今回からロムスカ王さんの「仮面ライダークロス」とのクロスオーバー!
だいたい2・3話あたりを予定しておりますので、応援のほど、宜しくお願いいたします!

ちなみに現在、PVアクセスは302000を突破、ユニークアクセスも38000を突破しました!

新世界M/王【ゼロ】


運命。
それは言葉にしてみせれば、一見自分には無関係で壮大なモノだと、大抵の人間は思うだろう。
だがしかし、運命は誰にでも関係し、切っても切れない関係といえる。

生まれた境遇、生きていく上での環境、生まれ持った人格と能力。
それらは千差万別。
どれだけ似ていようと、必ずどこかで”違い”という綻びがある。

いかなる生命であろうといかなる物質であろうと、全ての存在は運命というモノと密接に絡み合っているのだ。

でも、運命というのは生まれた瞬間に、その人物の全てを決めるわけではない。
運命というのは純粋なものだ。それをどんな形にしていくかは、その人生を生きる者次第であり、幸福な人生も不幸な人生も、全ては当人の行動の結果によって生まれていく可能性を大いに秘めている。

運命は自分で切り拓くもの。
などといった、格言がある。

だけども、これから描かれる者たちの運命は・・・・・・誰よりも数奇な運命を辿る者だ。
ただ、それだけは確実に断言できる。





*****

風都。
そこは常に優しい風の吹く街。
この街の道を歩き、帰るべき場所へと帰る三人の美女の姿がいた。

「ふむふむ、今日は中々良い物が手に入ったわ」
「頑張った甲斐あったね」
「そうじゃなきゃ、ゼロにどやされるからな」

言わずともわかるだろうが、この三人は無限ゼロの同居人だ。
ゼロの婚約者(実質的な妻)のリインフォース。
ゼロの娘の無限ヴィヴィオ。
無限家の家政婦(メイド)で、外出時のみ私服でいることを許されている左前御霊。

「ヴィヴィオちゃん、今日も輝いてるな〜〜♪」
「リインフォースさん、今日もお美しい〜♪」
「御霊さん、今日は猫耳メイドじゃないのか・・・・・・」

街道歩く三人を見かける男性達はこんな反応を示していた。
まあ、一人妙なのもいたが。

ちなみにこの三人、”風都三大美女”との呼び声も高かったりもする。





*****

無限家。

――ガチャ――

「ゼロー、ただいま」
「ただいま、パパ」
「ただいま帰りました〜」

部屋の中に入った三人。
靴を脱ぎ、買ってきた荷物(日用品や食料)を置こうとリビングのドアを開いた。

「ゼロ、いるか・・・・・・って、なんだこれはぁぁぁぁああ!!?」

リインフォースは絶叫した。
ヴィヴィオと御霊も唖然とする。

「おぉ、三人とも、帰ったか」

ゼロがゆったりと腰掛ける椅子を中心に、リビング全体が化物だらけの異様な風景となっていたのだから。
まあ化物たちも細切れになっては再生し、細切れになって再生するという、気色悪い光景を繰り返している。

「な、なんなのこれ?パパがやったの?」
「あぁ。暇だったので、こいつを発動した。魔界777ッ能力が一つ、禁断の退屈(イビルステーション)

なんか部屋が途轍もなくカオスなことになっている原因をみせるゼロ。

「いやー、改めてこいつで遊んでいると、魔界の麗らかな日々を思い出す」
「それって、パパにとっての麗らかで、皆にとっては地獄じゃ・・・・・・」
「なんだか、弱肉強食って言葉を体現してるわね・・・・・・」

「ちなみにこいつは、地上でいうところのRPGだ」
「・・・・・・プロローグからみないと、どっちが勇者パーティーなのかが全くわからん・・・・・・」

三人はうんざりした様子で荷物をテーブルに置いた。
その時、

――ビカァァァァン!!――

激しい閃光が窓から満ち足りる。
皆は目をつむり、再び開いた。

「こ・・・これは?」

ゼロは眼を見開いた。

なにやらフォルムがかなり歪だが、見た感じでいうと、空を飛ぶ舟。
としかいいようがなかった。

そして、その舟・・・・・・明らかに怪しい雰囲気を放っている。

「ほー、どうやら次元航行船のようだな。・・・それも、魔界特有の金属で建造されている」
「魔界の次元航行船?」

ゼロの説明にリインフォースが首をかしげていると、航行船のハッチが空中で開き、そこから一見若い風貌ながらも老練された雰囲気のある男がベランダに舞い降りた。

「誰だお前?」

リインフォースが聞いた。

「僕の名前は、中級魔人の創路シキです。お久しぶりです、ゼロ様」
「・・・つくろ?つくろシキ?・・・・・・あぁ、貴様か」

ゼロは記憶の糸を手繰り寄せ、彼に関する記憶を引っ張り出した。

「魔界以来だな」
「その節では、かなりお世話になりましたね」

かなり、という部分を強調するシキ。

「・・・なんのようだ?」

早速、話の本題に入ろうとするゼロ。

「おっと、そうでした。実はゼロ様。貴方様に折り入ってご相談があって、この地に参上致しました」
「能書きはいいから、早く要点を述べろ」
「はい。では、単刀直入に言わせてもらいます」

シキは大きくを息を吸い、こう言い放つ。

「ゼロ様!貴方に新世界たる第333管理外世界『メルト』の王になって欲しいのです!」
「断る」

一気に張り詰めた空気が裂けた。

「何故私がそんな辺境の世界を治めねばならん?この『欲望』に満ち溢れた世界を捨てるなど、私やネウロから言わせれば、この上なく愚かな選択だ」

ゼロはきっぱりと王になることを断った。
まあ、元々ゼロは王などという地位には興味のない性格をしていることは間違いない。
プライドが高いことも、間違いではないが。

「そう言わないでくださいよゼロ様!これは全次元世界の危機なんですよ!」

なおも食い下がるシキ。

「危機とはなんだ?」

リインフォースが再び聞いた。

「・・・それは、『伝説の魔人』です」
「ッッ!!?」

その単語を聞いた途端、ゼロの表情が激変した。
そしてシキに駆け寄る。

「その言葉に、嘘偽りはないな」
「勿論ですとも」

「パパ、伝説の魔人って?」

ヴィヴィオが素朴に質問する。

「『伝説の魔人』とは、600億年に一度だけ誕生すると言われている、魔人の中でも超最強種と呼ばれる存在だ。その力は恐らく魔界王にさえ匹敵するであろうといわれている。私も今迄生きてきた数万年においては伝承でしか聞いたことが無かったが、実在していて全力勝負を挑まれたら、私といえども、イーヴィルに変身しても勝てるかどうかは五分五分だ」

ゼロは威圧感を放ちながら、『伝説の魔人』の恐ろしさを語った。
表情からは果てしない戦慄を感じさせる。

(あ、あのゼロが・・・)
(パパが、まさか・・・)

リインフォースもヴィヴィオも、この話の信憑性をゼロが決して見せなかった表情で完全なものとした。

「で、どうですかゼロ様?来ては頂けないでしょうか?住民達も、ゼロ様達による、救いの手を天にも縋る思いにて心から待っています」

シキは追い込みをかけるように、再三とゼロを勧誘する。

「・・・・・・・・・・・・よかろう」
「ッ!ありがとうございます!!」

シキは深々と頭を下げた。

「では、早速皆様を御連れ致します」
「まて、まだ連れて行「ご心配なく」・・・・・・なにがだ」

言葉を遮ったシキ。

「ゼロ様のお仲間である、左翔太朗、照井竜、ディアン・テスタロッサなら、既にこの舟の中にてございます」
「相変わらず仕事は速いな。流石は魔界1の研究者といったところか」
「お褒めに預かり、恐悦至極にてございます」

シキは社交辞令のごとく、再び頭を下げる。

「では言ってくる。御霊、留守を頼んだぞ」
「はいはい、私がいようとも、意味ないわけですし」

御霊が皮肉交じりに返答する。
例えゴーストメモリを未だに所持していようと、これからいく場所で、中級ドーパントの力などあってなきが如し。

「行くぞ」
「えぇ」
「うん!」

ゼロとリインフォースとヴィヴィオの親子は、素早く次元航行船に乗り込む。

「では、僕も」

最後にシキが乗り込む。
しかし、その時、御霊だけが見逃さなかった、聞き逃さなかった。

シキの表情が、復讐者の物となり、”報いを受けろ”と呟いていたのを。





*****

クロスの世界。
白宮邸。

「スー、スー、スー・・・・・・」

ベッドの上で、仮面ライダークロス変身者=無限の使徒こと白宮光輝は、清清しいほど快眠していた。

しかし、その快眠状態も、一つの悪夢によって掻き乱される。

「スー、ス・・・・・・う、うぅぅ」





夢の内容はこうだった。

――潰れろ虫ケラども!!――

一人の邪悪な仮面ライダーが、

――グァァアアアア!!!!――

風都を、次元を守るライダー達を難なく退け、

――ブレイブショックストライカー!!――
――無駄だっ!!俺様には効かん!!――

魔人戦士さえも・・・。

――まだ僕が残ってるぞ!――

邪悪なライダーに叫ぶ自分。





「――――――ハッッ」

光輝は漸く悪夢から醒めた。

「あの夢は、あのライダーはなんだ?」

嫌というほどにリアルな夢。
これから起こる未来を投影したかのような、正夢のような感覚だった。

「まさか、あのゼロさんが・・・・・・」

光輝が口にしたのは、以前自分の世界にやってきたドS上級魔人・無限ゼロ。
光輝にとってゼロは戦友であり、預言者を自称する鳴滝の抹殺対象からクロスを”お仕置き”によって強制撤去してくれた存在でもある。

「気になるな・・・・・・」

光輝は頭を触りながら考える。
永遠の力とされるアンリミテッドフォースの行使権限を与えられた無限の使徒たる自分が見たあの悪夢には、なにかしらのメッセージがあると説いたのだ。

「・・・・・・・・・・・・よし、行こう。ゼロさんのところに」

幸いにも今日は学校が休日な上、これといった用事も無い完全フリーだった。
実際、昼寝をしていたのが良い証拠だ。

【CROSS】

真っ直ぐに立ち上がると、クロスドライバーを装着すると同時に、十字架の記憶を呼び覚ます。

「変身」

【CROSS】

十字架を背負いし者、仮面ライダークロス。

(アンリミテッドフォース、僕を戦友(とも)のいる世界に・・・!)

眼を閉じて必死に念じるクロス。
するとどうだろうか?
世界は歪み、異次元と異次元の境界たる次元の壁が現出する。





*****

第333管理外世界『メルト』

その上空では空間が裂け、次元航行船が現れる。

「ここがメルト、か」
「フィリップが見たらなんというか・・・」

照井と翔太朗は窓からメルトの景色を眺めた。

メルトの景色は、田舎のような寂しい部分が目立っていたものの、確かに居住者の存在を表すかのように、小さな村が点々と存在していた。

「それで、どこに降りるんだ?」

コックピットに座るシキに、ディアンが尋ねる。

「もう直ぐですよ。そろそろ、専用の着陸場が見える頃かと」
「どこどこ?」
「あそこですよ、あそこ」

子供っぽく訊くヴィヴィオに、シキが指差すのは、片田舎同然のこの世界において一際異彩な雰囲気漂う高層ビルだった。

「・・・王になって欲しい、と聴いたから・・・てっきり城かなにかかと思った」
「今時、王様=城だなんて発想は古いですよ、奥方様」

リインフォースの発言に呆れるシキ。

「なんでもいいから早く着陸しろシキ。狭苦しくてかなわん」
「委細承知」





*****

高層ビル内。
その一番広く豪華絢爛な部屋で、一番高級そうな椅子に堂々とすわるゼロ。
他の面々もそれなりに高価な椅子に座り、それなりの茶菓子をだされているが、ゼロに用意された待遇は王として迎えられたということを表すような特別なものばかりだった。

「さて皆様。御寛ぎの途中で申し訳ありませんが、ゼロ様には少し・・・この世界の住民達に挨拶をしてほしいのですが」
「・・・・・・わかった」

少し渋い表情こそはしたものの、ゼロは承諾して席を外した。

「では、皆様には、僕の息子のメツがお相手になりますので」

そういってシキはゼロと一緒に部屋を出た。
代わりに部屋に入ってきたのは、弱弱しい態度をした貧相で冴えない男だった。

「えー皆様、始めまして。俺っちが創路メツです」
「・・・シキの息子ということは、貴方も魔人なのか」
「へい、俺っちも親父と同じ中級魔人です」

弱弱しくも軽い口調で答える。
見るからにも聴くからにも、どこにも威厳や威圧といったものを見出せない。

「えーと、まずなにから話しましょうかね〜」

能天気な感じで言い出すメツは、能天気な仕草で考える。

「あの、メツさん」
「なんすか?」
「その、お父さんは魔界一の研究者なんだよね」
「そうっすよ」

ヴィヴィオの質問にメツは答える。

「あのー、おかッング!?」

その瞬間、リインフォースがヴィヴィオの口をふさいだ。
よくありがちで、立てた瞬間に効果を発揮するフラグを感じ取ったのであろう。

「・・・・・・俺っちの母親は・・・」

しかしメツはヴィヴィオの意思を悟ったのか、勝手に喋りだす。

「死にました。研究の事故でね」
「ご、ごめんなさい!」

ヴィヴィオは軽はずみに質問しようとした自分を恥ずかしく思った。

そんな時、運命は新たな戦士を呼び寄せる。

「「「「ッッ!?」」」」
「これは・・・」
「まさか・・・」

突然部屋の中に現れた次元の壁。
ヴィヴィオ・照井・ディアン・メツは驚くも、翔太朗とリインフォースは、MOVIE大戦の際にそれをみていた。

そして悟った。
何かが来る、と。

「漸く着いた」

その一言と同時に現れたのは、仮面ライダーだった。
白い十字が刻まれた黒いボディ、背中に装備された漆黒のマント、白い十字架型のメモリドライバーを身に着けている。

「お前は、クロス」
「どうも、リインフォースさん」

クロスは爽やかな声でリインフォースに挨拶する。

「知り合いなのか?」
「仮面ライダークロスこと白宮光輝。異世界の風都の守護神だ」

翔太朗に聞かれ、リインフォースは短絡的に説明する。
クロスはメモリをドライバーから引き抜いて変身を解除した。

「やっぱり、こちらにも翔太朗さん達がいるようですね」
「どういうことだ?」
「はい。実はですね・・・・・・」

光輝は照井に尋ねられたのをきっかけに、全てを話した。
何故自分(クロス)魔人(イーヴィル)が知り合いなのか、どうしてこの世界に現れたのか、そして・・・悪夢の内容も全てだ。

「なるほどー、光輝さんは私達のためにここにきたってことなんだね」
「えぇ、ゼロさんには借りがありましたしね」

ヴィヴィオの質問にも丁寧に答える。

「あのー、皆さん。盛り上がってるところ、すいませんけど・・・俺っちの立場は?」
「あ、すまん」

クロスの登場によって忘れられていたメツが漸く声を出した。

「挨拶のほう終わったぞ」

そこへゼロが戻ってくる。

「ん、白宮ではないか。それにメツも一緒か」
「どうも、ゼロさん」
「・・・・・・・・・」

ゼロの呼びかけに光輝は挨拶する。
しかし、メツは黙っている。

「それにしてもメツ。貴様ら親子揃って『伝説の魔人』を追っていたとは、実に意外だぞ。研究一本で生きてきたシキは兎も角、魔界でも特に気性の大人しいと噂で聞いていた貴様までもとは。感服させられる」
「あ、貴方がゼロ様ですか。始めまして」

メツは若干怯えながら返事する。

「ぜ、ゼロ様。メツが怯えておりますので、そのへんで・・・」
「おっと、すまんな」

そこへシキが止めに入り、ゼロはメツから離れる。
メツは重圧から解放されたかのように、冷や汗を一気に流した。

「さてと、このビル及び、周辺地域の把握といくか」

そういってゼロは再び部屋からでた。

「・・・・・・・・・はぁぁぁ」

数秒の沈黙の末、メツは長いため息を吐いた。しかもなんだかそのため息が彼にピッタリと似合っている。

「おい、メツ。お前まさか、昔無限に・・・・・・」
「・・・・・・お察しの通りです。意外かもしれませんが、メツはゼロ様とは同年代なんです。でも、中級魔人と上級魔人の差が大きかったが故、幼い頃からメツはゼロ様の遊び相手に」

ディアンの質問に、シキが説明する。ただし、小声でだ。
皆は、「やっぱりそうか」みたいな表情である。

「もっとも、あの子は憶えてないでしょうが」
「はい?」
「あ、いえ。こっちの話です」

シキは慌てて返事をした。

「ちなみに、どんな遊びを?」

光輝がそれとなく聴いてみた。

「ハムスターごっこ、スパイごっこ、お医者さんごっこ、氷河地獄での寒中水泳、焦熱地獄でのサウナ、毒長蛇の縄跳び、劇薬一気「もういいです!!」・・・・・・あ、そう」

余りにとんでもない内容が後半部分を占めていた。
最も、前半の三つも、まともな遊びだったかは今一わからないが。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

一斉に黙りだす全員。
ゼロの幼少時からのドSぶりを知り、どういう言葉を発すればいいのかがわからなかった。

「・・・・・・あの〜」

そんな中、一人だけが挙手する。

「取りあえず、皆もう休まないか?」

リインフォースの案だった。

「そう、だね」
「賛成だな」
「俺もだ」
「右に同じ」
「異論はありません」
「わかりました。では皆様、こちらへ」
「一人一部屋ずつ、部屋を用意してますんで」

こうして皆は用意された自室にいき、身体を休めることにした。
ちなみにゼロはというと



「フハハハハハハハ!!」
「のぎゃぁぁあああ!!」
「御助けぇぇぇええ!!」

王になったのを良いことに、住民達を思う存分、弄り倒していた。
どうせ長居はなかったが故の行動だった。

「それにしてもこの世界は実に居心地が良い。シキの言った通り、大気中の魔力、そして瘴気の濃度が魔界と同じだというのは本当らしいな。此処なら全力で戦える」

やけに嬉しそうにしていた原因はそれだった。

「だが、不可思議でもあるな。こんな環境であるにも関わらず、人間が居住できるというのは・・・」

確かに、周りを見渡すと、人間の姿も見受けられる。

「・・・・・・まあ良い。明日に備えて、今日はもう休むとしよう」

そう言ってゼロは、寝床へと戻っていった。





*****

深夜。

「まったく、今日は貴方のドSぶりを嫌というほど思い知らされたぞ!」

ゼロと相部屋となっていたリインフォースは、シースルーのネグりジェ姿でゼロに怒鳴る。
対するゼロも、風呂に入ってきたばかりでバスローブ姿なのだが。

「ハハハ!今更いうことではなかろう」
「はぁ・・・まあ、それもそうなんだ――バッ!――キャッ!」

台詞を言い終える前に、リインフォースはゼロにベッドへ押し倒された。

「これ以上聴いてると、また説教が飛んできそうだ。やかましい口は塞がなくてはな」

そういってゼロはリインフォースと口を吸いあう。

「んぅぅ・・・・・・ゼ、ゼロ///」

いきなりの展開に驚くも、リインフォースの表情には、仕草には、拒絶の二文字がなかった。
そして、その後はどうなったかは、語る必要もないだろう。





*****

一方、光輝は。

「うぅぅぅ・・・・・・!!」

うなされていた。
またもや悪夢を見ているらしい。





――蘇れッ!下僕(しもべ)共よぉ!!――

――MAXIMUM DRIVE――

――死に逝けぇぇぇぇええ!!!――

――ぐぁぁぁあああああ!!!!――

――俺たちのせいで・・・・・・――





「うあぁぁ!!」

二度に渡った悪夢。
汗をびっしょりとかいて起きた光輝。
表情も顔色も優れない様子だ。

「・・・またか。『伝説の魔人』・・・・・・一刻も早く、見つけ出さないと」

あのような悪夢と同じことにだけはなってほしかった。
イーヴィルでさえ苦戦する相手を完全敗北させるとなれば、クロスの力といえど、想像絶する戦いを強いられるからだ。

「でも、もし本当に見つけ出したら・・・」

あの悪夢どおりのことが起きるという可能性も否定しきれない。
そう思うと、光輝は迷った。





*****

メルト・地下

「親父」
「おぉ、メツ」

そこでは研究室と思われる広々とした部屋でモニターと向かい合う父(シキ)のもとを、息子(メツ)が来ていた。

「どうだったメツ?ゼロと会った時は?」

本人が此処にいないせいか、シキはゼロのことを呼び捨てにする。

「なんていうか、最初に顔見たときはビクっとしたけど、二度目や三度目になったら・・・・・・なんか無性にイラっときた」
「そうかそうか。そいつは結構」

メツの返答に、シキは満足そうな反応をする。

「それじゃあ、もう部屋に戻っていいぞ」
「あぁ。・・・親父も夜更かしすんなよ」
「わかってるさ」

メツは研究室からでた。

するとシキは、モニターを操作して、新しいモニターを映し出す。
そこには、一本のガイアメモリと、ロストドライバーが映っていた。
もっとも、完成途中のようだが。

そして、シキは机の引き出しから一枚の写真立てを取り出し、机に置いた。
その写真には、若かりし頃のシキと、赤ん坊時代のメツ愛しそうに抱きかかえる白衣姿の女性の三人が写っていた。

一目見れば、子供でもあろうと一発で、家族写真だと言うだろう。

しかし、写真を見るシキの眼差しはとても悲しく、とても虚しく、そしてとても邪悪だった。

「レン・・・・・・お前の仇は、絶対討つからな」

今は亡き最愛の妻の名を呟き、シキは涙を一筋流して、静かに胸のうちの想いを呟いた。
その呟きは、静寂で支配された暗い闇に溶け込んでいった。

次回、仮面ライダーイーヴィル

Rの真実/超【でんせつ】

これで決まりだ!

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