トライアルメモリの信号の色が黄色になると、それに合わせてアクセルも…。

「あ、黄色くなった!」

そして、青となってメモリのデータのダウンロードが終わると、アクセルの装甲は最低元のそれを残して全て排除された。そしてカラーは?

「お、青くなった」
「これが新しいアクセル……トライアル!」





*****

探偵事務所。

椅子に座って意気消沈とする凪に。フィリップは状況説明のため、あえて彼女にコネクタをださせた。

「井坂達は、君のこのコネクタが完成したら、メモリを挿しに必ず現れる」
「……」



――QUETZALCOATLUS――

――うあぁぁぁぁああ!!――

――クェーーーー!!――



凪は自分がドーパント化する想像をして、身体を震わせる。

「…怖い…」
「大丈夫だ」
「私達がいる」

不安な気持ちになる凪を翔太郎とリインフォースが元気づける。

「…きっと、あの刑事さんが、守ってくれるよね?」
「あぁ、きっと」
「…そうか。貴様の心がギリギリのところで恐怖に抗えているのは、照井の存在が貴様を…」

ゼロはそういって、凪に説明する。
凪も頷き、シルバーアクセサリーに触れようとしたら。


アクセサリーがない。


「無い」

凪はその時、井坂と堺に抵抗した際にアレを落としてしまったことを悟る。
急いでそれを回収しようと屋外に出ようとするが、

「凪ちゃん。今外に出るのは危険だ」
「ドーパント化……いや、死にたいのか?」
「………」





*****

一方その頃、アクセルはとある崖の多い場所にいた。
シュラウドがリモコンを操作すると、崖の上に設置されていた爆弾によって幾つもの岩が落ちてくる。

――ブゥーーーン!!――

アクセルはエンジン音を立てて崖を登り、次々と岩をキックで粉砕する。

「速い…!凄い!」

しかし、一際大きな岩には…。

「うおっ!?」

キックが全く効かなかった。

「パワーが足りない」

「違う。戦法を変えるの。トライアル最大の特徴は、その速さ。攻撃をかわし、敵の懐に跳び込み、キックを叩き込みなさい。一発で足りなければ十発。まだ足りなければ百発。…相手を完全に粉砕するのまで」

「良し」

アクセルはメモリをぬきとり、マキシマムモードにすると、マキシマムスイッチを押してさらに加速する。

しかし、

「うッ!…なんだこれは!?まるで制御できない…!」

そうこうしている内にトライカウンターは制限時間・10秒の突破を報せ、アクセルの変身は強制解除される。生身となった照井に降り注ぐ岩。そのなかでも特に大きい物がくると、シュラウドがリモコンでそれを爆破した。

「あ、危なかった…」
「今のが実戦だったら、貴方は確実に死んでいた」

シュラウドの辛辣かつ現実的な言葉。

「あのコースを10秒以内に走り切れば、トライアルのマキシマムドライブを使いこなせる。…やるの?やらないの?」

「俺に、質問するな…!」





*****

園咲家・大広間。

そこで井坂は冴子と堺に髭剃りをしてもらっていた。
大体七割方ほど終わり、最後の仕上げに取り掛かろうとすると、

「おや、園咲さん」

堺は抑揚の声をだす。

「思い出したよ。十年前と三年前の君達を」

琉兵衛は剃刀を持つと、冴子と堺の代わりに井坂のひげを剃る。

「あの貧相な男と虚弱そうな青年が、随分と立派になったものだ。私に、メモリをくれと強請ったな、その力が欲しいと。…君達はとんだ欲しがりやさんだねぇ。ウェザーとエレメンタルを手にし、私の娘まで籠絡し、これ以上何を望むのかね?」

「…私は満たされたいのです。究極の力で」

井坂がそういうと、琉兵衛は剃刀を水の溜まった容器に投げた。

「だから貴方を倒し……テラーのメモリを奪います」
「できると思うかね?」
「できるさ」
「でなければ、こんな話はしない」

井坂は起き上がり、堺が横に立つ。

「もうじき私は貴方を越える」

井坂と堺の頭には、ケツァルオアトルスの飛翔能力を得たウェザーの映像(ビジョン)が。

「今度は貴方が私達の前に、這い蹲る番だ」
「そこまで言うのなら」

【TERROR】

「覚悟はできてるんだろうな?」

琉兵衛はガイアドライバーのメモリを挿し、テラー・ドーパントとなる。

『真の恐怖を見せてやろう…!』

【TABOO】

テラーフィールドが発生すると、冴子はタブーとなり、井坂と堺を庇うような立ち位置に。

『冴子、なんのつもりだ?』
『お父様…私もずっと時を待っていた。もう、貴方の時代は終わったのよ…』

タブーはエネルギー弾を生成する。

『ハッハッハ!討てるのかお前に?この父を…!』

そう言われ、多少戸惑うもののタブーは三発ほど飛ばし、テラーはそれをフィールドで防いだ。
すると、激しい閃光が発せられ、それが治まった時にはもう、三人の姿はなかった。

テラーは変身を解き、

「…バカな娘だ…」

と呟いた。





*****

【SANCTUARY・MAXIMUM DRIVE】

『グェェエエエ!!』

サンクチュアリのマキシマムドライブが決まると、巨躯を誇った怪人は消炭のように散った。

「………」

――パチパチパチパチパチパチ――

無言で佇み、変身を解いたヴィヴィオにプレシアが疎らな拍手を贈る。

「お見事…合格よ。もう私から言うことはこれといってないわ」
「はい、ありがとうございます」
「あ、それから、頑張った御褒美に……」

プレシアは指を鳴らして一台の白いバイクを魔法で出現させる。

「このバイク…?」
「貴女の物よ。名前は”テンペスト”」

バイクの名前を聞くと、ヴィヴィオは早速それに跨る。
そして再び頭をさげると、エンジンを唸らせて、疾走した。

「…後は、貴女の心次第よ。ヴィヴィオ…」

それを見届けると、プレシアはそこからいなくなった。





*****

モトクロス。
シュラウドはバイクに増設されたスロットにトライアルメモリを挿しこむ。

「これでこのマシンは、トライアルのマキシマムドライブ発動時のような状態になる」
「10秒切ればいいんだな」

照井は青と白のライダースーツにヘルメットとゴーグルを着用。

バイクに跨ると、トライアルメモリの信号が赤⇒黄⇒青となって、バイクは走りだす。

(確かにさっきと同じ感覚だ…!)

走り始めてからたったの2秒でそう感じた照井。

「良しっ、行ける行ける!」

亜樹子はそういうものの、現実はそんなに甘くない。
照井がコースを走り切ったタイムは?

――ピッ――

「…13.22秒、失格よ」
「うゥ!あァァ!!」

ストップウォッチのタイムを告げた瞬間、照井の身体を極度の負担と電撃が襲う。

「憎しみが足りない。もっと復讐の炎を燃やすのよ…!」

シュラウドの言葉を聞くと、照井は何食わぬ表情で再び走り始める。
二回目のタイムは?

――ピッ――

「12.28秒」



三回目。

――ピッ――

「11.57秒」



四回目。

――ピッ――

「12.82秒」



五回目

――ピッ――

「12.47秒」



タイムは微妙な間で揺れ動いてばかりだ。

「憎め…!憎め憎め…!!憎め……!!」

呪詛のように呟くシュラウド。
六度目の挑戦。

「今迄で一番速い!今度こそ行ける!」

亜樹子は期待をかけるも、

――ドサァァァ!――

「うあああァァ!!」
「ッ!?、竜君!」

照井はバイクから転倒してしまった。





*****

探偵事務所。

スタッグフォンの着信に翔太郎は電話にでた。

「おい亜樹子、どうした?」
「竜君が大変なのよ!モトクロスで、10秒切れなくて、電撃ビリビリで!」
「照井がどうした?……バイクで転倒?」

翔太郎の声を聞いた凪は、

(私がお守りを失くしちゃったからだ…)

と、自虐的なことを考えだす。
そして、その場の人間の眼を盗んで事務所から出た。





*****

ディガルコーポレーション・社長室。

「目を覚まして!お姉様はあの男共に騙されてるのよ!…だってお姉様、今まで園咲の家の為に頑張ってきたじゃない。あんなにもお父様に愛されて……」

若菜がそういいながら倒れた椅子や散らばった書類をなおしていると、それを冴子が嘲笑う。

「貴女なんにも解ってないのね。…お父様は私のことなんて、これっぽっちも愛していなかった。ただミュージアムの歯車として、奴隷のように束縛し…そのくせ、全く信用していなかった」
「そんなことない!」
「お父様が本当に愛していたのは……若菜、貴女よ」

暗闇のように冷え切った瞳で妹を見据えながら、冴子は断言する。

「だから私はお父様が憎かった。ずっと…ずっとずっとずっとずっと!」

冴子は長年に渡って隠してきた本音を吐きだす。

「…お姉様…」
「さあ、決めて。貴女は私の味方?…それとも、敵?」
「…バカバカしい。お姉様変よ。…話にならないわ」

【TABOO】

あわよくば取り込もうとした若菜が拒否するやいなや、冴子はタブーとなって光弾を放つ。
若菜は必死になって逃げ、屋上のヘリポートにまでいくも、タブーはしつこく追い回して光弾を放ち続ける。

しかし、とうとう逃げ道が途絶えてしまい、最早これまでかと思われると…。

『ーーーッ!!』

園咲家の飼猫・ミックがサーベルタイガーの記憶を宿したスミロドンメモリと首輪型ガイアドライバーで変貌したスミロドン・ドーパントが現れ、若菜を護る。

「……ミック」
『飼猫の分際で…!』

ミックは若菜をかかえると、屋上から飛び降りてタブーから若菜を逃がした。

『くっ…!』

タブーは悔しそうにしていた。





*****

その頃、凪はアクセサリーを失くした場所にいた。
地面に落ちているそれを視覚と手探りで探す。

「あ……あった」
「やっと謎が解けましたよ」
「あんなヘタレ刑事が君の心を繋ぎ止めていたとはね」

アクセサリーを見つけて安堵するのも束の間、一番会いたくない二人に出くわしてしまった。

「だったら、僕達が君の目の前で奴を叩きのめせば、コネクタは完成するでしょう」
「そして私は、ケツァルコアトルスの力を吸収して、究極の存在となる…!」
「させないよ!」

――ブウゥーーーン!――

そこへヴィヴィオがヘルメットを被り、テンペストに乗って颯爽と現れた。

「君か。最近見ないと思ったら」
「随分と雰囲気が変わりましたね」
「問答無用だよ」

【HOPPER】

「変身」

【HOPPER】

「また、仮面ライダー…」

【WEATHER】
【ELEMENTAL】

『悪いですが、今は貴女に構ってる暇はない』
『後で相手してあげますよ』

ウェザーとエレメンタルはありったけの攻撃でホッパーに目暗ましを行い、その隙に凪を連れ去った。

『この娘を取り返したかったら、霧吹峠に来ることです。できるだけ早くにね』



*****

――これはお守り。着けてあげるね。お兄ちゃんはヒーローなんだよ♪この街にとっても、私にとっても――

――え…?――

――お兄ちゃん!――



「………春子」
「あ、良かった!起きたー!」
「…気を失っていたのか…」

照井は横になった身体を起き上がらせる。

「……心配するな。まだやれるさ」

バイクに乗ってリトライしようとすると、ビートルフォンが飛んできた。
電話にでると、

「島本凪は預かった」
「井坂…!!」
「今から指定する場所に来い。化物の娘共々、葬ってやる」
「(化物の娘……ヴィヴィオが帰ってきたのか!?)…わかった。四時に霧吹峠だな」

照井は電話を切った。

「竜君、一体どうしたの?」
「あの娘が…井坂達に攫われた」
「…ウソ…」

照井はシュラウドを真っ直ぐ見据え

「俺は行かなきゃならない。…次こそ10秒を切る」
「復讐ではなく、その娘を守る為に?」
「そうだ…!」

己の戦う理由を変えてみせた。

そして、再びモトクロスのコースを走る。
その眼にさっきまであった迷いは完全に消え去っている。

――ピッ――

最後の挑戦(トライ)のタイムは?

「9.9秒…、合格よ」
「やぁったーーーー!!」

シュラウドはメモリをバイクから抜き、照井に渡す。

「さあ、行きなさい」

メモリを受け取る照井。

「……所長」
「ん?」
「左とフィリップ、無限とリインフォースによろしくと伝えてくれ」

照井は伝言を託して霧吹峠に向かった。
シュラウドも用事が済み、ストップウォッチを捨てて帰ろうとする。

「ちょっとこれ………ッ!」

亜樹子はストップウォッチを拾い、思わず見たタイムに驚く。
本当のタイムは、10.70秒。

「ウソ…10秒切ってないじゃん!ちょっと!これどういうこと!?」
「彼は憎しみの心を忘れた。もう興味はない」
「興味ないって…。それじゃあ竜君は………ってあれ!?」

気付けば、シュラウドは姿を消していた。
一つの謎を残して。

亜樹子は一時困惑するが、兎にも角にもこの事態を翔太郎達に伝えるべく、探偵事務所に大急ぎで走った。





*****

片や、井坂・堺・冴子はお茶をたのしんでいた。

「冴子君。…私は今、途惑っています」
「途惑う?なにを?」
「自分の気持ちにです。ハッキリいって君は、園咲琉兵衛に近づく為の道具でした」

井坂が傘を開くと、堺は彼の心情と空気を読んで席を立つ。

「でも今は違う」
「え…?」
「私にも……こんな感情があるとは」

冴子の手と自分の手を重ね、広げた傘で二人の姿を隠し、互いに顔を近づけると


――ブウゥゥゥゥゥン!ブウゥーーーーン!!――


唸るバイクのエンジン音。

「来ましたね」

堺が呟くと、井坂は立ち上がった。

「戻ったら……ドーパントの君ではなく、本当の君を見せて下さい」

井坂の言葉。それは愛の告白。

「院長、仲人は僕がやります」
「フフフ…宜しくお願いしますよ」





*****

霧吹峠。
そこには後ろ手に縄で縛られた凪と、対峙する井坂&堺と照井&ヴィヴィオ。

「すぐ助けてやる」
「もう少しの辛抱だよ」

照井とヴィヴィオの言葉に凪は頷く。

「良いんですか?」

【WEATHER】

「そんな約束をして…」

井坂はウェザー・ドーパントに。

「後で悔やむことになりますよ」

【ELEMENTAL】

「あの世でね」

堺もエレメンタル・ドーパントに。

『僅か1%も、勝つ望みが無いのに』

【ACCEL】
【HOPPER】

二人はメモリを起動。

「変…身ッ!」
「変身…!」

【ACCEL】
【HOPPER】

二人はアクセルとホッパーに変身。
ウェザーとエレメンタルの天候を操った攻撃をエンジンブレードと魔力障壁で防ぎながら突貫。
二組は拳と刃を交え、一旦距離をとった。

アクセルはエンジンブレードを放り投げ、ホッパーは構えを解いた。

「全て……振り切るぜ!」
「私も、皆を守り抜く…!」

【TRIAL】
【SANCTUARY】

二人はメモリを起動させ、メモリチェンジ。

【TRIAL】
【SANCTUARY】

アクセルトライアルとホッパーサンクチュアリとなった。

『ほー。新しいメモリを手にいれたか。ん!』
『無駄な抵抗です!』

ウェザーは雷を落とすも、アクセルは凄まじい動きでそれを振り切り、ウェザーに拳を叩き込む。

エレメンタルも近距離においてホッパーに四大元素のエネルギーの籠った蹴りを喰らわそうとするも、ホッパーは難無くかわし、

「ブレイズチョップ」

魔力を炎熱に変換して、超高温の手刀を叩きこむ。

『成程、確かに速い。だがっ!』
『効きませんよ!』

ウェザーとエレメンタルは反撃して再び距離をとる。
アクセルとホッパーの周囲には雷雲が。

『幾ら素晴らしいメモリでも、所詮使う奴が虫ケラでは意味がない!』

しかし、アクセルとホッパーは荒れ狂う雷を巧に避け、雷雲から脱出した。

「見せてやる。トライアルの力を…!」
「………!」

アクセルがメモリをぬきとると、

「ダメだよ竜君!!本当は10秒の壁を切ってなかったの!?」
「いや、奴はやるさ…!」

ギリギリのタイミングで亜樹子がWコンビとイーヴィルコンビをつれてくる。
だが翔太郎は照井を信じた。

「ヴィヴィオ、勝てよ」

ゼロもまた、娘を信じた。

――ピッ――

アクセルはトライアルメモリのマキシマムスイッチを入れ、最大加速状態となる。
ホッパーも水晶に触れて、マキシマムモードに移行。

ウェザーはアクセルを迎え撃とうと攻撃するが、アクセルは立ったの5秒でそれを振り切る。
そしてウェザーの懐に飛び込み、ただひたすらTを描くようにキックを叩き込む。残像すら見えるスピードで…!

ホッパーは一気にエレメンタルとの距離を詰めた。
エレメンタルが炎と風を混ぜ込んだ攻撃をしようとした時、

――右に避けろ――

頭に響いた声を信じて疑わず、ホッパーは右に避けた。

――パンチ――

そして、声の通りにパンチした。

そう、サンクチュアリになると、メモリに搭載されたデバイスが敵の動きを先読みしてホッパーに適切極まったアドバイスをするのだ。しかし、時には…。

――チョップ――
――ジャンプして後ろに回りこめ――
――そして横へ――

このように連続してアドバイスが途絶えない場合がある。もしくは同時に異なった声が聞こえる場合もある。でも、無我の境地に辿りついた今の彼女なら、迷いを断ち切った心で全てを受け入れ、身体をその通りに動かせた。

そして、フィニッシュを決める時が来た。

――メモリブレイク――

「ハアァッッ!!」

ホッパーは叫び、全魔力の集中した右足による回し蹴りを決めたと同時に再びクリスタルに触れた。
さらにアクセルもキックの嵐を終え、メモリのスイッチを押し、カウントを止める。

【TRAIL・MAXIMUM DRIVE】
【SANCTUARY・MAXIMUM DRIVE】

「9.8秒、それがお前の絶望までのタイムだ…!」
「心の闇に溺れて」

アクセルトライアルのマシンガンスパイク。
ホッパーサンクチュアリの”セイントフィールド”。

『『うおぉぉぉあああああああ!!!』』

ウェザーとエレメンタルは爆発し、井坂と堺の姿に戻ってしまった。
無論、メモリは粉砕された。

「井坂先生…、堺君……」

戦いをみていた冴子は信じられなかった。
今みた光景を。

「やったァーーーー!!二人が勝ったよぉ!」

亜樹子はライダーの勝利にこのうえなく盛り上がる。
近くにいる四人も、凪も穏やかな安堵の表情である。

「おのれ、憶えてやがれ!!」

堺は立ち上がると、残った力を振り絞って逃走した。

「信じられん…。私への憎しみが、ここまでお前を強くしたのか…!?」
「俺を強くしたのは………憎しみなんかじゃない」
「強さは絶対じゃない。何時かそれを越える者が現れるもの」

井坂にダブルライダーはそう述べ、ケツァルコアトルスメモリは握り潰された。
それと同時に凪のコネクタも消滅した。

二人は変身を解き、凪を縛る縄を解く。

「ありがとう」

凪はコネクタの消滅を確認し、二人に礼を言った。
そしてシルバーアクセサリーを照井に返した。

「君を守れて良かった」
「うん、本当に良かったよ」

照井とヴィヴィオは穏やかな表情を浮かべた。

表情は一転し、照井は厳しい表情で残った井坂だけにでも手錠をうとうとする。
しかし、

「うゥ…ああぁぁぁぁ……!!」

井坂は苦しみだし、身体中にコネクタが出現した。

「な、なにが起きてるの!?」
「メモリの過剰使用のメモリのツケが回ったんだ」
「メインのメモリたるウェザーを失ったことで、一気に身体に毒素が……」

フィリップとリインフォースは井坂におきている状況を説明する。
しかし、ゼロだけは何故垂涎?

「こ、これで終わったなんて思うな…!お前等の運命は仕組まれていたんだ。あの、シュラウドという女によって…」

井坂は照井とWコンビを指差してそのような意味深な台詞をはいた。

「ほお、それは興味深い。では、私達…イーヴィル・ホッパー・ネイルの運命も、プレシアに仕組まれていたのかな?」

ゼロは井坂に近づき、魔人態となった。
しかしそれは何時もと違った。

「ゼロが、進化した…のか?」

変貌したのは頭部だけな上、体色がダークバイオレットに変色し、後頭部に生えた四本の角が交わってX字をつくっている。

「それが、お前の本性か……」

ゼロは井坂の身体を持ち上げ、

『では、いただきます!!』
「先に地獄で待ってるぞォォォオ!!!!」

――ガブッ!!――

何時ものように『欲望』のエネルギーだけを喰うのとは訳が違う。
全身にコネクタが現れた井坂は、正しく生きた『欲望』の塊となっている。
ゼロは井坂の肉体ごと『欲望』として喰らったのだ。

――ガリガリ、ボリボリ……ゴクン!――

『御馳走様でした……!!』

この上なく幸せそうな笑顔のゼロ。

「そんな…、そんな……」

冴子は井坂が喰われた場面を眼の当たりにして、全身の力が抜けて座りこんでしまった。

「……悪魔に相応しい最期か……」

翔太郎がそう呟いている時、この戦いの結末を、シュラウドとプレシアが静観していた。

「………」
「………」





*****

事件は終わり、島本凪は明るい笑顔を取り戻した。
しかし、無限が井坂を噛み砕き、飲み込んで喰らった光景を忘れようとしても、決して忘れられない。改めてあいつを敵に回すことがいかに愚かなことなのかを、再認識させられた気分だ……。

「結局お金にならない仕事しちゃったね」

亜樹子が愚痴っていると、子供達が翔太郎に詰め寄る。

「探偵さん、ありがとう!」
「ありがとう!」
「ありがとうございます!」
「…今回のヒーローは、俺じゃなくて、あっち」

翔太郎は凪と微笑みあっている照井とヴィヴィオを指さす。

「お兄さんとお姉さん、誰?」
「何歳ですか?」
「職業はなんですか?」
「どこに住んでるんですか?」
「好きな食べ物は?」

子供達の質問攻めの嵐。

「俺に質問……しないでくれるかな?」
「そんな一杯同時に聞かれても、逆に困っちゃうよ」

子供達は明るい笑顔で笑い。
凪は勿論のこと、翔太郎達も微笑んだ。

「あ、それにしてもゼロ」
「なんだ?」
「大丈夫なのか?あんな胃が凭れそうなモノ喰らって…」
「問題無い。それどころか、御蔭さまで今迄浪費した魔力の元をとれた上、御釣がでたくらいだ」

ゲップをしながらゼロは答えた。
その手には完成した銀色の純正化されたガイアメモリがあった。

【ZODIAC】





*****

「クソ、仮面ライダー…!」

その頃、堺は風都から離れ、とある街にいた。
自然に恵まれ、街と触れ合う海から心地よい潮風の吹く街……”海鳴市”。

「こんなことで、僕は終わらない…!終わってなるものか……!!」

堺の手には、漆黒のガイアメモリ。
ガイアディスプレイに映るそのイニシャルは――――J!

次回、仮面ライダーイーヴィル

来訪者X/橋【やくそく】

これで決まりだ!







ホッパーサンクチュアリ
仮面ライダーホッパーがサンクチュアリメモリの力でフォームチェンジした形態。
オッドアイの複眼に重厚な鎧、触覚の間から生えた鋭い一本角。カラーリングはメタリックグリーン。

サンクチュアリメモリから戦闘状況に合わせたアドバイスによって、敵の一歩先をいく戦闘が可能になるが、その代わりに変身者はこの形態になっている間は常にサンクチュアリメモリから声を延々と聞き続けることになるので、無我の境地に至らなければ、メモリに振り回されてしまうという欠点をかかえている。それ故にヴィヴィオはトライアル以上に時間を要する修行を行うことになった。因みにサンクチュアリメモリが出すアドバイスは基本的に防御や回避に徹し、敵の隙を待って攻撃するカウンタータイプであることが多い。

修行内容は簡単にいってしまえば、部屋に描かれた模様がヴィヴィオの深層意識に潜む負の感情を怪人として実体化させ、それを倒すというもの。しかしその最中で戦闘とは関係ないことを考えると、その度に身体には激痛が走る。

必殺技は敵の隙をつき、一撃必殺の回し蹴りを叩きこみ”セイントフィールド”。決め台詞は「心の闇に溺れて」



サンクチュアリメモリ
「聖域の記憶」を収めた緑色の特殊ガイアメモリ。
クリスタルが埋め込まれたデバイス型のメモリで、マキシマムドライブ発動の際はクリスタルに触れることで作動し、セイントフィールドを決めて再びクリスタルに触れることでガイアウィスパーが鳴る。インジェリデントデバイス以上の演算能力を持ちながら、それで居て人工頭脳に”感情”といえるモノが組みこまれていないため、変身者のことより戦いに勝利するためのアドバイスを出す。



身体能力
身長・190cm
体重・80kg
キック力・20トン
パンチ力・15トン
ジャンプ力・70メートル
走力・100mを3秒
セイントフィールド・60トン



テンペスト
プレシアが設計・開発したホッパー専用マシン。カラーは白。
超高度なAIが回路に組み込まれているため、ホッパーの発した信号を受信させれば、その命令通りに遠隔操作できる。最高時速は500km。

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