仮面ライダーブライ!
前回の三つの出来事は!


一つ!新生火影とブライ一同は、敵の要塞都市SODOMに到達!

二つ!新ライダー・チェリオの登場!

そして三つ!SODOMの中枢へ進入すべく、五枚のCDを捜索することとなった!

怪力コンビと音遠の愛情と再来するオカマ


A地区の格納庫。
そこには皆と第一の分岐にて別れた土門の吹雪が居た。

「なんか暇だな」
「そうっすね」

適当に其の場凌ぎの会話で場を繋ぎながら進んでいく。
すると次第に格納庫らしき建物が見えてきた。

二人は中に進入していく。
格納庫の内部は会社のビルのような構造でエスカレーターや受付席などがあった。

「たのもう!!」

と、土門が大声を張り上げるが、返答するものは誰一人として居ない。

「人っ子一人いない・・・・・・ってわけじゃなさそうっすね」

吹雪はそういうと、手に持って肩で担いでいた『鎚』を構えて、

「そらよ!」

エスカレーター近くの柱にぶん投げた。
勿論『鎚』の重量と吹雪の怪力による投球速度もあいまってトンデモないことになったが。

「驚いた。石島土門以上の怪力がいるなんて」
「火影と他勢力もここに乗り込んでたのね」

活発そうな短髪の少女に一見大人しげな黒髪の少女。

「誰っすか?」
「こいつらは麗(音)に所属していた亜希(あき)魅希(みき)だよ」

土門は簡潔に説明した。

「あぁ。報告にが聞いてたっすけど、ホントにここに来てたんすね。でも・・・本当に俺っちらに勝てるんすかね?」

確かに単調な戦闘力なら土門と吹雪のほうが上だろう。

「嘗めるな!」

亜希は叫ぶように告げて、一瞬で吹雪の背後に回りこんだ。

「フン!」

両手で作ったハンマーで吹雪を殴ろうとするも、

――グァァァン!!――

「イッッタァァイ!!」

逆に手を傷める亜希。

「へへへ。仮にもあの四季崎が防御を要としてつくった『鎧』が、そんな一撃でビクつくわけないっすよ」

――ガシッ――

吹雪は亜希の体を掴み、

「キャア!!」

――バシンッ!――

床に叩き付けた。

「さて、えっと・・・・・・魅希でしたっけか?この子も捕まえたことですし、平和的な会話をしませんかね?」
「ふ、ふざけるな!誰がお前らと!」

吹雪の平な口調に魅希は苛立ちを覚えた。

「ほほぅ」

吹雪は何を思ったか、双刀『鎚』を亜希の直ぐ横へと、


――ズスィィィイイイィィィィン!!!!――


落とした。
結果、地面へと自重だけでめり込んだ『鎚』の重量の規格外さと吹雪の怪力ぶりを、土門も魅希も亜希も強制認識してしまった。

吹雪は恐怖で動けなくなった亜希にお構いなく、地面にまでめり込んだ双刀を軽々と拾い上げてこういった。

「YES or NO?」

脅迫という言葉が三人のなかで浮かんだ。

「・・・・・・わかったわ。だから亜希を放して」
「交渉成立っすね」

吹雪は素直に亜希から離れた。

「にしても、お前らがここに居るってことは・・・・・・」
「あの十神衆の一人もここにいるんすか?」

土門と吹雪は素朴な疑問を投げかけた。

そして、その返答は当然のように決まっていた。

「・・・この施設は大きく分けてA棟とB棟の二つある。一つは私たちのいるここ!もう一つにはお姉さまが向った。紅麗様の憎むべき敵、森光蘭を討つ手がかりを探すためにね」
「五枚のディスクか・・・・・・その情報を得たことでお前らと組んだ必然性ができた」

亜希と魅希がそういうと、

「そりゃ良かったっすよ。でもお二人さん。このまま「わかってる。あんたらとは一時休戦よ」――OK!共闘っすね!」

エスカレーターで移動しながら会話する四人。
いや、吹雪だけは表現的に不適切だ。

まず吹雪はエスカレーターに乗っていない。双刀『鎚』の重量面を考慮し、『鎚』を上の階にぶん投げた直後に自分も上の階にジャンプして『鎚』を受け止め、またそれを繰り返して上に昇っていた。
というかどうやって会話を成立させていたのかが不思議な構図だった。

「漸く六階。この上への道は・・・?」

少し歩いて別の昇りエスカレーター・階段・エレベーターを探していると、

「きたきたァ!!敵よ、クルミーーッ!!」
「そうねミルク!おそーじしてて良かったね♪」

「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」

二人のロリッ娘メイドがいました。

「よーこそおいでくださいマシタ!不束者ですがよろしくですぅ!」
(それって嫁入りの言葉じゃ・・・?)

ロリメイドの言葉に吹雪は首を傾げる。

「ミルクちゃんでぃーーす♪」
「クルミと申します」

元気でロングヘアなのがミルク、ショートヘアでそばかすなのがクルミらしい。

元気のいい二人の幼女メイドに対して、四人はなにやらヒソヒソと話し始める。

「オイオイなんだありゃ?ホントに敵か?」
「知るか!」
「ここにいる以上は只者じゃないでしょ」
「とりあえず話を聞いてみたらどうっすか?」

ってなわけで、

「あのー、君達は俺たちと戦うつもり?」

土門がクルミに聞いてみた。

「はい。そうだと思います」

――チャコン――

妙な音。
それはクルミの持ってたモップの末端の部品が外れて

――ボンッ!!――
――ヒュルルルルル!――
――ドカァァァン!!――

小型ミサイルが発射されて向こう側の壁を吹っ飛ばした。
最早銃刀法違反云々がノンスットップで破られまくってるこの裏の闇世界であっても、こんなシュールな光景は早々お目にはできないだろう。

「おいでぇーーーっ♪ミクルちゃーん!」

ミルクが大声で呼ぶと、吹っ飛ばされた壁の向こう側から、


メイドっぽいカスタムを受けた、ゴツいロボがいました。
しかもミクルって・・・・・・完全に名前負けも良いところだ。


否崩(いなくず)れ」

吹雪は一言呟き、

――ドゥゥ!!――

ミクルが動いたと同時に全体重をかけて突進を行い、

――ガシュ!!――

鈍い音を立ててミクルと拮抗した。

「へー、おじさん力持ちなんだね」
(お、おじ・・・・・・!!?)

凍空吹雪・・・・・・まだ二十代前半の若者の心に釘が打たれた。

「でも無駄だよぉ?」

――ピピピっ――

ミルクとクルミはモップで何かを操作した。
すると、

――ガシャン!――

なんかミクルが変形して、

――ドドドドドドド!!――

ミサイルを連発しだしました。

「おおお!!」

流石に驚いた吹雪は、思わず跳躍してミクルの背後に回りこんだ。

「手ぇ込んだロボットっすねぇぇ」

冷や汗を若干流していく吹雪。

「すごいねおじさん!そんな恰好してるのにジャンプできるなんて!」

しかしどこまでも幼稚なミルク。
そんな彼女らに対する吹雪は、

「すいませんが、こっちもこっちでやたらと時間かけてる暇はないんすよね。だから手っ取り早く済ませることにするっすよ」

吹雪は双刀を構えた。
最早技でもなんでもないが、一応演出的に・・・・・・

横薙(よこな)ぎ」

文字通り、双刀『鎚』を右から左へと真横に振るった。


――バギィィィイイィィィン!!――


当然凍空一族の怪力によって振るわれる双刀『鎚』の威力は半端ではない。
故に、ミクルは見事なまでに真っ二つと化した。

「「ふぇ・・・・・・??」」

ミルクとクルミは目の前の事象が信じられずに頓狂な声を出す。
ただ力任せに振るわれた石造りの刀一本で、軍用のロボットが粉砕されたのだから。

「そんじゃまぁ・・・お嬢さん方―――この棟にはディスクは無さ気ですし、暫くの間大人しくして貰うっすよ」

そうして吹雪は、ミルクとクルミに拳骨を落とした。

「「ふぎゃ!!?」」

結果として一発で気絶する二人のロリメイド。
そんな光景を見ていた三人はというと

「なぁ?俺らって「それ以上は言わないで!」
「言ったら最期、虚しさしか残らないわよ」

すっかりお株を盗られて半ば空気化していましたとさ。





*****

片方の棟方面。
吹雪と土門&亜希と魅希が第一の関門を突破した頃、もう一人が軍事特化したB棟の中枢に歩んでいた。

ゆっくりとした歩調をしていて、後ろ腰に提げた一対の刀がその存在感を増していた。
その女の名は、音遠(ねおん)
紅麗の御身が為に在る麗十神衆の生き残りが一人。

重苦しい扉を開けた先には

「おや・・・これは意外な人物が入ってきた」

案内役をしていたマント男だった。

「やっぱり生きていたんだね、幻獣郎(げんじゅうろう)!」
「知能指数の低そうなお前でもきづいたか。ほめてやるわ・・・音遠!」

マント男は身に纏ったフードつきマントを取り払い、本性を現した。
少しボロついた和服に細身をした老人、元麗十神衆が一人、幻獣郎。

「あの時、私はお前を殺した。そう思っていた」

あの時、とは裏武闘殺陣の際に、幻獣郎が紅麗に反逆すると言った上に烈火に負けた直後のことである。

「思えば迂闊だったよ。お前の能力を忘れていた。実体ありの幻影を生み出す別魅(わけみ)をね」

それは紅麗さえも真髄を引き出しきれなかった超高等術。
ある意味竜王の影分身と同類たる忍術であり法術である。

「バラバラになった死体の破片がすっかり消えてしまったことは後で聞いた。おめおめと逃げたお前を裏麗に捜索させたが見つからなかった。当然だね、既に奴らは森の実行部隊という本性を出していたのさ。恐らく、我等麗でも容易に踏み込めない森の城に匿われていたのだろう」

「その通り。リングを降りる際、ワシは別魅と摩り替わって逃げた。こんな面白そうなことが起きようとしている今、誰が死んでやるものか」

幻獣郎はそういって左腕の袖をめくった。
手首から先の部分が、眼も当てられない程に醜く豹変した異形の腕だった。

「この左腕をみよ!烈火に斬られたことで新たに生まれたこの腕を!森光蘭に与えられた力じゃ!」

烈火に斬られた、というより幻獣郎が八竜の刹那の逆鱗に触れたせいで焼き切られたというべきだろう。
もっとも、八竜の力を烈火から引き剥がして己が身に宿そうとした考えこそ、幻獣郎が紅麗への反逆を思いつき、烈火は刹那の力を得たきっかけでも在るのだが。

「知っておるか音遠!火影の最高の力をもつ魔導具は人と融合することで発動した!欲にまみれたただの人間だった森は自身が魔導具となった!ワシの考えは正しかったのだ!魔導具はただの武器にあらず!人体にも、その未知なる影響を与えるのだ!」

幻獣郎は研究成果をみせびらかすように喋りだす。

「そして森はこれからも楽しいものを造り、見せてくれるだろう。哀れな貴様はまだあんな糞餓鬼の犬になっているのか?それは、愛情か?」
「・・・・・・・・・」

音遠は聞かずに鞘に納刀していた磁双刀(じそうとう)という名の魔導具を抜刀する。
刃介が完成形変体刀等などを回収している数日の間、亜希と魅希と協力して裏武闘のドーム跡から発見したのだ。幸いな事に無傷の状態でだ。

「磁生の魔導具・・・・・・センチメンタルな話だ。愛や情で戦う・・・だから貴様は頭が悪いのだ!紅麗(あの男)は貴様など必要としていない!駒だ、道具だ、消耗品だ!」

それは完全なる邪推だ。紅麗は音遠を愛しているからこそ堅気の世界に戻そうとした。刃介の問いかけへの答えどおり、”傍らに居られなくても守る為に”。
それがいかに双方の涙腺を刺激する選択かは十二分に分かった上で紅麗は音遠を手放した。これを愛と言わずしてなんと言うのであろうか?

「ただ・・・貴様と女という道具。抱いてもらったのか?あの間抜けめに?」

トドメとばかりに聞こえた幻獣郎の下卑た言葉に、音遠は表情を修羅に変えて、

――斬ッッ――

幻獣郎を六分割した。

「・・・そう感情的になるな・・・」

しかしそれは幻。

「元は仲間じゃったろうが・・・ククククククク・・・」

今度は本物が現れる。

――ブゥンブゥンブゥン・・・!!――

すると音遠の後ろで隔壁が開く音がしてきた。
開かれた隔壁からは球体に複数のカメラと簡素なマジックハンドと脚部のついたロボットが数機でてくる。

「V(ブイ)-II(ツー)という機兵じゃ。SODOMのあらゆる場所においてある。・・・思えば紅麗率いる十神衆もバラバラになったものよのォ・・・・・・まあ貴様と雷覇だけはいつまでもくっついとると思っていたがな」

冷静な幻獣郎の言葉とは裏腹に機兵らは次々と音遠に襲い掛かる。
プログラムされたとおりの動きしかしない機械とはいえ、耐久力も数も音遠の数倍はある。
勝負は些か厳しいものとなっている。

「同じ女でもな・・・・・・命にはまだ救いがあるわい。あれも頭は悪いが、身の振り方くらいは知っている。体を使ってこちら側へ入った賢しい女よ」

すると幻獣郎は糸目になっていた目を少し開き、息を荒くしながら、

「貴様もワシの夜伽をするならばなんとかしてやらんでもないぞ?正直・・・ワシはお前の美しさは嫌いではない。紅麗にくれてやるにはもったいない女じゃ」

この上なく下品で卑劣な誘いをかけてくる幻獣郎に対し、音遠は冷淡にこういった。
中傷云々を織り交ぜた薄い笑顔で。

「使い物になるのかい?まさかアレまで森にもらったなんていうのかしら?」

その表情は、思い切り嘲笑う、という言葉を凝縮したものだった。

「馬鹿・・・女が・・・・・・!!殺せぇぇええ!!」

多重的にプライドを粉砕された幻獣郎は、ヤケクソ気味に叫んだ。
その瞬間に機兵らが突撃する―――



―――筈だった。

「フンガァーーーッ!!」

土門の怒りの拳が機兵をぶん殴っていた。

縦薙(たてな)ぎ」

そして吹雪が上から下へと双刀を振り下ろしていた。

「い、石島・・・土門?それにもう一人?」

音遠は意外な人物らの登場に内心驚いた。

「このロボットらはお任せ下さいお姉さま!!」
「今はこの怪力コンビは味方です!!」

と、亜希と魅希が伝えた。

「馬鹿な!?なぜ火影と麗が共闘を!?しかも・・・ミクルまで倒してきたのか!!」

幻獣郎は打って変わっての大ピンチ。

「じょ・・・冗談ではない!ワシにはまだやるべきことが、見るべき物がある!こんなところで・・・・・・こんなところで死ぬわけにはいかん!ワシはまだ此の世に必要とされている!!」

あくまでその得たいのしれない術を世の為人の為に使っていたら、の話だが。

――バチッ!!――

「ぎゃふぁ・・・こ、これは・・・」

なにかが幻獣郎の逃亡を拒んだ。

「結界!?」
「お前も迂闊だった。私の能力を忘れていた」

それは音遠が展開したものだった。

「烈火が瑪瑙(めのう)と戦っていたとき、この力で助けてやったのは誰だったかね?」

瑪瑙というのは烈火が戦った女子高生の名で、幻獣郎に父親の命を盾にされて従わされ、魔導具・式髪を埋め込まれて頭髪を用いた戦闘を強いられていたが、烈火の活躍で全ての呪縛から解放された。

「さらに言わせて貰えば、森こそお前など必要としていない。駒だ、道具だ、消耗品だ」

音遠は磁双刀を構えて、誇りに満ちた綺麗な顔で、

「私は紅麗様を愛するが故に戦う!たとえ必要とされずとも、この気持ちが変わることはない!」

己の存在意義を発言したのだ。

「永遠に―――」

一言がつむがれた際、幻獣郎の体は真っ二つになった。
そしてその直後に、奴の五体と五臓六腑は多数に分割されていった。
二度と復活することなど夢にも思わないほど、残酷なほどにだ。

「紅麗様に仇なす者は、この私が決して許さない。今度こそ、永遠(とわ)を彷徨え!」





*****

ウェポンドーム。
そこには一人のモヒカンでオカマでサイボーグなアホがいた。

「フンフン♪フンフーン〜〜♪」

イヤホンでなにやら音楽を聴いてるのは、神威。
ここの番人は彼のようだ。

「フンフ・・・あ!!」

途中でイヤホンを外し、神威はモニターの片隅にうつった人影を発見。

「来たぁ!」

そのあとの絶望感も知らずに。

「薫ゥゥウウウ!!会いたかった!会いたかったわぁぁああぁぁぁあああ!!!私、帰ってきたのよ!!あなたに、あなたにもう一度会いたくて!!」

大音量で声を張り上げる。

「あなたとカッパちゃんとの美しくも儚く甘い思い出(メモリー)・・・・・・忘れることなんてできなかった。カッパちゃんは死んじゃったって聞いた時はショックだったわ・・・・・・でもあなたはまだ生きてる!!」

どこをどうすればアレが美しく儚く甘い、に豹変するのであろうか。

「ムネが苦しいわ・・・・・・あふ・・・カオリン・・・」

――パシュ・・・――

扉が開いた。

「!!」

期待感MAXで神威は精一杯の持て成しをしようとした。
だが、



来たのは烈火と刃介だった。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

なんかもう暗黒。

「・・・・・・なんか悪い事したか?」
「いや、あんな気色悪い方法だったから小金井の奴・・・・・・」

――ここには入りたくない!!ヤダヤダヤダヤダヤダヤダーーーっ!!――

皆さん。もし目の前の液晶画面に、


          COME ON!!!!
           >KAORU
KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU
KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU
KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU
KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU KAORU


こんな感じで・・・・・・・・・普通は嫌がる。
もはやストーカー云々ではすまない気がしてくる上、心当たりがある分余計にイヤだ。
もし作者(ラージ)なら、命の安全と身の安全が保証されていて尚且つ凄まじい特典が無い限りは、絶対に拒絶まっしぐらだ。


――ズガーーーン!!!――

神威のハートが砕け散った。

「そんな・・・そんな・・・・・・」
「「・・・・・・・・・・・・」」

オカマの扱いに困る二人。

(あの美しい思い出は・・・思い・・・・・・)

そこで神威は思い出した。かなり余計な事項を。

「・・・・・・・・・あなた・・・・・・名前は?」
「花菱烈火。火影だ!」
「我刀流二十代目当主の鋼刃介」

二人は問われて自己紹介する。

薫に”好きなんだよね”と言わせた者がここにいた。

「あーーーら・・・・・・・そう・・・・・・!」

メチャクチャ不吉な笑顔の直後、

「このガキャアアアァァァアア!!!!」

腹部から特大のガトリング砲をだした。
そこのサイボーグ猫かと思わん勢いで。

――ズガガガガガガガガガガガガ!!!!――

途切れなく発射されていく弾丸の嵐。

「「!!?」」

二人は乱射ではもう片付けられないその攻撃に驚き、とっさに弾幕の中に隠れた。
勿論神威とてバカじゃない。

「そう簡単に・・・!」

腕から業物の刃物を飛び出させ、弾幕のなかにいる烈火の影を発見する。

「いくとは思ってないわよォーーー!!」
「そうかよ、変身!!」

烈火に斬りかかろうとする神威の前に、ベルトを装着した万全状態の刃介が躍り出て、ローグスキャナーでコアを読み取った。

≪RYU・ONI・TENBA≫
≪RI・O・TE!RIOTE!RI・O・TE!≫

ブライ・リオテコンボに変身すると同時に魔刀を手にとって神威の武器を受け止めた上、それを逆に切り裂いた。

「お前なんなんだよ?」
「・・・花菱烈火・・・お前ね?私のカオリンを・・・・・・誘惑するサルは、お前のなのね!?」
鏡花水月(きょうかすいげつ)!!」
「ゲフっっ!!」

ヒステリックに喋る神威に対してブライは虚刀流最速とされる掌打の一撃を喰らわせた。

「まぁさ、なんのことはか知りたくもないが、ディスク持ってるなら寄越しやがれ。このオカマサイボーグ」

ブライは刀の切っ先を神威に向けて冷酷に言い放つ。

「ウフフフフ・・・・・・報告以上の戦闘力ね。でもだからといっては私は花菱烈火を認めない!カオリンが認めて私は絶対に認めてやらない!!」

神威は左手から飛び出させた役に立たなくなった武器を捨てて一直線に走った。
ドームの奥深くへと。

「オホホホホホホホ!!」

出しながら走っていく神威。

「待ちやがれこの野郎!!」
「あの性格・・・・・・小金井(クソガキ)が嫌悪しまくるのも頷けるぜ」

烈火とブライは跡を追うべく走った。
その先には何も無い部屋があった。
いや、何も無いわけじゃない。隠されているのだ。

この建物の名前はウェポンドーム。

――ガコンッ――
――バンッ!――

「「うお!?」」

部屋の壁にも天井にも床にも、

――ガコッ!ガコッ!ガコッ!――
――ドン!ドン!――

気づけば四方八方を据え置き型の銃火器と光学兵器が二人と一機を狙っていた。

『ハァ〜〜〜イ♪ひっかかったわね、ベェ〜〜イヴェッ!!チェ〜〜〜ックメェェェイト!!』

どこぞかのスピーカーから聞こえてくる神威のオカマ口調。

『今・・・私はこのドームの心臓部と結合した!私の思考でこのドームの火器は動くってことよ。このウェポンドーム自体が私となっている!貴方達は私の中でくたばるのよ!』

神威の自信を裏付けるようにご大層な銃火器らが並べられているこの部屋で、ブライはその銃火器と光学へいき全てを見据える。

「花菱・・・前面部分の銃火器は俺がやる。お前は背後にあるの全部おとせ」
「・・・わかった、やってやろうじゃねぇか!」

『オホホホ!!この状況じゃ蜂の巣になる以外に道はないわよ!恋敵、死んでぇ!!』

――ズダダダダダダダダ!!――
――ビュンビュンビュン!!――

狂い舞うように連射される銃弾とレーザー。
それらが狙う先には烈火とブライ。

誰もがここで木っ端微塵なDEAD ENDを予想するだろうがそうはいかない。

「陸式”型無の塁”!幻炎!!」

命中したのは幻惑の像だけで、本体は無事だ。

(あれが噂の火竜!?炎術士烈火の力!!?)

神威は初めてみる炎の竜に戦慄する。
そして

≪YAMANEKO・JAGUAR・SMILODON≫
≪YAJA・YAJA!YAJAGUADON!≫

「ウォォォオオオォォォアアアアア!!!!」
「うわッ!眩しい!!」

ブライ・ヤジャガドンコンボの全身から放たれる攻撃性の光線・ワイルディーザーによって、彼の宣言どおりに据え置き型の武器たちが次々と破壊されていく。
その際の凄まじい光量に思わず烈火は目をふさいでしまうほどだ。

(うぅぅううう!!)

一方で神威は心臓部と接続していた武器たちが破壊されたことでフィードバックを受けてダメージを受けていた。
簡単に言うと汎用人型決戦兵器のシンクロ操縦と同じみたいなもんだ。

「おぉぉおおお!!」

そこへ烈火が大声を張り上げて力を搾り出した。
以前烈火は火竜を同時に二体呼び出して様々な攻撃法を生み出したが、今回はその比ではない。

――火竜には火竜の出現律が存在する!術者の精神力によっては、二匹以上だすことも不可能ではないのじゃ!!全ては・・・主の力次第――

それが虚空の言葉だった。

「おおおおおおおお!!」

烈火は声を出しながら空中に指で三つの文字を描く。
焔、砕、崩の三文字を。

『『『−−−−−−−ッッッ!!!』』』

焔群、砕羽、崩の三匹が同時召喚された。

「こいつは中々・・・・・・」
『あれが噂の火竜!?』

ブライはともかく、神威は心底驚いた。

『でも・・・・・・ちょっとまって!!三匹だせるなんて聞いた事ないわよ!?』

データにない事象に困惑するが、烈火は待ってはくれない。

「・・・よし・・・」

小さく呟いた烈火は意を決したふうに表情を固定した。
すると三匹の竜たちは互いに互いの体を複雑に絡ませあい始めた。

『きゃッ・・・。・・・・・・!何よ・・・あれ?』

神威は一瞬、激しい閃光に視界を奪われたがすぐに回復し、トンデモないものを見てしまった。

そこには、三つ首の火竜がいたのだ。

『火竜が一つになった!?これは・・・・・・なんかヤバいわ!!ウェポンドーム!!』

神威は残った兵器全ての標準を定める。

『目標捕捉!!花菱烈火とブライ!!撃て!!』

本来なら命令と同時に近代兵器たちの総攻撃の嵐となっていただろう。
だが烈火はそれが始まる直前に、


――ドンッ!ドンッ!ドガァン!ズバァン!――


全ての兵器(ユニット)を残さず破壊した。
高熱火炎によって生まれた弾炎から飛び出した無数の刃。
それも鎖鎌のように変幻自在な軌道を描く炎刃がドームないの全てを斬る。

『そ・・・んな・・・速過ぎ・・・・・・がッ!!あぁあぁあぁあぁ!!!』

一斉に武器が破壊されたことにより、システムエラーが重大なレベルで発生する。

『まるで・・・体の中で暴れ回る病原菌ね・・・とんでもない奴らだわ・・・』

神威はか細い声を出していると、小金井が言っていた台詞が思い出される。

――俺なんかに負けてちゃ、烈火兄ちゃんは殺せないぜ――

(そうね・・・カオル・・・くやしいわ・・・)

体中に発生したエラーの影響で、全身の接続部分が小さく爆発しながら、自分に迫り来る死を受け入れようとした時、


――カッ!――


痛みがスッと消え去った。
なぜなら、烈火が神威のところにまで来て、砕羽の炎刃で神威とドームを接続するコードを全て焼き切ったからだ。それをガラスを破ってまでだ。

「・・・・・・・・・あ・・・あんた・・・なんで助けるの?敵を・・・」

神威は当然の疑問を投げかける。

「俺たちは人殺しはしねーんだ。小金井だってそうだったろ?」
「チョコパフェくらい甘いなお前ら」

烈火の言葉にブライが呆れていると、

(あ・・・///)

なにかが神威のなかに芽生えた。

(こんな・・・機械だらけの私を人間として見てくれるの?何・・・こいつ・・・・・・なんか・・・カオリンが「好き」って言ったのがわかる・・・わかる気がする!烈火・・・・・・花菱烈火・・・・・・!!)

結果として・・・!

(この胸の高鳴りは・・・・・・・・・恋!?)

そして・・・!

「烈火くん!!許されないのはわかってる!!でも・・・でもね!」
「その気無し!!!」

――ドガァァン!!――

烈火のアッパーカットが綺麗に決まった。

「色んな意味でオメーは危ないからな!暫くそーやって寝てないさい!」
「とりあえず追って来ないように、コイツで縛っとくか」

(・・・・・・私に残されている生身の部分・・・・・・脳髄とハートがうずいてるわ・・・・・・・・・カオリンといい烈火君といい、最後まで手厳しいのね。またフラれちゃった。・・・・・・そして―――)

――ビリビリビリビリッッ!!――

(貴方だけは好きになれそうにないわね、鋼刃介!!)

自分の体に巻きついて電流を放出している電気ウナギカンドロイド三機を置いていったブライに、神威は心の雄叫びを上げていた。
まあ、結果としては刃介はキモいオカマサイボーグによるイベントから永久除外されただけでも良しとしよう。



そして、烈火とブライが次の場所に映ろうとした時、

『あれからまた強くなったねェ烈火ぁ・・・・・・・・・』

スピーカーから神威とは違う別の男の声が響いた。

『イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ』
「この・・・・・・声・・・!」

導き出される人物はたった一人だった。

「木蓮か。このドームのどこかにいるな?」
「木蓮?ああ・・・七実にやられた三下か」
『くッ・・・・・・ああ、そうだよ』

木蓮は気分を害したように喋りだす。

『思えば初めて会ってから色々とあったなぁ烈火・・・・・・・・・俺の人生の中でお前だけは忘れられねぇ存在になったよ。小金井・・・水鏡・・・風子・・・土門・・・全員殺意の対象だがね・・・やはり花菱烈火は別格だよ』

木蓮はスピーカー越しの低く重苦しい声音で喋り続ける。

『奥までやってこい、烈火・・・・・・殺してやる。面白いヤミーと一緒になって、そこのブライも一緒にブッ殺してやるよ。―――俺とテメェの最後の殺し合いだ!!』

静かな声音が途中で一変し、純粋な殺意は憎悪に穢れた殺意へと変わった。

次回、仮面ライダーブライ

金女と牙石王と年長美女


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