IS〜インフィニット・ストラトス〜
自由の戦士と永遠の歌姫

第五十五話
「ブリリアントフリーダム」



 ストライクフリーダムが二次移行(セカンドシフト)をした。新たな名はブリリアントフリーダム、12対24枚の蒼い翼を広げ、両手のビームライフルを構えてレジェンドプロヴィデンスに相対するその姿は、正に機械天使の如く。

「このタイミングで二次移行(セカンドシフト)をするか・・・ふ、運まで味方に付けるとは、やはり君は規格外だな、キラ・ヤマト」
「運? 違う、これは偶然の移行(シフト)ではない。これは、フリーダムと僕の、ラクスを守りたいという想いが起こした必然、奇跡でも、偶然でもない!」
「必然か・・・なるほど」

 同時に構えたレジェンドプロヴィデンスとブリリアントフリーダム、一瞬の静寂が流れた時、二機の姿が人々の視界から消えた。
 いや、消えたのではなく、消えた様に見えた。一切視界に映らないスピードで飛び、レジェンドプロヴィデンスのドラグーン48基と、ブリリアントフリーダムのハイパードラグーン24基がパージされる。

「面白くなってきたよ! 君も私と同じ第二形態で戦うのだからなぁ!!」
「今度こそ、貴方を!!」

 両者のドラグーンが一基につき3つのビームを発射して先ほど以上のビームの嵐が出来上がった。
 ビームの嵐の中を飛び回っていたクルーゼはブリリアントフリーダムのハイパードラグーンが異常に速い事に気付く。見ればハイパードラグーンから蒼い光の帯が出ている・・・あれは、現在もブリリアントフリーダムの翼から発せられている蒼い光、ヴォワチュールリュミエールシステムの光と同じ。

「ドラグーンにまで搭載したか!」

 それだけではない、ブリリアントフリーダムのスピードは以前の、落とす前のストライクフリーダム以上のスピードとなっている。これはクルーゼも本気にならなければ追いつけない。

「厄介だよ! 君も、お姫様も、フリーダムもなぁ!!」
「何を!」
「それほどの力! それほどの才能! それほどの魅力! 何より! 君という存在!! この世界の人間が知れば何を思う! 何を願う!!」
「それは・・・!」
「知れば誰もが思うさ! あの世界と同じ、羨み、妬み、恐怖する! 以前にも言ったな、故に君の存在は許されないと!!」

 確かに、一夏たちはキラを認めてくれた。だが、それがこの世界全ての人間に当て嵌まるとは言えない。キラの存在の真実を知った時、世界は間違いなくクルーゼの言う通り、羨み、妬み、恐怖して、いつかはこの世から排除しようとする。
 嘗てのブルーコスモスがコーディネイターを排除しようとした様に。

「それでも、僕は戦う! 僕は確かにスーパーコーディネイターだ。でも、それ以前に、一人の人間だ!! だから戦う! その覚悟も出来ている!!」
「っ! ふん、本当にあの頃から比べると随分と成長したものだ・・・だからこそ尚更、厄介なのだよ君はぁ!!」

 両手でビームジャベリンを抜いたレジェンドプロヴィデンスが瞬時加速(イグニッションブースト)でブリリアントフリーダムに切り掛かってきた。
 キラも超高エネルギービームライフルをマウントすると、シュペールラケルタビームサーベルUを抜き、切り掛かる。

「ぐっ!」
「ぬぅっ!」

 大出力のビームの刃同士がぶつかり合って激しいスパークをする。だが、キラの手札はこれだけではない。右足でレジェンドプロヴィデンスに蹴りを入れる。
 それに対してレジェンドプロヴィデンスも右足の蹴りで対抗しようとしたのだが、その瞬間、ブリリアントフリーダムの右足に展開されたグリフォン2ビームブレイドによって、レジェンドプロヴィデンスの右足が破壊されてしまった。

「ぬっ! これは!」
「嘗ての世界で、インフィニットジャスティスが装備していた両足のビームブレイド」
「アスランの機体か・・・」
「そしてこれが!」

 レジェンドプロヴィデンスのドラグーンのビームを今度は避けずに直撃した。いや、直撃して跳ね返り、ビームを撃ってきたドラグーン5基を落としてしまう。
 見れば、ブリリアントフリーダムの全身が黄金に変わっており、直ぐに元の色に戻った。

「ムウさんの新しい剣、アカツキのビーム防御・反射システム、ヤタノカガミ2」
「ムウだと!?・・・生きていたのか!」

 ならばラクスをもう一度と狙い、ドラグーンからビームを発射したのだが、ブリリアントフリーダムのハイパードラグーン24基の内6基がラクスの周りに集まって防御フィールドを作り上げ、レジェンドプロヴィデンスのドラグーンのビームから守りきった。

「これも、ムウさんのアカツキの力です」
「ぐぅっ! おのれムウ、この場に居なくとも私の前に立ち塞がるか!!」

 ムウとクルーゼの因縁も、此処まで来ると呪いの域ではないかと思う。この世界にムウはいない、しかしキラの新たな剣の一部としてムウの機体の力が宿り、クルーゼの前に立ち塞がるのだから。

「ならば此処で、私とムウ、そして君との因縁の全てを断ち切ろうではないか!!」
「やらせはしない!!」

 ビームサーベルをマウントして両肩にある武装を掴み投擲した。デスティニーから継承した武装、フラッシュエッジ3ビームブーメランだ。

「この様な玩具で! ぬぅっ!?」
「はぁ!!」

 ビームブーメランを弾き飛ばしたクルーゼの目の前にキラが既に迫っていた。右掌を広げ、咄嗟に左腕で防御しようとしたクルーゼの、その左腕をそのまま掴むと、右掌から放たれたビームによってレジェンドプロヴィデンスの左腕を破壊してしまう。

「これは・・・!」
「あなたは知らないと思うけど、さっきのビームブーメランと今のビームはデスティニーと呼ばれるMSに搭載されていた武装」

 デスティニーから継承したパルマフィオキーナ2掌部ビーム砲、これでレジェンドプロヴィデンスは右足と左腕を失った事になる。

「おのれぇ!!」

 ビームライフルを構え、ドラグーンと共に大量のビームを発射してきた。
 キラもビームライフルを構えると、ライフルとパルマフィオキーナ2掌部ビーム砲を接続して、ビームの威力、連射速度を上昇させる。

「ぐっ!」
「まだ!」

 段々と、レジェンドプロヴィデンスが避け切れなくなってきた。次々と掠りだすビームに冷や汗を流し、ドラグーンの数も48基から既に35基まで減らしていた。

「まさか、二次移行(セカンドシフト)をしただけで此処まで追い詰められるとは・・・本気を出しても相打ち覚悟、何とも無様だな」

 ドラグーン13基を失い、右足と左腕を破壊されてしまった今、クルーゼの勝ち目は無いに等しいだろう。

「だが、まだ負ける訳にはいかないのだよ! この世界を戦火に包み込み、ヒトの滅びという予言の日が訪れるその日までなぁ!!」

 レジェンドプロヴィデンスが黄金の光に包まれた。単一仕様能力が発動したのだ、あの最悪の兵器が。

単一使用能力(ワンオフアビリティー):ジェネシス、発動】

 レジェンドプロヴィデンスのビームライフルが変形して、ジェネシスの形になる。それを構えてドラグーンを操りながらキラの動きを何とか制限すると、ジェネシスを最大出力に設定した。

「ここで死ぬがいい! キラ・ヤマト!!」
「させない!!」

 ジェネシスにはチャージの為に発射まで若干のタイムラグがあるという弱点がある。その隙を突いてキラはマルチロックオンシステムを起動、全てのドラグーンとレジェンドプロヴィデンスの持つジェネシス・ライフル、右腕、左足、ドラグーン搭載用のバックパックをロックすると、ハイマットフルバーストの準備を終えた。

「いけぇ!!」

 両手の超高エネルギービームライフル、両腰のクスィフィアス4レール砲、腹部のカリドゥス2複相ビーム砲、翼の中に収納していたのを展開した両肩のパラエーナ3・プラズマ収束ビーム砲、周囲に展開した24基のハイパードラグーンビーム突撃砲を一斉射した。
 ハイマットフルバーストにより100を超える数のビーム、レール砲、プラズマ砲がドラグーン全てを撃ち落し、ジェネシス・ライフルを破壊、レジェンドプロヴィデンスを達磨状態にして地上に落としてしまう。
 だが、途中でレジェンドプロヴィデンスを解除したクルーゼは近くの屋根に着地すると、そこに居た(エム)を抱かかえた女性と共に消えてしまった。

「あれは・・・」

 クルーゼを逃がしてしまったのは痛いが、如何やら一夏たちも無事だったみたいだから良しとする。会場に来ていた観客も学園の人間も、誰一人として被害は無かったので、今回ばかりは、キラの勝利という事だ。

「でも・・・」

 これからが大変だ。ストライクフリーダムが二次移行(セカンドシフト)をしてブリリアントフリーダムになった。
 その事で世界中がより一層、騒ぐ事になるだろう。キラとブリリアントフリーダムの処遇、亡国機業のこれからの出方、全てが大変な事になってくる。

「・・・」
「キラ」
「ラクス・・・」
「今は、考えても仕方がありませんわ」
「そう、だね」

 だから、今だけは・・・飛んでくる一夏たちに、笑顔で手を振ろう。それからの事は、また後で考えれば良い。



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