新たなXの導き/神【ましん】


『アクセルシューター!』

リインフォースが叫ぶと、イーヴィルの周囲には銀色の魔力スフィアが幾つも現れ、一斉にキングコブラを目指す。

『簡単に喰らうか!』

無論、キングコブラは光弾、溶解液をぶつけてアクセルシューターを潰す。
しかし、

「かかったな」
『なに・・・!?』

【EVIL/WISEMAN・MAXIMUM DRIVE】

二本のメモリがインサートされると同時に、

――バシッッ!!――

キングコブラの身体は十重二十重のバインドに縛られる。
これだけのバインドともなれば、ドーパントといえども引きちぎるのに時間を要する。

イーヴィルはその貴重な時間を無駄にすることはなかった。
一気にジャンプし、両脚を突き出す。

そのままロードブレイクラッシャーのように身体を正中から分断させて二段キックを喰らわせる。

『クッ!・・・でもまだまだ・・・』
「ならもう一発だ」

イーヴィルはキングコブラを蹴って再び上空に舞い上がる。

「『ワイズマンエクセリオン!!』」

再び分断による二連キックが炸裂。

『チッ・・・!疲れる』

一方、ジュエルにふみつけられたW。
しかし彼はそれをどうにか振り払い、プリズムビッカーを回収。

ジュエルがダイアモンドミストを放射した矢先、

――ブゥゥゥゥゥゥン!!――

アクセルトライアルとRナスカがジュエルとWの間を横切ったのだ。

「照井・・・」
『もうすぐ最後の仕上げ。それで全て終わる』
「なに・・・?」

Wは疑問に思いながらもプリズムビッカーにインサートされたメモリを一気に再起動させる。

【CYCLONE/HEAT/LUNA/JOKER・MAXIMUM DRIVE】

「「ビッカーファイナリュージョン!!」」

虹色の光線はジュエルに降り注ぐかと思いきや、ジュエルが展開したシールドはいとも簡単にそれを幾つもの方向に反射させ、W・アクセル・Rナスカにダメージを与える。

無論、光線はイーヴィルとキングコブラにも向った。

「『ッ!プロテクション・パワード!』」

とっさに強化型の防壁を展開した。

『ヤバッ!』

キングコブラは地面に潜行した。

『なんて奴だ・・・!』
「クワトロマキシマムさえ通じんとはな」

イーヴィルはジュエルの力量に驚く。
当のジュエルは新たなシールドを展開して行方を眩ませた。

ダメージをくらった者は全員強制的に変身解除されてしまう。

そんな中、冴子は真っ先に立ち上がり、イーヴィルを見てこういった。

「お前だけは、必ず倒す・・・!」

井坂を食い殺した張本人であるゼロに対し、並々ならぬ憤怒を憶えたまま、冴子は立ち去った。
翔太朗達もヨロヨロになりつつも立ち上がる。

「ちょっと、何コレ!?あたし聞いてない!」
「三人とも大丈夫ですか?」

そこへ亜樹子と弥子もはいってくる。

「翔太朗。ジュエルの言葉を聞いたかい?」
「あぁ。・・・最後の仕上げ。どういう意味なんだ?」



この時誰も気付いていなかったが、今の戦いは見られていた。

「後一歩・・・後一歩で、私の宿願が叶う・・・!」

プレシアだった。
そして、その頭上には・・・。

――ギガガァァァァ!!――

飛竜型のフォルムをした、一個の大型メモリがあった。





*****

風都署

「ジンさん!」
「翔太朗!」

刃野の意見を聞くため、翔太朗達はやってきた。

「城島泪が、上杉さんの命を狙ってるって!?」
「思い出したんだよ、昔あの女がやったこと」

刃野は語りだす。

「上杉誠、武田智、城島泪。前にも言ったが、この三人は毎日街の不良共と大喧嘩だ。当時巡査だった俺は・・・・・・」

刃野の脳内にはケンカを止めようとして、泪に殴られた自分の姿が・・・。

「ヒデー目に遭ったぜ。でも奴等を憎めなかった」



かつての頃、
ケンカが終わり、刃野と泪が土手に座っていた。

――刃野――

泪は刃野に氷袋を渡す。

――私らがケンカするのは、この街が大好きだから――



「勝手な屁理屈だ。だけどその言葉を信じた。それなのに、2・3日経って・・・」





*****

夕日の中、土手に作ってあった手作り風車が壊されていたのだ。

「この風車はな、この子供達が、ボランティア活動で作った大事なモンだったんだ!・・・誰がやったんだ?」
「刃野さん。俺らを疑ったんの?」

当時の上杉にそういわれ、刃野がたじろいでいると、

「私よ」

泪が名乗り出たのだ。

「泪・・・なんでこんなことを?オメー、この街が好きだって言ってたろ!」
「好きよ。でも私・・・好きになればなる程、最後には壊したくなる」





*****

「好きなものを、最後に壊す・・・」
「ただの思い過ごしならそれでいい。でも、嫌な予感がしてな」
「刃野さん。その予感、当たってますよ」

弥子はバツが悪そうに答えた。

――もうすぐ最後の仕上げ。それで全て終わる――

(でも、あのドーパント・・・なにかが違う?)

「おーい皆、面会時間過ぎてるぞー」

そこへ真倉が報せて来る。

「ハイハイ。・・・ジンさん、上杉さんところに行ってきます」
「あぁ。頼んだぞ翔太朗」

翔太朗達は帰ろうとする。
が、一旦引き返す。

「あ、身体のほう、きをつけて」
「なに何時までやってんだよ!お医者さんがお待ちなんだよ!」
「ちょっとくらい良いだろ!」

不毛な言い争い。

「二人とも落ち着いて」
「ハ〜、馬鹿者め」

皆が帰ろうとすると、タイミング良く女医がでてくる。
真倉に言葉だけで案内されると、その女医は刃野の前に立った。





*****

ガレージ。

「・・・・・・」

リインフォースは今、次元書庫で得た情報を整理していた。

(村木大地。年齢25歳。園崎若菜の婚約者としてキングコブラメモリとガイアドライバーを与えられる。過去に数年の間、時空管理局に所属していたが、三年前に突如自主退職。その後の行方は不明だったが、この期間のガイアメモリのことを知り、園崎家に魔法技術と、無限ゼロとリインフォースの情報を交換条件として園崎若菜の婚約者となった)

本に書いてある情報が記憶の魔導書にどんどんコピーされていく。

(その出生地は地球の日本だが、その四代前の先祖はミッドチルダの住人であり、彼にもリンカーコアが隔世遺伝によって備わっている。そして、村木大地の最も古い先祖はロストロギア・夜天の魔導書を製作した人物である。当時のことが書き記してあった古文書を解読したことで、村木大地は魔法の存在を知った)

あらかたのデータを読み取ったリインフォースはゆっくりと椅子に座った。

「ふー・・・・・・やりきれないな」

一言だけだが、その言葉にはかなりの疲れがみえた。

――カタカタカタカタ――

一方ネウロはパソコンでなにやら調べている。

「フムフム、上杉誠の情報を探ってみたが、やはり基本情報しか載っていないか。まあいい、ガイアメモリと『欲望』はゼロの専門。『謎』を解き明かすのは我が輩の仕事だ」





*****

その頃、女医は髪留めと眼鏡を外して素顔を見せる。

「泪・・・」
「私のこと、憶えてるんだ・・・刃野」
「ちょっと待て!お前何しに来たんだ?・・・わかったぞ!上杉やるまえにこの俺を宝石に変えようって言うんだな。この悪女め・・・!おい、おい誰か・・・助けてくれーー!!」

――ゴロゴロゴロゴロ!!――

刃野になげかけられたことで生じた泪の心境を表すように、屋外では雷雨が発生していた。
泪は刃野のいる場所から離れていく。

「なーにを、ギャーギャーギャーギャー騒いでるんだ?」

――ドガッ!――

途中、真倉を気絶させて。

その頃翔太朗は・・・。

「ん〜・・・・・・あぁ!」
「漸くきづいたか」

女医の正体が泪であったことに漸くきづいた。
ゼロはわかっていたらしく、翔太朗の反応の遅さに呆れる。

署の中を歩く泪を見つけた途端、翔太朗達は彼女を追いかける。
そして雨の中、屋外の階段を下りていく。

「待てコラ!待て!!」

翔太朗が呼びかけると、泪は立ち止まる。

「・・・ホント、しつこい探偵ね」
「ジンさんの命を狙いにきたのか、まさか?」
「あんな単純で騙されやすい男・・・宝石にする価値もない」
「オイ、勘違いすんじゃねー。ジンさんは騙されやすいんじゃねぇ・・・・・・騙され上手なんだ」

翔太朗はあくまで刃野のことをたてた。

「またソレかい」
「シー!」

亜樹子は呟いていると、それを亜樹子が制した。

「ジンさんに世話になりながら、そんなことにも気付けねーのか?情けないぜ」

それを聞き、泪の表情は険しくなる。

「好きなものを壊す?させるか、俺が守る。ジンさんも、上杉さんもな!」
「黙れ黙れ黙れ黙れ!!お前も刃野と一緒だ!私にコロッと騙されてるくせに、偉そうなこというな!!」

泪は叫び散らし、走り去っていった。

「あ、また逃げた!翔太朗君、無限さん!早く追いかけなきゃ!」

亜樹子は二人にそういったが、

「・・・・・・・・・」
「もう確実だな」

翔太朗は沈黙し、ゼロはある確信を抱いた。





*****

事務所。

ずぶ濡れになった翔太朗は着替えて身体をタオルで拭いていた。
ゼロはそんなことをすることもなく、少し体温を調節してあっと言う間に水分を蒸発させた。

「村木大地・・・か」

その時、リインフォースが呟く。

「貴様の創造主の子孫だったな」

ゼロは彼女の隣に座る。

「あぁ、まあな。・・・しかし今はジュエルの事件を解決するほうが先決だ」

リインフォースがそう言った直後、呼び鈴がなった。
亜樹子がでてみると、

「上杉さん!・・・あ、タオル」

土砂降りのなか、傘もささずにやってきたのは上杉だった。

「おや、どうかされましたか?」

ネウロはいつもの好青年スマイルをうかべる。

「泪から連絡があったんです。明日、風見埠頭で会いたいと」
「ダメですよ!あの女、上杉さんの命を狙ってるんです!」
「だとしても、僕は泪に会いたい。会って、もう一度説得がしたいんです。だから、一緒に来てもらえませんか?」

翔太朗、ゼロ、ネウロは顔を見合わせ、頷きあう。

「はい、わかりました」
「ありがとうございます」





*****

翌日の風見埠頭。

指定された場所に立つ上杉を見守るように、ゼロたちが大きな柱に隠れていた。

「あの女、きっと卑劣な罠を仕掛けてくるに違いないわ・・・!」
「ん〜、私はなんだか違うきがするんだけど・・・」
「来たぞ」

弥子がなにか渋った表情をしてる間に、泪が現れた。

「泪・・・僕が君を助けてあげる」

――バッ!――

上杉が近寄ると、泪は勢いよく走った。

「待ってくれ!泪!!」





*****

認知外世界の某所

「さあ此処です」
「一体なにが起こるのかね?」

そこには大地と琉兵衛がいた。
厳密には大地が琉兵衛を連れてきたというべきだろう。
右手にしてある指輪がそれを物語っている。

そして、二人がいる場所は、ミュージアムのビギンズたる「泉」に良く似ていた。

「暫く待っていればわかりますって」

そういった直後、「泉」の装置と酷似した装置・・・「根源」から、白銀の光が漏れ出す。

「フフフ・・・!遂に来たか・・・!」





*****

ところもどって風見埠頭。

「なにしてるの?早くこっちにきなさいよ上杉」
「あぁ」

上杉はゆっくりと泪に歩む。

――クンクンッ――

「ッ・・・左」
「わかってる」

なにか妙な臭いを感じたゼロは翔太朗に指示し、デンデンセンサーをガジェットモードにさせて周囲を分析させる。結果、泪の近くには・・・。

「爆弾が仕掛けられてる・・・!」
「爆弾!?」
「まさか、僕を・・・!?」
「罠よ、逃げなくちゃ!」

亜樹子は上杉を強制退避させようとする。

「泪!!」
「上杉!!」



――ドガァァァァァアアアン!!!!――



泪が上杉に駆ける途中、爆弾が起爆し、皆がさっきまでいた広々とした場所は一気に爆炎に包まれた。

翔太朗達はなんとか逃げ延びることができたが・・・。

「なにこれ?あたし聞いてない・・・」

亜樹子はお決まりの台詞をはく。

「泪が、僕の命を狙おうとして、逆に・・・」
「ミスって、自爆しちゃったってこと?」
「元を正せば、僕のせいだ・・・!許してくれ、泪!!」

親友の非業の死に、どうしようもない心境になる上杉。
だがしかし、

「「「・・・・・・・・・」」」

そんな上杉に冷えた視線を翔太朗とゼロと弥子が送っていた。

(この『謎』はもう、我が輩の舌の上だ・・・♪)

ネウロは陰ながら笑っていた。





*****

事務所

「余り気持ちの良い事件じゃなかったけど、これで一応解決ね。刃野刑事にたんまりと探偵料請求しなくちゃ!」

意気込む亜樹子。

「いいや、まだ終わってない。事件も、『欲望』も、『謎』も」
「これからランチでも喰いにいくか」

ゼロとネウロは事件は終わってないと主張。
翔太朗もタイプライターをキリのいいところまで書き、席を立つ。

「そうだな、行こうぜ」
「え、だって報告書書いてるじゃん!」
「まだ最後のページが欠けてる」
「それじゃあ、行きましょう」
「行くってどこに?」

亜樹子が聞くと、弥子はこう答えた。

「この事件に終止符を打つんです」





*****

一行が訪れたのは一隻の豪華客船。
そこにあの男がいた。

「良い風ですね。ご旅行ですか?」
「探偵さん方・・・どうしてここに?」

そう、それは上杉だった。

「貴方にどうしても言いたいことがあって、ここに参りました」

ネウロがそう答えると、弥子が一歩前にでる。

「では先生、何時ものように」

弥子の腕は操り人形のように吊り上げられていく。

「犯人は・・・・・・お前だ!!」

指差したのは上杉だった。

「な、なんなんですか?」
「聞いてのとおりです。上杉さん、貴方がジュエル・ドーパントだという意味ですよ」

ネウロはハッキリと上杉に言ったのけた。

「ちょっと待って!ドーパントは事故で死んじゃったあの悪女じゃ?」
「違いますよ亜樹子さん。真犯人は、上杉誠です」
「そんなの有り得ない!だってこの眼でみたじゃない.あの女はドーパントに変身する瞬間を!」
「トリックさ」
「それも極々簡単な」

亜樹子が騒いでいると、フィリップとリインフォースの声がした。

「フィリップ君にリインフォースさんも乗ってたの?」
「えぇ。・・・・・・あの時、ゼロたちが目撃したのは鏡に映った城島泪」
「鏡・・・?」
「正確には、ダイヤの微粒子によって形成されたミラー状のシールド。城島泪の変身の瞬間、本物の彼女は何所かに死角に立ち、変身ポーズをとった」

フィリップとリインフォースは当時の状況説明をする。

「待ってくれ。何で彼女がそんなことを?」
「脅迫していたのでしょう?姑息な手段を使って」
「どうやって?」
「それは本人に聞いたほうが早いですよ」

ネウロが指差した方向を見てみると、

「えぇぇ!?」

城島泪がいた。

「生きてたんだ」

上杉は無関心じみた態度をとる。

「何故約束を破ったの?全部言うとおりにしたでしょ!貴方が女性を宝石に変える度、わざと現場で目撃されたし、悪女だって演じてきた!」
「あれ、演技だったっていうの?」

なにも知らない亜樹子は驚かされるばかりだ。

「そう。泪の印象が悪くなればなるほど、対照的に彼女を救いたいと主張する上杉さんの誠実さが際立ちます。全部彼が仕組んだことだったんですよ」

「あぁーあーあーあーあーあーあー!全部バレちまてるのか。だったらもう・・・・・・」

上杉はギプスを取り外し、首筋にボイスチェンジャーをあてて、

『芝居する必要もねぇなぁ』

エコーのかかった泪の声で話した。
ドーパントになった時はこの手段を用いていたのだ。

「上杉・・・返してよ、智を返して!!こいつが宝石に変えたのよ。私が智のこと好きだって知ったから・・・!親友なのに・・・!私達の幸せ、喜んでくれると思ったのに・・・」

皆の視線は上杉がしているダイヤの指輪にむく。

「じゃあ、あの指輪が・・・!」
「武田智さん」

亜樹子は驚き、弥子は軽蔑の眼差しで上杉を見る。

「泪・・・・・・君はさぁ、僕のこと好きだったんだろ?だから僕が子供たちの風車壊した時、庇ってくれたんだろ?」
「仲間として好きだった。でも、次第にあんたが怖くなった。好きなもの全部壊したくなる、あんたのその性格が!」

「僕はね、完璧主義者なんだよ。愛せば愛すだけ、その不完全さが目に付く。それが次第に我慢できなくなる、全部消してしまいたくなる。お前のこともそうさ、泪」

上杉はどんどん自分の本性を曝け出す。

「トンデモねぇ奴だな。そろそろ観念しな」
「僕を捕まえるの?・・・だったら、これもう要らねーなぁ」

上杉は指輪を外す。

「上杉、お願い!智を返して!!」
「・・・断る」

――バッ!――

「照井!」

上杉は指輪を投げ捨てた直後、アクセルトライアルが現れる。
その手には智のダイヤがあった。

「ナイスキャッチ!」
「よくやった」

翔太朗とゼロがほめた。

「上杉。これで二度目だな、お前の友人の命を救うのは」

そう、爆弾が爆発したとき、泪を助け出したのもアクセルだったのだ。
ゼロたちもまた、上杉の陰謀の全てを承知し、準備を怠らなかった。

「左たちに証人となってもらい、彼女の死で事件を幕引きとしたかったんだろうが、残念だったな」
「何時から気付いてた?」
「きっかけは泪さんの言葉だった」

――コロッと私に騙されてるくせに!――

「なにを騙しているのか?・・・俺は風見埠頭で確信した。お前が彼女を殺そうとしたことでな」
「それにちゃんとした証拠映像もある」

【FALCON】

ゼロはギジメモリをインサートして、ビデオカメラ型のファルコンスナップをライブモードにする。

「あーあ。他の街に行って、また女たちを思う存分ダイヤに変えるつもりだったのに」

上杉はジュエルメモリを起動させる。

【JWELE】

左手のコネクタに挿し、”宝石の記憶”を宿したジュエル・ドーパントとなる。

『皆まとめて消えてもらうしかないね』
「それはどうかな?」

【MAGICAL】
【WISEMAN】

「「変身!!」」

【MAGICAL/WISEMAN】

「『さあ、貴様の欲望を差し出せ!』」

ゼロとリインフォースはイーヴィル・マジカルワイズマンに変身。

「よし、俺たちも「私達でやる」・・・いいのか?」
「構わん」

イーヴィルは加勢することを断った。

「行くぞ、リインフォース!」
『えぇ、ゼロ!』

イーヴィルは互いにパートナーの名を呼び合う。

――ギラァァァァァァン!!――

二人の意思に呼応するかのように、セントラルパーテーションからは今までにない輝きが溢れだす。
するとどうだろうか?空中にて旋回する一つの影があった。

――ギガガァァァ!――

荒々しく叫ぶそれは、イーヴィルドライバーのメモリから放たれる二筋の光に沿って滑り落ち、バックルに収まると、そのままバックルごとボディを開き、ワイバーンモードからメモリモードに変形する。

それによって黒い機体とは対照的な銀色の装飾はX字型となり、機体に隠されたガイアディスプレイも明らかとなり、緑色の光を発した。

そして、そのメモリの名はやはり・・・・・・。



【XCELION】



エクスハリケーンが急激なスピードで回転し始めた。

『これが、これが新しいエクセリオン・・・・・・!!』
「そうだ。そしてこれが、私達イーヴィルの・・・・・・!!」

「『真の力!!ウオォォォォォォオオオ!!!!』」

セントラルパーテーションに手をかけてこじ開けると、イーヴィルからはDVXの時以上に膨大極まるデータが現れ、その新たな導きの中心にして、イーヴィルは本当の進化を遂げたのだ!

右半身がマジカルサイドの白銀、左半身はワイズマンサイドの黄金、そして中央はプラネットサーバーのクリアブロンズで彩られたイーヴィルの超究極形態・マジカルワイズマンエクセリオン!!

「スゲーー!!」
「実に興味深いね・・・!」

翔太朗とフィリップもこの状況には驚くほかない。





*****

認知外世界

イーヴィルの超進化に反応し、「根源」からは神々しい光が多量に流れ出している。

「ほお・・・!これが君の見せたかったものか。素晴らしい、素晴らしいよ!」
「えぇ。これこそが、全次元世界を統べる、最強にして絶対なる力・・・!」

そして、大地は両手を大きく広げて叫んだ。

「エェェクセリォォォォォォオオオオン!!!!」

大地の叫びと同時に、「根源」からは滝のように白銀のデータが神々しい光と共に溢れ出しまくっていた。





*****

アルハザード。
そこではプレシアが魔力で構築したモニターでイーヴィル・MWXの雄姿を眼に焼き付けていた。

「遂に、遂に降臨した!人間を、魔導師を、魔人をも超越した・・・・・・偉大なる魔神が!!」





*****

「このイーヴィルに関する全てを閲覧した」
「迅速にジュエルを処理するぞ」
「「ネクサスブレイブ!」」

MWXのプラネットサーバーから白銀と黄金で彩られた剣と盾を出す。

【NEXUS】

”絆の記憶”を収めたネクサスメモリを剣の柄にあるスロットにインサートした。
さらにイーヴィルは右手を天に掲げ、それによって六本の何かがイーヴィルに手中に現れ始める。

「おや・・・?」
「どうしたのネウロ?」
「ゾディアックメモリがない」





*****

無限家

「あれ?どこいっちゃったんだろう?」
「ヴィヴィオちゃん、どうかしたの?」
「あ、御霊さん。それがホッパーメモリがどこかにいっちゃって・・・」





*****

時空管理局

「さて、たまにはメンテナンスでも・・・」

ディアンがネイルメモリとシングルドライバーをメンテにだそうとしたとき、

――シュン!――

「ッ!どういうことだ!?」

ネイルメモリが消失したのだ。





*****

ネウロ・ヴィヴィオ・ディアンのメモリは、他の三本と一緒にイーヴィルの手の中に召喚されていたのだ。
イーヴィルは手におさめた六本のメモリを全てブレイブシールドのマキシマムスロットにインサートする。


【MAGICAL・MAXIMUM DRIVE】
【EVIL・MAXIMUM DRIVE】
【ZODIAC・MAXIMUM DRIVE】
【NAIL・MAXIMUM DRIVE】
【HOPPER・MAXIMUM DRIVE】
【WISEMAN・MAXIMUM DRIVE】


魔法・魔人・十二宮・爪と刃・バッタ・賢者。
六つの記憶を全て全開放した。

「「ブレイブボルテックストーム!!」」

イーヴィルはマキシマムスターターを作動させ、ネクサスマズルからジェノサイドスーパーノヴァを遥かに越える威力と光量を誇った光線をジュエルに照射した。

『反射だよ・・・!』

ジュエルはダイアモンドミストのシールドで光線を反射しようとする。


――パリィィィィィィィン!!――


しかし、シールドはガラスのように割られ、そのすぐ後ろにいるジュエルはブレイブボルテックストームをまともに喰らってしまった。

『こ、こいつ、でたらめだ』
「出鱈目で結構」

【EVIL/ZODIAC/NAIL/HOPPER/WISEMAN/MAGICAL・MAXIMUM DRIVE】

再び覚醒する記憶たち。
イーヴィルはブレイブシールドからネクサスソードを抜刀した。

「「ブレイブショックストライカー・・・・・・!!」」

――ザシューー!!――

『グアアァァァァァ!!』

ジュエルはイーヴィルの一振りによって大きく吹っ飛ばされる。

「軟弱者め。本番はここからだぞ」

――パチン!――

イーヴィルは指を鳴らした。
するとどうだろうか?
船の死角たる場所から少しずつ、蜂をベースに様々な昆虫が融合してできたかのような魔帝兵器の一つが現れたのだ。

この光景には見ている全員が唖然としている。

「「魔帝7ッ兵器・・・飛んで火に入る虫(イビルファイヤー)」」

さらに、

「「魔界777ッ能力・・・射手の弛緩(イビルスリンガー)」」

そして、

――ズドォォォォォォオオン!!!!――

『ノギャアアアあああああああああああ!!!!』

ジュエルの硬度が如何に地上最強だとしても、亜音速の爆撃機に追いつくだけのスピードを出す魔帝兵器を他の魔界能力によってパチンコの要領で発射されれば、どれだけ頑強でも相当なダメージであろう。

「さあ、トドメだ」
(まだやる気か!?)

ネウロ以外の全員がそう思った。

「咎人達に・・・滅びの光を」

イーヴィルが右手を前方に出すと同時にリインフォースの意思が詠唱を始める。
掌にはマジカルメモリの白銀色の魔力が集束していく。

「星よ集え。全てを撃ち抜く光となれ」

ジュエルがダメージで殆ど動けないのをいいことに、詠唱は進み、魔力も急激なスピードで集束されていく。

「貫け・・・閃光」

そしてとうとう・・・!

「スターライト・・・ブレイカー」

イーヴィルの右拳が溜まりに溜まった魔力の塊を小突くと、それは一気にスパークし、巨大な極太の魔力砲撃となってジュエルに襲い掛かった!

『ああああああああああああああああああああ!!!!』

――ドガァァァァァン!!――

遂にジュエルは耐え切れず、メモリブレイクしてしまった。
原作と違って、あれだけの攻撃を受けたため、身体はかなりボロボロのヨレヨレである。

「・・・・・・泪ィィ。お前が、刃野みたいな、あんな刑事庇わなきゃ・・・・・・こんな化物、呼び寄せることなかったのに・・・何故刃野を?」

あれだけの攻撃を受けておいて喋る力が残っているというのは驚きである。

「あの人だけは傷つけたくなかった!昔から、どんな嘘にも騙されて・・・・・・バカな人・・・」



――お前もうケンカしないって約束したろ?――
――・・・ダチが人質にとられたんだよ――

無論、お説教を回避するためのウソである。

――そんなことが・・・よしわかった!いいか、でももう二度とケンカすんじゃねーぞ!――



「なんだか私、騙されたあいつに付き合わなくちゃいけない気がして、本当に二度とケンカしなかった。あの人は、私の恩人」

それを聞き、翔太朗は満足そうな顔をし、照井は智のダイヤを泪に渡す。

「・・・智・・・」

「僕の、完璧な計画が・・・・・・あんな間抜けで騙されやすい、刑事のために・・・!」
「上杉、一言言っておくぞ。ジンさんは騙されやすいんじゃねー。・・・騙され上手だ」





*****

風都署

「ベックション!!」
「クシャミなんかしてんじゃねーよ、この盗人がぁぁ!」





*****

上杉はバタンと倒れ、ジュエルメモリはバチっという音を立ててブレイクされた。
そして、互いに愛し合い、抱き付き合う二人の姿があった。

照井はその空気を邪魔しないよう海を眺め、亜樹子は興味津々そうに眺め、翔太朗とフィリップは微笑ましい笑顔をしていた。
そしてイーヴィル・MWXは、バックルを閉じてエクセリオンメモリVer.Xを取り外し、変身を解除した。

「・・・智・・・」
「・・・泪・・・」
「良かった、本当に・・・」

それをみた亜樹子は、

「ッ!竜くぅーん!!」

照井に抱きつこうとするも、照井はそれを回避。
亜樹子は危うく海に落ちかけたが、フィリップが寸でのところで助けた。

そして、

『『いただきます!!』』

――ガブッ!!――

『謎』と『欲望』が喰われた。

こうして女性達は全て元に戻り、今度こそこの事件は終わった。





*****

そして風都署では。

「俺様の時代はまだ続くのだぁ!ハハハハ!!」

んでもって。

「最初から信じてましたよ、刃野さんの無実を」
「オメーは調子がいいんだよ!」

刃野は真倉の顔面を殴った。正確には鼻だが。
そこへ翔太朗達が現れる。

「おぉ翔太朗。探偵料はツケといてくれ」
「ダメッ!!きっちり現金でいただきます!!」

ツケを決して認めない亜樹子。

「・・・女は怖ぇもんだ・・・」

刃野は逃げるように屋外に歩いた。

「いやー。良い天気だねぇ」
「あ、泪さん、ジンさんに感謝してたぜ。今度、手料理でもご馳走したいって」
「手料理?フン、どうせ嘘だな。いいか翔太朗、俺はな、今回の事件で誓いをたてたんだよ。もう二度と、騙されねーってな。ハハハハ!」

言い切ってみせた刃野に、翔太朗は・・・。

「あッ!雪男!」
「え、雪男どこ!?」
「刃野さん待って!」

「早速騙されてんじゃん」

その時だった。

――ビューーーー!!――

もうすぐ夏にはいるというのに、妙に寒々とした風が吹く。
なんとなく後ろをみると、

『キューー、キキキ・・・!』

雪男がいた。

「「ナァァァァぁぁぁあああ!!」」

翔太朗と亜樹子は気絶してしまった。
嘘からでた真とはこのことである。

【NEXUS・MAXIMUM DRIVE】

「「ネクサスソーサラー」」
『ギャアァァァァ!!』

その直後に、MWXが雪男=イエティ・ドーパントを斬り、メモリブレイクを行った。
そして気絶した二人を見て、こう一言言ったのだ。

「・・・・・・・・・・・・風邪ひくぞ」

次回、仮面ライダーイーヴィル

Oの連鎖/老【ろうじん】

この『欲望』はもう、私の手中にある・・・」

これで決まりだ!





マジカルワイズマン
ゼロがワイズマンメモリ、リインフォースがマジカルメモリを使って変身した特殊形態。左半身が黄金(ゴールド)で、右半身が白銀(プラチナ)。身体能力も多少は上昇しているが、特筆すべき特徴は、ワイズマンメモリに収まる記憶(データ)とマジカルメモリの無尽蔵の魔力によって、リインフォースの使用できる魔法全てを、自由自在かつ数倍の威力で発動できる。

必殺技は敵に十重二十重のバインドをかけ、身体を分断させての二連キックを行い、反転ジャンプをして再び二連キックを決める”ワイズマンエクセリオン”。

ワイズマンメモリ
「賢者の記憶」を宿した黄金のガイアメモリ。
ウェポンサイドとして使用されるが、他のメモリと違ってマジカルメモリとしかシンクロしないため、一見汎用性に欠けるように見えるが、このメモリで変身したマジカルワイズマンは自由自在に魔法を使うことができるようになる。

身長/200cm
体重/100kg
キック力/15トン
パンチ力/12トン
ジャンプ力/110m
走力/100mを2.4秒
ワイズマンエクセリオン/破壊力・40トン×2





マジカルワイズマンエクセリオン
イーヴィル・マジカルワイズマンの超絶進化レベル。アビリティサイドは白銀(プラチナ)でウェポンサイドは黄金(ゴールド)、中央はクリアブロンズといったカラーリング。マジカルメモリ・ワイズメモリ・エクセリオンメモリの連携によりガイアメモリは勿論、魔法なども検索することで現存するもの全てを自由自在に扱うことが可能になっている上、マジカルメモリの魔力を魔人の魔力に変換することで魔界能力や魔帝兵器を無制限に発動することが可能になる。云わば全次元世界において最強無敵の存在となっている。

常人では変身することなど到底不可能と言えるまでに強大な魔力と脳髄の許容範囲を越えた情報が流れ込んでくる為、強靭極まる肉体と脳髄を兼ね備えた上級魔人でしか変身できない。

マキシマムドライブの際はイーヴィルメモリ・マジカルメモリ・ワイズマンメモリ・ネイルメモリ・ホッパーメモリ・ゾディアックメモリの六本をインサートし、色鮮やかな光線で全てを破壊する”ブレイブボルテックストーム”や、刃に集束したメモリの力で一刀両断する”ブレイブショックストライカー”を発動する。

身長/200cm
体重/107kg
キック力/30トン
パンチ力/24トン
ジャンプ力/220m
走力/100mを0.7秒
ファイナライズエクセリオン/破壊力・200トン

エクセリオンメモリVer.X
MWXへの強化変身の為、プレシアがエクセリオンメモリに改修を行った大型ガイアメモリ。形状は恐竜型のダイナモードから飛竜型のワイバーンモードに変化した上、機動力や攻撃力が向上し、リインフォースの肉体をデジタルデータとしてメモリ内の電脳空間・ワールドスペースに収納できるようになっている。カラーは黒と銀。MWXへの二段変身の際はスロットがE字型に閉じられた起動状態でドライバーと合体し、ワイバーンモードからメモリモードになることでスロットが開き、MWXとなる。

ネクサスブレイブ
WMXの専用武器。「絆の勇者」や「魔神の矛と盾」とも呼ばれる。カラーは黄金と白銀と胴色。ネクサスソードとブレイブシールドによる攻守一体型の武具。ネクサスメモリをソードのスロットにインサートすることで起動し、抜刀できるようになる。攻撃力・守備力共に、グレインノヴァの三倍を誇る。

ネクサスメモリ
「絆の記憶」を納めた空色のガイアメモリ。
ネクサスブレイブの起動キーの役目を担い、六本のガイアメモリのパワーを集束させる機能をも備えている。このメモリとネクサスソードでのマキシマムドライブ・ネクサスソーサラーには、ガイアメモリ以外にも魔法の力を打ち消す効果がある。

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